企業向けノーコードツールの米国展開に向けてベルリンのBryterがさらに72.5億円調達

ノーコードスタートアップ企業が、企業の間で多くの支持を集め続けている。ノーコードを使って、従業員たち(まあ非技術者ではあるもののソフトウェアそのものは毎日利用しているような人たち)が、自分の仕事の反復的な部分を実行させるためのアプリを作っているのだ。そうした従業員たちは仕事の世界では「市民コーダー」とも呼ばれている。

ベルリンを拠点とするBryter(ブライター)は、AIを活用したノーコードの新しいスタートアップだ。これまでに約100社のグローバル企業で、約2000のビジネスアプリケーションやワークフローに利用されているプラットフォームを、構築してきたが、今回そのチャンスをさらに拡大するために、新たな資金調達を発表した。今回BryterがシリーズBとして調達したのは6600万ドル(約72億5000万円)で、この資金は、同社のプラットフォームへの投資と、2020年開設したニューヨークオフィスから始める米国全体に向けての事業拡大に充てられる。CEOで共同創業者のMichael Grupp(マイケル・グラップ)氏はインタビューの中で、今回の資金調達は、同社のツールに対する多くの需要があることを受けて行われたものだと語っている。

Micha-Manuel Bues(ミカ=マヌエル・ビュー)氏ならびにMichael Hübl(マイケル・ヒューベル)氏と、共同で会社を創業したグラップ氏は「2020年はローコード、ノーコードのプラットフォームにとってすばらしい年でした」と語る。「みんなが気づいたのは、ほとんどの人は技術に関心がないということです。人びとはユースケースにしか関心がないのです。仕事を終わらせたいだけなのですから」。彼らのサービスを使う顧客には、欧州のMcDonald’s(マクドナルド)、Telefónica(テレフォニカ)、PwC、KPMG、Deloitte(デロイト)をはじめとして銀行、ヘルスケア、そして製造業などが名を連ねる。

今回のラウンドを主導しているのはTiger Globalで、既存の投資家であるAccel、Dawn Capital、Notion Capital、Cavalry Venturesが参加し、そして数多くの個人投資家たち(たとえばDataDog CPOのAmit Agharwal(アミット・アガルワル)氏、Qilkの元CEOのLars Björk(ラーズ・ビョーク)氏、Seal Softwareの創業者でCEOのUlf Zetterberg(ウルフ・ゼッターバーグ)氏、ServiceNowの元グローバルSVPのJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏など)も加わっている。

AccelとDawnが共同して主導した1600万ドル(約17億6000万円)のシリーズAが行われたのは、まだ1年も経っていない2020年6月のことだった。この急速な資金調達ペースは、ノーコード / ローコード両分野への関心の高さを示すものであり(Bryterの企業顧客数はそのときの50社に比べて倍増している)、同時にこの分野のスタートアップたちが鉄は熱いうちに打とうとしていることを示している。

この分野を狙うのは1社だけではない。Airtable(エアテーブル)、Genesis(ジェネシス)、Rows(ロウズ)、Creatio(クリエシオ)、Ushur(アッシャー)など、ここ数カ月の間に資金調達を行った「非技術者のためのハンズオンテック」指向のスタートアップ企業は多い。

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自動化が、このような活動を推進する大きなトレンドとなっている。現在、ナレッジワーカーたちは、ほとんどの時間をアプリで過ごすようになっている。これはパンデミック以前から進んでいた状況だが、パンデミックの中でさらに進んでいる。そうした作業の中には、人の手による作業や評価が必要なものもあるが、ソフトウェアによってそれらの作業の大部分が自動化されてきている。

UiPath(UIパス)、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)、Blue Prism(ブルー・プリズム)などの企業が大きな役割を果たしているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、そうした活動の大きな部分を占めている。特にフォームの読み取りや大量のデータ入力に関しては顕著だ。しかし、RPAが一般的に使用されていない(少なくとも「まだ」使用されていない)、特定のアプリ内での多くの処理や活動が残されている。そしてそういう場所こそが、技術者ではない人たちが、Bryterのようなノーコードツールが非常に有用な役割を果たしてくれることに気づいている場所なのだ。そうしたノーコードツールは、人工知能を利用して、よりパーソナライズされ、しかも拡張性のある自動化を実現してくれる。

「多くのケースで、私たちはRPAのさらに上にサービスを提供しています」とグラップ氏はいう。

同社のプラットフォームが導入されている分野は、コンプライアンス、法務、税務、プライバシーとセキュリティ、調達、管理、人事などで、そこにバーチャルアシスタント、チャットボット、インタラクティブなセルフサービスツールなどが組み込まれているという。これらは人間に代わるものではないが、情報を処理するための特定の作業に必要な人間の時間を削減してくれる。

そのスケーラビリティの高さと、技術的なアーリーアダプターを超えて急速に顧客を獲得できたことが、今回の資金調達の理由だ。Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルティウス)氏はこう語る「Bryterは、顧客の真の痛みを解決できる高品質の製品、大きな市場機会、世界クラスの創業チームなど、一流のソフトウェア企業の特徴をすべて備えています。私たちの調査によれば、Bryter社の顧客からのフィードバックは圧倒的に肯定的なものでした。今後数年間で同社が新たな高みに到達することを期待しています」。

Dawn CapitalのパートナーであるEvgenia Plotnikova(エブガニア・プロットニコバ)氏はこう付け加える「Bryterは2020年爆発的な成長を遂げ、多くの分野やユースケースですばらしい顧客を獲得しました。しかし、これは驚きではありません。パンデミックの影響を受けた世界では、デジタル化は『あれば便利』なものではなく、もはや『必要不可欠』なものなのです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Bryterベルリンノーコード資金調達ドイツRPA

画像クレジット:gilaxia / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)