仕事にも運動にも最適なJabraのElite Active 75tワイヤレスイヤフォン

ここ数年の技術の進歩により、ほとんどの完全ワイヤレスイヤフォンは、以前よりかなり良いものになってきている。そのため、この分野では、ライバル間の差がかなり縮まってきているようにも思われる。とはいえ、何社かが抜きん出ているのも確かだ。そしてJabraは最新の完全ワイヤレスイヤフォンElite Active 75tによって、一歩進んだパフォーマンスを提供する。

概要

JabraのElite Active 75tは、非常に人気の高い同65tシリーズの後継モデルだ。名前に「Active」が含まれていることからもわかるように、特にエクササイズ中の使用を意識して、耐湿性を強化している。価格は199.99ドル(日本では税抜き2万1800円)で、どちらかというと高価な部類に属する。ただし、IP57の防水性と耐汗性を備えていることを考えれば、このカテゴリの同等の製品の多くと比べて、ずっと手頃な価格といえるだろう。

Elite Active 75tは、1回の充電で7.5時間使えるバッテリー寿命を誇っている。コンパクトな充電ケースはバックアップ用の電源として機能し、本体とケース、それぞれ1回の充電で最長28時間の合計使用時間を実現する。このケースには、USB-C経由で充電できる。またわずか15分の充電で、60分間の使用が可能な急速充電機能も備えている。

アクティブなノイキャン機能は実現していないが、パッシブなノイズブロック機能と、調整可能なパススルーモードを備えている。それによって、周囲の音をどれだけ取り込むかを調整できる。これはランニングや他の運動の際に、安全を確保するのにかなり有効だ。

Bluetooth 5.0を採用して、低消費電力と接続距離の延長を両立している。片側のイヤフォンを耳から外すと自動的に再生を一時停止し、付けると再開する。また、4マイクアレイによって、高品質の通話音声を実現している。

デザイン

Elite Active 75tは、デザイン面でも多くの特徴を備えている。前任機の65tは、インイヤータイプとして、市販品の中で最もコンパクトでかさばらないイヤフォンだった。この75tはさらに小さくなり、非常に軽量で快適に使用できる。巧みな形状により、ランニングや運動中にずれ落ちたりすることもない。私がテストした際には、屋外を30分ほど走る間、押し込み直したりする必要は一度もなかった。

これだけ快適なら、運動中はもちろん一日中デスクワークをする際に使うのにも適している。実際に使ってみると、7.5時間というバッテリー寿命も、決して誇張ではなかった。その点も、平日の仕事用に適している理由だ。

JabraがElite Active 75tに盛り込んだもう1つの重要なデザイン的特徴は、両方のイヤフォンに大きな物理ボタンを設けたこと。これは、他の多くのイヤフォンに見られるタッチ式のコントロールよりもはるかに優れていて使いやすい。イヤフォンでのさまざまな操作も、かなり憶えやすい。

デザインについてもう1つ付け加えれば、Elite Active 75tに付属する充電ケースも、市販品の中でもっともスリムにまとめられている。マッチ箱を2つ重ねたほどの大きさしかない。小さなポケットにも余裕で入る。イヤフォン本体と同様に、ケースの外側も薄くにゴム引きされたような仕上げになっている。これにより滑りにくくなるが、写真を見てもわかるように汚れが付きやすい。とはいえ、製品写真を撮影するような場合を除けば、それほど気になることはないはずだ。

ケース内部のデザインも優れている。イヤフォンを収納するくぼみの部分には、マグネットを内蔵しているため、ケースに収納する際に簡単に正しい位置に収めることができる。これによって確実に充電できる。こうした点も含めて、よく考えられたユーザー体験を実現しているといえる。

パフォーマンス

Jabra Elite Active 75tが、すでにユーザーの間で高い人気を得ている理由は明白だ。何よりも、豊かで心地よい音質を実現している。しかも、Jabra Sound+という専用モバイルアプリを使って、簡単に音質を調整できる。特に運動中に使用することを考慮して設計されたイヤフォンとしては、卓越した音質を実現している。

バッテリー寿命についても、カタログスペックどおりだ。1回の充電で利用できる時間も、このクラスではトップレベル。すでに述べたように、屋外での長時間の運動にも、デスクワークに一日中使い続ける場合にも、これは大きなメリットとなる。内蔵マイクの音質は通話相手にとってクリアで、聞き取りやすいようだ。私がテストした範囲では、内蔵のノイズ低減機能もかなりうまく機能する。

私にとっては、フィット感もすばらしい。Jabraはイヤフォンをあるべき位置に固定する方法をよく心得ているのだろう。どんなに動き回ったり、汗をかいたりしてもびくともしない。運動中にワイヤレスイヤフォンを耳に押し込み直したり、付け直したりする必要をまったく感じさせないのは、本当に新鮮な体験だった。

結論

ますます競争が激しくなるワイヤレスイヤフォン市場において、Jabraはずっと優れた仕事をしてきた。そしてこのElite Active 75tの成功も間違いないだろう。サイズ、快適性、バッテリー寿命とどの点においても他を寄せつけない。さらに、優れた音質と優れた通話品質を誇っている。フルワイヤレスのイヤフォンの音質をもっと向上させる方法はあるが、通常それにはかなりのコストがかかり、往々にして他の利点のいくつかを犠牲にすることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

数百名の学者たちがプライバシーに配慮したコロナウイルス接触者追跡を支持

世界中の何百名もの学者たちが、コロナウイルスの広がりを理解するための接触者追跡システム(contact tracing systems)がプライバシーを重視することを歓迎している。

300名近くの学者が署名し、月曜日(米国時間4/20)に公開された書簡が、自分などがCOVID-19感染者と接触したかを知るためのオプトインで非集権的な方法を共同開発するという、最近のAppleとGoogleの発表を賞賛している。

学者たちによると、その接触追跡アプリは、Bluetoothによる追跡を自動的に行い、位置データを集めて中央的な場所に保存するアプリに比べて、はるかにプライバシーをしっかり保護する。

書簡はこう言っている: 「接触追跡はよく理解されている疫病対策ツールだが、従来は手作業でやっていた。スマートフォンの接触追跡アプリは、状況によっては手作業による接触追跡よりも効果的だ。しかしその効果性に対しては異論もある。まず、その実装はユーザーのプライバシーを護るものでなければならない。そのことが、他の多くの問題の対策にもなる。たとえば、そんなアプリを利用して、望まざる差別や監視が行われがちだ」。

この学者たちからの推奨は、いちばん重要なタイミングでやってきた。個人のコロナウイルスへの接触を追跡する方法は、いろいろある。しかし非集権的なシステムは追跡データを一箇所に置かないから、プライバシー保護が優れている。しかし学者たちによると、データの集権的中央的な保存は「人びとに関する情報の侵害的な再構築を許すから、議論の余地なく排除すべきだ」、という。そしてそれは、「外部からの検査が可能でプライバシーの保護ができる設計になってなければならない」。

さらにまた、「現在の危機を口実に、人びとのデータを大量に集められるツールを作ってはならない。今だけでなく、今後においても」。

この書簡の数日前には、この同じ学術グループが、PEPP-PTと呼ばれる同様の接触追跡プロジェクトのサポートを取り下げた。このツールは、詳細が不詳の7つの国が使用している。そのうちの2か国、スペインとスイスは、非集権的な接触追跡ソリューションを求めていた。しかし、蓋を開けてみるとPEPP-PTは、プロトコルが独自規格の集権的中央的なもので、そのプロジェクトに関わった一部の学者も、オープンでないし透明性を欠くとして、プライバシーを重視するDP-3TプロトコルやAppleとGoogleのクロスプラットホームなソリューションの方をサポートするようになった。

この書簡に署名した学者の一人であるサリー大学のAlan Woodward氏はTechCrunchに、書簡は学術世界のコミュニティが「正しいやり方」と信ずるものを示している、と語った。

「これまで、この世界でこんなものを見たことがない」、とWoodward氏は語る。「わずかな人たちでなく、多くの人が懸念していることの表れだ。やり直しは困難だから、政府もこの声をよく聴いてから対策に着手してほしい」、とも。

関連記事: 新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

接触者追跡とはどのようなものか?

コロナウィルスの蔓延を遅らせるために私たちが使える最良のツールの1つは、既に耳にしたことはあると思うが、接触者追跡(contact tracing)だ。しかし、接触者追跡とは正確には何であり、誰がどのようにして行うものなのだろうか、そしてそれについて心配する必要はあるのだろうか?

手短に言うなら、接触者追跡とは、潜在的な接触可能性に基いて他の人よりもリスクの高い人を予防的に発見し、可能であれば通知し、もし必要ならば隔離することによって、ウィルスの蔓延防止に役立てようとするものだ。これは実証済みの技術であり、スマートフォンはそれをさらに効果的にするのに役立つ ―— ただし、プライバシーおよびその他の懸念を払拭できる場合に限るのだが。

接触者追跡は人間の記憶に頼るものから機械の記憶へと移行

医療システムが伝染病の性質の理解を深める中で、これまでも接触者追跡は何らかの形で行われてきた。感染症と診断された人は、その人から感染した可能性のある人を特定するために、あるいはその人自身が感染した場所を特定するために、過去数週間に誰と接触したかを尋ねられる。

しかしごく最近まで、この手続きは非常にストレスの高い状況に置かれてしまった人が思い出す記憶に大きく依存してきた。そもそも当人はそのような状況に置かれるまでは、おそらく自身の動きや他人とのやり取りに特別な注意を払っていなかった筈なのだ。

この結果、接触者のリストは役に立つことは間違いないものの、完璧からは程遠いものとなる。そうした人びとが追跡できて、さらにその先の接触者も同様に追跡できれば、綿棒の1本も血液の1滴も使うことなく、感染可能性のネットワークを構築できるようになり、命を救ったり、重要な資源をより適切に割り当てることができるようになる。

新型コロナウイルス 関連アップデート
現代のテクノロジーなどを動員することで、今はすべてが変わったと思っているかもしれないが、実際のところ、現在病院で行われている接触者追跡はほとんどすべてが人間の記憶に頼るものだ。100年前から使っているものと変わりはない。

確かに、過去10年の間に私たちの周りに組み立てられた巨大なデジタル監視装置は、この種の接触者追跡を簡単に達成できるようになっているように思えるが、実際には、クリックしたり購入したりする可能性のあるものを追跡する用途以外には、びっくりするくらい役に立たないのだ。

都市全体に広がる多数のカメラとソーシャルメディアによって暗黙的に収集された位置データから、感染したひとの1週間の動きをつなぎ合わせることができたら、それは役に立つかもしれないが、そうしたシステムが悪用される可能性を考えると、それがそれほど簡単に実現できないことには感謝しなければならないだろう。他の、それほど悲惨ではない状況下でも、デジタルレコードから人物の正確な動きや接触を追跡する機能は、よくても不気味な存在であり、おそらくは犯罪的な匂いがする。

しかし、悪辣なデータ収集者があなたの動きや興味を利用して、あなたの知識や同意なしに広告であなたをターゲットにする場合と、世界的なパンデミックの流れを変えるために、日常的テクノロジーの中で禁じられていた機能を、人びと自身が情報を得た上で限定的な方法で利用することを選択する場合とでは、全く事情が異なる。そして、それこそが、現代のデジタル接触者追跡が目的とするものだ。

Bluetoothビーコン

現代のすべての携帯電話は、無線電波を使用して、携帯基地局、Wi-Fiルーター、そして他の電話と、お互いにデータを交換する。これらの送信だけでは、誰かがどこにいるのか、または誰が近くにいるのかを知るにはあまり良い方法とは言えない。Wi-Fi信号が確実に伝わるのは30から60メートルほどで、携帯の電波の場合は数キロほどだ。その一方、Bluetoothは設計上短距離(良好な受信が可能なのは約10メートル)であることが想定されていて、信号が急速に減衰するため、遠くからの迷子の接続を捕捉する可能性は低い。

私たちは皆、ワイヤレスイヤフォンが電話から音楽を受信するためにBluetoothを使っていることを知っているが、実際その用途は非常に大きな部分を占めている。しかし設計上、Bluetoothは常に、他のBluetooth対応デバイスを探して接触を試みている。このことによって、車はあなたが乗車したことを認識したり、スマートフォンは近くのスマートホームデバイスを検出できたりするのだ。

Bluetoothチップはまた、近くを通る他の電話やデバイスと、あなたが知らないうちに簡単な交信を行っている。そして相手が認識されない場合には、それぞれのメモリからできるだけ早くお互いを削除する。しかし、もし削除が行われなかったとしたらどうだろう?

世界中でテストされ展開されているタイプの接触者追跡機能は、現在、あなたの携帯電話がすでに、常時送受信しているものと非常によく似たBluetooth信号を使用している。違いは、接触した他のデバイスを、自動的に忘れないということだけだ。

システムが正常に機能していると仮定すると、ある人が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で病院に来たときに行われることは、基本的には手作業による接触者追跡のデジタル強化バージョンだ。人間の間違う可能性のある記憶を照会する代わりに、はるかに信頼性の高い電話の記録が照会される。それは最近接続できるほど十分に近づいた他の携帯電話を忠実に記録しているからだ(後で説明するように匿名で)。

それらのデバイス(そして、それがデバイスであって、人間ではないことに注意することが重要だが)は、現在COVID-19と診断された人の近くに最近いたことを、数秒以内に警告されることになる。受け取る警告には、影響を受けた人物が次に何ができるかに関する情報が含まれている。たとえば、アプリをダウンロードする、スクリーニングのために電話をかける、あるいは検査のために近くの場所を見つけるといった情報だ。

こうした接触者追跡手段は、その容易さ、迅速さ、および包括性によって、ウイルスの蔓延を阻止するのに役立つ優れた機会を与えてくれる。だとしたら、私たちは何故既にそれを利用していないのだろう?

成功と潜在的な不安

実際、上記の方法(またはそれに非常によく似た方法)を使用したデジタル接触者追跡は、米国やヨーロッパよりも早々とウィルスの攻撃を受けた東アジアで多数のユーザー相手に実装されていて、明らかに良い効果を見せている

シンガポールでは、TraceTogetherという名前のアプリが、政府によって接触者追跡の公式手段として推奨されている。韓国では、診断が下されたことがわかっている人々を追跡するための、いくつかのアプリが自発的に採用された。台湾は、高度に集中化されたヘルスケアシステムのデータを、数年前のSARSの発生中に稼働を始めた接触者追跡システムと突き合わせることができた。また中国本土では、WeChatやAlipayなどの普及率が極めて高いサービスを通じて、さまざまな追跡手順が実装されている。

関連記事:Outrunning COVID-19 twice

これらのプログラムはまだ進行中で、その有効性について結論を出すのは時期尚早だが、少なくとも伝わってくる話によれば、対応を改善しウイルスの拡散を制限することができたように思われる。

しかし、東アジアは米国とは非常に異なる場所だ。無数の理由から、台湾のシナリオをそのままここに(またはヨーロッパやアフリカなどに)適用することはできない。また、政府や民間企業の意図に懐疑的な人々にこの種の追跡に応じてもらうためには、プライバシーやセキュリティなどへ対する、もっともな疑問に対して答えを出しておく必要がある。

現在、米国ではいくつかの取り組みが行われている。現在のところ最大のものは、競合同士であるAppleとGoogleのコラボレーションだ。両社は携帯電話のオペレーティングシステムに追加できる、クロスプラットフォームの接触者追跡方法を提案している。

彼らが提案したシステムは、上記のようにBluetoothを使用するものだが、重要な点はそれを個人の身元と紐付けることはないということだ。携帯電話には独自に一時的なID番号が与えられ、他のデバイスと接触した際に、その番号が交換される。これらのID番号のリストは収集されてローカルに保存され、クラウドなどとは同期されない。そして、番号自身も頻繁に変化するため、どの番号もデバイスまたは場所に紐付けることはできない。

もしある人がウィルスに感染していると診断された場合、そしてそのときのみに、(人ではなく)病院が、接触者追跡アプリをアクティブ化することを許され、アプリがその患者の携帯電話に保存されているすべてのID番号に、通知を送信する。通知には、COVID-19と診断された人の近くに最近いたことが示される。繰り返すが、これは電話によって生成されたID番号であり、個人情報には関連付けられていない。前述のように、通知を受けた人びとは、妥当と思われる行動をとることができる。

MITも非常によく似たやり方で機能するシステムを開発しており、一部の州では居住者の間で推奨を始めたと伝えられている。

当然のことながら、この単純で分散化された、一見安全なシステムにも欠点がある、Markupのこの記事が良いまとめを提供しているので、以下にそれらを更に要約して示すことにする。

  • それはオプトイン方式である。 もちろん、これは長所でもあり短所でもあるが、多くの人が参加しないことを選択する可能性もあることを意味し、最近の接触リストの包括性を制限してしまうかもしれない。
  • 悪意のある干渉に対して脆弱である。 特にBluetoothは安全ではない。つまり、充分に能力のある攻撃者がいる場合、このやり方を悪用できる方法が複数有りえることを意味している。たとえば、Bluetooth信号を収集して模倣したり、市内を走り回ってその携帯電話を多数の携帯電話に「接触」させることができる。
  • 偽陽性や偽陰性につながる可能性がある。 プライバシーを維持するために、他者に送信される通知には最小限の情報しか含まれていないため、彼らはいつ、どのようにして接触したのか疑問に思うことになる。「4日前にこの人の隣に5分間ほど立った」とか、「ブロードウェイでこの人のそばをジョギングして走り抜けた」といった詳細は与えられないからだ。詳細が与えられないことで、人びとがパニックに陥って理由もなくERに駆け込んだり、警告を完全に無視したりする可能性がある。
  • 匿名性はかなり高いが、真に匿名なものはない。 システムは最小限のデータで動作するように見えるが、誰かがそれを手に入れれば、そのデータは依然として悪意のある目的に使用される可能性がある。大量のデータの非匿名化は、事実上現在データサイエンスの研究対象領域であり、こうした記録は、どれほど匿名のように見えたとしても、他のデータと相互参照して感染者を浮かび上がらせたり、プライバシーを侵害させたりする可能性がある。
  • データがどう扱われるかが明確ではない。 このデータは後に保健当局に提供されるのだろうか?広告主に販売されるのだろうか?研究者はそれにアクセスできるのだろうか、またどのように吟味されるのだろうか?このような質問には、十分に答えることはできるものの、現時点では少々謎が残されている。

接触者追跡は、コロナウィルスの蔓延を抑制するための取り組みの重要な部分である。自分の住む地域でどのような手段やプラットフォームが採用されるにせよ(おそらく州ごと、そしてひょっとすると都市ごとに違うやり方になるかもしれないが)、その効果を最大限に発揮させるためには、できるだけ多くの人が参加することが重要だ。

もちろんリスクはあるが、そのリスクは比較的軽微であり、対する利点はそうしたリスクを桁違いに上回るように見える。オプトインすべき時が来たときに、それを行う決断をすべきなのは、コミュニティ全体への配慮からだ。

画像クレジット: Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:sako)

iPad Proのようなデザインの新iPhoneをアップルが準備中との報道

AppleはiPhone 11 Proに代わる新型のiPhone、そしてiPhone 11の新モデル、小型のHomePodと位置追跡タグを2020年秋発表する準備を進めているようだ。Bloombergが報じている。最上位スマホiPhone 11 Proの後継モデルは少なくともiPad Proに近いデザインとなりそうだ。現在の丸いエッジではなく、スクリーンとサイドはフラットで、Appleが3月に発表した最新iPad Proで導入した3D LIDARセンサーシステムも搭載する。

新iPhoneは「フラットなステンレススティールのエッジ」でiPhone 5のようなデザインとなり、大きいバージョンのスクリーンはiPhone 11 Pro Maxの6.5インチよりもわずかに大きくなる見込みだという。また、ディスプレイ最上部にあるフロントカメラ配置している「ノッチ」を小さくするかもしれない、ともしている。

一方、リアカメラに搭載さたLIDARトラッキングシステムではプロセッサーのスピードやパフォーマンスの改善が図られており、AR性能が大幅に向上しそうだ。Bloombergによると、プロセッサーの改善はAI性能のアップも意図しているとのことだ。

秋のローンチと発売を計画されている段階だが、現在の新型コロナウイルスパンデミックによる混乱で、一部は「通常より数週間後ろ倒しで」提供されることになるかもしれない、とのことだ。

その他の製品に関するアップデートは、新しいHomePodは現行モデルより50%小型で、2020年後半の発売が見込まれている。価格的には安価になり、新HomePodリリース時にはSiriの性能も向上し、Apple以外のストリーミングサービスもサポートするとBloombergの記事にはある。その他にはApple Tagがある。これはAppleが先日、意図せずその存在を明らかにしたもので、TileのようなBluetooth位置追跡アクセサリーだ。これも2020年発売されるかもしれないという。

さらに記事ではMacBook Pro、Apple TV、低価格のiPadとiMacのアップデートも準備中と言及している。Appleのハードウェアアップデートのサイクルを考えれば、驚くべきことではない。それらのリリースについて予定はなく、新型コロナウイルス(COVID-19)がこうした計画にどのように影響を及ぼすか、はわかっていない。

画像クレジット:Qi Heng / VCG / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ずっと家にいる今だからこそ真価を発揮するCubii Proで室内ペダリング中

こんなことになってしまって、もう1週間半もアパートの外に出ていない。YouTubeヨガは一種の恩人のようになっていて、ほとんど使っていなかった30ポンド(約13.6kg)のケトルベル(筋力トレーニング用の器具)は部屋に転がっていた。だが、私のApple Watchは、ほとんど手つかずだった。エクササイズの時間とステップ数が、悲惨なほど不足しているという厳しい現実は、他の何よりも深刻な状況にある。

さて正直なところ、最初に友人がこの机の下におく楕円物体を勧めてきたとき、私は少し馬鹿にしていた。だがその頃は今よりもましな、対人距離を保ちながら自転車でその辺をひと回り走ることができた時代のことだ。しかし、今では医師の指示によって(いつかは感慨深く振り返ることにさえなるかもしれないが)ビルのロビーにある郵便受けから先に出ることができなくなってしまった。

ということで、今はCubii Proのレビューを書いているというわけだ。実のところ、これは新製品ではない。だが、今こそ真価を発揮するタイミングなのだ。通常であればこのプロダクトは、私たちが頻繁に警告を耳にしてきた長時間座っていることの危険性に対処するためにデザインされた、オフィス向けのちょっと間抜けな「フィットネス」用具のように思える。

しかし、2019年に取り沙汰されたように、もし座り続けることが「新しい喫煙習慣(体に悪い習慣という意味)」だというなら、自己検疫のご時世において、それが単に新しい現実として私たちに突きつけられているということだ。たとえ机と台所の間を歩いて往復するよりも多少ましなだけだとしても、機会をとらえてどこででもエクササイズは取り入れたい。Cubii製品のラインナップは、本格的な運動の代わりになるものでは決してないが、彼らは私たちが完全な萎縮の被害者に陥るのを防ぐために、果敢な努力をしている。

その名前が示すように、Proは2016年にKickstarterキャンペーンを通じて発売された標準的なCubiiの上位版だ。349ドル(約3万8000円)という価格はそれなりの投資額だ。Pro版で行われた最大のアップグレードはBluetooth接続の追加である。Apple Healthなどのサードパーティ製の記録アプリと連携するために、iOSおよびAndroid用のアプリが用意されている。正直に言って、これまでApple Watchに入れ込んできた人にとっては、これはかなり良い買い物だ。

デバイスはほぼ完成した状態で出荷される。自分でペダルを取り付ければ完成だ。ネジ締めのためのドライバーも付属している。とても簡単だ。正直なところ、設置における最大の悩みは充電だ。Proは私が最初に予想していたよりもはるかに大きくて重く、microUSB経由で充電を行う。つまり、長いケーブルを持っていないなら、コンセントの近くに長時間置いておくための場所が必要なのだ。私の小さなアパートには床にコンセントがないので、工夫をする必要があった。

充電自体にも時間がかかる。もし可能なら、ひと晩かけて行うのがベストだ。とはいえ、良いニュースとしては、バッテリーはそれなりにもつということだ。数週間に一度の充電で十分だと思う。

サイズも、使用の観点から見たときの制約となる。長さがあるため、使用するには机を壁から少し引き離す必要があった。また、自分の膝を机の天板の底にぶつけないように、少し深く座る必要があった。まあ正直なところ、ソファに座りながらテレビを見ているときに使うのがおそらく最も良いだろう(机なしにこれでノートPCを使うことは流石に無理な相談だ)。もしオフィスのいすが私のいすのように回転式なら、さらに創造的なアイデアが湧くだろう。前述のケトルベルは、イスの脚の間に置かれているため、ペダリングをするたびについでにケトルベルを使う機会が増えた。

まあ、これらの些細なことはさておき、このプロダクトを結構楽しんで使っている。動きはスムーズで、Bluetooth接続は上手く機能する(ただしペダリングを始める前に、アプリを起動しておく必要がある)。そして飽きさせないように、8種類の負荷設定がある。このような状況でなければ、この種のプロダクトにこれほど多額の出費をするとは考えられなかったが、今は特別な時期だ。そして、ほぼ正常に戻った後でも、家を出るのに困難がある人にとってこのCubii Proは、はるかに高価な家庭用運動器具に代わる、しっかりしたアプリを備えたポータブルで優れたプロダクトとなるだろう。

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(翻訳:sako)

AppleとGoogleが新型コロナ感染チェック用モバイルアプリを共同開発、プライバシー保護も確約

AppleとGoogleは協力して個人が新型コロナウイルス(COVID-19)の感染リスクにさらされたかどうかをチェックできる分散型モニターツールを開発中だ。

濃厚接触を知らせるツールは、公衆衛生当局が新型コロナウイルスの感染を追跡し、人々に感染のリスクがあることを知らせて検査を受けるよう推奨することに役立つ。このアプリはBluetoothテクノロジーを利用し、新型コロナ感染者との接触を発見し、適切なフォローアップを送信する。

プロジェクトの最初のステップは、公衆衛生機関がそれぞれのアプリにこのツールを組み込むAPI の開発だ。次のステップではモバイルデバイスのOS、すわなちiOSおよびAndroid のレベルに機能を組み込み、ユーザーがオプトインするだけで別のアプリをインストールせずに接触追跡が可能がシステムが開発される。

このシステムは、デバイスに搭載されたBluetoothチップを使用し、短時間で変化する匿名化されたIDを発信する。 サーバーは過去14日間のIDについて他のデバイスのIDとの一致の有無を検索する。一致は2つのデバイス間の接触時間および距離をしきい値として判断を行う。

新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたユーザーとの接触があったと判断された場合、ユーザーには「感染テストを受け、その間自主隔離を行う」よう通知される。

位置情報を利用した接触追跡はプライバシーの侵害の懸念をめぐって議論を呼び起こしているものの、多数の公衆衛生機関や大学の研究組織が採用しているテクノロジーだ。例えばAppleの「探す(Find My)」にヒントを得たMITのBluetoothツールがそうした例の1つだ。「探す」は従来の「iPhoneを探す」などと異なり、プライバシーを強く意識しており、位置情報を利用した追跡ツールでありながらユーザー以外は個人情報を知りえない。AppleとGoogleはプライバシー問題の困難の解決にあたってMITなどの組織が支援を求めたと述べている。

【略】

開発は2段階

AppleとGoogleは2週間前にこの共同プロジェクトをスタートさせた。まずAPIの互換性を確保し、できるかぎり多数のユーザーが同一のアプリを利用できるようにするのが最初の目標だ。

4月10日の説明によれば、ユーザー同士の接近をモニターするAPIは5月中旬にiOSとAndroidに導入される予定だ。AppleとGoogleによれば、これは比較的シンプルなタスクで、既存または開発中のアプリに組み込むことも比較的簡単なはずだとと述べている。APIを使う場合、アプリはユーザーに対して位置の追跡機能にオプトインするよう求める(このシステムは全体としてオプトインベースだ)。これによりデバイスに付与される短時間で変化する匿名の識別子をBluetooth機能を利用してブロードキャストする。同種のアプリをインストールしているユーザーはこのブロードキャストを受信し、これによって、誰とどのような接触があったかが特定可能となる。

プロジェクトの次の段階は効率のアップだ。つまり位置追跡機能をモバイルOSそのものに組み込むことにより、個別アプリをダウンロードする必要をなくすのが目標となる。ユーザーはOSから機能にオプトインすればよい。第1段階の感染警告アプリも引き続きサポートされるが、OSへの組み込みはさらに広範囲のユーザーに対応できる。このレベルは数カ月以内に実現できるという。

【略】

アプリの動作例

このシステムがどのように動作するのか、ひとつの例を図示してみよう。

  1. アプリのユーザー2人が一定時間、例えば10分間近くにいたとする。ユーザーのデバイスはBluetooth無線により識別子(15分ごとに変化し匿名化されている)を交換する。
  2. その後、ユーザーの1人が新型コロナウイルスに感染していると診断された場合、感染者はAPIを組み込んだ公衆衛生当局のアプリに知らせる。
  3. システムは感染が診断されたユーザーから過去14日間の識別子(匿名)をシステムに送信することを許可するよう追加の同意を求めることができる。
  4. 公衆衛生アプリには(同意を得て)感染者の識別子をダウンロードすることができ、アプリは感染リスクを伴う接触があったかどうか判断する。
  5. 接触があったと判定された場合、アプリはユーザーに今後どうすべきかさらに情報を提供する。

プライバシーと透明性

Apple、Googleはともに「プライバシーと透明性が公衆衛生アプリにおいて最重要」だと述べ、 リリースされるアプリは今後とも決してプライバシーを侵害しないと確約している。この点は、以前からACLU(米国自由人権協会)が提起してきた問題だ。

【略】

しかしACLUはこのアプリに対しては慎重ながら楽観的な見方をしている。

ACLUの監視、サイバーセキュリティ担当弁護士、Jennifer Granick(ジェニファー・グラニック)氏は次のようにコメントしている。

「位置情報を利用するこの種の追跡アプリは無料かつ迅速な検査と各種医療への公平なアクセスが広く保証されないかぎり効果がない。 またユーザーがシステム(の匿名性)を信頼できなければやはり効果的ではない。AppleとGoogleが、プライバシーの悪質な侵害と中央集権化のリスクを軽減するであろうアプローチを発表したことは事実だ。 しかしまだ改善の余地がある。位置追跡アプリがオプトインであり匿名性を確保した分散型であることを確認するため我々は今後も厳しく監視を続ける。このような機能は現在のパンデミックの期間に限り、公衆衛生の確保の目的でのみ使用されるべきだ」。

【略】

感染チェックのためのはAPIについて、Googleの ブログ記事はこちら 、Appleのスペックなどへのリンクはこちら日本語版解説はこちら)。

ACLUからのコメントによりアップデート済み。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

MITがアップルの「探す」機能にヒントを得て新型コロナ接触者追跡システムを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止策のひとつとして、接触者の追跡がある。感染する機会があった人を保健当局が把握し、感染を広げる恐れがあるとその人に通知するものだ。接触者追跡は、感染拡大を抑えた世界の一部の地域では既に効果を上げているようだ。しかしプライバシー擁護派は、米国でこうしたシステムを実施することに大きな懸念を持っている。

プライバシーを守る接触者追跡システムの実施方法については、ヨーロッパの専門家グループによる分散方式など、多くの提言がある。米国では、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが自動で接触者を追跡する新しい方法を考案した。みんなのモバイルデバイスから発信されているBluetoothの信号を利用して、個人をまったく特定せずに、接触した人とランダムな数字を結びつける方法だ。

このシステムは、研究チームが「チャープ(『さえずり』の意)」と呼ぶランダムな数字をモバイルデバイスが常に発信することによって動作する。チャープはBluetoothで発信される。これが重要だ。ほとんどの人のデバイスでBluetoothが常にオンになっており、また短距離の無線通信プロトコルなので誰かのチャープを受信したらそれはその人が比較的近くにいたのが確かであるからだ。

新型コロナウイルス感染症の陽性であると診断されたら、その人は過去14日間(接触感染のおそれがあった期間)に自分のスマートフォンから発信されたすべてのチャープをアップロードする。アップロードされたチャープは陽性と診断されたケースのデータベースに保存され、他の人はそのデータベースを調べて自分のスマートフォンが陽性の人のチャープを受信しているかどうかを確認することができる。もし一致するチャープがあったら、そのスマートフォンの持ち主は感染のリスクがある。陽性の人と約12メートル以内に近づいたことがあるからだ。検査を受けるべきかどうか、あるいは推奨される2週間の自己隔離をするかどうかの目安になる。

MITのシステムは、米国自由人権協会(ACLU)などのプライバシー保護関連団体が詳しく論じている、接触者追跡にまつわるプライバシー関連の厄介な問題の多くを完全に回避している。MITのシステムは位置情報をまったく使用しないし、個人を特定する診断やその他の情報とも一切結びつけられない。ただ、完全に個人の裁量に任されているわけではなく、コンプライアンスの観点からのリスクはあるだろう。MITは、陽性と診断された人に保健当局の担当者がQRコードを発行し、そのQRコードを使ってチャープの履歴をデータベースにアップロードすることを想定しているからだ。

MITのシステムは、人々のスマートフォンにインストールされたアプリで動作する。この設計は、紛失したMacやiOSデバイスを見つけたり、親しい人が持っているデバイスからその人のいる場所を知ったりするためにApple(アップル)が実装している「探す」システムからヒントを得たものだ。「探す」は、チャープを使って近くにあるアップルのハードウェアに位置情報をブロードキャストする。

MITリンカーン研究所のサイバーセキュリティ&情報サイエンス部門の担当主任でこのプロジェクトの共同主任研究員のMarc Zissman(マーク・ジスマン)氏は、ブログで次のように説明している。「このシステムは『探す』にヒントを得たものだ。もし私がスマートフォンをなくしたら、スマートフォンからBluetoothでランダムな数字のブロードキャストを始めることができる。それは広い海でライトを振るようなものだ。Bluetoothをオンにしている誰かが通りがかったとき、その人のスマートフォンが私に関して何かを知ることはない。ただアップルに『私はライトを見ましたよ』と伝えるだけだ」。

このシステムでは、陽性の人のチャープのデータベースを自動で調べ、検査を受けた方がいい人、あるいは自己隔離した方がいい人にアラートを送ることもできる。研究チームは、プライバシーを守りつつ保健当局のニーズと目的に合うよう、当局と緊密に連携してきた。

MITのチームは、この計画を広く実現するには次のステップとしてアップル、Google(グーグル)Microsoft(マイクロソフト)の協力が重要だと述べている。効果的に機能させるには、モバイルデバイスのプラットフォームとの緊密な連携が必要だ。将来的にiOSとAndroidの標準機能として提供すれば、広く普及するだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

オープンソースハードウェアのArduinoが中小企業向けIoT開発モジュール提供

オープンソースのハードウェアプラットホームのArduinoが米国時間1月7日、IoT開発のための新しいローコードプラットホームとモジュール構造のハードウェアシステムを立ち上げた。中小企業が専門の技術者にお金を使わなくてもIoTを開発できるツールを提供することが、その目的だ。

新しいハードウェアはArduino Portenta H7と名付けられ、IoTのハードウェアプラットホームに必要なものがすべて揃っている。それらは暗号認証チップ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、LTE)、そしてナローバンドのIoTもサポートしている。CPUは32ビットのARMマイコンCortex-M7またはM4だ。これらの低電力消費のモジュールは、各種産業向けアプリケーションのほかに、エッジプロセッシングやロボティクスも視野に入れている。ARMのMbed OSが動き、Arduinoのコードをサポートするほか、PythonとJavaScriptのアプリケーションも使える。

ARMのIoTサービスグループの戦略担当副社長Charlene Marini(シャーリーン・マリーニ)氏は 「中小企業は安全な開発ツールとソフトウェアおよびハードウェアによる単純な開発を必要としており、IoTのユースケースを経済的に実現したいと願っている。新しいArduino Portenta FamilyにおけるMbed OSとCortex-M IPの組み合わせで、何百万人ものArduinoのデベロッパーが安全かつ容易に、IoTデバイスをプロトタイプからプロダクションへデプロイできる」と述べている。

現在、H7モジュールはベータテスターたちに提供されていて、一般公開は2020年2月の予定だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ミニジャック接続も可能なAirFly ProはAirPodsのアクセサリに理想的

TwelveSouthは優秀なガジェットメーカーで、さまざまなニッチに巧みに対応するプロダクトを多数発売している。最近発売されたAirFly Pro(54.99ドル)はBluetooth経由でオーディオソースを送受信できるオーディオトランスミッターだ。3.5mmヘッドフォンジャックを備えているので利用範囲が非常に広い。

メーカーのサイトとAmazonだけでなくAppleストアでも発売されるのは理由がある。AirPods Proのアクセサリとして理想的なのだ。たとえば飛行機のエンターテインメントシステムのように有線接続しかできない場合でもAirPods Proで音楽を楽しめる。

AirFly ProはAirPods ProだけでなくBluetoothヘッドフォンならすべて接続できる。ただしノイズキャンセリングでも音質でもAirPodsで最も効果的に作動するようだ。iPhoneを利用するユーザーは機内その他有線接続のオーディオシステムに接触する機会が多いだろうから理想的だ。ただしAirFly
ProはProというだけあってさらにいくつかの便利な機能を備えている。

このプロダクトはTwelveSouthとして最初の入力、出力双方が可能なオーディオストリーミングデバイスだ。たとえばAux入力ジャックしか備えていないカーオーディオでもiPhoneから音楽を流せる。AirFly ProはBluetooth機能がないオーディオシステムでもミニジャックが接続できればBluetoothによるオーディオ信号を入力することができる。

AirFly Proにはもうひとつ、オーディオ共有という便利な機能がある。2組のヘッドフォンを接続して2人が同時に同じ音楽を聞くことができる。この機能自体は最近のiOSのアップデートによりAirPodですでにサポートされているが、AirFlyの場合はiPhoneだけでなくBluetoothヘッドフォンすべでサポートされる。カップルで旅行する場合などたいへん便利な機能だろう。

AirFly Proを実際にテストしてみたが、つくりはしっかりしており、信頼性にも問題なさそうだった。ペアリングなどの設定操作も簡単で3.5mmミニジャックのキャップにはキーチェーンリングがつけられるので携帯に便利だ。充電はUSB-C経由でUSB-A、USB-C変換ケーブルが同梱されている。内蔵バッテリーで16時間以上作動するので電源がなくてもフライト中に音楽を楽しむには十分だろう。自宅でiPadを使っている場合でもオーディオトランスミッター機能は便利だ。

TwelveSouthではAirFly Proと同時にAirFly DuoとAirFly USB-Cをリリースしている。Proとの違いはワイヤレス入力機能が省略されている点だ。ただしバッテリー作動時間は4時間長くなる。USB-Cモデルは3.5mmジャックがなくUSB-C端子のみ備えたオーディオデバイスが利用できる。これらのモデルはPro同様、2組のヘッドフォンが共有できる。Duo、USB-Cとも価格はProより5ドル安く49.99ドルだ。

【Japan編集部追記】AirFly Proは日本のアップルオンラインストアでは税別6180

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滑川海彦@Facebook

Galaxy S8+などAndroid端末にベースバンド脆弱性、通話傍受から個人情報窃取も

セキュリティ専門家は人気あるAndroid端末多数に脆弱性を発見した。アクセサリーのアプリが端末のベースバンド情報にアクセスできてしまう脆弱性を利用しており、被害は所有者のプライバシー情報の漏洩から接続の完全なブロックまでさまざまな可能性がある。

攻撃者はアクセサリーのアクセスを利用して、脆弱性のある端末のIMEIやIMSIなどの一意的識別子を知って接続をダウングレードする。これにより通話傍受、別の端末への転送、さらにはすべての通話とインターネットへのアクセスの完全なブロックも可能になる。

TechCrunchの独占取材によれば、影響を受けるAndroid端末は、Samsung(サムスン)のGalaxy S8+、Google(グーグル)のPixel 2、Huawei(ファーウェイ)のNexus 6Pなど少なくとも10種類あるという。

この問題は、端末のモデムをコントロールするベースバンド・ファームウェアへのインターフェイスの脆弱性を突いたものだ。ベースバンドはスマートフォンのモデムが通話の発信、インターネットへ接続など携帯網との通信をコントロールする。その重要性を考慮して、通常、ベースバンドはアプリを含むデバイスの他の部分からのアクセスが禁止されている。また多くの場合、危険なコマンドの実行を防ぐコマンドブラックリストが付属している。

しかし専門家は、多くの多くのAndroid端末でBluetoothやUSBを利用したヘッドフォン、ヘッドセットなどのアクセサリが(おそらくは意図せずに)ベースバンドにアクセスできる仕様になっていることを発見した。こうした脆弱性のあるアクセサリを悪用することにより、攻撃者は接続先のAndroid端末で自由にコマンドを実行できる。

この調査を行った、2人の専門家、Syed Rafiul(サイード・ラフィウル)氏と Hussain Imtiaz Karim(フセイン・イムティアズ・カリム)氏はTechCrunchへのメールで「こうした攻撃の影響は、重要なユーザー情報の漏洩からサービスの完全なブロックまで多様だ」と述べた。

フセイン氏と共同研究者のパデュー大学のImtiaz Karim(イムティアズ・カリム)氏、Fabrizio Cicala(ファブリツィオ・チカラ)氏、Elisa Bertino(エリサ・ベルティーノ)氏、アイオワ大学のOmar Chowdhury(オマール・チョードリー)氏は、来月カンファレンスで詳細を発表する予定だ。

こうした攻撃の影響は、重要なユーザー情報の漏洩からサービスの完全なブロックまで多様だ
Syed Rafiul Hussain, Imtiaz Karim

ベースバンドファームウェアはデバイスのセルラー機能を制御するATコマンドと呼ばれる特殊なコマンドを処理する。このコマンドは、例えば呼先の電話番号をモデムに伝えるための信号を送出する。専門家グループはこATコマンドを不正に操作できることを発見した。そこで危険性のあるATコマンドを発見できるATFuzzerと呼ばれるツールが開発された。

テストを実行したところ、脆弱性のあるAndroid端末から秘密であるべきデータを盗み出し、通話を不正に操作できるATコマンド14種類が発見された。

ただし、すべてのデバイスの脆弱性が同一ではないため、操作できるコマンドの種類、操作方法はデバイスごとに異なっていた。特にGalaxy S8 +端末の場合、特定のコマンドによってIMEI番号を漏洩させ、通話を別の番号にリダイレクトし、接続のセキュリティ自体をダウングレードできた。これは携帯端末を覗き見するハッキング専用ハードウェア「stingrays」とほぼ同様だ。他のデバイスは、通話を不正に操作できる脆弱性はなかったが、インターネット接続と通話をブロックするコマンドが使用できた。脆弱性の利用自体はさほど難しくないが、以下のような条件がすべての満たされている必要がある。

「この攻撃は脆弱性のあるBluetoothコネクタやUSB充電ステーションをセットし、そこに被害者を誘い込むことができれば簡単に実行できる」とフセイン氏らは述べている。別のコンピューターなどからインターネットを介して悪意あるアクセサリにアクセスできるなら、被害者の端末を容易に操作できるわけだ。端末がBluetoothデバイスに接続されている場合、攻撃者は物理的に付近いる必要がある。ちなみに、一部のデバイスではBluetoothを実装する方法自体に脆弱性があるため、そうしたデバイスにBluetooth攻撃を加えることは容易だという。

「スマートフォンがヘッドフォンその他Bluetoothデバイスに接続されている場合、攻撃者はまずBluetooth特有接続の脆弱性を利用し、次に不正なATコマンドを挿入できる」という。

サムスンは、一部のデバイスに脆弱性があることを確認しパッチを公開している。ファーウェイはこの原稿を書いている時点ではコメントしていない。グーグルは、「報告されている脆弱性は準拠しているBluetooth仕様そのものの問題の場合がある。最新のセキュリティパッチを適用したPixelデバイスでは問題は再現しない」とコメントしている。フセイン氏によればiPhoneにはこの脆弱性はないとのこと。

この調査は、ベースバンド・ファームウェアの脆弱性問題の最新の例だ。 以前からベースバンドの脆弱性については記事や論文が発表されている。こうした調査はまだ数少ないが、セキュリティ専門家は「情報機関や悪意あるハッカーがこうした欠陥を使用してユーザーに気づかれない、いわゆるサイレント攻撃を仕掛ける可能性がある」と警告していた。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AirPods Proはワイヤレスイヤホンの価格水準を引き上げる

「この250ドル(日本では2万7800円)のイヤホンは、なかなかいい」というのは、私が新しいAirPodsを箱から出して装着してみた直後に同僚に伝えたメッセージだ。ニューヨーク市の歩道、地下鉄の中、それからいくつかのカフェで試した後も、その第一印象はまったく変わらなかった。

もう少し言葉を付け加えるなら、これはかなり快適だ。私は、これまでにさまざまなBluetoothイヤホンを使ってきた。それは私の仕事の約得のようなもの。その中でも、不可解な複数形を含む名前を別にすれば、AirPods Proがたぶん最も快適だった。唯一の例外があるとすれば、それはApple(アップル)の子会社のBeatsが販売しているBeats Powerbeats Proくらいだろう。ただしPowerbeats Proは、もっと多くのプラスチック部品を使用した、完全なオーバーイヤーフック型として、独自の装着感を実現している。

関連記事:アップルがワイヤレスイヤフォンのAirPods Proを発表、ノイキャン機能搭載

新しいAirPodsは、耳に差し込むだけで快適にフィットする。いろいろなタイプのイヤフォンを試して、どれもしっくりこなかったという人にとっては朗報だ。そういう人も少なからずいるだろう。もちろん、人の耳は2つと同じ形のものがない、美しい雪の結晶のようなものであり、誰でも同じ体験が味わえるというわけではない。とはいえアップルは、オリジナルのAirPodsに対して寄せられたさまざまな苦情を基に、それらを解消するための多くの修正を盛り込んできた。より人間工学的なデザインを採用するとともに、ついにシリコン製のイヤーチップを採用するという妥協に踏み切ったのだ。

なぜ、これまでずっとアップルは、イヤーチップの採用を見送ってきたのか。私には理解できないが、同社もようやく自らの判断で採用を決めたのだ。AirPods Proには、スモール、ミディアム、ラージという3種類のイヤーチップが2個ずつ、合計6個付属している。購入時にはミディアムが装着されている。しかし、これらは標準的な形状のシリコンチップではない。それでも強く引っ張れば外れる。イヤホン本体と噛み合う部分は固くなっている。

アップルによれば、このような独自形状のイヤーチップによって、優れたフィット感が得られるという。もう1つの利点は、本体との結合が、より強固なものになること。これは間違いなく重要だ。私も、ニューヨークの歩道にイヤホンのイヤーチップを、うっかり落としてしまったことがある。これなら、ポケットから取り出すときにも、外れてしまう可能性がずっと低くなる。もし紛失してしまったとしても、アップルはおそらく1ドル程度でスペアを販売することになるだろう。

イヤホンの耳に入る部分は大きくなったのに対し、軸の部分は短くなったことに気付くだろう。これはアップルが、より多くの電子部品を上部に集約できるようになったから。軸は、イヤホンを手で持つための部分として残っている。また、軸にはハプティクボタンも内蔵しており、従来のAirPodsのタップ操作を置き換えている。軸を強めにつまむようにすると、わずかなクリック音を発して応答する。

標準設定では、1回つまむとトラックの再生/停止が可能だ。長押しすると、アクティブ・ノイズキャンセリングモードと、外部音取り込みモードが切り替わる。これらの設定は、iOS(またはiPadOS)13.2がインストールしてあるデバイスで変更可能だ。iOSデバイスとのペアリングは相変わらず簡単で、iPhoneまたはiPadの近くでケースのフタを開くだけ。Androidデバイスやデスクトップ機とは、通常のBluetooth機器と同じ手順でペアリングできる。

設定は、「設定」→「Bluetooth」の順にタップして、AirPods Proのアイコンの横にある「i」をタップする。そこからは、「ノイズコントロール」モードを切り替えたり、左右のAirPodsのボタンに、それぞれ異なる機能を割り当てたり、「イヤーチップ装着状態テスト」を起動したりすることができる。 このテストでは、再生ボタンを押すと、音漏れをテストするための短い音楽が再生される。適切なイヤーチップを装着していれば、「密閉されています」と表示される。何か問題がある場合には、「イヤーチップを調整するか、ほかのチップにしてください」と表示されるので、指示に従う。

人によって耳の形が異なるのはもちろん、一人の人間でも右と左で差がある場合もある。私の場合は、箱から取り出したまま、つまり標準のミディアムのチップでうまくフィットした。それは私の場合であって、私の耳が標準的ということだろう。当然ながら、人によって結果は異なる。

AirPods Proの音質は素晴らしい。私がこれまでに試した中で、最高の音質のイヤフォンの1つと言える。同じ価格帯のソニーWF-1000XM3と同等のレベルだ。この2つは特に抜きん出ている。Echo Budsとは異なり「設定」でレベルを調整することはできないが、AirPods Proは、まざまなジャンルの音楽に合うように、標準状態でうまくチューニングされている。いろいろと試してみるために、これまでのところ、坂本龍一、Danny Brown、The Hold Steady、Electric Youth、Sunn 0)))などを聴いてみた。どれも豊かで充実したサウンドを再生し、250ドルのイヤフォンに期待できるレベルには十分到達している。

ノイズキャンセリング性能も、ソニーと同等レベル。Appleは、オーバーイヤータイプのBeatsのヘッドフォンと同様の適応性を実現している。つまり、常にマイクで周囲の音をモニターし、それに応じて調整を加えている。オーバーイヤータイプのヘッドフォンのような、完全な遮断効果が得られるわけではないが、密閉度が高いので、必要に応じて周囲の音をかき消すのには、非常に優れた効果を発揮する。

周囲に注意を払う必要がある場合には、外部音取り込みモードを利用すればいい。内蔵マイクが周囲の音を拾ってくれる。このモードでは、再生中の音楽を完全に消音してしまうことなく、ほどよいバランスで、環境音とミックスしてくれる。この点に関して、Echo Budsでは問題があると感じていた。エアコンのノイズのようなものまで増幅してしまう。繰り返しになるが、Echo Budsのようにレベルを調整するのではなく、外部音取り込みモードをオン/オフすればいいのだ。

ちょっと余談になるが、AirBuds Proは、前のモデルと同様、イヤフォンを着けたまま人と話ができるという点で、もしかすると社会規範を変えていく可能性がある。こうしたことを見ると、私としては、今日の子供たちにアンディ・ルーニー(Andy Rooney、米国の辛口のコメンテーター)のような態度で接したいと思ってしまうのだが。

ノイズキャンセリングも、外部音取り込みモードも、同様にバッテリーの持続時間をじゃっかん短くする。それらがオフの状態では5時間連続再生できるところが、オンでは30分ほど短くなる。充電ケースを利用した場合、ノイキャンも外部音取り込みもオフの状態なら、Appleは24時間使えるとしている。来週初めに飛行機でアジアに行く際には、これを限界まで試してみようと、今からワクワクしている。快適さについてもテストしたい。今日も、今のところ数時間使っているが、すべて良好だ。

ケースはオリジナルのAirPodsより、じゃっかん大きめ。それでもBeatsやSonyの製品ほどではなく、ポケットに入れて普通に持ち運びできる。縦横の比率は入れ替わっている。今回のものは、長さよりも幅の方が広い。AirPods本体の軸部分が短くなったからだ。新しいデザインでは、ケースにしまうのが、やや難しくなっている。とはいえ、2、3回試してみれば、すぐに理解できるだろう。

AirPods 2と同様、ケースはLightningポート経由でも、ワイヤレスでも充電できる。充電中にケースをタップすると、LEDが点灯する。黄色または緑色に光って、充電状況を表示する。

そう、半日も使っていれば、魅了されてしまう。そこには、何の不思議もない。250ドルという価格は、高すぎると感じる人も多いだろう。しかし、2、3時間も使っていれば、もう手放すのが難しくなる。

近いうちに、もう少し長いレビューを掲載予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOSとiPadOS 13ではPS4やXbox Oneのゲームコントローラーをサポート

Apple(アップル)のiOS 13と、新しい名前で登場するiPad用のiPadOSは、いずれも複数のBluetoothゲームコントローラーの同時接続をサポートしている。そして、それらのリリース最新版では、Xbox Oneや、PlayStation 4のコントローラーのサポートが追加された。実際にあれこれいじってみたところ、どちらのタイプのコントローラーについても、1台のマシンに同時に複数を接続して使えることが確認できた。もちろん、個々のコントローラーごとに別のキャラクターを操作できる。

これ自体は良いニュースだが、悪いニュースもある。今のところ、この機能を利用できるゲームは、あまりないということ。たとえば、Appleの新しいゲームサブスクサービス、Arcadeでは、対応するゲームを見つけることができなかった。また、Archadeには含まれない一般のiOSゲームでも、対応するものを探すのに骨が折れた。やっと見つけたのは、2人で協力してプレイすることも可能なローカルな対戦ゲーム「Horde」で、無料で遊ぶことができるもの。これは、複数のコントローラーを使って、マルチプレーヤーで期待通りに操作できる。

AppleはArcadeによって、App Storeを、そしてiOSでのゲームを、再び活性化させるため、最初にiPhoneが登場して以来最大の努力を払ってきた。Arcadeは、広告やアプリ内購入なしで、非常に高品質のゲームが、どれでも遊び放題となるサブスクサービスだ。サービス開始時の品揃えを見ても、かなりめぼしいものが揃っている。たとえば、「Where Cards Fall」、「Skate」、「Sayonara: Wild Hearts」、「What the Gold」など、ちょっと挙げたただけでも素晴らしいタイトルがある。

このようなライブラリの品質と価値を、iOS、iPadOS、Apple TV、そして最終的にはMacという広範囲にまたがるデバイスと組み合わせることで、たとえば、Nintendo Switchや、他の家庭用ゲーム機が現在押さえているゲーム市場の大きな部分を奪い取る可能性もある。

特に、iPadのローカルなマルチプレイヤーゲームには、大きな可能性が秘められているだろう。iPadのオーナーは、すでに自宅だけでなく、外出先でもiPadを使っているという人が多い。そしてiPadなら、どこでも大画面で高品質のゲームをプレイできるのだ。あとは、スーツケースや、機内持ち込み用のバッグに、PS4やXboxのコントローラーを入れておけば、旅先でも素晴らしいゲーム体験が得られる。

上でも述べたように、今のところ、これらのコントローラーをサポートするゲームは多くないが、ゲームのデベロッパーさえその気になれば、いつでもそれらを利用するための機能が用意されているということが分かっただけでも、なんだかワクワクさせてくれる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

屋内外のあらゆる物を低帯域長距離無線で結ぶAmazon Sidewalkプロトコル

シアトルで行われた例年のハードウェアイベントでAmazon(アマゾン)は米国時間9月25日、低帯域で長距離の新しいワイヤレスプロトコルとしてSidewalkを発表した。家の中や外のすべてのIoTデバイスを接続することが、その狙いだ。

アマゾンの主張では、BluetoothやWi-Fiは到達距離が十分でない。一方5Gは電力消費が大きくしかも複雑すぎる。

同社のデバイス部のトップを務めるDave Limp(デイヴ・リンプ)氏は「そこで私たちはSidewalkというものを考えたのです。それは帯域幅の低い新しいネットワークであり、既存の900MHzスペクトルの、自由に使えるOTAを使用します。それは、物をリアルタイムで追跡するのに適していると考えています。しかしもっと重要なのは、シンプルで安価で使いやすいさまざまなデバイスを長距離でコントロールできることです」とコメントしている。

技術の説明としてはちょっと漠然としているが、アマゾンが言いたいのは基地局とデバイスの位置関係次第では1マイル(1.6km)先のデバイスでも接続できることだ・

Image from iOS 3 1

Amazonはすでに700台のテストデバイスをロサンゼルスの世帯に配ってアクセスポイントをテストしている。アクセスポイントがたくさんあれば、かなり広い領域をカバーできるだろう。

Amazonはこのプロトコルを一般公開すると言っているので、そのほかのデバイスメーカーも自分のデバイスをこのネットワークに加えられる。

Sidewalkを利用する最初の製品は何だろう?それは犬の迷子札だ。犬が一定距離を超えたらアラートが来るので行方不明になる迷い犬が相当減るだろう。Ring Fetchと呼ばれるこの迷子札は、来年発売される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Bluetoothを使ったクレカのスキマーを検出するアプリを研究者が開発

ガソリンスタンドや銀行のATMに密かに設置されていることのあるクレジットカードスキマー。そうした装置をワイヤレスで検出できる新たなアプリを、コンピューター科学者のチームが開発した。

カードスキマーがATMの正面全体を覆ってしまうような時代ははるか昔のこと。近頃のクレジットカードスキマーは小さく、ほとんど目につかない。そして、その多くがBluetoothを使ったワイヤレス通信機能を備えている。つまり、カード情報を盗み取ろうとする輩は、いったん装置を設置すれば、二度とガソリンポンプのカバーを開ける必要がない。そして、車に乗ったまま近づいて、盗んだカードデータをワイヤレスで吸い上げることができるというわけだ。

多くの場合、スキマーは、磁気ストライプリーダーだけでなく、キーパッドにも接続される。それにより、クレジットカード番号に加えて暗証番号や郵便番号も盗むことができる。

Bluetanaと呼ばれる新たなアプリは、カリフォルニア大学サンディエゴ校と、イリノイ大学アーバナシャンペーン校の研究者によって開発された。ターゲットとなりやすいガソリンポンプを分解せずに、Bluetooh機能付きのスキマーを検出することができる。

Bluetoothのシグネチャーを識別することで、制限速度の標識信号や、車両追跡システムなどを誤検知することなく、より多くのスキマーを見つけることを目指していると、博士課程の学生で研究グループの一員であるNishant Bhaskar(ニシャント・バスカー)氏は述べている。

多くのスキマーは同じコンポーネントを使用しているので、そのコンポーネントを検出することで、スキマーの存在を確認できるのだ。次に、Bluetoothデバイスに固有のMACアドレスのプレフィックスが、警察によって回収されたスキマーが実際に使用していたプレフィックスのリストの中に存在するかどうかを調べる。さらにこのアプリは、Bluetooth信号の強度を「信頼できる要素」として考慮し、スキマーデバイスがガソリンポンプの近くにあるかどうかを判断する。

このアプリは、フィールドテスターがスキャンして集めた、米国の6州の1185台のガソリンポンプに据え付けられたBluetoothスキマーのデータを参考にして開発された。

これは、そうした小型で目立たないように設置されたスキミングデバイスを検出するために考えられたこれまでの取り組みを強化するための手法として有望だ。Bluetoothスキマーは、投資に対するリターンが大きいので、詐欺師やその同類に人気が高い。スキマーデバイスのコストは1台あたり20ドル(約2100円)程度だが、設置場所にもよるものの、それによって数千ドル(数十万円)を盗み取ることもできる。

研究者によると、このBluetanaアプリは、これまでのところ、それ以前のスキャン方法を回避した64台のBluetoothベースのスキマーを検出できたという。検出時間も数分単位ではなく、数秒にまで短縮することに成功した。

ただしこのアプリは、すぐに誰でも使えるものになるわけではない。今現在は、米国の警察機関によって使用されている。研究者によると、すでにこのアプリは米国のいくつかの州で実際に使われているという。

画像クレジット:カリフォルニア大学サンディエゴ校

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

基本性能に優れたソニーのWF-1000XM3は毎日使いたいANCワイヤレスイヤフォン

本当ならもっと早くに、このWF-1000XM3をレビューしたかった。しかし、モノが到着したのが、ちょうど私が旅行している最中だったのだ。これは2つの点でとても残念だった。1つには、はっきり言って私は遅れて製品レビューを書くのが嫌いだから。もう1つは勝手な言い分だが、できることなら、その香港に行く16時間のフライトで実際に試してみたかったからだ。

そうした長時間のフライトは、この新しいソニーのフルワイヤレスイヤフォンが想定している、ぴったりの使い方だ。十分過ぎるほどのバッテリー寿命と、アクティブなノイズキャンセリング機能(ANC)を備えたこのモデルは、明らかにBose(ボーズ)が押さえている市場に狙いを定めている。

数週間前のプレビュー記事でも述べたように、このカテゴリーの製品を発売するメーカーには、大きく2つのうちのいずれかの方向を目指す傾向がある。1つは、運動やフィットネスに適した製品(たとえばJaybirdsやPowerbeatsなど)、もう1つは、通常のライフスタイル的な製品(Airpodsなど)だ。この製品によってソニーがどの市場を目指しているのかは明らかだろう。BoseのQuietComfortに対抗する同社のオーバーイヤータイプのヘッドフォンと同じ領域だ。

関連記事:Beatsから新型AirPodsチップ搭載の完全ワイヤレスイヤフォン「Powerbeats Pro」

このXM3(「0」が多すぎるので、今後はこう呼ぶ)は、フィットネスに適した防水機能や、ランニング中に使うのに安心なイヤスタビライザーを備えていない。もしそのあたりを求めている人ばかりだと、この製品は苦境に陥ってしまうだろう。しかし、ランニングに適した製品なら他にいくらでもある。例えば同じソニーのWF-SP700Nなどがそうだ。旅行に連れていく製品を探している人にとっては、XM3以上の製品はない。

Beats(ビーツ)のPowerbeats Proと同じように、ソニーはXM3のケースで携帯性よりもバッテリー寿命を優先させた。ソニーのケースは、Beatsのものほど大きくはないが、それでもおそらくほとんどのポケットには大きすぎる。とはいえ、嬉しいことに、ノイズキャンセリング機能がオンでも6時間、オフなら8時間も単体でバッテリーが持続する。したがって、ほとんどの場合、ケースは家に置いて出かけても大丈夫だろう。

充電機能を備えたケースをいっしょに持ち運べば、ノイズキャンセリングがオンで24時間、オフなら32時間もの音楽再生が可能となる。ケース底面のUSB-Cポートを使って、10分の充電で90分の再生が可能だ。ワイヤレスで充電することはできない。AirPodsと同様、それは2世代目の製品で実現するのかもしれない。

XM3の楕円形のデザインは、スポーティな700Nと共通するものがある。大きさは小さめで、色は目立たないブラック、またはシルバーの2色がある。このあたりは白くて目立つAirPodsとは対照的だ。実際、普通のBluetoothイヤフォンのようにしか見えない。ぴったりとフィットさせるには、まず下を向けて耳に入れてから、90度回して持ち上げるようにするといい。実を言うと、初めてデモ機を試したとき、私は下向きのまま使おうとしていた。初心者っぽい誤りだ。

関連記事:アップルが新しいAirPodsを発表、ワイヤレス充電ケースも

この製品には、シリコン製の交換可能な数種のサイズのイヤチップが付属しているが、私の耳には、最初から付いているものがちょうどぴったりだった。イヤフォンを所定の位置に保持するためのメカニズムはないが、本体が小さいので、それほどずれてくることはない。軽くジョギングしたくらいでは大丈夫だった。ただし、防水機能はなにもないので、汗などで濡らさないように注意しなければならない。

Bluetoothイヤフォンの音質は、初期のころから、かなり大きく進歩してきた。それでも、ソニーがこのサイズに、これだけの音質を詰め込んでいるのは印象的だ。最新世代のBluetoothイヤフォンでは、もはやサイズが小さいからと言って、音質で妥協する必要はないのが明らになった。そしてこのXM3は、左右独立型のBluetoothイヤフォンとして素晴らしい音質を実現している。バランスの取れた豊かな音場を再現し、低音も十分だ。

さらに印象的なのは、ノイズキャンセリング機能だ。つい最近まで、小型のワイヤレスイヤフォンではあきらめるしかなかったもの。側面のタッチパッドをタップすると、ノイズキャンセリングとアンビエントモードを切り替えることができる。アンビエントモードでは、必要に応じて外部の音をむしろ積極的に聞くことができる。それによって、イヤフォンを外さずに近くの人と直接会話を続けることも可能となる。特に際立った機能というわけではないが、ソニーが実際の製品で実現してくれたことは嬉しい。

面白いのは、ペアリングしたデバイスに、左右のイヤフォンが、それぞれ独立したBluetoothリンクを張っていること。それは遅延を防ぐのに役立つのはもちろん、それぞれ単独で動作させることも可能であることを意味している。何度か、片方のイヤフォンの音が途切れるという問題に遭遇した。それは不快には違いないが、その場合でももう片方は接続を維持して正常に動作し続けていた。また、左右が独立して動作しているため、バッテリー残量などを知らせる音声ガイドも、別々に行われる。

XM3の価格は230ドル(日本ではソニーストア直販で税別2万5880円)で、AirPodsとPowerbeatsの間となっている。 iPhoneユーザーにとっては、W2チップによる自動ペアリング機能が使えないのは残念だが、NFCに対応しているので、Androidユーザーにとっては、素早いペアリングが可能となる。それを別にしても、XM3には利点が多い。音質は素晴らしく、ノイズキャンセリング機能は秀逸で、バッテリー寿命も長い。

Powerbeatsのようにジムで使うのに最適というわけではないが、それを意識した製品ではないので、そこはしかたがない。よく旅行に出かける人や、着実に毎日使えるイヤフォンを探している人にとって、XM3は今手に入れられるものの中で最高と言える。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

世界初のBluetoothヘアアイロンはハッキング可能で火災やヤケドの恐れあり

Bluetooth接続のヘアアイロンに、あってはならないことが起きた。

英国企業のGlamoriserは「世界初のBluetoothヘアアイロン」のメーカーであると宣伝している。ユーザーがヘアアイロンとアプリを接続すると、温度やヘアスタイルを設定できる。Bluetoothの通信範囲内にいれば、アプリでヘアアイロンのスイッチをオフにすることできる。

しかし大きな問題がある、このヘアアイロンはハッキングできるのだ。

Pen Test Partnersのセキュリティ研究チームがヘアアイロンを購入してテストしたところ、悪意のあるBluetoothコマンドを送信して簡単にヘアアイロンをリモート操作できることがわかった。

研究チームは、ヘアアイロンの最低温度である50度や最高温度である235度に設定したり、電源が切れるまでの時間を変えたりするなど、いくつかのコマンドをBluetoothで送信できることを示した。ヘアアイロンは認証を求めないので、攻撃者はリモートで乗っ取り、ヘアアイロンの温度を変えたり最長20分間動作させたりすることができる。

Pen Test PartnersのStuart Kennedy氏はブログの投稿についてTechCrunchに最初に知らせた。そのブログの中で同氏は「スマートフォンと接続するときにBluetoothのペアリングやボンディングを求めないので、通信範囲にいる人は誰でもヘアアイロンを制御できる」と述べている。

同氏は「ただしこのヘアアイロンの同時接続は1つだけだ。攻撃できるのは、所有者がスマートフォンと接続していないときや通信範囲内にいないときに限られる」としている。

危険性は数字が物語っている。研究チームが発見したように、ヘアアイロンを235度にして20分間動作させておけば火災の原因になるし、少なくとも火傷を負うだろう。

英国ではヘアアイロンなどのスイッチを入れっぱなしにしていたことによる住宅火災が2016年までに65万件発生したと推計されている。熱せられた器具が安全な温度に下がるまでに30分以上かかることもある。英国の消防当局は火災や火傷を防ぐために器具のコンセントを抜くよう呼びかけている。

この記事の公開前にGlamoriserにコメントを求めたが、回答はなかった。アプリは2018年6月以降アップデートされていないため、この危険性はまだ修正されていないと考えられる。

画像:Glamoriser / file photo

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(翻訳:Kaori Koyama)

ローランドの小型レコーダーR-07はスマホアプリよりかなりいい

スマホで何でもできるようになった時代に、なぜ独立したオーディオレコーダーが必要なのか?音響機器メーカーのRoland(ローランド)が、その答えを明らかにしてくれる。

ローランドのR-07ボイスレコーダーは、だいたいオリジナルiPodと同じくらいの大きさ。音楽の録音、練習、そして再生の機能を持つ。2つのマイクを上部に内蔵し、外部マイク用の入力端子も備えている。もちろん、ヘッドフォンジャックも装備し、Bluetoothもサポートしている。

シングルタッチで録音開始できる操作性は斬新だ。電源が入っている状態で、真ん中の赤いボタンを押すだけ。録音はマイクロSDカードに記録される。最高で96kHz/24ビットのWAVファイルとして保存できる。320kbpsのMP3もサポートする。電源はUSB、または単3形電池2本で動作する。

Scene(シーン)モードを使うと、もう少し凝った録音もできる。リミッターとローカットフィルターを内蔵しているので、人の声を明瞭に録音できる。「Music Long」を選択すれば、ファイルサイズを節約して、長時間の演奏の録音が可能になる。

リハーサルモードでは、入力されている音を、オーディオ再生機能を通してライブで確認できる。これは扱い慣れないうちにはありがたい機能だ。

また、無料アプリの「R-07 Remote」を使えばスマホ(iOS/Android)や、Apple Watchから、Bluetooth経由で最大4台のR-07を同時にコントロール可能となっている。例えばバンドのメンバーごと、独立したR-07を使って同時に録音するといったこともできる。

R-07はすでに発売されており、価格は199ドル(日本ではオープン価格で実売は2万5000円前後)という価格は納得できるものだろう。汎用性という点では、例えばZoom H6のように、ステレオマイクと2chのXLR入力を備えた大型のレコーダーにはかなわない。しかし、携帯性と音質、そして音楽に対する親しみ易さを考えると、R-07はボイスメモのようなスマホアプリから乗り換えるには、十分過ぎるものと言えるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

BeatsのフルワイヤレスPowerbeats Proを試してみた

Beats(ビーツ)は、完全なワイヤレス化にかなり時間をかけた。これ以前に、Powerbeatsシリーズの最新モデルだったのは、2016年に登場したPowerbeats3。ちょうど最初のAirPodsと同じ時期の製品だ。Apple(アップル)製のW1チップを採用したもので、iOSとの相性も向上させ、Appleファミリーの一員としてのBeatsの地位を、より強固なものにすることに一役買った。しかしこの製品でも、左右のユニットはケーブルで繋がれていた。

第2世代のAirPodsが発売されてから数週間後、BeatsはいよいよPowerbeats Proを発表した。同社として初のフルワイヤレスのイヤホンとなる。Appleの新製品と比較されることは避けられない。なんだかんだ言っても、AppleとBeatsは、現在1つの大きな家族として円満な関係を築いている。技術を共有し、協力して開発にあたっている。

それでも、さまざまな点で、Beatsは独自のブランドとしての個性を維持している。AirPodsは、Apple流ミニマリスト的な「うまく動く」アプローチを体現するようなハードウェアであるのに対し、Proのデザインは、Beatsが長年アスリートを対象としてイヤフォンを設計してきたことを反映したものとなっている。仮に、LeBron JamesやSerena Williamsのような大物アスリートが、Proの広告キャンペーンに登場したとしても、それほど大きな驚きではないだろう。

今回の新製品が、以前のバージョンと同様、耳に掛けるフックを装備していることも、このヘッドフォンがアスリートをターゲットにしていることで説明がつく。これには、メリットもデメリットある。ユーザーがイヤフォンに何を求めているかによって、その受け取られ方は異なるだろう。少しでも小さなものが欲しい人は、Appleの製品を選んだほうが幸せになれることは間違いない。

かさばる部品があれこれ付いているが、実際に装着してみるとProは非常に快適だ。メガネを掛けたままでも問題ない。交換可能なシリコン製のイヤーチップが付属していることも、この快適さに大いに貢献している。人間工学的なデザインの効果も加わって、私の耳にぴったりとフィットした。私自身は、AirPodsがフィットしなくて苦労したという経験はないが、耳に入る部分が硬いプラスチック製であるだけに、どうしてもAirPodsがフィットしない耳を持つ人がいるのも確かだ。Proは、シリコン製イヤーチップのおかげで、そうした問題とはほとんど無縁だろう。

とは言え、この製品はサイズも大きく形もゴツいことが、大きな欠点として挙げられる。装着しているときには、まったく問題ないのだが、Proを外してしまっておくには大きな充電ケースが必要となる。これは、実際、本当に大きい。少なくとも、ズボンのポケットに入れて持ち歩きたくはないと思うほどは、十分に大きい。このケースの中にイヤフォンをしまうのにも一苦労する。慣れないと、すんなり収まりにくい。この点でも、AirPodsは、するっと滑り込むようにしまうことができる。

もちろん、その大きさにはメリットもある。バッテリ寿命は、スペック上、ヘッドフォン単体で9時間、充電ケースと組み合わせれば24時間と、圧倒的に長い。ということは、朝のランニングに出かける際には、ケースを持って行く必要はないことになる。

Powerbeats Proの音質は、Bluetoothイヤホンとしては非常に優れている。Beatsはこの数年間、歪んでしまうほど増強した低音によって、音質の欠点を過度に補っているという、人聞きの悪いイメージを振り払おうと努力してきた。そして、そのようなイメージは、もはや過去のものとなった。Beatsの音質は大きく進歩した。その効果は、より小さな製品にも反映されている。

今回私は、さまざまなジャンルの曲を、かなり広い範囲からピックアップして聴いてみた。どれも非常に感動的だった。楽器の音の分離は素晴らしく、低音が重厚なヒップホップやダンスミュージックでも、非常にクリアな音が楽しめた。

価格は、この種の製品の相場を塗り替えるものになりそうだ。250ドル(約2万7500円)という価格は、最新のAirPodsより50ドル(約5500円)高く、Galaxy Budsと比べれば100ドル(約1万1000円)も高い。これが市場に受け入れられるかどうか、微妙なところかもしれない。

Powerbeats Proの発売は来月に予定されている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Doorportはマンションのインターホンシステムをさらにスマートにする

都会に住んでいて、マンションのインターホンシステムに嫌気がさしているという人も多いのではないだろうか。その電子的な門番は、画面も小さく、ボタンは押しづらく、訪ねてきそうな友達の名前のリストは長過ぎる。

Doorportは、このような従来のシステムを、少しでも賢いものにしたいと考えている。それを実現するために、彼らは既存のインターホンシステムを利用して、そこに機能を追加できるデバイスを開発した。それにより、スマホを使ってマンションのドアを解錠することが可能となる。自分が帰宅したときも、来客を入れるときも、画面をタップするだけでいい。このデバイスを取り付けても、従来のインターホンの機能はそのまま動作する。ただし、以前よりちょっと賢くなるのだ。

この会社が作成したプロトタイプのハードウェアは、現状でちょうど一揃いのトランプほどの大きさに収まっている。すでに設置されているインターホンシステムの中の空きスペースに潜り込ませることができるように考えられたものだ。創業者によれば、取り付けには、ほんの5〜10分ほどしかかからない。磁石でインターホンの筐体の内側に固定し、2本の電線で電源を取り、あと2本の配線を解錠をコントロールする部分に接続するだけ。

Doorportのアプリを開くと、近くのアクセス可能なドアをBluetoothで探索する。画面に表示された鍵のマークをタップすれば、ドアを解錠できる。ICタグをスキャンしたり、暗証番号を打ち込む必要はない。友人にも、Doorportのアプリをインストールしておいてもらう。そうすれば、友達はアプリであなたを呼び出し、話をすることもできる。居住者がその建物から引っ越した場合には、管理人は、管理者用のパネルを使って、その人のプロファイルを削除するだけでいい。以後、退去者はアクセスできなくなる。

Doorportでは、当初、既存のインターホンの装置を丸ごと置き換えるフル装備のハードウェアを開発するつもりだった。ビデオ通話や、暫定的な1日限りのアクセスコード発行機能などを備えたものだ。しかし、市場調査によって、家主はそのような総入れ替えが必要なものには興味を示さないことがわかった。まったく新しいシステムを導入すると、古いハードウェアを撤去し、従業員を再訓練したり、すべての住民に新しいICタグを配ったりすることが必要となる。そこで、そうする代わりに、既存のシステムの上に付加できるタイプのものにシフトすることにしたのだ。

この会社は、まだまだ初期段階で、従業員は3人だけ。3Dプリンターを利用して筐体を作成し、何度もプロトタイプを作り直している。ほんの数ヶ月前、同社が初めてY CombinatorのWinter 2019クラスに入ったとき、共同創立者のReggie Jean-Brice氏は、「ハードウェアは文字通りブレッドボード上で動いています」と私に明かした。それに対して、私が最近目にしたデバイスは、側面に「Mark II」という刻印のある、きれいな小さな箱に収められていた。

新しい会社にはよくあることだが、Doorportはまだ彼らの製品の原価ががいくらになるのか、正確に把握しきれておらず、いろいろな値付けのモデルを検討している最中だ。その1つのモデルは、最初に取り付ける際に、家主に約350ドルを負担してもらう。その後は、マンションの1世帯あたり毎月1.5ドルを支払ってもらうというもの。別のモデルでは、1世帯あたり年間約30ドルのコストを、居住者に負担してもらう。家主は、より便利な付帯設備として、それをウリにすることができる。共同創立者のBen Taylor氏によれば、同社は現在プロトタイプのデバイスを、サンフランシスコ、オークランド、さらにニューヨークでテスト中とのことだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleがChromecast Audioをお蔵入り

Chromecast Audioは、もうない。“無能な”スピーカーでもGoogleのChromeCast族の一員にできるオーディオドングルの生産を、Googleは停止した。欲しい人はお急ぎを。Googleは今残っている在庫を、定価の35ドルではなく$15ドルで売っている

Googleの声明文は曰く: “弊社のプロダクト群は進化を続けており、ユーザーがオーディオを楽しめるための製品も今や多様化している。したがって当社は、Chromecast Audio製品の生産を停止した。今後も当社はChromecast Audioデバイスのサポートを続けるので、ユーザーは音楽やポッドキャストなどを引き続きエンジョイできる”。

ChromecastそのものはGoogleの大ヒットになったが、Chromecast Audioはつねにニッチにとどまっていた。

明らかにGoogleの今の関心は、人びとがGoogle HomeプロダクトとAssistant、あるいはパートナー製のCast対応スピーカーを買ってくれることにある。Google HomeデバイスはBluetoothスピーカーに接続できるが、今ユーザーの家にあって彼らが気に入っているスピーカーは高い確率でBluetooth非対応だ。Googleは当時、“Bluetoothアダプターは不格好だ”と言っていたが、これからはその逆を言わなければならないだろう。

Chromecast Audioがローンチしたのは2015年で、Chrome Castの第二世代と同時発売だった。その後Chromecast Audioは何度もアップデートされ、マルチルームなどの機能もサポートされた。Googleは今、Chromecast Audioユーザーのサポートは当面続ける、と言っているから、すでに持ってる人も、あと数年は大丈夫だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa