スクエニがNFTシール「資産性ミリオンアーサー」ティザーサイト公開、LINE Blockchain採用しLINEが二次流通市場を構築

スクエニがNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」ティザーサイト公開、LINE Blockchain採用しLINEが二次流通市場を構築

スクウェア・エニックスは6月9日、2021年夏発売予定のNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」のティザーサイトを公開した。発売日・価格・購入方法、購入済みデジタルアセット管理用の「シールホルダー」(仮称)などの詳細な仕様は、決定次第発表する。NFTデジタルシールのトレードに関してはLINEのNFTマーケットプレイスで実施する。またLINEは同日、デジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」内のサービスとして同マーケットプレイスを提供予定と発表している(提供開始時期は、後日公開)。

資産性ミリオンアーサーで提供するNFTデジタルシールは、NFTが持つ特性に加え、絵柄が1枚1枚異なるという。そのため、ユーザーはデザイン面においても唯一無二のNFTデジタルシールを所有することが可能。NFTデジタルシールをコレクションする際には、購入済みデジタルアセットをブラウザー上で管理する専用の「シールホルダー」(仮称)で提供予定。

同NFTデジタルシールは、スクウェア・エニックスとdouble jump.tokyoが共同開発したもの。ブロックチェーンには、LINEがLINE TECH PLUSを通じ提供する「LINE Blockchain」を採用している。

LINEが提供予定のNFTマーケットプレイスは、LINE BITMAX Wallet内のサービスとして提供予定。LINE Blockchain上で発行されたNFTの二次流通市場を構築することで、ユーザー間での取引の中でNFTの付加価値が高まっていく場を提供し、エコシステム内で流通する価値の最大化を目指すという。

「ミリオンアーサー」シリーズは、シナリオに「とある魔術の禁書目録」の鎌池和馬氏、音楽制作に前山田健一氏を起用するなど、豪華スタッフ陣が集結。人気声優が演じるキャラクター、多数の著名イラストレーターが描くキャラクターイラストの競演でヒットを記録したスマートフォン向けゲーム「拡散性ミリオンアーサー」から始まった作品群を指す。

LINE Blockchain採用の理由

スクエニがNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」ティザーサイト公開、LINE Blockchain採用しLINEが二次流通市場を構築

double jump.tokyoによると、LINE Blockchain採用の背景には、NFTを活用したサービスのUX改善があるという。

多くのブロックチェーン関連アプリの場合、暗号資産ウォレットのインストールがユーザーにとって非常に大きなハードルとなっているという課題がある。昨今、NFTが盛り上がりを見せる一方で、マスをターゲットとした日本のコンテンツホルダーにとってはウォレットなどに精通していない人がメインのターゲットユーザーとなっており、UXの改善がNFT市場拡大の大きな足掛かりになると考えているという。

これに対しLINE Blockchainでは、以下特徴によりNFTサービスの様々な改善が期待されるとしている。

LINE Blockchainの特徴

  • ユーザー認証(鍵管理):NFTの取り扱いは多くの場合、カストディの規制などもあり、ユーザー自身が秘密鍵を管理することが求められる。LINE Blockchainでは、ユーザーは秘密鍵を自身で管理することなく、LINEのログインとLINE BITMAX Walletを連携させることで、普段利用しているウェブサービスの認証に近いUXを提供可能
  • ユーザーのGas(トランザクション手数料)負担が不要:通常イーサリアムブロックチェーンなどでは、NFTの転送にはGas代金の負担がユーザーに発生する。LINE Blockchainの場合、サービス運営側が負担する形となり、よりシンプルなUXとなる
  • NFTマーケットプレイス:LINE Blockchainを用いたNFTマーケットプレイスの構築が進められており、今後NFTの出品・購入が可能になる予定。また、LINEのトーク機能を活用したNFTの授受も容易になっていくとみられ、約8800万人が利用するアプリケーションを用いたNFTの二次流通も活発になっていくと考えているという

またdouble jump.tokyoは、「LINE Blockchain Developers」のAPIのGo言語向けライブラリーをオープンソースとしてGitHub上で公開した。同ライブラリーを利用することで、LINE Blockchain DevelopersのAPIへアクセスするためのHTTP設定や署名処理を簡略化し、迅速な開発を可能にするという。


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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)スクウェア・エニックス(企業)double jump.tokyo(企業)BITMAX Walletブロックチェーン(用語)LINE(企業・サービス)LINE Blockchain
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イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

LINEは12月17日、ブロックチェーン開発者向けにオンラインイベント「LINE Blockchain Developers Meetup #1」を開催した。LINE Blockchain導入事例として複数サービスが紹介されたので、ここにまとめておこう。

LINE開発者による「LINE Blockchain Developers」を使った「dApp」(ブロックチェーンアプリ)開発デモについては別記事にまとめたので、そちらも参考にしてほしい。

韓国語、英語、日本語と順次多言語対応を計画、電子契約サービス「LinkSign」

導入事例での最初のセッションでは、LINE Blockchain基盤を使った電子契約サービスの「LinkSign」の紹介が行われた。LinkSignを提供するComakeのCEO Harrison Hyunmin Cho氏がビデオレターで解説した。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

LinkSignは、オンライン契約プラットフォーム。AI、機械学習、ブロックチェーン技術を使い、契約プロセスを作成・レビュー・電子署名・契約締結の4つに分け、これらをすべてLinkSignというひとつのサービスに統合している。

ビジネス従事者にとって契約は避けて通れないものの、契約というのは非常に難しい専門用語が含まれており、多くの人はその知識を有していない。これを同社はリーガルバリア(法的な障壁)と呼ぶ。

さらに、リーガルバリアを認識していても、多くの中小企業が法律事務所の正式なレビューを受けることができずにいる。中小企業にとって法律事務所のレビューは高額であるからだ。

また、紙ベースのレビューは長年にわたり様々な障害を抱えてきたという。レビューや交渉プロセスにおける記録、署名の信憑性などの課題を抱えつつ、先に挙げたプロセスを経て契約の成立となるが、そもそも原本の管理もまた、中小企業にとっては問題になっている。

これらがLinkSignの開発背景となり、ビジネスとして立ち上げたとCho氏は語った。

LinkSign概要

LinkSignでは、契約プロセスを作成・レビュー・電子署名・契約締結の4つのプロセスを契約ライフサイクルと位置付けている。作成とレビューのステップではAIおよび機械学習の技術を統合し、電子署名と契約締結のステップにはシステムのセキュリティー向上のためにブロックチェーン技術を統合している。

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LinkSignは、クライアントがアクセスすると最初に契約書の作成に誘導する。

一般的な契約書の作成では、契約書をイチから作ることはなく、たいていはGoogleなど検索サイトで似たような契約書のテンプレートを検索して探し、それを参考に作成することが少なくない。

しかし実は、これはリスクの高いアクションだとCho氏は指摘する。契約書で重要なのは、どちらが情報を受け取る当事者か、どのような条件で損害賠償が発生するのか、また契約条項に関して紛争が起きた際どこが管轄地になるかなど、一般的なテンプレートではカバーできない条件が多々ある。法律事務所はこういった問題を適切に提案できるため、高額な費用がかかると説明した。

LinkSignの契約プラットフォームでは、クライアントは正しいテンプレートを選択できるという。テンプレートはすべて法律事務所の上級弁護士がレビューしたものになる。テンプレートを選択するとAIインタープリターが起動されるという。

契約書の作成にはふたつのケースがあり、ひとつはLinkSignで作成してドラフトから契約を始めるもの。もうひとつは契約相手から契約書のドラフトを受け取ったケースという。契約書を受け取った場合は、クライアントは契約書をLinkSignにアップロードできる。

LinkSignは、契約書を判断し法律的なリスクがあった場合はクライアントに報告する。契約レビューシステムでは、抽出サマリー、文章や条項ごとの詳細レビューなどが行われ、最後に最終レポートとして1ページにまとめられるという。現時点では、これらはまだ韓国語にしか対応していないが、英語、日本語と順次多言語対応していくそうだ。

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詳細レビューページは、以下スクリーンショットにあるように、緑、黄、赤にハイライトされたセクションがある。緑は文章や条項が安全であることを意味し、黄色は標準的に使用される法律上のフレーズとは異なるが法律的には大きな問題にならない箇所、赤はシステムがこの契約を弁護士にレビューしてもらうことを推奨している箇所という。

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詳細レビューページの後は、最終レポートとしてすべての情報が1ページにまとめられ、契約書の作成は完了。ここからは両者が署名をする段階になる。

両者から署名を得るためにLinkSignでは、紙ベースの契約書を電子トランザクションに移行するだけではなく、ブロックチェーン技術を使い契約のセキュリティーを強化する。ブロックチェーン技術を使うことで他のプラットフォームに存在するような多くの問題を解決できるとした。

各トランザクションの透明性を担保し、また署名した契約や原本を改ざんできないという点においても、クライアントからの信頼を獲得できる。

なぜLINE Blockchain Developersなのか?

LinkSignが多くのブロックチェーンプラットフォームの中から、LINE Blockchain Developersを選択した理由は、LINE Blockchain Developersの技術が単に優れているだけではなく、容易に拡張できることがポイントという。例としてLINE PaymentサービスをCho氏は挙げた。

LinkSignは、契約プラットフォームをフィンテック領域にも拡張していく計画があるという。LINE Payによってクライアントは、1ヵ所で契約を締結したあとに支払いが可能になる。同社プラットフォームをLINE PayやLINE ID Passport(KYCプラットフォーム)に接続できると、次世代のものに進化させられるだろうとCho氏は語った。

現在、他社からも電子契約プラットフォームサービスは提供されているが、契約書のテンプレートから提供し、契約書のレビューサービス、電子署名、そして契約管理まで、これらすべてを提供しているサービスはLinkSign以外にないという。

またLinkSignは、グローバルな法律事務所の弁護士プールを抱えており、もしクライアントが新しいテンプレートを依頼したい場合や、既存のテンプレートのレビューを法律事務所に依頼したい場合は、LinkSignがグローバルな法律事務所ネットワークを通してつなぐことも可能という。

LinkSignには、もうひとつのビジネスモデルとしてSaaSモデルがある。SaaSでは、クライアントがモジュールベースで電子署名を提供したい場合は、そのニーズに基づき提供することも可能という。

リーガルITソリューションを目指すLinkSignのロードマップ

同社のロードマップでは、電子署名プラットフォームは第1ステップという。将来的には、リーガルITソリューションになること検討している。

リーガルITソリューションでは、同社のプラットフォームを使用した契約、ライフサイクル管理を提供し、eディスカバリーのサービス、さらに契約作成、レビュー支援を提供する。リーガルテックビジネスという点でも、法的な部分とテクノロジーを融合していくとした。

また、電子契約プラットフォームを利用することで、より多くのデータを収集できるため、情報を蓄積・活用しながらさらにAIプラットフォームも強化していくという。契約データを収集する際にはブロックチェーンシステムを使い、透明性を担保し、オープンにしていく。電子署名サービスは、一部無償で提供しており、より多くの人が試すことが可能という。

テクノロジーを融合させることにより、同社は、仕事でもプライベートでも法律アシスタントを提供するリーガルサービスも可能と考えているという。同社は、これを未来のAI弁護士と呼んでいるそうだ。特にクライアントのパーソナルな領域においても、法的な支援を提供していきたいと考えているそうだ。次世代の契約プラットフォームが我々のLinkSignで実現可能であるとして、Cho氏はまとめた。

クリエイターとファンをつなぐソーシャルメディア「aFan」(アファン)

続いてのセッションは、LINE Blockchain基盤を使ったクリエイターとファンをつなぐSNSおよび分散型アプリ「aFan」(アファン)。解説は、Common Computerブロックチェーンデベロッパー ソフトウェアエンジニアのLia Yoo氏。テーマは、。Ethereum(イーサリアム)からLINE Blockchainへの移行について明かした「Scaling Ethereum dApp to LINE Blockchain」。

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aFanは、最近EthereumからLINE Blockchainベースに拡張したという。今回は、aFanについて簡単に説明を行い、なぜブロックチェーンをLINE Blockchainに変更したのか、どのように変えたのか、そしてブロックチェーン上で新たに開発した機能を紹介する。

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aFanにおいてクリエイターとファンは、直接お互いをサポートしあい、共に成長できるようにしており、一般的なSNSアプリ同様、写真のアップやユーザー同士のフォロー、いいねやコメントをしあえる。

aFanの特徴は、「FANCO」(ファンコ)という暗号資産がエコシステムの中に組み込まれている点にある。クリエイターやファンは、好きな投稿に対してFANCOを贈ることができる。そのFANCOは投稿者に渡されるという。

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aFanはSNSアプリには珍しくポートフォリオ機能を搭載しており、aFanにはなくてはならないものだという。ユーザーは、ポートフォリオページにおいて、FANCOをどれだけ受け取ったのか、自分の好きなクリエイターへどれだけ贈ったかを確認できる。また、引き出し機能というものがある。ユーザーはaFanからFANCOを引き出し、自分のブロックチェーン口座に入金できる。また、FANCOをアプリに預けることもできる。

SNSのエコシステムに暗号資産を組み込むには?

当初、同社はFANCOをSNSのエコシステムの中に取り入れさえすれば、ユーザーが積極的に使うようになると考えていた。P2Pの報酬システムというものがすぐに受け入れられると思っていたという。aFanは、熱心にFANCOをクリエイターに贈り、作品をサポートし、クリエイターに対してよりよい作品を作ろうという刺激になると思っていたそうだ。

しかし開発を続けていく中で、そう簡単なものではないと気づかされたという。サービス提供者は、ただ単に報酬を与えるツールを提供するだけではなく、もっとユーザーフレンドリーにならなければならないと悟ったそうだ。

aFanの開発スタートは2年前のことで、テスト済みエコシステムを成長させられそうで、なおかつ比較的簡単に使えるブロックチェーンプロジェクトは当時少なかった。誰もがEthereumのスマートコントラクトでERC-20準拠のトークンを利用しているという状況だったという。

当時のEthereumデベロッパーコミュニティが活発だったこともあり、事例やドキュメントなども豊富で、インターネット上で簡単に探し出せた。そういった自然の流れで、FANCOはEthereumのERC-20準拠トークンとして発行・展開してきたそうだ。

同社は、ユーザーがFANCOを購入したり、交換したり、預けたり、引き出したりできるようにしたが、ユーザーの中にEthereumの仕組みを理解している人は少なく、SNSを利用していく中で、アドレスベースのシステムと取引速度の遅さに不満を持つようになったという。この仕組みを理解しているユーザーは10%未満にとどまる結果になった。

同社は、ユーザーがSNSを利用していく中で、そういったことは考えたくないのだと理解したという。そこで、ブロックチェーンをLINE Blockchainに変更した。LINE Blockchainは、多くのユーザーが慣れ親しんできたユーザーフレンドリーなプラットフォームがベースであり、またトランザクションの確認も数秒と非常に速く、ストレスがない。

LINE Blockchain導入のさらなるメリット

LINE Blockchain導入でトークンのやり取りが簡単になったことに加えて、同社はさらなるメリットとして、ユーザーに事前にトークンを送付できる点を挙げた。LINE Blockchainでは、ユーザーがBITMAX Walletについて知らなくても、またBITMAXと契約する前でも、トークンを送ることができる。

もちろんユーザーがトークンを受け取り、それを確認し、他のウォレットに送りたいのであれば、BITMAXとの契約(口座開設)は必要になる。しかし開発者側からすれば、ユーザーにトークンを渡すために、ユーザーにあらかじめウォレットの仕組みを説明し理解してもらい、使ってもらうよう説得する手間がはぶけることはメリットが非常に大きいという。

また、LINE IDをベースとするLINE Blockchainは、ユーザーがいったんBITMAX Walletに登録すると、自分のウォレット鍵が何かとか、友達のウォレット鍵が何かというようなことを考えずに、FANCOを友達に送ることができる。Yoo氏はこれが、LINE BlockchainでdAppを開発する一番のメリットと断言する。

aFanの将来について

現在、NFTとして開発中のファンカードは、クリエイターがファンのために作成できるクリエイター独自のバッジのようなものという。将来、各個別トークンがユーザーから「トークン」としては意識されない存在になると、ファンカードが独自性を持つと同社は考えている。

ファンカードは、よりパーソナルな意味合いがあり、共有したり、見せびらかしたりするようなものにしたいという。ファンカードには、クリエイター名や発行枚数、発行者、メリット、イメージ、ファンへのメッセージなどの価値を持たせることができる。同社は、これをNFTのメタデータに記録するが、これらは暗号化し、情報を圧縮し記憶する。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

メリットの事例としては、クリエイターが特別なLINEスタンプを作り、そのURLを埋め込むようなこと考えているそうだ。また、メリットは隠されており、解除条件などが設定でき、解除条件をクリアしたユーザーだけが見られる仕組みという。

クリエイターは、解除条件をファンカードに設定できる。条件としては、クリエイターに対して贈ったFANCOの数や、いいねの数、投稿コメントの数などを設定できるという。これらの条件や解除方法については、ファンカードを開発しながら、今後調整していくとした。

イーサリアム上で開発していたら、こういったことは不可能だっただろうと最後にYoo氏は語った。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:BITMAX Walletブロックチェーン(用語)LINE(企業・サービス)LINE BlockchainLINE Blockchain Developers(製品・サービス)

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINEは12月17日、ブロックチェーン開発者向けにオンライン(Zoomウェビナー)によるイベント「LINE Blockchain Developers Meetup #1」を開催した。

同イベントでは、ブロックチェーンに興味のある開発者や、「LINE Blockchain」(LINE Blockchain Docs)導入を検討している企業などを対象に、LINE開発者による「LINE Blockchain Developers」を使った「dApp」(ブロックチェーンアプリ)開発のデモなどが公開された。LINE Blockchainの今後の展開についても語られるなど、LINE Blockchain Developersの全貌が理解できるイベントとなったので、ここでその模様を紹介しよう。

LINE Blockchain導入事例として、dAppを開発した企業による自社サービス紹介や導入メリットの解説もあったので、別記事を参照してほしい。

オープニングセッション「LINE Blockchain概要」

オープニングセッションでは、LINEのBlockchain Engineeringチーム マネージャー 那須利将氏がLINE Blockchainの概要について解説。

LINE Blockchainは、スローガンとして「LINE Blockchain Designed for Everyone」を掲げている。その意図は、ブロックチェーン技術を我々の普段の生活に取り入れることを目指すというものだ。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポートLINEは2018年4月に「LINE Blockchain Lab」を設立し、7月にグローバル市場にて現在の暗号資産取引所「BITFRONT」の前身「BITBOX」をオープン。10月には暗号資産「LINK」をリスティング(上場)している。2019年9月には日本にて暗号資産取引所「BITMAX」をオープンし、国内においても2020年8月にLINKを上場。それと同時に「BITMAX Wallet」やLINE Blockchain Developersの提供を開始するなど、この3年間、トークンエコノミー構想実現のために、ひとつひとつブロックチェーンサービスやプロダクトをリリースしてきた。

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LINK(LN)はLINEが独自に発行した暗号資産。LINEサービス内において、ユーザーは貢献活動に対するインセンティブとして受け取れるなど、サービスの成長によりトークンエコノミーが拡大し、LINKの需要が増えることが期待されている。

ユーザーがインセンティブとして獲得したLINKは、様々なdAppやサービスで利用できるよう、現在LINEファミリーサービスやパートナー企業と準備を進めているという。すでにLINKは、BITMAXを通じて法定通貨に替えることも可能となり、トークンエコノミーの環境構築は準備できつつある状況にきている。

暗号資産LINKの利用を広げるためにLINEは、「LINK Rewards Program」(リンク リワード プログラム)も用意している。LINK Rewards Programは、LINEトークンエコノミーの各サービスが簡単に参加するための仕組みで、わかりやすくいうと、従来の各種ポイントサービスのように暗号資産LINKをサービス利用者に還元する仕組みとなっている。

そして、ユーザーがLINKを受け取る入り口として用意されたのがBITMAX Walletとなる。BITMAX Walletは、LINKやブロックチェーン上で発行されたデジタルアセットを管理できるウォレットサービスだ。LINE IDとひも付いており、LINEユーザーは誰でも利用でき、秘密鍵を忘れてアクセスできなくなるといったことがないよう設計されている。

BITMAX Walletは、8600万人のLINEユーザーがブロックチェーンサービスにアクセスするための入り口となる重要なサービスとなる。ちなみに暗号資産取引サービスのBITMAXとは異なるものなどで、注意が必要だ。

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LINE Blockchain Developersは、BITMAX Walletをユーザーのために開発したのと同様に、開発者向けに簡単にブロックチェーンに連動したサービスを開発できるように提供する開発ツールとなる。

LINE Blockchain Developersでは、APIやウェブUIを使って簡単にブロックチェーン上にトークン、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を発行でき、サービスに連動できる。

また、ブロックチェーンの特徴として取引の透明化があるが、そのサービスが「LINE Blockchain Explorer」という。ユーザーやサービス内でどのようなトランザクションが発行されて、処理されているか確認できる。

これらすべてが、LINE Blockchainが提供するサービスの全貌だ。以上が、那須氏によるオープニングセッションとなる。

LINE Blockchain Developersを利用したdApp開発

続いてのセッションは、LINE Puls Blockchain Dev 1 Blockchain Developerの坂井隆一氏による「LINE Blockchain Developersを使用した簡単でスピーディーなBlockchain dApp開発」だった。

このセッションでは、トークンの設定やその発行までがすべてリアルタイムで行われた。本稿では非常に長い文章になっているが、サンプルのdApp(のコード)が用意されていたとはいえ、40分間のセッション内ですべて完了しており、ブロックチェーンサービスを簡単に開発を始められる点は指摘しておきたい。少なくともトークンの設定と発行については、エンジニアでなくとも手軽に行えることがわかった。

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またLINE Blockchain Developersでは、REST APIs、Console(ウェブUI)、Docsを提供している。

LINE Blockchainでは、直接ブロックチェーンにアクセスするのではなく、REST APIsを介してブロックチェーン機能が使用できるよう設計されている。エンジニアはブロックチェーンに関する詳しい知識がなくとも、REST APIsを使用することでdAppを開発できるわけだ。

ウェブUIにより操作可能なConsoleは、LINE Blockchain Developersを使ってdAppを開発する際に必要なブロックチェーンの設定を行えるツールとなっている。

さらにDocsでは、LINE Blockchainを使用するにあたり、サービスのチュートリアル、APIリファレンス、サンプルコードなどのドキュメント類が整理され用意されている。

ちなみにLINE Blockchainでは、これらのツールを使ってトークンを発行できる。このトークンは、大きく分けてサービストークンアイテムトークンの2種類が発行可能だ。サービストークンは、各サービス内の通貨という位置づけで用意されているもの(ERC-20に類似)。またアイテムトークンは、お金ではないものやアイテムをトークンとして扱う際に利用するもので、さらに代替可能なファンジブルトークンと、代替不可能なノンファンジブルトークン(NFT)に分かれている(EthereumのERC-1155規格に近い)。

デモ用dApp「LINE Blockchain Coffee」で見る開発の流れ

開発デモ用として紹介されたdApp「LINE Blockchain Coffee」は、バーチャルなオンラインコーヒーショップ。LINE Blockchainのテストネット「Cashew(カシュー) chain」上で動いくように作られている。LINE Blockchain Coffeeでは2種類のトークンを使用する。ひとつは、サービストークンのLBCC(LINE Blockchain Coffee Coin)。LBCCはサービス内で通貨として使用される。ふたつ目のトークンLBCR(LINE Blockchain Coffee Reward)はNFTとして発行し、コーヒーを購入した際のおまけとして使用するトークンとなる。

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LINE Blockchain Coffeeは、LINE PulsのエンジニアAlan Goo氏が開発したもので、すでにdAppのコードはAlan Goo氏のGitHubにて公開されている

セッションでのここからの解説は、LINE Blockchain CoffeeをベースとしたLINE Blockchain Developersを使ったdApp開発の手順になる。

ちなみにLINE Blockchainには、メインネットの「Daphne(ダフネ)chain」と、メインネットと同様の動作をするテストネット「Cashew(カシュー) chain」がある。まずはテスト段階のサービス開発に適した無料で提供されているCashew chainを使って開発を進め、本格的な事業やサービスを展開するにあたり、有料のメインネットを使用する流れになる。

メインネットは、その規模によって月額500ドル(約5万円)、2500ドル(約26万円)、4300ドル(約45万円)が用意されている。なお、テストネットのCashew chainは無料だが、使用するにあたり最初に申請が必要なので(1日程度で承認される)あらかじめ申請をしておくこと。Cashew chainでは、テストアカウントとして100アカウントまで登録が可能だ。

LINE Login channel

開発の際は、まずはブロックチェーンサービスのためのLINE Login channelを作ることから始めていく。

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LINE BlockchainのdApp利用者はLINEユーザーになるが、dAppはLINEユーザー向けのウォレットサービスBITMAX Walletと連携する必要がある。そのために必要になるのがLogin channelだ。

Login channelの作成にはLINEの開発者向けポータルサイト「LINE Developers」にアクセスする必要があるため、LINE Developersのアカウントが必要だ。LINE Developersアカウントは、LINEアカウントがあれば誰でも登録できる。

LINE Developersにアクセスしたら、次にConsoleで「Providers」を作成する。Providersは、GitHubのOrganizationのようなもの。プロダクト名のようなものと考えておけばよいだろう。LINE Developersでは、Providers以下にブロックチェーンサービスのためのLogin channelを作っていくので、ここで任意のProviders Nameを作成する。デモでは、Providers Nameは「LBD Meetup」とされた。

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Providersを作成したら、続いてChannelを作成する。LINE Developersでは、他のLINEアプリなども作成可能だが、ここでは「Create a Blockchain Service Channel」を選択しブロックチェーンチャネルを作成する。

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チャネルタイプはBlockchain Service、Providerは先ほどのLBD Meetupになる。ここでチャネルアイコンが登録可能だが今回のデモでは省略。続いて、チャネル名の登録になるがデモではProviderと同じ「LBD Meetup」とした。本来はチャネルディスクリプションの設定も可能だ。

次にサービスのカテゴリー、サブカテゴリーの登録となるが、今回はカテゴリーを「飲食店・レストラン」、サブカテゴリーを「カフェ・喫茶店」とした。カテゴリーは、プルダウンメニューから選択をする。

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続いてアプリタイプを指定。ここでは開発するアプリに応じて「Web app」「Mobile app」を選ぶ。ちなみに日本語版のコンソールでは「ウェブアプリ」「ネイティブアプリ」となっているので、「Mobile app」はスマートフォン向けのアプリと考えていい。ちなみにデモでは、両方選択した。

メールアドレスには、開発者のメールアドレスが入る。またオプショナルとしてプライバシーポリシー、利用規約が設定できるが、ここは用意したページのURLを任意で入力する。

以上を設定した上で、LINE公式アカウント利用規約など3種類の利用規約を確認した上で同意し、チャネルクリエイトボタンを押すと最初のステップは終了だ。

またこのチャネルは数秒程度で作成される。この後は自動でLINE Blockchain DevelopersのConsoleに移動し、次のステップとなる。

LINE Blockchain DevelopersのConsoleを通じdAppを設定

続いて、LINE Blockchain DevelopersのConsoleを通じて、ウェブUIを介しdAppの設定を行う。ここでは、ブロックチェーン上のサービスを作成し、サービス用ウォレットを作る。このウォレットは、トークン発行などdAppがブロックチェーンに対して何か操作する際に使用される。

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まずは「Create a Service」で、使用するチェーンを選択。テストネットのCashew chainを指定する。続いてサービスカテゴリーをプルダウンメニューから選ぶが、デモではCommerceとした。ターゲットカントリーは、日本、日本以外の国、または両方から選べるようになっており、今回は両方を選択した。

またLINE Blockchainは、ギャンブルへの使用を禁止しており、ここでその確認がある。ギャンブルに使用しない旨に同意し、クリエイトボタンを押す。

以上で、Create a Serviceの設定は完了し、サービスに関するAPI Key、API Secretのふたつのパラメータが作成される。これらのパラメータはdAppがLINE Blockchain DevelopersのAPIをコールする際に必要になる。

重要な点は、この後API Secretは一切表示されないことで、コピーしてどこかにメモをしておく必要がある。API Secretは、クリエイトをコンファーム(承認)する際に必要なので、大切に保管をすること。コンファームボタンを押し、API Secretを入力することで設定は終了となる。

続いて、Create a Walletの作業になる。

最初にWalletの名前を設定する。デモでは「Admin」としたものの、名前はわかりやすければ何でもかまわない。名前を設定しクリエイトボタンを押すと、Wallet Address Wallet Secretが作成される。このWallet Secretも1度しか表示されないので、しっかりとメモして保管しておくこと。コンファームボタンを押し、Wallet Secretを入力することで設定は終了となる。

ここまでで、準備は完了だ。

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サービストークンの作成(発行)

次は、Create a service tokenにてサービストークンの作成(発行)を行う。

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最初にトークンイメージが設定できるのだが、今回のデモでは割愛。次のトークン名を決めた。サービストークンの名前は、すでにLBCCに決定しているのでここではそのまま入力する。続いてトークンのシンボルを設定できるが、トークン名と同じものにした。

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続いてのInitial supplyは、発行枚数を指す。デモではいったん1000枚とした。LINE Blockchainでのトークンは、デシマル(小数点以下の桁数と考えてよい)が6桁固定になっているので、ここでの入力は1000を入力し、さらに0を6桁ぶん追加する必要がある。つまり「1」とだけ入力すると「0.000001枚」となることを意味する。

デモにおいても、実際に「1000」の入力後「000000」(6桁ぶんの「0」)を追加で入力した。しつこいようだが、「1000」という入力だけでは「0.001000枚」となってしまうので注意が必要だ。

次に、オーナーウォレットレシピエントウォレットを指定する。オーナーウォレットとは、このサービストークンを管理するウォレットだ。レシピエントウォレットは、イニシャルサプライとして生成されたトークンをどのウォレットに送るかを指定するものになる。

今回は、どちらも先に作成したウォレットadmin walletのアドレスを指定した。この指定の際に必要になるのが、先ほどメモをしたWallet Secretになる。

クリエイトボタンを押し、Wallet Secretを入力することで、これもまたわすが数秒でサービストークンが発行され、設定作業が終了となる。

画面上では、LBCCというサービストークンが発行されたことがわかる。

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続いて、アイテムトークンLBCRの発行を行う。

ここからは、画面上から該当するトークンのCreate Newを押して新たなトークンを発行していく。まずはアイテムトークンのCreate Newを選択する。

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Create an Item tokenでは、冒頭にファンジブルかノンファンジブルを選択する。LBCRはNFTで発行するので、ノンファンジブルボタンを選択する。

アイテムトークン名にはLBCRと入力。ここでもトークンイメージが設定できるが、今回は省略。サービストークンと同様にオーナーウォレットの指定が必要になるが、こちらもadmin walletを指定する。

クリエイドボタンを押し、Wallet Secretを入力することで、アイテムトークンが発行される。

以上で、トークンの設定も完了となる。画面上では、2種類のトークンが発行されたことが確認できる。

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dApp本体の開発と、dAppの起動

ConsoleによるdAppの設定が済んだら、いよいよdApp本体の開発を行っていく。ただし今回は、開発が済んでいるものとして、dAppを動作させる様子が紹介された。

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今回のdAppデモLINE Blockchain Coffeeは、バーチャルなオンラインコーヒーショップで1杯のアメリカーノコーヒーの価格が200LBCC、リワードとして1杯のアメリカーノコーヒーを買うとおまけとして1LBCRがもらえる仕様になっている。

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実際にdAppを動かすには準備が必要になる。まずdAppを起動するには、最初にパラメータを指定する。ここでは、LINE Login Channel IDやSecret、API Key、API Secret、オーナーウォレットアドレスなど、ここまで設定して得てきた情報を受け渡す(必要パラメータは画面参照のこと)。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート2番目には、dAppがLINE Login Channelを通じたログインのコールバックを受けるためにコールバックURLをLINE Blockchain Developersに登録する。3番目にdApp上でユーザーを作り、4番目にその作ったユーザーをLINE Blockchain Developersに登録する。ユーザーを登録する作業は、テストネットのみに必要な作業になる。LINE Blockchainのテストネットではユーザー数を100人に限定しているため、登録ユーザーのみがdAppを利用できる環境になっている。5番目は、ユーザーが買い物をできるようにLBCCをユーザーのウォレットにあらかじめ送信しておく。ここまでが準備作業となる。

これで、いよいよdAppを起動することになる。デモンストレーションでは、無事にコーヒーの購入とおまけのリワードを受け取る動作を見ることができた。ここまで、40分のセッション内で実施された。

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2021年には、カスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletのグローバルリリースを目指す

ふたたびLINEの那須利将氏が登壇し、LINE Blockchainが描く未来について語った。LINE Blockchain Developersの今後の大きな機能追加について、まず2021年にカスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletも同じく2021年にグローバルリリースを目指していると明かした。

2021年には、カスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletのグローバルリリースを目指す

コアとなるLINE Blockchainのメインネットでは、さらなる技術開発を進めている。スマートコントラクト用のバーチャルマシン、コンセンサスアルゴリズムの改善、プライバシー向上のためのHD Walletやミキシングなどの技術研究を行っている。これらは、ユーザーに直接影響を与えるものではないが、LINE Blockchain DevelopersおよびBITMAX Walletが一層使いやすくなるという。

カスタムスマートコントラクトは、すでにLINE Blockchain Developersにて提供しているサービストークン、ファンジブルトークン、ノンファンジブルトークンなどの機能と連動したビジネスロジックを実行したい開発者のニーズに応えるものという。新たなビジネスロジックを開発してもらい、それをLINEが用意するバーチャルマシンにデプロイし、実行可能にする環境を用意する予定。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

実行環境についてはWASMのランタイムを使用し、完全にサンドボックスとして提供していく予定とした。また、他のWASM実行環境と異なり、同社が提供する環境ではWASMのバイナリーをそのまま実行するのではなく、さらに実行するマシンコードにコンパイルし、よりパフォーマンスがよくなるよう提供していく。

カスタムスマートコントラクトは現在、開発言語としてRust(ラスト)をサポートしているが、将来的には一般的に利用されているプログラミング言語もサポートする予定という。

ちなみに、これらは今後、さらに調査を行い、より使いやすい方向になるよう調整中とのこと。

プライバシー関連の研究も進行中

また、同社はブロックチェーン業界全体の課題のひとつであるプライバシー関連の研究も進行中であることを明かした。まだPoCで研究している段階として、HD Walletという自分のアドレスを難読化させる技術と、ミキシングというトランザクションとアドレスの関係を難読化させる技術の研究を行っているという。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

HD Walletでは、自分の子アドレスを作り、それをトランザクションの発行者に使用したり、宛先に使用したりする。子アドレスは必ず親アドレスから作成されるので自分自身は子アドレスを知ることができ、周囲のものは子アドレスから誰が親なのかわからない仕組みという。それにより、トランザクションを発行すること自体は透明性を確保でき、子アドレスを使用することで使用者自身のトランザクション履歴のプライバシーを担保する。

そして、さらにミキシング技術を組み合わせることで、より難読化させていく。ミキシングは、ある程度のトランザクションを集め、各トランザクションをさらに小さなトランザクションにし、トランザクションの発行者と宛先を、アルゴリズムを用いて、ミックスする技術。ミキシングすることにより、たとえばAがBに10コインを送るという単純なトランザクションが、発行者や宛先、10コインといった量も含めて難読化される。

ちなみにここにセントラルミキシングとKYC認証を使うことで、トレーサビリティ(追跡性)を実現させる方法もあるという。この研究も行っているそうだ。

これらは、PoCであることから、まだどのようなサービスに利用されるかなどは未定であるとのこと。

LINE Blockchainに関しては、VRF(Verifiable Random Function)という疑似アルゴリズムの研究を行っているという。これらの研究は、現在LINE Blockchainはプライベートブロックチェーンで運用されているが、将来的には自分たちのネットワークだけで完結するのではなく、コンソーシアム型ブロックチェーンやパブリックチェーン型ブロックチェーンへの応用を考えた場合に必要になる技術であるとし、研究開発を進めている。

その他にも、インターオペラビリティ(相互運用)の研究、レイヤー技術の研究についても行っているという。

CBDCに対して応用が可能かを研究

また、CBDC(中央銀行デジタル通貨)についても触れた。那須氏は、CBDCについて、各国の中央銀行が何かしらのステートメントを出しており、この分野では大きく分けてふたつの研究が進んでいると指摘。ひとつは「ホールセールCBDC」で、これは金融機関間等の巨額な決済のためのCBDCにあたる。日本でいうと全銀システムになるが、これらはすでにデジタル化されており、取引が大きいため手数料もまた巨額になることも多い。これらをブロックチェーン化することでコストを大幅に削減できないか研究が行われているという。

もうひとつは「ディテールCBDC」で、一般決済CBDCとして日常の決済に使われるものとして研究されているという。那須氏は、併せて各国の取り組みなど現状のCBDCについて紹介した。LINE Blockchainのメインネットに関して、これらのCBDCに対して応用が可能かを研究しているという。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

開発者向けコミュニティの形成を目指す

今回のLINE Blockchain Developers Meetupは、開発を支援する場、情報交換ができる場として、開発者のコミュニティになればという思いで開催をしたという那須氏。今後、さらにMeetupを続け、様々なサービスの紹介やその成果について共有できる場にしていきたいという。

なぜLINE Blockchainなのかという点について同氏は、LINEのユーザーベースを基盤としたエンドユーザーに提供できることがメリットとして挙げた。また、使いやすさは、ユーザーと開発者の両者に必要な要素で、LINEはそれを目指していることも強調し、重要なポイントであるとしている。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

また那須氏は、LINEが用意したLINKリワードプログラムについて、サービスを活性化する手段として利用してもらえれば幸いであると述べた。今後は、ブロックチェーン技術が表に出ず、サービスやプロダクトが表に出るようなことになったらよいなと語った。そして、今年2020年は、ブロックチェーンサービスが普及するための土壌が作れたとし、LINE Blockchain Developers Meetupの幕は閉じた。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:BITMAX Walletブロックチェーン(用語)LINE(企業・サービス)LINE BlockchainLINE Blockchain Developers(製品・サービス)日本(国・地域)

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」提供開始

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」公開

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は8月26日、ブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」、デジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」の提供開始を発表した。

LINEは、ブロックチェーンは非常に大きな可能性を秘めた新技術ではあるものの、構築と展開に伴うコストと複雑さなどが障壁となり、まだまだ実用化・一般化には至っていないと考えているという。これまでLINEが培ってきたブロックチェーン技術を外部に展開しブロックチェーンの普及を目指すべく、LINE Blockchain DevelopersとBITMAX Walletを提供するとしている。

LINE Blockchain Developersは、「LINE Blockchain」を基盤にブロックチェーンサービスを簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム。既存サービスに手軽にブロックチェーン技術を導入可能で、独自のトークンエコノミーを構築できるという。

BITMAX Walletは、ブロックチェーンサービス内のトークンやアイテムなどのデジタルアセットをまとめて管理可能で、ユーザーはひとつのウォレットで様々なブロックチェーンサービスを利用できる。またBITMAX Walletは、LINE IDさえ持っていればすぐに作成可能。LINE IDに紐づいており、ユーザーはLINEの友だちと手軽にデジタルアセットを送り合ったり、交換することも可能。

LINEがブロックチェーンサービス開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」公開

LINE Blockchainの開発環境としては、LINEの開発者向けポータルサイト「LINE Developers」を通じたウェブベースの開発者用コンソールを採用。これにより企業および開発者は、ブロックチェーンやセキュリティなどの技術的な問題ではなく、UXの向上などに集中できるためサービスの品質向上が期待できるとしている。

企業は、LINE Blockchain Developersの主な機能を活用することで、独自トークン発行、キャラクター・アイテムおよび通貨などゲーム内資産のトークン化、取引履歴の透明性、データの収益化などを実現できる。LINE Blockchain Developersで開発したサービス内のトークンやアイテムのトランザクションは、「LINE Blockchain Explorer」(旧名:LINK SCAN)で確認可能。

  • 「LINE Blockchain Developers」コンソールを利用し、独自のトークンエコノミーを構築可能。サービスイン前に、テストネットでトークン発行しテストすることも可能
  • 有形無形を問わず、様々な物や権利をトークン化し、ブロックチェーンサービスで管理可能(各種法令を遵守する必要がある)
  • プライベートキーを使用することで、ブロックチェーン資産を各サービスで安全に管理可能
  • スマートコントラクトに関する知識がなくとも、各サービスをブロックチェーンと連携可能なRESTful APIを提供
  • 「LINE Blockchain Developers」で構築したネットワークは、各ノードを個別に管理する必要はない。オープンAPIを利用して、ネットワーク全体を管理できる
  • 「LINE Blockchain Developers」で構築した各サービス内で発行したトークンは、LINE IDと紐づく「BITMAX Wallet」で管理・連携させることで、LINEユーザー基盤を活かしたサービスの構築や一部導入も可能

LINEは、2018年4月に「LINE Blockchain Lab」を設立。ブロックチェーン技術を応用したdApp(ブロックチェーンアプリ)の開発や、P2Pネットワークによる分散システムや暗号化技術の研究を行ってきた。

独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(旧名:LINK Chain)を開発。これを基盤とする独自暗号資産「LINK」の発行や、暗号資産取引サービス「BITMAX」「BITFRONT」の運営、またLINE Blockchain基盤のエコシステムを構築し、サービス提供者とユーザーの共創関係の構築を目指すトークンエコノミー構想「LINEトークンエコノミー」など、グループ全体で様々なブロックチェーン関連の事業を進めているという。

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