米食品医薬品局がColorの新型コロナウイルス高速検査技術を認可、LAMP法による検査工程を自動化

集団ゲノム検査サービスを提供するColorが、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)検出技術に対し、米食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration、FDA)から「緊急時使用認可」を得た。同社によると、その精度は現在承認されている最良の方法と互角、そして結果を得るまでの所要時間は約50%早くさまざまな供給要件に応ずる。つまり、より多い検査をより早く、そして従来のようなサプライチェーンの厳しい条件がなくても実行できる。そしてColorはその検査プロトコルを、他の検査機関などに一般公開する。

3月にColorは、処理能力の高い新型コロナウイルス検査施設を立ち上げると発表した。その所要時間短縮の大部分は、遺伝子増幅法の一種であるLAMP法による検査工程各部の自動化だ。この工程の自動化は、既存のRT-PCR検査では不可能とされていた。どちらの検査も分子レベルの検査で、体の中に実際にウイルスが存在することを検出するが、LAMP法は以前にジカ熱やデング熱を検査するテクニックとして使われたことがある。

Colorは、自社開発したLAMP検査プロトコルを無料でほかのラボの独自の実装用に提供する。加えて、同社が集団でのスクリーニング検査や通常の検査用に得たデータに基づいて設計したプロトコルも提供して、労働者の安全を確保したうえでの職場復帰努力を助ける。プロトコルには2つのフェーズがあり、ひとつは職場に感染者が一人も確認されなかったが高い警戒体制を維持したいという場合、第2は感染者が何名かいて封じ込めが必要な場合だ。

Colorはすでにサンフランシスコと協力して、市民の生活に必要不可欠な最前線の行政職員に対し、同社の検査プロトコルを適用している。また、ほかにも、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学のブロード研究所やコーネル大学医学部ワイル研究所と共同で技術開発を進めている。今は多くの米国人が、ウイルスの拡散防止努力を継続しながらオフィスなどの再開を望んでいるが、Colorのような共同的取り組みには、知識の共有を早めその範囲を広げる利点がある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Colorが新型コロナ大量検査テクノロジーをオープンソース化、自社ラボも稼働へ

ヘルス・遺伝子テクノロジーのスタートアップColorは、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に対処するために重要な役割を果たそうとしている。3月31日に公開されたCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏の書簡で、新型コロナウイルスの検査を大幅に拡充するためのColorの支援内容が詳しく説明されている

稼働が計画されている高スループットの検査ラボでは、結果を病院に報告するまでのターンアラウンドタイムを24時間以内として1日あたり最大1万件の検査を処理できるという。Colorは新型コロナウイルス拡大防止に最大限に役立てるために、この検査ラボの設計や検査プロトコルを含むテクノロジーの詳細をオープンソース化し、誰でも利用できるようにするという。これにより高速、大容量の検査施設が世界各地にオープンされることを期待している。

Color自身のラボはすでに準備をほぼ完了しており、ララキ氏によれば「ここ数週間で稼働を開始」できるという。Colorのチームは、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が運営するBroad Institute、コーネル大学のWeill Cornell Medicineと協力して、現在標準的に利用されている手法よりも高効率で結果が得られるテクノロジーを開発した。

Colorの重要な強みは、自動化と必要な資材をすばやく調達するテクノロジーにある。 例えば検査に必要な試薬は多数のサプライチェーンから入手可能だ。これは米国だけでなく世界的に大規模な検査体制を構築する上で極めて重要な要素となる。つまり全員が同じテクノロジー、同じ処理プロセスを利用していれば早い段階で試薬などの供給においてボトルネックに直面することになるからだ。1日に数万の検査を処理できるテクノロジーがあっても、必須試薬の1つが他のすべてのラボでも必要とされている場合、たちまち入手困難に陥ってしまうだろう。

Colorは、他の2つの重要な分野でも新型コロナウイルス対策に取り組んでいる。 最前線で仕事をしている人々のための検査と結果判明後のフォローアップ処理だ。こうした人々は社会を機能させるために必須であるが高いリスクに直面しているため検査の必要性が高い。Colorでは政府や雇用主と連携し、病院内の検査、検査ラボのロジスティクス、患者と医師のコミュニケーションなどの改善に注力するために全社的に人員を再配置した。

多くの医師や医療関係者から検査後のワークフローに関する問題が報告されている。つまり検査結果を有効かつ効率的に利用する一貫したフォローアップ体制を構築することが非常に難しいという問題だ。Colorはこの解決にも取り組んでいる。例えば同社はこれまでの経験を活かして構築した独自のワークフローのプラットフォームを開放し、他の新型コロナウイルス検査ラボが無料で利用できるようにしている。

無料で利用できるリソースには、検査結果報告書、患者向けのガイドラインと指示、接触履歴アンケート、陽性と判定された患者に接触しウイルスに暴露された可能性がある人々に連絡する方法などが含まれている。

Colorの新型コロナウイルス対策事業の一部は個人及び組織の寄付によって支えられてきたという。同社では、新型コロナウイルス対策のプロジェクトやリソースに関連して有用な貢献ないしビジネスができると考えるならcovid-response@color.comに直接メールするよう呼びかけている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

巧妙なハック作品Synesthesia Maskは色を匂いとして感じさせてくれる

シネシージア(synesthesia, 共感覚)は超能力として畏れられているが、その多くは、色を数として感じるなど、退屈なものが多い。でもこのDIY的ハッカー的作品では、色を匂いとして感じるから、虹を見ると果物の匂いがするかもしれない。

このシステムは、いろんな物の表面の色を読み、それに対応する香りを出力する。香りはファンでユーザの顔に到達し、さまざまな色を匂いとして感じる。以下、説明書より:

Synesthesia Maskは匂いのピクセルだ。赤、緑、青(光の三原色)のピクセルが混じりあっていろんな色になるように、このマスクはあなたが触っている物の色の赤、緑、青の量にマッチする匂いを発散する。実際には、香気マニホールドの先端にあるファンが、赤、緑、青に相当する匂いが入っている試験管から空気を送り出す。それぞれの試験管についているサーボが管の傾斜角度を調節することによって、管中の香油からの香りの排出量が加減される。そのようにして、あなたが手にしているセンサが読み取った色に含まれている、赤、緑、青の量に応じた匂いが、マスクに吹き出し、あなたの鼻に届く。

 

このシステムはIntelのEdisonボードと小さなサーボを使って、香りをユーザの顔に噴射する。色は、ユーザが手に持っているセンサが判読し、内蔵されているカメラが色の各ピクセルを匂いに換える。たとえば、赤をバラの香り、青をスミレの香りにして地下鉄の地図をスワイプしたら、花の香りの大爆発が起きるだろう。

この楽しくて簡単なプロジェクトで、あなたはミュータントになる。そして、地球という星に住む人間という愚かな生き物を、やっつけるのだ。楽しい休日プロジェクトだね。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ゴールドiPhoneはどうだ?! ともかくAppleはこれまでも「色」で自己表現を行ってきた

流行というのは難しい。徹底的に貶されていたものでも、しばらくすると賞賛の対象になったりもする。何の話かと言えば、iPhone 5ゴールド版のことだ。どうやら9月の新機種投入時には、これまでのモノトーン調以外にゴールド版が出てきそうだ(やめてくれ。成金かよ、という声も大きい)。これまでのAppleが、いかに上手に「カラー」と付き合ってきたのかを見てみよう。

Appleは本質的に、無駄を省いた「ZEN」(禅)風のテイストで人気を集めていると言って良いだろう。しかし、歴史を振り返れば、実のところは「色とりどり」でアピールしてきた側面もある。復帰後のジョブズも、「色とりどり」なプロダクトを引っさげて、「インターネット」という新たな世界に乗り出しもした。

ロゴを振り返ってみても、1976年から1998年まではレインボーストライプだった。ジョブズがシックなものに変更するまで用いられた。ちなみに2008年、Gizmodeの757人のゲイないしレズビアンに対して行った調査によると、Appleの旧ロゴのおかげもあって、Appleはゲイフレンドリーな企業であると評価されたそうだ(訳注:レインボーフラッグを参照)。

このように一部で「ゲイ風」であると評価もされたこのカラフルなロゴは、Apple社2番目のものとなるロゴだった。最初は頭上に林檎が揺れるアイザック・ニュートンのイラストレーションをロゴとしていた。歴史を振り返り、手工業の時代へのオマージュを示すものだった。テック企業でありながら、そうしたロゴを選ぶというのは、なかなか面白い選択でもあった。その後に採用された齧られた林檎を彩ったレインボーカラーでは、「手工業」という意味合いはなくなったものの、色を使って「人間性」を感じさせるものとなった。「虹」は、しばしば別のもの(訳注:動画はほんの冗談。職場で音を出してみたりはしない方が良いかもしれない)を示す暗喩として用いられるものでもあるからだ。

Appleはプロダクトについても色を使って「人間性」あふれるデザインを実現しようとしてきた。1998年に登場してきた第一世代iMacは、抱きかかえるのにちょうど良いサイズの一体型コンピュータで、おかしのようなカラーバリエーションを用意したものだった。それまでの、遅くて、ネットワークに繋ぐこともできず、そしてジョブズが言うところの「ださい」(uuuuug-ly)コンピュータの代替として登場してきた。人々をインターネットの世界に導いてくれるマシンであり、半透明に色づくボディは確かに未来的な感じのするものだった。

「まるで他、進んだ星からやってきたかのようなスタイルです」とジョブズは言っていた。「素晴らしいデザイナーたちが暮らす星からです」。

ライム、タンジェリン、グレープ、ストロベリーなどがラインアップされ、すべてを味わってみたくなった人も多かったはずだ。過去に口にしたことのあるおいしいお菓子を連想させるという狙いもあったのだろう。その狙いはうまくいったように思う。ブルーダルメシアンやフラワーパワーといったカラーバリエーションは少々行き過ぎの感じではあったかもしれない。しかしそれもまた、それなりの面白さはあったと言えるだろう。

もちろんイマイチと受け取られたものもあった。1992年に500台限定で生産されたJLPGA PowerBook 170だ。JAPAN女子ゴルフツアー大会が開催されたことを記念してリリースされたものだ。ボンダイブルーのiMacの曲線美に魅せられたものとしては、少々ありきたりに見えはした。限定品という付加価値もあったので、まあこれはこれで「あり」だったのだろう。

失敗作を振り返ることが目的ではない。AppleはiPod nanoやShuffle、iPod touchやiPad miniのカラーバリエーションでは人気を獲得することができた。今度のゴールド版iPhone 5sも、こうした成功事例に連なる形で進化を遂げたものと見ることができるだろう(少なくともApple側の意図としてはそうだ)。。

付け加えておくと、ゴールド版のiPod miniは不人気のうちに姿を消した。ただゴールドiPhoneはピカピカの安物風ではなく、上品な「シャンパンゴールド」だとのことなので、iPod miniとはまた異なった評価を下されることになるのだろう。

モノクロのデザインというのは、どことなく高価そうな雰囲気を伝えるものだ。しかしiPodでみたように、シンプルなデザインに派手なカラーは意外に合うものでもある。齧られた林檎というシンプルな形の中に、レインボーカラーを配置することでApple社のロゴは大いなる注目を集めることができた。そうした面からも、Appleの「カラー戦略」には注目していきたいと思うのだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)