AtlassianのConfluenceが新型コロナ禍における利用急増を受けデザイン面を強化

Confluenceは、Atlassianのwiki的なコラボレーションワークスペースだが、登場から15年以上が経ち、今ではそれを実装している企業の中核的な知識共有ツールであることが多い。しかし多くの場合Confluenceはビジネスツールであり、それらしく分厚いテキストと、ときどきグラフや表や画像を用いるという使い方が主だった。しかし最近ではユーザーの期待も変わってきたため、Atlassianがこのサービスのデザインを重視しようとしているのもそれほど意外なことではない。

たとえば米国時間3月18日のアップデートでは、表紙の画像やタイトルの絵文字、カスタマイズできるスペースのアバターなどが導入された。スペースというのは、Confluenceの1つの節のことだ。また最近導入されたスマートリンクを使うと、YouTubeやTrelloなどのリンクを貼り付けることが、それらがわかりやすくなるだけでなく、元のかたちで表示できる。その他の新機能として、新しいページを公開するスケジュールの設定や、ページをブログ記事に変換できるといった機能がある。ブログ機能は、Atlassian自身がパンデミックの間に企業内ブログの人気再燃を経験している。

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AtlassianのConfluence Experience Groupでプロダクト管理のトップを務めているNatalia Baryshnikova(ナタリア・バリシュニコワ)氏が、次のように説明してくれた。「結局落ち着いたのは、私たちが『愛の全力疾走(love sprint)』と呼んだやり方です。まず拡張機能として約30の機能を優先しました。それらはすべて、全力疾走というテーマに沿って、読むべきものや書くべきものが非常に多いときの、情報のデザイン方法と関係しています。注意持続時間の限界を押し広げなければならないこともあります。そんな状況のためには、どんなデザインが必要でしょうか?どうやったら、自分のコンテンツを見つけてもらえるでしょうか?」。

バリシュニコワ氏によると、チームはソーシャルメディアの世界でコンテンツの制作、管理、配信がどのように行われているかを詳しく調べた。しかし、新機能の中には、変化する作業環境に対する純粋な反応でもある。たとえば、ページの公開スケジュールを設定。在宅勤務をしている社員は、育児を優先させるために、残業や早い時間に仕事をすることがある。しかし、彼らは自分たちが制作したコンテンツを社内で見られるようにしたいと考えており、例えば午後11時に公開するような場合には難しいかもしれない。

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また、Confluenceの利用自体が2020年から急激に増えているため、自分のコンテンツが見てもらえないこともある。Atlassianによると、今は6万以上の企業がこのサービスを使っている。そうした企業の中では、ユーザーが以前に比べてとても忙しい。2020年3月と2021年3月で、創られたConfluenceのページの数は33%以上増えた。ユーザー1人あたりのページ制作量は平均で11%増えたが、このプロダクトのスーパーユーザーともなると、アウトプットの量が2、3倍になっている。

また会議を減らすためにConfluenceを利用するケースも多くの企業で増えている。バリシュニコワ氏がいうには「Confluenceのページが会議と競っているだけでなく、ページがページと競っている」。この競合に勝つためには、常時大量のコンテンツの中で目立つために、グラフィクスを良くするなどの工夫が必要だ。正直になところ、これほどの活況ぶりは少々奇異に感じる。しかし、ウェブ自身と同じく、コンテンツが企業という環境の中で目立つためには、自分が作る文書を目立つようにして、人びとの注意と関心を惹かなければならない。今や廊下で雑談するためのウォータークーラーもない。おそらくそのために、社内ブログが見直されているのだろう。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AtlassianがTrelloにテーブルビューを導入、複数プロジェクトを俯瞰チェック可能に

Atlassian(アトラシアン)は米国時間7月15日、コラボレーションとプロジェクト管理のツールであるTrelloConfluenceワークスペースのアップデートを発表した。同社によるとその主な狙いは、「次の段階のリモートワークをサポートすること」だ。各企業が在宅勤務へのシフトを開始した3月半ばには、Trelloだけでもサインアップは前年比で73%増加した。

新しい機能は、どれも単純明快だ。Trelloのユーザーのハイライトは確実にテーブルビューのベータだろう。Trelloのさまざまなボードで行われていることを、スプレッドシートのように概観できるのはこれが初めてだ。スプレッドシート的という点ではAirtableを思い出すが、Trelloの開発チームによると機能そのものよりも重要なのは「これはアプリケーションを構成する複数のプロジェクトのデータを見るための一連の新しい方法の最初のものである」という点だ。

Confluenceのほうは、新しい機能の多くが時間の節約や時間の計測に関連している。例えば、間もなく提供されるコンテンツ一元管理機能では、1回のクリックで複数のページをアーカイブしてラベルを付け、エクスポートもできる。

すでに使えるConfluence Smart Links機能は、コンテンツをウェブでプレビューできるので、重要な情報を見るために自分のワークスペースを去る必要がなく、コンテンツへのリアルタイムのフィードバックもConfluence上に表示される。そしてサービスがエディットモードのときでも、インラインのコメントを見たり作ったり解決したりできる。

最後に紹介するConfluenceの新機能はPage Insightsだ。これは測定機能で、リードタイムの推測値やページのビューカウントなどが提供される。これにより「忙しいときにコンテンツをいつどのように消費するのかに関する決定を迅速にでき、コンテンツのエンドレスな海をナビゲートする精神的負担が軽くなる」と同社は説明している。長いドキュメントを全部読める時間とエネルギーは誰にもないのだ。

AtlassianのConfluenceの責任者であるPratima Arora(プラティマ・アローラ)氏は「世界中のチームが今はリモートワークを強いられているが、でも今では多くの企業が、もっと分散化された仕事環境への恒久的な移行を検討している。複数の部門間や個人間にたくさんの仕事の流れがあるから、もはやメールの連鎖のような古いシステムで計画や管理を行うことはできない。企業全体にわたって長期的にコラボレーションをサポートできるような、仕事の正しい管理システムを導入しているか、指導者たちは検討する必要がある」とコメントしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa