キャデラックが同ブランド初のEV「LYRIQ」の生産を開始

Cadillac(キャデラック)は米国時間3月21日、同社初の電気自動車で6万ドル(約720万円)のクロスオーバー車「LYRIQ(リリック)」の生産を開始した。米国では5月19日に受注が始まる。

General Motors(ゼネラルモーターズ)の高級ブランドであるキャデラックは、2030年までに展開を予定しているバッテリー電気自動車ラインナップの最初のモデルとして、このSUVに大きな期待を寄せている。このクルマに対する需要の大きさから、キャデラックは予定していた2022年の生産台数を3200台から2万5000台に増やし、量産モデルの公開を9カ月早めることにした。

これはGMにとって心強い兆候だ。同社は今後3年間に全世界で30車種の新型EVを投入するために350億ドル(約4兆2000億円)を投資すると発表しており、その中から20億ドル(約2400億円)を、テネシー州スプリングヒルの製造施設(同社の北米最大の製造施設)に投じて、LYRIQやその他のEVを製造する準備を進めている。

この投資は、Tesla(テスラ)やVolkswage(フォルクスワーゲン)などの巨大なライバルに対抗するためのGMの全体戦略の一部だ。フォルクスワーゲングループは電動化を含む将来に向けた技術に1000億ドル(約12兆円)を投資すると発表している。しかし、半導体や電池のサプライチェーンの停滞が、世界的なEV生産の妨げになっている。

GMが今後投入するモデルは、LYRIQをはじめとする同社のEVを支える「Ultium(アルティアム)」バッテリープラットフォームがベースになる。このモジュラーアーキテクチャーは、19種類の仕様が異なるバッテリーと駆動方式の車両を製造でき、GMのバッテリーエレクトリック事業の拡大とコスト削減に貢献することになる。

スプリングヒル工場では、LYRIQの他「キャデラック XT5」および「XT6」「GMC Acadia(GMC アカディア)」など、内燃エンジンを搭載するSUVも生産している。GMのMark Reuss(マーク・ロイス)社長は21日、オンラインで行われたメディアへの説明会で、この工場の組立ラインにEVを増やすと述べたが、この工場がいつ、EVのみを生産するようになるのかについては、コメントを避けた。

「私たちには、どちらの道も進むことができる柔軟性があります」と、ロイス社長は語った。「私たちは完璧なところにいます。内燃機関も製造できるし、EVも製造できます。そして市場に追従することができます」。

画像クレジット:GM

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

キャデラックの新たな自動運転コンセプトは「車輪のついた高級ラブシート」

2021年に6人乗りの自動運転ボックスや乗車可能なドローンのコンセプトを発表したGM(ゼネラルモーターズ)の最新の高級自動運転EVのアイデアは、より地に足の着いたものとなっている。InnerSpaceコンセプトは、外観は未来的なクルマのように見えるが、内部には、我々がこれまで見た中で最も広いスクリーンの1つに囲まれた2人がけのラブシートがある。もちろん、ハンドルやペダルはない。その代わりに、オットマンがビルトインされ、スリッパやブランケットを置くスペースがある。GMが目指すところでは、マニュアル操作の類は必要ない。

ドアが飛び出し、大きなフロントガラスとサンルーフが立ち上がる。クルマに乗り込むことさえもSFの世界のようだ。InnerSpaceのようなコンセプトは、例によってカーデザイナーが未来のクルマの姿を想像し、その力を発揮するための手段だ。確かに大半の人には手が届きそうにもないが、Cadillac(キャデラック)の裕福な顧客層なら、個人用の宇宙船を所有することに興味を持つかもしれない。少なくとも、フルサイズの高級SUVよりは環境にも優しい。

GMのグローバル・アドバンスド・デザイン担当エグゼクティブ・ディレクター、Bryan Nesbitt(ブライアン・ネスビット)氏は声明の中で「電動化と自律走行は、自動車の役割と顧客の乗車体験を根本的に変えるでしょう」と述べている。「私たちは、モビリティをウェルネスの味方として想定し、顧客に究極の贅沢を、そしてパーソナルな時間を奪うのではなく提供し、これらの革新的なコンセプトで行く末を模索しています」。

運転という行為が嫌いだが、運転が必須の場所に住んでいる者として、自動車メーカーがこれらの自動運転コンセプトカーをどのように現実のものにするのか、興味を持っている。そして、このような荒唐無稽なデザインを経て、さらに自動運転ファミリーEVのコンセプトカーが登場するかもしれない。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:Cadillac

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが「米国とカナダのすべての舗装道路」で使用可能になる新ハンズフリー運転支援システムを2023年より導入

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、新しいハンズフリー運転支援システムを2023年に導入する予定だ。このシステムは、運転中に予想される状況の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用できるようになる。

GMは、米国時間10月6日から開催されている2日間の投資家向けイベントで、この新しい「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」システムとそのいくつかの機能を発表した。ただし、GMはこのシステムの価格や使用料金、買い切り型になるのかそれともサブスクリプション制になるのかということは、明らかにしなかった。

GMは2017年に発表したハンズフリー運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」を導入した際と同じように、今度も慎重にゆっくりと展開していく戦略を採るようだ。つまり、この新しいシステムはまず、高級車ブランドのCadillac(キャデラック)の新型車にオプションとして導入され、後にChevrolet(シボレー)やGMCなど、他のブランドでも徐々に利用できるようになるということだ。

関連記事:GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

また、先代のシステムに比べればはるかに少ないものの、当初は利用できる場所が制限されることになる。Ultra Cruise搭載車の発売時には、まずは米国およびカナダの200万マイル(約322万キロメートル)以上の道路で、ドライバーはこのシステムを使用できる。GMによれば、使用できる道路は最終的に340万マイル(約547万キロメートル)にまで拡大される予定だという。Super Cruiseの初期仕様とは異なり、Ultra Cruiseは高速道路だけでなく、市街地や住宅地の道路、地方の舗装された道路でも利用できるように設計されている。

ただし、Super Cruiseがなくなるわけではない。最近では車線変更の自動化や牽引時のサポートもできるようにアップグレードされたこのシステムは、今後もGMの各ブランドのクルマにオプションとして提供される。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムが搭載されている。Tesla(テスラ)の「Autopilot(オートパイロット)」運転支援システムとは異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

この点はUltra Cruiseも同様だ。GMの自動運転グループでチーフエンジニアを務めるJason Ditman(ジェイソン・ディットマン)氏は、記者に向けた説明の中で、Ultra Cruiseがいわゆるレベル2の自動運転システムとして設計されていることを何度も指摘した。その機能はSuper Cruiseよりも信頼性が高く、より多くの道路で利用できるようになるにしても、ドライバーが常に注意を払っている必要があることに変わりはない。

つまり、Ultra Cruiseは「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーという形を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。Ultra Cruiseでは、カメラ、レーダー、LiDARの組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。ただしGMでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

このような仕組みによって、Ultra Cruiseシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行える。

さらにUltra Cruiseでは、フロントガラスの裏側に組み込まれたLiDARも使用する。この次世代システムを作動させるのは、5nmの拡張性が高いコンピューター・アーキテクチャで、これはGMの「Ultifi(アルティファイ)」ソフトウェア・プラットフォームや、車両ハードウェア・アーキテクチャ「VIP(ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」と連携して機能する。

GMは先週、Ultifiという新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェア・プラットフォームを開発しており、2023年から生産が始まる新型車に搭載すると発表した。同社によれば、このソフトウェアは、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになるという。このソフトウェア・プラットフォームは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャであるVIPの上に組み込まれる。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

Super Cruiseと同様に、Ultra Cruiseにも車内カメラを使ったドライバー監視システムは搭載されることになる。さらに、GMはドライバーが必要とする情報を提供する新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を、Ultra Cruise搭載車に採用するとしており、これはドライバーが車両を操作する必要がある時にも使用される。その中心的な装備である「Ultra Cruise Dynamic Display(ウルトラ・クルーズ・ダイナミック・ディスプレイ)」について、GMではドライバーの視線の先に情報を直接表示できる「自由形式のディスプレイ」と表現している。

GMは、駐車時に車載センターディスプレイに表示できるUltra Cruiseアプリも開発している。このアプリは、ドライバーの統計情報、走行履歴などを見ることができるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

キャデラックのフラグシップ全電動車「リリック」は約650万円から

全電動クロスオーバーCadillac Lyriq(キャデラック・リリック)は、GMの高級車ブランドのフラグシップだ。2022年初めに米国市場に投入されるが、最低価格は6万ドル(約650万円)を少し下回ることに決まった。

諸費用を除いたこの車両価格は、リリックの量産モデルに関して発表された具体的な内容のうち、最後に残されていたものだ。GMが最初にリリックの展示用モデルと公開したのが2020年8月だった。水曜日、同社は量産モデルの最終仕様とともに、価格も発表となった。

リリックは、GMが2025年までに販売を予定している電気自動車30車種のうちの1つに過ぎない。これはキャデラックにとって極めて重要な車両であり、販売が低迷しているこのブランドの新たな標準になることを目指している。GMが大々的に発したメッセージは、この車の発売は間近であり、2021年9月より予約販売の招待状を含むメッセージを送信する、というものだ。

リリックは当初、2022年後半から米国で生産される予定だった。しかし、仮想開発ツールと車両の土台となる柔軟なUltium(アルティアム)プラットフォームを使えば開発をスピードアップできると幹部たちは考えた。

このUltium電気アーキテクチャーとUltiumバッテリーは、GMのキャデラック、ビュイック、シボレー、GMCの各ブランド、さらにCruise Origin(クルーズ・オリジン)自動運転シャトルにも幅広く使われることになっている。このモジュラー式アーキテクチャーは、19種類の異なるバッテリーとドライブ系の設定変更が行える。400ボルトと800ボルトのパックに対応し、容量は50キロワット時から200キロワット時まで。前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動の構成も選べる。

2023年型キャデラック・リリックの充電ポート(画像クレジット:Cadillac)

後輪駆動のリリックは、100キロワット時のバッテリーパックを搭載し、キャデラック内部の見積もりでは300マイル(約483キロメートル)以上の走行が可能だという。EPA電費はまだ公開されていない。またリリックは190キロワットでの急速充電にも対応する。10分間で76マイル(約122キロメートル)走れるだけの充電ができる計算になる。家庭での充電用には、19.2キロワットの充電モジュールが用意される。同社によれば、これを使うと1時間の充電で52マイル(約83キロメートル)走れるという。

GMでは「ブラッククリスタル」グリル、33インチの縦型LEDタッチスクリーン、AKGサウンドシステムなど、そのエクステリアとインテリアに豪華さがにじみ出るクルマを目指した。流れるようなルーフラインと幅広のボディーは、現代的で挑発的な外観をかたち作っている。この「ブラッククリスタル」グリルには、オーナーが近づくと歓迎の気持ちを表す「振り付けされた」LED照明など、ダイナミックな機能が組み込まれている。LED照明は、分割されたテールランプ・デザインでリアにも続いていく。

エクステリアとインテリアのカラーは2種類。ボディーはサテンスティールメタリックまたはステラ・ブラックメタリック。内装はスカイクールグレーまたはノワールとなる。また、金属の装飾にレーザー彫刻を施した木材をあしらい、内装を仕上げている。

画像クレジット:Cadillac

リリックには、GMのハンズフリー運転支援機能であるSuper Cruise(スーパー・クルーズ)も装備される。これは、ライダーによるマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー、さらにハンドルを握る人の集中力を監視するドライバーアテンションシステムを組み合わせたものだ。Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)と違い、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要がない。ただし、視線はまっすぐ前を向いていなければならない。

GMのシボレー・ボルトのように、リリックにも、ワンペダルドライブと説明される機能が装備される。電気自動車には、通常回生ブレーキ機能が備わる。リリックでも、車両の減速率や完全停止の状態を、ハンドルに設けられた感圧パドルでコントロールできる。

このクルマは、テネシー州スプリングヒルにあるGMの組み立て工場で生産される。GMによれば、この工場を電気自動車の生産に対応させるために20億ドル(約2160億円)を投じたという。GMと合弁事業パートナーであるLG Energy Solution(エナジー・ソリューション)は2021年4月、23億ドル(約2480億円)をかけて、バッテリーセル生産工場をスプリングヒルの組み立て工場の隣に建設するとも発表している。

関連記事:GMとLG化学の2つめのEVバッテリー工場は2023年後半開所予定

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMキャデラック電気自動車Super Cruise

画像クレジット:Cadillac

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:金井哲夫)

キャデラックが贅沢な空の旅を提供する1人乗り電動垂直離着陸ドローンのコンセプト公開

GMは米国時間1月12日、Cadillac(キャデラック)ブランドの電動垂直離着陸ドローンのコンセプトを公開した。これは(もし市販化が実現すればの話だが)オーナーが1人だけ贅沢な気分で空中をクルージングするために設計されたものだ。

バーチャルで開催されたCES 2021年で、GMが基調講演を行った際に、自律走行車と一緒に公開されたこの1人乗りのeVTOLは、同社初の空中モビリティに向けた試みだ。これは単なるコンセプトであり、実際の製品になる可能性は低い。しかしこれらのコンセプトは、企業がデザインや製品の方向性を示すものであり、電気自動車や自律走行車に関しては、GMがその技術に投資する意思があることを証明している。

「我々は電気駆動技術と自動運転技術の進歩によって、個人の空の旅が可能になる世界に備えています」と、GMのグローバルデザインを統括するMichael Simcoe(マイケル・シムコー)氏は、そのプレゼンテーションの中で語った。「これは、時間が最も重要であり、利便性が何より優先される瞬間のためにデザインされたコンセプトです」。

画像クレジット:Cadillac

キャデラックのeVTOLコンセプトは、搭載する電気モーターが90kWhの出力を発生し、4つのローターを駆動させ、乗員を屋上から目的地へと運ぶことができる。また、空と空および空と地上間の通信機能も装備している。

シムコー氏によれば、同社はさらに多くのコンセプトを計画しており、その中には「オーナーと特別な人のために設計された豪華な2人乗りの機体で、落ち着いてリラックスしながら、より親密な旅のために演出された多感覚に訴える体験を楽しめる」ものも含まれるという。

このコンセプトは、シムコー氏が説明するように自動運転とキャデラックのラグジュアリー性が「そう遠くない将来に」どのようなものになるのかを世界に示すものだ。

もちろん、これらのコンセプトは、GMがいかに交通機関の未来に本気で取り組んでいるかを伝えるためのものでもあり、その中心は電動化、自動運転技術、コネクテッドカーサービスだと考えられている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMCadillaceVTOLコンセプトモデルCES 2021自動運転

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(翻訳:TechCrunch Japan)