アフリカのZindiは、同地の複雑な諸問題をAIと機械学習で解決する

アフリカでAIと機械学習を使ってクラウドソーシングで複雑な問題を解決するケープタウンのZindiにはデータサイエンティストが1万人登録している。

2018年に創業されたまだ若いスタートアップである同社を利用して、企業やNGO、政府機関などが、ネット上でデータ指向の課題のコンペを主催できる。

Zindiはコンペに参加するアフリカのデータサイエンティストに対して、同社サイト上でコンテンツをオープンにしている。彼らはソリューションを提出し、スコアボードを這い上がり、優勝すると賞金を獲得する。

Zindiの共同創業者Celina Lee(セリーナ・リー)氏によると、これまでの賞金の最高額は1万2000ドル(約130万円)だった。コンペの主催者には入賞作の所有権が生じ、それらを新製品開発や既存システムへの統合に利用できる。

データサイエンティストは同社のサイト上に無料でプロフィールを作れるが、コンペの出資者はZindiに料金を払う。これがZindiの収益源になる。すでにアフリカ以外の有名企業も関心を示し、これまでMicrosoft(マイクロソフト)やIBM、Liquid Telecomなどもコンペを主催した。

南アフリカ国立道路庁は2019年に、同国の交通事故死亡者を減らすという課題でコンペを行なった。その目的は「次にいつどこで交通事故が起きるかを正確に予測する機械学習のモデルを作り、関連政府機関の交通安全対策の効果を数量化してより確実な政策にすること」だった。

リー氏によると、現状の1万名というデータサイエンティストの登録者数は、2019年に比べて100%の増加、すなわち倍増しているという。同社は今シリーズAの資金調達を準備しており、今後は人材を増やして新しい企画にも取り組みたいという。例えば現在温めている大学を対象とするハックコンペ、UmojoHack Africaは10カ国を対象として3月に開催する。

リー氏は「社内にハッカソン専門のセクションを作りたい。企業や大学がサービスを利用して学生やチームのスキルアップを図れるようにしたい」という。

サンフランシスコ出身のリー氏は、南アフリカ人のMegan Yates(ミーガン・イェーツ)氏やガーナ人のEkow Duker(エコウ・デューカー)氏らとともにZindiを立ち上げた。チームのオフィスはケープタウンにある。リー氏によると、同社は彼女のこれまで体験したことの2つの側面を合体させたものだという。「私の学歴は数学やテクノロジーが主だけど、非営利団体やソフトウェア開発の仕事をした経験がある。いつも、この2つの世界を合体させたいと考えていた」と彼女は語っている。

Zindi

その願いがZindiで実現した。同社は完全な営利企業だが、スタートアップの競争のほぼ80%には、社会に何らかのインパクトをもたらす側面があるとリー氏は言う。「特にアフリカでは、営利企業のための問題解決でも、必ず社会的なインパクトがある」のだそうだ。

アフリカでは多くのVCがフィンテックとeコマースにフォーカスしているが、Zindiを支援するAndelaやGebeyaはかなりユニークで、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアなどテクノロジー方面の人材をアフリカで育てようとしている。

Zindiに集まるデータサイエンティストが取り組む問題とソリューションに全アフリカ的な普遍性があるなら、同社の市場は一気に拡大するだろう。しかも南アフリカやナイジェリアやケニアなど、アフリカの経済大国では特に、スタートアップが提供するソリューションは多くのプロジェクトにおいて、高価なコンサルティング企業を利用するやり方の代替手段になる可能性がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

一般企業とデベロッパーの機械学習導入を助けるPetuumがSoftbankらから$93Mを調達

機械学習のデベロッパーの不足が産業界の足かせになっている今、スタートアップも大手テクノロジー企業も人工知能を商用化するために必要なツールの民主化に取り組もうとしている。その方面の最新のスタートアップPetuumは今朝(米国時間10/10)、Softbankおよび Advantech Capitalからの、9300万ドルのシリーズBを発表した。

昨年カーネギーメロン大学の機械学習の教授Dr. Eric XingとDr. Qirong Ho、そしてDr. Ning Liが立ち上げたPetuuは、機械学習の開発を支える二つの部位のためのソフトウェアを作っている。ひとつは、データの準備と機械学習のモデルの選択を自動化することだ。機械学習の初心者である一般企業は、このようなツールの助けがなければ、TensorFlowやCaffeのような、広く使われている機械学習のフレームワークすら、使いこなすことができない。

そしてモデルが決まったら、今度はPetuumは、ユーザーが使用するハードウェアの特性や制約に合わせた最適化を、デベロッパーをアシストしながら行う。こちらが、二つめ。その主な工程は、ハードウェアを仮想化して障害を取り除き、分散GPUクラスターの管理という余計なステップをなくすことだ。

Dr. Xingはこう語る: “私たちのAIの扱い方は、職人芸ではない。私たちはきわめて標準化されたビルディングブロックを作って、それらをLegoのように組み立てたり、組み立てなおしたりする”。

PetuumのファウンダーEric Xing博士とピッツバーグの同社オフィス

つまり同社のサービスは、さまざまな機械学習の問題を解くことではなく、ユーザー企業とそのデベロッパーたちが、0の段階から1の段階へ踏み出せるために、そのプロセスを自動化することだ。ただしPetuumはそれと同時に、エキスパートたちが十分に使えるシステムも目指している。この両立が、かなり難しい。

Dr. Xingは曰く、“Excelの使い方は誰でも知ってる。一般社員はExcelを使って表を作るだろう。それと同時に、高度な技能を持ってる統計家が何かの現象のモデルを作るときも、Excelを使うことがある”。

また、市場戦略も難しい。テクノロジー業界がいくら大金を投じてAIを称揚しても、投資家たちの多くはヒューリスティックスで不確実性を管理する方向へ向かおうとする。そこでは、AIが得意とする水平的な〔業種業態の違いを問わない〕プラットホームが、役に立たない。

それに、機能の開発と支出の均衡が必要なスタートアップが、MLaaSやMLプラットホームでGoogleやAmazonに対抗するのは難しい。Dr. Xingは自分のチームのスキルを高く評価しているが、Softbankらからの資金はありがたいはずだ。H2O.aiAlgorithmiaなどの競合他社にはまだ、これほどの資金源はないだろう。

なお、同社はヘルスケアやフィンテック分野の顧客を開拓中だ。しかし長期的には、あらゆる業種業態に対応する気はない。ベータテストにはさまざまな業界から参加しているが、しかし今後は、他の業種業界に対して、このプラットホームをベースとするソリューションを同社以外のスタートアップが構築できるだろう。

今日の投資はSoftbank本体からで、930億ドルのSoftbank Vision Fundからではない。将来このファンドから投資されるのかは、不明だ。Petuumの現在の社員は70名で、今後は製品開発と営業とマーケティングを同時に増員したい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))