人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

米国スタートアップ界で話題の次世代SNS「Clubhouse」になぜ100億円以上も時価総額がつくのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、次世代SNSの話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

2020年4月にバズり初めて、米国時間5月15日に異例となる1億ドル(約1098億円)時価総額の調達を発表した次世代SNS候補のClubhouse。前回のnote記事では現在人気なSNSのトレンドや軽くClubhouseなど次世代SNSを紹介しましたが、今回はClubhouseだけについて記事を書かせていただきまし

一部重複する部分はあるかもしれませんが、Clubhouseのサービス概要、利用シーン、実績、資金調達状況、Clubhouseに出ている批判の声、そしてどのポイントが最も魅力的かを説明します。

Clubhouseとは?

Clubhouseは音声版Twitterと言われている音声SNS。さまざま人の「部屋」に入り、話を聞いたり、手を挙げて参加することが可能だ。部屋に入っていれば友達を呼べるが、その友達が承認しないと実際には入ってこない。オフラインのClubhouseっぽい感覚に近いサービスになっている。

テーマは参加している登壇者が決めるので、かなり自由なユースケースが生まれるのと、今現在はテック業界などの著名人が集まっている。例えば、D2CエキスパートのWeb Smith(ウェブ・スミス)氏がShopifyの話をしていたときに、ShopifyのCEOが自ら参加していた。

グループ(部屋)フォーマットになっているので、WhatsAppのマイクロコミュニティに似ている。WhatsAppマイクロコミュニティでは特定の会話で人を招待したりしている。何かのトピックでグループを作ったりするのは、日本ではTwitterでやっているイメージだ。

ただ、この目的を明確とせず、コミュニティドリブンな感じが面白さである。

過去の音声SNSとの違いは?

こちら前回のnoteでも記載したが、TTYL含め過去にさまざなな音声SNSが登場してきた。Clubhouseの一番よかった部分は同期されたSNSを作ったのと、パブリックな音声プラットフォームを作ったこと。TTYLだと50人の友達を誘うのが面倒だし、逆に友達が数名入らないと使えないが、Clubhouseは好きな著名人が使っていればすぐに試してみたくなる。

同期化のトレンド

ほとんどのSNSは、いままでは非同期で会話を行っていた。Clubhouseが従来のSNSと違うのは、ここ数年のトレンドである同期アプリであるHQ TriviaやTTYLなどの分類に入る。Twitterを同期化したもの、もしくはAIMなどチャットルームの音声版といえば一番わかりやすいかもしれない。

現状はAirPodsを常に付けたまま生活を送る人が多くなっている。AirPodから生まれるプラットフォームがあるのは間違いない。去年それについてツイートしましたので、詳しく知りたい読者は以下スレッドを参照してほしい。

何人かの子供たちは親のAirPodを「4人目の子供」と呼んでいる。それだけ付けたままの状況になっている。音声だと見た目のことを気にしなくていいのと、流し聞きが出来る。実際にClubhouseは仕事の合間や空き時間に使う人もいるが、同時に料理中、仕事中、シャワー中、トイレ中までも使っている。初のパッシブに参加できるSNS。ほとんどのユーザーはミュートで聞いているだけとなる。

同期された音声サービスの一番いいところはコミュニティ感を味わえて、コンテンツ量が多いのに期待値が低いこと(メイクしたり部屋をきれいにしなくて良い)。しかも同期と言うことはその瞬間に参加していないと二度とその会話を聞けないかもしれない。これは永久にFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)の感情をユーザーに持たせることができて、その影響でアプリに戻ってくる。

実績

Forbesによると現在約5000人のユーザーがいる。いろんな人に聞くとだいたい2000〜5000のレンジの数字を聞く。他のSNSプラットフォームが$100Mの時価総額のタイミングと比較すると、

引用:Forbes、Techcrunch、Vator、Mashable、Techcrunch、Techcrunch、Crunchbase

Instagramは少し異例だが、そのほかの1億ドルぐらいの時価総額を比べると、Clubhouseのユーザー数は圧倒的に低い。

ウェイトリストでのFOMO作り

Clubhouseは、現在テストフライトのURLを受け取り、それに記入。すると、Clubhouseチームからウェイトリストから選ばれたらアプリへのリンクが送られてくる。私も数週間前にウェイトリストの登録フォームを記入したが、いまだに声がかからず。早く使ってフィードバックしたいところだ。

他のSNSプラットフォームの初期リアクションとの比較

ClubhouseはかなりVCドリブンなSNSアプリである。過去のTwitterがSXSWでバズったように、コロナの影響もあってClubhouseはバズっている。

TwitterやSecretなどはVCは初期から使っていたが、逆にSnapchatはあまり使っていなかった。多くのVCは自分たちの子供に聞いてSnapchatの使い方のレッスンを受けていた。それと比べるとClubhouseはSnapchatよりは非常に使いやすい。

そしてClubhouseはここ数年どのC向けに投資しているVCが考えていた分野である。誰も音声が来るとは認識していたのと、次のSNSを探していた。何故このタイミングで次世代SNSを探していたかについては、以下の関連をチェックしてほしい。

関連記事
【Twitter、Snapchat編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その1)
【Instagram、TikTok編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その2)
【次世代SNS編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その3)

資金調達

過去ラウンド
初回は2020年2月に資金調達したらしい。The Informationによると、そのときは100万ドル(1億800万円)ほどを、Houseparty創業者であるBen Rubin(ベン・ルービン)氏、SuperhumanのCEO であるRahul Vohra(ラフル・ボーラ)氏、AngelListの共同創業者であるNaval Ravikant(ナバル・ラビカント)氏、Color Genomicsの共同創業者であるElad Gil(エラッド・ギル)氏などから出資を受けたらしい。

今回ラウンド
報道されている情報だと以下今回のディールサマリーとなる。

  • 合計1200万ドル(約12億8500万円)調達、時価総額は1億ドル
  • リード投資家はAndreessen Horowitz
  • 1200万ドル調達の中、1000万ドルは第三者割当増資、200万ドルは創業者からの譲渡
  • a16zパートナーのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏が社外取締役としてClubhouseにジョイン

著名VCであるAndreessen HorowitzがBenchmark Capital と戦い、リード投資家の座を得られた。フォーブスの記事によると、セレブをアプリに参加するようにお願いしたり、価格交渉で高値を出したとのこと。

まだベータ版の音声SNSアプリClubhouseが1200万ドルを調達し、時価総額が1億ドルと、米国VC業界では大きな話題になっている一方で、批判の声も上がっている。

批判の声について

調達に関しての批判
今回の調達に関して極端に「良い投資だ」と「悪い投資だ」と分かれている。その中でも「悪い投資」と指摘している側は、Clubhouseの実績と時価総額が合わないことを指摘している。

特にClubhouseの場合だとリリースすらしてないので、ベータ版でこれだけの調達した会社は異例だ。

上記ツイートのスレッドに記載のとおり、C向けサービスでベータ版かつローンチ前でこれだけ調達できた会社だと、Color、Magic Leap、Quibiなどとなる。特に直近のQuibiがランキングがようやくトップ100入りをもう一度したところを考えると、あまりいい事例はない。

そしてセカンダリーで創業者が各自100万ドル(約1億800万円)ずつほど株を売ったことについても批判が出ている。

実はこのセカンダリーディールは、大失敗したC向けアプリのSecretも同じことをやっている。Secret創業メンバーの2人はシリーズB調達の際に、セカンダリーで300万ドル(約3億2400万円)ずつ株を売った。

Secret以外にはRobinhoodがシリーズAで同じことを、BufferやSnapchatも過去にやったことがある。ただ、マネタイズする前、特にローンチ前にやるのは異例な出来事。

さらに見た目的にこのセカンダリーを実行したa16zが、創業者にフィーをセカンダリー株で払ったっぽく見えてしまう。正直そこまで悪さは感じないものの、こう言う指摘は入ることはわかる。

女性が少ないという批判
テック業界と同じく、Clubhouseの初期は女性率が低い。その声は多々出ている。

実際に女性だけで集まるClubhouseの回も出てきているが、今後もこの課題は続くと思う。そしてこれからは女性だけではなく、白人しかいないなど、ダイバーシティー面では長いごと言われるだろう。

コロナだから上手く行っているという批判
1つ上がっている批判・懸念点は、新型コロナウイルスが蔓延しているいまだからClubhouseが伸びていて、コロナ後は人気度が下がること。確かにコロナの中、Zoom疲れをしている中でClubhouseで新しいインタラクションができることによって、より使われているとは思う。

コロナ後は実際どうなるかはわからない。ただ、米国では何となく見えるのがコロナの影響でソーシャル・ディスタンスは当分の間続くこと。もちろん外に出られる世界が戻ると常にインタラクティブな同期音声アプリを使わない。それでも今までのClubhouseユーザーの行動を見ると、いいコンテンツを探しやすく、配信し続けられたらエンゲージメントレベルはそこまで下がらないと予想している。仕事中にライブ配信しているポッドキャストやラジオを聞いていると同じ感覚になる。

Clubhouseの一番の評価ポイントはエンゲージメント

注目されるアプリのほとんどは成長スピードが主な原因。Snapchat、Facebook、Musica.ly、Twitterも全てそうだった。Clubhouseはそうではない。だからこそ批判を浴びているのかもしれない。Clubhouseが注目されているのはユーザー成長率ではなく、エンゲージメントが異常に高いから。入っているユーザー層、どれだけ長くいるか、そしてどう言う会話をしているかが面白い。1日に何十回も開けさせるアプリはなかなかない。

アーリーステージで投資判断をするには「バカらしいけどなぜか熱狂的なユーザーが使っている」になっていることが大事。この成長が続くか?何百万人もこんなことするか?と疑問点を抱く人が増える。実際にClubhouseはそう感じる。

初期Facebookはそうだった。ただ、エンゲージメントの数字を見ると、これは何かがワークしていることが分かる。

それではClubhouseユーザーのエンゲージメントを見てみよう。1週間で最も使わ底るのがClubhouseになっている(驚異的な15時間も使っている)。

Product Hunt創業者のRyan Hoover(ライアン・フーバー)氏も同じくClubhouseがトップ。

最も凄かったのはこの方。ほぼ37時間使っている。

なんとなく見ると、TwitterやHousepartyなどのリプレイスになっている。以下は、あるシード投資家のClubhouse利用前後のアプリ利用時間のスクショだ。

人によっては、睡眠時間を減らしてまで使ってた。

しかしこれを見ると、人によっては1日平均4時間も使っている人がいる。これはPMFを証明している、エンゲージメントが異常に高いことを表しているのに間違えない。

アプリを使った人からのフィードバック
いろんなVCやコメントを見て、何となくClubhouseユーザーの意見をまとめてみた。多くの人はZoomのミーティングの間でチェックして、面白そうな会話が見つかればバックグラウンドで流し聞きするパターンが多い。そしてよく聞くのが23〜24時頃、寝る前にClubhouseを開けると面白い会話がありすぎて結局2〜3時間聞いてしまう。しかもその会話のクオリティが高いので不満は感じず、満足している様子。

そして以前話した同期だから生まれるFOMOは本当にみんな感じている。多くの人は1日10〜20回ぐらいアプリを開いていて、何が起きているかを見に行っている。これはFacebookとかでは起きない現象。利用目的が「学び」と「面白い話を聞けないことの恐れ」らしい。

バカらしい?何でもスタートはそう見える

Clubhouseが「バカらしい」や「意味わからん」と言う人は多い。これは正しい発言だと思う。でも投資判断としては間違いではない。パラダイムシフトや行動変化を及ぼすよなアイデアの多くはバカらしいと思われてきた。Facebookは初期にMySpaceがいるなかで始めるのは意味ないと言われ、Uberはタクシーがいると投資家から断られて、Airbnbも知らない人を家に泊めると言うコンセプトをほとんどの人は理解しなかった。

もちろん逆もあると思う。バカらしく聞こえたアイデアがそのままダメになるケースがほとんど。でも投資家としてはそう言うところでリスク取らないと意味がない。ホームランを打ちにいくビジネスとしては、誰も考えてないけど面白いアイデア、本当に世界を変えるかもしれないアイデアを支援するのがベンチャーキャピタリストだ。

Clubhouseは果たしてうまく行くのかはわからない。今の実績や状況を見ると1億ドルの評価額は高い。でも可能性ベースを見ると、将来のTwitterになると考えると1億ドルだとかなり儲かるチャンス。Clubhouseが今のエンゲージメントの数字を保ちながらスケールできれば、Twitterレベルの時価総額に行ってもおかしくないと思う。

もちろん実績・トラクションは違ったが、Facebookも1億ドルの時価総額の時に高いと発言した人が多かった。

引用:Techcrunch

正直こう言うアプリが出てくると批判が多いのは当たり前なこと。特にこんな高いバリュエーションを出すと、過去に失敗したSecretなどを思い出す。そして恐らく9割ぐらいの場合は批判する声が正しい。それだけスタートアップ、特にこれだけ違う世界観を持っているアプリが成功するのが難しいから。でも残りの1割は批判組が見誤って、その場合は100倍以上間違ってることになる。

Facebookが成功して、MySpace、Spoke、Tribe、Ning、Friendsterなどが失敗したのと同じ。失敗すると言い続けることは簡単だが、そうすると大成功はしない。

Clubhouseの今後、どのようにスケールしていくか

現状部屋の名前や概要文を入れられないので、参加している人の名前をベースに何を話しているかを予想するしかない。現在はテック業界の人しか入ってないのでまだ大丈夫だが、今後スケールするにあたり厳しくなる。

スケールする際には部屋の名前と概要文、そしてプロフィール作成などが重要になってくる。その人に合いそうな部屋を探しやすくする必要があるので、検索機能も充実させないといけない。最初にどの部屋に入ってもらうかなど、オンボーディングフローをしっかりしないといけない。

今は小さいコミュニティなので親密なアプリと感じるが、スケールするとその親密度をキープできるかが今後のスケールする際の課題となる。そしてClubhouseでは、どのようなユースケースで、どのように改善がされるか?Instagramはフィルターを使って写真の加工。Musica.lyも動画の加工。Snapchatや顔のフィルター。SNSは人がより自分の自己表現をしやすくするためにある。Clubhouseだとまだそこまで明確なものがないのは、今後の課題となるかもしれない。今だと「本当に面白い会話を聞ける」となっている。

そして今後の大きな課題は著名人をアプリに引き寄せられるか。TwitterやInstagramも結局これで大きくユーザーを増やしたし、トップSNSとして認識されたのもインフルエンサーのおかげ。Clubhouseだと、スポーツ選手、ハリウッド・YouTubeスター、音楽アーティスト、政治家、経営者などを招いてClubhouseで良いコンテンツを作ってもらって、それが彼らにとってどう言うベネフィットを与えるかがまだ見えない。ここを解決しないと次世代SNSにはなれない。

結論

僕個人として、FacebookがWhatsAppを買収したときや、Snapchatに買収オファーをしたときは正直批判した。払った値段が意味わからないと言った。でも徐々にその考えも変わり、さまざまユーザーの行動やサービスの可能性を見るようになった。そしてMusica.ly(現TikTok)が成長していた時は、(特に投資はできなかったが)運よくそれを見極められた。当時作ったデックで、11ページ目にMusica.lyについて記載している(デックは2016年10月にアップしたが、実際にMusica.lyに注目し始めたのは2015年の半ばぐらい)。

Clubhouseを見ているとこれだけのエンゲージメントレベルを過去見たことないぐらいすごいと感じル。個人としてはClubhouseの成功を見届けたいし、例え失敗してもこの分野(音声SNS)は絶対来ると思っている。a16zとしては1000万ドルでもしかしたら次のTwitterの10%を取得できた。合計120億円のAUMを考えると、1000万ドルのリスクを取るのは当たり前のこと。

P.S.

直近のClubhouse上では鳥のアカウントがバズっている。

この鳥は金曜にClubhouseに入ってくるらしい。Clubhouseに入ったらまずはこの鳥をフォローしなければw

ClubhouseではなくBirdHouseも徐々に人気になっている。

 

【次世代SNS編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その3)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

この記事では、Z世代が求める次世代SNSについて考察していく。TwitterとSnapchatの最新事情についてこちらの記事、InstagramとTikTokの最新事情についてはこちらの記事を参照してほしい。

Z世代にリーチするために知るべきこと

SNSを見るときに最も重要なのは、若者の行動を観察すること。特に今のSNSがダウントレンドなのか、アップトレンドなのかはZ世代を見るのが一番いい。それは次世代SNSは2つの要素で作られていて、その1つが若者、特に10代から20代が作り上げるカルチャーなのだ。Facebookも大学生の中で人気に、Snapchatは高校生、Musica.lyは中高生の中で人気になってから、それぞれ一般化した。

投資銀行のPiper Jaffray(パイパー・ジャフレー)が2019年に出したレポートによると、Z世代の間ではInstagramが一番使われているSNS、一番好かれているSNSはSnapchat。TikTokは三番手で、フィルターアプリのVSCOは横ばい。Facebookの利用頻度がかなり下がっている。ただし、圧倒的にInstagramとSnapchatに寄っている。

Z世代の「BSメーター」

Z世代はSNSを通して新しいビジネス、文化、政治を学んでいる。これは過去ない現象だ。よりクリエイティブであり、カメラの前にいるのが気にならない。短期間の集中力で、圧倒的な「BSメーター」(デタラメに対しての感度)が高い。SNS慣れしているZ世代はとてつもないコンテンツ量を毎日見ている。そのため、何が広告で何がリアルなコンテンツかを一瞬で判断できる能力を持っている。Instagramなどでは広告やインフルエンサーが多いので、変な商品のプロモーションやマーケティングを見るとそのブランドを信頼しなくなる。さまざまなブランドのオプションがある中、信頼性を切ってしまうと二度と戻ってこない可能性が高い。そのためZ世代ユーザーへリーチしたければブランディングをきちんとやらなければならない。それはブランドの裏の人間のストーリー、会社の立ち上げの話、会社のカルチャーも含めて「完全なる透明性+ストーリー+コメント・DMのエンゲージメント=強いコミュニティーとブランド」だ。

Z世代とミレニアル世代の違い

まず認識しなければならないのは、ミレニアル世代はインターネット世代だがZ世代はスマホ世代と言うこと。もちろんミレニアル世代はスマホと一緒に育っているが、Z世代はスマホの前の世界をほぼ知らない。それによってアプリの使い方、考え方、信頼するブランド、見ているコンテンツやセレブが違う。

ミレニアル世代はハリウッドのレッドカーペットで歩くスターを見ている中、Z世代はTikTokやYouTuberを見ている。そして買い物でも、ミレニアル世代は大手リテーラーと比べてD2Cブランドを多少好む程度なのが、Z世代は圧倒的にオンラインで生まれたD2Cブランドを好む傾向にある。

Instagramの使い方も違う。Z世代の多くは過去の写真をアーカイブする傾向にあり、6枚ぐらいの写真しか見せないことが多い。昨日ではなく、今日の自分を表現したいために直近の写真しか見せない傾向だ。

Z世代が求めているプラットフォームとは

自己表現をクリエイティブにできるプラットフォーム、そして自分の弱みや本性を見せられるプラットフォームがいま最も求められている。フィルターなし、ブレるカメラワーク、磨かれてないグラフィックを求めている。ミレニアル世代で統一された「インスタ映え」とは大きく違う方向性で、ユニークさが今のクールになっている。

そして写真ベースなのは明らか。TikTokは音楽メディアとして報道されていて、実際にTikTok上で新しい音楽が生まれているのは確かだが音楽メディアではない。

Z世代は完全に「今日の自分」にフォーカスを当てている。そして明日の自分は変わってもいい、アイデンティティーの入れ替えと変わった人格・表現力が受け入れられているのが現状だ。TikTokはまさにそう言うプラットフォームであり、その影響なのかYouTube上のインフルエンサーのコンテンツも進化し始めている。YouTuberのEmma Chamberlain(エマ・チェンバレン)さんのコンテンツを見ると編集していない風に見せたり、スッピンで家でダラダラしている姿を見せている。

TikTok上では過去なかったコンテンツが存在し、TikTokのフィードによりローカルの文化やMemeが世界展開するのが普通になった。今後のSNSはこのような世界観を入れ込まなければいけない。

なぜいま米国のVCはSNSへの投資を必死に探しているのか?

米国のVCは最近「次世代SNSを探している」とよく言い合っている。Facebook、Instagram、Snapchat、Twitter、TikTokがある中でなぜそう思うのか?それは全体のSNS市場の流れを見るとわかるのが、今のトップSNSプラットフォームはソーシャルからステータスメディアに変わっていて、このシフトにより新しいSNSが誕生するチャンスが出てきている。

ほとんどのSNSは10年~15年前にスタートして、小さくコントロールされたコミュニティからスタートした。Facebookはハーバードの学生、WhatsAppはプライベートグループメッセージ、Snapchatは友達との1対1メッセージ。今は成長率が減速しているため新しい会社を買収したり、ユーザー成長や売上、マージンにフォーカスしている。SNSのサービスが成熟すると、親密なネットワークから放送・配信ユースケースが一番になる。2019年初めにMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebookはピークに到達して、これからは「街広場」ではなく「リビング」の立ち位置として戻らなければいけないと語った。SNSが成長する中で、ユースケースがエンタメ、コミュニティ、ユーティリティーから「ステータス」に移行していく。この進化は成熟されたどのSNSにも起こる。

本音が言えなくなるプラットフォームに

例えばTwitterで考えてみよう。2006年にローンチしたTwitterは、エンタメとコミュニティー、会話の要素が強かった。Twitterは面白いアップデートをSMS風にウェブ上で遅れるエンタメ感と、友達を集めてお互いの出来事や思いを共有できるコミュニティーだった。当時はステータスやユーティリティーは一切考えてなかった。

Twitter共同創業者のEvan Williams(エヴァン・ウィリアムズ)氏も「誰がこのアプリが役に立つ必要があると言った?」と発言したこともある。2020年版のTwitterは強調している特徴をかなり変えている。ユーザーはTwitterをかなり役に立つ方法を見つけた。まず、ニュースの場として役に立ち、さらにビジネスが顧客とコミュニケーションできる場にもなった。Twitterは あとあとフォロワー数やリツイート数にてステータスを作るようになった。多くのツイートは公開されているためユーザーはステータスを獲得するのが目標となる。そうすると本音を語れない、もともと友達とシェアしていたものがTwitterでは共有されなくなる。

FacebookからInstagramへ、そしてInstagramからSnapchatやTikTokへという流れは各SNSがソーシャルメディアからステータスメディアへ変わり始めたからでもある。Facebookはよりオープン化(そこまで親密ではない友達とつながった)したおかげで、本音の投稿を出さなくなった。Instagramも「親がInstagramに居るから本音が言えない」と語る大学生や高校生が多かったためSnapchatに移行。そしてInstagramの「インスタ映え」に疲れはじめたユーザーは本来の自分を表現できるプラットフォームを求め、TikTokにたどり着いた。

重要視されたステータスによってのプレッシャー

SNSだとユーザーに対してバリューを発揮する瞬間やKPI(重要業績評価指標)がある。Facebookだと友達の数、Instagramの初期だと5人フォローしたらその「マジックナンバー」にたどり着く。友達がいるから投稿したり、会話をしたくなるので、最低限の人たちとつながるように仕組まれるのは当たり前。面白いのはSNSが成熟したタイミングで逆の事が起こる。SNS内で一定のユーザー数を突破するとユーザーは不思議と投稿したくなくなる。これをソーシャルネットワークからステータネットワークへのティッピングポイントと呼べるだろう。

Facebook、Instagram、Snapchat、TikTokで同じ現象が起き続けている。最初に集まったFacebookだったが、10代の子からすると家族につながっているので、高校や大学でパーティーしている写真はなかなか出せない。これによって何を投稿するのかを考え、投稿のハードルが上がる。

Instagramも「インスタ映え」を目指してライフスタイルを変える人や、「いい写真しかあげられない」プラットフォームとして認識されてしまった結果、投稿回数が減ってInstagramに不満を抱える人も増えている。そもそもInstagramもFacebookから離れたい人たちが始めたプラットフォームだが、最近だとInstagramのフェイクアカウント「Finsta」が増えている。10代の子たちが親や家族に見られて良いアカウントを立ち上げ、別途自分用のアカウントを作っている。Instagramではステータスを求めて詐欺アカウントも出てきている。

SNSのティッピングポイントは本音コンテンツの投稿を戸惑う瞬間。親がいるからFacebookからInstagramへ、そしてSnapchatへ、そして今はTikTokへ。Facebookだと「いいね」、InstagramとTwitterだと「フォロワー」が増えるだけ「ステータス」が上がり、それでビジネスやインフルエンサーとして活動できるため「ステータス」を求めるメディアとなった。

総合的に見ると、少なくともFacebookとInstagramはソーシャルの領域を超えて、今はステータスメディアになっていると思う。

アーリーステージのVCであるCanaan PartnersのLaura Chau(ローラ・チャウ)氏が語るには、ソーシャルとステータスのサイクルには以下の5つのステップがある。

  1. 5つの特徴の中からSNSサービスが生まれる
  2. SNSが成長するに応じてユーザーのステータスを求める需要に応えるように機能設計などを行う
  3. プラットフォームのユーザー数が多すぎるとステータスメディアへシフトする
  4. ステータスメディアになると本音コンテンツや繋がりを求めて新しいSNSが立ち上がる
  5. そのSNSはギャップを埋めながら、新しい世代へステータスを引き寄せる新プラットフォームとなる

ステータスが王となり、会話が犠牲者となる。Twitterだけではなく、ほとんどのプラットフォームはこの流れに入ってしまっている。逆に言えば、SNSがこのようにステータスメディアとしてシフトしていく中で新たなSNSプラットフォームが出てくるチャンスでもあると思っている。

注目されている次世代SNSサービス

米国VCが次世代SNSを探している中で、いくつか候補が出ている。中にはFortnite(フォートナイト)、Minecraft(マインクラフト)、Roblox(ロブロックス)などのゲーム内のSNSや、DiscordやClubhouse、TTYLなどの音声からのSNSが候補として挙がっている。もちろんそれ以外に多く次世代SNSを狙っているアプリはあるが、以下は特に気になっているものを紹介しておく。

シリコンバレーのVCが必死に追いかけているClubhouse

米国のVCは最近「Clubhouse」というアプリで大盛り上がりだ。

Twitterのオーディオ版に似ていて、いろいろな人の会話に入り込み、聞いたり、参加することができる。まだベータ版だが、シリコンバレーの著名VCやテック業愛のトップの人たちが必死にアクセス権を獲得しようとしている。このようなVC業界でSNS系にハマったのは、Meerkat、Secret、Foursqure、Twitter以来な気がする。

このアプリの凄いところは、今のところPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成しているように見えること、行動変化を及ぼしていること。何名かのVCにヒアリングしたところ、ちょっとした空き時間でアプリをチェックするようになったり、寝る前、起きた時にまず見るアプリになってきているそうだ。ライブで音声会話を聞ける、特に業界トップの人たちの会話をフィルターなしで聞けるのはなかなかない。そして仕事やタスクをやりながらできる手軽さのおかげで評判が高い。

Twitterやポッドキャストとのポジショニングをかぶらないようにする必要があるが、うまくいくとポッドキャスト市場とイベント市場を潰しに行ける気もする。ライブであることがポッドキャスト市場との大きな違い。いまは録画機能がないので、その場にいない限り会話が聞けない。それが人をこのアプリに引き戻せる力でもある。著名ベンチャーキャピタリストであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏でさえもClubhouseのユーザーのひとりだ。

そしてClubhouseの一部の魅力は半端ないスピードでプロダクト改善、プロダクトリリースをしていること。2人しかいないのに1日に数回新規リリースしている。Y Combinator共同創業者のPaul Graham(ポール・グラハム)氏も言っているが、新しい機能を出せるスピードは意外にスタートアップの成功率と相関する。

まだ初期段階の会社であり、2名体制なので実際にヒットするかはわからない。そして今は親密な感じでアプリを利用できるが、今後はその親密度を保ちながらスケールできる方法を考えなければいけない。そして最近だと調子が悪いと噂されているTTYLなどを見ると、Clubhouseはなぜうまく行っているかが少し不思議。もしかしたらTTYLはコアユーザーが間違っていたのかも?友達間がメインだったTTYLだと、自分で何十人も集めて会話をスタートしなければいけないのと比べて、Clubhouseは知らない人の会話、特に著名人の会話が聞けるのがポイントかもしれない。

もちろんClubhouseは新型コロナウイルスのパンデミックのタイミングだから伸びていると言える点もある。ほかの人の声を聞きたい需要が増えているからだ。ただそれ以外にも、フェイクニュースの広がりの影響もある気がする。Twitter上で知らない人の声を聞くのが面倒、悪いコメントが多すぎる、そして信頼している人と会話ができない環境がある中から生まれたのもある気がする。

参加型SNS

Facebook、MySpace、Friendsterなど初期世代のSNSは、99%の人が見るだけで、1%の人が書くというプラットフォームだった。誰かのプロフィールに行ってコンテンツを見ることが多かった。コメントや返信など多少はしたかもしれないが、大半は見るだけで終わる。Facebookは進化して行った中でmコメントやニュースフィード、「いいね」ボタン、絵文字でのリアクションができるようにして、書くことによりエンゲージさせようとしている。ただ、一個人が情報・コンテンツを共有することをベースにすると圧倒的にコンテンツを書く人が少なくなる。そこで新しいモデルにFacebookは向かっている。それがFacebook Groupだ。

タウンホールからリビングに移行したいFacebookが、Facebook Groupにかけている理由は明らか。それはGroupだと個人が中心として成り立たないから。そのグループの構成、テーマ、コンテンツに重点が置かれる。今後のSNSはパッシブにコンテンツを受け入れるだけではなく、アクティブにコンテンツを作成できるものとなる。

その中では、Discord、Fortnite、Minecraft、Robloxなどが含まれている。アクティブにプラットフォーム上で参加するのが前提・必須となると、よりそのプラットフォームにいる意味合いが生まれる。MinecraftやRobloxは完全にクリエイター側が中心となっているのはその理由だ。この「参加型」と言うのが今後キーワードになってくる気がする。

結論

Twitter、Snapchat、Instagram、TikTokは争っているものの、各自ポジショニングをしっかりしているため、ユーザーが両立できているように見える。ただ、5年~10年スパンでどんどん新しいSNSが生まれてきて、古いSNSが進化しない限りユーザーが違うプラットフォームに写ってしまう。その中、米国VCはすでに次のSNSを探している。

新しいSNSを作るのは2つのドライバーがある。

  1. 10代~20代前半から生まれる新しい文化
  2. ステータスメディアが生む苦しさ

本音が出せない、そしてステータスを求めるプレッシャーでSNSは成熟するほどコンテンツエンゲージメントが悪化してしまう。広告が収益ベースとなるプラットフォームはそうなる運命である。マーケターはすべてのものを台なしにするという話は事実。Facebook、Twitter、Instagram、そして徐々にTikTokもインフルエンサーマーケティングや企業プロモーションであふれ始めている。そうなると、本来作られたユースケースと離れ、金儲けコンテンツへ走ってしまう。プラットフォームもユーザーが増えるとそのマネタイズを支える人たち、インフルエンサーと企業を喜ばせるプロダクト開発を行うので、ユーザーの不満が大きくなる。

いま米国ではTikTokの次のSNSが見つかってない。その候補としてClubhouseなど盛り上がっているが、まだどこも勝ち抜いてない。逆に今がSNSを作る最大のチャンスであると信じているし、どんなユースケースがハマって急成長するアプリを楽しみにしている。

引用記事
Snapchat will launch Bitmoji TV, a personalized cartoon show(TechCrunch)
What’s trending: Experts decode Gen Z(DIGDAY)
NO. 330: GEN Z ARBITRAGE(2PM)
The Era of Participatory Social(Medium)
The Sound of Silence(Posthaven)
Snapchat launches privacy-safe Snap Kit, the un-Facebook platform(TechCrunch)
Snapchat preempts clones, syndicates Stories to other apps(TechCrunch)
To stop copycats, Snapchat shares itself(TechCrunch)
Clubhouse voice chat leads a wave of spontaneous social apps(TechCrunch)

隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリたち

次世代版ソーシャルネットワーク、Clubhouse(クラブハウス)

カレンダーからの招待はもういらない。気軽に会話に飛び入りで参加しよう。これが新型コロナウイルス(COVID-19)による隔離で空白になってしまった我々のスケジュールを、商売の種にできないかと考えている新しいソーシャルスタートアップ企業に推進力を与えているコンセプトだ。しかし、こうしたソーシャルアプリはオンラインによる集いやオープンオフィスプランなど流動性あるアドホック、その場に応じた臨時的なコミュニケーションを実現することよって、新型コロナウイルス収束後の我々の働き方や人付き合いのあり方を変える可能性もある。「Live」は高性能ストリーミングの代名詞となっているが、これらの新しいアプリがスポットライトを当てているのは、目前のタスク、ゲーム、ディスカッションに加え、複数のユーザーである。

Clubhouse(クラブハウス)の「部屋」

Clubhouseの「room」

これらのスタートアップ企業の中で最も注目されているのが、ユーザーがいつでもチャットルームに参加できるオーディオベースのソーシャルネットワークであるClubhouseだ。ユーザーは自らがフォローするすべての人の部屋を確認し、ラベルの付いていない部屋を見つけたら、興味の赴くまま、会話に参加したり、ただ話に耳を傾けたり、といったことが可能である。活気のある部屋は多くのユーザーが集まるし、活気がなければユーザーは他のチャットサークルへ移っていく。

Clubhouseは先週末、人々が限定招待を求めて争奪戦を繰り広げたり、メンバーシップについて謙虚を装いながら自慢したり、人々のFOMOをからかったりするなど、VCのTwitterで大騒動を引き起こした。現在のところ、公開アプリやアクセスはない。Clubhouseという名は、人々が限定的な集団に属していたいと願う気持ちを完璧にとらえている。

Clubhouseは、Paul Davison(ポール・デイヴィスン)氏によって開発された。彼は過去にオフラインでの出会いを目的とした位置情報アプリHighlightおよびカメラロールすべてを公開するアプリShortsを開発した(2016年にPinterestが彼の開発チームを買収)。2020年に彼は、Alpha Exploration Coスタートアップスタジオを発表し、またラジオ形式の視聴者参加型番組を即座に放送可能なTalkshowを立ち上げた。新しい友だちを作る、生活をシェアする、考えを伝える、議論する。デイヴィスン氏の取り組みに通底するのが「スポンテニアス(自然発生的)」という概念だ。

Clubhouseはまだ始まったばかりの段階だ。ウェブサイトさえない。よく似た名前のClubhouse.ioと混同しないようにしよう。Clubhouseがどのようなものになるのかについての説明や、正式にリリースされるのか、またそれがいつになるのかは一切発表されておらず、またデイヴィスン氏も共同創業者のRohan Seth(ロハン・セス)氏もコメントを拒否している。しかし、肯定的な評価は、Twitterがテキストで行ったことを進化させるような、より即時的でマルチメディア的なアプローチに対する欲求があることを示している。

サプライズのない隔離生活

この隔離生活でわかったのは、皆と離れて1人になると、自然発生的な交流の機会を失うということだ。オフィスにいるなら、給湯室で偶然顔を合わせた同僚と軽い会話を交わしたり、インターネットで見つけたおもしろおかしいことを声に出してコメントしたりできる。パーティーではぶらぶら歩いて、1人でも知り合いがいるグループがあればそこに混じってみたり、興味をひく話が耳に飛び込んできたら、会話に参加したりできる。家にこもっているとこうした機会が失われる。相手の邪魔にならないテキストと違い、緊急性がないにもかかわらず手当り次第に友達に電話をしたりすることを我々は非難してきた。

Clubhouse(クラブハウス)の創業者ポール・ダビソン氏

Clubhouseの創業者ポール・デイヴィスン氏  画像クレジット:JD Lasica

日時の決まったZoomによる通話、実用的なSlackのスレッド、際限のないEメールのやり取りでは、意外性や、人々が互いのアイディアを交換し合う中で生まれる会話による喜びを捉えることができない。しかし、スマートアプリ開発者たちは、自然発生的というコンセプトがユーザーの生活やワークフローを絶えず妨害するものではないと考えている。ユーザーは会話に参加するかしないかについて決定権を持ち、また構わないで欲しい場合にはそれを表示することで、望む場合にのみ社会的つながりを持つことができる。

AppAnnieによるHousepartyのランクを示すチャート

AppAnnieによるHousepartyのランクを示すチャート

Housepartyはこの自然発生的というコンセプトを体現している。このアプリは新型コロナウイルスによる隔離が続く中、ユーザーがアプリを開いた瞬間に気分の赴くままに友だちとグループのビデオチャットルームに参加できるようにすることで、大ヒットしている。毎月5000万回のダウンロードがあり、一部の地域では新型コロナ以前の70倍を超える数に増加している。これは、米国を含む82カ国でソーシャルアプリ部門の第1位になり、16カ国でアプリ全体で第1位となった。

Discord本来はゲーム用に開発されたアプリだが、ユーザーはいつでも開いているビデオ、音声、およびチャットルームを通じて自然発生的に他のユーザーと交流を持つことができる。カリフォルニア州、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ワシントン州など、早期に外出を禁止した州での使用の急増もあり、米国において日常的にDiscordの音声機能を使用するユーザーの数は50%増加した。モバイルゲームにオーバーレイされたビデオチャットアプリのBunchもまたランクを上げ主流になってきている。主なユーザー層は1日の総会話時間が150万分にのぼる女性にシフトしてきている。これらのアプリを使用することで、友達と合流し一緒に選んでプレイするのが簡単になる。

モバイルゲームにオーバーレイされたビデオチャットアプリ、Bunch

Bunch

即席オフィス

企業のビデオチャットツールは、強引でかつ事前準備のいるZoom通話に代わり、自然発生的コンセプトを取り入れたものになっている。これはZoomに対する反動で、終日ビデオチャット続きで何も成し遂げられないことに人々が気づいたためだ。

Loomを使用すると、ビデオクリップを簡単に録画して同僚に送信でき、同僚は時間のある時にそれを見ることができる。ビデオは撮影と同時にアップロードされるため、会話のスピードがアップする。

Loomを使用すると、ビデオクリップを簡単に録画して同僚に送信できる

Loom

Aroundでは、画面の上部に小さな円形のビデオウインドウが表示されるので、デスクトップの大部分を実際の作業のために使用しつつ、同僚と即座にコミュニケーションを取ることが可能だ。

Aroundでは、画面の上部に小さな円形のビデオウィンドウが表示される

Around

Screenは画面共有を起動できる小さなウィジェットである。全員が共有ウィンドウをコントロールできるカーソルを持ち、その場でコーディング、設計、書き込み、注釈を付けることができる。

Screenは、画面共有を起動できる小さなウィジェット

Screen

Pragliはアバターベースの仮想オフィスで、ユーザーは誰がカレンダーミーティングに参加しているか、その場にいないか、時間があるかを確認できるので、全員の空き時間をわざわざ探す必要なく、ボイスチャットやビデオチャットチャンネルを同時に開くタイミングを把握することができる。しかし、Slackのように自宅にまで追いかけて来ることなく、Pragliでは仮想オフィスにサインインまたはサインアウトして、1日を開始、終了することが可能だ。

Pragliはアバターベースの仮想オフィス

Pragli

声を届ける

ビジュアルコミュニケーションは、我々がいる場所が示せる携帯電話の画期的な機能だったが、外出できない現在、我々に表示するものはあまりない。これが、手数をかけずに自然発生的なコミュニケーションが取れるツールが流行するチャンス拡大のきっかけとなっている。リモートパーティー、迅速な問題解決など用途を問わず、Clubhouse以外の新しいアプリには、ビデオだけでなく音声機能が組み込まれている。音声を使えば迅速な情報交換が可能で、その場に居合わせているような臨場感もある上、仕事中にディスプレイが占拠されたり注意を全部持っていかれることもないし、見栄えを気にする必要もない。

High Fidelityは、Second Lifeの共同創業者であるPhilip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏が現在携わっている、資本金7200万ドル(約77億4000万円)のスタートアップ企業だ。High Fidelityは最近、バーチャルリアリティのコワーキングツールの構築から離れ、音声とヘッドフォンベースのオンラインイベントプラットフォームおよび人々が集うためのギャザリングスペースのテストを開始した。初期のベータ版ではユーザーは地図上で自身を示すドットを動かし、空間オーディオで彼らの近くにいる人物の声を聞くことができる。相手に近づけばその声は大きくなり、通り過ぎると消えていく。ユーザーは気分の赴くまま、小さなドットの集まりに近づいたり離れたりしながら、声の届く範囲で様々な会話を聞くことができる。

High Fidelityによる初期テストからの非公式な原寸模型

High Fidelityによる初期テストからの非公式な原寸模型 画像クレジット:DigitalGlobe / Getty Images

High Fidelityは現在テストマップとしてバーニングマンの衛星写真を使用している。実際のオフラインイベントと同じように思い思いの場所にDJが陣取り、リスナーはDJの間を行き来したり、友達と歩きながら会話したりする。バーニングマンは2020年の開催がキャンセルとなったため、High Fidelityはバーニングマンのオーガナイザーが約束したバーチャルバージョンを開催する候補者となる可能性がある。

Housepartyの元CEOであるBen Rubin(ベン・ルビン)氏と、Skypeエンジニアリング部門の統括部長であるBrian Meek(ブライアン・ミーク)氏は Slashtalkと呼ばれる自然発生的なチームワークツールを開発中だ。ルビン氏が去り、Housepartyは2019年中頃にFortnite-maker Epicに売却されたが、このゲーム業界の巨人は最近の隔離生活で成功の波に乗るまで、このアプリを放置していた。

Slashtalkは、迅速で分散型の会話を旨とする会議不要のツール

彼の新しいスタートアップ企業のウェブサイトには「Slashtalkは、迅速で分散型の会話を旨とする会議不要のツールです。我々は、適切な人員が適切な時に適切なトピックについて必要十分なだけ話し合えれば、ほとんどの会議は不要だと確信している」と書かれている。このツールを使えば、瞬時にボイスチャットまたはビデオチャットを始めることができ、日時の決まった共同セッションを待たずして、物事の段取りをつけることができる。

TechCrunch Disrupt NY 2015に出席したSlashtalk共同創設者ベン・ルビン氏

TechCrunch Disrupt NY 2015に出席したSlashtalk共同創設者ベン・ルビン氏

仕事にせよ遊びにせよ、これらの自然発生的な集いの場を提供するアプリは我々に縛りの少なかった若かかりし時代を思い起こさせる。カフェテリアや校庭をぶらぶらする、ショッピングモールに誰かいないかチェックする、部屋のドアが開け放たれた大学の学生寮の廊下を歩く、学生会館や広場でおしゃべりする。大人になる一歩手前の時代には、偶発的な交流の機会がたくさんある。

年を重ねてそれぞれが自宅を持つようになると、我々は文字通り壁を作って偶発的なコミュニケーションができるというシグナルを受ける能力を自ら制限してしまう。Down To LunchやSnapchatが買収したZenlyといったアプリや、Facebookが準備中のMessengerのステータス機能は、こうしたバリアを打ち破り、オフラインで誘うときの気まずさを感じないように設計されている

関連記事:隔離中だからこそ、メディアが真に「ソーシャル」な存在に

実世界での交流や共同作業には、通常、交通手段や計画が必要になってくるが、ここで取り上げた新しいソーシャルアプリはたちどころに我々に集まる場所与えてくれる。前もってスケジュールする必要はない。妥当な距離圏内にいる人以外とつながることを阻んでいた地理的な制限もやはり消え去った。デジタルでなら、自らのネットワーク内から相手をよりどりみどりで選択可能だ。隔離生活で我々のカレンダーの一部は空白になってしまったが、これにより我々の選択肢が広がった。

様々な制限が取り除かれた今、必要なのは我々の意思だけだ。我々は繋がりを持ちたい相手と繋がり、望みを達成することができるのである。スポンテニアス(自然発生的)なアプリによって、瞬発力ある人間本来の性質は輝く。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

Tags: ビデオチャット チャットアプリ ソーシャル 新型コロナウイルス COVID-19