エビソルの予約台帳サービス「ebica予約台帳」が多言語対応、インバウンド需要見込む

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先日はクラウド予約台帳サービスの「トレタ」とヤフーの飲食予約店サービス「Yahoo!予約 飲食店」のシステム連携について報じたが、本日ご紹介するエビソルもクラウドで予約台帳サービスを提供するスタートアップだ。同社は5月12日、飲食店向けのクラウド予約台帳サービス「ebica(エビカ)予約台帳」の多言語対応を実施したことを明らかにした。第1弾として、英語および中国語(簡体字/繁体字)版の提供を開始する。

ebica予約台帳はiPadアプリおよびPCを使ったクラウド予約台帳サービス。また店舗のレイアウト図を使って配席・予約状態を一画面で管理可能。複数店舗のマネジメント機能も備える。24時間365日、オンラインでリアルタイムな予約に対応するほか、顧客の基本情報や嗜好・来店履歴等の登録機能もある。

また、ぐるなびやホットペッパーをはじめとした複数の飲食店予約サイトと自店の空席在庫を取り込み、予約の一元管理ができる。ただしこの仕組みは各グルメサイトをスクレイピングしているものがほとんど(ヒトサラについてはシステムを直接連携しているそうだ)。今後は各種サイトと正式なサービス連携を進めるという。価格は初期設定費が5万円、月額運用費が1店舗2万円(契約店舗数により応相談)。

特徴的なのは顧客のニーズに応じてサービスをカスタマイズして(厳密にはすでにある機能を、店舗ごとにオン/オフして提供するのだそう)サービスを提供していること。現在は気鋭のチェーン店や有名店を中心に導入を進めているそう。同社サイト上には、居酒屋チェーンの「塚田農場」、焼肉の「うしごろ」などをはじめとした導入店舗が掲載されている。サービスを利用するのは、導入準備中の店舗も含めて800店舗。店舗数ベースでは前述のトレタが4月時点で2600店舗。また同じく予約台帳サービスを手がけるVESPER(2014年2月創業。代表の谷口優氏はクーポンサイト「Piku」の立ち上げメンバーだった)の「TableSolution」が2月時点で1200店舗という報道もある。

今回の機能追加で、増加するインバウンド需要に対応していく。同社の顧客店舗の中には、すでに予約の半数が海外旅行者というケースもあるそうで、もともとニーズが高かった機能だという。エビソルでは2020年までに5万店舗の導入を目指すのだとか。

サービスを手がけるエビソルは2011年の設立。これまでに個人投資家および事業会社から資金を調達している。詳細については非公開だったが、金額は1億円以上になるのだそう。代表取締役の田中宏彰氏はインテリジェンスの元執行役員。同社にて2000年に三井物産とのジョイントベンチャーで、アルバイト採用メディア「OPPO」(その後インテリジェンスとサービス統合。さらに学生援護会も買収により統合した)を立ち上げるなど、人材関連の新規事業を手がけてきた。

「飲食店はメディアで集客して、店舗に送客する。そのハブになるようなサービスがなかった。そのため店舗のお客が新規なのか既存なのか、そもそもどんな客なのかといった情報をほとんど取れないでいた」と田中氏は当時を振り返って語る。顧客の属性を知り、効果的な集客支援を行う方法を模索する中で、予約台帳サービスを提供するに至ったのだそう。

ただし、2012年にリリースしたウェブ版のサービス自体は「顧客のニーズを満たせず、鳴かず飛ばずだった」(田中氏)のだそう。そこで気付いたのは、飲食店のニーズは顧客単価や立地、規模などでニーズが違うということ。そのため要望にあわせて提供する機能をカスタマイズする、さらにiPadアプリで提供して飲食店で手軽に利用できるようにするといったことを行い、現在に至る。