Alexaで慈善団体に寄付できるようになった

2018年のサイバーマンデーに史上最大の売上を記録したAmazonは、Alexaオーナーが「ギビングチューズデイ」に簡単に参加できるようにした。これは感謝祭セールの買い物熱冷めやらぬ中の国際的慈善寄付の日だ。今日からAlexaオーナーは、”Alexa, donate to ‘Toys for Tots'” というだけで子供たちにおもちゃを贈れる

このコマンドを言うと、Alexaはさまざまな年齢の子供たち向けの手頃価格なプレゼントを提示する。

慈善団体が用意したリストには、ミッキーとミニーのぬいぐるみやナーフのフットボール、ボードゲームのモノポリーなどいろいろなおもちゃが集められている、とAmazonは言っている。

ユーザーが注文を確認すると、AmazonはToys for Totsに直接商品を発送する。通常の注文と同じく、配送の追跡も可能でAlexaに “where’s my stuff?” と声をかけるか、Alexa Shopping Notificationsに登録すればよい

Amazonは2018年12月31日まで、最大10万ドルのマッチングドネーションも行っている。

これはまさしく、いちばん簡単なお返しの方法で、これまでになかったものだ。

Amazonは、Alexaプラットフォームを寄付に使うのはこれが初めてであり、成功すれば将来も同様の取り組みを行うつもりだと言っている。

「Alexaはこのホリデーシーズンに報いるいちばん簡単な方法として、顧客がToys for Totsに60秒以内に商品を寄付できるようにした」とAlexaショッピング担当VP Chuck Mooreが声明で言った。「みなさんの惜しみない愛情のおかげで明るい時期を迎えることができた。Alexa Shoppingの発展とともに、Amazonは顧客が自分のためだけでなく、広いコミュニティーのニーズにも答えられるよう、さまざまショッピングニーズを満たしていきたい」

Amazonは、Toys for Totsとの連携以外にも、自分の選んだ慈善団体への寄付金にも対応している。Alexaオーナーは “Alexa, I want to make a donation” と言えば手続きが始まる。

ちなみにAmazon.comは小売業として、Charity Listsという非営利団体向けの新機能を今年公開した。これはユーザーがAmazonで買い物をするたびにAmazonが慈善団体に寄付するAmazonSmileプログラムの一環で、非営利団体は自分たちが必要としている項目のリストを作ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、社内エンジニア教育に使っている機械学習コースを無料提供

サイバーマンデーの今日(米国時間11/26)、Amazonからちょっと意外なプレゼントがある。同社は自社エンジニアの教育に使っているものと同じ機械学習コースを無料で提供する。

学ぶべき内容は膨大だ——プログラミングの視点から見て。Amazon在籍8年のベテランでディープラーニングおよびAIのゼネラルマネージャーMatt Woodによると、コースは30種類延べ45時間にわたり、開発者、データサイエンティスト、データプラットフォームエンジニア、ビジネスプロフェッショナルなどが無料で受けられる。

同氏の説明によると、それぞれ「基本から始まり、Amazonで解決しなければならなかった楽しい問題を通して機械学習あ体験する。たとえば、ギフトラッピング資格の予測や配送ルートの最適化、IMDb(Amazonの子会社)のデータを使った映画の賞のノミネート予想などを行う。学習コースはベストプラクティスの確立に役立つほか、Amazon SageMaker、AWS DeepLens、Amazon Rekognition、Amazon Lex、Amazon Polly、Amazon ComprehendなどさまざまなAWS機械学習サービスの使い方を紹介する意味もある。

Amazonは、雇用者が効率よく採用する手助けをするために、同社独自の機械学習認定を導入しており、顧客は現在半額で利用できると言っている。

おそらく、狙いはAmazonの販売ページを強化することに加え、多くの社員を採用して自社の成長を加速することだろう。

もしこれでAmazonが切望する信頼を得ることができるならそれは良いことだろう。すでにご存じかもしれないが、同社にとってたった今深刻な問題は、ドイツ、スペイン、フランス各国の配送センターで金曜日に起きたストライキだ。中には”we are not robots“[私たちはロボットじゃない]というスローガンを掲げていた人々もいる。

Woodの声明の全文はここで読める。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

無人小売店舗のスタートアップ、InokyoはAmazon Goに挑戦する

インディーズ版Amazon Goを目指すスタートアップのInokyoが、レジ係不要の無人小売店舗のプロトタイプをスタートした。商品を棚から取り出したり棚に戻したりするところをカメラで撮影し、客は店を出る前にアプリのQRコードをスキャンするだけで、購入した商品の代金が引き落とされる。

最初の店舗はカリフォルニア州マウンテンビューのカストロ通りにオープンし、 おしゃれなこんぶ茶やスナック、プロテインパウダーやバス用品などを販売している。陳列棚はまばらで少々戸惑うが、5年後の日常のショッピングらしき様子を垣間見ることかできる。本誌が撮ったデモビデオを参照されたい。

「レジ無し店舗は自動運転車が輸送業界に与えるのと同じレベルのインパクトを与えるだろう」と、Inokyoの共同ファウンダー、Tony Francisが私に言った。「これは小売の未来だ。店舗が無人化に進むことは避けられない」。

Inokyo(Tokyoと韻を踏む)はこのマウンテンビュー店舗を早期利用する ベータテスターを募集中だ。テストの目的は、将来の品揃えとビジネスモデルを考えるために必要なデータを収集することにある。Inokyoはこのテクノロジーをサービスとして他の小売店に販売するか、自社店舗を運用するか、ブランドと提携して製品のポジショニングを改善するかを、店内センサーのデータと顧客の行動に基づいて決定するつもりだ。

「このテクノロジーを実験室で研究しても成功しないことはわかっている。最初にシステムを提供してリアル世界で学習し、このテクノロジーをいち早く進化させたものが市場を席巻できると考えている」とFrancisは言う。InokyoはAmazonやWhole Foodsと競合できるような小売の巨人になれることはないかもしれない。しかし、その技術によって対等な戦いを実現し、小さな企業が巨人たちの独占を阻む可能性はある。

問題はレジ係が代わりに何をするかだ

「Amazonは私たちが思ったほど先行していない」とFrancisは指摘する。彼は共同ファウンダーのRameez Remsudeenと共にシアトルのAmazon Go店舗を見に行ってきた。米国でレジ係をカメラで置き換えた最初の店だ。そこで感じたのは「この体験は魔法のようにできるはずだ」ということだった。

ふたりはカーネギーメロン大学の機械学習の授業で知り合い、その後その知識をInstagramとUberで利用した。彼らは無人店舗の世界に今すぐ参入すればその方向性について発言権を得られると考えた。

来週Inokyoは彼らのシード資金を提供したY Combinatorのアクセラレーターを卒業する。6週間のプログラム期間中に、マウンテンビューの店舗スペースを見つけ、従来型店舗の顧客の行動を学習し、初期の商品群を揃え、ユーザーが棚から取り出したものを追跡するテクノロジーを開発した。

Inokyonストアのしくみはこうだ。まずアプリをタウンロードして支払い方法を登録するとQRコードが送られてくるので店に入る時にセンサーにかざす。天井のカメラが客の体型と服装をスキャンして顔認識をせずに店内での動きを追跡する。一方、棚に設置されたカメラは商品が取り出されたり戻されたりするところを追跡する。これらを組み合わせて、誰がどこで何を取り出したかを認識することでカート内の商品を決定する。店を出る時に再びQRコードをスキャンする。のちに詳細が書かれたレシートを受け取る。

実は当初Inokyoでは店を出る時のスキャンをしていなかったが、客からのフィードバックで、万引きしているような気分だと言われた。出口のスキャンは技術的に必要だったわけではなく、安心感を与えるためというわけだ。そこには「選んだ商品をInokyoが全部認識しなくても私の問題ではない」という不穏な楽しみもある。そして、もし過大に請求された場合はアプリ内のサポートボタンを押して払い戻しを受けることができる。

Inokyo co-founders (from left): Tony Francis and Rameez Remsudeen

私は商品を棚から何度も出したり入れ替えたりしてみたが、Inokyoの請求は正確だった。ただ、その時店内には3人くらいしか客がいなかった。この種のシステムにとって本当の課題は、客が大勢やってきて似たような外見の人をカメラが区別しなくてはならないときだ。精度が99%以上でなければ、システムは役にたつより面倒のタネになるだろう。しょっちゅう金額が多すぎたり少なすぎたりするくらいなら、昔ながらの店に行った方がいい。

無人小売店舗はレジ係不要だからといって、スタッフを置く可能性がないと言う意味ではない。コスト削減を最大化するために、客は略奪をしないと信じているだけだ。Inokyoは店内に目を配り、客が入店時にスキャンするのを確認したり、手続きの質問に答えたりすることを考えている。また、レジ係を配置転換して商品を薦めたり、客にあった商品を見つけるコンセルジェにする可能性もある。こうした店の評価はテクノロジーだけでなく体験全体の利便性できまる。少なくとも、レジ作業から解放された従業員が、商品補充や顧客対応、店舗のメンテナンスなどに従事できる機会があるはずだ。

The Amazon Go autonomous retail store in Seattle is equipped with tons of overhead cameras

Amazon GoはInokyoと同じような方法でカメラを利用しているが、さらに重量センサーを用いて商品を追跡している。レジ係不要の夢を追っている会社は他にもay to Inokyo, it also relies on weight sensors to track items. There areたくさんある。中国のBingoBoxは1億ドル近い資金を受けて300以上の店舗を展開している。ただし、技術的にはさほど高度ではないRFIDタグを使用している。Y Combinatorの同窓スタートアップ、 Standard Cognitionは500万ドルを調達して、従来型店舗に無人カメラ技術を付加している。AiFiも同じことをしているが、不審な動きを検出して万引きの可能性を報告できると言っている。

未来型店舗はますます現実味を帯びてきた。正確な追跡ソフトウェアと容易に設置できるハードウェアを開発し、買い物フロー全体を快適にできる会社が勝者となるだろう。もしこのテクノロジーが顧客を遠ざけることなくコストと行列を減らすことができれば、地元のリアル店舗はすぐにでも導入するだろう。この未来がやってくるのか、いつそうなるのかという以上に大きな問題は、レジ打ちで生計を立てている無数の人たちにとって、それがどんな意味を持つのかということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、1Qの決算好調で株価7%アップ

木曜日(米国時間4/26)の株式市場終了後、Amazon は第1四半期の決算を発表した。予測を大きく上回る実績を受けて時間外取引の株価は7%上昇した。

同社の1株あたり利益3.27ドルは、アナリストが予測していた1.26ドルよりはるかに高かった。純利益は16億ドルに達し、昨年の7.24億ドルから大きく伸びた。

売上は510.4億ドルでウォール街予測の497.8億ドルを上回り、昨年同時期から43%増加した。うち316億ドルは商品、194億ドルはサービスによる売上だった。

成長の要因はAmazon Web Service(AWS)によるクラウドコンピューティング事業で、前年同期比49%アップ54億ドルの売上は、Amazon全売上の11%を占める。

「AWSを使うとデベロッパーはより多くのことを迅速に行うことが可能になり、日々改善を続けている」とCEO Jeff Bezosが声明で語った。「AWSがこうして目を見張るような成長を2期連続で見せているのはそのためだ」。ライバルの中にはMicrosoftとGoogleもいる。

Amazonは本拠地北米での成長も著しく、46%増でAmazonの売上全体の60%を占めた。海外ビジネスは34%アップして29%を占めた。

この日の終値は1517.96ドルだった。昨年同社の株価は65%上昇し、現在の時価総額は7350億ドル。

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Apple Pay、20か国に進出、非接触支払いの90%を占める

AppleがiMessage用の支払い機能をスタートするまでもう少し待たされることになったが、先週末AppleのApple Pay担当VP、Jennifer Baileyは、GoogleのAndroid Pay(今日サービス拡大を発表した)やSamsung Pay、その他の小売業者や銀行に対抗するデジタルウォレットと支払いサービスの節目となる一連の新機能を発表した。

これはAppleがカードや現金に代わる携帯電話利用の主導権を取ろうとしていることを示すものであり、それがうまくいっているという事例証言もある。Appleと提携している販売業者らによると、Apple Payは非接触モバイル支払いが利用できる市場では90%のシェアをもっているという。

「Apple Payは日常消費の未来」とラスベガスで昨日始まったMoney 20/20カンファレンスでBaileyは言った

さらにBaileyは、同サービスがデンマーク、フィンランド、スウェーデン、およびUAEでも数日以内に開始され、これで利用可能な国が20か国になることも発表した。またカード会社4000社がウォレットに対応したことも話した(これは4000種類のクレジットカードまたはデビットカード会社のカードが、登録してApple Pay経由で使用できるという意味だ)。

さほど大きい数字とは感じないかもしれないが、この20か国の市場で世界のカード取引量の70%を占めている、とBaileyは指摘する。これはAppleが支払いサービスを展開するやり方を明確に特徴づけている:お金のあるところから始める。

Baileyは、今後Apple Payがどう普及していくかついて、利用できる店舗だけでなく、利用場面からも説明した。

例えばApple Pay Cashが導入されると、ユーザーはiMessageやSiriなどを通じて、Venmoと同じように個人間で簡単に送金できるようになる。このサービスは現在「数千人」のApple社員が限定ベータを利用していて、今年中にiOS 11アップデートで一般公開される。

しかもユーザーは受け取った金銭をApple Payを受け付ける店舗でそのまま使うこともできる。

これが注目すべきなのは、Appleはウォレットサービスを単なる支払いツールの保管場所ではなく、(今ではないが将来)支払い・保管ツールそのものにしようとしていることを示す一例だからだ。

もちろんAppleは新しい利用場面だけを考えているわけではない。BaileyはApple Payを新規に受け付けるようになった店舗や、すでに古くから同サービスを使っているパートナーに向けて新しいデータを多数提供した。いくつか興味深いものを紹介する。

  • 現在Apple Payは米国の全小売店舗の50%で利用できる。その中には全米トップ100小売業者のうちの67社も含まれている。Albertsons(2300箇所)、Dick Sportng Goods(675箇所)などのスーパーマーケットチェーンでは全面展開している。このようにカード自体はまだ非接触/NFC支払いてテクノロジーに対応していないケースは特に迫力がある。
  • Baileyは、「日常消費」部門 ―― 交通、コーヒーや食事の注文、非接触チケットなど ―― は「急速に伸びている」と言う(Ticketmasterは米国のスタジアムやコンサート会場で非接触チケットを導入している)。
  • Appleは、こうした日々の消費部門の取引回数は、すでに伝統的Eコマースの取引回数の2倍に達しており、物理的店舗の5倍の速さで成長していると推定している。

それ以外の会社も新たな統合を発表している。First Dataは今日、同社のPOS端末製品Clover GoをApple ストアで販売すると発表した。これと並行してFirst Dataを利用する全店舗でApple Payによる支払いが可能になる。この提携によって100万社の販売業者が対象になるとFirst Dataは言っている。

AppleがApple Cash向けに考えている様々な利用場面もそうだが、こうした進歩は、スマートフォンやスマートウォッチやその他「つながっているデバイス」が日々の生活にどうかかわってくるかを示している。それは店舗で商品購入の支払いに使うときばかりではない。

カードやキャッシュから離れられない人たち ―― ほとんどがそうだ ―― に対しては、これはバーチャル支払いサービスを拡大するチャンスであり、Appleなどの会社にとってはブランドとの結び付きを強め、将来の購入に向けて顧客ロイヤリティーを高めるチャンスでもある。

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他業界に奪われたシェアを取り戻す——クロスカンパニーがアパレルのレンタルサービス「メチャカリ」を提供する理由

2016年のIPOも報じられるアパレルメーカー、クロスカンパニー。同社が今、「アパレル×テクノロジー」の領域を強化しているのをご存じだろうか。TechCrunchで4月に報じたとおり、ネットを利用した宅配クリーニングサービスを提供するスタートアップ「BASKET」を買収。現在は同社の代表取締役社長である松村映子氏を中心に、社内に70人規模のエンジニアチームを組織する準備をしているという。

そんなクロスカンパニーが9月16日、自社のアパレル商品をレンタルするサービス「メチャカリ」を開始した。

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メチャカリはスマートフォンアプリを使ったファッションレンタルサービス。月額利用料は5800円。アプリ上に掲載されるファッションアイテムを最大3点までのアイテムをレンタル可能。アプリ上で申請して返却(送付時に返却用の袋や送付状が付属する)すれば、返却した点数だけ再びレンタル可能になる仕組みだ。当初は同社の女性向けアパレルブランド「earth music&ecology」の商品のうち、靴やアクセサリーを除く1000パターン以上の商品を取り扱う。

60日間レンタルしたアイテムは返却せず、自分のものにできるのが大きな特徴だ。60日経過したタイミングでレンタル中のアイテムとして表示されなくなり、そのアイテム以外で最大3点のレンタルが可能になる。なお返却時には500円の手数料がかかる。ちなみにレンタルで届く商品はすべて新品なのだそう(理由については後述)。

同社はこのサービスに3年で8億円の投資を行う予定。もちろん収益化は検討しているが、クロスカンパニー ウェブマーケティング部課長の澤田昌紀氏によると、それ以外の意図があるのだそう。

背景にあるのは「若者のファッション離れ」

また「若者の○○離れ」の話か……と思う読者もいるかも知れないが、実際、若い世代のファッションへの支出は年々減少している。総務省の調査データによると、若年層女性がファッションアイテムにかける1カ月の金額は2008年で1万7287円だったが、2014年では1万718円になっている。もちろん経済動向など、金額だけで判断できない話ではあるが、7年で約4割も減少しているのは事実だ。

「業界では、アパレルがシュリンクしているというのは周知の事実。(自社の商品も)10〜20代に人気というイメージだが、実際の売上を見ると20代後半がボリュームゾーンで、若年層がファッションから離れている状況。どうやったらティーンにもっと興味を持ってもらえるかが課題だった」(澤田氏)。つまりこのサービスには若年層へのマーケティング的な意味合いもあるのだという。

TechCrunchで紹介しているサービスで言えば、スタートアップのノイエジークが「airCloset」を展開して人気を博しているようだ。だがアパレルメーカー自らがレンタルサービスを提供するのは、同社いわく「初の試み」だという。「例えばUBERなどは(タクシー業界の)事業主体ではない(ネット業界の)人たちがサービスを開発して、世の中のライフスタイルを変えていた。クロスカンパニーは自らがライフスタイルを変えていきたい。極端な言い方になるが、他の業界に奪われたシェアを取り戻したい」(澤田氏)

マーケティング視点でのサービスとはいえ、もちろんサービス単体でのマネタイズも視野に入れる。ユーザー数30万人で黒字化できるとのことで、3年の投資フェーズではまずその数字の達成を目指す。

メーカーがレンタルサービスを提供する強み

澤田氏はアパレルメーカーがレンタルサービスを提供する強みとして、「自社ECとの連携」があると語る。

メチャカリのシステムは自社のECと連携しており、販売在庫をそのままレンタルに回すのだという。そのためレンタルするアイテムはすべて新品だし、在庫も豊富だ。また返却した商品は検品の上でアウトレット商品としてECサイトで販売するという。

これは何を意味するのか? メチャカリは、ユーザーにとっては「レンタルサービス」ではあるが、同社にとっては、返却フロー以外を除けばECの在庫・物流をそのまま転用したサービスということだ。

また既存のレンタルサービスであれば、商品を貸しだして、返却後に検品し、次に貸し出すという「1点1点の管理」が必要だが、同社では返品後にアウトレットに回すため、その管理の必要がない。要はレンタルサービスのガワをかぶったサブスクリプション型ECなのだ。

ではこんなサービスを提供して本業のECに影響が出ないのだろうか? 実際テストでサービスを提供したところ、もともと購入頻度の高いユーザーについては月額の平均購入額が上がり、購入頻度が一般的なユーザーについては購入額に変化はなかったということで、「服の好きなユーザーは、服を借りることで、一層購入する」という行動が見えているのだという。

フリマアプリ「メルカリ」で匿名配送が可能に——配送事故や模倣品の補償プログラムも発表

匿名配送機能のイメージ

匿名配送機能のイメージ

 

ヤマト運輸と連携し、4月から全国一律料金の配送サービス「らくらくメルカリ便」を開始したフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリは9月10日、そのらくらくメルカリ便において、出品者、購入者が互いの住所や氏名を相手に伝えることなく商品を送付できる匿名配送機能を提供することをTechCrunchに明かした。9月中旬より、希望者を抽選して試験的にサービスを開始。ユーザーの反応などを見て数カ月以内にも正式にサービスを開始する。

らくらくメルカリ便は、出品者がヤマト運輸の直営店に配送する商品を持ち込み、直営店にある端末「ネコピット」にQRコード(メルカリで契約成立した際にアプリ上で生成される)をかざすことで送り状が印刷され、サイズ・重さにより全国一律で195円から商品を送付できるというサービス。利用数などは非公開だが、「想定より多い。料金が全国一律で分かりやすく、しかも安い。ヤマト運輸でも新商品を提供するのと同じタイミングでスタートしたこともあって、ヤマト側としても一緒にやりやすかった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)のだそう。

今回の匿名配送機能を利用する際も出品者のとるフローは同じだが、ネコピットで印刷される送り状は宛先欄・送付欄が空白のままになる。もちろんただ空白のままではヤマト運輸のドライバーが配送できないのだが、バックグラウンドでメルカリのデータベースとヤマト運輸のデータベースが連携しており、商品にはそれぞれドライバーだけが閲覧できるデータが紙で添付されるが、ドライバー以外が送付先の住所などの個人情報を知ることはないという。

またメルカリでは、この匿名配送機能と合わせて、補償サービス「あんしんメルカリケア」の提供も開始する。

これはらくらくメルカリ便利用時に限り、配送事故により商品が破損・紛失した際の商品代金を全額補償するほか、らくらくメルカリ便の使用に限らず、届いた商品が模倣品だと判明した場合に取引について調査し、その上で商品代金を全額補償するというもの。

メルカリいわく、こういった補償自体はカスタマーセンター(現在仙台約80人、東京約30人が24時間365日稼働し、問い合わせおよび規約違反への対応を行っている)への問い合わせベースで個別対応していたのだそうだ。だが「実質やっているのであればよりサービスへの安心感を持ってもらおうとなった。 2年サービスをやってきた中で財務的なノウハウもたまってきた」(小泉氏)ということで今回正式に発表することになったのだという。

メルカリのアプリダウンロード数は国内外2200万件以上(米国だけで400万ダウンロード以上)。月間の流通総額は数十億円で1日の出品数は数十万件と大きく成長した。そうなるとウェブサービスに不慣れなユーザーの割合も増え、「サービスが難しそう」「何かトラブルがあるんじゃないか」という不安が生まれることになる。前者に対してはアプリ自体の改善を進めるが、後者に対しては今回発表したような安心・安全に向けた取り組みをアピールしていくことで、さらなるサービスの利用に繋げる考えだ。

 

ウェブ接客ツール「KARTE」提供のプレイド、5億円の資金調達—キャンペーンの売上7割増の事例も

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

ウェブ接客ツール「KARTE(カルテ)」を提供するプレイドは8月3日、Fidelity Growth Partners Japanおよび既存株主のフェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施し、合計5億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、Fidelity Growth Partners Japanのデービッド・ミルスタイン氏が同社の社外取締役に就任する。

2014年9月にクローズドベータ版を公開し、2015年3月に一般にサービスを公開したKARTEは、リアルタイムにECサイトの来訪者を分析し、その状況にあわせてメッセージを配信したり、クーポンを発行したりという「接客」をすることでコンバージョンを促すツールだ。

導入費用は月額5000円から。接客数に応じて料金が発生する従量制課金制となっている。ユニークユーザー(UU)10万人以上の場合は定額のエンタープライズプランも用意する。ネットショップ作成サービスのカラーミーショップなどはワンクリックで導入ができるなど、外部サービスとの連携も積極的に進めている。

導入企業はアパレル・コスメ・家電といった各種ECサイトをはじめ、ホテルや人材紹介、不動産、英会話などに拡大。処理するページビューは月間10億以上。また累計UUは2億人以上で、一般公開した2015年3月以降、前月比40%増の成長を続けているという。「想像以上に著名なECサイトに使って頂けている。ECサイトは結局これまで来訪者がちゃんと見えないままサービスを提供してきた。ユーザーの行動や心理状況までをリアルタイムで見られるツールはほかにないと思っている」(プレイド代表取締役社長の倉橋健太氏)

 

その具体的な実績はというと——例えばアパレルECのベイクルーズでは、購入金額の合計が一定額を超えるとノベルティをプレゼントするキャンペーンを実施していたのだそう。その際、カート内の商品の合計金額が下回る場合にのみ「あと少しの金額を購入すれば貴重なノベルティがもらえる」という旨のバナーを表示した。これによって昨年比でキャンペーンの売上が69%も増加するという結果が出たそうだ。

ベイクルーズの事例

ベイクルーズの事例

 

またコスメECのコスメ・コムでは、共通の特徴を持った商品に興味を持った来訪者に対して、より詳細な情報をまとめた比較コンテンツに誘導して情報提供(接客)を行ったという。その結果、接客を実行した来訪者は接客されていない来訪者と比較して、購入率がPCで約6%、スマートフォンで約25%向上したという。

プレイドでは、今回調達した資金をもとに、エンジニアを中心とした人員を強化。サポート体制についても拡充する。「サービスの稼働率を上げるためにはサーポートとコンサルの両方が大事。顧客の分からないことを解決するだけでなく、次はさらに何ができるかを知ってもらうためのチームを強化したい」(倉橋氏)。また今夏をめどに、さらに大きな機能も提供することを検討中だという。さらに今後はグローバル展開を見据えた準備も進めるとしている。

ザワットが2.5億円の資金調達、ブランド品オークション「スマオク」で越境CtoC実現へ

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「同じ戦い方をしていたら完全にレッドオーシャンの中。僕らはほかのフリマアプリとは違うニーズを見つけた」——こう語るのはスマートフォン向けのオークションサービス「スマオク」を手がけるザワットの代表取締役社長である原田大作氏だ。

ザワットは6月11日、SIG Asia Investments, LLLP、MSキャピタル、IMJインベストメントパートナーズが運用するファンド「IMJ-IP Open Innovation FundⅠ」を引受先とした第三者割当増資を実施し、総額2億5000万円を調達したことをあきらかにした。

スマオクはブランド品に特化したスマートフォン向けのオークションサービスだ。CtoCでのオークションのほかに、自ら商品を仕入れて5分限定、1円スタートのオークションなども展開している。

2013年11月にリリースしてから約1年半、「資金力がなかったのでテストマーケティング的な動きだった」(原田氏)とのことで具体的な数字は教えてもらえなかったのだけれど、メルカリやLINE MALL、Frillなどを筆頭にする、いわゆる「フリマアプリ」とは違う属性のニーズをつかんでいることが分かったのだという。

外国籍ユーザーのブランド品ニーズに活路

「フリマアプリはF1層(20〜34歳の女性)のユーザーが多いのに対して、スマオクは地方在住の30〜40代女性のユーザーが多い。また同時に、(落札の)ベトナムや中国をはじめとした外国籍のユーザーの落札件数や金額も大きい」(原田氏)

原田氏は最近リアルで開催されているBtoB向けのオークションにも参加しているそうなのだが、そこでも東南アジアの業者がブランド品を次々と落札していると説明する。「円安の影響もあるが、『checked in Japan(日本で本物かどうかチェックされている)』のブランド品ニーズは非常に高い。日本ほど(ブランド中古品の)マーケットができていて、綺麗な商品があるところはない」(原田氏)

こういった背景もあって、今後は海外、特に「日本発アジア圏」の越境CtoCのサービスを展開していくという。ザワットはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのインキュベーションプログラムにも採択されていることもあり、そのネットワークを利用するほか、海外パートナーを募ることも検討している。

現在は試験的に中国のオークション・ECサイト「タオバオ」などで商品を販売しているそうだが、今後はスマオクのプラットフォームを海外展開していく予定。半年後には海外のビジネスの比率を50%程度まで引き上げたいとしている。

ロコンドがアルペンと資本業務提携、10億円の資金調達と同時にスポーツアイテムのECを開始

ロコンド代表取締役の田中氏()

ロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏(左)とアルペン執行役員の白鳥明氏(右)

ロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏(左)とアルペン執行役員の白鳥明氏(右)

靴を中心にアパレルやコスメを取り扱うECサイト「ロコンド」。運営のロコンドが5月28日、アルペンとの資本業務提携を実施した。

これにともないロコンドはアルペンを引受先とした第三者割当増資を実施し、10億円を調達した。出資比率は非公開だが、20%以下のマイナー出資となっている。同社はこれまで、Rocket Internetをはじめ、みずほキャピタル、ネオステラ・キャピタル、エキサイト、リード・キャピタル・マネージメント、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ジャフコから合計35億円の資金を調達している。ロコンドでは、今回調達した資金で商材の調達や人材確保、システム開発、倉庫の拡大、プロモーションなどをすすめる。

あわせて、ロコンド内にスポーツファッションECサイト「LOCOSPO(ロコスポ)powered by Alpen Group」を立ち上げると同時に、ロコンドがアルペンの自社ECサイトの開発・運営を行う。

ローンチ時の体質を改善し、今期黒字へ

2011年2月に“日本版Zappos”をうたってサービスを華々しくスタートさせた靴のECサイト「ロコンド」。商品の当日無料配送、商品を自宅で試したあとでもOKな返品対応、電話・メールで相談を受け付けるコンシェルジュサービスなど、ユーザー目線のサービスを提供し、また同時にテレビCMも積極的に放映。Grouponなどへの出資でも知られるドイツのベンチャーキャピタルであるRocket Internetが出資し、「ECサイトの垂直立ち上げ」をうたっていた。

だが2012年2月期の決算は—東日本大震災の影響や、商材確保で苦戦したとも聞いたことがあるが—売上高約12億円、純損失約15億円。厳しい船出となった。

「売上は12億円(2012年2月期)から30億円、50億円と成長し、2015年2月期には75億円となった。今期には黒字化も見えるところまできた」——ロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏はこう語る。

サービス開始当初は商品を自社で商品を確保し、定価で販売。さらに倉庫もアウトソーシングしていたが、体制を刷新。インポート商品を除いて消化仕入れ(委託)のモデルに変更し、倉庫のオペレーションも自社で行うなど、体質改善に取り組んできた。

「我々の最初の失敗は初年度で資金を突っ込みすぎたところ。(業績について)メディアで取り上げられることもあったが、徐々に体制を見直してきた。だが一方で、送料・返品無料やコンシェルジュ、即日配送というサービスについては最初から変えずにやってきた」(田中氏)

そんなロコンドだが、現在は靴を含めた「SBICS(Shoes:1.4兆円市場、Bag:1兆円市場、Inner:9000億円市場、Cosme:2.3兆円市場、Sport1.4兆円市場)」の7兆円市場に進出することを目指しているのだという。すでにアパレルでは海外ブランドと提携。さらにサマンサタバサのサイト運用支援でバッグの販売を開始しており、4月にはコスメの販売も始まった(試供品付きで、試供品が合わなければ返品無料なんだそう)。そして今回のアルペンとの提携でスポーツ領域の強化を進めることになる。

「ガチのスポーツ用品」しか売れなかったアルペン

アルペン執行役員でデジタル推進本部副部長 兼 戦略企画室長の白鳥明氏に聞いたところ、同社で課題だったのは「デジタル戦略」。ロコンドと組む前のアルペンのコーポレートサイトは、良く言えば古き良きWebデザイン、テック業界の言葉でいえばWeb 0.8ぐらいのデザインだった。ECも楽天市場などに出展する程度。「『ガチスポーツ』の商品では強みがあるが、ファッションやアパレル、スニーカーというものが売れなかった」(白鳥氏)

それを示す面白い例が、ファッション性の高いスニーカーの売れ方だ。最近人気のNewBalanceのスニーカーなどは、型番次第でファッション系のECサイトでは定価でもすぐに売り切れてしまう。だがそんな商品でもアルペンでは4割引でも商品が売れ残っていたのだそう。それを試しにロコンドで販売したところ定価で完売したそうだ。そんな背景もあり、ロコンドと組み、ファッションという切り口でECを展開することに活路を見出したというわけだ。またアルペン社内では3月にデシタル部門を再編している。

LOCOSPOとアルペンの自社ECサイトでは在庫を共有しており、サイトローンチ時には約1万点の商品をラインアップする。将来的には20万点まで拡大を見込む。

物流アウトソーシングのオープンロジが海外発送に対応、手続きは国内発送同様の手軽さで

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物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。

3月に資金調達を発表した際にも、月次売上400%増という数字を聞いたりもしたのだけれど(といっても母数は非公開で、規模もまだこれからだとは思うが)、早速次の一手を打ってきた。同社は4月20日より、EMS(国際スピード郵便)を利用した海外発送に対応する。

オープンロジは、中小および個人EC事業者向けの物流アウトソーシングサービス。ECで取り扱う商品をオープンロジのサイト上で登録し、同社が提携する物流会社の倉庫に送付すれば、倉庫にて商品サイズや重量を計測した上で入庫。オンラインでの入出庫管理が可能になる。出庫時には倉庫のスタッフが梱包の上、配送までを行う。

今回の海外発送対応も、EC事業者はあらかじめ商品を登録・入庫した上で、オンラインで出庫処理をするだけ。もちろん出庫処理の際、国名や住所などの入力は必要になるが。ちなみに国ごとに禁制品(輸出入を禁止している商品)があるが、管理画面で国を選択した際に確認できるようになっているそうだ。料金はEMSの料金に準じるが、1個口500円の作業料が加算される。複数商品を同梱する場合はさらに追加料金がかかる。配送可能な国は120カ国(こちらもEMSに準じる)。

「EMSを利用する場合、インボイス(伝票)を3枚、4枚と英文で書き、強度を考えた梱包をした上で郵便局に商品を持ち込んだり、集荷をしたりする必要があった。だがオープンロジではそういう手間がなくなるので、海外発送のハードルが下がると思う」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。

海外発送に加えて、オープンロジではAPI公開を進めている。すでに一部EC事業者に限定してAPIを公開しており、今後その範囲を拡大していくという。

「検索と商品だけ並べたモールはやらない」BASEがEC連動のブログポータル「BASE Mag.」を公開

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誰でも手軽にネットショップを開設できるサービス「BASE」を提供するBASE。同社は3月にリリースしたショップ向けのブログサービスをEC連動ブログポータル(BASEでは「ネットショップモール」と銘打っている)「BASE Mag.」を公開した。

BASEでは、「ショップロゴ作成機能」「商品撮影サービス」「納品書ダウンロード機能」など約30種類の拡張機能を「BASE Apps」という名称で提供している。3月にはショップ向けのブログを開設できる「ブログApps」も追加した。BASEのユーザー(店舗数)は現在約15万店舗。このうち数千店舗がすでにブログで商品の紹介などのエントリーを書いており、「3、4分に1回は投稿がある状態(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)なのだそう。

今回提供するBASE Mag.は、これらのブログからBASEが選んだエントリーを紹介していくブログポータルだ。エントリーには商品ページへの導線も設けるほか、カテゴリでの検索も可能だという。

僕は創業当時からBASEを取材しているのだが、代表取締役の鶴岡裕太氏にほぼ毎回する質問が「BASEはネットショップのモールを作らないのか」というものだった。毎回「作らない」と答えていた鶴岡氏だが、BASE Mag.について「2年考えて……やっぱり、検索と商品だけ並べたこれまでのようなモールは、BASEのように小さなショップにとっては正解じゃないなと思った。 基本的にBASEは『販売者=生産者』。ブランディングとか情報の発信から支援しないといけない」と語った。

メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。


Amazon、美術品などに「希望価格提示」機能を導入―買い手は売り手と値切り交渉ができる

Amazonはクリスマス商戦に向けて意欲的に新しい試みを始めている。その一つが、eBayやPricelineにあるようなダッチ・オークション機能だ。ユーザーは興味のある商品についてMake an Offer〔希望価格提示〕ボタンを押して、Amazonのリスト価格より低い価格を提示することができる。

Amazonはこの機能を当初、15万件のアイテムに限定して提供する。対象は美術品、スポーツやエンターテインメン分野のコレクター向けアイテムだ。ただし「2015年にはさらに何十万件ものアイテムが追加される」という。

この新機能は間違いなくeBayなどの個人間売買サイトからビジネスを奪うことを目的としている。固定価格ではなく、買い手の反応を見て価格を決められる柔軟なシステムであれば、一品物のアイテムを売ろうとする新たな売り手をAmazonのマーケットプレイスの取り込むことが可能になる。

AmazonのAmazon Marketplace担当のPeter Faricy副社長は次のように説明する。

新しい「希望価格提示」機能は、一品物のアイテムをできるだけ安く買おうとしているユーザーにとってまったく新しい体験を提供する。そうしたアイテムの売り手にとっては潜在的な顧客と直接取引し、妥当な価格を見出す道が開ける。かつて店舗や画廊で行われていた値決め交渉がそっくりオンラインで再現できる。最近のわれわれの調査によれば、「興味を示した買い手と価格交渉ができる機能があればさらに売上を伸ばせる」と売り手の半数が考えていることが判明した。逆に買い手も「希望価格提示」ボタンによって、もっとも安い値段でアイテムを購入することができる。

これはAmazonが2013年からマーケットプレイスで美術品などの一品物の扱いを始めたことの延長線上にある。画廊やアンティークショップは常に顧客と相対で交渉し値決めをするというビジネスモデルだ。

この機能を利用しているアイテムの例が面白い。少し検索するとピカソの木版画が見つかった(上の写真)。当初価格は12万5000ドルだったが、すぐに10万ドルに値下げされ、さらに「希望価格提示」を待っている。

その他「希望価格提示」システムを利用しているアイテムには、Tony Romoのサイン入りフットボールヘルメットなどがある。しかしAmazonはこのモデルを一品物以外にも拡大していきたい考えのようだ。

ただしAmazonは「これは一般的なオークションではない」とはっきり述べている。つまり買い手が他の買い手の値段を知り、直接価格を競うようにはなっていない。

「すべての交渉は売り手と買い手の間で1対1でプライベートに行われる。売り手はいつでも買い手の提示した価格を承認することができる。このシステムは買い手が値切り交渉ができることを目的としており、買い手はいかなる場合でも当初のリスト価格以上を払うことはない」とAmazonは説明している。

希望価格提示(Make an Offer)機能を利用したい売り手はリスト価格を決定する際にこのオプションを選べる。興味を示した相手が希望価格を提示してきた場合、売り手は承認、拒否、新価格の逆提示を行える。双方が合意したときに限り、買い手はその合意した価格でアイテムをカートに追加できる。

最近のAmazonの新たな試みとしては、良質な日用品を提供するAmazon Elements、レストランへのテイクアウト予約と宅配バイク・メッセンジャーによる宅配実験などがある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


数百万ストア開設の第一歩に–STORES.jpがフォロワー機能を導入

先週アドオン機能の提供で大企業や中堅企業向けにサービスを拡大すると発表したばかりのオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。ショップオーナーの拡大施策の次は、そのショップのユーザー拡大のための施策を実施する。同社は9月17日、STORES.jpにフォロー機能を導入した。

この機能は、Twitterや各種SNSにある「フォロー」と同様に、STORES.jpのオンラインストア同士でフォローしたり、STORES.jpのIDを持つユーザーがお気に入りのストアをフォローしたりすることができるというもの。フォローしたストアの更新情報はタイムライン形式で閲覧できるため、お気に入りのストアの新着商品などを時系列に閲覧することができるようになる。利用にはSTORES.jpのIDが必要となる。なお、IDを作ると、自動的にストアが開設できる状態になる。

ブラケット代表取締役の光本勇介氏

STORES.jpは、どうしてECなのにフォロー機能を導入したのか? ブラケット代表取締役の光本勇介氏は、これが「STORES.jpのストア数を大きくジャンプさせるための施策になる」と説明する。

1人1アカウントの世界を目指す

光本氏はSTORES.jpを開始した頃から、「FacebookやTwitterのように、STORES.jpのストアのアカウントを1人1つずつ持つようにしたい」ということを語っていたのを覚えている。

現在STORES.jpのストア数は12万件。確かに数字的にはすごいのだけれど、当初語っていた1人1アカウントの世界はまだ遠い。そこで、まずはフォロー機能でお気に入りのストアの更新情報を閲覧できるといった利便性を提供することで、ID(STORES.jpはIDがあればいつでもストアをオープンできる)やトラフィックを増やし、最終的にストアの拡大を狙うという。

IDを利用するメリットは何もフォロー機能に限った話ではない。ユーザーがSTORES.jpで作られたストアで商品を購入する際、IDを持っていなければ買い物の都度配送先の住所や氏名を入力する必要があったのだが、IDと紐付けて保存すれば、一度入力した配送先情報をすべてのストアで自動入力できるようになる。

最近ではSTORES.jp同様にオンラインストア構築サービス「BASE」を展開しているBASE代表取締役の鶴岡裕太氏が、国内のストア数を30〜40万店舗、海外あわせて100万店舗といった具体的な数字の目標を各種イベントやインタビューで語っている。光本氏はこういった数字を意識しているようで、「(フォロー機能の導入は)40万店舗を市場の天井にするか、何百万店舗にするかの勝負の始まり。まずはSTORES.jpのカルチャーを作らないといけない」と語った。


STORES.jpが高機能をアドオン形式で提供開始–大企業・中堅企業向け市場をねらう

ブラケットが提供するオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。これまで利用の手軽さを武器に、個人や小規模企業を中心にサービスを展開してきた同サービスだが、今後は機能を強化し、大企業や中堅企業での利用をねらう。9月10日には月額980円のプレミアムユーザー(有料会員)向けに「アドオン機能」の提供を開始した。

STORES.jpは、「新規登録から開業までに要する時間は最短2分で、世界でひとつだけのオンラインストアをオープンできる」とうたっているとおり、簡単さを1つのウリにしたサービスだった。サービス開始から2年経った現在、ストアの数は12万店舗以上となっているほか、流通額(実際に決済されている金額)は非公開ながらリリース当初の100倍以上、ページビューやユニークユーザー数は20倍以上になっているという。

競合サービスのBASEとともに、ECの裾野を広げつつあるSTORES.jp。だが、15.9兆円(MM総研調べ。2013年4月〜2014年3月、BtoCとCtoCの合算)ともいわれる国内ネット通販市場の多くを占めるのは大企業や中堅企業によるBtoCの取引だ。そこで同社はその市場をターゲットとすべく、これまでより高度な機能を開発してきたのだという。

大企業向けのネットショップ構築といえば、GMOメイクショップやEストアーの提供するサービスが代表的。たとえばGMOメイクショップの「MakeShop」は、2013年の年間総流通額が1108億円と大きい規模を持っていることが分かる。

アドオン機能では、ダウンロード販売や送料の詳細設定から、年齢制限やギフトフォーム、再入荷のお知らせといった機能を提供するほか、直近にはトップページの作成(これまでSTORES.jpでは、トップページが商品一覧ページになっていた)、HTMLの編集といった機能も導入する予定だ。ちなみにSTORES.jpのプレミアムユーザーの数は非公開だったが、「一般的なフリーミアムモデルでの課金ユーザーの割合より多いと思う」(ブラケット代表取締役の光本勇介氏)とのこと。

ブラケットではこの機能の導入に先駆けて、ZOZOTOWNの出展企業に限定してブランドオリジナルのネットショップを構築できる「STORES.jp PRO」を提供しており、そこで年商数億円から数十億円規模の企業を相手に、大規模ネットショップのノウハウを蓄積していたという。光本氏は5月に「夏にも予想できない新機能を提供する」と語ってくれていたが、これがその第1弾となる。直近にもまた新たな取り組みを発表する予定だそうだ。


ECサイトの接客ツールを開発するプレイド、フェムトから1.5億円を調達

ECサイトの「集客」と聞くと、SEOに広告にメルマガに…といくつも思いつくかも知れないが、その集客したユーザーの「接客」を実現しようとしているスタートアップがプレイドだ。同社は7月2日、フェムト・グロースキャピタルなどを割当先とする第三者割当増資を実施して、1億5000万円を調達したと発表した。あわせて、フェムト・グロースキャピタルのゼネラルパートナーである磯崎哲也氏が社外取締役に就任した。

プレイドが開発を進める「KARTE(カルテ)」は、サイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むことで、訪問者の特徴や行動をリアルタイムに追跡できるサービス。

例えばGoogleアナリティクスのリアルタイムレポート機能では、サイトの来訪者について、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)といった数字までは分かるのだが、ECサイトとして必要な属性が取れるわけではない。KARTEでは、そのユーザー1人1人に対してIDを振り、会員か非会員か、これまでの購入額はいくらか、コンバージョンはどれくらいか、どんなカテゴリを見るのか、といった属性までをリアルタイムに解析できる。ただし、会員情報と紐付ける場合は、別途カスタマイズが必要になる。

さらに、あらかじめ設定したユーザー属性やユーザーの行動にあわせて、即座に広告を表示したり、割引のオファーをしたりといった、まさに「接客」のような施策を自動で行える。「サイト上に商品をどのように掲載するか、広告やパーツをどう変えるだけでもコンバージョンは変わる。でも従来のシステムでそういった施策をするのは、長ければ数カ月の作業になる。KARTEではそんな施策をすぐに実現できる」(プレイド代表取締役の倉橋健太氏)。現在はクローズドベータ版として一部のサイトに限定してサービスを提供しているが、コンバージョンが3倍になったサイトもあるそうだ。

ところでサイトのコンバージョン改善と聞くと、いわゆる「グロースハック」を思い浮かべるのだけれども、倉橋氏は、「グロースハックはサイトの全体最適の施策だが、KARTEで実現するのは(ユーザー個人個人に対する)個別最適のための施策」と説明する。

実際にデモも見たし、機能もすばらしいと思ったのだけど、気になったのは使いこなすのにはそれなりに高いリテラシーが求められそうなことだ。これについてはもちろんプレイドでも意識しているそうで、現在業種にあわせて施策をテンプレート化しているほか、正式リリース時には機能を限定して提供するといったことも考えているそうだ。正式リリースは10月頃を目指しているとのこと。

ちなみに倉橋氏は楽天で楽天市場の事業に携わっていた人物。2011年にプレイドを設立し、当初は「foodstoQ」というグルメアプリを手がけていたがピボット。KARTEの開発に着手した。プレイドでは現在、EC関連の情報を提供するブログメディア「Shopping Tribe」も運営している。


「マネタイズは来年以降に」–BASEがグローバル・ブレインから3億円調達、元ペパボ福岡支社長も参画

「当初は今夏にもマネタイズを始める予定だったが、2014年中は考えないことにした。市場自体がまだまだ大きくなる」——ネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE代表取締役社の鶴岡裕太氏はこう語る。同社は5月15日、グローバル・ブレインから約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

「30 秒でネットショップを作ることができる」をうたうBASEだが、出店店舗数は楽天超えの(楽天は約4万2000店舗。もちろん性質も異なり単純比較はできないが)8万店舗を達成。月間の流通総額は非公開ながら、「すでに億単位にはなっている」(鶴岡氏)とのことだ。直近では大型のクライアントも出店をはじめたほか、百貨店とのリアルイベントを開催するなどしている。

しかし一方でマネタイズはほとんど進めていない。もちろん決済会社の手数料はユーザーから取得するものの、同社としてのサービス利用料などは取っておらず、オプションサービス群を提供する「BASE Apps」でもほぼ収益を出さずにサービスを提供している状況だという(余談だが、ブラケットの「Stores.jp」は、オプションサービスでも利益を出していると聞いている。世間で競合とは言われているが、ビジネスモデルは違うようだ)。

そのためBASEでは、当初2014年夏にも各種手数料やオプション、業種特化型のテンプレート販売などで収益化を検討していたとのこと。しかし今回の調達を決定して、この予定を2015年以降にずらした。2014年はサービス拡大のために注力するという。「マーケットにはいろんなプレーヤーががいるが、BASEを含めてみんな成長している状況」(鶴岡氏)。今後はBASE の開発やサポート人材の拡充、PRの強化のほか、多国語対応を進めて海外進出も視野に入れる。今回の増資に伴ってグローバル・ブレインの深山和彦氏が社外取締役に就任する。

またBASEでは、元GMO ペパボ取締役で福岡支社長の進浩人氏をCOO に迎える予定。鶴岡氏によると、進氏はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」やハンドメイド作品のCtoCプラットフォーム「ミンネ」など、GMO ペパボのEC関連事業の立ち上げを手がけてきた人物とのこと。


Instagramの「タグ」を利用にしたフリマサービスを米国で展開する10sec、藤田ファンドから1.6億円を調達

サイバーエージェントが3月に開催した「スタートアップ版あした会議」。これは、サイバーエージェント内で開催されているビジネスプランコンテストである「あした会議」のスタートアップ版となる。

書類と面接による事前審査を通過した創業2年以内のスタートアップに対して、サイバーエージェントの経営陣や子会社の経営者がアドバイザーとなり、2日間でサービスのブラッシュアップに取り組むというものだ。優秀プランには最大3億円の投資がなされるとされていたが、最終的に5社が投資検討の対象となり、うち2社への投資が発表されている。

1社目はファッションECアプリ「melo」運営のGorooに

まず1社目は、スマホアプリ「melo」を5月2日に公開したGorooだ。同社はサイバーエージェントから2000万円の資金を調達したことを4月25日に発表している。

Gorooの手がけるmeloは、大手通販サイトからネット展開のみの小規模ブランドまで、200以上のウェブサイトに掲載されている商品を横断して閲覧したり、お気に入りの商品を投稿したりできるというもの。興味を持った商品は、直接当該サイトにアクセスして購入することができる。10代から20代の女性にターゲットを絞ってサービスを提供する。

Goroo代表取締役の花房弘也氏は、「ネットで服を買うのが楽しくないのは『チャネルが限られている』という理由から。BASEやStore.jpのようなプラットフォームが登場し、個人で運営するような規模のファッションサイトは今後増えると思うが、そういったサイトが食っていけるような世界を作りたい」とサービスへの思いを語る。今後は各ECサイトへの送客トラフィックを拡大し、ツール提供などでのマネタイズを検討する。

10secは「Instagram」をプラットフォームにコマースを展開

そして5月8日、スタートアップ版あした会議発のスタートアップとして2社目の投資先として発表されたのが、10sec(旧Instamall)だ。同社はサイバーエージェントから1億6000万円の資金を調達した。ちなみに、今回の出資はサイバーエージェント代表取締役である藤田晋氏の名を冠した投資案件を指す「藤田ファンド」としての出資になるそうだ。実は藤田ファンドというのは、サイバーエージェント投資事業本部の投資案件の中でも、グロースステージのスタートアップへの大規模な投資に限定されているそうだ。これまでの実績で言えば、BASEやクラウドワークス、スマートエデュケーションなどへの投資がそれにあたる。

話を戻そう。10secの手がける「10sec」(現在米国からのみ利用可能)は、画像共有サービスの「Instagram」を利用してCtoCコマースを実現するプラットフォームだ。ユーザー登録をすれば、「#10sec」というハッシュタグを付与してInstagramに投稿した写真の商品を10sec上に出品して販売できる。投稿時に「○○$」とコメントを入力していれば、それがそのまま商品の販売価格として表示される。商品の購入には、出品者の指定の金額で購入する「Buy」と、値引きの交渉をして出品者がそれを受け入れた場合に購入できる「Offer」の2つの手段を用意する。出品者が価格を設定せずに出品した場合は、「Best Offer」と呼ぶ入札制度も導入する。サービスは現在手数料無料で提供しているが、将来的には出品者から10%の手数料を徴収する予定だそうだ。

安全な取引に向けて、エスクローサービスも導入。購入者が決済(stripeを採用)をしたのち、出品者が商品を送付し、出品者が受け取り完了の処理をする、もしくは送付から10日が経過した時点ではじめて出品者に入金がなされる仕組み。物流などは現在出品者に手段をゆだねるが、今後は自社、もしくはパートナーとともに提供する考えもあるという。

10secは、インキュベイトファンドが主催するインキュベーションプログラム「インキュベイトキャンプ 5th」の卒業生。インキュベイトファンド代表パートナーの赤浦徹氏を通じて、同社から合計2300万円の出資を受け、米国に限定して2013年11月よりほぼノンプロモーションでサービスを提供してきた。10sec「1年半ほど前から、Instagramで『#forsale』『#buy』といったハッシュタグを使ってフリマアプリのように商品を販売しているユーザーが居るのに気付いた。だがInstagramで写真を撮って出品しても、売買をサポートするツールもなかった」——代表取締役CEOの正田英之氏はサービス提供のきっかけについてこう語る。僕も確認したが、#forsaleタグがついた写真は270万件以上も存在している。

10secでは、今回調達した資金をもとにマーケティングと人材採用を進める。すでに設立済みの米国子会社にマーケティング担当者を置くほか、サービスを開発する日本法人のエンジニア採用を進める。また、5月にはiOSアプリをクローズドベータ版として公開。6月から7月頃の正式リリースを目指すという。同社では当面米国でサービスを提供するとのことで、日本でのサービス展開については「すでにメルカリやLINE MALLもいるレッドオーシャン、そのまま勝負をすることはない」(正田氏)とのことだ。

ところで、サイバーエージェントとしては、日本でサービスを展開せず米国でのみサービスを展開するスタートアップに投資する意義はあるのだろうか? サイバーエージェント投資事業本部 本部長の宮崎聡氏は「どこで事業を展開するかは意識しておらず、グローバルでやった方が伸ばせる座組みなのであれば、そんな会社に出資する。資金を用意してアクセルを踏めばユーザーを取れるのであれば、そこに資金とノウハウを注入したい。また、米国であれば、我々が子会社設立の時にぶち当たった壁も理解しているのでアドバイスできるし、ネットワークもある」と、語ってくれた。

同社が将来的に考えるのは、Instagramだけではなく、さまざまなソーシャルメディアと連携したCtoCプラットフォームの構築だという。たとえばFacebookもPinterestもタグを付与して写真をアップロードできるので、これをすべて10secの出品のプラットフォームにする。また逆に、10secに出品した写真をさまざまなソーシャルメディアに掲載して、10secへの集客を図るというものだ。もしこの構想が実現すれば、全世界のソーシャルメディアユーザーが、CtoCの出品者、購入者たりえる世界がやってくることになる。もちろんそのためには、クロスボーダーでの物流や決済など、課題もたくさんあるのだけれども。

正田氏(左)と宮崎氏(右)