チャレンジャーバンクChimeは顧客を500万人集めて手数料なしの当座貸越を実現

フィンテック企業のChime(チャイム)は米国で500万人の顧客を獲得した。サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップは、連邦預金保険公社によって保証された支店を持たないモバイルバンクを育てている。同社はまた、手数料の値下げも約束している。

Chimeは3月、2億ドル(約210億円)のシリーズDラウンドを発表した際に、300万人の顧客を獲得したと述べた。そして約5カ月の間に、200万人の顧客を獲得したことになる。

Chimeによると、同社は世界で最も急速に成長しているチャレンジャーバンクだという。言い換えれば、同社はMonzoやN26のような欧州のチャレンジャー銀行にも影響を与えている。N26は米国市場に参入したばかりだ。

同社はまた、しばらく前からテストしていた新機能を公開した。Chime SpotMeは銀行のオーバードラフト(当座貸越)に代わるもの。特にターゲットとしているのは、給料を自分のChimeアカウントに入金し、そのまま生活費に使う人だ。

毎月500ドル以上の給与振込を受け取っているChimeユーザーは、Chime SpotMeへとサインアップできる。その後、残高が0ドルを下回っても、デビットカードでの支払いが続けられる。当座貸越(オーバードラフト)の限度額は複数の要因が関係するが、一部のユーザーは100ドル以上が利用できる。

そして次の給与が振り込まれると、口座のマイナス残高は払い戻され、オーバードラフトの手数料を支払う必要はない。Chimeによると、他のChimeユーザーのやりくりのためにチップを残すこともできるという。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

手数料なしのモバイル銀行Chime、シリーズCで7000万ドル調達して企業価値5億ドルに

サンフランシスコ拠点のChimeは顧客フレンドリー、手数料なしという新進気鋭の銀行として知られる。そのChimeがMenlo Ventures主導のシリーズCラウンドで7000万ドルを調達した。共同投資を行ったのは、これまでも投資してきたForerunner Ventures、Aspec Ventures、Cathay Innovation、Northwestern Mutual、Crosslink Capital、そしてOmidyar Networkで、これまでの累計調達額は1億ドルを超え、企業価値はおおよそ5億ドルだ。

このスタートアップは、実在店舗を必要としない若い人々、特にミレニアル世代に人気がある新手の銀行の一つだ。ミレニアル世代は、当座貸越しとなったり最低残高を下回ったりしたときに課金されるのにうんざりしている。手数料というのは、消費者が金融面で最も重視するポイントだ。

Chimeの指摘にあるように、既存の銀行は2017年、顧客に340億ドル超の手数料を課した。一方のChimeは、顧客向け手数料を下げている。

月々の手数料なし、口座維持手数料なし、当座貸越し手数料なし、そして海外送金手数料もなし。加えて、無料で利用できる約4万台のATMネットワークも展開している。顧客を脅かすように手数料をとる代わりに、Chimeはデビッドカードを含む支払い手数料ベースのビジネスモデルで収益をあげている。デビットカードでは、Visaからの1.5%の支払い手数料で稼いでいる。

手数料がないというのは消費者にとって大きな魅力である一方で、Chimeは斬新な機能でも人気を博している。スタートアップとファイナンスそれぞれの専門家が組んで立ち上げられたサービスだけあって、アプリは古めかしい銀行のものではなく、まるでテック企業が展開しているもののようだ。

Chimeの共同創業者でCEOのChris Brittは以前Flycastで働き、comScoreの初期の社員でもあり、VisaとGreen Dotでも働いた経験を持つ。共同創業者でCTOのRyan KingはPlaxoとComcastで経験を積んだ。

「私がこの会社を立ち上げたのは、Green Dotはクレジットの返済履歴が良くないなどして銀行に口座をひらけないような人を専門としてきたから」とBrittは説明する。「Green Dotはあらゆる機能を持つ口座ではなかった。だから、私がChimeでしたいのは、通常の人々向けのプロダクトをつくることだった。その通常の人というのはBank of AmericaやWells Fargoに実際に口座を持っているものの、さまざまな理由で銀行に決して満足していない。おそらく真っ先に来るその理由は、銀行のプロダクトがかなり罰則主義だから、というもものだろう」と語る。

Chimeがコンシューマー向けのサービスを開始したのは2014年半ばのことだ。しかしChimeをメーンバンクとして利用してもらうための一連の機能は2016年初めまで提供していなかった。

今日では、そうしたメーンバンクとしての機能には、カード利用時の端数を自動的に預金するオプションや、給料の10%を自動的に定期口座に入れるサービスも含まれる。また、人気の手数料なし給料前払いサービスもある。このサービスでは、給料を支払う側が支払いの手続きをすると、Chimeが実際の給料支払日前であっても給料を使えるようにするというものだ。

こうした機能、そして手数料なしという点で、Chimeは他の銀行を利用していた全米の多くの若者を魅了した。数週間前にChimeの口座数は100万を超え、今では毎月10万件の口座開設がある。また、これまでの取引高は45億ドルにのぼり、今年末には100億ドルを達成する見込みだ。

追加の資金調達で、Chimeは事業規模をさらに大きくしようとしている。マーケティングに力を入れるのはもちろん、現在80人規模のサンフランシスコのチームを100人規模にし、商品開発や新たな機能の提供を行う予定だ。

「次に取り組むべきは、顧客がより効率的にクレジットやローンを管理できるようになるのを手伝うこと。クレジットカード締め切りのサイクルを短くすることで負債の管理ができるようになると考えている」とBrittは語る。しかし、詳しい情報は明らかにしなかった。

Chimeはまた給料を支払う企業とも何かしら試みを抱えているようだが、今回詳細は語れない。

今回の資金調達ラウンドでは、Menlo VenturesのShawn Carolanが役員に加わった。

CarolanはMenloの投資について「銀行の口座というのは、財政上そして精神衛生上、暮らしの中心にあるもの」と話す。また「表に出さない手数料で顧客を脅すようなやり方ではなく、顧客自身のために貯蓄するのをより促すというやり方で成長するChimeのアプローチに共感する。ファイナンシャルサービス分野におけるこうしたビジネスモデルへの移行は避けられず、Chimeはその先頭をいくものになる」とも語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonが企業用のビデオ会議サービスChimeをAWSから提供、エンタープライズ顧客のつなぎとめ策か

Amazon corporate office building in Sunnyvale, California

Amazonが今日(米国時間2/13)、同社のSkype対抗サービスChimeを発表した。それはAWSが提供するビデオ会議とコミュニケーションのサービスで、主に企業ユーザーがねらいだ。

単なるVoIP電話やビデオによるメッセージングだけでなく、Chimeには仮想ミーティング機能があり、ユーザーはこのサービスを利用してリモートミーティングを主催したり、参加できる。料金はユーザー一人月額2ドル50セントからで、ビデオや画面の共有など高度な機能も含めると最高月額が15ドルになる。ベーシックな機能だけなら無料だが、それでできるのはビデオ電話と二人だけのチャットのみだ。

ChimeはWindows, MacOS, iOS, そしてAndroidデバイス上で利用できる。

これはAmazonがSkype for businessやGoogle Hangoutsのようなものを提供する、という単純な話にとどまらず、AWSがGoToMeetingやCisco(WebEx)などと伍して仮想ミーティングの管理サービスに乗り出す、という事案でもある。

AWSのエンタープライズアプリケーション担当VP Gene Farrellが、今日の発表声明でこう言っている: “企業の仮想ミーティングは、今使っている技術に満足していないユーザーがとても多い。使いづらいアプリケーションやサービスが多く、オーディオやビデオの質も悪く、やりたいことをやるためには、複数のツールを頻繁に切り替えながら使わなければならない。しかもそれでいて、料金は異様に高い”。

本誌のエンタープライズ担当ライターRon Millerが今週書いているように、AWSはクラウドサービスではすでに巨人だ。今回Chimeでもってエンドユーザーサービスに進出するのも、競争激化の中でエンタープライズ顧客をもっとしっかりつかまえておきたい、という意思の表れだろう。Microsoft、Google、それにAlibabaのような新参者すら、AWSから顧客を奪おうと必死だ。しかもそのAWSは今や、Amazonの経営の柱と呼んでも過言ではないほどの、財務的優等生だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))