YouTuber支援プラットフォームのBitStarがTBS、ABCから資金調達——マスとネットの協業進める

インフルエンサーと企業をつなぐプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastは10月2日、TBSイノベーション・パートナーズABCドリームベンチャーズが運営する各ファンドから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、関係者によると数千万円程度の模様。また同社はあわせて、社名をBitStarに変更することを発表している。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。今回の資金調達はシリーズBの追加調達に当たるという。

同社は、インフルエンサー支援プラットフォームのBitStarを手がけるほか、“マスメディアとデジタルの融合”をコンセプトとしたYouTuberプロダクション「E-DGE」を2017年7月に立ち上げ、所属YouTuberのマネジメントとコンテンツ制作を行っている。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「テレビはまだまだ主力メディアだ。プロダクション事業を拡大するに当たっては、所属するYouTuberを有名にすることが重要。メジャーなメディアであるテレビに、タレントを露出する場を用意することも、今回の資金調達の目的のひとつだ」と言う。

渡邉氏はテレビ局と組むことによるメリットを「番組宣伝へのYouTuberの出演、YouTuberを起用した広告宣伝、インフルエンサーが出演する番組を作れること」と説明する。「若者のテレビ離れと言われる中、テレビ局は若者を呼びたいし、広告も売りたい。そこでインフルエンサー出演番組を制作し、広告商品も一緒に企画するなど、(お互いに)自社だけではできない協業を進めたい、ということで今回の資本提携に至った」(渡邉氏)

「テレビ広告は、広告業界6兆円のうちの2兆円を占める。我々は、インフルエンサーのキャスティング、アサインからコンテンツ制作、広告販売まで一気通貫でできるところが強み。広告の共同商品開発をはじめ、TBS、ABCの2局と協業の仕組みを確立したい」(渡邉氏)

実はBitStarでは、9月27日にE-DGE所属のYouTuberが、10月4日深夜から放送されるテレビ東京のエンターテイメント番組「エンタX」にレギュラー出演することを発表している。番組MCには“ピコ太郎のプロデューサー”こと古坂大魔王氏らが起用され、毎週のゲストにマックスむらい氏ほか、E-DGE所属外も含めた大物YouTuberが出演する。BitStarはこの番組への取り組みでも、テレビ広告の共同販売を視野に入れているという。渡邉氏は「YouTuber番組をやりたかったテレビ局とスポンサー、そして我々の三者の意向が合致した。E-DGEの目指す“マスとデジタルの融合”を実現し、露出の場を作ってあげることができた」と話している。

渡邉氏はさらに「インフルエンサーのメディアへの露出も支援していくが、マスメディアがネットへ進出したい、という動きも支援したい」と語っている。「テレビだけでなく、出版やラジオなども含め、YouTubeでチャンネルを持ったり、ネットで番組を公開したりしたい、というメディアとの連携も進めていきたい」(渡邉氏)

YouTuber支援プラットフォーム「BitStar」運営が3億円を資金調達——JTBとの協業で海外進出も

YouTuberをはじめとした、発信力のある個人がコンテンツをどんどん公開するようになる中、日本でもインフルエンサーマーケティングのプラットフォームやサービスを提供して、インフルエンサーを支援する動きが活発になっている。5月には集英社がインフルエンサーマーケティング事業への参入を発表しているし、6月7日にはCandeeがインフルエンサーが商品を動画で紹介するライブコマースに参入、アプリの提供を開始したばかりだ。

こうしたインフルエンサーマーケティングのプラットフォームのひとつ「BitStar」を運営するBizcastは6月19日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とする3億円の第三者割当増資の実施を発表した。また資金調達に伴い、グローバル・ブレインのパートナー、深山和彦氏が社外取締役に就任する。

Bizcastは2014年7月の設立。動画広告での収益化を図りたいYouTuberと、動画プロモーションをしたい企業とをマッチングするサービスとして、BitStarベータ版を公開したのは2015年9月のことだ。Bizcastは、シードラウンドではEast Venturesから資金を調達、2016年8月のシリーズAラウンドではコロプラから資金を調達している。

BitStarがインフルエンサーに提供するのは、企業とのマッチングを行う広告代理店機能、インフルエンサーが活躍するためのプロダクション機能、そしてコンテンツ制作を進めるメディア機能だ。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏は「我々の狙うマーケットは芸能プロで1兆円、広告業界で6兆円、コンテンツ産業は12兆円ととても大きく、しかしアナログな世界だ。BitStarは、インフルエンサーの発掘、育成、マネタイズを支えるテクノロジーが強み」と話す。

具体的に用意されているシステムには、インフルエンサー発掘では、YouTuberやInstagrammerなど成長しているインフルエンサーを自動検知してスカウトできるクローリングシステム、マネタイズ支援では、大量の企業からのオファーを効率的に実施するマッチングプラットフォームがある。また育成支援ツールとして、YouTubeチャンネルをデータに基づいて分析し、配信方法を最適化するシステムを開発中とのことだ。

これらITを活用する一方で「(タレント)インキュベーターとして、元AKBやKPOPタレントのマネジメントに携わった人材なども抱えている」と渡邉氏は言う。「テクノロジーと人の力で、さらにこの市場での成長を加速させていきたい」(渡邉氏)

BitStarでは、著名なスターインフルエンサーだけでなく、ロングテールでコンテンツを提供するインフルエンサーも押さえている。YouTuberの登録は無料とし、マッチングシステムや広告案件の提供のほか、ファンレターの住所貸しや確定申告の支援などのサービスをアラカルト式に提供している。MCN(マルチチャンネルネットワーク)やタレント事務所に所属していないYouTuberの登録も多く、YouTubeチャンネルの購読者が1000人以上のインフルエンサーが1500人以上登録し、フォロワーは延べ8000万人に到達。国内では最大級のインフルエンサーネットワークとなっているという。

YouTuberによる動画配信実績は1000本超。クライアントにはDMM.comやミクシィ、ディー・エヌ・エー、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスといったゲームのプラットフォーマーやメーカーに加え、銀座コージーコーナー、デニーズ、リクルート、ユニチャーム、エステー化学など、さまざまな業種の大手企業の名が挙がっている。

今回の資金調達によりBizcastでは、マスメディアやプロダクションとの連携により、さらにプロダクション事業、メディア事業を強化していく考えだ。また、新たなプロダクトの開発と海外展開のための投資も進めるとしている。

特に海外展開については、今回の出資ファンドに戦略的LPとして参加しているジェイティービー(JTB)とそのグループ会社とも協業を進めるとのこと。既に国内では旅行商品「エースJTB」のプロモーションにBitStar登録のインフルエンサーが採用されているそうで、今後さらに観光インバウンド領域などで、日本企業の海外プロモーション支援を協業で進めていくという。

写真左から:グローバル・ブレイン パートナーの深山和彦氏、代表取締役社長の百合本安彦氏、Bizcast代表取締役の渡邉拓氏、COOの原田直氏、CTOの山下雄太氏

YouTuberと企業を結ぶプラットフォーム「BitStar」、運営のBizcastがコロプラから資金調達——海外展開も視野に

Googleの積極的なプロモーションもあって、言葉としても定着した感のある「YouTuber」。そのYouTuberとクライアントとなる企業を繋ぐマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastが8月1日、コロプラを引受先としたシリーズAの第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、関係者の話によると億単位の調達だと見られる。

BitStarは2015年9月のリリース。YouTuberをインフルエンサーにして商品のマーケティングを行いたいクライアント企業と、動画広告での収益化を図りたいYouTuberをマッチングするプラットフォームだ。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していない、事務所無所属のYouTuberの登録が中心となっている。

UUUMやiCON CASTなどYouTuberと企業を結び付けるサービスはほかにもある。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏いわく(1)3200万チャンネル登録者とインフルエンサーのネットワーク規模が大きい、かつジャンルも多岐にわたること、(2)YouTuberとともに最適な企画を作るほか、機材貸与やファン向け施策の支援なども実施した「YouTuber寄り」な運営をしていること、(3)YouTuberごとのクリック単価や再生回数、再生数ベースの効果分析など、企業向けに効果測定のレポーティングを充実させていること——の3点がBitStarの特長だという。

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同社は7月で第3期目を迎えたが、1期から2期での売上は10倍以上(売上の金額は非公開だが、動画の単価は数万円から1000万円以上、数百万円規模が中心)に成長しているそう。クライアントは大手企業が中心で、たとえばゲームだとスクウェア・エニックスやフジテレビジョン、アプリならペロリ(MERY運営)、美容ならアルビオン、ユニチャームなどの名前が挙がる。例えば競馬好きのYouTuberが競馬ゲームの紹介とあわせて馬券を購入、実際に120万円の馬券を当てて話題になった動画などがあるそうだが、この動画を通じて約5000件のアプリダウンロードが発生。CPI(インストール単価)数十円という好調な結果を得た事例などがあるという。

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Bizcastは今回の調達をもとに新商品開発やシステム開発強化、人材拡充を含めた経営基盤の強化を進めるとしている。渡邉氏いわく、いわゆるタレントマネジメント業までは行わないものの、システムや制度面で事務所無所属のYouTuber向けの支援施策も強化するという。クライアント企業に対しては、戦略立案から企画、調査、実行、効果測定までをサポートできる体制を拡充するとしている。

また今後はアジア圏を中心にしたビジネスの拡大を進める。具体的には、国内企業のアジア向け施策のマーケティング・プロモーション支援や現地企業と現地YouTuberのマッチングなど。これに向け、グローバル戦略向けの人員体制も強化する予定だ。加えて、YouTuber以外のプラットフォームでのインフルエンサー獲得についても検討しているという。同社では今期目標について「売上で前期比5〜10倍を目指す」(渡邉氏)としている。