CES 2022で発表された愛犬・愛猫向けの新しいテクノロジーをまとめて紹介

CESでは毎回、ペットオーナー向けの楽しいテクノロジーが紹介されるが、2022年も例外ではない。しかし、2022年は犬や猫を単なる愛すべき毛皮で覆われた友人としてではなく、独自の行動や感情、さらには自己表現の欲求を持つ知的な動物として扱うことに配慮したガジェットがいくつか出展されていた。

最も基本的なレベルとしては(数年前に比べればかなり進んだレベルといえるが)、飼い主が猫の日々の動きを把握するのに役立つ、猫用スマート首輪と体重感知プラットフォームを組み合わせた「Catlog(キャットログ)」がある。

この首輪は動きや振動を感知し、寝る、座る、前足を洗う、食べる、飲む、さらには動き回るといった「猫らしい行動」と関連付ける機能を持つ。これらの行動(毛づくろいも含まれる)は、IoTハブを通じてほぼライブで飼い主に送られる。そしていつ、どのくらい遊んだか、どのくらい寝たかなど、愛猫の1日を振り返ることもできる。

自分がいないときのペットの日常生活を明らかにするという、このデバイスの基本的な機能は、ペットが単なる膝の上のアクセサリーではなく、飼い主が見ていないときにも存在し、行動していることを理解するために最適な最初の一歩となるだろう。

Invoxia(インヴォクシア)は、犬の位置情報だけでなく、心臓や呼吸器の状態も追跡するスマート首輪を開発した。現時点でその効果を保証することはできないものの、人間の有害な事象や状態を検知するスマートウォッチやウェアブルデバイスが進歩していることを考えると、同様のものが犬用に開発されてもまったく不思議ではない。

動物も人間と同じように心臓や肺に問題を抱えていることがあり、悲しいことに犬種によってはその傾向がある。年に2回、獣医に連れて行って犬の呼吸を診てもらうのはもちろんだが、何かおかしいと思われる時には、飼い主に知らせてくれる首輪を装着するのもよいのではないだろうか。我々自身と同じように「予防のための努力は治療のための努力に値する」のだから。

画像クレジット:Inupathy

犬の背中に装着するバックパック型デバイス「Inupathy(イヌパシー)」は、単に生理的なサインを検知するだけでなく、さまざまな心理状態を検知できるとメーカーは主張している。とはいえ、現時点では過度な信用は禁物だ。この種のデバイスは、人間に焦点を当てたものもあるが、結果はまちまちだからだ。しかし、このInupathyを製造しているLangualess(ラングレス)は、次のようにその機能を説明している

動物の心臓は、穏やかなリズムで鼓動している状態であっても、その持ち主が緊張を感じ始めると鼓動のリズムを早めます。これは、活動時に働くとされる交感神経が活発化することで起こる現象です。私たちは、心拍の変動を独自に研究解析することで、さらに細かく持ち主の精神状態を読み解けることがわかってきました。

心拍数解析は、もちろん長く豊富な歴史を持つ分野であり、ヒット製品もあれば失敗した製品もある。しかし、犬がリラックスしているのか、一時的に興奮しているのか、あるいは長期的な怒りや不安の状態に入っているのかを見分けることができると考えるのは、理に適っていないというわけではない。同社の中核的な技術革新は、動物の心拍数を確実に検出し、解析するローカルセンサーと回路を開発したことである。

もちろん、尻尾の位置や体勢、声の出し方など、より外見的な要素からそれを知ることはできる。しかし、すべての犬がそれほど感情を表すとは限らない。ともかく、もう少しデータを追加してみるのもいいだろう。

データを追加するといえば、台湾最大の応用研究機関であるITRIは、犬の心臓発作を予防するためにデータに基づく早期警告信号を提供する「iPetWeaR(アイペットウェア)」というすてきなコンセプトを発表した。この低消費電力の生理学的検出レーダー技術は、ペットの肌に触れる必要がない無害なもので、ペットの首輪に取り付けたり、犬用ベッドに組み込むなど、柔軟なやり方でセンシングすることができる。

80ドル(約9300円)の基本パッケージには、センサーデバイス、多彩なオプションから選べる首輪、モバイルアプリが含まれており、猫と犬の両方に対応している。同社では愛くるしいデモ映像も制作しており、それは私たちがこの種の製品をまとめて紹介する理由にもなっている。

iPetWeaRによって収集された生理データは、Bluetoothによって飼い主の携帯電話に転送される。不規則な脈や呼吸が検知された場合は、飼い主がすぐに対応できるように通知が送られ、ペットの基礎的な健康状態の異常を早期に発見できることを、この製品は約束している。

しばらく前に登場したWagz(ワッグズ)の「Freedom Collar(フリーダム・カラー)」は、バーチャルなジオフェンスを導入することで、4本足の友達をその場所に留まらせておくことができるようになった。この首輪は、GPSトラッキングとフィットネス記録機能、そして「人道的」な矯正機能(電気ショックは使わない)を備えており、子犬のトレーニング用ソリューションとして人気を博している。しかし、CES 2022では新たに「Wagz Tags(ワッグズ・タグ)と呼ばれる製品が追加された。このアイデアは、犬を家の中で自由に歩き回らせる一方で、入ってはいけない小さな区域を設定するというものだ。犬に付けられた首輪がWagz Tagに近づきすぎると、ジオフェンシングが作動する。これは、愛犬を家具から遠ざけるための優れた、そして非常に賢い方法と言える。

Wagz Tagzでは、3フィート(約0.9メートル)から15フィート(約4.6メートル)までのカスタマイズ可能なKeep Out Zone(立ち入り禁止区域)を作成することができ、近づいてほしくない場所から安全にペットを遠ざけることができる。

画像クレジット:Wagz

せっかく一緒にいるのだから、犬と直接会話してみたらどうだろう?それがFluentPet(フルーエントペット)のアイデアだ。同社は犬に人間の語彙を使って自分を表現することを教えるためのボタンセットを製作している。下の写真のように、犬が前足でボタンを押すと、人間の言葉が出てくるという仕組みだ。

画像クレジット:FluentPet

明らかにFluentPetのボタンは、ソーシャルメディアで人気者となった、ボタンを押して自分の言いたいことを表現する犬、Stella(ステラ)とBunny(バニー)から着想を得たものだ。彼らの一見筋が通った言葉は、我々の予想以上に豊かな知的世界を示唆している。FluentPetのボタンは、あなたの愛犬が同じような才能を持っているかどうかを簡単に調べることができる(正直にいうと、すべての犬は優秀だが、すべての犬が確実に文章を作れるわけではない)。

数種類のセットが用意されているボタンキットには、個別の絵と文字で意味が書かれたさまざまなボタンが含まれており、ボタンを押すと「お外」や「ごはん」、そしてもちろん「大好き」などの言葉が出てくる。これらのボタンは、犬が目で見て簡単に覚えられるように、識別しやすい大きな発泡マット(味がしないことを祈る)に貼り付けて使う。

果たして犬は「大好き」という言葉の意味を本当に理解しているだろうか? おそらくそうではないだろう。好きであることは間違いないだろうが、そのボタンを押すと可愛がってもらえるというように理解しているのかもしれない。同様に「ごはん」のボタンを押すと夕食が早くなる傾向があり「お外」を押すとドアをじっと見ているよりも早く散歩に連れ出してもらえる。飼い主のあなたは、犬と完全な会話を楽しむことはできないかもしれないが、親友が自分自身を表現する方法を変える楽しい手段にはなるだろう。犬は時々、残念な方法で自分の気持ちを表現することがあるからだ。

画像クレジット:alfpoint Images / Getty Images

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(文:Devin Coldewey, Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」開始

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」公開

首輪型の猫用ロギングデバイス「Catlog」(キャトログ)を開発提供しているRABO(ラボ)は、5月24日、Catlogで蓄積された猫の行動データベースを活用した猫用の食事見守りサービス「Catlogフードケア」のリリースを発表した。

Catlogは、猫の首に装着することで、猫の活動量、食事、飲水の回数といった行動を自動的に記録できるデバイス。Catlogフードケアの追加により、そこで蓄積された12億件を超える猫の行動データを活用し、猫の栄養面をサポートすることで、健康三大要素である運動・休憩・栄養をカバーできるようになった。

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」開始

 

Catlogフードケアは、個々の猫のデータを専門家と共に開発した「独自のロジック」で消費エネルギーに換算し、毎日の食事量と照らし合わせることで「消費と食事」のバランスを示してくれるというものだ。これまでは、食事量は体重だけを頼りに決めるしかなかったのだが、Catlogフードケアを使えば、それぞれの猫の体型や活動状況から食事量を決められるようになる。今後は、猫の生活環境に応じたフードのお薦め、ダイエットサポート、さらに同アプリ上でのフードの販売も行う予定だという。

首輪型猫用ロギングデバイス「Catlog」が猫の食事バランスを見守る「Catlogフードケア」公開

また、2021年夏にリリース予定の猫用トイレの下に敷いて体重や排泄情報をアプリに送信するデバイスCatlog Board(ボード)を使うことで体重などのデータも加味されるようになり、個々の理想体重や、体重と消費と摂取のバランスなどの提案も行うとしている。

 

同社顧問でペット栄養学会理事の獣医師、徳本一義氏は、「Catlogで得られた膨大なデータを解析することで、活動量とエネルギー要求量の関係性を見いだすことに成功しました。Catlogフードケアを使うと、日本の生活環境で暮らす猫様に合ったエネルギー要求量を提案することができます」と述べている。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Catlog(製品・サービス)猫 / ネコ(用語)ペット(用語)RABO(企業)日本(国・地域)

猫の見守りと健康管理に、猫用ロギングデバイス「Catlog」開発のRABOが総額6億円を調達

2021年4月6日、猫用のログインデバイス「Catlog」を展開するRABOはシリーズAラウンドにおいて、総額約6億円の資金調達を発表した。引受先はSTRIVE、XTech Ventures、W ventures、三⽣キャピタル、みずほキャピタル。

RABOは2018年2⽉22⽇の猫の⽇に設立。「Catlogシリーズ」として猫の生活を見守るIoTプロダクトを展開している。主力プロダクトは首輪型のロギングデバイス「Catlog」で、これを愛猫に装着することで24時間365日、猫の行動をCatlogの専用アプリから確認できるようになる。

第2弾プロダクトは2020年10月に発表した、猫トイレの計量デバイス「Catlog Board」(キャトログボード)。これを猫トイレの下に設置すると猫の体重、尿量、回数などをアプリで確認できるようになる。首輪型のCatlogと計量デバイスCatlog Boardのデータは、いずれも1つのアプリで確認できる仕組みだ。Catlog Boardはクラウドファンディング・テストマーケティングサイトの「Makuake」にてプロジェクトを実施したところ、開始4分で目標額の30万円を突破、最終的に1549万円が集まった。現在はRABOの自社サイトで販売の予約を受け付けていて、2021年夏頃から発送を開始する予定だ。

Catlog Board

カメラでは不十分なペットの見守り

ペットの見守りというと、自宅にカメラを設置して見守るタイプのプロダクトが多い。ただ、実際に愛猫たちの見守りに使ってみたところ、それだけでは不十分に感じたのがCatlogを開発したきっかけとRABOの代表取締役社⻑を務める伊豫愉芸⼦氏は話す。

「見守り用のペットカメラを出しているメーカーは多数あります。私もCatlogを開発する前はカメラを活用していました。ただ、カメラを設置したとしてもすべてが追尾して撮るタイプではないので、動き回る猫様の様子を捉えきれないし、1日中カメラを見ているわけにもいかないので、なにか異変があったときに気づけないという課題があります。カメラを設置したとしても見守りとしては不十分で、健康管理に関しては不可能であると、飼い主としては思っていました」。

そこで伊豫氏は大学院で専攻していた「バイオロギング」の技術を猫の見守りに応用することを考えた。バイオロギングとは動物の体に小型のセンサーを装着し、データを解析することで人間が普段観察できない動物の行動を明らかにする研究手法のこと。Catlogはこの技術を応用し、猫の行動を24時間365日トラッキングできているそうだ。

愛猫の実況中継

2019年9⽉にサービスを開始して以来、Catlogには現在7000匹の猫が登録しているという。ユーザーにはこれまで見えなかった猫の行動がリアルタイムでわかり、離れている間も愛猫の存在が近くに感じられることがCatlogの魅力と伊豫氏は説明する。

「見えないデータが見えることで、より愛しく感じるポイントが増えたという声を多くいただいています。Catlogのアイコンがアバターのような役割になって猫様が自分の行動を実況中継してくれているので、それを見て『こんなにたくさん寝ててかわいいい』とか、自分が帰宅した時間に走っていますと出ると『迎えにきてくれていてかわいい』とか、飼い主さんたちが各々の解釈で愛でるポイントを発見しています」。

また、猫は体調が悪いことを言葉で教えてくれることはないし、もともと群れで生きる生き物ではないめ体調が悪いことを隠す傾向にある。飼い主は愛猫の体調の変化に注意しなければならないが、Catlogなら体調に関わるデータが確認できるという点もユーザーに評価されているという。

「猫様は泌尿器系のトラブルにかかることが多くて、水を飲むのが大事と多くの飼い主さんも理解しています。ご飯は、飼い主があげたときに食べるので、いつ食べているかはわかりますが、留守中に水を飲んでいるかはわからないので、そういった水飲みといった行動を確認できる点も、高く評価をいただいているポイントです」。

今後、Catlogでは病気の早期発見と早期治療ができるようにしていく考えという。すでにRABOは2021年1月、複数の動物病院との連携し、猫の疾病の兆候や症状を検知するための機能の開発に取り組むことを発表している。近々、猫の嘔吐を検知できる機能を実装する予定だが、他にも例えば、かかりつけの動物病院とも連携し、猫たちを診る獣医にとっても使いやすくなるような機能などを開発していく予定だそうだ。

RABO 

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:CatlogRABOペットネコ資金調達日本