Living Computer Museum、Xerox Altoをレストアし、新しく忠実なエミュレーターも公開

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パーソナルコンピューティングの歴史に興味をお持ちなら、Xerox Altoについて聞いたことがあるはずだ。しかし実機をみたり触ったりしたことはおありだろうか。あのポール・アレンですら「しばらく触っていないな」と考えたようなのだ。そこで彼は2台のAltoをレストアすることにした。レストアして、シアトルのLiving Computer Museumに展示しようと考えたのだ。

私のところからはすぐそこなのだが(と、ちょっと羨ましがらせてみたくなっただけだ)、遠くの方も絶望する必要はない。アレンたちは非常に忠実なエミュレーターの開発も行ったのだ。自宅にいながら、XeroxのもたらしたUI革命を体感してみることができるのだ。

ちなみにこのLiving Computer Museumを作ったのもアレンだ。ここではレストアした実機を展示しようとする前から、Altoの簡単な歴史や、その後のパーソナルコンピューティングに与えた影響について記した文章も掲示してきている(ここに転載するにはちょっと長い)。

xerox alto 1文書には「真のブレイクスルーについて学ぶことも、そして実際に触ってみることもともに有益なことだ」と記されている。

Altoはイーサネット(これもAlto関連の技術といえる)で繋いで通信を行うようになっている。今回のレストアでは、通信機能も実働するようにしている。さらにはAlto同士を繋ぐだけでなく、3メガビットのイーサネットブリッジも開発し、現在のPCなどとも通信できるように行ったそうだ。もちろん現在の機器が遠い昔の言葉を理解してやることが必要にはなる。

ちなみにY CombinatorでもAltoのレストアに取り組んでおり、詳細なドキュメントを公開している。興味のある方は(読者の中で興味のない人などいないかもしれないが)、day 1day 2day 3およびday 4などに文書が公開されている。まだ続きが公開される予定となっている。

このY Combinator側の作業もLiving Computer Museumとの協働が考えられていて、インターネットを介してAltoと通信するようなことも可能になるのかもしれない。異なる大陸間でMazeWarを楽しんだりすることができるようになるかもしれない。そんなことにAltoを使うのはまったく新しいことだが、しかし1970年代のうちから、Xeroxの技術者たちはそうした使い方を夢に描いていたはずなのだ。

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Lenna(左)とピンボール(右)。

Living Computer MuseumのエミュレーターはContrAltoという名前だ。アレンによれば「マイクロコードレベルでAltoをシミュレートする」ものだそうだ。「オリジナルに忠実な再現性能を持つ」とのこと。

なおAltoのエミュレーターにはSaltoというものもある。ただしこちらは制作者もいうように「バグが多い」状態のものだ。エミュレーション範囲も完全というわけではない。ContrAltoの方は、ゲームやプログラムをロードして少し使ってみたところではかなりの性能をもつようだ。いくつかのプログラムではクラッシュすることもあったが、それはこちらの操作に問題があったのかもしれない。Brvoで初期のWYSIWYGを試してみたり、Breakoutを楽しむこともできる。OSを起動してディスクを読み取り、そして「?」コマンドで実行可能ファイルのリストを取得する。

Living Computer Museumお近くの方はぜひ訪ねてみることをおすすめする。Altoの他にも、コンピューターの歴史を堪能できる(そして実際に動作する)さまざまなデバイスが展示されている。SoDo地区にあり、第一木曜日に無料で観覧するkとができる。

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(翻訳:Maeda, H