オシャレでお手頃価格の老眼鏡でマーケットを切り開くCheeterz Club

実際のところ、クールな老眼鏡などというものが存在し得るのか。Cheeterz Club(チーターズ・クラブ)という新しいアイウェア企業は、あり得ると考えている。同社は、老眼鏡のイメージを、近所のドラッグストアの陳列棚から手に取るような使い捨ての安いアイテムから、身につけることが本当に誇りに思えるようなものへと変えようとしている。そのために、同社は高品質のレンズとフレームを使用し、さまざまなスタイルのメガネをデザインしているが、価格は手頃に抑えている。

Uber(ウーバー)やVirool(バイルール)といった企業で広告や営業を担当していたJennifer Farrelly(ジェニファー・ファレリー)氏は、メガネの俗称である「cheater」にちなんでこの会社を創業した。

同氏は、もっと良い老眼鏡を作るというアイデアは、現在の市場における選択肢に不満を感じてからだと話す。

「きっかけは数年前です。私の友人たちがSNSで次のような気の毒なコメントや投稿をしていました。『年をとって親のようになってしまった、最悪だ』。私は、なぜこのようなことが起こるのだろうと思いました。私自身は10年前と同じように今も若いと感じています」とファレリー氏は説明する。「一夜にして起こったことのために、なぜ私や友人が老いを感じざるを得ないのでしょうか」と、中年期の突然の到来とそれがもたらす苦難について語る。

さらに悪いことに、ドラッグストアで老眼鏡を買おうとすると、見た目もかけ心地も悪いプラスチック製の老眼鏡しかないと同氏はいう。

「これでは、ますますやる気がなくなってしまいます」と付け加えた。

画像クレジット:Cheeterz Club

そこで同氏は、Warby Parker(ワービー・パーカー)やPair Eyewear(ペア・アイウェア)の製品責任者だったLee Zaro(リー・ザロ)氏とチームを組み、よりファッション性の高いアイウェアの新しい製品ラインをデザインした。

LAエリアを拠点とするザロ氏は、すぐにチャンスを見出した。

「ドラッグストアで販売されている老眼鏡は、一般的に品質が低く、まるで両親のことを考えて作られたような印象を受けます」と同氏は話す。「ジェニファーが私に、最初のアイウェアのデザインを手伝って欲しいと言ってきたとき、これはすばらしいアイデアだと思いました」。

低価格帯のメガネとの差別化を図るため、Cheeterz Clubのメガネは100%アセテート製で、スプリングヒンジとステンレススチールを採用している。また、レンズは、一般的な老眼鏡に比べてより鮮やかだ。

画像クレジット:Cheeterz Club

一般的に、眼科用プラスチックレンズの素材は、光の分散・分離の度合いを示すアッベ数が30〜58の間にある。アッベ数が高いほど光学性能が高いとされている。クラウンガラスのアッベ数は59にもなるが、Warby ParkerやFarrelly Notesのようなポリカーボネート製の老眼鏡のアッベ数は30。CR-39を使用したCheeterz Clubのレンズは58だ。この違いは、ドラッグストアで購入したメガネと並べてみるとよくわかる。

Cheeterz Clubのレンズは、UVAやUVBを100%カットし、撥水・撥油効果もある。また、ピンクからブルーまで8色のカラーレンズと、2色のサンシェードの中から選べる。画面を見ることによる目の疲れを軽減するブルーライトコーティングや、遠距離視力と読書用レンズを兼ね備えた遠近両用ブレンズも選択できる。

カラーレンズは10ドル(約1100円)、ブルーライトコーティングは25ドル(約2750円)、遠近両用ブレンズは40.99ドル(約4510円)と、市場価格より安い。

発売開始時には、伝統的なものからモダンなものまで、42種類のスタイルで28.99ドル(約3190円)から提供する。

ファレリー氏は、適切な価格で買うことが重要だという。というのも、通常のメガネとは異なり、利用者は複数の老眼鏡を購入し、家やクルマの中に置いたり、財布やバッグに入れたりすることが多いからだ。

「数百ドル(数万円)もするものを壊してしまったら、本当に困ってしまいますよね。同氏は話す。「でも、ドラッグストアで買える30ドル(約3300円)以下の価格で、さまざまな色やレンズを手に入れることができるんです」。

ファレリー氏は、このスタートアップを成功させるために、より高品質な老眼鏡を市場に投入しようとしているだけではない。見落とされがちな顧客層にサービスを提供することを狙っている。

「40代の創業者はあまり注目されませんが、それは残念なことです。また、40代、50代の人たちは可処分所得があり、かわいいものを求めています。顔用のクリームやボトックスにお金をかけているのに、顔に醜いメガネをかけさせられて、気分が悪くなってしまうのです」。

Cheeterz Clubは消費者に直接販売しているが、現在、B2Bモデルとして、再販してくれる眼科医やブティックなどにも声をかけている。また、アマゾンでBlue Lightメガネの販売もテストしている。

同社は、2021年の秋の終わりに、シード投資家との資金調達の協議を始める予定だ。

画像クレジット:Cheeterz Club

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi