ロケット打ち上げスタートアップのSkyroraは消毒液とマスクの生産に注力

Skyroraは、実際にペイロードを軌道上に運ぶ稀有な民間打ち上げスタートアップの仲間入りを目指している新しい企業の1つだ。しかし今、英国内の製造能力のすべてを、COVID-19対応に集中させることにした。スコットランドのエジンバラに拠点を置くSkyroraは、英国政府やNHS(英国民医療サービス)からの製造業者への呼びかけに応じて、できる限りのことをすることにした。新型コロナウイルス危機と最前線で戦っている人たちのために、切望されている医療用品を供給するのだ。

Skyroraryによれば、英国にある事業全体つまりすべての人的資源と運転資金を現在はCOVID-19対応に向けているという。同社は2017年に設立され、最初の宇宙船の試験飛行に向けて活動していた。この2月にはより環境にやさしい実験的なロケット燃料を使った初期のエンジンテストに成功したばかりだった。

しかし現時点、Skyroraは手指消毒液の製造に注力することにした。これが同社としてCOVID-19対応をサポートする初の仕事となる。すでにWHOのガイドラインと要件に沿って最初のバッチを生産している。現在、1週間あたり250mlボトルで1万本以上を製造できるよう生産活動拡大を目指している。

実際のところ、ロケット工学と手指消毒液の間にはかなり密接な関係がある。消毒液の基本的な殺菌成分はエタノールだ。これはアルコールの一種で、初期のロケット燃料に使用されていた。ただしSkyroraの「Ecosene」燃料は灯油の一種で、現在の航空機やロケットの燃料としてかなり一般的に使われているものとなる。

Skyroraは消毒液だけでなく3Dプリンターで作った保護用フェイスマスクが、医療従事者の安全確保に貢献できる可能性についてスコットランド政府と協議している。現在、初期のプロトタイプのテスト中だ。効果が確認できれば、この保護器具を大量生産することを検討している。

多くの企業が、自社の生産ラインと製造能力を最も需要のある領域にシフトするなど、可能な範囲で努力している。今は間違いなく「総動員」が求められる時期だ。とはいえ、注力する分野をここまで大きく変更した企業に、今回のような緊急事態が過ぎたとき、いったい何が起こるのかという疑問もある。特に新しい分野の若いスタートアップにとっては、深刻な問題だろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

大規模な調査がインターネットフィルタリングの無効性を実証、ポルノはフィルターで防げない

【抄訳】
Internet Filtering and Adolescent Exposure to Online Sexual Material(インターネットのフィルタリングとオンラインの性的素材の青少年への露出)と題された論文で、Oxford Internet Institute(オックスフォード大学インターネット研究所)の研究員Victoria NashとAndrew Przybylskiが、インターネットのフィルターが青少年をオンラインのポルノから遠ざけることはほどんどない、と指摘している。

Nash博士は曰く“インターネットのフィルタリングは、そのその効力を検討することが重要である。インターネットのフィルタリングツールは開発とメンテナンスに費用がかかり、しかもコンテンツをシェアする新しい方法が常時開発されているので、すぐにバイパスされてしまう。またフィルタリングには過剰なブロックによる人権侵犯の懸念もあり、フィルタリングのために若者が正しい健康情報や関係情報にアクセスできないおそれもある”。

この研究の前にはイギリス政府による、全国をカバーするポルノフィルターの探究、という論争を喚び、ほとんど必ず失敗しそうな政策が発表された。その政策では、イギリスが宗教的ないし政治的理由からパブリックなインターネットをフィルターしている世界の国々の、仲間入りをしてしまうだろう。

そして一般的な結論としては、フィルターは費用が高く、しかも効果がない、ということになる。

費用と制約が大きいだけでなく、注目すべきは、フィルタリングには若者をオンラインの性的素材から遮蔽する効果があるとする説に、確実な証拠がほとんどないことである。スマートフォンやタブレット以前の2005年に集めたデータについて報告してい二つの研究は、若者が性的素材に出会う相対的なリスクをインターネットのフィルタリングが軽減するかもしれない、という仮説的な証拠を提供している。しかしそれらのペーパーから10年後となる最新のデータ収集ならびに研究は、保護者がインターネットフィルタリング技術を使用しても、オンラインの多様で悪質な体験への子どもたちの露出を減らせない、という強力な証拠を提供している。それら悪質な体験には、子どもたちの心を不安にする性的コンテンツとの遭遇も含まれる。このトピックに関する研究はまだきわめて少なく、またそれらが述べている所見は決定的に斉一性を欠く。インターネットフィルタリングの広範囲な利用を肯定する証拠は、現状ではきわめて弱い。

研究者たちは、“インターネットのフィルタリングツールが多くの場合に効果がなく、その利用の有無は若者たちが露骨に性的なコンテンツを見たことの有無とまったく相関していない〔両者間に関係がない〕ことを見出した”。

この研究のもっとも興味深い所見は、“多くの世帯が、(自分の家の)一人の若者を性的コンテンツにアクセスすることから守るためにはインターネットのフィルタリングツールの利用が必要、と答えているが、しかしそれでもなおかつ、フィルターは、統計的ないし実際的に有意な防止的効果を示さなかった”、という部分だ。

この研究はEUとイギリスの、男性9352名、女性9357名を調査し、そのほぼ50%の家庭に何らかのインターネットフィルターがあることを見つけた。しかしフィルターがインストールされていても被験者は依然として、ほぼ同じ量のポルノを見ていた。この研究が結論として言いたいのは、学校や行政や保護者などがインターネットのフィルターを、若者をネット上で安全に保つために有効と考える、惰性的な思考をそろそろ断つべき、という提言だ。それは、高価な価格を常時維持して繁栄しているフィルタリング産業への、批判でもある。

【後略】
〔有効な代案等は示していない。本研究の目的は、インターネットフィルターをめぐる“迷信”(有効であるという迷信)の打破にある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プリント後に形を変えることのできる3Dプリント素材をMITの化学者たちが発明

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3Dプリントされたプラスチックは、そのままの形をずっと保つ。3Dプリントで作ったヨーダが大手術をせずにチューバッカの頭に変わることはない。ところが、MITの科学者たちは、プリント後のポリマーを変えることのできる3Dプリントの方法を作り出した。オブジェクトの縮小拡大、色を変える、さらに形を完全に変えることもできる。

MITの化学の准教授Jeremiah Johnsonはこう説明する: “その素材は、一度プリントしたものをあとから光を使って別のものに変形できる素材だ”。ポスドクのMao Chenと院生のYuwei Guが研究を主導し、ペーパーも書いた。

そのテクニックはリビング重合(living polymerization)と呼ばれ、彼らのペーパーには、“成長を停止させたり、あとから再開できたりする素材”、と説明されている。

チームは最初、ある溶液の中に3Dプリントされたオブジェクトを浸す、という方法を試行した。溶液中のオブジェクトに紫外線を当てると、その化学反応によりフリーラジカルが放出された。これらのフリーラジカルが溶液中のモノマーと結合し、元のオブジェクトに付着した。ただしそれは反応が急激すぎて、オブジェクトをだめにした。

新しいテクニックは、“折りたたんだアコーディオンのように反応する化学物質によるポリマー”を使っている。その新しい素材は光を当てると伸びて、形を変える。

この方法で作ったオブジェクトは、紫外線によって硬度を変え、加熱や冷却によって拡大収縮した。二つのオブジェクトを紫外線だけで溶融することもできた。

残念ながら、この技術を使ってミレニアムファルコン号をデススターに変えることはできないが、MITの素材研究における今後の研究をなお一層活性化することだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

子どもたちに分子の不思議を教える教材セットHappy Atomsは老舗企業の初のクラウドファンディング

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ほとんどのSTEM玩具を断固軽蔑しているぼくが、Happy Atomsを許せるのは、それが家庭市場ではなく教育者をターゲットにしているからだ。化学実験用具のメーカーThames & KosmosとピッツバーグのSchell Gamesが共作したHappy Atomsは、磁石で表す原子を使って分子の構造を子どもたちに教える。

キットには、酸素や炭素、水素などの原子が入っていて、それらを組み合わせて分子を表す。iOSのアプリで分子をスキャンすると、その物質のデータや分子の特徴などが分かる。たとえば果糖の分子を作ったら、果糖が自然界のどこにあるか、体に対して何をするか、などが分かる。そう、気分を良くすることだよね。

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先生用の359ドルのパッケージには250の原子パーツが入っているが、アトムが50個のセットは129ドルだ。パーツは頑丈にできていて、電池などはいっさい使わない。アプリはパーツの色とその周りの帯で原子を判断するから、どんな位置からでも原子をスキャンできる。

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くどいようだが、STEM玩具はその多くがゴミだ。でもHappy Atomsは、どうやって化学を三次元で教えるか、という面白い、そして重要な問への解を与えている。先生がこれを使ってくれたら、高校時代の化学の成績はもっと良かったと思う。当時のぼくはAPの化学で、“努力が足りない”と評価されてしまった。

玩具は所詮、玩具だけど、Thames & Kosmosは一世紀以上にわたって本格的な化学や工作のキットを作っている。つまり、この分野の完全なプロである。そんな企業がクラウドファンディングに踏み切ったのはおもしろいが、でもそれは試す意義があるだろうし、しかもSchell Gamesとのパートナーシップで物理的なオブジェクトとアプリの両方を作れた。温室効果ガスのN2Oなんかも作れるから、まるで自分が高校生に戻ったような気持ちになり、めまいがしそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))