テック起業家がジョンソン英首相をパロディ肖像画NFTで風刺、収益をホームレス支援チャリティに寄付

NFT市場はクレイジーなものとなったが、NFTが莫大な価値を持つようになっても、猿やパンクのポン引き画像以外にも、NFTを使ってできることは増えてきている。

例えば、マンションがNFTとしてオークションにかけられるのも我々は見てきた。

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そして最近は、慈善団体がこの熱狂状態からメリットを得て、新しいオーディエンスを惹きつけつつ、透明性のある方法で資金を調達しようとしている。

Binance(バイナンス)でも、Binanceチャリティ財団が設立したオープンプラットフォーム「NFT for Good」を立ち上げ、人々が自分のアートやクリエイティビティを社会的・人道的な問題を対象としたオークションに変換できるようにした。

NFTが資金調達のプロセスをゲーム化していることが、こうしたプロジェクトが成功している理由の一つだ。

同時に、暗号アートは、ダダイズムや風刺のリアリズム領域に入りつつある。2017年7月のICOで、最初の30分で3万ドル(約342万円)を調達したFUCKというイーサリアムのトークンを覚えているだろうか?今では、現在260.774イーサまたは104万ドル(約1億2000万円)の値がついている、NFTとしての世界で最もリッチな線(文字通り赤インクで描かれた線)がある。

NFTアートと風刺の世界は、NFTプラットフォームOpenSeaで公開されたばかりの新プロジェクト「Non Fungible Tories – The Boris Drop」でも融合している。

これは、英国のBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相を描いた8ビットパロディ肖像画のセットで、収益の52%(悪名高いBrexit、EU離脱投票の過半数と同じ割合)を、ホームレスを支援する英国の慈善団体に寄付するというものだ。

NFTシリーズでは、自らを「Pfeffel, a punk artist」と名乗るアーティスト(英国を拠点とするテック企業の創業者であることが、TechCrunchによって確認されている)が、ジョンソン英首相の最も有名な言葉を風刺している。

Pfeffel氏は「a clown, an oaf, a wager of culture war, and a pound-shop Churchill(道化師、愚か者、文化戦争の賭け人、1ポンドショップ[訳註:100円ショップのような意味合い]チャーチル)」へのトリビュートとして、ジョンソン氏の「Watermelon smile(スイカの微笑み)」「Letterbox(レターボックス)」、そしてジャーナリストの質問に答えずに冷蔵庫に隠れた瞬間などの名言をもとに、一連のNFTを作成した。

また、英国でパンデミックのロックダウンの最中に、No.10(官邸)でパーティーを開きチーズやワインをふるまっていたという、最新の論争も風刺している。この「2ビットの政治家の8ビット画像」はすべて初版となる。

Pfeffel氏は、クリスマスシーズンに英国の路上で生活するホームレスの人々を支援する慈善団体「Crisis at Christmas」に、NTFオークションの利益を寄付することを約束した。

確かにNFTのアーティストにとって、ジョンソン氏のネタはいくらでもある。

​​ジョンソン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックに関して「fuck business(ビジネスなんてクソ食らえ)」や「let the body pile up(死体を山積みにしてしまえ)」というような言葉を使ったことで有名になり、「配慮と良心のない」政治家としての評価が高まっている。また、英国の援助予算を削減し、同国は彼の任期中に欧州で最も新型コロナによる死亡率が高くなり、G7の中で最も深刻な経済不振に陥っている。

Pfeffel氏はTechCrunchに語った。「悪魔を懲らしめる方法のひとつは、彼を笑うことです。私のアートはジョンソン氏を笑い飛ばします。これらのNFTが、死体が山積みになっているのにパーティーを楽しんでいるように見える政府から忘れ去られた路上の人々の苦しみを、何らかの形で和らげる手助けになることを期待しています」。

オークションは、英国時間12月21日正午(日本時間12月21日午後9時)に開始され、大晦日の正午に終了する。

オークションの最新情報は、こちらのTwitterでご覧いただける

画像クレジット:Non Fungible Tories – The Boris Drop

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

有権者へのスパムメール送信で英首相ボリス・ジョンソン氏の保守党に罰金

英国の政権与党である保守党がスパムメールを送信したとして、国のデータ保護監視機関から1万ポンド(約156万円)の罰金を科せられた。

情報委員会(ICO)は、Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)首相の名前で送信された迷惑なマーケティングメールを受け取った51人の受信者からの苦情をきっかけに調査を行い、保守党に制裁措置を取った。

問題のメールは、ジョンソン氏が党首に選出された後(つまり英国首相になった後)の2019年7月の8日間に送信され、受信者を保守党への入党サイトに誘導し、リンクをクリックするよう促すものだった。

英国では、ダイレクトマーケティングはPECR(Privacy and Electronic Communications Regulations)で規制されている。デジタルマーケティングのメールを配信する際、送信者は個人の同意を得ることが義務付けられている。

だがICOの調査によると、保守党にはPECRに関するポリシーがなく、自分たちの「正当な利益」がこの種のダイレクトマーケティングの送信に関する法の要請を上回るという誤った前提のもとで運営されていたようだ。

また、同党はバルクメールのプロバイダーを変更していた。その際、配信停止の記録が失われたようだ。だがもちろん、それは法律違反の言い訳にはならない。特に2018年にEU一般データ保護規則が国内法に移行されてからは、記録保持は英国のデータ保護法の中核的な要件となっている。ICOは、保守党が自身の何が悪かったのかについて、適切に説明できなかったことを明らかにした。

さらに、保守党がスパムメールを送信していた当時、ICOがいう「詳細な関与」が行われていたことも明らかになった。

これは、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルを受け、オンライン政治広告のエコシステムと倫理を調査するために規制当局が行った広範な活動の結果だ。保守党はすでに、データ保護法とプライバシー法の遵守に関する基準が不適切だと警告されていた。だが党はとにかく人々にスパムメールを送り続けた。

ボリス・ジョンソン氏からのスパムメールに関して、個々の受信者からICOに寄せられた苦情は「たった」51件だったが、ICOは、保守党が2019年7月24日から31日の間に送信した100万通以上(119万280通)のダイレクトマーケティングメールについて、適切な同意を得ていたと十分に証明できなかったと判断した(ICOは、党員以外に送られた少なくとも54万9030通は、51人の苦情申立者に送られたメールで確認されたのと同じコンプライアンス上の問題を抱えている可能性が「本質的に高い」との見解を示した)。

さらに党は、2019年の総選挙(冬の投票でジョンソンが地滑り的に過半数の80議席を獲得した)を前に、スパムエンジンを止めず、法律を軽視し続けていた。

「委員による調査期間中、党は2019年の総選挙キャンペーン中に大規模なダイレクトマーケティングメールの実施を進め、約2300万通のメールを送信した」とICOは指摘している。「これにより、委員へさらに95件の苦情が寄せられた。これは、2019年7月の電子メールキャンペーンに関する委員の調査や、党の個人データの処理に関する広範な監査で確認されたコンプライアンス上の問題に、党が対処しなかったことに起因すると考えられる」。

報告書には、保守党が情報提供や説明に応じる際の「大幅な遅延」についても記されている。党が調査を妨害したとは認められなかったものの、規制当局はその行為が「罪を緩和する要因になるとは言えない」と述べている。

ICOの処分は、ボリス・ジョンソン氏率いる英保守党にとっては恥ずべきものだ。しかし、2020年ICOが発表した英国の主要政党を対象としたデータ監査では、すべての政党が有権者情報の取り扱いと保護に問題があるとされた。

だが、保守党が前回の選挙で権力を握ることができたのは、オンライン上の人々のデータとプライバシーに対する同党の迅速かつ甘い態度があったからに他ならない。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:英国スパムメールボリス・ジョンソン罰金

画像クレジット:Christof Schmitt / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi