CES 2022でスマートホームデバイスの接続規格「Matter」に注目が集まっている理由

現在、ラスベガスで開催中の2022年CESテクノロジーショーで各社が新しいスマートホーム機器を発表する中、スマートホームデバイスは他のシステムとシームレスに統合され、安全で信頼できるものであるべきだという共通の信念に基づいて作られたオープンソース接続規格「Matter(マター)」が大きな話題になっている。

Deloitte(デロイト)によると、スマートホームデバイスを導入している家庭の割合は66%に上り、デバイス好きな人はおそらくきっとこの数字の中に含まれていることだろう。また、1つの会社やブランドにこだわらず、少なくとも6つの異なる会社からデバイスを購入されていることだろう。そのため、2022年スマートホームデバイスを発売する企業にとって、Matterのサポートはとても助かるものだ。

このプロトコルは、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)といった大手テック企業やスマートホームデバイスメーカーによって開発されているだけでなく、断片化したスマートホームシステムに関する問題を最終的に解決し、すべてのデバイスを1つの場所から簡単にセットアップしてルーティングできるようにするために設計されている。

Matterは、ローカル・コントローラー・デバイスを介した、すべてのデバイスの通信を可能にするインフラ、パイプライン、言語となる。そのインターネットプロトコルは、デバイス認証のためのIPベースのネットワーク技術の特定のセットを定義し、メーカーがApple SiriやAmazon Alexa、Google Assistantと互換性のあるデバイスを製造できるようにしてくれる。Matterの最初のプロトコルは、Wi-FiとThreadのネットワーク層で動作し、コミッショニングにはBluetooth Low Energyを利用する予定だ。

最初のMatter認定デバイスのテストを組織しているConnectivity Standards Alliance(通信規格標準化団体、旧Zigbee Alliance)は、2022年のCESでブースや会議室、バーチャル会議においてMatterを展示または紹介している企業を20社以上特定した。その中には、NXP、Qualcomm(クアルコム)、Samsung(サムスン)SmartThings、Telink(テリンク)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Universal Electronics(ユニバーサル・エレクトロニクス)が含まれている。

5月にGoogleは、MatterをAndroidとNestに導入すると発表し、米国時間1月5日、数カ月後にAndroidの「Fast Pair」機能を使って、新しいMatter対応スマートホーム機器を数クリックでホームネットワーク、Google Homeや他のアプリにすばやく接続できるようになると発表した。

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そして1月5日未明、Amazonは、その「フラストレーションフリーのセットアップ」ドキュメントが現在デバイスメーカーに公開され、インターネット接続がダウンしてもそれらをコントロールできるように、そのデバイスをMatterデバイスの第二管理者として追加するなど、セットアップ体験とAlexa機能の両方について多くの企業と協働していると述べている。

また、同社はシリコンベンダーと協力して、フラストレーションフリーのセットアップをサポートする「Matter System-on-a-Chip」となるものを開発中だという。これらはすべて、ほとんどのEchoデバイスがMatterをサポートし、第4世代のEchoとeeroデバイスがMatter Threadボーダルーターになるという2021年の発表に続くものだ。

その他、Matterに対応する新しいデバイスやサービスを発表した企業を紹介する。

  • Comcast(コムキャスト)は、スマートライト、スマートプラグ、スマートロックなどのIoTおよびホームオートメーションデバイスの中央コネクタとして機能するZigbeeおよびMatter互換の「未来のスマートホームのためのIoT」機能を備えた新しい「xFi Advanced Gateway Router」を発表しながらそれに言及した。
  • コネクテッドホーム製品を製造するEve Systems(イヴ・システムズ)は「Eve MotionBlinds」を制作し、同製品を「Threadに対応した市場初のコネクテッドブラインドとシェードモーター」だとアピールした。
  • ホームセキュリティブランドのArlo Technologies(アーロ・テクノロジーズ)は、セキュリティハブと統合キーパッドに対応した8種類の機能を持つセンサーセット「Arlo Security System」を、よりDIY的なセキュリティ監視ソリューションを求める小規模企業や消費者向けに発表した。また、スマートホームの分野で幅広い互換性を確保する姿勢を固めるため、Matterへのコミットメントも表明した。
  • エッジコンピューティング企業のVeea(ヴィーア)は、Matter、Thread、Wi-Fi 6のサポートを含む「Smart-home-as-a-Service」を発表した。これには「STAX」と呼ばれる家庭用Veea SmartHubメッシュ・ルーターが含まれる。
  • Belkin(ベルキン)がCESで発表した家庭向けのMatter対応製品の中には、AppleのHomeKitと連携する新しい「Wemo」スマートビデオドアベルや、Thread上でMatterと連携するスマートライトスイッチ、スマートディマーがある。
  • Mui Lab(ムイ・ラボ)は、スマートデバイスを「より落ち着いたもの」に変えるMatter対応の「muiPlatform」をデビューさせた。これにはAmazonのAlexaをより視覚的なインターフェースに変えるボードが含まれる。

Connectivity Standards Alliance(CSA)のマーケティング担当副社長であるMichelle Mindala-Freeman(ミシェル・ミンダラ=フリーマン)氏は、米国時間1月4日に発表されたSchlage(シュレージ)の新しいスマートWi-Fiデッドボルトに注目している。

彼女は、2022年はMatterにとって大きな年になるだろうと述べている。CSAとMatterの両方に関わっている企業は数百社あり、50社がすでに134の製品を持ち込んでいると、同氏ははTechCrunchに語っている。

CSAは、2022年の半ばまでに認証、仕様、テストツール、SDKをリリースする予定だ。これにより、企業は新しいハードウェアやイノベーションをより早く市場に投入することができるようになり、より幅広い消費者にリーチすることが可能になる。

ミンダラ=フリーマン氏は「根本的なレベルでは、CSAの仕事は、断片化をなくし、企業が成長し、消費者にとって価値の高い方法でそれを実現するのを支援することです。Matterのような標準規格は、それを実現するものであり、すべての船を上昇させる潮流であると信じています」。と述べている。

画像クレジット:Schlage / Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)