MITのブロック型ロボットは相互通信によって集団行動

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(コンピューターサイエンスと人工知能研究所、 SAIL)が考案したこのキューブ状のロボットは、自力で移動し、お互いとコミュニケーションして協調しながら自分たちを何らかの構造物へ組み立てる。その振る舞いをMITの研究者たちは蜂の巣作りみたいだと述べた。ビデオを見るとその様子がよく分かる。


このキューブ状のロボットは平らな面の上を転がったり、お互いの上や向こう側に行ったり、短い距離をジャンプしたりする。そして最近の改良で簡単なコミュニケーションができるようになった。固有のバーコードを自分のIDとして持っているので、互いに個体を同定できる。16のブロックが自分のコミュニケーションシステムを使い、自力で動き回って仕事をする。主な仕事はさまざまな形状を作ることだが、矢印や光線に従うこともできる。

今の彼らにできることはごく限られているが、研究者たちが夢見ているのは、このような自己組み立て型ロボットが、災害時などに自力で橋や傾斜路や階段などになってくれることだ。それにもちろん、もっと世俗的なアプリケーション、例えばゲームなどに応用しても面白いと彼らは感じている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Twitterのフェイクアカウント停止数は昨年の倍、5-6月は7000万に達した

人びとのあいだに不和を助長するような、政治的なナンセンスをツイートし続けているボットたちに、最後の日が訪れるかもしれない。The Washington Postが金曜日(米国時間7/6)に、Twitterは最近の数か月、同プラットホーム上にはびこり拡散している偽情報を摘み取るために、多くのアカウントを停止した、と報じた。

そのThe Washington Postの記事によると、Twitterは今年の5月から6月にかけて、7000万のアカウントを停止し、その勢いは7月に入っても衰えていない。同紙が入手したデータによると、5月半ばのボットの活動がとくに激しかった週には、1300万のアカウントを停止した。

同紙の情報筋によると、アカウント停止の急増は、各種ソーシャルプラットホーム上のロシア起源の偽情報に対する、議会の調査に呼応する動きだ。記事によるとTwitterは、“Operation Megaphone”と呼ばれる社内プロジェクトで、ボットなどの‘フェイクアカウント’を調査している。それにより同社は、疑わしいアカウントを買収して、それらのコネクション(つながり)を調べている。

TwitteはThe Washington Postの記事について関連情報を提供しなかったが、しかし教えてくれた先週のブログ記事には、同社のブログ退治努力に関するそのほかの数字が載っている。それによると、2018年5月にTwitterは、990万あまりの疑わしいアカウントを見つけたが、それは前年同月の3倍である。

チャート提供: Twitter

Twitterが、疑わしいと思われるアカウントを見つけたら、そこに電話をするなどして、それが本物の人間のアカウントであるか調べる。そのテストに不合格だったアカウントは不能にされ、パスしたアカウントは復帰する。

Twitterの最近のブログ記事によると、ボットは自分を本物と見せかけるために、フォロワー数を人工的に多くすることがある。

“これらの改良の結果、ご自分のアカウントの数値が正常に変わるようになった方もおられる”、とTwitterは警告している。同社によると、フェイクアカウントを取り締まることによって、“悪意のある人びと”が自分の数値を簡単に膨らまして自分のコンテンツやアカウントを宣伝することができなくなる。しかし、そうやってユーザーをプラットホームから追い出すと、一時的には、Twitterにとって重要な数字である月間アクティブユーザーが落ち込むリスクもある。

WP紙のその記事によると、Twitterの社内にも、ボット取り締まりの結果、今年のQ2のアクティブユーザー数が落ち込む、と予想しているスタッフがいる。でもそれは、あくまでも一時的で、ごくわずかな落ち込みである。Facebookもロシアのボットをめぐる不祥事とそれに対する、コンテンツとユーザー体験の‘大掃除作業’の結果、ユーザーエンゲージメントの落ち込みが予想される。それはどちらの場合も、有意義なトレードオフだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のカスタマーサービスをAI化したボットで助けるAgent IQが$6.3Mを調達

人間のカスタマーサービスが電話に出る前に、顧客がボットの相手をしなければならない企業がよくあるが、けっこう、いらつくものが多い。基本的な仕分けをボットがやって、専門的な話を人間がするのは良いが、いつまでもいつまでも人間が出てこないのはアタマにくる。そこで、カスタマーサービス用のボットを作っているAgent IQは今日(米国時間2/22)、シリーズAの630万ドルの資金調達を発表して、同社のボットの質をさらに高めようとしている。

このラウンドはSierra Venturesがリードし、CRCMとRubicon Venture Capitalが参加した。これにより、同社への投資の総額は850万ドルになる。

Agent IQのルーツは、Nikeのマーケティングプログラムだ。顧客はそのチャットアプリに“Hey Nike”とタイプしてボットとコミュニケーションする。CEOでファウンダーのCraig Davisによると、初期のそのプログラムをベースにしてAgent IQを作っていった。そのとき悟ったのは、ボットやエージェントがただのボット/エージェントなら、顧客を満足させられない、ということだ。顧客が満足するカスタマーサービスは、テクノロジーと人間のブレンドだ。

彼が各社のカスタマーサービスセンターを訪ねてみて分かったのは、苦痛なのは顧客の側だけではない、ということだ。人間社員は、同じ質問の繰り返しで退屈しており、楽しくない。課題に挑戦するおもしろさもない。しかも、めったにない珍しい質問に答えるときには、会社のあちこちにばらばらに散在する、互いに異質な複数のシステムを調べる必要がある。画面をいろんなシステムのウィンドウだらけにして、互いに異なるコンテンツレポジトリを行き来し、問題への正解を見つけなければならない。これが、たいへんな作業である。

写真提供: Agent IQ

Davisは説明する: “ボットよりも人間を助けることが重要だ。過去の会話や、学習した新しい知識に基づいて、答を提案してやるのだ。調べる苦労を、軽くしてやる。Agent IQは、会話のコンテキストに基づいて知識ベースの記事を人間カスタマーサービスに提示する。記事の選択には、人工知能と機会学習を利用する。

Davisは、自分がSalesforceやOracleのような大物と競合していることは分かっているが、しかし彼によると、彼の会社のソリューションは最新の技術でゼロから作ったものだから、そういうおなじみの顔ぶれたちよりも進んでいる、という。“たとえばAIだけど、彼らは何年も後れているし、もともと彼らのルーツはカスタマーサービスのプラットホームだ。彼らはそこからシームレスな移行ができないし、うちが提供しているようなクローズドループなAI学習ができない”、とDavisは主張する。

彼はまた、同じような価値提案を提供しているスタートアップ、Digital Geniusなどとも競合関係にある。

同社は現在、社員20名で、顧客は14社、DavisによるといずれもFortune 1000社で、年に50万ドル以上を払っている。今度の資金で、営業の拡大とカスタマーサクセスチームの構築をしたい、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitterがロシアに結びついた選挙妨害ボットの数を13000から50000にアップデート

Twitterが、2016年の同プラットホーム上における、ロシアによる選挙妨害に関する調査結果の詳細をアップデートした。選挙関連のツイートをしたロシアと結びつきのあるボットの数13000あまりは、トータルで50000あまりとなった。同じく昨年秋の報告で1000だった、今や悪名高いInternet Research Agency(IRA)によるボットの数は、3800になった。

しかしそれでもTwitterは、これらのアカウントは重大な問題ではない、と言っている:

この追加調査の結果は、これまでの結果と整合している: ロシアに結びついている選挙関連の自動化コンテンツは、2016年の選挙に先立つ10週間におけるTwitter上の全アクティビティの、きわめて小部分を表しているにすぎない。

それが微小であると強調したいためか、Twitterのブログ記事は話題を変えて、Twitter全体としてのボットや不審なアクティビティに対する対策努力を述べている。

なお、それら3800のIRAのボットは、10週間のあいだに約17万6000回ツイートし、うち15000弱が選挙関連だった。同じ期間に67万7775名が、これらのアカウントのどれかをフォローしたりリツイートし、そして通知された。

Twitter上のIRAボットによるコンテンツの例。

しかしある意味でそれは、バケツの水の一滴にすぎない。

同社は曰く: “2017年12月に私たちのシステムは、一週間あたり640万を超える不審なアカウントを見つけ、対応した。2017年の6月以降、私たちは弊社の規則に違反している22万あまりのアプリケーションを削除したが、それらは合わせて22億あまりの粗悪なツイートを発していた”。

すべてを同列に扱うことはできないが、それらは本格的な攻撃ではなくて、マーケティングのプロモーションであることが多い。そんな単純なスパマーが数万のボットを作って展開できるのなら、ロシアの諜報機関がもっと大量にそれをやらかすのは、朝飯前だろう。

もちろん、Facebook上の数はもっと大きい。Facebook上でトロルのアカウントにやられた人は、約1億5000万人と推計されている。

最後にTwitterは、2018年の選挙〔中間選挙〕をもっと妨害に強くするための対策の一部を説明している。その妨害は、規模はそれほどでもなかったとしても、確かに予想以上に広範囲に及んでいた。

今年の同社の対策の中には、候補者全員の検証がある。また、なりすましやハイジャックを防ぎ、情報の操作やボットの仕業を防ぐために、選挙関連の会話を詳しくモニタしていく。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitterのツイートスレッドを読みやすいテキストに変えるボットThread Reader App

Twitterというプラットホームは、人によって好き嫌いが激しいが、しかし愛が激しくても憎が激しくても、それらがときどき、Twitterの上にホットでリアルで有意義な議論が展開されるきっかけになる。Twitterの上で時間と人生を消耗することが多いのも、そんな議論が気になってしまうからだ。

ブログは、どうだったか? そこでは、ソーシャルメディア上の痙攣と発作の連鎖ではなくて、センテンス(文)とパラグラフ(段落)で考えを述べる。それが、昔はありえたのだ。そしてここでご紹介するものも、それに近い。

そのThread Reader App(@threadreaderapp)と呼ばれるTwitterボットは、読みづらいTwitter上の暴言怒号の連鎖をふつうのテキストに変えて、簡素でノーマルなページに載せる。以下のツイートは、このアプリの取扱説明書だ。

ツイートの嵐をブログ形式にするためには、@threadreaderappにキーワード“unroll”でリプライする。ツイート数の多いスレッドは扱いにくいものだが、それらがテキストの塊になると、とても読みやすくなる。

このボットにはChromeの拡張機能があって、テキストへの変換作業を一連のクリックでできる。ぼくはまだ実際に試してないが、気に入ったら作者に寄付をしよう

でもTwitterは、良いスレッドとくだらないスレッドが1対100ぐらいだ。それに、200人以上もの人たちが、まったく同じことをオウム返ししているスレッドもある。Thread Reader Appのトレンドページによると、選挙時に、虚偽とデマに基づくヒラリーの悪評をTwitterで広めたフェイクニュース集団Pizzagateも、ツイートの嵐を読みやすいブログ形式に変えることが好きだったそうだ。

しかし、illuminatiによる世界制覇説*を信じてないぼくらでも、Twitterのスレッドがもっと読みやすくなることは歓迎だね。〔*: Twitter上には自称illuminatiがたくさんいる。小説/映画『ダ・ヴィンチ・コード』で大衆的に有名になった。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PayPal初の支払いボットがSlackに登場

screen-shot-2017-02-07-at-10-43-37-am

今日(米国時間2/7)午前PayPalは、Slackユーザーがチャット画面を離れることなく簡単に支払いができるボットを公開した。PayPalがボットを提供するのはこれが初めてだが、同社によると大手コミュニケーションサービスと統合するのは初めてではない。

例えば昨年の秋PayPalはfacebook Messengerとの連携を強化し、ユーザーがチャットアプリ内で取引を追跡できるようにした。またMessenger内で自前のチャットボットを使って取引きする店舗の支援も行っている。

PayPal自身も、AppleのSiri、MicrosoftのOutolook.com等の大型プラットフォームと統合している。

screen-shot-2017-02-07-at-10-44-32-am

SiriやOutlookのケースと同じく、PalPalのSlackボットはエンドユーザーを直接ターゲットにしている。PayPalボットはSlackのApp Directoryからダウンロード可能で、インストール後は、”/PayPal send $5 to @Dave.” 等とタイプするだけで送金できる。

このボットは、例えば同僚同士でランチを割り勘にしたり、コーヒーを注文したり、タクシー代を払ったり、グループでプレゼントを贈る等、簡単なピアツーピア支払いのための利用を想定している。

使用する前には、ボットを自分のPayPalアカウントにリンクして、取引きの確認や承認をいつ行うか等を設定する必要があるとPayPalは言っている。

PayPalの狙いは、毎日Slackを使っている500万人のユーザーで、ボットのデビューにこのプラットフォームを選んだ理由でもある。規模だけでなく、早期にSlackユーザーのお気に入りの支払いサービスとしての地位を確保することで将来の成長と拡大に勢いがつく。今Slackはエンタープライズ分野に野心を見せており、つい最近大企業をターゲットにEnterprise Gridを発表した。

ピアツーピア支払いはPalPalで最も多く利用されている機能で、2015年の総取扱い高は傘下のVenmoとXoomを合わせて410億ドルに上る。

PayPalボットは、オーストラリア、カナダ、米国および英国のSlackユーザーに公開されている。

【日本語版注:日本からはアプリのインストールはできるがアカウントのリンクでエラーになり使用できない】

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIの学習手法は人間の教育にも応用可能

Medical Research with Molecule as a Concept

気づけば身の回りには人工知能だらけといった状況だ。車にも家にも、もちろんポケットの中にも人工知能がある。IBMはWatson(ワトソン)に「理屈」を教え、さらに自らも「理屈」を学び得るように育てている。情報を知識に変え、たとえば医療分野で情報に基づいたさまざまな判断を下せるようにしているのだ。

トップ企業がプロダクトにAIを埋め込み(Siri、Alexa、Googleアシスタントなど)、スマートフォンをより便利にし、さらに急速に広がりつつあるホームアシスタント市場で存在をアピールしている。

そうした人工知能ツールは、次第により適切な解答を出すことができるようになりつつある。ひいては、利用者がよりスマートに振る舞えるようになってきているのだ。ところで、常に大量の情報やインテリジェンスが自分の手元に存在する時代を迎えて、教育は変わらなくて良いのだろうか。事実や数字を覚えこませるのではなく、そうした情報を発見する方法を教えるようにすべきなのではないか。現在AIに対して行うようになっているように、「どのように学ぶのか」を教えていく必要があると思うのだ。

残念ながら、今のところの教育スタイルは時代に追いついていないと言わざるを得ない。何百年も続いてきた旧来の方法に拘泥し、学校や教師は知識を与えるものだとされている。しかし、生徒自らが、たとえばAlexaを通じて必要な情報を何でも入手できる時代に、学校や教師の役割が旧態依然としたもので良いのだろうか。時代の流れを把握して、ただ情報を与えるだけの教育システムを変えて移行とするフィンランドのような国もある。生徒たちはグループで課題に取り組み、そして問題解決の方法を学んでいくのだ。教師の役割は、生徒自らが学んでいくのを手助けすることになる。そうして思考の柔軟性を身につけ、さらに学び続ける能力を身に着けていくこととなるのだ。世界経済フォーラム(The World Economic Forum)は、小学校に入学する生徒の65%は現在存在しない職につくことになるとしている。そうした時代への対応力を磨く教育が必要となっているのだ。

コンピューターのちからを利用して、人間の知性がクラウド化するような時代を迎えつつある。意識しているか否かに関係なく、私たちは「バイオニック」な存在になりつつあるのだ。私たちの感覚や身体的機能は、コンピューターやスマートフォンと連携して強化されることとなっている(記憶やデータ処理の一部を代行して、脳の負担を軽減してもいる)。AIは確かに人類をスマート化しつつある。人間のちからだけでは不可能だった情報処理能力を与えてくれているのだ。

AIトレーナーの目標は、コンピューターが自身で学び始めるシンギュラリティに到達すること。

ほんの少し前まで、何か情報が必要であれば図書館に出かけて司書や書籍のインデックスを頼って探すしかなかった。参考になりそうな本を見つけ、その本に探している情報が記されていることを願いながらページを繰っていたのだ。膨大な時間をかけて、マイクロフィルムで記事や写真を探したりもした。現在ではパーソナルアシスタントに尋ねれば、あっという間に情報が手元にやってくるようになった。

ただし、パーソナルアシスタントでは対応できない問題というものもある。そうした場合には自らが検索エンジンを利用して情報を探すこととなる。ここで、アクティブ・ラーニング(self-learning)が重要となってくる。検索エンジンを活用する場合、まず正しい語句を使って検索するテクニックが必要となる。そして役に立ちそうな情報を取捨選択して、情報の正しさをきちんと判断しなければならないのだ。「インターネットで見つけたから正しい」などということはなく、情報の正しさや有用性を判断するのは、検索者の側にまかされているのだ。

コンピューターの能力は高度化して、そして価格は安くなっている。また大量のデータも入手できるようになった。そうした中でAIの分野が大いに賑わってきているのだ。ディープラーニングの成功を導くのに必要な、ニューラルネットワークの構築が効率的に行えるようになってきているのだ。CB Insightsの情報によれば、ベンチャーキャピタルが投資する企業の2%が、AIアルゴリズムの強化に携わっているのだそうだ。「いかに学ぶかを学習する」という点に、多くのベンチャーが注力しているのだ。その方法を学んでこそ、アクセス可能な膨大な情報の中から正しく学ぶことが可能となるのだ。

screenshot-2016-11-12-22-09-06

しかしGlobal Future CouncilでAIおよびロボット部門の共同議長を務めるMary Cummingsによると、「人工知能は期待に沿う能力を発揮できていない」としている。自ら学ぶ能力は未だ発展途上で、現在のところは人間が手を貸して、仕事効率を挙げる程度の使い方に留まっているというのだ。確かに、それが現在の状況だろう。ニューラルネットワークのちからを存分に活用するGoogleの検索エンジンも、人がそれを活用してこそ仕事に役立つようになっている。

ホモサピエンスが最初に道具を創りだして以来、私たちは生活のために新しい道具の使い方を学習し続けてきた。ときに、作業は完全にテクノロジーにより行われるようになったものもある。人類はそうした状況にも適応し、自分たちの能力を発揮する方向を見つけてきているのだ。ただ、現代になって変化のスピードは急速に上がっている。

AIはシンギュラリティを目指している。人工知能自らが情報を取捨選択して学習を続けていくような世界の実現を目指しているのだ。世界に「スーパーインテリジェンス」を登場させようと狙っているわけだ。そうした時代はまだ少々先のことのようだが、AIに対する教育方法は人類に対しても使えるのではないかと思う。AIに実現させようとしているように、人類の教育でも「自ら学ぶ」ことを強化していく必要がある。そうしたトレーニングを経て、人類は新たなテクノロジーを制御して、それを最大限に活用できるようになっていくのだ。世界経済フォーラムのレポートにもあるように、「創造性をさらに磨き、これから訪れる変化に備える必要がある」のだ。21世紀、AI時代の人材を育てるために、ふさわしい教育システムというものがあるはずだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SisenseのSlack, Skype, Facebook Messenger, Telegram用ボットはBIへのアクセスを非技術系一般社員にまで日常化・民主化する

facebook-bot

複数のデータソースを結びつけてそれらを単一のダッシュボード上に要約するSisenseは、データとの対話性を広げる技術に積極的に挑戦する。この前はAmazon Echoとの統合を発表し、ユーザーがAlexaにデータをリクエストできるようにした。

そして今日は、ボットの統合。対象がEchoからメッセージングアプリに変わった。今日のリリースがサポートしているのは、Slack, Skype, Facebook Messenger, Telegramという、定番中の定番だ。

SisenseのCEO Amir Oradによると、“最初にこの4つをパートナーとして選んだのは、企業ユーザーがとても多くて、ほとんどの企業が使っているからだ。いずれもAPIがあるから、これらのメッセージングシステムにSisenseのような外部システムがアクセスできる。このようなオープンなプラットホームこそが、企業経営の未来であり、コラボレーションの原動力だ”、という。

ユーザーは、質問をしたり、単純なリストから選択をしたりする。Slackの統合では、誰かが営業データのチャートをシェアしたら、ユーザーは“See Widget”(ウィジェットを見る)や“See Dashboard”(ダッシュボードを見る)選べる。ウィジェットを選んだら、アナリシスのウィジェットがチャートのインサイト(insight, データの奥深い意味)を提供するだろう。

Sisense Slack bot.

写真提供t: Sisense

ボットのメリットは、ソフトウェアビジネスのワークフローにインテリジェンスを持ち込むだけではない。巧みな設計のボットの真の長所は、ソフトウェアそのものの複雑性を隠してくれることだ。

“セルフサービスタイプのサービスと、データの視覚化技術によって、非技術系のユーザーでもデータを日常的に使いこなせるようになった。うちのようなビジネスインテリジェンス(BI)・ボットは、そういうセルフサービスの上で、日常の仕事環境にデータのインサイト(データの洞察的意味)を直接提供する。〔宿主であるSlackなどの上で日常的にBIを提供する。〕

いちいち、何かをクリックしたり、セレクトしたり、ときにはコピー&ペーストしたり、という、ここ30年間のソフトウェアとの対話方式と違って、対話的操作がより会話に近いものになる。ボットは、自然言語によるソフトウェアとの対話に似た感覚を与え、うまく行けばソフトウェアの隠れた価値を浮かび上がらせる。直接、非技術系のユーザーに対して。

一見ギミックのようだが、実は、Sisenseなどが提供するデータを、顧客企業内のできるだけ多くの人びとに届ける、クリエイティブな方法だ。このようなツールは、データへのアクセスを大幅に民主化し、しかもデータのエキスパートの手を煩わせずに、情報への広範なアクセスを(スタッフだけでなく)ラインのビジネスユーザーにも与える。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

誰でも簡単にチャットボットを作れるOctane AIにGeneral Catalystが150万ドルを投資

octane-add-feature

ボットが熱い。Facebookが今春のF8でチャットボットを持ち込んだことをきっかけに、今では、企業のカスタマーサービスのページ、eコマース、エンタテイメントなどなど、犬も歩けばボットに当たるご時世になった。

でも、有能なデベロッパーを抱えてない個人や零細企業は、どうやってボットを作ればよいのか?

そこで、Octane AIが登場。それは、メディア界の名士Ben Parrと、起業マニアのMatt Schlicht、そしてOmegleのファウンダーLeif K-Brooksが作ったスタートアップだ。彼らは、人気の高いFacebookグループデジタルマガジンで、ボット界の名士にもなった。

WixやWeeblyは万人向けのWebサイトデザインツールだが、Octane AIはそれらのチャットボット版だ。まるで幼児用お絵かきページのように、簡単にボットを作れる。私にもできた。簡単な挨拶をするだけの、ボットだけどね。

Evernoteの協同ファウンダーでGeneral CatalystのパートナーPhil Libinが、なんでOctaneに150万ドルも投資するのか、説明してくれた。彼の説では、“ボットはテクノロジーと対話するためのとっても自然な方法だ”。しかもOctaneは、ファウンダーたちのまわりに、すでにコミュニティができていることにも、感心した。

50 CentやAerosmithなど、すでに強力な顧客もいるOctaneは、今はFacebookに力を入れつつ、今後はSMSやiMessage、Slack、一般のWebサイトにも手を広げていきたい、と言っている。

“これは大企業だけでなく、誰にも必要なものだと思う”、とSchlichtは語る。

ボットは単なるギミック…手先の小細工…ではない、と信ずるParrは曰く、“時間を節約できるからね、実際に。そして、タイム・イズ・マネーだよ。あらゆる企業が、使って得をするツールだな”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Wikipediaの上ではボットたちが毎日のように喧嘩している

bots-glitch

ボットはWikipediaの便利なツールだ: 彼らは編集結果をアンドゥーする破壊行為を見つけ、リンクを加え、人間のご主人様が命じた面倒な仕事をこなす。でも、彼らのような自動化されたヘルパーたちですら、争いに巻き込まれ、同じ記事の上でお互いに、書いたり消したりを繰り返す。中には、長年続いている抗争もある。

それは必ずしも、本格的な戦争ではない。むしろ、家庭で繰り広げられる、エアコンの温度設定をめぐる争いに似ている。誰かが70度(華氏)にセットする。次の日にルームメートが71度にセット。翌日70に戻す。また71にされる。その繰り返しだ。必ずしも緊急の問題ではないが、オックスフォード大学のアラン・チューリング研究所(Alan Turing Institute)の研究者たちによると、それでも研究に値する。彼らは、単純なボットでも予想外の対話的行為に及ぶことがある、という。

彼らは10年間にわたる編集履歴を調べ、ボットがやることは、いろんな点で人間がやることとは違う、ということに気づいた。

ボットたちは機能が単純だから、自分がやってることの意味を知らない。2体のボットが長年にわたって、同じ箇所のアンドゥー/リドゥーを繰り返していることもある。その記事はいつまでも更新されず、ボットが互いに相手がやったことをキャンセルしているだけだ。人間の場合は、ミッション意識があるので、互いに相手を消し合うことはなく、一人の人間が他人の仕事の数百箇所を変えても、何も言われないこともある。

botbattles

English Wikipedia is by far the largest, and has the most total, but Portuguese bots reverted more often.

ボットが互いに相手の編集結果を消す/元に戻す行為は、国によって激しさが違う。10年間で、ドイツのボットは比較的礼儀正しく、お互い消し合う行為は、ボット1体につき平均約32回だった(1年平均3.2回)。逆に激しいのがポルトガル、ボット1体あたり188回やりあっている。それが何を意味するか、その解釈は読者にお任せしよう。

結局のところ、このような些細な小競り合いは、重大な結果には行き着かない。しかし研究者たちによると、それは、Wikipediaがとても注意深くコントロールされている環境だからだ。でも、少人数のお行儀の良い、公認のボットでも、抗争はつねにあり、それらは往々にして複雑、そして変化が激しい。野放しの環境では、もっとひどいだろう。研究者たちは、これは人工知能の分野の人たちにも参考になるはずだ、と述べている:

互いの相違を管理でき、不毛な抗争を避け、社会的かつ道徳的に許せるやり方で仕事ができる協力的ボットを設計するためには、何がどうやって、ボット間の対話的行為〔抗争など〕の契機になるのかを理解することが、きわめて重要である。

研究報告書“Even Good Bots Fight”(善良なボットでもファイトする)は、Arxivで無料で入手できる

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自然言語によるコンピューターとの会話を実現するAPI集のAPI.AIをGoogleが買収

api

Googleが今日(米国時間9/1)、API.AIのチームをスカウトしたことを公表した。API.AIは、Siriのような自然言語で会話できるボットをデベロッパーが作るためのツールを提供している。

コンピューターと違って人間には、まあまあのコミュニケーション能力がある。だれかが、“the girl saw a man with the binoculars”と言ったら、われわれは文脈的知識を動員して、「女の子が双眼鏡で男を見た」のか、それとも「女の子が双眼鏡を持ってる男を見た」のか、どちらであるかを正しく判断できる。

ロボットに同じことをやらせるのは、とても難しい。誰かが“get me a lift”と言ったらそれは、「同乗(相乗り)させてくれ」と言ってるのか、それとも「(Uberのライバル)Lyftを呼んでくれ」と言ってるのか? こういう曖昧さが加わると、同じひとつのことを言うのに、無限に多くの言い方がある。コンピューターにとっては、超難題だ。

API.AIは、デベロッパーたちが限りなく車輪を再発明するのを防ぐために、この難問を解決するボットを作るためのツール、というかAPIを提供する。それらは、音声認識や意図認識、文脈(コンテキスト)管理などのAPIで、デベロッパーはそこに、ユーザーの業種業界に特有の知識を付加することもできる。たとえば“deep dish”(深皿)とか“Chicago-style”(シカゴふう)などは、ピザ配達ロボットが必ず理解すべき言葉だ。

API.AIは現在、英語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語など15の言語/方言を扱える。

同社のホームページ上のカウンターの数字によると、API.AIはこれまで、30億件のAPIリクエストを処理している。またGoogleによると、自分の仕事にAPI.AIを使ったことのあるデベロッパーは6万を超えている。

今回の買収は、価額などが公表されていない。Crunchbaseによれば、API.AIはこれまで、約860万ドルの資金を調達している

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slackの単純な線形のメッセージ集合に文脈性と構造性を与えるSlackボットPingpad

Business people talking in office

昨年、消費者向けのモバイルアプリをローンチしたPingpadが、本日(米国時間8/9)方向転換をして、人気の高いエンタープライズコミュニケーションプラットホームであるSlackの機能を高めるコラボレーションツールを発表した。同社は、こちらに専念するために、消費者アプリを最近閉鎖した。

PingPadのファウンダーの一人であるRoss Mayfieldは、いわゆるEnterprise 2.0ブームの初期のころから活躍していて、2000年代の初めに登場してきたWebベースのツール、ブログやwikiを真似て、それらの機能を企業のコラボレーションツールにしよう、という趣旨のサービスSocialtextを立ち上げた。

Mayfieldは今回、そのときの経験をベースにして、Slackに欠けているものを提供しようとしている。それは総合的なコラボレーションツールで、彼が初期のころ参考にしたwikiのように、チームのメンバーにコンテキストと構造性を与える。言い換えると、Slackのあくまでも線形の会話から、話の脈絡を取り出す。

このSlackボットは、Slack上の会話を組織化して、検索やそのほかの利用が可能なドキュメントを作り出す。

このボットは、その後の会話からも情報を取り出して、リアルタイムでそれらのドキュメントに加える。またユーザー自身が、/noteなどのコマンドでコンテンツを加えることもできる。

Pingpad Slackbot organizing tasks by person and color coding them.

画像提供: Pingpad

Slackは、これまで多くの人が失敗したエンタープライズコラボレーションで成功し、その成功の鍵は、オープンなコミュニケーションプラットホームであり、またデベロッパーにとってもフレンドリーだったことにある。その成長に刺激されたPingpadは、方向転換を実験的なサイドプロジェクトとして開始したが、すぐに、Slackという馬に乗らない手はない、と悟った。

ビジネスモデルは、1チーム100ノートまでは無料、それ以降は、1ユーザー1か月あたり4ドルで、サポートは無制限だ。

Mayfieldは、彼が昔作ったマイクロブログツールSocialtext Signalsと、今のSlackがとてもよく似ている、と感じている。“SlackのメッセージボタンみたいなものはSocialtext Signalsにもあった。サードパーティアプリとの統合性も良かった。通知機能や、他のアプリとの対話機能、メッセージを送って記録されているデータを変えることもできた”、と彼は昔を振り返る。

2002年にローンチしたSocialtextは、その後2012年にPeoplefluentに買収されたが、今日のSlackほど大々的に、エンタープライズ市場を捉えることはできなかった。

Mayfieldは、今回のように、他のプラットホーム(Slack)に乗っかる形にはリスクがあることを認める。でも、Slackよりも前にコミュニケーション/コラボレーションツールを作ってきた彼は、Slackにある種の因縁を感じている。彼は、Slackに賭けてみたいのだ。この分野ですでに14年の経験がある彼は、今度はうまくいく、と感じている。

この、‘Slackのためのwiki’は、最初のステップにすぎない、と彼は言う。これが離陸したら、ほかのツールも作りたいし、スタンドアロンのモバイルアプリもいずれやりたい、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slackボットを多用したときの‘ノイズ的メッセージ’を解消するPersonal Workbot、これもSlackボットだけど

shutterstock_328559822

ボットという小さなコードの集まりは、たしかに便利な場合もあるし、Slackの場合は、ボットのおかげで単純なコミュニケーションツールがエンタープライズアプリケーションを集中管理するダッシュボードになってしまう。でも、日常いろんなボットを使っていると、メッセージングが多くなりすぎて、逆に仕事の邪魔になることもある。

このようなメッセージの混沌を管理するために、Workatoは今日(米国時間6/23)、Personal Workbotというツールをリリースした。それは、その人の仕事に関係のあるメッセージだけを、ダイレクトメッセージで配布する。

Slackは基本的に、チームがコミュニケーションするためのツールだが、チーム全体のアップデートをすべて各人が受け取っていると、メッセージングが仕事の効率を損なう巨大な時間泥棒になってしまうので、中にはボットを完全にオフにしてSlackを使っている人もいる。

最近Workatoに加わったテク業界のベテランBhaskar Royは、こう言う: “どれが重要なメッセージか、選り分けるのに時間がかかって、個人の生産性がガタ落ちになってしまうんだよ”。

Workatoも今年の1月に、Workbotという名前のSlackボットをローンチした。それはSlackをエンタープライズアプリケーションのためのコントロールセンターにしてしまうソフトウェアで、いろんなアプリケーションを使い分けながら仕事をしなければならない企業ユーザーにとって、便利なボットだった。これまでは、顧客のデータを見るためにSalesforceへ行き、サービスの記録を見るためにZendesk、経理のデータならQuickbooks、等々だったのが、 Workatoはそれらの情報をすべて、ひとつのチャネルへ運んでくれるのだ。

2000社近い企業がWorkbotを使うようになったころ、いろんなフィードバックが舞い込んできた。たしかにWorkatoはアプリケーションの統合という問題を解決し、多くのアプリケーションをSlackのチャネルに‘一本化’して、従来のようなメールの洪水をなくしてくれるのだが、別の問題も作り出してしまった。すべてのアプリケーションをワンチャネルにまとめてしまうと、今度はメッセージの洪水に悩まされるのだ。

そこで今度のボットPersonal Workbotは、一人一人に関係のあるメッセージを、グループのチャネルから分離して配布する。しかも仕事に関連する重要な情報は、サマリの形で提供する。たとえば、まだ対応してない重要なサポートの問題や、顧客の契約更新などだ。それらは毎朝、デファクトの‘トゥドゥリスト(to-do list)’のような形で配布される。

Workato personal workbot delivering a list of important info.

写真クレジット: Workato

そのためにPersonal Workbotが提供しているデフォルトのスクリプトが気に入らなければ、ユーザーがスクリプトを書くこともできる(recipesと呼ばれるスクリプト言語を使う)。その役割は、SlackのアドミンやITの人たちに押し付けてもよいだろう。

Workatoが発見したのは、アプリケーションの切り替えという問題を解決しようとすると、その背後にあるほかのいろんな問題が見えてくることだ。今日リリースしたソフトウェアは、それらの一つに答えるもので、Slackで受け取るメッセージを一人一人のユーザーがコントロールできるような、状態を作り出す。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

F8カンファレンスでFacebookが大々的にプッシュしたボットだが、ありのままに評価することが重要

2016-04-19-messengerbots

メジャープレイヤーがカンファレンスを開催するとメディアはしばらくそれに関する報道で埋まる。われわれはついつい、そのビジョンに釣り込まれてしまう。われわれの注意力が数日以上持続しないのがかえって幸いなぐらいだ。先週はFacebookがF8カンファレンスでビジョンを展開する番だった。FacebookはしゃにむにMessengerとMessengerボットを売り込もうとした

念のためにおさらいしておくと、FacebookのボットというのはMessenger上で作動するインターフェイスで、ある分野の自然言語を理解するようプログラムされている。各種企業やメディアがビジネス利用することが可能だ。会話できる機械といってももいい。一定の知能を備えており、学習することができる。使い込んでいくと個々のユーザーのニーズにより良く適合するようになる(少なくとも理論的にはそうなると期待されている)。

たいへん素晴らしい話のようだ。TechCrunchでも繰り返し取り上げた(私の記事も含まれている)。しかし私がいちばん気に入ったのは、Sarah Perez記者がカンファレンスで発表された3種類のMessengerボットを自身で試した記事だ。Sarahはボットの能力の低さにすっかりあきれていた。

Sarahが正しく指摘したとおり、ボット・テクノロジーはまだごく初期の段階にあり、あまり性急な期待をするべきではないのだろう。しかし先週のFacebookのように大々的なスケールでボットを売り込んだ場合、ユーザーはすぐさま役立つ機能を求めるのが普通だ。その期待に応えられないと新しいテクノロジーを好む貴重なアーリー・アダプターを失うリスクを冒すことになる。

私の抱いた大きな疑問はこうだ。Messengerボットは今後われわれの生活で中心的な地位を占めるようになるのだろうか? なるほど毎朝天気についてメッセージを送ってくれるボットは便利だろうが、それならiPhoneにインストールしてある天気予報アプリも同じ役割を果たしてくれる。しかも天気アプリの画像表示のほうがボットが送ってくるだらだらしたテキストよりはるかに分かりやすく、見た目もずっといい。

すべての情報をMessengerボットで得ようとすれば、友達や家族からの本当に重要なメッセージと紛れてしまうという事態が起きないだろうか? さらにはFacebookが「スポンサー・メッセージ」と呼ぶ広告メッセージの殺到を覚悟しなければならない。必要な会話スレッドを発見するためにメッセージの大群をかき分ける必要が生じるだろう。

Facebook Messengerは数あるチャット・クライアントの一つにすぎず、似たようなサービスは他にも多数ある。それらのライバルもやがてすべてがチャット・ボットを使うようになるのだろう。しかしMessengerのユーザー数は飛び抜けて多い。これまでもFacebookのユーザー数の多さが悪事を企む連中をたびたび惹きつけてきた。

いずれにせよ、現在のボットはコミュニケーションの手段としてまだ原始的な段階にある。長年の努力の結果アプリはきわめて機能が高くなり、使い勝手もスマートで見た目にも美しくなった。これに比べるとボットはインターネットから得られる情報が主としてテキスト・ベースだった時代へのひどい後退に見える。

チャットを多用するユーザーにとってはチャットの会話で用が足りるようになるのは便利だろう。一部のユーザーの間ではチャットの利用頻度が大きく上昇している。しかし、ある種の予測とは異なり、近い将来ボットがアプリを置き換えるようなことにはならないと思われる。

もちろんボットはアプリを消滅させないしウェブがなくなるなどという可能性もない。ボットはそもそもウェブやアプリとは別物だ。広告のチャンネルとしてもまったく異なる。Facebookがいかに大掛かりなキャンペーンを張ろうと、われわれはボットをあるがままに評価しなければならないだろう。

〔日本版〕記事中にリンクがある記事でPerez記者は「Facebookのチャット・ボットにはまだまだ改良が必要」と書いている。

Perez記者によれば、Springというアパレルショッピングのボットではシャツを探したにもかかわらず、3種類のシャツと1種類のTシャツ、セーターがそれぞれ推薦されたという。Ponchoという天気予報ボットはさらに悪く、「雨が降りそう?」と尋ねると「湿っていて温かい(Wet
and warm.)」と答えた。「『湿っている』というのは雨が降るという意味?」と尋ね返すとボットは「にゃーお」とネコの真似をするなど支離滅裂になった。CNNのニュースボットは全般的にややましだったが、アメリカ(U.S.)についての記事を要求したのに推薦されたのは「われわれ(us)」という単語を見出しに含む記事だった。筆頭には大昔に死んだ大物ギャングのマイヤー・ランスキーに関する記事が表示された。

Perez記者は「企業は顧客をひどく失望させるとそのユーザーを失う危険性がある」と書いている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

元Evernoteのフィル・リビン、最初のベンチャー投資先はチャット・ボットのスタートアップ、Begin

Phil Libin, chief executive officer of Evernote Corp., poses for a photograph prior to an interview at the New Economy Summit 2015 in Tokyo, Japan, on Tuesday, April 7, 2015. The conference, organized by the Japan Association of New Economy, will be held through April 8. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images

Evernoteの元CEOのフィル・リビンがGeneral Catalystのパートナーとなって最初のベンチャー投資を行った。現在はEngadgetの一部であるGDGTの共同ファウンダーで昨年9月にAOLを去ったRyan Blockが創立したチャット・ボット・サービスのBeginというスタートアップが投資先だ。

リビンとしては最初のボット企業への投資となるが、これが最後ではないはずだ。TechCrunchのインタビューに対して、リビンは「向こう数年、ボット企業に集中していく」と語った。メッセージ・プラットフォーム中で会話を効率化するボット・テクノロジーは波に乗っているが、Beginもそういうスタートアップの一つだ。Slackのケースでよく分かるように、リアルタイム・チャットの成長は目を見張るものがある。Facebook自身が今年のF8デベロッパー・カンファレンスでチャット・ボットのためのAPIを発表するものと見られている。

Beginはまだ小さいスタートアップで、われわれの主要な情報源はリビンだが、この会社について、「個人やチームが仕事を効率化するのを助けるチャット・ボットを開発している」という。Begin自身は投資情報も含め、会社の詳細についてまだ何も発表していない。

CEOのBlockは「むやみに仕事を増やすのがいいチームではない。いい仕事をするのがいいチームだ。Beginは今やっていることを何事によらずやりやすくする」とだけ述べた。

「Beginは規模の差はあれ、Slack、Facebook Messengerと同様にチャット・ボット・テクノロジーのパイオニアだ。会話のインターフェースの分野はまもなくビッグウェーブになる」とリビンは言う。Blockは「ボットのような会話的テクノロジーは伝統的なUIを置き換えることにはならないだろう。両者は相互補完的なものだ」と述べている。そうであっても「ユーザーがネットに接する時間の大半はボット・インターフェースを通じることになるだろう」とリビンはみている。「私の考えでは、ソフトウェア、特にボットはわれわれの代理としてコンピュータを動かし、われわれのストレスを大きく軽減してくれるはずだ」とBlockは述べた。

「ボットがアプリの新しい波だとよく言われるが、だからといって今までのアプリがなくなるわけではない。多くのボットがSlackやMessengerのような既存のチャット・プラットフォーム内で活躍するようになる。その一方でボット・テクノロジーをベースにした単独アプリも登場するだろう」とBlockは言う。

インタビューでリビンは今回の投資の背景とボット・テクノロジーに対する考えを詳しく述べた。【リビンのインタビューは原文参照】

画像:: Kiyoshi Ota/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftのAIボットTayがTwitterに復帰、再びスパムの大洪水、そしてまた眠らされる

screenshot-2016-03-30-14-58-001

MicrosoftのAIボット”Tay”は、インターネットによって人種差別主義者にさせられたために黙らされてしまったが、今日(米国時間3/29)Twitterに短時間戻り、スパムの熱弁を続行したが、すぐにまた沈黙した。

TayはMicrosoft Technology and ResearchとBingのチームが、会話による理解を研究するために作り、人間との対話から学ぶ能力がある、とされていた。しかしインターネットはご存知のとおりの現状だから、Tayはそこから大量の不適切な言葉を学び、そしてMicrosoftは、“調整”のためにしばらく眠らせておこう、と判断した。

ところが、すでにロボトミーを受けてしまったTayは、問題を自分の性質の一部にしてしまったようだ。Twitterのアカウントは彼女の21万5000人のフォロワーのタイムラインで満たされ、それはその呪わしい10分間に、毎秒7つのツイートがあったことに相当する。そのためいくつかのメッセージにより、”You are too fast, please take a rest…”(速すぎるよ、休んでください)というTwitterギャグが生まれた。

Screenshot 2016-03-30 15.04.48

Microsoftもこの暴発を見たらしくて、すぐにTayを再び黙らせ、そのAIのTwitterアカウントを非公開にした。今後は、承認がないかぎり誰もフォロワーになれない。そうなるとツイートの埋め込みもできないから、この記事ではスクリーンショットで我慢していただこう。

AIの黙示録(終末的破局)は、このように始まるのかな…

  1. screenshot-2016-03-30-14-57-45.png

  2. screenshot-2016-03-30-14-57-53.png

  3. screenshot-2016-03-30-14-58-00.png

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Analyticsにボットネットやクローラーからのトラフィックを除外する新機能

今日(米国時間7/30)、Google Analyticsに小さいが重要なアップデートがあった。ボットネットや検索クローラーからのトラフィックを簡単に除外できる機能がついに付け加えられた。この種のトラフィックがGoogle Analyticsのデータを大きく狂わせることがたびたびあった。

残念ながら、ボットネットによって偽のトラフィックを作りだすことは世界的にビッグビジネスになっており、ある調査によれば全インターネットのトラフィックの3分の1を占めるという。GoogleはIAB(インタラクティブ広告協議会)が毎月発表しているInternational Spiders & Bots Listを利用して既知のボット、クローラーからのトラフィックを判定する。このリストの年間購読料は高額で、IABの会員は4000ドル、非会員の場合1万4000ドルもする。

ユーザーがこの新機能を有効にすると、 Google Analyticsはリストに掲載されているUAからのトラフィックを自動的にフィルターし始める。これまではこうした操作は主に手作業で実行され、正確さを大いに欠いていた。これからはAnalyticsの設定画面に行ってこの機能を有効にするだけでよい。

当然予期されることだが、サイトによってはトラフィックの数値が落ちるだろう。しかし新しい数値の方が実態をよりよく表している。それでもまだ偽のトラフィックが混じっている可能性はあるが、すくなくとも先月までに判明しているボットからのトラフィックは除外されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+