Nothing初のスマホは今夏発売予定、クラウドファンディングで追加資金調達へ

誰がなんと言おうと、Nothing(ナッシング)はティーザーをさらにもったいぶる方法を知っている。同ハードウェアスタートアップの弁明として、同社は米国時間3月23日朝に行われたイベントは「ロードマップ」の公開であるとし、具体的には、同社のラインアップに加わる別のデバイスに言及したが、その製品に関する情報はあまり提供しなかった。しかし同社は少なくとも、噂されていた2番目のハードウェア「Nothing Phone(1)」の発売予定を確認した。

我々は3月初め、Mobile World Congress(MWC)において、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏が企業幹部たちとミーティングを行い、ワイヤレスイヤフォンのEar(1) と同様に透明感を強調したデザインを特徴とするバージョンのデバイスを披露していたことを紹介し、このデバイスの存在を確認した。

今回のオンラインイベントで同社は、製品にSnapdragonチップが搭載されることを含め、いくつかの詳細を発表した。Qualcomm(クアルコム)がNothingに出資していることを考えれば、驚くことではない。同じくペイ氏が設立したOnePlusに似て、このデバイスはAndroidを独自に改良したNothing OSを搭載し「Nothing製品や他の世界トップブランドの製品を簡単に接続、統合するオープンでシームレスなエコシステム上に構築される」という。

エコシステムは常にNothingの戦略の中核にあり、その統合がどのようなものなのか興味深いところだ。Apple(アップル)やSamsung(サムスン)などがモバイルを中心としたソーラーシステムを構想しているのと同じように、同社は携帯電話がそのシステムのハブとして機能することを思い描いているのは間違いないだろう。Nothingは4月、OSのプレビューを提供するつもりだという。

画像クレジット:Nothing

ソフトウェアは、OnePlusがOxygenOSで提供しようと取り組んできたもの、つまり、あまり多くの追加ソフトウェアを追加せずに、Androidに手を加える形に似ているようだ。外観的には、同社の「アナログ」デザイン言語を踏襲することになる。同社は、(Androidを土台にするとはいえ)ハードウェアとともにOSレイヤーを開発することで、Appleのような道を歩もうとしているのだ。同社のヘッドフォンはすぐに対応し、AirPodsやTesla(テスラ)などの自動車を含むサードパーティ製品のサポートに取り組んでいる最中だとペイ氏はいう。

Nothingは、携帯電話のOSアップデートを3年間、セキュリティアップデートを4年間提供することを約束している。

というわけで、同社はEar(1)が確立したパターンを踏襲し、今後数カ月のあいだ、次期スマホのより詳細な情報をチラ見せしていくことになるのだろう。

携帯電話のニュースとともに、同社は、わずか2週間前に実施された7000万ドル(約84億8000万円)のシリーズBに続いて、さらにクラウドファンディングで資金を調達することを発表した。同社が目指しているのは1000万ドル(約12億1000万円)で、VCが支援したラウンドと同じ評価額で募集される。現在、事前登録を受け付けており、4月5日に正式公開される予定だ。ファンに金銭的な利益を与えることで、コミュニティの関与を促進しようとするこの戦略は、これまで同社にとって成功を収めてきた。

このデバイスは、モバイル関連のスタートアップ企業にとって厳しい、しかし期待が集まる時期に登場することになる。初代iPhoneが発売されてから15年が経ち、携帯電話への関心は薄れている。パンデミック以前から売り上げは横ばい、低迷していたが、その後のサプライチェーンの制約やチップ不足とともに、この傾向はさらに悪化している。LGやHTCのようなかつての主要プレイヤーは、この業界から完全に撤退するか、劇的に規模を縮小している。

Nothingは、Essentialの失敗から生まれたプライバシー重視のOSOMを含む、新しいモバイルスタートアップ各社の小さなムーブメントに加わることになる。ちなみにペイ氏とNothingは、EssentialのIPを買収したが、同社は最終的にその名前を使って何もしていない。

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

NothingがSnapdragon搭載のスマートフォンを3月23日発表か、約81億円のシリーズB調達

Nothing(ナッシング)にとって、Mobile World Congress(MWC)は序曲だった。この若いハードウェアのスタートアップは、ミーティングルームで、舞台裏で、次に何が来るかを議論しながらショーを過ごした。会期中に述べたように、すぐに出る答えはスマートフォンであり、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏は主要なモバイル企業幹部たちとの内密なミーティングで、このデバイスを喜んで披露していた。

英国時間3月9日、Nothingは3月23日に開催されるライブストリーミングイベントで、今後の動きについて説明すると発表した。このタイミングは、我々が最近の記事で指摘した「来月までに」というタイムラインと確かに一致しており、来るべきAndroidデバイスの最初の実物を垣間見ることができることを大いに暗示している。

画像クレジット:Nothing

また、EQT VenturesとC Venturesの共同出資による7000万ドル(約81億1000万円)の新たな資金調達もその方向性を示している。同社はリリースで「この資金は、Qualcomm Technologies(クアルコム テクノロジーズ)とそのSnapdragonプラットフォームとの提携による新しい製品カテゴリーの創出、および元Dyson(ダイソン)のデザイン責任者Adam Bates(アダム・ベイツ)氏が率いる新しいLondon Design Hubでの事業の拡大に使用されます」と述べている。

Qualcommは2021年10月、Nothingが5000万ドル(約57億9000万円)のシリーズAエクステンションラウンドを調達した際に、同社の戦略的パートナーとして発表された。

「今回の資金調達により、シームレスなデジタル未来という当社のビジョンの次の段階を実現するための燃料を得ることができました」とペイ氏は発表で述べている。「コミュニティと投資家のみなさまのご支援に感謝しています。当社の最初の年はウォームアップでした。今度のイベントで、Nothingで何を作っているのかを明らかにするのが待ち遠しいです」。

ペイ氏は、先週バルセロナで開催されたイベントでも、Qualcommの幹部らと一緒に写真を撮られている。もちろん、このチップメーカーは最近では携帯電話以外の部品も製造しているが、ペイ氏とSnapdragon、およびAndroidのアカウントとのTwitterでのやり取りで、さらなる裏付けを得られる。

この製品は、2021年のEar(1)ワイヤレスイヤフォンに続く、Nothingの第2弾となる。初報で述べたように、このスマートフォンは、筐体の一部に透明性を持たせるなど、前モデルとデザイン的な要素を共有することになる見込みだ。

「THE TRUTH」発表会は、米国東部標準時3月23日午前9時(日本時間午後11時)にキックオフされる。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

カール・ペイ氏のNothingがスマートフォンを開発中

OnePlus(ワンプラス)を共同設立してから7年後、Carl Pei(カール・ペイ)氏は、2020年にこのスマートフォンメーカーを離れ、自身のベンチャー企業を起ち上げた。Nothing(ナッシング)と名づけられたこの会社は、現在までに透明なイヤフォン「Ear (1)」という製品を1つだけ発表している。しかし、この経営者は、自分が名を成した業界への復帰を準備しているようだ。

Nothingは1年以上前からスマートフォンの開発に取り組んでおり、2022年4月までに発表する予定だと、この件について直接知っている関係者が、TechCrunchに語った。ペイ氏は、バルセロナで今週開催された携帯電話関連のイベント「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス)」において、業界の主要経営幹部たちと行った会談の中で、このデバイスの試作品を披露したという。TechCrunchはペイ氏がQualcomm(クアルコム)の最高経営責任者とそのような会談している写真を見た。

この近々登場するデバイスに関する詳細はほとんどわからないが、情報提供者はこの製品が、Nothingの最初の製品と同じデザイン言語と、そこに見られる「透明性という要素」を共有することになると言及している。2021年に発売されたこのイヤフォンは、ロンドンに拠点を置くハードウェアスタートアップの同社によると、1月下旬の時点で40万台を出荷しているという。

ペイ氏は、このイヤフォンを発表する直前の2021年7月、TechCrunchによるインタビューで、同社が複数の異なるデバイスをロードマップに載せていることを明かしていた。「私たちは、多くの製品を開発中です。2022年の初めには、コミュニティクラウドファンディングを実施し、150万ドル(約1億7000万円)をコミュニティに割り当てました。それはあっという間に買われてしまいましたが、私たちはその資金調達ラウンドの一環として、開発中の製品をいくつか紹介するプレゼンテーション資料を用意しました。当社の製品のコードネームはPokémon(ポケモン)から取っているので、このスライドにはたくさんのポケモンが登場します。私たちは複数のカテゴリーを検討していますが、それらが何であるかはまだ発表していません」と、同氏は語った。

ペイ氏は確かに、OnePlusの共同設立者でその原動力としての経歴を持っている。同社初のデバイスは2014年、すでに成熟して飽和状態にあると思えたカテゴリに登場した。それでも、この製品は、フラッグシップ機並みの品質と中級機並みの価格を武器に、米国市場への参入という難業を成し遂げた。2021年、OnePlusはハードウェアチームを、同社の過半数を所有するOppo(オッポ)と合併させた。Oppoは、Vivo(ヴィーヴォ)、Realme(リアルミー)、iQOO(アイクー)といった主要ブランドとともに、BBK(歩歩高電子工業)の傘下にある。

この会談が行われた今回のMWCは、特に地味なイベントとなった。携帯電話業界は、長年の売上低迷と減少に悩まされており、最近は新型コロナウイルスの影響による購買習慣の変化、サプライチェーンの停滞、チップ不足によって、さらに悪化している。スマートフォン市場は、革新を起こすのに適した状況にあるといえるが、携帯電話が目新しいものから何処にでもあるものに成長し、良質の製品が安価に入手できるようになった今、それを実現することは至難の業だ。それでもNothingは、確かに旋風を巻き起こすのに十分な資金を持っている。同社は、GV、Tony Fadell(トニー・ファデル)氏、Casey Neistat(ケイシー・ナイスタット)氏、Kevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Steve Huffman(スティーブ・ホフマン)氏など著名な投資家から、7000万ドル(約81億円)以上を調達している。

また、Nothingは同じようにコミュニティによる牽引を重視することで、独自のファン層を築くことにも成功している。ペイ氏が興味を持っているスニーカー市場から明らかに着想を得た、リリーススケジュールやマーケティングキャンペーンの手法も同様だ。しかし、99ドル(約1万1500円)のワイヤレスイヤフォンに興味を持たせることはできても、確立されたスマートフォンの世界でそれを行うことはまったく別の問題である。

長年、携帯電話産業を先導してきたLGやHTCなどの企業は落ち込み、Google(グーグル)のような大手企業でさえ、この業界には計り知れない困難があることがわかってきた。現在はApple(アップル)、Samsung(サムスン)、Xiaomi(シャオミ)などのプレイヤーが世界的な売上を支配しており、BBK傘下の前述のブランドがそれに続いている。先週、新規参入のOnward Mobility(オンワード・モビリティ)は、BlackBerry(ブラックベリー)ブランドを再起動する計画を破棄すると発表した

Essential(エッセンシャル)は、3億ドル(約350億円)もの巨額の資金を調達したにもかかわらず、成功できなかったことで有名だが、Andy Rubin(アンディ・ルービン)氏が設立した同社には、多くの失策や問題が指摘されている。ペイ氏の会社はその後、Essentialブランドを買収したが、これは同社が、この不運なハードウェアメーカーの名前を採用することを検討していた際の動きであったと、ペイ氏は後にTechCrunchに語っている。一方、Essentialの従業員の多くは、自分たちの新しいスマートフォン会社としてOSOM(オーサム)を起ち上げ、2022年中の製品発売を計画している。

なお、今回の報道について、Nothingはコメントを辞退した。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Manish Singh, Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Nothingがさらに約56.7億円を調達、新カテゴリー参入を準備中

7月31日に最初の製品である「Ear(1)」を発売したNothing(ナッシング)は、米国時間10月13日、5000万ドル(約56億7000万円)の「シリーズAエクステンション」を発表し、同社の累計資金調達額は7400万ドル(約83億9000万円)となった。今回のラウンドは、2月に発表された1500万ドル(約17億円)のシリーズAに続くものだ。

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【レビュー】成熟した市場に参入する低価格の変わり種、Nothingのワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」
元OnePlusのカール・ペイ氏がコミュニティに新会社Nothingへの投資機会を提供

そのシリーズAの直後、Nothingは、創業者Carl Pei(カール・ペイ)氏が前に立ち上げた会社であるOnePlus(ワンプラス)が長い間培ってきたコミュニティ意識の活用を目指して150万ドル(約1億7000万円)のエクイティラウンドを発表した。シリーズAはGVがリードし、iPodの発案者であるTony Fadell(トニー・ファデル)氏、Bemeの共同創業者で映画監督のCasey Neistat(ケイシー・ナイスタット )氏、TwitchのCOOであるKevin Lin(ケビン・リン)氏、Redditの共同創業者兼CEOであるSteve Huffman(スティーブ・ホフマン )氏などの個人投資家が参加したが、同社は今回のラウンドでは出資者の名前を明らかにしていない。

今回の資金調達は「ブランドのエコシステムの一環として、新しいカテゴリーの製品に参入するための研究開発」に使用される予定だという。2021年の初めにペイ氏は「我々の製品開発パイプラインにはたくさんの製品があります」と語っていた。

13日朝のもう1つのニュースは、Qualcomm(クアルコム)との「コラボレーション」だ。具体的には、Nothingが今後のデバイスにSnapdragonチップを採用することを発表した。

ペイ氏は、リリースで次のように述べている。「シームレスな接続性は、人とテクノロジーの間に障壁のない未来という当社のビジョンを達成するために最も重要です。Qualcomm Technologiesおよび戦略的投資家のみなさまとともに、Nothingの次の成長を実現することを楽しみにしています」。

Nothingは先日、同社のワイヤレスイヤフォンが発売後2カ月で10万個以上出荷されたことを発表した。また、同社は以前から製品の追加を示唆していたが、詳細な情報はまだ提供されていない。QualcommのSnapdragonシリーズは、ウェアラブルからノートPCまで幅広い製品に採用されているが、その中心は常に携帯電話だ。

Qualcommは昨今、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)が独自のチップを社内で製造するようになったことで、間違いなく頭を抱えている。

画像クレジット:Nothing

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】成熟した市場に参入する低価格の変わり種、Nothingのワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」

Carl Pei(カール・ペイ)氏は、周囲を見回すと同じようなものであふれているという。そう感じているのは彼だけではない。完全なワイヤレス型イヤフォンは、Apple(アップル)が初期のAirPodsで発明したわけではないが、AirPodsが一種の転換期となって、多くの競合他社がこぞって同じようなイヤフォンを発売するようになった。Bluetoothイヤフォンほど短期間で成熟し融合した消費家電のカテゴリーを他に挙げろと言われても簡単には思いつかないだろう。ただし、数あるワイヤレス型イヤフォンの中からちょっとした変わり種を見つけるということなら話は別だ。

最近は、完全な実用性を備えたワイヤレス型イヤフォンが50ドル(約5400円)くらいでワンクリックで手に入る。200ドル(約2万1000円)も出せば本当に卓越したものが手に入る。しかし、多様性となると話は別だ。どれもこれも似たような製品に思える。細長いAirPods型のデザインと少し丸みのあるデザインのどちらを選ぶかという以外に、多様性と呼べる要素は見当たらない。つい最近まで、アクティブノイズキャンセリングとワイヤレス充電などの機能を備えているかどうかによって、このカテゴリーのプロダクトは高級とそれ以外に2分されていたが、今はどちらも当たり前の機能になってきている。

画像クレジット:Brian Heater

2021年に新しい消費者向けハードウェア企業を立ち上げるとしよう。そして、最初の製品としてイヤフォンを選択したとする。どうすればよいだろうか。競合他社が乱立する市場で自社製品の差別化を図るだけでなく、Samsung(サムソン)、Google(グーグル)、Apple(アップル)といった大手と渡り合っていくには、何が必要だろうか?

価格はもちろん重要な要素の1つだ。「99ドル」(日本では税込1万2650円)というのは、かなり積極的な価格設定だ。ペイ氏は、TechCrunchの最初のインタビューでは、Ear (1)を100ドルを切る価格に設定したことを後悔しているようだった。Nothingは製品ごとに大きな利益を挙げるつもりは必ずしもないといって間違いないと思われる。ペイ氏の前の会社OnePlusと同様、同氏は低価格をその製品の最大の特徴にするのを嫌っているようだ。

関連記事:Nothingが新型ワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」をついに公開、税込1万2650円で8月17日発売

Ear (1)発売前のインタビューで、ペイ氏は、業界の現状をある種の「機能過剰」状態だと考えていると話していた。実際、さまざまなカテゴリーで、過去数年に渡り、終わることのないスペック競争が繰り広げられていた。その結果、機能によって差別化を図るのはますます難しくなっていった。それは、ここ数年のスマートフォンメーカーの端末の売り方を見ればよくわかる。その間、ワイヤレスヘッドフォンは「ワクワクする初期の混乱」状態から「極めて高品質な製品」状態へと、ごく短期間で移行した。

画像クレジット:Brian Heater

個人的には、機能による差別化の余地はまだあると思う。例えば最近発売されたNuraTrueのイヤフォンを見てみよう。この会社は、3つのヘッドフォンモデルの特長である専用のオーディオテクノロジーを基盤として、通常とは反対のアプローチでイヤフォンにたどり着いた。

ペイ氏は、Ear (1)の発表記者会見で、Nothingは最初の製品を決定する前にまず、同社の美学的な理想を明確にしたことに触れた。そして、いつもどおり、製品の画像が表示される前に、デザイン会社Teenage Engineeringとのパートナーシップを発表した(初期の段階で我々が入手できた情報は、初期のコンセプトは、ペイ氏の祖母のタバコのパイプにヒントを得たということぐらいだった)。

他にもエコシステムに関する考えについても理想はあるが、これは、複数の製品がリリースされた後にはじめて具体的に考えるべきことだ。とりあえず現時点では、Ear (1)をあらゆる角度から見てみた。耳に装着したり、手のひらの上に置いたりしてみる(手のひらに置いたままではタイピングは難しいので、今は机の上に置いてこの記事を書いているが)。

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形状は明らかにAirPodsのものを借用しており、耳に装着するイヤピース部分から細長い柄が飛び出した形をしている。その点では、Ear (1)はすべてがNothing独自の製品であるとはいえない。とはいえ、完全なワイヤレス型イヤフォン自体の性質からして、取れる形状が限られているということは言えるだろう。筆者はもちろん製品デザイナーではないが、イヤフォンは耳に心地よくフィットする必要があるし、大き過ぎても重過ぎても、柄の部分があまり突き出ていても駄目だ。

ペイ氏によると、この製品のリリースが遅れた理由の1つは、最初に戻ってデザインをやり直したからだという。彼らが最終的にたどり着いたのは、ひと目でイヤフォンと分かるものの、独自の少し目を引くようなデザインだった。透明であるというのは美的観点からすると最大の差別化要因だ。ケースが透明なのは、こうした製品では珍しいので、とりわけ目を引く。イヤフォン本体については、透明なのは柄の部分だけだ。

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イヤピース部分単独で見ると、アップル製品にかなり似ている。光沢のある白の仕上がりと白のシリコン先端部が大きな部分を占めている。初期のレンダリングのとおり、イヤピース部分が透明でないのは、シンプルで現実的な理由からだ。イヤピース部分を構成するパーツが透けて見えるとあまりに見苦しいからだ。これは製品のリリースが遅れた別の要因でもある。つまり、製品を透明にすると、パーツや接着剤の見え方を考える必要があるのだ。普通なら完全に透明なケースの中央が広く白い部分で覆われているのも同じ理由からだ。充電パーツは見苦しいのだ(失礼、だが事実だ)。

スケルトン仕様にするとゴテゴテしたデザインになりがちだが、Nothingはデザイン的にもかなりよい感じに仕上がっているし、同時に異彩も放っている。それだけでもガジェット設計という単調な世界で何かを主張している感じだ。また、StockXと提携したことも、Nothingが追いかけているアーリーアダプターやインフルエンサーの影響を明らかに示している。

Ear (1)イヤフォンは、このカテゴリで、同じくスタイル重視のどのウィル・アイ・アム製品よりもずっと好感が持てる。Ear (1)は確かに目立つが、外でもひと際目を引くというほどではない。つまり、街を歩いていて「あの人の耳見て」と大声で指差されたり、止められたりすることはない(ウィルさん、失礼)。

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外観は、個人的には、気に入っている。気の利いた工夫も施されている。赤と白の点はそれぞれ、右と左のイヤピースを表している。これはRCAおよびその他のオーディオケーブルの色分けに従ったものだ。Nothingのロゴが点線の文字で刻印されており、回線基盤プリントを思わせる。この文字は、Nothingの大半の商標にも使われている。サプライチェーンベンダーとの交渉に多くの時間を費やした経験のある人物が立案したデザインであることは明らかだ。筆者がペイ氏に話を聞いたときも、同氏は、Nothingが本拠を置くロンドンではなく深センの周辺で、サプライチェーンの末端に関する問題の詳細を詰めていることが多かった。

イヤピースの感触も抜群だ。筆者は、さまざまなデザインのイヤピースを長時間装着した後、耳の痛みを感じることが多いことは前に述べた。Ear (1)を装着してニューヨーク市内を4時間ほど散歩したが、痛みや違和感はまったくなかった。また、耳の中でも非常に安定していた。充電ケースに戻すときにも、磁石でカチッと収まるのがとても心地よい(ここでも赤と白の色分けがされている)。

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ケースは平坦な四角形で角に丸みが付けられている。透明でなければ、ミントの缶詰によく似ている。フタを閉めるときにはカチッという音もする。数百回あるいは数千回開け閉めを繰り返した後も、このフタのかっちり感が持続するかどうか興味深いところだ。

Nothingによると、標準的な落下テストや負荷テストはすべて行っているものの、透明なプラチックは強度が高くても引っかき傷がつきやすいため、複数の鍵と同じポケットに入れた場合などは特に注意が必要だと警告している。ペイ氏は、こうした傷は最終的には魅力の1つにはなるだろうと言っているが、果たしてユーザーはどのように判断するだろうか。筆者は数日間使ってみて、鍵を同じポケットに入れるようなこともなかったが、ケースの底に長い引っかき傷がついた。この傷で別段クールな感じになったとも思わないが、みなさんはどうだろうか。

上蓋には大きなくぼみがあって、閉じたときにフタとイヤフォンがぶつからないようになっている。このくぼみは、ケースを何となくいじるときに親指を置くのにもちょうどよい。ぼんやりとフタを開け締めして、ソワソワした気持ちを落ち着かせるのにもよいのではないか。ちょっとしたことだが、よく考えられた細工だ。ケースの裏側には、USB-Cの充電ポートとBluetoothの同期ボタンがある。

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iOSを使っている場合は、アプリを介して、またBluetooth設定で、最初にイヤフォンを接続する必要がある。自社製はイヤフォンだけで、OSもチップもスマホ端末も作っていない会社には設定に関していろいろと厄介な面もある。が、厄介といっても大したことはないし、おそらくは1回行えば済むことだ。

Ear (1)はまずまずの音質で聞ける99ドル(日本では税込1万2650円)のイヤフォンだ。驚くほど良いとまでは言わないが、Sony WF-1000XM4や新しいNuraTrueなどと互角に渡り合えないからといってがっかりする人はいないと思う。決してオーディオマニア向けではないが、音楽やポドキャストを聞きながら、街をぶらぶらするにはもってこいだ。

アプリにはTeenage Engineeringによって調整されたエコライザーが組み込まれており、balanced、treble / bass、voice(ポッドキャストなどで使用)の3つの設定が用意されている。3つの違いはわかるが、かなり微妙だ。イヤフォンではこの位が限界だろう。エコライザーのカスタマイズに関しては、デジタル一眼レフカメラよりも全自動感が強い。Nothingとしては、作り手の意図するバランスからあまりかけ離れて欲しくないということだろう。筆者は、すべての設定を試してみたが、ほとんどbalanced設定にしていた。みなさんのご意見をお聞かせいただきたい。

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ANC設定にも、ノイズキャンセリング、トランスペアレント、オフの3種類が用意されている。ノイズキャンセリングは、必要に応じて、強度を調整できる。全体として、ANC機能は非常に優れており、ニューヨークの街の雑音をかなり消してくれる。しかし、一番強い設定にしても、クルマの音を完全にブロックするとまではいかない。個人的には、そのくらいでちょうどよいと感じる。

「イヤフォンを探す」設定も用意されている。こうしたものは、どうしてもソファのクッションの下などに入り込んでしまいがちだが、この設定で甲高い電子音を発するようにしておけば簡単に見つけられる。

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一番不満に感じているのは、NuraTrueのイヤフォンでも感じた不満だ。Bluetooth接続が何度も切断されるのだ。音楽やポッドキャストに没頭していると、Bluetooth接続が切断されるのはイライラする。この現象は、イヤフォン、スマホ端末、チップ、オペレーティングシステムをすべて自社で作っている会社の製品では、あまり起こらない。新興スタートアップにとって、この点に関して競争するのはかなり厳しい。

難癖をつければ、数カ月間いろいろといじってみたものの、Ear (1)イヤフォンは過当競争気味のこの分野をひっくり返すような製品ではない。とはいえ、新興企業が消費者ハードウェアの分野に参入して、堅実な先発製品を市場から締め出すのを見るのはいつでもワクワクするものだ。ワイヤレス型イヤフォンという分野に低価格で新しい独自の製品を投入したNothingは、今後も注目していくに値する企業だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:カール・ペイNothingイヤフォンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

Nothingが新型ワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」をついに公開、税込1万2650円で8月17日発売

Carl Pei(カール・ペイ)氏が初めてNothing(ナッシング)を世界に向けて発表してから5カ月余りが経過した。その間に、同社は時間の流れとともに少しずつ情報を流してきたように思われるが、いずれにせよ、我々は「Ear(1)」のすべてが明らかになるこの日をずっと待っていたような気がする。

ペイ氏とOnePlus(ワンプラス)とのつながりから生まれる話題性や期待感を備えた、新しいコンシューマーハードウェアのスタートアップとしては、非常に賢明な戦略だったと言えるだろう。我々は2月から現在までに発表された多くの(確かにすべてではないが)ニュースを取り上げ、その名前に関するジョークはほとんど聞き流してきた。

親しみやすい……昆虫を使ったマーケティングテーマに注目(画像クレジット:Nothing)

率直に言って、Nothingが発表したニュースの量は、想像を超えていた。ペイ氏へのインタビューでは、ノイズキャンセリング機能の他、99ドル(約1万900円)という価格が明らかになった。最近では、我々は透明な充電ケースの画像とバッテリー駆動時間(ケース併用でANCをオンにした状態で24時間、オフにした状態で36時間)についての情報を、StockX(ストックエックス)のオークションから手に入れた。実際、あとはイヤフォン本体(おわかりのように、これはかなり重要だ)が公開されるのを待つだけだった。

筆者との会話の中で、創業者のペイ氏は美学を重要な差別化要因として強調していた。確かに、このメッセージは、Nothingが公開するために選んだ画像によっていくぶん混乱していた。会社と製品に関連する最初に公開された画像は、実際にはデバイスのPCB(プリント回路基板)のシルエットだった。2つ目の画像は、ペイ氏が祖母のタバコパイプからインスピレーションを得たという初期のコンセプトだった。

画像クレジット:Nothing

このプロジェクトが、発売前にどれだけ繰り返し磨き上げられたかを、Nothingが強調したかったことは明らかだ。実際、当初の発売を数カ月延期したのも、こうした繰り返しがあったからだとペイ氏は話してくれた。まず1つは、Ear(1)を他の製品とは違うデザインにしたかったこと。そしてもう1つは、製品を(部分的にでも)透明にするために、さらに複雑な要素が加わったということ。つまり、内部(部品やそれらをつなぐ接着剤までも)が、外見と同じように美しくなければならないのだ。

Ear(1)についてすぐに言えることがある。それは「似て非なるもの」だということだ。フォームファクタの点から見れば、イヤパッドから長いステムが垂れ下がっているところは、Apple(アップル)のAirPodsに最も似ている。この製品の透明という特徴は、大部分がこのステムに表れている(ケースは別として)。パッド部分は不透明な白色だが、これははっきり言って内部が見苦しいという事実によるものだろう。

ステム部分には、左右を識別するための赤と白の単色のドットがタッチパネルに表示されている。これは、赤が右、白が左を表すRCAケーブルを意識したものだ。もう1つの優れた美的センスは、ステムの長さ方向にプリントされたNothingのロゴに表れている。ドット文字は回路基板のプリントに対するオマージュであり、Nothingのプレス資料にも使われている。反対側には2つのマグネットのドットがあり、ケースの充電ピンに接続する。

画像クレジット:Nothing

ケースは透明なプラスチック製で、一対の小さな丸い凹みがイヤフォンを固定する。3つめの大きな円形の窪みはケースを持った時に親指を置く場所になる。ケースの中央には白い帯が入っているが、これは見苦しい電子部品を隠しているのだろう。

イヤフォン本体には11.6mmのドライバーが搭載されており、デザインチームとしても携わったTeenage Engineering(ティーンエイジ・エンジニアリング)が、オーディオのチューニングを担当している。Bluetooth 5.2を搭載し、Active Noise Canceling(アクティブノイズキャンセリング)機能は、ノイズキャンセル効果が控えめな「Light(ライト)」モードと、強めの「Maximum(マキシマム)」モード、そしてオフになる「Transparency(トランスペアレンシー)」モードの3種類から選択できる。また、イヤフォンを見失った時にはアプリを使って探すことができるなど、他にもさまざまな機能を備えている。

日本での発売は8月17日。価格は税込1万2650円となっている。レビューの掲載を楽しみに待っていて欲しい。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Carl PeiNothingイヤフォンOnePlus

画像クレジット:Nothing

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Nothing初の完全ワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」はノイキャン搭載で約1万900円

Nothingについてわかっていることは文字通りほとんどない。しかしこの若きハードウェアスタートアップは、そのことを利用して巧みなマーケティング活動をしている。7月27日に迫った同社初の製品である「Ear(1)」(イヤー・ワン)の発表を前に、Nothingのマーケティング部隊はごくわずかずつ情報を公開している。

発表イベントに先立ち、TechCrunchはファウンダーのCarl Pei(カール・ペイ)氏に、同氏の最新のハードウェア会社設立についてさまざまな話を聞いた。話の中で同氏は、近日発売の完全ワイヤレスイヤフォンについていくつか追加情報を披露した。

「ノイズキャンセリングのような最先端機能を備えたすばらしい製造品質の製品になります」とペイ氏はTechCrunchに話した。「私たちは主としてオンライン販売チャネルに焦点を絞っているので「手頃価格」とまでは言いませんが、消費者にとって十分公正な価格にすることができました。Ear(1)の場合、通常の不透明なデザインよりもずっとデザインコストがかかります。99米ドル、99ユーロ、99ポンドというのは納得のいく価格だと思います。機能的にはAirPods Proに似ていますが、AirPods Proは249ドル(約2万7500円)します。

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今のイヤフォン市場の価格設定はあらゆる範囲に広がっている。Apple(アップル)はAirPods Proで主流製品のハイエンドを支えている。Sony(ソニー)の最新製品は280ドル(約3万1000円)という本格的プレミアム価格で競り合っている。一方、スペクトラムの反対の端では、50ドル(約5500円)を切るイヤフォンを見つけるのも難しくないが、ローエンド製品の持続時間はさまざまだ。

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Ear(1)は99ドル(約1万900円)という思い切った価格設定で、Samsung Galaxy Buds(サムスン・ギャラクシー・バッズ)や最近発売されたGoogle Pixel Buds-A Series(グーグル・ピクセル・バッズAシリーズ)と同じ価格帯にある。Nothingの製品は、ノイズキャンセリングを含むAirPods Pro並の機能セットで優位を保つだろう。TechCrunch宛てのメールで同社は、アクティブノイズキャンセリングは高精度マイクロフォンを3基使って実現していると語った。Essential(エッセンシャル)から取得した知的財産権はこの最初の製品には使用されていない、とペイ氏は付け加えた。

社名をNothingに決める前、『Essential』は検討していた名前の1つでした」とペイ氏はいう。「この商標を買い取った理由はそれです。私たちはEssentialで何かする予定はありません」。

Nothingにとってこれは機能競争ではない、と彼は強調する。「今の子ども達が将来なりたいのはTikToker(ティックトッカー)やYouTuber(ユーチューバー)です」とペイ氏はTechCrunchに話した。「おそらく、テクノロジーが以前ほど感動を生まないからだと思います。消費者に聞いてみても、数年前と比べてテクノロジーをあまり気にしていません。ブランドがどんなコミュニケーションをしているかといえば、機能とスペックのことばかりです。この業界に崇高な目的を持っている人は誰もいません」。

ここでいう「崇高な目的」とはNothingのエコシステム活動、コネクティビティー、そしてユーザーの「デジタルライフをよりシームレスに」することだ。そしてそれは、名前が示すように、自分のやり方から抜け出すテック企業をつくる試みでもある。それは美的感覚の問題でもある。その新しいイヤフォンが透明になることを我々は知っている。発売が遅れる原因になった設計判断だ。

 

「世の中に透明な消費者家電製品が多くないのには理由があることがわかりました」とペイ氏は言った。「高品質なものを作るのは実に大変です。内側にあるものすべてが外側にあるものと同じように美しくなければなりません。チームが反復してきたのはそこです。それぞれのバージョンの違いはおそらくわからないでしょう。適切なマグネットを選ぶ(通常マグネットは製品の内側にあるのでユーザーには見えない)ことから最適な種類の接着剤を見つけることまで、不透明な製品を作っているときには解決する必要のない問題ですが、いったいどんな接着剤なら工業デザインを損なわないのでしょう」。

Nothingはコストを下げるために直販に頼ろうとしていない。初期のターゲットは英国、インド、ヨーロッパおよび北米で、日本、韓国などがそれに続く。同社はそれ以外の市場進出も検討している、とペイ氏はいう。Ear(1)は現在同社が準備している3つの製品群の1番目だ。

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元OnePlusのカール・ペイ氏がコミュニティに新会社Nothingへの投資機会を提供

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

元OnePlusのカール・ペイ氏がコミュニティに新会社Nothingへの投資機会を提供

OnePlusの共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ)氏は、コミュニティの重要性をよく認識している。同氏はOnePlusでファンから製品や機能のアイデアを募り、そのフィードバックを聞くために頻繁に集会を開いていた。そして彼の新しいベンチャー企業であるNothingでは、ペイ氏はさらに一歩前進している。

ロンドンに本拠を置くNothingは米国時間2月16日火曜日、2021年3月初めに予定されているコミュニティエクイティラウンドを通じて、同社に150万ドル(約1億6000万円)を投資できるようにすると発表した。さらにコミュニティメンバーの1人が同社の取締役会に選ばれ、同社を常に 「チェック」 し、 「ユーザーが何を求めているか」 を思い出させるとしている。

先日、Alphabet(アルファベット)のGVから1500万ドル(約15億9000万円)のシリーズAラウンドを調達したスタートアップは、同ラウンドで示唆されたのと同じ評価額でコミュニティから資金を調達するという。このスタートアップはCredのKunal Shah(クナル・シャー)氏、Future ShapeのプリンシパルでiPodの発明者であるTony Fadell(トニー・ファデル)氏、有名YouTuberのCasey Neistat(ケイシー・ナイスタット)氏、Twitchの共同創設者であるKevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Redditの最高経営責任者であるSteve Huffman(スティーブ・ハフマン)氏、TruecallerのKim Fai Kok(キム・ファイ・コク)氏などの著名な経営者から、さらに700万ドル(約7億4000万円)を調達している。

NothingのCEOを務めるペイ氏は、「私たちはコミュニティが最初から私たちの旅に参加し、そこで積極的な役割を果たすことを望んでいます」と述べた。資金調達オプションへの事前登録はグリニッジ標準時2月16日午前10時に開始され、キャンペーンは同3月2日午前10時に開始される。

ペイ氏はまだ、彼の新しいベンチャーが取り組む予定のすべてのプロダクトを共有していない。現時点では、Nothingはワイヤレスイヤフォンとスマートホーム機器を開発する計画だと同氏は述べているだけだ。

TechCrunchはなぜOnePlusでこれらができなかったのかをペイ氏に尋ねたところ、「何か新しくて違うものを作りたいときは、白紙の状態から始めて環境を変えるのが一番です」と返答している。

9to5Googleは今週、NothingがAndroidの父であるAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏のEssential(現在は事業終了済み)からいくつかの商標を取得したと報じている

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(文:Manish Singh、翻訳:塚本直樹 / Twitter