物流アウトソーシングのオープンロジが海外発送に対応、手続きは国内発送同様の手軽さで

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物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。

3月に資金調達を発表した際にも、月次売上400%増という数字を聞いたりもしたのだけれど(といっても母数は非公開で、規模もまだこれからだとは思うが)、早速次の一手を打ってきた。同社は4月20日より、EMS(国際スピード郵便)を利用した海外発送に対応する。

オープンロジは、中小および個人EC事業者向けの物流アウトソーシングサービス。ECで取り扱う商品をオープンロジのサイト上で登録し、同社が提携する物流会社の倉庫に送付すれば、倉庫にて商品サイズや重量を計測した上で入庫。オンラインでの入出庫管理が可能になる。出庫時には倉庫のスタッフが梱包の上、配送までを行う。

今回の海外発送対応も、EC事業者はあらかじめ商品を登録・入庫した上で、オンラインで出庫処理をするだけ。もちろん出庫処理の際、国名や住所などの入力は必要になるが。ちなみに国ごとに禁制品(輸出入を禁止している商品)があるが、管理画面で国を選択した際に確認できるようになっているそうだ。料金はEMSの料金に準じるが、1個口500円の作業料が加算される。複数商品を同梱する場合はさらに追加料金がかかる。配送可能な国は120カ国(こちらもEMSに準じる)。

「EMSを利用する場合、インボイス(伝票)を3枚、4枚と英文で書き、強度を考えた梱包をした上で郵便局に商品を持ち込んだり、集荷をしたりする必要があった。だがオープンロジではそういう手間がなくなるので、海外発送のハードルが下がると思う」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。

海外発送に加えて、オープンロジではAPI公開を進めている。すでに一部EC事業者に限定してAPIを公開しており、今後その範囲を拡大していくという。

「検索と商品だけ並べたモールはやらない」BASEがEC連動のブログポータル「BASE Mag.」を公開

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誰でも手軽にネットショップを開設できるサービス「BASE」を提供するBASE。同社は3月にリリースしたショップ向けのブログサービスをEC連動ブログポータル(BASEでは「ネットショップモール」と銘打っている)「BASE Mag.」を公開した。

BASEでは、「ショップロゴ作成機能」「商品撮影サービス」「納品書ダウンロード機能」など約30種類の拡張機能を「BASE Apps」という名称で提供している。3月にはショップ向けのブログを開設できる「ブログApps」も追加した。BASEのユーザー(店舗数)は現在約15万店舗。このうち数千店舗がすでにブログで商品の紹介などのエントリーを書いており、「3、4分に1回は投稿がある状態(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)なのだそう。

今回提供するBASE Mag.は、これらのブログからBASEが選んだエントリーを紹介していくブログポータルだ。エントリーには商品ページへの導線も設けるほか、カテゴリでの検索も可能だという。

僕は創業当時からBASEを取材しているのだが、代表取締役の鶴岡裕太氏にほぼ毎回する質問が「BASEはネットショップのモールを作らないのか」というものだった。毎回「作らない」と答えていた鶴岡氏だが、BASE Mag.について「2年考えて……やっぱり、検索と商品だけ並べたこれまでのようなモールは、BASEのように小さなショップにとっては正解じゃないなと思った。 基本的にBASEは『販売者=生産者』。ブランディングとか情報の発信から支援しないといけない」と語った。

メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。


Amazon、美術品などに「希望価格提示」機能を導入―買い手は売り手と値切り交渉ができる

Amazonはクリスマス商戦に向けて意欲的に新しい試みを始めている。その一つが、eBayやPricelineにあるようなダッチ・オークション機能だ。ユーザーは興味のある商品についてMake an Offer〔希望価格提示〕ボタンを押して、Amazonのリスト価格より低い価格を提示することができる。

Amazonはこの機能を当初、15万件のアイテムに限定して提供する。対象は美術品、スポーツやエンターテインメン分野のコレクター向けアイテムだ。ただし「2015年にはさらに何十万件ものアイテムが追加される」という。

この新機能は間違いなくeBayなどの個人間売買サイトからビジネスを奪うことを目的としている。固定価格ではなく、買い手の反応を見て価格を決められる柔軟なシステムであれば、一品物のアイテムを売ろうとする新たな売り手をAmazonのマーケットプレイスの取り込むことが可能になる。

AmazonのAmazon Marketplace担当のPeter Faricy副社長は次のように説明する。

新しい「希望価格提示」機能は、一品物のアイテムをできるだけ安く買おうとしているユーザーにとってまったく新しい体験を提供する。そうしたアイテムの売り手にとっては潜在的な顧客と直接取引し、妥当な価格を見出す道が開ける。かつて店舗や画廊で行われていた値決め交渉がそっくりオンラインで再現できる。最近のわれわれの調査によれば、「興味を示した買い手と価格交渉ができる機能があればさらに売上を伸ばせる」と売り手の半数が考えていることが判明した。逆に買い手も「希望価格提示」ボタンによって、もっとも安い値段でアイテムを購入することができる。

これはAmazonが2013年からマーケットプレイスで美術品などの一品物の扱いを始めたことの延長線上にある。画廊やアンティークショップは常に顧客と相対で交渉し値決めをするというビジネスモデルだ。

この機能を利用しているアイテムの例が面白い。少し検索するとピカソの木版画が見つかった(上の写真)。当初価格は12万5000ドルだったが、すぐに10万ドルに値下げされ、さらに「希望価格提示」を待っている。

その他「希望価格提示」システムを利用しているアイテムには、Tony Romoのサイン入りフットボールヘルメットなどがある。しかしAmazonはこのモデルを一品物以外にも拡大していきたい考えのようだ。

ただしAmazonは「これは一般的なオークションではない」とはっきり述べている。つまり買い手が他の買い手の値段を知り、直接価格を競うようにはなっていない。

「すべての交渉は売り手と買い手の間で1対1でプライベートに行われる。売り手はいつでも買い手の提示した価格を承認することができる。このシステムは買い手が値切り交渉ができることを目的としており、買い手はいかなる場合でも当初のリスト価格以上を払うことはない」とAmazonは説明している。

希望価格提示(Make an Offer)機能を利用したい売り手はリスト価格を決定する際にこのオプションを選べる。興味を示した相手が希望価格を提示してきた場合、売り手は承認、拒否、新価格の逆提示を行える。双方が合意したときに限り、買い手はその合意した価格でアイテムをカートに追加できる。

最近のAmazonの新たな試みとしては、良質な日用品を提供するAmazon Elements、レストランへのテイクアウト予約と宅配バイク・メッセンジャーによる宅配実験などがある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


数百万ストア開設の第一歩に–STORES.jpがフォロワー機能を導入

先週アドオン機能の提供で大企業や中堅企業向けにサービスを拡大すると発表したばかりのオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。ショップオーナーの拡大施策の次は、そのショップのユーザー拡大のための施策を実施する。同社は9月17日、STORES.jpにフォロー機能を導入した。

この機能は、Twitterや各種SNSにある「フォロー」と同様に、STORES.jpのオンラインストア同士でフォローしたり、STORES.jpのIDを持つユーザーがお気に入りのストアをフォローしたりすることができるというもの。フォローしたストアの更新情報はタイムライン形式で閲覧できるため、お気に入りのストアの新着商品などを時系列に閲覧することができるようになる。利用にはSTORES.jpのIDが必要となる。なお、IDを作ると、自動的にストアが開設できる状態になる。

ブラケット代表取締役の光本勇介氏

STORES.jpは、どうしてECなのにフォロー機能を導入したのか? ブラケット代表取締役の光本勇介氏は、これが「STORES.jpのストア数を大きくジャンプさせるための施策になる」と説明する。

1人1アカウントの世界を目指す

光本氏はSTORES.jpを開始した頃から、「FacebookやTwitterのように、STORES.jpのストアのアカウントを1人1つずつ持つようにしたい」ということを語っていたのを覚えている。

現在STORES.jpのストア数は12万件。確かに数字的にはすごいのだけれど、当初語っていた1人1アカウントの世界はまだ遠い。そこで、まずはフォロー機能でお気に入りのストアの更新情報を閲覧できるといった利便性を提供することで、ID(STORES.jpはIDがあればいつでもストアをオープンできる)やトラフィックを増やし、最終的にストアの拡大を狙うという。

IDを利用するメリットは何もフォロー機能に限った話ではない。ユーザーがSTORES.jpで作られたストアで商品を購入する際、IDを持っていなければ買い物の都度配送先の住所や氏名を入力する必要があったのだが、IDと紐付けて保存すれば、一度入力した配送先情報をすべてのストアで自動入力できるようになる。

最近ではSTORES.jp同様にオンラインストア構築サービス「BASE」を展開しているBASE代表取締役の鶴岡裕太氏が、国内のストア数を30〜40万店舗、海外あわせて100万店舗といった具体的な数字の目標を各種イベントやインタビューで語っている。光本氏はこういった数字を意識しているようで、「(フォロー機能の導入は)40万店舗を市場の天井にするか、何百万店舗にするかの勝負の始まり。まずはSTORES.jpのカルチャーを作らないといけない」と語った。


STORES.jpが高機能をアドオン形式で提供開始–大企業・中堅企業向け市場をねらう

ブラケットが提供するオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。これまで利用の手軽さを武器に、個人や小規模企業を中心にサービスを展開してきた同サービスだが、今後は機能を強化し、大企業や中堅企業での利用をねらう。9月10日には月額980円のプレミアムユーザー(有料会員)向けに「アドオン機能」の提供を開始した。

STORES.jpは、「新規登録から開業までに要する時間は最短2分で、世界でひとつだけのオンラインストアをオープンできる」とうたっているとおり、簡単さを1つのウリにしたサービスだった。サービス開始から2年経った現在、ストアの数は12万店舗以上となっているほか、流通額(実際に決済されている金額)は非公開ながらリリース当初の100倍以上、ページビューやユニークユーザー数は20倍以上になっているという。

競合サービスのBASEとともに、ECの裾野を広げつつあるSTORES.jp。だが、15.9兆円(MM総研調べ。2013年4月〜2014年3月、BtoCとCtoCの合算)ともいわれる国内ネット通販市場の多くを占めるのは大企業や中堅企業によるBtoCの取引だ。そこで同社はその市場をターゲットとすべく、これまでより高度な機能を開発してきたのだという。

大企業向けのネットショップ構築といえば、GMOメイクショップやEストアーの提供するサービスが代表的。たとえばGMOメイクショップの「MakeShop」は、2013年の年間総流通額が1108億円と大きい規模を持っていることが分かる。

アドオン機能では、ダウンロード販売や送料の詳細設定から、年齢制限やギフトフォーム、再入荷のお知らせといった機能を提供するほか、直近にはトップページの作成(これまでSTORES.jpでは、トップページが商品一覧ページになっていた)、HTMLの編集といった機能も導入する予定だ。ちなみにSTORES.jpのプレミアムユーザーの数は非公開だったが、「一般的なフリーミアムモデルでの課金ユーザーの割合より多いと思う」(ブラケット代表取締役の光本勇介氏)とのこと。

ブラケットではこの機能の導入に先駆けて、ZOZOTOWNの出展企業に限定してブランドオリジナルのネットショップを構築できる「STORES.jp PRO」を提供しており、そこで年商数億円から数十億円規模の企業を相手に、大規模ネットショップのノウハウを蓄積していたという。光本氏は5月に「夏にも予想できない新機能を提供する」と語ってくれていたが、これがその第1弾となる。直近にもまた新たな取り組みを発表する予定だそうだ。


ECサイトの接客ツールを開発するプレイド、フェムトから1.5億円を調達

ECサイトの「集客」と聞くと、SEOに広告にメルマガに…といくつも思いつくかも知れないが、その集客したユーザーの「接客」を実現しようとしているスタートアップがプレイドだ。同社は7月2日、フェムト・グロースキャピタルなどを割当先とする第三者割当増資を実施して、1億5000万円を調達したと発表した。あわせて、フェムト・グロースキャピタルのゼネラルパートナーである磯崎哲也氏が社外取締役に就任した。

プレイドが開発を進める「KARTE(カルテ)」は、サイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むことで、訪問者の特徴や行動をリアルタイムに追跡できるサービス。

例えばGoogleアナリティクスのリアルタイムレポート機能では、サイトの来訪者について、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)といった数字までは分かるのだが、ECサイトとして必要な属性が取れるわけではない。KARTEでは、そのユーザー1人1人に対してIDを振り、会員か非会員か、これまでの購入額はいくらか、コンバージョンはどれくらいか、どんなカテゴリを見るのか、といった属性までをリアルタイムに解析できる。ただし、会員情報と紐付ける場合は、別途カスタマイズが必要になる。

さらに、あらかじめ設定したユーザー属性やユーザーの行動にあわせて、即座に広告を表示したり、割引のオファーをしたりといった、まさに「接客」のような施策を自動で行える。「サイト上に商品をどのように掲載するか、広告やパーツをどう変えるだけでもコンバージョンは変わる。でも従来のシステムでそういった施策をするのは、長ければ数カ月の作業になる。KARTEではそんな施策をすぐに実現できる」(プレイド代表取締役の倉橋健太氏)。現在はクローズドベータ版として一部のサイトに限定してサービスを提供しているが、コンバージョンが3倍になったサイトもあるそうだ。

ところでサイトのコンバージョン改善と聞くと、いわゆる「グロースハック」を思い浮かべるのだけれども、倉橋氏は、「グロースハックはサイトの全体最適の施策だが、KARTEで実現するのは(ユーザー個人個人に対する)個別最適のための施策」と説明する。

実際にデモも見たし、機能もすばらしいと思ったのだけど、気になったのは使いこなすのにはそれなりに高いリテラシーが求められそうなことだ。これについてはもちろんプレイドでも意識しているそうで、現在業種にあわせて施策をテンプレート化しているほか、正式リリース時には機能を限定して提供するといったことも考えているそうだ。正式リリースは10月頃を目指しているとのこと。

ちなみに倉橋氏は楽天で楽天市場の事業に携わっていた人物。2011年にプレイドを設立し、当初は「foodstoQ」というグルメアプリを手がけていたがピボット。KARTEの開発に着手した。プレイドでは現在、EC関連の情報を提供するブログメディア「Shopping Tribe」も運営している。


「マネタイズは来年以降に」–BASEがグローバル・ブレインから3億円調達、元ペパボ福岡支社長も参画

「当初は今夏にもマネタイズを始める予定だったが、2014年中は考えないことにした。市場自体がまだまだ大きくなる」——ネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE代表取締役社の鶴岡裕太氏はこう語る。同社は5月15日、グローバル・ブレインから約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

「30 秒でネットショップを作ることができる」をうたうBASEだが、出店店舗数は楽天超えの(楽天は約4万2000店舗。もちろん性質も異なり単純比較はできないが)8万店舗を達成。月間の流通総額は非公開ながら、「すでに億単位にはなっている」(鶴岡氏)とのことだ。直近では大型のクライアントも出店をはじめたほか、百貨店とのリアルイベントを開催するなどしている。

しかし一方でマネタイズはほとんど進めていない。もちろん決済会社の手数料はユーザーから取得するものの、同社としてのサービス利用料などは取っておらず、オプションサービス群を提供する「BASE Apps」でもほぼ収益を出さずにサービスを提供している状況だという(余談だが、ブラケットの「Stores.jp」は、オプションサービスでも利益を出していると聞いている。世間で競合とは言われているが、ビジネスモデルは違うようだ)。

そのためBASEでは、当初2014年夏にも各種手数料やオプション、業種特化型のテンプレート販売などで収益化を検討していたとのこと。しかし今回の調達を決定して、この予定を2015年以降にずらした。2014年はサービス拡大のために注力するという。「マーケットにはいろんなプレーヤーががいるが、BASEを含めてみんな成長している状況」(鶴岡氏)。今後はBASE の開発やサポート人材の拡充、PRの強化のほか、多国語対応を進めて海外進出も視野に入れる。今回の増資に伴ってグローバル・ブレインの深山和彦氏が社外取締役に就任する。

またBASEでは、元GMO ペパボ取締役で福岡支社長の進浩人氏をCOO に迎える予定。鶴岡氏によると、進氏はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」やハンドメイド作品のCtoCプラットフォーム「ミンネ」など、GMO ペパボのEC関連事業の立ち上げを手がけてきた人物とのこと。


Instagramの「タグ」を利用にしたフリマサービスを米国で展開する10sec、藤田ファンドから1.6億円を調達

サイバーエージェントが3月に開催した「スタートアップ版あした会議」。これは、サイバーエージェント内で開催されているビジネスプランコンテストである「あした会議」のスタートアップ版となる。

書類と面接による事前審査を通過した創業2年以内のスタートアップに対して、サイバーエージェントの経営陣や子会社の経営者がアドバイザーとなり、2日間でサービスのブラッシュアップに取り組むというものだ。優秀プランには最大3億円の投資がなされるとされていたが、最終的に5社が投資検討の対象となり、うち2社への投資が発表されている。

1社目はファッションECアプリ「melo」運営のGorooに

まず1社目は、スマホアプリ「melo」を5月2日に公開したGorooだ。同社はサイバーエージェントから2000万円の資金を調達したことを4月25日に発表している。

Gorooの手がけるmeloは、大手通販サイトからネット展開のみの小規模ブランドまで、200以上のウェブサイトに掲載されている商品を横断して閲覧したり、お気に入りの商品を投稿したりできるというもの。興味を持った商品は、直接当該サイトにアクセスして購入することができる。10代から20代の女性にターゲットを絞ってサービスを提供する。

Goroo代表取締役の花房弘也氏は、「ネットで服を買うのが楽しくないのは『チャネルが限られている』という理由から。BASEやStore.jpのようなプラットフォームが登場し、個人で運営するような規模のファッションサイトは今後増えると思うが、そういったサイトが食っていけるような世界を作りたい」とサービスへの思いを語る。今後は各ECサイトへの送客トラフィックを拡大し、ツール提供などでのマネタイズを検討する。

10secは「Instagram」をプラットフォームにコマースを展開

そして5月8日、スタートアップ版あした会議発のスタートアップとして2社目の投資先として発表されたのが、10sec(旧Instamall)だ。同社はサイバーエージェントから1億6000万円の資金を調達した。ちなみに、今回の出資はサイバーエージェント代表取締役である藤田晋氏の名を冠した投資案件を指す「藤田ファンド」としての出資になるそうだ。実は藤田ファンドというのは、サイバーエージェント投資事業本部の投資案件の中でも、グロースステージのスタートアップへの大規模な投資に限定されているそうだ。これまでの実績で言えば、BASEやクラウドワークス、スマートエデュケーションなどへの投資がそれにあたる。

話を戻そう。10secの手がける「10sec」(現在米国からのみ利用可能)は、画像共有サービスの「Instagram」を利用してCtoCコマースを実現するプラットフォームだ。ユーザー登録をすれば、「#10sec」というハッシュタグを付与してInstagramに投稿した写真の商品を10sec上に出品して販売できる。投稿時に「○○$」とコメントを入力していれば、それがそのまま商品の販売価格として表示される。商品の購入には、出品者の指定の金額で購入する「Buy」と、値引きの交渉をして出品者がそれを受け入れた場合に購入できる「Offer」の2つの手段を用意する。出品者が価格を設定せずに出品した場合は、「Best Offer」と呼ぶ入札制度も導入する。サービスは現在手数料無料で提供しているが、将来的には出品者から10%の手数料を徴収する予定だそうだ。

安全な取引に向けて、エスクローサービスも導入。購入者が決済(stripeを採用)をしたのち、出品者が商品を送付し、出品者が受け取り完了の処理をする、もしくは送付から10日が経過した時点ではじめて出品者に入金がなされる仕組み。物流などは現在出品者に手段をゆだねるが、今後は自社、もしくはパートナーとともに提供する考えもあるという。

10secは、インキュベイトファンドが主催するインキュベーションプログラム「インキュベイトキャンプ 5th」の卒業生。インキュベイトファンド代表パートナーの赤浦徹氏を通じて、同社から合計2300万円の出資を受け、米国に限定して2013年11月よりほぼノンプロモーションでサービスを提供してきた。10sec「1年半ほど前から、Instagramで『#forsale』『#buy』といったハッシュタグを使ってフリマアプリのように商品を販売しているユーザーが居るのに気付いた。だがInstagramで写真を撮って出品しても、売買をサポートするツールもなかった」——代表取締役CEOの正田英之氏はサービス提供のきっかけについてこう語る。僕も確認したが、#forsaleタグがついた写真は270万件以上も存在している。

10secでは、今回調達した資金をもとにマーケティングと人材採用を進める。すでに設立済みの米国子会社にマーケティング担当者を置くほか、サービスを開発する日本法人のエンジニア採用を進める。また、5月にはiOSアプリをクローズドベータ版として公開。6月から7月頃の正式リリースを目指すという。同社では当面米国でサービスを提供するとのことで、日本でのサービス展開については「すでにメルカリやLINE MALLもいるレッドオーシャン、そのまま勝負をすることはない」(正田氏)とのことだ。

ところで、サイバーエージェントとしては、日本でサービスを展開せず米国でのみサービスを展開するスタートアップに投資する意義はあるのだろうか? サイバーエージェント投資事業本部 本部長の宮崎聡氏は「どこで事業を展開するかは意識しておらず、グローバルでやった方が伸ばせる座組みなのであれば、そんな会社に出資する。資金を用意してアクセルを踏めばユーザーを取れるのであれば、そこに資金とノウハウを注入したい。また、米国であれば、我々が子会社設立の時にぶち当たった壁も理解しているのでアドバイスできるし、ネットワークもある」と、語ってくれた。

同社が将来的に考えるのは、Instagramだけではなく、さまざまなソーシャルメディアと連携したCtoCプラットフォームの構築だという。たとえばFacebookもPinterestもタグを付与して写真をアップロードできるので、これをすべて10secの出品のプラットフォームにする。また逆に、10secに出品した写真をさまざまなソーシャルメディアに掲載して、10secへの集客を図るというものだ。もしこの構想が実現すれば、全世界のソーシャルメディアユーザーが、CtoCの出品者、購入者たりえる世界がやってくることになる。もちろんそのためには、クロスボーダーでの物流や決済など、課題もたくさんあるのだけれども。

正田氏(左)と宮崎氏(右)


オンライン・ブックマークのClipixが日本のクレディセゾンと提携―買物で永久不滅ポイント付与

今日(米国時間4/22)、オンラインでビジュアル・ブックマークを作成、共有できるツール、Clipix が日本第3位のクレジットカード会社、クレディセゾンと提携し、永久不滅.comを通じてポイントを貯めるプログラムに協力したことを発表した。

2500万人といわれる永久不滅ポイントのユーザーが、Clipixを使って欲しい商品を保存し、購入すると所定のポイントが付与されることになる。

Clipixによれば、 永久不滅.com出店中のショップの場合、永久不滅.comを経由しなくてもClipixを通じて商品を購入するとポイントが付与されるということだ。またこの提携により、セゾン・カードのメンバーはセゾン・カードの情報を入力するだけで簡単にClipixのアカウントが作れるようになった。またClipixの説明が永久不滅.comでいちばん目立つ場所に表示されている

永久不滅.comに参加している500のオンライン店舗の商品をユーザーがブックマークすると、Clipixはそれを専用クリップボードに保存し、永久不滅ポイントの対象となるようマークする。

ClipixのCEO、Oded Berkowitzは私の取材に答えて「これまでClipixは日本市場で十分に普及していなかったが、セゾンのある幹部と出会ったことがきっかけで、この提携が実現した。準備には数ヶ月かけている。Clipixに理想的に適合するプロジェクトだと信じている」と語った。またBerkowitzによれば、「日本ではプライバシーが重んじられる。Clipixは基本的にプライベートなクリップボードであり、日本文化に適している」という。

2012年のローンチ当初からClipixが他のブックマーク・サービスに対してセールスポイントとしてきたのは、ユーザーがブックマークしたのが商品である場合、価格を引き続きモニタして値下げされた場合にユーザーに通知する機能だ。日本でもClipixの値下げ通知機能は使えるという。Berkowitzは「これはわれわれにとってもセゾンにとっても大いに役立つ機能だ」と述べた。

Clipixは今後日本で多様なユーザーを獲得できるだろうし、同社の広告ビジネスに大きなチャンスを与えるものだとBerkowitzは考えている。

クレディセゾン側にとっても値下げ通知を始めClipixの機能は永久不滅.comの大きなセールスポイントになるはずだ。一旦ブックマークした商品に値下げの通知が来れば、ユーザーがサイトを再び訪問し、その商品を購入する確率は高くなる。ショッピング・ポータルとしてはユーザーをつなぎとめるのに大きな効果が期待できるわけだ。

Berkowitzは取材中、Clipixが将来さらに多様な提携を実現させ、独自のエコシステムの構築を目指していることをにおわせた。ただしまだ具体的な計画を発表できる段階ではないという。ただし、数カ月後に、オプトインしたユーザーに対してストア側が直接連絡できる機能を実装する計画があることをは明かした。つまりユーザーがあるカメラをブックマークした場合、ストアが割引クーポンを送って実際の購入を勧誘したりできるようになるらしい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


手数料無料の決済サービス「SPIKE」、いよいよオープンベータ版を公開

2013年にメタップスが発表した手数料無料の決済サービス「SPIKE」が本格始動する。4月14日より日本でオープンベータ版の利用が可能になる。

SPIKEはクレジットカード決済機能のついたリンクを作成することで、手軽に決済を実現できるサービス。同様のサービスには米国では「Stripe」、国内では「WebPay」やヤフーの「Yahoo!ウォレットFastPay」などがある。

無料と有料の2つのプランを用意する。個人事業主や小規模事業者向けの「フリープラン」は、初期費用、月額費用、決済手数料が無料。月間100万円までの決済が利用できる。今後は月間の決済上限額を引き上げていき、最終的に完全無料での提供を目指すという。

中規模事業者向けの「ビジネスプレミアム」は月額3000円。月間1000万円までの決済については手数料が無料となっており、月間1000万円を超える部分に関しては2.5%の決済手数料と30円のトランザクションフィーで利用できるという。また今後は、開発者向けにAPIの提供も予定する。

なお現在はオープンベータ版につき、「フリープラン」のみの提供になるほか、決済に対応するのは日本円とUSドルのみとのこと。今後は対応する通貨も拡大する。2016年に年間2兆円の決済額を目指す。

当初は「昨年夏以降に公開予定」としていた同サービスだが、特許やリスクマネジメントへの対応・仕組みの構築と、各国でのサービス提供のためのレギュレーションや法律上の調整などにかなり時間がかかったという。メタップス代表取締役の佐藤航陽氏によると、「世界中で使われるサービスの提供をしたいと考えていた」とのことで、米国、欧州、日本など主要先進国でリリースに向けた事前の準備に相当時間をかけていたそうだ。

フリーミアムモデルでスモールビジネスの無料化を実現

サービスの発表当初から言われていた「完全無料」のサービスは、現在発表されている限りはいわゆるフリーミアムモデルとなる。メタップスではSPIKEによって「カード決済を導入できなかったスモールビジネスを支援する」としているが、継続可能なビジネスとして、どうやって無料化を実現するのだろうか。

佐藤氏は「決済のトランザクションは、上位1割が全体の9割のボリュームを稼ぎ、その他9割が1割のボリュームを稼ぐ非対称性を持つケースが多い」と説明する。SPIKEでは、今後開始する予定のビジネスプレミアムでその“上位1割”からフィーを得るほか、そこから派生する付加価値の提供によって無料サービスを進めていくという。「そこから派生する付加価値」については詳細が明らかにされなかったが、国内ではベリトランスやカンムなどが決済データを利用したマーケティングサービスを展開しているが(詳細はこちらの記事を参考頂きたい)、そういったサービスも予定されているのかもしれない。

メタップスはアプリのリワード広告事業を手がけるスタートアップ。スタートアップとは言っても2007年創業で当初はコミュニティサービスを運営していた。その経緯についてはこちらの記事に詳しい。最近ではLINEのリワード広告「LINEフリーコイン」の販売パートナーとなっている。

実はこのサービス、メタップスのシンガポール法人からのリリースとなる。アジアでは、国によってはカード決済がまだ主流となっていないケースも少なくない。メタップスでは今後、カード決済以外のモバイル決済の展開も視野に入れているとのことで、サービスの拠点にシンガポールを選んだという。実はメタップスのアプリ広告事業も、もともとシンガポールからアジア全土に展開していったそうで、そのノウハウも生かしたいとしている。

アジアの決済領域というと、たとえばGMOベンチャーパートナーズなどもアジア特化のファンド「GMO Global Payment Fund」を設立して、モバイル決済サービスを展開するアジア企業に出資していたりする。余談にはなるが、先日その理由について現在シンガポールに拠点を置くGMO-VPの取締役 Founding Partnerの村松竜氏に尋ねたところ、「日本人であればカード決済が主流になっていなければ『どうカード決済を拡大させるか』と考える。だが現地で生活してみれば、モバイル決済でも、ATM決済でも、『利用されている決済サービスをどう拡大するか』と考えるようになる」と語っていたのが印象的だった。このあたりはまた別の機会に紹介したい。

現在の「お金」の矛盾を解消したい

話をメタップスに戻すが、僕は佐藤氏が1月に書いたブログエントリー「グローバル化とインターネットのその先にある世界:あらゆる境界線が見直される10年間」を読んで、これまで自分で取材してきた企業、サービスがどのように世界を変えていく可能性があるのか、ということを考える際のヒントをもらった気がしていた。

ブログ内で「テクノロジーが境界線を引き直す」「『営利と非営利』ではなく『価値』がとらえられる社会になる」といった持論を展開していた佐藤氏が、そもそもなぜ手数料無料の決済サービスを開始したのか。「会社の代表者としては、現在の経営資源を活用して大きく成長できそうな分野だと感じたから」とした上で、佐藤氏は次のように答えてくれた。

「創業者のエゴとして言えば、現在の『お金』が作り出した世界全体の矛盾を解消するのが人生の目的。私は、通貨や経済システムも競争にさらされたほうが切磋琢磨してより健全になると考えていた。独占が起こると進化が止まってしまうので、経済の根底の仕組みそのものをテクノロジーで民主化できる方法を探していて、SPIKEはその仮設が正しいかを実世界で実証するための試み。現実世界の経済と仮想世界の経済の接合点である「決済」は最初におさえておきたかった」(佐藤氏)。以前のブログでも、その詳細が語られている。

 


Googleの極秘プロジェクト、Helpouts、社内テスト中―ハングアウトをベースにしたサービスのeコマース・プラットフォーム

われわれが得た情報によると、Googleは強力なクラウド・プラットフォームの上にサービスのeコマース・プラットフォームを構築しようと試みているという。

このプロダクトは部内でHelpoutsと呼ばれており、個人や大小の企業がライブ・ビデオを通じてサービスの売買ができる仕組みだという。マーチャント(売り手)と消費者は定期的な番組で、あるいはその都度のオンデマンドのビデオで結びつけられる。マーチャントの評価や支払い管理が可能で、もちろん強力な検索と推薦の機能も用意されるという。

Googleのハングアウトのライブ・ビデオのインフラはさまざまな新しいリアルタイム・サービスバックエンドとして広く利用されている。新しいeコマース・サービスもこのインフラを利用するものだ。われわれが知り得たところでは、Googleは社内テストを6月下旬から開始している。一般公開までは少なくともあと1ヶ月以上あるらしい。

現在分かっている情報からするとHelpoutsは最近eBayがリリースしたSecretguruに似ている。これはコシェルジェ・スタイルのオンライン・プラットフォームで、マーチャントはビジネス・コンサルティングからメーキャップのアドバイスまでさまざまなサービスを直接消費者に提供できる。

eコマース分野でのAmazonの圧倒的な優位はフルフィルメント・センターのネットワークなど強力なロジスティクスに負っているところが大きい。これが低価格と迅速な配達を可能にしている。フルフィルメント分野でのインフラを持たないGoogleの場合、eコマース戦略はAmazonとはっきり差別化される必要があった。HelpoutsでGoogleはeBay、Zaarly、TaskRabbit、Live Ninjaなどが手がけている「協同的サービス消費」の分野に特化しようとしているようだ。

われわれの情報源によると、Helpoutsは上記の既存サービスと同様、コンピュータ利用、教育、飲料・食品、健康、修理、などの分野におけるサービスを扱うという。つまり、ヘルス・コンサルティング、料理教室、フィットネス・クラス、電化製品その他の修理、などだ。

Googleは社内テストに当たって、One Medical Group、Sears、Weight Watchers、Alliance Francesはじめ多数の企業の協力を得ている。一般公開の際にはこれら有名ブランドだけでなく、ヨガやフィットネスの有名講師などの個人も多数参加するようだ。

情報源によると、Helpoutsは従来のサービス提供タイプのオンライン・コマースに存在していた使いにくさを大幅に取り除くシステムになっているという。たとえばアルゼンチン在住のスペイン語講師が日本の受講生に直接レッスンを提供する、ワイオミングの主婦が家にいながらにしてニューヨークのヨガ・インストラクターのクラスに参加する、コンピュータの修理ショップが故障したラップトップの修理の相談に乗る、などといったシナリオだ。

Googleが何か新分野に乗り出すと、小規模な(たいていスタートアップの)ライバルは多かれ少なかれ苦しい立場に置かれる。LiveNinjaPowWow(これは元Google社員がファウンダー)、Live Moka、InstaEdu、Shmoopなどがそうだし、間接的にはAngie’sList、Udemy、Skillshare、TaskRabbit、CreativeLive、Curiousなどのプラットフォームにも影響が及ぶかもしれない。

情報源によると、GoogleはHelpoutsの開発を極秘で進めることに成功したという。24、5人のエンジニアのチームによってこの1年間ほど開発が行われてきたが、開発チーム以外でこのプロジェクトのことを知っていたのはほんのわずかのトップだけだったという。詳しいことはまだ霧の中だが、サーゲイ・ブリン直属の謎のGoogle X部隊が関与していたのかもしれない。

一般公開の方法や期日もまだ不明だが、GoogleではHelpoutsに関する全社的なミーティングが開かれたという。このプロダクトについてGoogleのトップに強力な推進者がいることは確かだ。

今の段階ではHelpoutsがYouTubeなみ(あるいは少なくともハングアウトなみ)のメインストリームのサービスに定着するのか、Google ReaderやWaveのようにやがて消えていく実験の一つに終わるのか予測するのは難しい。しかし取材の過程で聞いたGoogleの力の入れ方についての情報を総合すると、われわれはこのHepoutsが成功するのではないかという感触を得ている。

新たな情報が分かり次第アップデートする。

取材強力:Frederic Lardinois

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