TC Tokyo 2019に距離無制限で最大10人の同時通話が可能な「BONX GRIP」の出展が決定

11月14日、15日に東京・渋谷ヒカリエで開催されるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。今年も注目のスタートアップを招いた出展ブース「Feature Lounge」の設置が決まった。このエリアに出展するのは、ハチたまバルスBONXNatureの4社。ここではBONXの出展内容を紹介する。

BONXは、日本のスノーボーダーで起業家の宮坂貴大氏が2014年に創業。「BONX GRIP」は約1年間の開発期間を経て実施したクラウドファンディングで、当時日本のIoTスタートアップとしては最高額となる2500万円強を達成。その後、一般販売を開始した新型コミュニケーションツールだ。2017年夏には北米にもサービスを展開。2019年8月にはBONX for BUSINESSのオープン化により、音声データを活用することで業務効率化を目指すbonx.ioもリリースされた。実はBONXは、TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストでもある。

BONX GRIPの特徴は、独自のイヤフォンとアプリを組み合わせて使うことで、距離無制限で最大10人の同時通話が可能な点。BONXのイヤフォンとスマートフォンはBluetoothでつながっており、BONXはスマートフォンを経由し、3Gや4Gのモバイル回線、Wi-Fiでインターネットに接続する。また、BONXは話すと自動的に通信が始まり、話し終わると通信が終わるので、モバイル回線使用時のパケット通信量の使いすぎることはない。

Feature Loungeでは、このBONX GRIPが展示される予定だ。

TechCrunch Tokyo 2019では現在、一般チケット(4万5000円)のほか、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円/枚)、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)、指定席と専用の打ち合わせスペースを利用できるVIPチケット(10万円)を販売中だ。いずれもチケット種別でもKAOPASSを利用できるので、ぜひ活用してほしい。詳細は、チケット購入後に届くメールに記載されている。

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ウェアラブル会話デバイス開発のBONXがリコーから4.5億円を調達、音声ビッグデータの活用も

独自のイヤホン型ウェアラブルデバイスとアプリを連動させたコミュニケーションサービス「BONX」を提供するBONX。同社は7月17日、リコーと資本業務提携を締結したことを発表した。

今後リコーの顧客接点力などを活用してBONXのサービスを拡大させていくほか、両社のサービス間の連携を深めていく方針。また会話ビッグデータの活用にも取り組む。

なおBONXではリコーに対し約4.5億円の第三者割当増資を実施したことも合わせて発表している。

BONXについてはこれまでも何度か紹介しているが、片耳に装着する専用デバイス「BONX Grip」とスマホアプリを組み合わせて使う会話サービス。スマホとBluetoothを接続しておけば、携帯電波の入るところであれば、遠距離や悪天候でも相手と会話ができる。

人の声だけを高精度で検知し、機械学習により周囲の騒音環境に合わせて音声を自動的に最適化する発話検知機能や、誰かの電波状況が悪化しそうなときは音声で通知し、接続が切れても自動的に再接続処理を行う機能などを搭載。

もともと創業者の宮坂貴大氏の「スノーボード中に仲間と話したい」という思いから生まれたプロダクト。激しい向かい風の中でもクリアな会話ができるようにノイズキャンセリング機能も備えているので少々劣悪な環境であっても対応できる。

2017年12月からはビジネス用のコミュニケーションツール「BONX for BUSINESS」も提供を開始。30人までの音声グループコミュニケーションをスムーズに実現できることを特徴に、総合商社や物流企業、小売企業などで活用が進んでいるようだ。

冒頭でも少し触れた通り、今後BONXのソリューションをリコーの顧客接点力やサポート力を活かして拡販するほか、インタラクティブホワイトボードなどのリコー製エッジデバイスにBONXの技術やソリューションを組み込み、企業の働き方改革への取り組みを支援する計画。

また蓄積された音声コミュニケーションデータを用いて職場環境のモニタリングや効率化に活かすなど、会話ビッグデータの活用にも力を入れていくという。

なおBONXは2014年の創業。2018年2月に発表していたシリーズAラウンドでは慶應イノベーション・イニシアティブなどから総額4.5億円を調達。それ以前にも助成金や融資、VCからの出資などにより総額約3億円を集めている。

イヤホン型ウェアラブル「BONX」開発元が2億円の資金調達、老舗補聴器メーカーとも連携

イヤホン型ウェアラブルデバイス「BONX」を手掛ける国内スタートアップのBONXは5月10日、アドウェイズ、慶応イノベーションイニシアティブ(KII)、リオンおよび個人投資家を引受先とした総額2億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。BONXはこれまでに総額5億円の資金を調達したことになる。

今回の調達を契機に世界展開へ向けた包括的なマーケティングを進めるほか、調達先企業との技術シナジーの向上を目指す。また採用についても強化する予定だ。今回の発表に先駆けて、4月には米国法人のBONX North Americaを設立。北米市場での製品販売も開始している。

耐久性・安定性が向上した第2世代モデルを2016年末にリリース

BONX代表取締役の宮坂貴大氏

BONX代表取締役の宮坂貴大氏

最近ではウェアラブルデバイスの中でも、特に耳に付けて使用するものを「ヒアラブルデバイス」などと呼ぶこともあるが、BONXもそんなヒアラブルデバイスの一種。デバイスを片耳にセットし、Bluetooth接続したスマートフォンで専用アプリを起動すれば、最大10人の仲間内で会話ができる。

スマートフォン同士の通信は、3G/LTE経由でBONXの専用サーバにアクセスして行っている。最近ではグループ通話(厳密にはVoIP)可能なメッセージングアプリなどは増えているが、ユーザーが話しているときだけ音声を拾うことでバッテリー消費や通信量を削減するほか、発話検知技術(人の音か他の音かを判断する技術)により、リアルタイムに近い処理速度でのやりとりが可能だという。

BONX代表取締役の宮坂貴大氏は大のスノーボード好き。ウェアラブルカメラを手がけるGoProのCEO・Nick Woodmanがサーファーの経験からプロダクトの潜在的ニーズに気付いたように、スノーボードを通じで「アウトドアスポーツにおいて会話をしたい」というニーズを背景にしてBONXを開発した。

2016年12月には、第2世代モデルの「BONX Grip」をリリース(価格は同社ECサイトにて1万5800円。EC限定で割引価格になるセット販売も実施)。BONX Gripでは、(1)IPX5で生活防水に対応し、汗や湿気などによる故障の低下、(2)素材変更による長時間の着け心地向上、(3)内部基盤の見直し——の3点を行った。シルエットこそ旧製品とほとんど同じだが、内部基盤から見直した結果、耐久性や動作の安定性が格段に向上したという。

TechCrunch Japanで初めてBONXを紹介したのは2015年10月のこと。それから約1年半で海外進出を本格化した背景について、宮坂氏は次のように語る。「海外の雪山でも、この2年で電波の通じる場所が一気に増えました。SNS投稿のニーズが増し、(スキー場などが)宣伝の観点からも電波環境を整備しているようです。海外利用者について、これから増えると期待しています」。宮坂氏も自ら海外の雪山に行き、スノーボーディングしつつBONXのテストをしているそうだ。

アウトドア以外にも、店舗のインカムや工事現場のトランシーバーのリプレイスも狙う。これらの特定小電力無線は、混線したり、フロアをまたいだ通信ができなかったりとフラストレーションがたまる。だがBONXであれば、スマートフォンの電波が届く限り、途切れることないコミュニケーションが可能だ。

「BONX」(左)と新モデルの「BONX Grip」(右)

老舗補聴器メーカーとも事業シナジーを模索

今回BONXに出資したリオン。TechCrunchでその名前が挙がるのは初めてかもしれないが、同社は1944年の設立。東証一部に上場する国内最大手補聴器メーカーだ。「リオンは、補聴器技術において最高峰の技術力とノウハウを持っています。今回の調達前から、ハードウェアの技術面で支援いただいていました」(宮坂氏)。ある意味では“ヒアラブルデバイスの超先行企業”である同社との事業シナジーについても今後模索していくという。またKIIを通じて、慶應義塾大学の研究室(非公開)と発話検知に関する共同研究も実施中だという。

人材面では、CFOやエンジニア(主にソフトウェアやバックエンド)、海外事業担当などの求人を進める。「当初、ステルスで事業を展開していた時には『スケートパークから一番近いスタートアップ』という告知をしていました。そのため、スケボーや自転車、サバゲー、釣りなどのアクティブな趣味を持つ人が多いです。アウトドアスポーツに興味がある人やBONXのストーリーに共感してくれる人がいたら嬉しい」(宮坂氏)

野外活動でグループ内会話、イヤホン型ウェアラブル「BONX」がIndiegogoキャンペーン開始

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2014年11月創業で2015年末にクラウドファンディングで2500万円を集めたウェアラブルデバイスの「BONX」が、音質や装着感を改善して再登場だ。この6月に社名をチケイからプロダクト名と同じBONXに変更した同社は、今日からIndiegogoでキャペーンを開始した。

登場時にTechCrunch Japanで紹介したとおり、BONXはパッと見た感じはスポーツタイプのBluetoothイヤホンの片側だが、これまで誰も解決して来なかった課題を解決しようとしている。それは「屋外活動や野外スポーツでは、グループで行動していても音声的には案外一人ぼっち」という問題だ。スノーボードや釣り、自転車、ランニングなど屋外で複数人で遊ぶようなとき、視界に仲間がいたとしても、距離や環境音、装備的な問題で会話が成り立たないケースは多い。

BONXを片耳にぶら下げ、ポケットに入れたスマホとBluetooth接続しておけば、専用アプリを通して他のBONX利用者と会話ができる。スマホ同士の通信はBONXが開発・維持するサーバーを経由して3G/LTEでつながっているので利用者同士は離れていてもオッケーだ。

BONX創業者でCEOの宮坂貴大氏によれば、2015年の最初のクラウドファンディングでは2016年2月までに2700台を出荷。サバイバルゲームで使ってみたとか、ドローン操縦で離れた地点でコミュニケーションできたなど想定外の用途でのユーザーの声が届いているという。その一方、「ハードもソフトももう少し作り込んだほうが良さそう」との判断から一般発売する予定をいったん延期して、今回Indiegogoにバージョンアップしたプロダクトを出すのだという。

UXと音質改善の積み重ね

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BONX創業者でCEOの宮坂貴大氏

ユーザーからの悪いフィードバックとして最大のものは「ちゃんと動かない」というもの。これはAndroidアプリの安定性が低いことと、ハードウェア機能を使いこなすことから機種依存部分が想定以上だったことが原因で、「機種によっては反応が悪かった」(宮坂CEO)という。このため次バージョンでは外部の協力で多数のAndroid機種の動作検証とQAを進めたそう。

反応が悪い、というのは具体的には、グループに入っても相手の声が聞こえてこないとか、電話を取ったり写真を撮った後に、BONXアプリで音声通信が復帰しないというようなこと。このときユーザーには「話せなくなった」としか分からず、フラストレーションとなる。そこで最近は「相手がミュートしている」とか「相手の電波が悪い」といった音声ナビを入れたそうだ。

肝心の音質についてはユーザーからネガティブな声があったというよりも、むしろ「自分たちが理想とするほど上げられなかった」(宮坂CEO)ことから改善を続けている。

BONXが新しいのは、ユーザーが話しているときだけマイクで音声を拾って送り届けるという「発話検知」や、電波環境に合わせて通信量を自動調節したり再接続したりする「VoIP」、風切音などの環境音をキャンセルする技術だが、ここはまだ改善の余地があるという。というのも、これらの要素技術自体は目新しくないものの、ICレコーダーなどと違って声が聞こえたら0.1秒以下で反応しないといけないし、環境音は常時変化するので数十秒おきにサンプリングしないといけないといった独特の要件があるからだ。環境音だけでなく、スポーツなどである「バン」と弾けるような突発音も除去できるようになってきたそうだ。ほかにも音声の波形を見てマイクからの距離を推定し、ユーザーの声だけを拾うといった処理も入れている。こうした複合的な改善の積み重ねで音声コミュニケーションの質は上がっているという。

それほどユニークな音声処理エンジンを作っているのであれば、むしろそれをライセンスして外販すれば良いのでは、とも思って宮坂CEOに聞いてみたら、むしろ事情は逆らしい。Jawboneの創業者たちは後に「NoiseAssasine」と呼ぶことになるノイズキャンセリング技術を開発して、その技術をヘッドフォンメーカーなどに販売しようとしていた。しかし、本来の性能を出すにはハードウェア込みじゃないとダメだということで出てきたのがJawboneヘッドセットだ。処理エンジン単体では理想とするユーザー体験が実現できない、ということだ。

ともあれ、新しいBONXはIPX5で生活防水となり、見た目は変わらないもののゴムが柔らかく耳の付け心地が良くなるなど改良が進んでいる。まだ価格は未定だが、希望小売価格は1台が1万5800円で、2台以上セットで安くするそう。

BONXは現在社員が8人。駒沢公園というおよそオフィスを構えるのに相応しくない住宅街に拠点を置いているのは4月にリニューアルオープンした駒沢オリンピック公園スケートパークに最も近いからだとか。以前オフィス移転先として渋谷が挙がったとき、「スケートボードができないとオフィスじゃないだろ」という意見が出て宮坂CEOを含む社員が反対したんだとか。リアルユーザーだからこそ情熱を持ってプロダクト開発に取り組めるっていいよね。遊ぶために仕事をしているのか、仕事で遊んでるのか、仕事が遊びなのかとか、そういうのが分からない時代になって来てるのかもしれない。

BONXは2014年末創業以来これまでにNEDOの助成金や銀行や日本政策金融公庫からの融資、VCからの出資などで合計約3億円の資金を調達している。BONXはTechCrunch Tokyo 2015スタートアップバトルのファイナリストでもある。ところで、耳につけるIoTデバイスは、ウェアラブルに対して「ヒアラブル」という言葉で呼ぶ人たちもいて、ソニーがMobile World Congress 2016で披露した「Xperia Ear」やモトローラの「Moto Hint」、Bragiの「Dash」なんかも注目されている。

ありそうでなかったウェアラブル・トランシーバー「BONX」 スノボ好きの元東大生が開発

“ウェアラブル・トランシーバー”というと既存ジャンルに思えるが、そうではない。日本のスタートアップ企業から面白いガジェットが登場した。2014年11月創業のチケイは今日、「BONX」を発表してクラウドファンディングを通じた予約販売を開始した。予約販売の価格は、1個1万5800円、2個だと1つあたり1万4800円などとなっている。色は4色。出荷は11月末から12月中旬。

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BONXは片耳にぶら下げる小型デバイスで、スノーボードや釣り、自転車、ランニングなど屋外で複数人で遊ぶようなときに仲間同士でリアルタイムで会話ができるというコミュニケーションツールだ。耳に装着したBONXは専用アプリを使ってBluetoothで利用者のスマホと接続する。アプリは3G/LTEのネット通信を介して、ほかの利用者と接続しているので、デバイス(利用者)同士の接続距離は、Bluetoothの制限を受けない。

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ここまで聞くと、Blutoothヘッドセットのような感じと思うかもしれないが、以下の点がBONXではユニークだ。

まず、しゃべっているときだけ利用者の音声を拾って接続中の仲間全員に届ける「ハンズフリーモード」を実装しているのが特徴だ。ハンズフリーモードでは、東大発ベンチャーのフェアリーデバイセズが開発した音声認識技術を使うことで、人間の発話だけを検知している。スノボや自転車だと速いと時速30〜50km程度で動くことになるが、このときの風切音や、周囲を行き交うトラックのエンジン音など、外部ノイズを拾いづらい設計になっている。マイクも2つ搭載してマルチレイヤーによる騒音、風切り対策をしているという。こうした対策がない一般的Bluetoothヘッドセットは、スポーツなどでは風切音で使い物にならなくなる。

従来のBluetoothによる音声通話と、BLEによるスマホとのペアリングという新旧のBluetoothを同時に使う「デュアルモード」を使っているのも実装上の特徴で、これによって高音質と低消費電力を実現している。チケイ創業者でCEOの宮坂貴大氏によれば、バッテリー駆動時間は現在バッテリーモジュールの調達中のために不確定であるものの最低5時間以上は確保できるだろうとしている。

BONXはハンズフリーモード以外にも、「ノーマルモード」を用意している。これは、いわゆるPTT(プッシュ・トゥ・トーク)で、トランシーバーのようにしゃべりたいときに明示的にボタンを押す形だ。ノーマルモードで利用するとバッテリーがより長時間持つほか、音声の遅延が少ないという。ハンズフリーモードでは音声検知をしている分、遅延が入るが、ぼくが量産試作機を実際に少し使ってみた感じでは実用上問題ないレベルのものに感じられたことを付け加えておこう。サーバ側の実装としても、遅延の蓄積が検知された段階で遅延分を無視して、リアルタイム性を優先するような処理を入れるなどBONXでは「スポーツなどでのリアルタイムコミュニケーション」というユースケースに特化した最適化をしているそうだ。この利用シーンについてチケイは「アウトドアで激しい運動をしている最中でも、まるでちゃぶ台を囲んでいるかのような自然な会話ができるというのは、実際に体験として画期的」で、「BONXを使うことで逆に、今までがどれだけ孤独だったのか気づきます」と説明している。

GoProにインスピレーション、スノボ好きの元東大生が起業

チケイを2014年11月に創業した宮坂貴大CEOは、東京大学で修士課程を終えるまで合計8年間大学にいたが、「大学時代は、半分くらいはスノボをやっていて、4年間は北半球と南半球を往復していた」というほどのスノボ好き。2011年4月の大学卒業後はボストン・コンサルティングで戦略コンサルタントとしての道を歩んでいたが、BONXのアイデアを思い付いて2014年8月に退社。もともと「いつかは自分で事業をやりたいとは思っていた」という宮坂CEOは、肥料や農薬を使わない「代替農業」での起業も考えていたが、GoProの華々しい成功にインスピレーションを受けたそう。

チケイ創業者でCEOの宮坂貴大氏

「BONXを思い付いたのは、GoProの事業を見たことがきっかけです。サーファーだった人(GoPro創業者のニック・ウッドマンのこと)が自分自身の姿を撮りたいということでカメラを作ったのがGoProの始まり。個人的なニーズを事業化したわけですよね。これは自分でもできるんじゃないかと思ったんです」。もともとスノボの経験から潜在的ニーズは感じていた。ただ、ニーズがあるならすでに製品があって良さそうなもの。「なぜ今までBONXのようなものがなかったのか?」という問いに対して、宮坂CEOはデュアルモード対応Bluetoothチップが出てきたことや、野外でも電波が入るようになった外的環境の変化を指摘する。

ウィンタースポーツの文脈で言えば、実は日本がウィンタースポーツ大国であるということもある。1992年のピーク時に2000万人いたウィンタースポーツ人口が800万人に激減しているとはいえ、まだまだ多いし回復の兆しもある。規模の違いはあれど、世界にある2000箇所のスキー場の3分の1は日本国内にあるそうだ。宮坂CEOは、すでに電波状況を調べるべく各地のスキー場へ足を運んでいるそうだが、シリコンバレーの人たちが必ずいくスキー場のタホ湖ではケータイの電波が入らないという。つまり、シリコンバレーのギークたちは「雪山なんて電波入らないじゃん」と思っているかもしれず、BONXは日本で生まれるべくして生まれたようなところがあるのだ。ちなみに全世界だとウィンタースポーツ人口は5000万〜1億人程度と言われているそうだ。もう1つのBONXのターゲット層であるサイクリストは数千万人規模。

宮坂CEO自身は文系だが、プログラミングやArduino工作を自分で勉強したりハッカソンに参加する中で、ハードウェア関連スタートアップ企業のユカイ工学創業者で代表の青木俊介氏に出会い、そこからiOSハッカーで知られる堤修一氏などをプロジェクトに巻き込んだ。現在は早稲田大学系VCのウエルインベストメントなどから総額1億円ほどの資金を集め、フルタイム4、5人、フリーランスも入れると14、5人というチームでプロジェクトが動き始めているという。

アイデアの検証は2014年末に開始して、今は量産試作段階。この11月にも深センでの量産を開始する。ハードウェアスタートアップが深センで量産するというと、予期せぬトラブル発生という事態も脳裏をよぎるが、実はプロジェクトチームには元エレコムのデザイナーが立ち上げたデザイン事務所が入っていて、深センでの発注経験があるエレコム時代のチームでやってるのだとか。国内GreenFundingでのキャンペーンを終えたら、第2弾として来春にはKickstarterでのキャンペーンも予定している。第2弾では、よりスポーツに適した性能を発揮するモジュールを組み込むアイデアもあるそうだ。

さて、BONXを発表したチケイだが、実は11月17日、18日に渋谷ヒカリエで開催予定のTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルのファイナリストとして登壇が決定している。書類審査による予選を勝ち残った12社のうちの1社だ。まだチケットを販売中なので、ぜひチケイのようなスタートアップの勇姿を会場に見に来てほしい。

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