所得や雇用の検査データをAPIで提供するCitadel IDが3.5億円調達

米国時間2月16日、Citadel IDは所得と雇用を検査するサービスに、合計350万ドル(約3億7000万円)調達したことを発表した。同スタートアップは顧客企業にAPIを提供し、顧客企業が消費者雇用の詳細を迅速に確認できるようにする。

資本はベンチャー企業とエンジェルたちから出ている。企業としてはAbstractSoma VC、そしてChapterOneが参加した。同社によると、Brianne Kimmel(ブリアンヌ・キンメル)氏も出資している。また、同社と仕事をしたことのあるZyngaのMark Pincus(マーク・ピンクス)氏)やStripeのLachy Groom(レイシー・グルーム)氏、CartaのHenry Ward(ヘンリーワード)氏などもこの投資に参加した。また同社は、Fathom Capitalもこのラウンドでかなりの額を出資したと述べている。

Citadelは2020年6月に創業した。当時はまだ資本調達はなく、同年に最初の顧客を獲得し、プロダクトを発売した。

Citadel IDのアイデアは、共同創業者のKirill Klokov(キリル・クロコフ)氏が私有株式の取引のための取引所を設立したCartaで働いていたときに生まれた。クロコフ氏は、同社の技術部門で働いていたときに、雇用や収入、身元といった特定のデータを検証するのがいかに難しいかを発見した。

Cartaはお金や株、コレクション、そしてその両方の収集と分配を扱っているため、誰がどこで、いつから会社にとって重要な仕事をしているのかを簡単に確認できる方法を持つことが、会社にとって重要であることが想像できた。クロコフ氏は、多くの給与管理者を手作業で統合し、さまざまな分類法で大量のデータを処理する必要があるため、Cartaが必要とする適切なソリューションが存在しないことに気づいた。EquifaxのThe Work Numberのようなプロダクトを利用してもよいが、それは高価でカバーしている範囲が十分ではない。

このような市場の空白を埋めるためにクロコフ氏はCitadel IDの設立を支援し、コード用のフックがある給与管理システムへの統合を迅速に構築し、必要に応じて古いログインシステムにも対応した。Citadel IDのサービスは、一般の人々が自分の雇用データにアクセスできるようにし、彼らの収入や雇用をすばやく確認できるようにする。

同社によれば、このような検証に対するニーズは米国だけでも何億件も発生しているという。Citadelの市場と成長の余地はとても大きい。現在、同社の顧客は20社だが、料金は個々の検査検証の単価がベースとなっている。

Citadelは、データの提供をAPI経由だけでなくウェブサイト経由でも行っているが、同社はどちらかと言えば、最近どんどん増えている脱SaaSの業態に属し、プロダクトをデベロッパーのフック経由で提供している。こうしたやり方は、「ヘッドレス」とも呼ばれる。APIで提供されるスタートアップは、新しいものではなくTWilioのように何年も前に上場した企業もある。彼らのような製品提供モデルは現在も勢いがあり、今やマネージドソフトウェアよりも人気がある。

Citadel IDがシリーズAまでにどれぐらい早くスケールするか、見守っていきたい。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Citadel ID資金調達

画像クレジット:Scott Graham/Unsplash(画像は一部加工された)

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)