「ライダーに依存する自動運転車に未来はない」とイーロン・マスクが主張

米国時間4月22日にTesla(テスラ)が初めて行った株主のためのイベント「Autonomy Day」で、イーロン・マスクCEOは記者からの質問にも答えたが、時間がなくてライダー(lidar)に関する質問には十分に答えられなかった。以前から彼はこの技術関して声高に述べることが多かったが、その中でも今回はいちばん明快だった。

彼はこう言う。「ライダーは無駄な努力だ。ライダーに頼っている人たちに明日はない。将来性がないんだよ。高価なセンサーだし、そもそもあんなものは要らない。高価な盲腸がたくさんある人と同じだ。盲腸は1つでも要らない。それを、たくさん身につけているんだ。滑稽だよね」。

彼のこの話の前には「テスラが発表したばかりの自動運転ハードウェアはライダーからのデータも扱えるか」という質問があった。テスラの車は現在、自動運転機能のためにいくつかのデータソースを使っている。それらはレーダー、GPS、地図、超音波センサーなどだ。でもテスラの一部のコンペティターと違って、ライダーはない。以前マスク氏は「ライダーは自動運転車用の松葉杖だ」と言ったことがある。テスラにとってはカメラが未来への鍵であり、マスク氏もカメラならどんな悪天候にも十分対応できる、と構想している。

AIのシニアディレクターであるAndrej Karparthy氏もステージに立って、世界は視覚的認識のために作られていると言った。彼によると、ライダーはプラスチックの袋とゴム製のタイヤを簡単に見分けられず苦労する。自動運転車がレベル4からレベル5の自動化のレベルを達成するためには大規模なニューラルネットワークの訓練と視覚認識能力が必要だと彼は言う。

Karparthy氏はこう述べる。「それをやってないという意味でライダーは実はショートカットだ。基本的ないくつかの問題と、視覚認識という重要な問題を避けている。進歩の錯覚を与えるが、実は松葉杖だ。とても早くからデモを見せられるけどね!」。

自動運転技術にライダーを採用しているUberやWaymo、Cruiseらは、悪天候や低照度の環境では今のカメラよりもライダーの方が見通し性がいいと主張する。しかし、高いし、相当な電力を食う。そこで、テスラはカメラに固執する。

同社は4月22日、同社の自動運転車用コンピューターの今の世代の機種について詳しく紹介した。それはテスラの既存の車種すべてで使用できる。ソフトウェアが完成したら、テスラのすべての車種が既存のセンサーセットで自動運転できるだろう、と同社は言う。そしてそのセンサーセットにはライダーが含まれていない。その代わり、テスラ車が搭載するセンサーは、これまでにすべてのテスラ車が集めたデータで訓練されたニューラルネットワークに依存する。

マスク氏曰く「全員がいつでもネットワークを訓練している。オートパイロットがオンでもオフでも、ネットワークは訓練されている。hardware 2以上の車種を運転しているときは常時、ネットワークを訓練している」。

「データの中には怖いものもある」とその後の記者会見でマスク氏はぼそっと言ったが、でも、ライダーに依存するほど怖くはないと言いたいのだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa