ロシアでテック企業が販売を停止するなか、スマホやクラウドサービスなどのビジネスへの影響は?

ロシアがウクライナを攻撃して以来、ここ数週間で、さまざまな業界の企業とともに、多くのテック企業がロシアでの営業を停止していることを耳にした。これは幅広い反響を呼んでおり、企業がロシアで通常どおりビジネスを続けることはできないというメッセージであることは明らかだが、これらの行動は、営業を停止した企業に実際にどのような経済的影響を与えるのだろうか?

IDCが今週初めに発表したレポートで指摘したように、ウクライナが攻撃を受けており、ロシアに制裁が適用されているため、その地域で事業を行うテクノロジー企業に何らかの影響を与えることは必至だ。

「紛争によってウクライナの事業活動は停止しており、ロシア経済は欧米の制裁の初期の影響を受けている。2022年には現地市場の需要は2桁の縮小し、両国の技術支出に強く影響するだろう」と、同社は書いている。

しかし、純粋な数字で見ると、ロシアとウクライナを合わせても、大国ではあるものの、世界の技術支出全体に占める割合はそれほど大きくはない。実際、IDCの報告によると、この2カ国を合わせても、ヨーロッパの技術支出の5.5%、世界の技術支出のわずか1%を占めるに過ぎない。

Canalys(カナリス)は、ロシアでの販売を停止していないテック企業は、停止するようにプレッシャーを受けていると述べている。「Accenture(アクセンチュア)、Apple(アップル)、Cisco(シスコ)、Dell(デル)、HP、HPE、Oracle(オラクル)、SAP、TSMC(半導体)などが、ロシアとの関係を断つ(あらゆるセクターの)国際企業のリストに名を連ねている。そうしない企業は、世界の情勢にますますそぐわなくなる」と、同社は今月初めに発表した報告書の中で述べている。

Canalysによると、ロシアはヨーロッパのスマートフォン市場の20%、PC市場の8%を占めている。AppleはロシアのPC市場の17%を占め、Lenovo(レノボ)とリードを分け合っている。HPは15%でわずかに及ばない。

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Canalysによると、この数字はこれらの企業の売上高全体の約2%に相当する。市場をリードする3社ともロシアでの販売を停止している。中国企業であるレノボが、その決定を覆すよう中国政府から圧力を受けているとの報道は注目に値する。

スマートフォンについては、中国のスマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)が31%で市場をリードし、Samsung(サムスン)が27%で続き、Appleは11%で3位に大きく後退している。

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これは、Apple全体の売上高の2%、Samsungの4%を占めている。Apple、Samsungともにロシアでの販売を停止している。

Canalysは、ロシアがこの問題を解決するために、中国の技術に目を向ける可能性があると推測している。「西側諸国が技術輸入に制裁を加えているため、ロシアは(制裁に反対すると表明している)中国にもっと目を向けると予想される。特にロシア政府は、西側ブランドを置き換え、主要技術へのアクセスを維持しようと急いでいる。欧米の貿易禁止措置の犠牲となったHuawei(ファーウェイ)などの中国ベンダーが勝者となる可能性が高い」と、同社は書いている。

しかし、Lenovoの状況が示すように、欧米の顧客と大きな取引をしている中国企業にとっては、より複雑な状況になっている。

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)の3大クラウドベンダーはどうだろう。クラウド市場を調査するSynergy Research(シナジーリサーチ)の主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、ロシアがこれらの企業のビジネス全体の1%に満たないことを指摘している。

「AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの観点からすれば、ロシアの顧客を切り離してもほとんど影響はないでしょう」と、彼はいう。

しかし、それらの顧客にとっては、やはり痛みをともなう可能性がある。「もちろん、切り離されるかもしれない顧客にとっては、その影響は非常に意味のあるものになるかもしれません。ロシアは特に発展した市場ではありませんが、クラウドベースの業務に大きく移行した企業にとって、その後に軌道修正するのは大変なことです」と、同氏は述べた。

CanalysのアナリストBlake Murray(ブレイク・マレー)氏もこれに同意していますが、スマートフォンやPCと同様に、制裁によって窮地に立たされた顧客が中国のクラウド大手に目を向ける可能性もあると述べている。「全体として、ロシアの企業はYandex(ヤンデックス)のようなロシアのCSPや、国内にデータセンターを持つ中国のプロバイダーに軸足を移すと予想されます。また、Officeのようなソフトウェアをロシアで登録された同等品に置き換えることも検討されるでしょう」と述べている。

それは簡単なことではない。しかし、マレー氏によると、ロシア国内の多くの組織が、少なくともこの方向で移行作業を始めているとのことだ。

SaaS企業への影響も気になる。ディンズデール氏は、SaaS市場はより細分化される傾向にあり、国内にもより多くの選択肢があると述べている。とはいえ「ロシアは、世界のSaaS売上高の1%未満しか占めていない小さな市場です。MicrosoftとSalesforce(セールスフォース)の両社にとって、ロシアはSaaSビジネスの1%未満に過ぎません」。

最後に、インターネットバックボーンプロバイダーがロシアから撤退すると報じられており、Cogent(コジェント)とLumen(ルーメン)が今週、事業を停止することを発表した。

「我々が提供するビジネスサービスは、我々の物理的存在と同様に極めて小規模で、非常に限定的なものです」と、Lumenは声明で述べた。「しかし、我々はこの地域でのビジネスを直ちに停止する措置をとっています」。

Cogentは公式声明を出していないが、ロシアでの事業を停止していることは広く報道されている。どのような影響があるかは不明だが、Cogentのネットワークマップを見る限り、ロシアにデータセンターはないようだ。

それでも、インターネットアクセスが遮断されることは、国外のニュースを得ようとする人々や、ビジネスを行おうとする企業にとって、深刻な影響を及ぼす可能性がある。ディンズデール氏が指摘するように、インターネットに接続できなければ、どんなクラウドサービスにもアクセスできないので、深刻な影響を及ぼす可能性がある。

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

スマホ出荷台数がサプライチェーン問題で伸び悩む中、アップルが1位に返り咲く

サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。

Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。

「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。

画像クレジット:Canalys

より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。

アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。

「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。

一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。

画像クレジット:Apple event photo

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

半導体不足にもかかわらず2021年の全世界でのPC販売台数は大幅増

2021年のパソコンの販売台数は、半導体不足によって全世界的に減少したと想定するのは容易だが、そんな月並みの考えは間違っているかもしれない。実は市場調査企業Canalysの調査報告によると、2021年のPCの出荷台数は前年比で15%伸び、2019年に比べると27%増加した。売れた総台数は3億4100万台というすごい量だ。

その調査報告によると、第4四半期は前年比1%増と微々たる伸びだが、しかしそれでも、2012年以降で最良の年だった。

CanalysのシニアアナリストIshan Dutt(イシャン・ダット)氏によると、半導体の供給不足にもかかわらずPCはすばらしい年を経験し、PCは私たちの仕事とレジャーの両方にしっかりと根を張った。そして世界の先進地域では、家庭に複数のPCがあることが標準的な姿になりつつあるという。

「供給の制約という暗雲が常に立ちこめている市場で、好調だった2020年を超える成果を達成したことは、過去12カ月のPCの需要がいかに大きなものであったかを示している。長期的に見た場合、2021年で最も重要な展開は、PCの普及率と使用率の大きな増加だ」。

2021年のPC市場におけるビッグ3は、Lenovo、HPそしてDellで、Appleは4位だった。下表にあるように、2021年は各社とも好成績だったが、前年比伸び率が最大だったのは28.3%を達成したApple(アップル)、次位が販売台数では5位のAcerの21.8%だった。

マーケットシェアでは、勝者は24.1%のLenovoと21.7%のHPとなる。3位のDellが17.4%、次いで4位のAppleは8.5%だった。

画像クレジット:Canalys

半導体不足は2022年も続くと予想され、また教育市場の飽和も囁かれているが、Canalysの予測では2022年もPCの売れ行きに関しては良い年だ。それどころか、CanalysのアナリストRushabh Doshi(ルシャブ・ドーシ)氏によると、供給問題がなければ2021年の市場はもっと大きかっただろうという。

「不足の一面には需要が大きかったということにもある。供給状況が良ければ間違いなくPC業界は、もっと強力に成長して大きくなっていただろう」とドーシ氏はいう。

彼は、今後も市場は拡大し続けると見ている。「自由な視点で見ると、より高性能で高速なPCに対する需要は、職場だけでなく家庭でもかつてないほど高まっています。過去2年間でPCの重要性が強化されたことで、成長は今後も続くと考えています」とドーシ氏は述べた。

画像クレジット:Irina Cheremisinova/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

チップ不足の影響が出始めたスマートフォン売上は6%減

Canalysが米国時間10月15日に発表した新しいレポートによると、今四半期の世界のスマートフォン販売台数は6%減少した。世界的なチップ不足が原因だ。

パンデミックはサプライチェーン全体に深刻な悪影響を及ぼしており、特にチップが大きな打撃を受けている。Canalysの主席アナリストであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏によると、メーカーはできる限りの対応をしようとしているが、チップ不足は今のところ正真正銘の障害となっている。

「供給面では、チップセットメーカーが需要と供給のギャップを埋めるために、過剰注文を抑制するために価格を引き上げています」とスタントン氏は述べている。「しかし、それにもかかわらず、2022年に入っても不足はまだまだ解消されないでしょう」とも。

こうしたサプライチェーンの問題の結果、この四半期の市場はどうなったのだろうか?上位の常連メンバーは同じポジションを保ち、Samsung(サムスン)は前年と変わらぬ23%と安定したシェアを維持している。一方、Apple(アップル)は3ポイント増の15%となった。Xiaomi(シャオミ、小米科技)は、前年同期比横ばいの14%で3位を維持している。

画像クレジット:Canalys

特に年末商戦に向けて、メーカーはこのような事態を憂慮しているに違いない。Appleは9月末に新型iPhone 13を発売しており、今回の四半期報告には間に合わなかったが、ホリデーショッピングシーズンに合わせて発売したことは間違いない。チップ不足の問題は、その計画に水を差す可能性がある。SamsungもAppleも、モバイル機器用のチップセットを自社で製造しているとはいえ、各社ともチップ部品不足の影響を受けている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくカメラ機能も向上、税込9万8800円から

その結果、製造コストが上昇し続けている2021年、消費者がコストダウンを実感することはないだろうとスタントン氏はいう。その代わりに、購入インセンティブとして、携帯電話と他の機器をセットにして販売するケースが増えるのではないかと予想している。

「ユーザー側は、2021年のスマートフォンの値引きはそれほど積極的ではないと覚悟しておくべきです。しかし顧客の失望を避けるために、利益率に制約のあるスマートフォンブランドは、ウェアラブルやIoTなどの他のデバイスをバンドルして顧客に良いインセンティブを与えることを検討するでしょう」。

CNBCは14日、家電製品や消費財を製造するHisense(ハイセンスグループ)のJia Shaoqian(賈少謙)社長によると、コンシューマーチップの不足はスタントン氏の予測よりもさらに長く、おそらく2~3年は続く可能性があると報じていた。

画像クレジット:Tim Robberts / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測
長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

Pro2sound via Getty Images

米国のPCユーザーは今年の年末商戦期、マシンを新調するのが難しくなるかもしれません。世界的な半導体不足はいまも続いており、PC用部品の受給に大きく影響を及ぼしています。リサーチ企業CanalysのアナリストIshan Dutt氏によるPCの供給不足は2022年にまで続くことが予想され、ホリデーシーズンに見込まれる注文を捌ききれない可能性があるとのこと。

ワークステーションを含むPC市場の出荷台数が伸びない最大の要因は、世界的な部品サプライチェーンの混乱にあるとDutt氏は述べています。特にアジアでの渡航規制やロックダウンは、PCメーカーやそのパートナー企業の製品生産を困難にしています。

ただし、世界的に見れば2021年第3四半期のPC市場はCanalysが5%、IDCが3.9%の成長を示していることが報告されています。しかし米国では前年比マイナス9%以上(Canalys)と報告されており、電源管理用チップやWiFiチップの供給不足が報告されています。ただ、一方では米国では買い替え需要がすでに一巡して売上げの端境期にあるとの見方もあります。

IDCのシニアリサーチアナリストNeha Mahajan氏によれば、「リモートワークや遠隔授業などのためにPCやタブレット購入が加速した1年を経て、PCへの支出も比較的に鈍化しており、現在の米国PC市場は多少軟化していると言える。とはいえ、主要なセグメントにおいて、供給が需要に追いついていないことは明らかであり、在庫は依然として通常のレベルを下回っている」とのこと。

また一部のPCメーカーは米国のようなすでに成熟した市場よりも、成長の度合いが高い市場へ優先して製品を出荷しているとのこと。

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

IDC

ちなみに日本国内のPC出荷数は、電子情報技術産業協会(JEITA)の集計によると、2021年4月以降、7月までは前年比86.6~96.5%で推移していたものの、最新の集計月である8月期は前年比56.1%と大きく落ち込みました。これは前年同期に新型コロナ禍におけるオンライン授業のための需要急増があり、それが結果的に今年の集計に影響したため。2020年8月期は、モバイルノートPCの出荷台数が前年比約3倍に急増していました。メーカー各社はこの結果に対して、在宅勤務向けの高機能製品に注力していくと伝えられています。

(Source:CanalysIDC。Coverage:JEITAEngadget日本版より転載)

米国の第2四半期PC販売台数は17%増もパンデミック需要反動で伸びは鈍化

Canalysは8月25日、米国の第2四半期のPC販売台数を発表した。販売台数は前年同期比17%増と極めて好調だった一方で、伸びはパンデミックによって74%増を記録した前四半期から大きく鈍化した。おそらく、原因はあちこちで報道されている世界的なチップ不足だ。

HPがマーケットシェア21.9%で第2四半期連続でトップの座を維持し、販売台数は前年同期に比べて20%超増えた。Appleが変わらず第2位で、マーケットシェアは20.6%だった。ただ、同社の成長率がマイナス2.8%に落ち込んだのは注目に値する。

関連記事:米国の2021年第1四半期のPC出荷台数は73%増、Chromebookが好調

Dellがマーケットシェア15.6%で第3位となり、Lenovoが12.4%で続いた。前年同期からの成長率に目を向けると、Samsungが50%超と最も高い成長をみせたがマーケットシェアはわずか8%強にとどまった。

画像クレジット:Canalys

Canalysの調査アナリストBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は、2020年から2021年にかけてこの部門で目にしてきたパンデミック由来の成長が今後も続き、経済のリバウンドが続くのにともなって消費者の買い替えの兆しが見えてくる、と楽観的だ。

「商業部門と教育部門が爆発的に伸び、かなりの買い替え需要を引き起こしています。米国経済はパンデミック問題から立ち直り、零細企業も復活しています。これはPCの購入につながります」とリンチ氏は声明で述べた。

合計で3680万台が販売され、伸び率はノートブックが27%増、デスクトップは23%増、タブレットは停滞気味で実際には1%減だった。この前年割れについてCanalysは教育マーケットがタブレットから移ったこと、多くの人が家に留まることを余儀なくされたときにタブレットを購入し、すぐには買い替えないことを挙げた。

にもかかわらず、タブレット部門でAppleはシェア45%と確固たる地位を築いている。その一方でAmazonがシェア22%で第2位の好位置につけ、Samsungが同18%で続いている。

どこかの時点で多くの人が対面学習やオフィスでの業務に戻るにしても、学校や企業の多くがハイブリッド式、あるいは完全リモートのアプローチすら取り続けるのは明らかで、これはPC産業にとって良い兆候であり、チップ不足が最終的に緩和すれば特にそうだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

第2四半期のChromebook出荷数は前年同期比75%の増加

2021年第1四半期にChromebookの売上台数は前年同期比275%増の1200万台となった。調査会社Canalysの最新の調査によると、第2四半期はそこまで大きな数字ではないが、それでも前年同期比75%の成長で1190万台を出荷した。

コロナ禍でPC市場全体が成長する中、Chromebookはこの市場の一角を占めるようになってきた。消費者が緊急に在宅勤務の体制を整えなくてはならない状況で一般的なタブレットやPCが堅調に成長する一方、GoogleのOSは学校がリモート学習を始めたことからさらに大きく伸びている。

コロナ禍の発生から1年以上経って多くの学校が再開しているが、Chromebookの売上の伸びは依然として目覚ましい。GoogleはこのOSを教育分野にとどめずさらに範囲を広げて、この成長を足がかりにしようとしていると見られる。

Googleは間違いなくエンタープライズ分野に注目している。デプロイもロックダウンも簡単なシステムはエンタープライズから歓迎されるだろう。

画像クレジット:Canalys

CanalysのBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は発表の中で「Chromeが教育分野で比較的堅調を維持し、2021年にGoogleは商用分野に大きく乗り出しています。Google Workspaceの『個人用』サブスクリプションや、古いPCを転用して既存のChromebookと共存させるCloudReadyライセンスのプロモーションといった新たなサービスで、スモールビジネス対策を強化していると見られます」と述べた。

AppleもM1ベースのシステムを複数発売してからはビジネス分野に力を入れている。同社は最近、新しいApple at Workのサイトを公開した。

Appleは企業向けITの取り組みについてサイトに次のように書いている。「組織でお使いのデバイスが10台でも1万台でも、Appleは既存のインフラと簡単に統合できます。IT部門はゼロタッチ導入によってリモートで構成と管理を行い、あらゆるチームに合わせて設定プロセスを調整できるので、すべてのMac、iPad、iPhone、Apple TVを、すぐに使い始めることができます」。

2021年後半にはWindows 11が登場し、Microsoftはリモートなども含めた職場での優位性を維持するために独自の主張をしていくはずだ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ChromebookパソコンノートパソコンGoogleCanalys教育オンライン学習

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

シャオミのスマホ出荷台数がアップルを抜き世界第2位に

調査会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字によると、中国のモバイル企業であるXiaomi(シャオミ)は、第2四半期の好調な業績により、世界のスマートフォン出荷台数で第2位の座を獲得した。2021年4月から6月の間に出荷された同社のスマートフォンの台数は、前年同期比で83%の増加となり、世界市場の17%を占めた。

この急激な成長によって、シャオミはSamsung(サムスン)の19%に僅差で次ぐ世界第2位のスマートフォンメーカーとなった。3位はApple(アップル)で14%、4位にはシャオミ同じ中国メーカーが並び、Oppo(オッポ)とVivo(ヴィーヴォ)がそれぞれ10%となっている。

HUAWEI(ファーウェイ)は、もちろん上位企業の中には見当たらない。その大幅な下落は、同社がブラックリストによって特定の市場(すなわち米国)から締め出され、Google(グーグル)のAndroid(アンドロイド)や種々のアプリを含む米国のモバイル製品へのアクセスが遮断されたことも、少なからず影響していると思われる。

画像クレジット:Canalys

Canalysは、シャオミの成功の大きな要因として、意欲的な価格設定を挙げている。これは特に、サムスンやアップル製品のプレミアムな価格とは対照を成す。

「シャオミは現在、チャネルパートナーの統合や、オープンマーケットにおける古い在庫の管理をより慎重に行うなど、ビジネスモデルをチャレンジャー(新興挑戦者)からインカンバント(既存大手)に変えつつあります」と、CanalysのリサーチマネージャーであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏は、リリースで述べている。「しかし、シャオミは依然としてマスマーケット(大衆市場)に大きく依存しており、サムスンやアップルと比較すると、シャオミの平均販売価格はそれぞれ約40%と75%も安くなっています。そのため、シャオミの2021年の主要な優先事項は、Mi 11 Ultra(ミー・イレブン・ウルトラ)のようなハイエンド機の売上を伸ばすことです」。

シャオミは米国ではあまり知られていないが(同社はこの国で独自の問題に対処してきた)、最近ではラテンアメリカ、アフリカ、西ヨーロッパで特に成功を収めている。サムスンを追いかけ、さらに世界的な急成長を続けているOppoとVivoを振り切るためにも、同社が拡大を続けられる市場はまだたくさんありそうだ。

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タグ:XiaomiCanalysスマートフォン

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国の2021年第1四半期のPC出荷台数は73%増、Chromebookが好調

パンデミックによる需要増を受け、米国の2021年第1四半期のPC出荷台数は前年同期比73%増となった、とCanalysは発表した。計3400万ユニットが販売された。Appleの出荷台数は36%増と好調だったが、HPが1100万ユニットを販売して年間成長率は122.6%とAppleを上回った。

Canalysが指摘したように、ホリデーシーズン後の第1四半期はAppleのハードウェアは苦戦する傾向があるが、これはHPにとっては追い風だ。出荷台数を大きく伸ばしたその他の企業には、116%増のSamsung、92.8%増のLenovoがある。Dellは29.2%増で、他社に比べると控えめな成長だった。

PCは飛ぶように売れ、全体的にはすばらしい四半期だった。Canalys ResearchのアナリストBrian Lynch(ブライアン・リンチ)氏は、これは部分的には人々が2020年に在宅ワークやオンライン教育に移行し、新しいPCを必要としたことによる需要増が貢献したと指摘した。しかし成長が歴史的に比類ないものだったにもかかわらず、2021年第1四半期は業界のこれまでで最も好調だった第1四半期の1つという位置づけだ。メーカーは供給問題が世界の他のエリアで解決される前に米国の不足していた在庫の補充を優先した、とリンチ氏は発表文で述べた。

画像クレジット:Canalys

おそらく驚くことではないが、PC買い換えを検討し、特に教育目的だった人がPCマーケットのローエンドに目を向けたため、低価格のChromebookが最も人気だった。この傾向は高価格のApple製品にマイナスの影響を及ぼしたはずで、 Appleは出荷台数トップの座を失った。

そしてSamsungや他のChromebookメーカーが躍進した。2020年Chromebookの売上高は548%増加し、なかでもSamsungが1963%増と驚異的な数字で成長をリードした。ASUS、HP、LenovoもChromebookの売上を900%超増やした。

そうした数字にはデスクトップ、ノートブック、タブレット、ワークステーションが含まれるが、中でもノートブックが前年比131%と目覚ましく増加するなど、その大半はノートブックとタブレットだった。タブレットの売上はノートブックと同様の増加率ではなかったが、販売台数は51%増の1100万ユニットに達した。

教育部門の需要が継続し、マーケットが今後数四半期で急激に落ち込むことはないとCanalysは予想する。パーツ、特にチップの不足は引き続き業界に影を落としているが、これは今後の四半期の需要につながるだけだと同社はとらえている。

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2021年第1四半期のスマホ世界出荷台数は27%増

カテゴリー:ハードウェア
タグ:CanalysノートパソコンChromebookアメリカ

画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年第1四半期のスマホ世界出荷台数は27%増

パンデミックの影響から回復しつつあるスマートフォン市場から、さらなる朗報がもたらされた。Canalysの発表によると、2021年第1四半期(1〜3月)のスマートフォンの世界での出荷台数は、前年同期比27%増だったという。

この業界は新型コロナウイルス(COVID-19)によって早い段階から打撃を受けており、第1四半期にはパンデミックがまず中国や製造業の多いアジア地域を襲ったため、深刻なサプライチェーンの問題に直面した。その後、モバイル機器を購入しようとする人が減り、経済や雇用にも影響が出てきたため、需要が低迷し始めた。

画像クレジット:Canalys

Samsung(サムスン)は引き続き世界市場をリードしており、5960万から7650万台(前年同期比28%増)となった。同社は世界のスマートフォン出荷台数の約22%を占めている(これは前年同期と変わらない) 。

2位はApple(アップル)で、3710万台から5240万台へと41%増加した。これは、2020年末にリリースされた大規模なアップグレードによるものであると考えて間違いない。一方、Huawei(ファーウェイ)の苦戦は同社をトップ5から追い落とした。

CanalysのBen Stanton(ベン・スタントン)氏はプレスリリースの中で「Xiaomi(シャオミ)は、新しいファーウェイとなるためのポールポジションを獲得している」と述べている。「競合他社はチャネルマージンに優れているが、シャオミの圧倒的な販売台数は競合ブランドよりも収益を上げる良い機会を与えている。しかし、競争は終わっていない。OppoとVivoがすぐ後を追っており、多くの地域でミッドレンジにポジショニングし、ローエンドでシャオミを囲い込んでいる」。

また調査によると、LGのスマートフォン分野からの撤退は、特に2020年の売上の80%を占めた米国で若干の混乱を招くだろうとしている。

関連記事:中国におけるアップルのスマホ売上回復、ファーウェイは王座を失う

カテゴリー:ハードウェア
タグ:スマートフォンCanalysAppleSamsungXiaomiLG

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルの中国におけるスマホ売上回復、ファーウェイは王座を失う

中国におけるHuawei(ファーウェイ)のスマートフォンのライバルが、2020年失ったマーケットシェアを急速に奪い返しつつある。

マーケティングリサーチの企業Canalysの調査報告によると、2021年第1四半期で中国では9240万台のスマートフォンが購入され、トップのVivoは23%、姉妹企業Oppoは22%という僅差で2位になった。米国の制裁でサプライチェーンから重要なチップを失ったファーウェイは、スマートフォンの売り上げも落ち込み3位の16%に終わった。そしてXiaomiとApple(アップル)がそれぞれ4位と5位になった。

前年同期、すなわち2020年第1四半期と比べると、すべての大手スマートフォンブランドの中でファーウェイだけを除く全社がマーケットシェアを伸ばした。Appleの中華圏における売上はほぼ倍増し、2021年3月で終わる3カ月の売上は177億ドル(約1兆9287億円)となった。最新の決算報告によると、これまでのすべての四半期売上の中で断トツだ。

今週行われた決算報告でTim Cook(ティム・クック)CEOは「「iPhone 12ファミリーに対する中国のお客様の反応には特に満足しています。中国では、2020年の第2四半期に他の国よりも早くシャットダウンの段階に入ったことを忘れてはなりません。そのため、この四半期には比較的大きな影響を受けました。その点を考慮して結果を考慮する必要があります」と述べている

ファーウェイのシェアは同じ第1四半期で41%から16%へと落ち込んだが、通信機器大手である同社は主にコスト削減により利益率を上げている。2020年11月には低価格機Honorのラインを売却した

今期はまた、中国のスマートフォン市場が4年ぶりに成長した四半期でもある。Canalysによると、その成長率は27%だったという。

CanalysのアナリストであるAmber Liu(アンバー・リュー)氏は「有力ベンダーは市場トップを目指して競争しており、今期は2020年第1四半期、あるいは2020年第4四半期と比較しても、スマートフォンの発売数が異常に多かった。ファーウェイの制裁とHonorの売却は、消費者とチャネルが代替ブランドに対してよりオープンになる中で、この新しい市場成長の特徴となっています」と述べている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)