Boxがデジタルトランスフォーメーションの恩恵を受けて成長予測を引き上げ

クラウドストレージサービスを提供するBox(ボックス)は、ウォールストリートにとって、そしておそらく一般的なエンタープライズソフトウェアとして、いつでもちょっと謎の存在だった。HR、CRM、ERPなどのクラウドツールに移行したベンダーたちとは異なり、Boxはクラウド内のコンテンツを管理する手段を開発している。他のエンタープライズソフトウェアよりも理解するのは多少難しいものの、ゆっくりと、しかし確実に、Boxはより利益を生み出す会社へと移行してきたと言えるだろう。

同社は米国時間8月26日に、2021年会計年度第2四半期(2020年4月1日〜7月31日)の決算報告(Boxリリース)を提出した。内容は堅調だった。実際、同社は1億9230万ドル(約204億3000万円)の収益を報告している。同社によれば、これは前年比11%の増加であり、アナリストの予想である1億8960万ドル(約201億5000万円)を上回っている。一方で年間を通しての収益予想も、7億6600万ドル〜7億6800万ドル(約814億1000万円〜約816億3000万円)の予想から、7億6700万〜7億7000万ドル(約815億2000万円〜約818億7000万円)の範囲に上方修正された。

こうした結果は、同社がその基盤を固めたことに伴って得られたものだ。忘れてはならないのは、Tartboard Valueが1年前に7.5%の株式を取得(未訳記事)したことだ。だがこの積極的な投資家がほぼ沈黙を守り続けてきた中で、新型コロナウイルスの感染蔓延が顧客をBoxの得意な方向でクラウドに迅速に移動させる強制力として機能したために、Boxは株主の忍耐に報いることができているようだ。

利益を出そう

BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・リービー)氏は、それまでの自分たちの努力を上回って、パンデミックがいかに企業の素早いクラウドへの移行を促したかについて(未訳記事)、あからさまに語ることにためらいがない。彼はデジタル企業として、従業員を在宅勤務へと移行させ、変わらない効率で働かせることができたという。なぜなら、Slack、Zoom、Oktaのようなツールがあったからであり、もちろんBoxもその役に立っている。

これらすべてが、パンデミックがもたらした非常に困難な時期を通じて(未訳記事)、ビジネスを継続し、さらには繁栄させるために役立っている。「この環境のなかで、そのように業務をできたことは幸運でした。これは、私たちが100%SaaSであり、ビジネスを遂行するための優れたデジタルエンジンを持っていることを助けてくれます」と彼は語った。

彼はさらに付け加えて、「同時に、お話してきましたように、私たちは利益率を向上させてきました。このため、ビジネスの効率性も劇的に向上し、結果として、全体として非常に力強い四半期となり、予想を上回る成長と予想を上回る利益率を実現できました。その結果、今年度後半の収益と利益の両方に対して目標を引き上げることができました」とリービー氏はTechCrunchに語った。

デジタル化しよう

Boxは、既存の顧客と新しい顧客が同じように、より迅速にクラウドに移行するのを観察しており、それが同社にとって有利に働いている。リービー氏は、企業たちが現在、短期および長期のデジタル戦略や、クラウドインフラストラクチャ、クラウドのセキュリティ、コンテンツなどを問わず、クラウドに移行すべき仕事を再評価していると考えている。

「お客さまは、最も重要なデータと最も重要なコンテンツをクラウドに移行できる方法を模索なさることになるでしょう。それが、私たちのお客さまの中で起きていることです」とリービー氏は述べている。

「クラウドにアクセスするかどうかを、もはや問題にする段階ではなく、今の問題は、どのクラウドにアクセスするかなのです。もちろん私たちは、現在目にしているような、データをクラウド環境に移動し、安全に管理し、ワークフローを推進し、アプリケーション間で統合できるようにしたい企業のみなさま向けに、私たちの主要なプラットフォームを構築することに、重点を置いてきました」と彼はいう。

この結果、この四半期で10万ドル(約1060万円)を超える大規模な取引の数が60%増加した。そして直近の四半期で、プラットフォームのユーザーは世界で10万を超えた。つまりこのアプローチは上手く行っているということだ。

作り続けよう

1世代前のSalesforce(セールスフォース)と同様に、Boxはサービスのプラットフォーム上に、自社製品セット(未訳記事)を開発することを決定した。これによって、顧客は暗号化、ワークフロー、メタデータといった基本サービスを利用して、独自のカスタマイズをおこなったり、Boxがすでに開発しているツールを利用して、フルセットのアプリケーションを構築することもできるようになった。

Salesforceの社長でCOOのBret Taylor(ブレット・テイラー)氏が最近TechCrunchに語ったたように、プラットフォームアプローチは会社の成功の不可欠な部分(未訳記事)であり、リービー氏はBoxに対しても同様な考えを持ち、それを彼の会社の成功の基本とも呼んでいる。

「そのプラットフォーム戦略がなければ、私たちはここにいなかったでしょう」と彼は語る。「私たちはBoxをプラットフォームアーキテクチャとして考え、そのプラットフォームに次々に多くの機能を組み込んできたために、現在この戦略的優位性がもたらされているのです」と彼はいう。

これは、Boxを使用する顧客の役に立つだけでなく、Box自身が新機能をより迅速に開発するのにも役立っている(未訳記事)。これはパンデミックの中で急速に変化する顧客の要求に素早く対応しなればらななかった同社にとって、間違いなく本質的なことだった。

リービー氏は、BoxのCEOとして15年間在籍しているが、それでも会社も市場もまだ始まったばかりだとみなしている。「チャンスは大きくなる一方ですし、それは私たちの製品やプラットフォームでこれまで以上に対処可能なものなのです。なので、私たちはまだデジタルトランスフォーメーションのごく初期の段階にいると思っていますし、現代的なドキュメントおよびコンテンツ管理の仕組みについても、最も初期の段階だと思っています」。

関連記事:Aaron Levie: ‘We have way too many manual processes in businesses’(未訳記事)

画像クレジッド:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:sako)

Boxでも2021年まで従業員の在宅勤務が可能に

リモートの長期化を計画している企業が、また1社増えた。Boxだ。

米国時間5月22日の朝、BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、今後も同社は「デジタルファーストの企業であり続ける」と発表した。具体的に同社が何をどうするのかはまだよくわからないが、重要なことのひとつは、Boxの社員は少なくとも2021年の1月まで「どこから仕事をしてもよい」ということだ。

オフィスを完全に捨てる、という意味ではない。今回の変化に関するブログ記事でレヴィ氏は、オフィスで仕事をしたい人はたくさんいる、また会社もオフィスというハブがあることの意義を十分に承知している、と書いている。彼によるとその意義とは「人と人が直接会えること、教え合えること、ネットワーキングとクリエイティビティが生まれること」だという。そこでBoxは、オフィスにも人がいるというハイブリッド方式を目指す。一方、今後の全社会議はすべてバーチャル、リモート雇用のための面接や新人研修は適宜調整、そして自分のホームオフィスを構えたい社員にはそのための経費を助成する。

このところ、在宅勤務やリモートワークを有効だと考える企業がますます増えているが、まだその本気の程度には差がある。BoxはGoogle(グーグル)やSpotifyと同じく2021年まで公式に認めるとしている。一方、SquareやTwitterは、それを恒久的な方針にした。

レヴィ氏は米国時間5月28日のExtra Crunch Liveでインタビューに応じる。その詳細はこちらに

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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Boxがファイル管理や注釈、共有など新コラボ機能を急遽追加、新型コロナ禍で

新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延によって6週間前に都市封鎖が始まったとき、Boxの幹部は状況を議論するために会議の席についた。もちろんそれぞれの部屋で。彼らは他の人たちと同じように、ウイルスに隔てられてはいたが、これは会社としてのBoxにとって重要な瞬間であると認識していた。

彼らは、デジタルトランスフォーメーションについて何年も語り続け、彼らのクラウドコンテンツ管理プラットフォームを顧客が利用できるよう支援を続けてきた。そして、何百万人もの働き手たちが自宅で働くとという極めて重要な瞬間に立ち会うことになったのだ。

BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・リービー)氏は、同社の幹部はいま目の前に見えているものが一時的な出来事なのか、それとも永遠に仕事を変えてしまうものなのかを判断しなければならなかったと述べている。

議論を重ねた結果、これは長期的に物事を変えていくのだという結論に達し、製品ロードマップを加速させることになった。「私たちは6週間前の時点で、これはビジネスの仕組みに関する長期的な変化になるだろうという結論に賭けることを決定しました。そして、もしその先各社のオフィスが再開されても、企業はこの種の出来事に対する回復力を持ちたい筈だ、と考えたのです」とリービー氏は説明した。

Boxの観点からは、それは重要な3つの方向として捉えられた。第一に従業員はファイルを安全に共有できる必要がある(Boxのスイートスポットそのもの)。次に、彼らは組織内外の人々と協力する必要がある。そして最後に、他のクラウドアプリケーションの内部で作業しているときに、Boxに保存されているファイルを操作するための最良の方法はどのようなものか?

これらはすべて、リービー氏が長年話し続けてきたシナリオであり、ある程度はBoxがすでに提供していたものだ。しかし、彼らはいくつかの新機能を追加しながら、すべてを強化したいと考えたのだ。まず第一に、ユーザーがファイルのやり取りやを共有やすくするために、すっきりとしたインターフェースを提供する。

また、Collection(コレクション)と呼ばれる新機能を使用して、ユーザーがそれらのファイルを整理できるようにする。これにより、ユーザーはファイルとフォルダーを意味のある方法でグループ化することができる。これは個人ベースで整理されるものだが、組織内でコレクションを公開できるようにして欲しいという要求がすでに聞こえ始めており、将来的には何らかの対応が行われるとリービー氏は述べている。

次に、注釈機能を追加して、ファイルに対して単一の編集者として、またはグループディスカッションの形でコメントを簡単に追加できるようにする。Google Docsのコラボレーションツールのようなものだが、どのようなドキュメントでも、個人やグループがリアルタイムでリモートでファイルにコメントすることができる。これは多くの人が今現在必要としているものだ。

画像クレジット:Box

そして最後に、外部のパートナーや顧客と、特別なランディングページからBox内のファイルを共有できるようになる。リービー氏によれば、これはBox Shieldと連携して機能する。先月発表された このマルウェア検出 機能によって、そうしたファイルが安全に共有されるようになっている。

「企業は、この秋だろうが、来年だろうが、あるいは今から10年後だろうが、そのとき何が起ころうとも、手作業が介在せず、従業員が自宅から瞬時にアクセスできる、物理的なやり取りができないイベントに、柔軟に対応できるように準備しなければなりません。そしてそのことによって、テクノロジーの観点から会社の優先順位を調整する方法は劇的に変化することでしょう」とリービー氏は述べている。

上に挙げた新機能は、そうした巨大な戦略的課題のすべてに応えるものではないかもしれないが、これはBoxにとって、人々がより直接的に働く方法へ向かう入口となる場所なのだ。そして彼らはそれを掴み取るためにロードマップを加速したのである。

これらの新機能は、本日から数週間かけて展開される。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:sako)

Boxがセキュリティ製品のBox Shieldにマルウェア自動検出機能を追加

自宅で仕事をする人がこれまでになく増え、多くの人がITやセキュリティチームの権限外のPCで仕事をするようになるにつれ、ネット上の攻撃から保護するための創造的な方法を見つけることが、ますます重要になってきている。そして米国時間4月8日にBoxは、昨年発表したセキュリティ製品のBox Shieldにマルウェア自動検出ツールを追加したと発表した。

BoxでCEOを務めるAaron Levie(アーロン・リーヴィー)氏は、特に何百万人もの人々がクラウドソリューションを使って在宅で仕事をするようになった今、セキュリティについての新しい考え方を見つけることが重要だと述べた。

「自宅で仕事をする人が急速に増えているため、マルウェアやフィッシング攻撃が増えている。そして攻撃側は、これらのセキュリティ脆弱性をより積極的に広め始めている。そのため我々は、高度なツールとポリシーによるマルウェア保護機能を備えたBox Shieldをリリースした」と、Levieは語った。

Boxはこのソリューションで、3つのアプローチを取っている。まず、ユーザーはファイルをダウンロードしなくても閲覧でき、リスクがあるかどうかを知ることができる。次に、ユーザーがマルウェアが添付されたファイルをダウンロードできないようにし、マルウェアが添付されたファイルがBoxにアップロードされたときには、セキュリティチームに警告する。

これは、従業員が作業しているデバイスのファイルがマルウェアに感染するのを防ぎ、問題が発生したときにはエンドユーザーに警告を発すると同時に、ファイルの内容を閲覧し、それが正当なものかどうかを知るために必要なすべての情報を、エンドユーザーに提供することを目的としている。

この種の悪意のあるパッケージを自宅で仕事をしている人たちに広めたり、以前よりもはるかに早いペースでファイルを流通させることは近年とても簡単になった。この新機能は、エンドユーザーからITセキュリティチームに至るすべての人が、ファイルがマルウェアに感染しているかどうかを知ることができ、Box内で急増するのを防ぐことができるという確信を持てるように設計されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Boxがセキュリティ強化ツールの「Box Shield」を発表

Boxはこれまで常に、コンテンツを広く共有することと、コンテンツが移動する際に保護することのバランスをとろうとしてきた。しかし共有すればするほど、間違いは起きやすくなる。例えば今年3にあった共有リンクの設定ミスのようなことだ。米国時間8月21日、より安全なシステムにするために、Boxは「Box Shield」のベータ版を発表した。これは利用者である社員にとっては共有する相手をよりわかりやすくし、セキュリティチームにとってはコンテンツが不適切に使われたときに発見できるようにするツールだ。

Boxの最高プロダクト責任者兼最高戦略責任者のJeetu Patel氏は「企業はBoxのコンテンツをリンクで共有したいと思っており、社員のBoxの使い方は変えたくない。もっと簡単にセキュリティを高めることが今回の発表の目的だ」と言う。

同氏は「今回発表したBox Shieldは、コンテンツコントロールを埋め込み、ユーザーエクスペリエンスを損ねずにコンテンツを保護する。管理者と企業にとっては安全性が高くなり、知的財産を守れる」と説明する。

同氏によれば、Box Shieldには2つのコンポーネントがある。1つは、ユーザーの認識を高めて何を共有しようとしているかを理解させるものだ。企業はBoxをコンテンツ管理のバックエンドとして用い、書類などのファイルをインターネットで配るのに意図的に使う場合がある。ファイルをGoogleでインデックス化させたいわけだ。しかしそれ以外の場合は、ファイル共有コンポーネントの誤用だ。そこでBoxは、ファイルを誰と共有するのか、それはどういう意味を持つのかを明らかにすることで、この問題を解決しようとしている。

Boxは、ウェブとモバイルでメッセージとインターフェイスデザインをアップデートし、選択した共有レベルをこれまでよりもわかりやすくした。もちろん、ユーザーがこうしたメッセージをすべて無視することもあるため、もう1つのコンポーネントで管理者が制御できるようにする。

Box Shieldのアクセスコントロール(図:Box)

管理者向けのコンポーネントでは、社内向けの事業計画書、給与リスト、財務書類のように決して流出させたくない書類は、その種類ごと全部、流出を防げるようにする。あるいはファイルごと、フォルダごとにきめ細かく保護することもできる。「我々が取り組んでいる2つめのコンポーネントは、Box自体にセキュリティのガードレールと境界条件を内蔵するものだ。社員の過失や故意でない情報開示のリスクを減らした上で、コンテンツに設定した分類を適用することできめ細かくセキュリティを制御する」とPatel氏は説明する。

さらにBoxは、個人の口座を記載した顧客リストといった取扱注意のデータを共有するなど、社員がコンテンツを不正に使用した場合に検知し、セキュリティチームのためにフラグを立てようとしている。これには異常なダウンロード、不審なセッション、Box内の通常と異なる場所が含まれる。

このツールはすでに導入されているセキュリティ製品と組み合わせて使うこともできる。したがって、Box内で適用された分類はすべてファイルとともに移動し、ファイルが企業の境界を越える前に、その企業のセキュリティシステムで異常や誤用を捉えられる。

Patel氏はユーザーの誤用や悪用をすべて防ぐ方法はないと認めているが、同社はBox Shieldを実装することで、企業に対して検知されないケースを減らすためのツールを提供しようとしている。Box Shieldは現在プライベートベータ版で、今秋リリースされる予定だ。

画像:manopjk / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Boxがデジタルハブを構築し、コンテンツの断片化に対抗する

クラウドの相互接続性によって、組織内外の人びとの間で様々なアプリケーションをまたがって、コンテンツを広く共有することが可能になった。しかしそうした可能性は新たな問題を引き起こしている。一種のデジタル断片化だ。1つのコンテンツが、広がるクラウドサービスの中でどのように使われているかを、どのように追跡すれば良いのだろうか?それこそが、そBoxが最新の機能、Activity StreamとRecommended Appsで解決したい問題なのだ。

同社は、今週サンフランシスコで開催されている年1回の顧客会議であるBoxWorksで、それらの発表を行った。

Activity Streamは組織内で回覧されるコンテンツをリアルタイムに追跡する手段を提供する。そこで追跡されるのは誰がそのコンテンツにアクセスしたのか、どのアプリケーションが使われたのかといったもので、一種のデジタル監査証跡のように機能する。クラウド時代のコンテンツに関わる大きな問題の1つは、コンテンツ作成後に何が起こったのかを知ることだ。例えばそれは、SalesforceやServiceNowやSlackで使用されただろうか?今やコンテンツのパスをたどって、人々がそれをどのように共有したのかを知ることができるのだ。そしてこれは人びとがデジタル世界に感じている断絶をある程度取り除くことができる。

BoxチーフプロダクトならびにチーフストラテジーオフィサーであるJeetu Patelは、平均的な大企業は千個以上のアプリケーションを持っていて、構造化されていないコンテンツの追跡やデジタル証跡の統一的なビューを得るという観点からは、それらをうまく統合する良い手段を持っていないのだと指摘する。

「私たちは1400を超えるアプリケーションを統合しました。そしてそうしたアプリケーションを統合しながら、もしそれらの各種イベントを可視化することができたなら、それはユーザーにとってとてつもなく便利なものとなるだろうと考えたのです」と彼は語る。Patelはこれを、重要な概念の始まりだと見ている。それはコンテンツひとつひとつに関連するトランザクションレコード全体を見ることができる、コンテンツハブという概念だ。

Box内のActivity Streamサイドバー。写真提供:Box

しかしBoxは、それを単なる関係の長々としたリストで終わらせたくはなかった。それは使われているアプリケーションへのディープリンクも生成する。これによってユーザーはリンクをクリックしてアプリケーションを開き、そのアプリケーションのコンテキストでコンテンツを眺めることができるようになる(かつては「ディープリンク」という用語は、ウェブのリンクをトップページ以外の要素に対してリンクすることを指していたが、最近はアプリケーションの特定のページを開くことができるリンクのこともディープリンクと呼ぶ)。「Boxが、コンテンツがどのように利用されているかを俯瞰するための、理に適った場所のように見えます」とPatelは語り、この機能を生み出すBoxの考えを説明した。

これに関連した機能が、Recommended Appsリストである。ユーザーとコンテンツの関係を示すBox Graphや、Boxがユーザーや彼らが使っているコンテンツについて知っていること、そしてそれが他のクラウドアプリケーションとどのようにつながっているかといった知識に基いて、Boxインターフェイスの中に推奨アプリ(Recommended Apps)の一覧も表示される。これにより、ユーザは仕事のコンテキストの中でそれらのアプリケーションにアクセスすることができる。よってたとえば、ドキュメントから直接Slackにコンテンツを共有することができる。

Boxの中のRecommended Appsバー。写真提供:Box

まず手始めに、G Suiteアプリ、Slack、Salesforce、DocuSign、そしてNetsuiteがRecommended Appsインテグレーションとして含まれる。だがPatelによれば、APIを介してウェブアプリと統合されるものなら何でも、Activity Streamに表示されるということだ。

製品は今日(米国時間8月29日)発表されたが、Boxは動作上の問題点について、まだ作業を続けている。彼らはこの機能を、来年早々にリリースしたいと思っている。もし彼らがうまくやり通すことができたなら、デジタル断片化問題を解決し、Boxを組織のコンテンツセンターにするために大いに役立つことだろう。

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(翻訳:sako)

Dropbox、上場初日の株価は36%アップ――終値は$28.48、100億ドル企業の仲間入り

今日(米国時間3/23)、Dropboxが上場を果たし、公開企業の仲間入りをした。1株当たり21ドルで売り出し、7億5600万ドルを市場から調達した後、株価は一時31.60ドルまで跳ね上がった後、28.48ドルで取引を終えた。上場初日のアップ幅は36%となった。

Dropboxのパフォーマンスは市場がクラウドストレージサービスの将来に強い期待を寄せていることを間違いなく示している。同社は上場売り出し価格の範囲を16ドルから18ドルに設定したが、その後18ドルから20ドルに上方修正していた。

またDropbox の終値は、前回の資金調達ラウンドの際の評価額、100億ドルを大きく超えたことを意味する。 希釈後のDropboxの時価総額は120億ドルとなった。

Dropboxの3017年の売上は11億ドルで、. 2016年の8億4500万ドル、2015年の6億400万ドルから順調な伸びを見せている。

2016年以降、キャッシュフローは黒字であるものの、損益では1億1200万ドル近くの赤字を出している。しかし赤字幅は2016年の2億1000万ドル、2015年の3億2600万ドルと比較すると大きく圧縮されている。

有料ユーザー1件当たりの売上は111.91ドルだ。

フリーミアムモデルを採用しているDropboxが一般ユーザー向け企業なのかエンタープライズ向け企業なのかについてはこれまでも議論があった。同社の登録ユーザーは5億人いるものの、有料ユーザーは1100万に留まっている。

Dropboxは創立1年後の2008年にTechCrunch 50カンファレンスに登壇したが、ステージでピッチを行ったCEOのドルー・ハウストンはデモの途中、WiFiの不具合で立ち往生した苦しい経験を語っている。この記事でそのときのビデオが見られる

上場時点でSequoia Capitalが発行済全株式の23.2%を所有し、最大の投資家となっている。SequoiaのサイトにはDropboxが2007年にシード資金を調達するために作成したスライドが掲載されている〔Original seed pitch from 2007というキャプションが付されている〕。2位の投資家はAccelで5%を所有している。

ドルー・ハウストンは25.3%を所有している。

Greylock Partnersも若干の株を保有しており、ジェネラル・パートナーのJohn Lillyは「Dropboxに投資したのはドルー・ハウストンとそのチームが仕事のやり方の将来に関して非常に明確なビジョンを持っていたからだ」と述べている。

しかしクラウドサービスを提供するライバルは数多く、Dropboxの市場では激しい競争が繰り広げられている。【略】

メディアではDropboxと比較されることが多いBoxに関してハウストンは「正面からのライバル関係ではない」と必要以上に重視しない姿勢を見せている。たしかに両者のサービスには類似点も多いが、ビジネスモデルではBoxはエンタープライズ寄りであり相当に異なる。Dropboxは投資家にこの点に留意するよう求めていた。初日の値動きを見ると、Dropboxの戦略は功を奏したようだ。

NasdaqのティッカーシンボルはDBXとなった。

われわれがDropboxの上場と将来像に関して討論した内容をポッドキャストとして下にエンベッドした。参加者のEric KimはGoodwater Capitalのマネージング・パートナーで、このレポートを執筆している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DropboxのコラボレーションツールPaperがドキュメントのプレビュー機能などを加えてアップデート

大企業を相手に一挙に大量のユーザーを獲得したいDropboxは、そのためにプロダクトのチューンナップを続けている。今日(米国時間8/30)のアップデートではコラボレーションツールPaperに、ドキュメントをプレビューしてからロードする機能などを加えた。

シリコンバレーでデザイナーに話を聞くと、みんなPaperの使いやすさをほめる。プロダクトをデザインし構築する過程を、ネット上の呼吸する生き物のような、情報の流れにしてくれるからだ。この製品のユーザーをだいじにすべきだ、と気づき始めたDropboxは、ユーザーの要望に応えて、徐々徐々にプロダクトのアップデートをするようになった。

今日のアップデートをまとめるとこうなる: (1)モバイルデバイス上にフォルダーを作ってPaperのドキュメントを移動〜保存できる。(2)スマートフォン上でPaperのドキュメントを削除したりアーカイブできる。(3)Paperのドキュメントを開く前にプレビューできる。いずれもささやかなアップデートのようだが、Dropboxはかねてからプロダクトの単純性を頑固に守り、機能満載にはしない主義だから、これだけでもすごいことなのだ。

デベロッパー向けには、彼らのアプリケーションの中でPaperドキュメントの作成編集ができる、という機能、すなわちAPIが提供される。いわばDropboxの外で、Dropboxの機能を使えるようになるのだ。また、アプリケーションがそれらのドキュメントを操作しなければならない場合には、このやり方のほうがずっと便利だ。

このようなコラボレーションツールないしコラボレーションの機能は、そのほかの大型製品にもかねてからあるが、Dropboxのねらいは、多くのユーザーの多様なニーズにいちいち対応して複雑怪奇な製品になってしまうことではなく、むしろ、汎用的で抽象レベルの高い製品を維持するところにある。

いよいよ機が熟したと言われている同社のIPOを成功させるためにも、それは重要なことだ。その際、投資家たちは必然的に、同社をBoxやMicrosoftのような企業と比較すると思われるが、消費者製品を起源とするDropboxが彼らに訴求していくためには、Boxなどにはない独自の姿勢が必要なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Boxがアプリ開発者向けに、コンテンツサービスをパッケージ化したBox Elementsを提供

Boxは、数行のコードだけでBoxの機能を使えるようにデザインされた、Box Elementsという新しい開発者ツールの提供を始めた。これは事前にパッケージされたアプリケーション要素群だ。

最終的にはUI、アプリ、そしてサービスの3種類の要素が提供されるが、今日(米国時間7月13日)が提供が始められたのはUI要素だ。この中に含まれるものの例としては、開発者がドラッグアンドドロップ機能をアプリケーションに組み込むためのContent Uploader、任意のアプリケーションの中にBoxファイルナビゲーション機能を組みこむContent Explorer、対話ビデオを含み120種類のファイルをアプリ内で表示することができるようにするContent Preview、そしてアプリケーション内でファイルの選択機能を実現するためのContent Pickerなどが挙げられる。

これらはいずれも、あっと驚くような機能ではないが、どれも最初から構築するにはかなりの開発時間を要するものだ。ここでBoxが提供しているものは、コンテンツの専門知識をほとんどあるいは全く必要とせずにすばやく実装できるための要素だ。

開発者が支払い機能を追加するためにStripeを利用することを思い浮かべてほしい。Boxは同様のレベルの簡便さでコンテンツサービスを提供しようとしているのだ。こう語るのはBoxのプラットフォーム担当役員兼チーム戦略担当役員のJeetu Patelだ。

「私たちはずっと、コンテンツは支払いと似ていると考えてきました。電子商取引サイトを構築する際に、支払いスタックを最初から構築するのは非生産的です。同じようにコンテンツスタックを最初から構築するのは非論理的なのです」と彼は語った。

Patelによれば、多様な経験を提供し実際の問題を解決したいと考えている(しかし個別のアプリケーション要素の専門家になりたいわけではない)プログラマーたちに、ElementsはBoxプラットフォーム上でアプリケーションを構築する最速の方法を提供するとのことだ。「私たちが目にしてきた課題は、クラウドコンテンツを管理する会社になりたい会社はほとんど存在せず、その代わりに内部あるいは外部の利用者のために、素晴らしい没入感のある体験を構築して提供する、という圧力に多くの会社が晒されているということでした」。

これらのElementsはバックエンドでBoxを必要とすることを理解しておくことは重要だが、それらはアプリケーションとは切り離された形で、Boxの異なる部分を提供する。これは、Aaron LevieCEOが長年にわたり明確に述べてきたビジョンだ。Levieは2014年のSXSWにおけるJesse Hempelによるインタビューで、この先の5年のうちに、利用者はあるアプリケーションがBoxを内部で利用しているとは気が付かずに利用しているということがあり得るだろう、と述べていた(ビデオの24:45からを参照)。今日発表されたツールは、その時点でLevieが考えていたタイムテーブルよりも早く、そのビジョンを達成するための大きな一歩だ。

価格については、今年初めに導入されたいくつかのオプションに基づいている。これは、開発者たちにコストの確実性とどのように課金されるかの選択肢を提供するために作成されたものだ。しかし間違いなく、Boxをツールとして直接使用させるだけでなく、アプリケーション間で使用される一連のコンテンツサービスとして使用させることによっても、収益を上げることが狙われている。

Patelによれば、同社はBox Elementsをさらに使いやすくすることを目標に、開発者たちから様々な要望を取り込むことを狙って、オープンソース化する計画を立てている。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: GETTY IMAGES

Box、デスクトップ用アプリの Box Drive を公開

Boxはパソコン上でファイル操作を便利にするツールを公開した。

Box DriveはWindowsおよびmacOSで動作するデスクトップアプリだ。ファイルの編集、検索、共有などをブラウザーを開くことなく実行できる。

これは「ファイナルフロンティア」だとCEOのAaron LevieがTechCrunchに話した。Box Driveを使えば「自分の全データに直接デスクトップから無限にアクセスできる」。

企業はこれを使うことでネットワークファイル共有が減り、ITコストの削減が期待できる、「多くの企業IT環境にとって非常に強力な提案だ」とLevieは言う。

アプリ自身は無料だが、General Electric、P&G、The Gapなどの大企業は追加機能の料金をBoxに支払う。既存の一般ユーザーはBox Driveの全機能を利用できる。

Levieは、デスクトップアプリによってクラウドのアクセスは容易になり「パソコン上にCドライブと同じようなドライブが追加されるので、ローカルファイルと同じ操作体験になる」と説明する。「これで、Boxはパソコンの中にシームレスに統合された」。

今月始め、BoxはAppleの新しいアプリ、Filesとの統合を発表した。BoxのドキュメントをiOS端末で利用する方法が増えることになる。

Boxの株価は今年に入って34%上がった。ウォール街がこの発表に注目しているのも良い知らせだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

富士通、Boxのクラウドストレージを企業向けソフトウェアに統合

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Boxは、海外での成長に焦点を絞る中、アジアで最大の契約を完了した。日本の大手ITサービスプロバイダー、Fujitsuは今日(米国時間6/7)、クラウドストレージ会社のBoxと戦略的提携を行い、同社の企業向けソフトウェアにBoxを統合することを発表した。

Fujitsuはまず、全世界16万人の従業員が使うコミュニケーションツールで送受信されるファイルの保存と管理にBoxを使用する。同社は、Boxのサービスを社内利用することによって、2017年3月までにリリースしアジア全体での販売を計画している、顧客関係および企業コンテンツ管理ソリューションをはじめとする、同社の新しい企業向けソフトウェアの開発に役立てると言っている。

Fujitsuは同社の新しいクラウドプラットフォーム、MetaArcにも来年Boxを統合する。MetaArcはサードパーティーサービス(Boxのストレージのような)の他、インフラストラクチャーとホスティングサービスも備えている。Boxにアップロードされた顧客データは、日本のFujitsuデータセンターに保存される。これは、自社データを海外に保存したくない企業にBoxをアピールするのを後押しすると共に、同社のBox Zonesと呼ばれるクラウドデータセンターをアイルランド、ドイツ、シンガポール、および日本に提供する新しい計画とも一致する。

Boxのファウンダー・CEO、Aaron Levieは、ヨーロッパとアジアでの拡大は同社の優先課題であると言っている。Boxは2015年1月に上場したが、好調な収益にもかかわらず、それ以来IPO価格以下で取り引きされている。

Boxは他にも海外への拡大を目指して提携を結んでおり、IBMとの契約では、BoxがIBMの16ヵ国にわたるクラウドデータセンターにデータを保存できるようになった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

OktaがBoxとのパートナーシップを拡張してエンタープライズモバイル管理サービスを提供

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Oktaは、クラウド上のアイデンティティ管理で知られている企業だが、同社は2004年の終わりごろにエンタープライズモバイル管理(enterprise mobility management, EMM)の分野に進出した。同社は今日(米国時間3/17)、Boxとのパートナーシップを発表し、Boxのモバイルアプリのために、デバイスレベルのセキュリティをサポートすることになった。

同社はこのパートナーシップをきっかけとして、今後もそのほかのエンタープライズモバイルアプリのベンダのために、デバイス上の一連のポリシーの設定実施サービスを提供していきたい、と考えている。デバイス上のポリシーというと、たとえば、管理されているアプリのどれかを使うためにはデバイスのPINを入力しないといけない、といったルールだ。

OktaのEMMソリューションには、管理対象となるアプリのすべてにシングルサインオン(Single Sign-On, SSO)でアクセスできる統合化アイデンティティを、全デバイスに統一的に設定するサービスもある。

OktaとBoxは協働の長い歴史があるが、OktaのCEO Todd McKinnonによれば、今回のEMM提供によって友情がさらに広がる。“重要なのはこれが、モバイルとその管理をめぐる技術的パートナーシップであることだ。それはわれわれの長年のパートナーシップの延長線上にある”、と彼は語る。

Boxのセキュリティといえば、これまではアプリケーションのレベルが主だった。しかしOktaのEMMサービスはセキュリティをアプリから切り離す、とMcKinnonは言う。“個々のアプリごとのセキュリティから、すべてのアプリに統一的に適用されるセキュリティとアイデンティティへ移行する”、と。

このやり方がないと、それぞれのアプリがセキュリティとアイデンティティを個別に管理しなければならない。そこには、複数のアプリの連合関係がない。もちろんセキュリティはBoxのサインアップがすべてではないが、でもBoxのCEO Aaron Levieによれば、外部のアプリやリソースのセキュリティも、そのうち対象になるだろう、という。

“それらもいずれ、サポートされるようになると確信している。それがなければ、これ自体も成功しない”、と彼は語る。彼自身は、これら新しい機能のアーリーアダプターであることに十分満足しているそうだ。

“これらのコントロールはすべて、モバイルの世界におけるセキュアなアクセスが目的だ。クラウドからモバイルへの移行は、クライアント/サーバからクラウドへの移行よりずっと難しい。だから、さまざまなプラットホームの上でアクセスをコントロールし、使ってもよいアプリを明確にすることが、より重要なのだ”、とLevieは述べる。

ごく少数の垂直的スタックから、複数のクラウドベンダの一つへ移行し、多くの社員がモバイルデバイスを使っているときには、デバイスレベルの連合型のセキュリティとアイデンティティがますます重要だ、とLevieは信じている。BoxはOktaも含め、複数のベンダとこの分野で協働している。

Oktaは現在、Box以外のエンタープライズモバイルアプリベンダとも、このプログラムの拡張について話し合っている、とMcKinnonは述べる。

Oktaは、昨年夏の7500万ドルを含めて、これまでに2億3000万ドルを調達している。すでに時価総額が10億ドルに達し、ユニコーンの仲間だ。CrunchBase Unicorn Leaderboardにも載っている。

〔ここにグラフが表示されない場合は原文を見てください。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Box KeySafeは、中小企業の暗号鍵管理を容易にする

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Boxは今日(米国時間2/4)、新しいサービスBox KeySafeを発表した。暗号鍵の管理を容易にして、暗号化は必要だが、BoxのハイエンドサービスであるEnterprise Key Managementは複雑すぎる、という中小規模企業(SMB)を対象にしている。

規制の厳しい業界では、クラウドへの移行を望みながらも、セキュリティーとガバナンスの要件のために思いとどまる企業が多い。昨年Boxは、Box Enterprise Key Managementを開発してセキュリティー障壁を取り除く第一ステップを進めた。

これによって投資銀行やエネルギー会社、医療組織等の大企業は、Boxのサービスを利用しつつ、暗号鍵を厳密に管理することが可能になる。それは大型のITチームを擁する大型組織にとっては良いソリューションであったが、Amazon Web Server上に専用の暗号鍵管理サーバーを構築するのに何週間もかかるなど、中小企業の手には届かなかった。

Box CEOのAaron Levieによると、同社は法律事務所や銀行等から、同じ機能は欲しいが複雑な管理部分には関わりたくないという声が集まった。

そこで今日発表されたサービス、Box KeySafeの開発に至った。これはエンタープライズ版に似ているが、専用の暗号鍵サーバーを必要としない。代わりにBoxは、その管理コンポーネントをAmazon Web Serviceのクラウドサーヒスとして設定することで、一週間かかっていた設置時間が約1時間に短縮された、とLevieが説明した。

大企業と同しようにデータを管理したいが、大企業並みの要件を求められて利用をためらってきたSMBが多いことから、これは重要である。Boxのようなクラウドサービスの利用を控えてきた会社も、暗号鍵管理システムがあれば使えるようになる。こうしてBoxサービスの市場を拡大する可能性が生まれることで、同社が低調な株価を取り戻すのを助けることになるかもしれない。

KeySafeのしくみは貸金庫に似ている。開くには2種類の鍵が必要だ。Boxが一つの鍵でファイルを暗号化する。顧客は自ら管理するもう一つの鍵でそれを暗号化する ― 暗号化操作は監査可能なレポートに記録される。Boxがコンテンツを正しく管理している証拠を顧客が要求した場合、このデータポイントを見せればよい。

法律的視点で見ると、もし政府や警察当局がBoxにやってきて、特定のファイルを見せるよう要求した場合、Boxはファイルのオーナーを紹介する。なぜなら暗号鍵を持っていてBoxに保管されているコンテンツへのアクセスを管理しているのはオーナーだからだ。Boxは、銀行が持ち主の鍵がなければ貸金庫を開けられないのと同じように、暗号化されたデータを見ることができない。

また、この暗号鍵管理機能はBoxのデベロッパー版の一サービスとして提供される。そこには様々なBox機能がサービスとしてデベロッパーに提供されているため、Boxのコンテンツ管理やセキュリティー、暗号鍵等を、積極的にBoxを使うことなく自社アプリに組み込むことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Office Onlineのリアルタイム編集コラボレーションがDropboxなどMicrosoftのパートナー上のファイルに対してもできる

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Microsoftが今日(米国時間1/27)、1年前に始めたCloud Storage Partner Program(CSPP)を拡大して、BoxとDropbox、Egnyte、CitrixおよびShareFileのより深い統合をローンチする、と発表した

この‘深い統合’による、同社が自慢しているひとつの新しい機能は、Office Onlineのリアルタイム共同執筆だ。ドキュメントは、パートナーのクラウドサービスに保存されていてもよい。これにより、複数の人が一つのドキュメントの上でリアルタイムにコラボレーションできる。

共同執筆(co-authoring, コオーサリング)は前からGoogle Docsの目玉機能だったが、2013年にOffice Onlineにも登場した。ただし、Microsoftのプロダクトからしかドキュメントにアクセスできなかった(OneDriveとSharePoint Online)。昨年Microsoftは、BoxやDropboxのような人気のクラウドサービスとパートナーし始め、Officeで何でもできるように努力した。しかしそれなのに今日までは、ユーザーはこれらのサービスにファイルを保存できても、保存したドキュメントの共同執筆はできなかった。

EgnyteのCEO Vineet Jainの説によると、MicrosoftのボスSatya Nadellaは、今後有望なエンタープライズクラウドサービスに熱心なので、競合よりもプラットホームの門戸をEgnyteのような企業にどんどん開いている。

クラウドパートナーの統合は、Office for iOSでもできるようになりつつある。Dropboxのユーザーはすでに、そのアプリの中でPowerPointやWord、Excelのドキュメントを編集できていたが、今ではそれがBoxでもできるようになった。Microsoftによると、もうすぐCitrixやShareFile、Egnyte、それにEdmodoでもできるようになる。

DropboxとBoxは今後、Outlookのメールサービスとも統合するので、Dropbox/Boxに保存されているファイルをメールの連絡先へ簡単に送れるようになる。その際ユーザーは、ドキュメントをメールの添付ファイルで送ったり、あるいはクラウド上のリンクを送ったりする。

関連記事。〕

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

2015年最後のテクノロジーIPOは成功―Atlassian株、32%アップで時価総額は58億ドルに

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おそらくは2015年最後のテクノロジー系新規上場になるであろうAtlassianが、今日(米国時間12/10)初めて取引された。

共同作業と生産性向上のためのソフトウェア・ツールのメーカー、Atlassianは上場初日を32%のアップで締めくくった。Atlassianは上場以前、33億ドルの会社評価額で資金を調達していた。この株の値上がりで同社の価値は60億ドルに近づいたことになり、今年最強の上場会社の一つとなった。

今回シリコンバレーでもっともホットな会社となったAtlassianのプロダクトでは、もっとも知られているのはSlackのライバルのチャット・プラットフォーム、Hipchatだろう。少なくとも当面は、だがAtlassianは投資家の強い信任を得ていることがはっきりした。

今回のパフォーマンスは予想されないことではなかった。 Atlassianのソフトウェアには独特のキャラクターがあって、これが惹きつけるのは投資家ばかりではない。同社は第3四半期の売上も昨年の6790万ドルから今年の1億180万ドルへと大幅なアップを達成している。.

最近、上場したり上場を希望していると報じられたりした会社は売上を伸ばしているものの赤字幅も拡大している。こういう会社は利幅の拡大という目標にもっと注意を払う必要がある。最近の投資家は以前より損失の拡大に神経質だ。この点は最近四半期決算を発表した後のBox株価の乱高下を見ればよい。【略】

Atlassianは売上と利益を伸ばしている。利益率はそこそこだが、手持ちキャッシュも増加させた。こうなれば投資家としては自ずから満足ということになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Dropbox、登録ユーザー4億人以上に

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Dropboxは今日(米国時間6/24)、登録ユーザーが4億人を超えたことを発表した ― 最後にユーザー数を正式公開した昨年5月から大きく伸ばした。

従来同社はユーザー数を3億人と言っていた。そのうちの月間アクティブが何人かは公表していないが、少なくともDroptoxの登録ユーザー基盤が伸び続けていることは示している。Dropboxの優位性はその超シンプルなファイル共有サービスにあり、大量のユーザーを集めるには地味すぎるとさえ思える。Dropboxには、10万を超える有償企業顧客もいると同社は言っている。

In an Bloomberg WestのインタビューでDropbox CEOのDrew Houstonは、ユーザーの過半数が米国以外であることを話した。「海外ユーザーは2/3以上にもなる。これはサービス開始当初からだ。殆どの人々はサービスを無料で使っており、必要に応じて追加容量を購入している」とHoustonは言った。

さらに彼は、同社サービスが800万以上の企業に利用されており、1年半前は400万社だったことも話した ― そして、Fortune 500企業の「大半」がDropboxを「何らかの業務に」使っている。

今週Dropboxは、改訂版Androidアプリを公開した他、消費者向けサービスだけの会社を脱皮すべく、積極的に企業向けサービスを拡大している。ビジネス向け機能の一環としてDropboxは、ユーザーがDropboxを使っていないユーザーにメールを通じてファイルを要求できるツールを最近公開した 。

Dropboxは ― 1200人以上の従業員を持つ ― 今後も間違いなく数々の課題に直面するだろう。同社Dropbox for Businessは、様々なより大きくより経験のある会社と競合しており、益々多くの人々がモバイル端末を主として使うようになるにつれ、ファイル共有の方法も急速に変化している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoftのオープン化さらに進む―iOS版OfficeからiCloud、Boxへのアクセスを提供

Microsoftは、最近のDropboxとの統合に続いて、今日(米国時間2/17)、Officeソフトと新たなサードパーティーのクラウドサービスとの連携を発表した。手始めとして、iOS版OfficeがiCloudとBoxに直接アクセスできるようになる。これはOfficeのファイル選択機能とiOSのクラウド上に保存されたファイルにアクセするス機能を連携させることによって 実現された。

Microsoftは 公式ブログの記事で、「OfficeユーザーはOfficeアプリ内からサードパーティーのクラウド上のファイルを直接開き、編集し、保存することができるようになったことを歓迎するだろう」と述べた。Microsofによれば「このアップデートは最初にiOSに適用されるが、同様の機能は今後Windows 10アプリ全般、さらにはAndroid版Officeにも提供される」という。

最近Microsoftはサードパーティーのサービスのサポートに強い意欲を見せている。伝統的にMicrosoftはクローズドな自社のエコシステムにユーザーを囲い込もうとする戦略の代表と見られてきたが、この点は 大きく変わった。たとえばMicrosoftは昨年後半にiOS版Officeを、今年に入ってiOS版、Android版Outlook をローンチしている。現在MicrosoftはiOSとAndroidアプリを合計100種類も提供中だ。

またMicrosoftは新しくクラウドストレージ・パートナー・プログラムを発足させた。これはサードパーティーのクラウドストレージのプロバイダーが自身のアプリとOffice365とを直接連携させることができるゆにする。これによりユーザーはウェブ版Officeからサードパーティーのクラウドストレージのファイルを呼び出し、編集し、保存できるようになる。このプログラムの当初のパートナーにはBox、Citrix、Salesforceなどが含まれるが、他のプロバイダーもこちらから参加を申し込める。

有力クラウドストレージ・サービスの中ではGoogleが提携に含まれていないが、Google Driveの生産性ツールはOfficeの直接的ライバルということなのだろう。

一方、BoxのCEO Aaron LevieはTwitterでMicrosoftの動きを「オープンさを新段階に進めたもの」とし、その原動力となっているMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラを賞賛している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Dropbox For Businessから強力なエンタープライズ向けAPIリリースへ―Boxとの競争激化

Dropboxにはコンシューマー向けサービスのイメージが強く、またh本格的なエンタープライズ向けセキュリティー機能を欠くために企業向けのDropbox For Businessの普及が遅れていた。しかしTechCrunchが入手した情報によれば、Dropboxはエンタープライズ向けの強力なツールとなるDropbox For Business APIをリリースするという。これによってこの市場の状況は一変する可能性がある。

明日(米国時間12/3)、正式発表予定(ただしこのリークの影響で時間が前後する可能性あり)のDropbox For Business APIを用いると、エンタープライズ・ユーザーはDropboxにサードパーティーのセキュリティーやコンプライアンス・ツールを接続することができる。また独自のDropbox For Business (DfB)向けアプリを開発することも可能となる。Dropboxは Microsoft、Dell、IBMを始め多くのエンタープライズ向けツールのベンダーと提携し、ローンチの時点でDfB APIはそれらのベンダーの主要なプロダクトをサポートするという。

われわれの問い合わせに対してDropboxからの回答はまだない。

Dropboxはエンタープライズ向けに必要とされる機能をすべて自製するのは時間がかかりすぎると判断したようだ。特に、Boxは何年も前から広汎なエンプライズ向け機能を備えたプラットフォームを構築している。Dropboxは1年前にエンプライズ向けサービスとしてDropbox For Businessをリリースしたが、これまえはサードパーティーとの連携がなかった。今回のAPIでDropbox For Businessのユーザーはセキュリティーを始め、これまで欠けていた機能をすばやく補えることになった。フル機能のエンタープライズ向けクラウドサービスに乗り換えずにすむわけだ。大企業ユーザーのDropbox利用形態を一変させる賢明な動きといえるだろう。

なぜDropbox For BusinessにAPIが必要だったのか?

コンシューマー向けDropboxには、写真の同期から高度なファイル検索まで連携アプリがすでに10万種類もある。これらTDropboxの3億人のユーザーを大いに助けている。

しかしエンタープライズ向けサービスで必要とされる機能はコンシューマー向けとは大きく異る。そこでDropboxは企業向けに別個のサービスとしてDropbox For Business(DfB)を4月に一般公開した。 これにはIT部門が監査ログを共有し、誰が何を閲覧したかを正確にチェックし、一部のファイルにアクセス制限をかけたり、社員が辞めたりデバイスが盗難に遭ったりした場合、リモートでファイルを削除するなどの機能が含まれている。

DfBはSalesforce、Slack、Asana、Trello、Yahooそして最近ではMicrosoft Officeとも提携して、これらのエンタープライズ・サービスからDropboxのファイルに容易にアクセスできるようにしている。

しかし本格的なエンタープライズ・ツールとなるためには、こうした提携はまだまだ序の口に過ぎない。必要な機能は数多く、Dropboxがすべてを内製しようとすれば何年もかかる。そこでAPIを公開し、サードパーティーの力を借りることで大幅な時間短縮を図ったわけだ。

DfB APIの機能

Dropbox For Business APIはDfBと多数のサードパーティーのエンタープライズ・ツールを接続する。

  • データ漏えい防止 – 個人が特定可能な情報、給与情報のエクスポートを禁じる
  • データ・マイグレーション – ビッグデータのバックアップ、統合を助ける
  • 知的所有権管理 – 業界標準や当局の規則に基づいてデータを暗号化して管理する
  • 個人認証 – DfBへの社員のアクセスについてログインと認証管理を行う
  • 法務管理 – 後日の法的紛争の際に必要となるデータを証拠能力のある形で安全に保存する
  • セキュリティー情報及びイベント管理(Security Information And Event Management =SIEM)– 社員のアクティビティ監査ログ

DfBユーザーはまたAPIを利用してスクラッチで独自のアプリを開発することもできる。

われわれが入手した情報によると、Dropbox For Business APIはローンチ時点でMicrosoft Azure AD、Dell Data Protection、IBM WebSphere Cast Iron、Okta, Domo、Splunk、Meldium、nCrypted Cloud、Mover.io、SkySync、Ping Identity、CloudLock、Centrify、Sookasa、CirroSecureの各サービスをサポートするという。Dropboxは今後APIを拡充し、パートナーも拡大していくことになるだろう。

Dropbox For Businessの料金は、現行の一人あたり月15ドルから変更はない見込みだ。これはBoxのビジネス・ユーザー向け料金同額だ。

孤立した SAASは存在し得ない

今回のAPIのローンチで、DropboxはBoxの手強いライバルとなりそうだ。しかしBoxのCEO、Aaron Levieは私の取材に対して、「われわれがプラットフォームと言うときは単にエンタープライズ向けセキュリティーだけでなく、きわめて広汎な機能を意味している」と語り、エンタープライズの業務フローのサポートも重要な要素だと例を挙げた。Dropboxはこの面でもBoxに追いつく努力をしなければならないだろう。

しかしエンタープライズ向けクラウド・プラットフォームはまだスタートしたばかりの市場だ。ITのコンシューマー化、私用デバイスの業務利用、ボトムアップの分散モデルなどはエンタープライズITの形態を根本的に変えつつある。Levieは「社内でセキュリティーを完結させるというモデルは過去のものだ」と述べた。どんな大企業でもゼロからすべての機能を自製することは不可能だ。成功したければ企業はサードパーティーのツールの適切な利用法を学ばねばならない。

Levieは「この数年のうちにエンタープライズ・プラットフォームのエコシステムが劇的に発達するだろう。大企業もサービスのベンダーも、このテクノロジーの進歩に対応してマインドセット自体を変えていかねばならない」と語った。

Dropboxが1年ほど前からやっきになってビジネス・ユーザーへの対応を図ってきたのも当然といえる。エンタープライズITの環境の激変はその波にうまく乗れたものに対して巨額の売上を約束するものだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


イノベーティブな起業を叶えるには、バカげたアイデアを採用すること――BoxのCTOが起業のコツを伝授

11月18日から19日にかけて東京・渋谷ヒカリエで開催中のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」。今年も海外から多数のゲストが参加しているが、企業向けクラウドストレージを展開しているBoxのCTOを務めるSam Schillace氏もその1人だ。Schillace氏は技術者、起業家としても豊富な経験を持つ人物。「Google Docs」の前身となるプロダクト「Writely」を開発し、2006年Googleへ売却したスタートアップ「Upstartle」の創業者兼CEOを務めたほか、現在のテックシーンには欠かせないテクノロジーやサービスを世に送り出してきた。

連続起業の実現のために必要なのは「破壊的なアイデア」

Schillace氏は、現在までに6つのビジネスを立ち上げてきた。もちろんそのどれもが成功を収めたわけではなく、失敗に終わる経験もあった。一度の起業で成功を果たすことも決して簡単ではないが、連続起業を実現するために必要なのは「ハードな、破壊的なアイデアを見つけること」だと話す。

シリコンバレーのキーマンとしては珍しく、コンピューターサイエンスの学位を持っていないSchillace氏。さらに、起業人生をスタートした当初は、スタートアップにフューチャーするメディアもなかった。それでもゲームソフトウェアの会社を起業した。

Schillace氏は当時を振り返りつつ、「 単に『起業のための起業』ではなく、自分のやりたいこと、イノベーションに対する情熱がないとだめだ。そして、それが好きだということが大事だ。それが次の創業につながった」と熱っぽく訴える。ちなみに、なぜネットワークゲームの会社を起業したのかその理由は実にシンプルで「もっと速く、複数人でゲームをしたかったから」だそうだ。

奇妙に思われるアイデアこそ挑戦する価値がある

新しいテクノロジーで遊んでいて、それが起業の情熱にもつながった。では、なぜ失敗もしたのだろうか。Schillace氏はイノベーションのパターンを見つけられるメソッドを生み出した。ズバリ「奇妙に思われるアイデアにこそ挑戦する」ことだ。

奇妙に、そしてバカバカしいと思われるアイデアに挑戦するには、自分たちで使うツールを常に最新状態に保たなくてはならない。また、素早くトライアル(実験)を重ねることが必要であり、そのトライアルに対するユーザーのリアクションを常にウォッチすることが必要である。

ユーザーのリアクションが平凡なら、そのサービス自体が平凡

セッション冒頭から、「破壊的なイノベーティブ」というキーワードを繰り返し使うSchillace氏。

「何かサービスを公開すれば、ユーザーのリアクションが起こる。そしてその中には、何かとても奇妙な反応が必ず現れる。そして一部の少数の人はそのリアクション内容をとても気に入る。つまり、1つのサービスに対してものすごい好きな人、ものすごい嫌いな人が登場する。もし、平凡な反応しかなかったら、そのアイデアはイノベーティブではなく、平凡なものであるということだ」――人は多くの人に受け入れられるサービスやアイデアを採用しがちだが、それは安易な選択であると明言した。

続けてSchillace氏は「これから起業を目指す人に、レッスン形式でレクチャーするならば」と前置き、新しいイノベーティブにつながるヒントを4つにまとめてくれた。

  • レッスン1:可能か、可能でないかのギリギリラインのうちに目をつける。カッティングエッジにいること。
  • レッスン2:使うツールを常に最新状態に、シャープに保っておくこと。
  • レッスン3:強いリアクションを大切に、イノベーティブなアイデアは強いリアクションから生まれる。
  • レッスン4:筋が通っていないように見えても、バカげているように感じても、そのアイデアを採用し、実験していくこと。

 

あなたはそのアイデアやサービスに情熱を傾けられるか?

起業するには自分で「どのようなアイデアやテクノロジーを選択するのか、そのアイデアやテクノロジーはイノベーティブなのか」を選択・判断しなくてはならない。とても重要な判断だが、何を基準にすべきなのろうか。Schillace氏は闇雲に新しいテクノロジーやアイデアを採用して起業へ突き進むのではなく、「(採用しようとしているテクノロジーやアイデアが)破壊的に、興味深い分野であることを見極めること。そして、その分野に自分が情熱を傾けられることを選ぶこと」ことが重要だと主張する。

では、破壊的にイノベーティブなアイデアやテクノロジーをどう見極めればいいのか? 例えばBitcoinを例に挙げよう。これはさまざまなテクノロジーが進化した結果、分散型の信頼できるシステムが構築できた結果誕生した産物であるが、市場には非常にバカバカしいと受け止められた。だが、実際にそのテクノロジーはイノベーティブである。

クアッドコプターなどのドローン、3Dプリンターも同様だ。誕生し、発表された当初は「オモチャじゃないか、こんなもの必要ない」と受け止められていたが、ドローンは新しい流通システムの一翼を担う存在として期待されているし、3Dプリンターは今や医療機器分野において重要な位置を確立している。今の時代は「新しいものがまとまってより効果的に登場している」(Schillace氏)のである。

どんな人にもイノベーティブは重要

「どんな人にもイノベーティブは重要である。テクニカルイノベーションはミステリアスなものではない。また、たとえ大企業であっても成功している企業は、テックカンパニーのスピードで動いている」自身の強い信念で起業を続けている彼は最後に印象的な言葉を使い、セッションをまとめた。


Microsoft、Office 365のユーザーにOneDriveストレージを容量無制限で提供

今日(米国時間10/27)、MicrosoftはすべてのOffice 365アカウントに対して容量無制限のOneDriveストレージを提供すると発表した。現在、Office 365に付随するOneDriveの容量は1TBに制限されているが、この制限が取り払われる。Office 365の契約者はストレージがすべて無料となるわけだ。

これは大いに歓迎すべき決定だが、特に驚きというほどでもない。Microsoftはクラウド生産性サービスのOffice 365の価値を高める努力を続けており、ストレージの無料化は非常に有効な策だ。無料のストレージ容量というのは魅力を作る重要な要素であり、多ければ多いほど良いことは言うまでもない。.

いずれにせよクラウドストレージの単位あたり料金はここ何年も限りなくゼロに向かって低下し続けている。有料サービスであるOffice 365に付随するストレージの無料化は本当の無料化の一歩手前といえるだろう。巨大プラットフォームがそのユーザーすべてに無料かつ無制限のストレージを提供することで無料化レースは終了する。今のところMicrosoftやBoxは有料で無制限のストレージを提供する段階に来ている。

Office 365はMicrosoftにとって成功だった。Microsoftはソフトウェア販売という古びたビジネスモデルからSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)への移転を加速するためにさらに努力を重ねているところだ。

Microsoftの発表の重要部分:

今後、Office 365のすべての顧客に対して一切の追加料金なしにOneDriveに無制限のストレージ容量を提供する。このサービスは今日からOffice 365 Home、 Personal、Universityの顧客に提供される。[...]OneDrive for Businessの顧客についてはここ数日のうちにOffice 365のロードマップでストレージ容量の無制限化が告知される。First Releaseの顧客については、他の数多くの改良とともに2015年に入ってから提供の予定。

つい最近までクラウド・ストレージがギガバイト単位で料金を徴収していたことを覚えているだろうか? なんと馬鹿げた時代だったことか!

画像:FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+