二足歩行ロボットの「キャシー」が5Kランに成功

Cassie(キャシー)がAgility Robotics(アジリティー・ロボティクス)のデリバリー・ボット、Digit(ディジット)の基になったことはみなさんご存知だろう。しかし、このテクノロジーの進捗を追いかけている人なら、元々はダチョウにインスパイアされたCassieとして生まれたことも知っているに違いない。

このロボットは、Agilityの商業化の野望を後押しするだけでなく、二足歩行研究の有効なプラットフォームであることを証明した。オレゴン州立大学のJonathan Hunt(ジョナサン・ハント)教授が2017年に発表したCassieは、国防省の助成金100万ドルを目的に作られた。ロボティクス世界ではよくある話だ。


7月27日、オレゴン州立大学エンジニアリング・カレッジDynamics Robotics Laboratoryの研究チームは、Cassieを二足歩行の限界に挑戦させている方法を紹介した。チームによるとこのロボットは、1回の充電で繋がれずに5 km走ることができる。Cassieが人間の世界記録に到達することは当分なさそうだが、53分間(と3秒)の走行はこのテクノロジーにとって十分魅力的な実績だ。

ロボットの走行時間には約6.5分間のトラブルシューティングが含まれており、その間チームはコンピューターのオーバーヒートや急な方向転換による転倒などに対応した。

「Cassieは、設計上非常に効率的に作られたロボットなので、私たちはハードウェアの限界に挑戦し、何ができるかを見せることができます」と博士課程学生のJeremy Dao(ジェレミー・ダオ)氏が声明で語った。

チームによると、Cassieは深層強化学習アルゴリズムを使うことで事実上独学で走れるようになった。走っている最中にバランスをとって直立する方法をシステムが見つける。

「深層強化学習はAIにおける強力な手法で、走る、スキップする、階段を上り下りするなどのスキルを獲得することができます」と大学生のYesh Godse氏が付け加えた。

今年5月に同チームは、Cassieがライダーや搭載カメラを使うことなく階段昇降をするデモも披露した。

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画像クレジット:Agility

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Agilityが業務用二足歩行ロボットDigitを市場投入、最初の顧客はフォード

Agility Robotics(アジリティー・ロボティクス)は、40ポンド(約18kg)の荷物を持ち運べる二足歩行ロボットDigit(ディジット)を市場に投入した。最初の顧客はフォード・モーターだ。

生産ラインで製造された最初の2台を手に入れることになっているフォードがCES 2020に先立って1月5日の日曜夜にラスベガスでの語った内容によれば、同社は2019年からこのロボティクスのスタートアップとの共同研究開発に参加していたとのこと。フォードは、Digitと自動運転車をどのように使えば、同社CTOのKen Washington(ケン・ワシントン)氏がいう「ラスト50フィート問題」、つまり縁石から玄関までの運搬に対処できるかを研究してきた。

Digitの販売価格は、まだどちらの企業も決めていない。

フォードはスタートアップ、Agility Roboticsと提携して二足歩行ロボットDigitの研究とテストを行っている。

Digitの販売開始は、Agilityにとってひとつの節目となる。2015年末にオレゴン州立大学ダイナミック・ロボティクス研究所からスピンアウトして設立された同社は、二足歩行ロボットの商品化を目指してきた。Agilityは、2017年、ダチョウからヒントを得た二足歩行研究プラットフォームCassie(キャシー)を発表した。DigitはCassyに上半身と腕、センサーを取り付け、コンピューター能力を強化したモデルとして2019年の春に発表された。そこからAgilityは、片足でもバランスを取ることが可能になり、障害物を安全に回避できるように改良を加え、ナビゲーションのために周囲を知覚しマッピングを行う新しいセンサーも追加した。

「インターネットでの小売り業が成長を続ける中、ロボットが、あらゆる人のための配達の効率化と低コスト化を実現し、私たちの法人顧客のビジネスを強化するものと信じています」とワシントン氏は声明の中で述べている。「私たちはこの1年、Agilityと多くのことを学びました。これで私たちは、商用Digitロボットとともに探索的研究をさらに加速させることができます」

フォードは、Digitが自動運転車をサポートして商品を人々に配達する方法を模索しているが、このロボットには、倉庫や会社内での用途もあると、同社は話している。

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(翻訳:金井哲夫)