Google、買収したBumpおよびFlockを今月末でサービス停止へ

昨年秋にGoogleが買収したファイル共有系アプリケーションのBumpとFlockが、1月末でサービスを停止することとなった。アプリケーションは動作しなくなり、同時にGoogle PlayおよびApp Storeからも削除される。Bumpのブログにも同様のことが書かれている。

Android Policeの記事によれば、GoogleがBump Technologiesを買収してからすぐくらいに開発作業は停止していたらしいとのことだ。

Bumpというのはスマートフォン同士を接触させることにより、コンタクト情報やその他のファイルなどを共有するサービスだ。2000万ドルほどの資金を調達し、ダウンロード数もかなりの数にのぼった。しかしAppleがiOS 7向けにAirDropを実装するなど競合が出てくる中で、有効なマネタイズ手段を確立することができなかった。また、FlockというのはやはりBump Technologiesが2012年にリリースした集団参加型写真共有サービスだ。

昨年9月の記事にも記したように、Googleによる買収はacquihire(人材目的の買収)というわけではなかった。しかしプロダクト自体をそのまま存続させるというよりも、FacebookやDropboxへの対抗として、あるいはイベント系サービスとして立ち上げた「パーティーモード」(あまり人気を集めることはできなかった)にてFlock的サービスを活用しようとすることが目的であったようだ。また買収によって得たモバイル関連の特許技術を活用してNFC関連機能を強化してAndroidを進化させていくことにも繋がった。

Googleによる買収が発表された時、共同ファウンダーのDavid Liebは「魔法のようなエクスペリエンスを生み出すために努力してきました。数学的な成果、データ処理のノウハウ、さまざまなプログラミング技術を投入してきました。こうした成果をGoogleで発揮していくことに、この上ない興奮を感じています」と述べていた。買収額は明らかにされていなかったが、情報筋からの話では3500万ドル程度だとのこと。これは調達額から考えれば、やや低めの額ではあった。Bumpに出資したのはY Combinator、Sequoia Captial、Felicis Ventures、SV Angel、Andreessen Horowitzなどで、また多くのエンジェルも資金を提供していた。

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(翻訳:Maeda, H


コツンとぶつけてスマホのデータを交換する人気アプリ、BumpをGoogleが買収

2000万ドルのベンチャー資金を集め、ダウンロード数でもトップのモバイル・アプリとなったBumpだが、十分な売上を得ることだけは失敗したようだ。Bump TechnologiesはGoogleに買収された。

Bump〔コツンと打ち合わせる〕という名前のとおり、このテクノロジーはスマートフォン同士(あるいはスマートフォンとコンピュータ)を物理的に接触させることでさまざまなデータの交換を可能にする。独立したビジネスとして成功することはできなかったものの、Googleの一員として有望な未来を確保することができたようだ。

Bumpの共同ファウンダー、CEOのDavid Liebは公式ブログでGoogleに参加したことを発表した。共同ファウンダーのLiebとAndy Huibersを含む25人のBumpチームは引き続きGoogleで働くことになるもようだ。

Bumpは昨年新しいコンセプトの写真共有アプリ、Flockをリリースしている。ブログ記事によれば、BumpとFlockの開発は今後も継続されるという。ただしPayPal的な支払いサービス、Bump Payアプリの今後については言及がなかった。

買収金額等の詳細が明かされていないので、Y Combinator、Sequoia Captial、Felicis Ventures、SV Angel、Andreessen Horowitz、その他多数のエンジェル投資家にとっての収支について推定するのは難しい。

いちいち連絡情報をタイプする面倒なしに新しい友だちやビジネス相手と情報を共有できるのがうけて、BumpはApp Storeの初期の大ヒットになった。iPhoneを握った拳を突き合わせるだけで連絡情報のみならず、写真、オーディオ、ビデオ、その他選択したファイルをなんでも交換できるのだから簡単だ。3月には1億2500万ダウンロードで10億枚の写真が交換されたという。

しかしBumpは無料アプリで、意味のある売上を獲得するビジネスモデルを発見することができなかった。その一方で最近Appleが爆弾を落とした。近接したデバイス間でのファイル交換を可能にするAirDrop機能がiOS 7に含まれることをAppleが発表した。これでBumpもついにタオルを投げ入れることを余儀なくされた。こうした状況から察するに、投資家はGoogleの買収で損失は免れただろうが、大きな利益を挙げたようには思えない。

ところでGoogleが関心を示したのはBump自身よりFlockだったかもしれない。このアプリには位置情報を解析して付近にいるFacebookの友だちを探し出し、共同して写真アルバムを作るように勧める機能がある。これはパーティー、コンサート、カンファレンス、旅行などでたいへん便利だ。パーティーなどの場で撮った写真をソーシャルメディアで一般公開するつもりはなくても、その場にいて同じ体験した知り合い同士でなら共有してもよいと考えるユーザーは多いだろう。 Flockは余分な機能をできるかぎりそぎ落として、ほとんど自動的にこうした写真共有ができるようにしている。GoogleはFlockをGoogle+の機能の一つとして取り込むはずだ。

またこの買収でGoogleはモバイル・コミュニケーション関係の重要な特許を多数手に入れた。この中にはアプリがGPSその他のセンサー情報を解析して複数のデバイスが位置的に近接していることを判断するテクノロジーなどが含まれる。

Googleであれば直接BumpとFlockのテクノロジーをから収益を上げる必要はない。Googleが膨大な既存ユーザーにこれらのアプリを提供することになれば、Liebのいう「非還元的」デザイン 、すなわちユーザーに代わって状況を判断して自動的に作動するアプリのインパクトがいっそう広く感じられることになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+