米疾病対策管理センターは社会に必須のインフラ従業員に「コロナ疑いがあっても無症状なら業務継続すべき」

米CDC(疾病対策管理センター)は新型コロナウイルス(COVID-19)流行抑制に関するガイドラインをアップデートした。これにより「社会に必須のインフラ業務」に従事する人々については新型コロナウイルス患者に接触した後の予防的隔離が緩和される。 これは多数の労働者、特にギグエコノミーやテクノロジー企業の社員に大きな影響を与える可能性がある。

新ガイドラインは、新型コロナウイルスにさらされた可能性のある従業員の隔離を緩和し、以前のように自宅での隔離を強制するよりむしろ職場での予防策の徹底に重点を置いている。

CDCの発表によれば、新ガイドラインは「社会的に重要な機能の継続を確保する」こと目的としている。CDCは、社会的に必須な業務に従事している人々の場合、新型コロナウイルスにさらされた可能性があっても無症状であるなら職場に留まって業務を継続すべきであるとしている。「さらされた疑い」は家族が新型コロナウイルスに感染した場合、または感染したか感染の疑いがある人々から2m以内にいたことが確認された場合を含む。

もちろんCDCはそうした人々が通常どおり勤務していいと助言しているわけではない。 この種のリスクにさらされた人々は勤務に就く前に検温と症状の有無の確認の必要があり、自身でも健康状態に注意を払わねばならない。また少なくとも14日間、勤務先でマスクを着用する必要がある。適切な防護機能を備えたマスクが品不足のために入手できない場合は布マスクでもよいという。また他の従業員から物理的に距離をとる必要があり、使用したり接触した器具等は定期的に消毒される必要がある。

CDCはさらに雇用者に対して「勤務中に体調の悪化があった人々はただちに帰宅させること、 症状が現れる前の2日間にさかのぼって接触した可能性のある人のリストを報告すること」を求めている。

CDCのガイドラインの変更は、水曜日のホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースの記者会見で発表され、インフラを機能させるために必要な措置だとされた。「新型コロナウイルスの流行中、社会的に必須な重要サービスの中断を防ぐことは極めて重要だ」とホワイトハウスは考えている。新ガイドラインは、常勤社員だけでなく「契約社員」にも適用される。これはAmazonのフルフィルメントセンターの従業員やInstacart、Uber Eatsなどの宅配サービスの配送スタッフなどが含まれるのだろう。

ガイドラインのアップデートに先立って、新型コロナウイルスに関連した多数の労働問題が起きていた。これには労働条件に対する契約労働者の抗議ストライキ重要なサービスの中断などが含まれている。

画像クレジット: CHRIS DELMAS/AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米FDAが新型コロナ検査で本人も綿棒を使えるようにガイドラインを改訂

FDA(食品医薬品局)は新型コロナウイルス検査のガイドラインを改訂した。検査を患者にとって簡単かつ不快感を少なくするとともに保護マスク、防護面、手袋、白衣などの個人防護具(PPE)の供給問題も軽減することが目的だ。

改訂の結果、被験者は検査のために自分で綿棒を使い、鼻孔の浅いところから検体を採取できるようになる。既存の手順では、専門医療従事者が鼻孔の奥深くから検体を採取する必要があった。しかしながらこの変更は、自宅での検体採取に関するFDAガイドラインを変えるものではない。自宅での検査は、FDAが先週定めたガイドラインによって現在も禁止されている。ウイルス検査のスタートアップが自宅用検査キットを配布することはできなくなっている。

被験者は認定医療機関またはドライブスルー検査機関に行く必要があり、検査を受けるためにはまずCDC(疾病予防管理センター)の審査基準を満たなくてはならない。Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領はこれについて、検査環境は最前線で働く医療従事者の安全性を高めるとともに、個人防護具資源の流出を減少させる効果もあると言っている。

ペンス副大統領はまた、すべての州および民間検査機関は、検査結果をCDCに報告することが法律で義務付けられていることを付け加えた。これまで陽性の結果のみを報告する州があり、米国における検査人数と陽性反応の人数比率が歪められていたという。

画像クレジット:Alex Kraus / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米政府はハイテク企業と協議し新型コロナとの戦いに位置情報を活す作戦を練る

Washington Postの最新報道によると、米国政府関係者は現在、携帯電話からのデータを新型コロナウイルスのパンデミック対策に活かす方法はないか、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)を含む複数のハイテク企業と検討しているという。この会談では、医療の専門家によるパンデミックと伝播を監視する可能性も話し合われている。携帯電話のデータを有効活用する有望な方法として集約し匿名化した位置情報の利用があると、その記事の情報筋は伝えている。

米国人の携帯電話から回収した位置情報は、公衆衛生の専門家が大まかな感染の広がり具合を監視しマッピングするときの役に立つ。専門家グループはすでにそれを理論化しているものの、当然のことながらあらゆる位置情報が追跡されると考えると、人々の反感は避けられない。特にそれが大規模に実施され、政府と業務提携をしている民間企業のみならず、政府の人間も含まれるとなればなおさらだ。

だがこれらの試みは、米疾病予防管理センター(CDC)による感染パターンの概要把握という目的のみに厳格に用途を絞ったもので、個々の携帯電話利用者は対象にしていない。Washington Postの情報筋は、いかなるかたちであれ、そこから政府のデータベースが構築されることはないと強調している。あくまで匿名化され集約されたデータからCOVID-19の伝播と拡散のモデルを知るためだけに限定される。

すでに、新型コロナウイルスのパンデミックに関連する問題で、世界の最大手級のハイテク企業が前例のない共同研究を開始している。情報を広めるための製品を扱う事実上すべての大手ハイテク企業は、3月16日に会合を開き、ウイルスに関するデマや誤情報の拡散に対処するため緊密に連携するとの声明を発表した。

ホワイトハウスも、ウイルスと米国の対応についてハイテク企業に助言をもらってきた。先週、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook、Google、Microsoft(マイクロソフト)、Twitter(ツイッター)が参加した会合もそのひとつだ。AmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)CEOは、現政権と定期的に接触している。Amazonは隔離、社会的距離の確保、収容さらには自宅待機命令に関する実質的な国際的指針に人々が対処する上で中心的な役割を果たし、ますます重要性が高まっているからだ。

今週初めに疫学者、企業幹部、医師、学会関係者が数多く署名した公開書簡が発表されたが、そこでもハイテク企業が貢献できるCOVID-19のパンデミック対策の概要が示された。そのひとつに(特にモバイル用OSを提供するAppleとGoogleに向けられているが)、ウイルス感染者と接触した可能性のある個人のために「本人の了承を得た上で、プライバシーを保護するOSの機能を接触者追跡に役立てる」といった提案がある。

もちろん、乱用を否定する保証があるなしに関わらず、広範に個人情報を収集しようという試みに警戒心を抱くのは自然なことだ。個人の自由か保護かの究極の選択を迫られ、その駆け引きが結果的に暴走するという歴史的な事例を見れば、なおさらそう感じる。New York Timesも今週伝えているが、これまで秘密にされてきたが実在していたイスラエルの携帯電話事業者とその利用者の携帯電話の自撮り写真などの個人情報データベースを使って、ウイルス感染者の位置情報を追跡しようという動きすらある。

それでも、プライバシーを保護しながらハイテク企業が持つ情報を活用する方法を探ろうという考えを、今すぐ止めさせるべきではない相応な理由はある。特に現在実施されている社会的距離を保つ措置による影響を知る上でも、そこには大きな恩恵が得られる可能性があるように思えるからだ。

画像クレジットAmin Yusifov / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)