新型コロナ時代に企業はいかにオフィスを再開させるのか

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックとなって数カ月が経つ。規模を問わず企業はオフィスを再開するのか、そうだとしたらそれはいつになるのか、再開に向けどのような措置が必要になるのか、など多くの疑問がある。今後の見通しはかなり不透明で、不動産業界の人間でもすべてには答えられない。しかし彼らは、次に何が起こるか知識や経験に基づいて推測し始めている。

商業用不動産サービス大手のCBREが5月15日に発表した新たなデータでは、従業員が直面すると思われる決断しにくい状況が示されている。これまで通りオフィスで業務を行うと答えた世界の200社を対象としたCBREの調査によると、59%が従業員にフェイスカバーを用意すると答え、28%がフェイスカバーの常時使用を必須とする計画だ。そして21%がオフィス再開初期にオフィスへの訪問者を許可するとし、13%が全施設で従業員のスクリーニング検査を行うと答えた。

だが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)策をいかに正しく導入するかというのは、全体の一部にすぎない。新型コロナウイルスを根絶させることができるワクチンが開発されるまで、従業員の安全と平常維持のバランスをとらなければならない企業にとって、オフィスでの業務再開は難しいものとなる。実際、管理部門にとって唯一確かなことは、変更を加える必要があるということだ。調査でCBREが尋ねた多くの質問の中で「はい」の答えが最も多かったのが、ソーシャルディスタンスを反映させたスペース使用ポリシーを設ける計画か(80%)と、オフィスのレイアウトを再設計する計画か(60%)というものだった。

おそらく多くが、休憩室やカフェテリアすらも廃止する。従業員同士が少なくとも6フィート(約1.8メートル)離れて座るようにし、シフト制で出社させる企業も出てくるだろう。しかし他にも多くの変更が予想される、と不動産と建設テックを専門とし、今後数カ月あるいは数年にわたって最も需要が見込まれるテックを現在見出そうとしているベンチャー投資家2人は指摘する。

2人ともプロの投資家で、彼ら自身もまだリモートワークをしている。まずBrick and Mortar Ventures(ブリック・アンド・モーター・ベンチャーズ)の創業者Darren Bechtel(ダレン・ベクテル)氏から。同社は主に建設テックにフォーカスしており、最初のファンドは9750万ドル(約104億円)で9カ月前にクローズしたばかりだ。ベクテル氏は、自身と妻、幼い子供が住んでいる賃貸物件のドライブウェイに停めたAirstream社製トレーラーで働いている。自身も妻も、仕事の電話が1日中あるからだ。トレーラーに入ったり出たりするのは理想的ではない。しかし、カリフォルニア州が徐々に経済を再開させているものの、ベクテル氏はベイエリアにあるオフィスをすぐに再開させる準備はしていない。「我々は急いでいない。私はかなり保守的だ」。

不動産技術にフォーカスしているロサンゼルス拠点のFifth Wall(フィフス・ウォール)の共同創業者Brendan Wallace(ブレンダン・ワラス)氏もまた、従業員をすぐにオフィスに戻すことを躊躇している。「チームがリモートワークの環境でかなり生産的であることはうれしくも驚かされている」とも付け加えた。

もちろん2社とも従業員に負担をかけたくない。しかし他の多くの企業と同様、彼らもオフィスのデザインを再設計すべきかを現在考えており、異なるテクノロジーの活用も真剣に検討している。

例えば、ワラス氏もベクテル氏もそれぞれの電話で、暖房や換気、空調の一環で空気をきれいにして循環させるのに使用される高度な空気清浄機やエアハンドリングユニットに言及した。ビルオーナーやデベロッパーが関心を寄せるものになるだろう、と2人は口をそろえる。

ワラス氏はまた、他のスマートテクノロジーを積極的に採用する動きが出てくるとみる。部屋の最適人数や回転式扉で何人通すかを決めることができるセンサーや、身体接触を最小限に抑えるのに役立つ顔認証技術などを挙げる。そしてこれまでより多くの企業が建物内のパトロールに、そしておそらく清掃にもロボットを活用するかもしれない、と想像している。

事業者は現在、「これまでになかった責任をテナントに対して持たなければならない」とワラス氏は話す。事業者は(スペースを)より大胆に改変しようとしていて、「我々はそうした動きに先駆けたい」という。

一方のベクテル氏は、業界に個々のプライベートオフィスの需要が出てくるかもしれないとみている。同氏はまた、例えば抗菌のテキスタイルを生産する材料の企業に光が当たるかもしれないと考える。「このところ環境に優しい材料を開発する動きがあったが、需要はなかった」とベクテル氏は指摘する。

Brick and Mortar Venturesは主に建設テクノロジーに注力しているため、建設会社が建設現場の安全を向上させ、生産性を改善する方法を熱心に模索している。これは、接触追跡から、写真やレーザースキャンをもとに3Dモデルを作り出す「現実キャプチャソフトウェア」と呼ばれるものまですべてを意味する。

オフサイトのプレハブ建設需要の高まりがあるかもしれない、ともベクテル氏は話す。「エリアの中で働ける人数に制限があり、働いている人同士が重ならないようにあなたが管理しなければならないとする。すると、次世代HVACシステムが空気を清浄し、フロアにマーキングされるなど、よりコントロールされた環境にどうやったらできるかという疑問がわいてくる」。

ベクテル氏は「人々はいまこう口にしている。我々はどれくらいオフサイトを準備できるだろう」という。

こうしたテックの出現やその浸透は、効果的なワクチンが出てくるまでにどれくらいの時間を要するかにもよる。予想しているよりも早くワクチンが実用化すれば、事業者は物理的スペースへの大きな変更はさほど優先することではないと考えるかもしれない。すぐに忘れるのは人間の性だ。

それでも、経済再開に伴い、事業者や大学、さまざまな機関はウイルス拡散を阻止するための計画を立てるより他はなく、これはおそらく永久的な変更につながる。

投資家らはそう願っている。現在では「建物は役立たずだ。ほとんどは暖房と冷房を保つためだけに存在している」とワラス氏は話す。

いまこの現状から何かいいものが生み出されるとしたら、それは長期的によりスマートで安全に作られた、そして今回のような健康リスクに対応できる建物かもしれない、と同氏は期待している。

画像クレジット:Hero Images

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(翻訳:Mizoguchi

テスラは米国でのソーラータイルルーフ導入設置数を増やし中国とヨーロッパ市場を狙う

Tesla(テスラ)は、サンフランシスコのベイエリア地区における同社のソーラータイルルーフ(ソーラーパネルを内蔵する屋根用瓦)の設置件数をこれまでよりもさらに増やして、最終的にはヨーロッパと中国に展開したいようだ。一連のツイートでそう述べたCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社がこの製品の三度目となる改良製品を10月にローンチして以降初めて、かなり具体性があるアップデートを提供した。

ソーラータイルルーフはテスラがソーラーグラス(Solarglass)と名付けた製品で、ニューヨークのバッファローにある同社工場で作られている。マスク氏はツイートの中で、4月にはバッファローの工場でメディアや顧客を集めて見学集会をやりたい、と述べている。工場の中を見せてくれるらしい。

TechCrunchはこれまでの設置総件数など、ソーラーグラスの詳細情報を求めたが、まだ返事はない。回答が届き次第次第、この記事をアップデートする。

ユーザー:ベイエリアの設置工事はいつ始めるのか。
マスク:工事はすでに開始している。

ユーザー:ヨーロッパはいつ始めるのか? 巨大な市場だが。
マスク:ヨーロッパと中国は近くスケジュールを発表する。

4カ月前にマスク氏は、設置工事の開始を数週間後と言い、各週の設置件数を1000件に増やしたい、とも語った。

テスラのソーラータイルルーフは見た目には普通のタイルと変わらないが、ソーラーパネルにもなっている。同社がこのソーラータイルルーフを初めて披露したのは2016年で、その後改良を重ねてきた。初期二世代の製品は試験的設置を行い、その予約受け付けを2017年に開始した。

10月の決算報告でマスク氏は、ソーラータイルルーフの製品としての完成を告げ、バージョン3はついに本格展開が可能だ、と言っている。

最初のソーラールーフタイルは表面の粗い黒いもののみだが、マスク氏はそのほかの色や仕上げの製品をできれば年内に提供したい、と言った。

ユーザー:カラーやタイプのバラエティはないのか。たとえばヨーロッパに多いテラスハウスの景観を損ないたくない。
マスク:そのとおりだが、最初は目の粗い黒だけだ。今後は土色や複雑な模様も展開する。

テスラのWebサイトにある予想価格では、発電量10kW、面積200平米弱で減税折込前が4万2500ドル(約467万円)だ。国の政策減税8550ドル(約94万円)を折り込むと、実質3万3950ドル(約373万円)になる。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

世界最大規模の産業、建設業界の資金管理を改善するLevelsetが約33億円を調達

元請け建設企業の資金管理と決済サービスを提供するニューオーリンズのLevelsetのCEO Scott Wolfe(スコット・ウルフ)氏はそれまで、自分は食料品のビジネスをやるんだ、といつも思っていた。

彼の家族はニューオーリンズ界隈で食料雑貨店を何店舗か所有し、彼もその家族経営を継ぐと思っていた矢先、ハリケーン・カトリーナが襲った。

ファミリービジネスは大きな被害を受けたが、その一方で、土地や店舗などを開発する建設業に大きなチャンスがあった。1年も経たないうちに、ウルフ氏は事業の方向を災害復旧のための修理や新築に変え、建設業界で旗揚げすることになった。

そしてその際、ウルフ氏は1つの建設プロジェクトに関わってくる何百という建設関連中小企業のキャッシュフローと決済を管理する、ソフトウェアサービスのニーズも目にした。

そこで彼は、Levelsetを立ち上げた。

同社はこのほど、Horizons Venturesからの3000万ドル(約33億円)の資金調達を完了した。Horizonsは、世界的な大富豪である香港のLi Ka-shing(リ・カシン)氏の投資部門だ。

HorizonsのアドバイザーBart Swanson(バート・スワンソン)氏が、ニューオーリンズのテュレーン大学のエコシステム周辺に投資している共通の友人を介してLevelsetを知った時、彼はたちまち、こいつはHorizonsの投資委員会が理解してもらえる機会だ、と感じた。

スワンソン氏は 「これはグローバルな問題だ。建設企業の64%は、最初の5年以内に倒産する。助けを求める場所が、どこにもないからだ。特に困るのが、決済の遅滞や不能だ」という。

ウルフ氏によると、今ではLevelsetが課金と決済をデジタル化を担い、求職サイトで仕事を求めている個人や零細企業の評価をする。それにより、その建設プロジェクトが求めている職種を正確に見つけることができる。

さらにウルフ氏は「現場には常に大金が投じられているが、対照的に投資がほとんどないのが、オフィスで生じている楽屋裏のあれこれだ。しかし、現場に落ちている情報を拾い上げてそれをお金に変えることができるのは、経理や管理部門の人たちだ」という。

リ氏が抱える不動産開発企業、Cheung Kong Holdings(長江実業)などにとって、上記のようなLevelsetのソフトウェアの契約は大きな利益の機会だ。建設業界は、決済を迅速に処理するソフトウェアやサービスを欠いた零細企業の集団に支えられている。ペーパーワークによって失われる時間がプロジェクトに遅れをもたらし、結果的に元請けが負担する費用が増える。

このHorizonsのラウンドには、S3 VenturesやOperating Venture Capital、Altos VenturesそしてBrick & Mortar VenturesのDarren Bechtel(ダレン・ベクテル)氏が参加した。今回の投資により、スワンソン氏がLevelsetの取締役会に席を得る。

LevelsetとT-Sheets by Quickbooksが行なった最近の調査によると、半数以上の元請け企業が決済が遅れがちと回答し、キャッシュフロー(資金繰り)に大きな困難を抱えている。そして75%以上が、決済処理の透明性を求めている。確かに、大手会計事務所PWCが行なった運転資本に関する調査でも、建設企業の決済速度は全業種中で最遅である(83日以上)。

ウルフ氏は次のように声明している。「決済に要する努力と、元請けが背負うキャッシュフローのストレスは膨大である。この世界最大の産業は、大量の中小企業で満ち溢れており、彼らが我々の経済を支えている。従って、彼らがお金の心配なしで仕事できることは、経済全体にとって極めて重要である」

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ガラスを3DプリントするシステムをMITの研究者たちが完成

溶けたガラスのロープをエンドレスに吐き出すマシンは、この言葉だけを見ると不気味かもしれないが、MITの連中はまさにそれを完成させた。3D Printing and Additive Manufacturingに載ったペーパーで、研究者のChikara Inamura, Michael Stern, Daniel Lizardo, Peter Houk, そしてNeri Oxmanらが記述しているガラスの3Dプリントシステムは、熱い素材を完全にコントロールして最終製品を作ることができる。

彼らのG3DP2と呼ばれるシステムは、“3域温度コントロールシステムと4軸モーションコントロールシステムをデジタルに統合した、溶融ガラス用の新しいAM*プラットホームであり、その生産能力と信頼性はすでに産業用の実用レベルに達している。製品の精度と再現性は高く、それらも、これまでガラスでは不可能だったレベルだ”、という。〔*: AM, additive manufacuturing, 付加(的)製造技術…3Dプリントのこと。〕

このシステムは、溶けたガラスを収めた加熱ボックスと、オブジェクトをプリントする温度制御されたボックスを使用する。可動性のプレートが、プリントの進行とともにオブジェクトを下へ下へと下げていき、プリントヘッドはその上で動く。このシステムが興味深いのは、そのまま即、装飾や建築用に使える透明なガラス構造物を作ることだ。研究者たちは溶融ガラスを押し出すシステムに細心の注意を払い、不純物や構造上の問題がない状態でガラスが冷えて固まるよう工夫した。

“将来的には、ガラスの優れた素材特性(透明性、強度、化学的安定など)とこのAM技術を組み合わせることによって、新しい形の多機能なビルディングブロックを作れるようになるだろう”、と彼らは言っている。

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大工ロボットと一緒に家を建てよう

大工仕事の新参者(おんぼろだが頑丈な納屋を作ったことがある)として、私は良きパートナーのありがたみをよく知っている。測ったり、切ったり、押さえたりするのを手伝って第3第4の手になってくれる。人間に頼む場合の欠点は、お礼にお金や食事が必要なことだ。そんな私がチューリッヒ工科大学が作ったこのロボット大工アシスタントを見つけたときの喜びを想像してほしい。

複数機関の連携によるSpatial Timber Assemblies DFAB Houseプロジェクトは、家屋の枠組みだけでなく、設計の効率も上げようという取組みだ。

誰もが想像するように、プロジェクトのロボット部分を作るのは簡単ではなかった。作業場の天井に設置された1対のロボットアームが、木材を決められた長さに切断し、しかるべき位置においてドリルで穴をあける。

ほとんどの作業は人間の介入なしに行われ、何よりも補強材や足場を必要としない。これらのモジュール(部屋の大きさのバリエーションに応じて組み合わせが可能)は、事実上自立できるように特別な設計で作られていて、荷重や剛性は梁材の組み合わせによって対応されている

事前にCAD作業が行われ、ロボットは設計図に沿って、お互いぶつからないように気をつけて、ゆっくりとしかし効率的に作業する。

「プロジェクトに変更が加わると、コンピューターモデルが調整されて常に新しい要求に対応する」とプロジェクトを率いるMatthias Kohlerが説明した。こうした統合デジタル建築技術は、設計、計画、実施の隙間を埋める役目を果たす。

ボルト止めは人間の作業員が担当している。これも自動化できそうに思えるが、現在のロボットには作業に必要なセンサーやツールが備わっていないのかもしれない。

最終的に柱や梁は、これもプレハブ製のコンクリート柱で補強され、正確にこの配置に合わせて砂ベースの3Dプリンティングで作られた「スマート・スラブ」 に組み込まれる。3階建ての家は秋には完成して見学のために公開される予定。詳しくはプロジェクトのウェブページで。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

建設プロジェクトのコラボレーションプラットホームAconexをOracleが$1.2Bで買収

Oracleが今日(米国時間12/17)、建設工事におけるコラボレーションを支える、建設プロジェクト管理クラウドプラットホームAconexを12億ドルで買収することを発表した。メルボルンに本社を置くAconexは、クラウドベースのソフトウェアによって、建築工事に関わるチームのコラボレーションと文書管理を支える。買収価額は一株あたりオーストラリアドルで7ドル80セント(USドルで5ドル97セント)となり、トータルで12億ドルになる。この価額はAconesの金曜日(米国時間12/15)の終値AUD$5.29(USD約$4.05)の47%プレミアムとなる。

Oracleがクラウドベースの建設業ソフトウェアを買収するのは、これで二度目だ。昨年同社は、建設業における契約と決済を管理するプラットホームTexturaを6億6300万ドルで買収し、同社自身の建設管理ソフトウェアPrimaveraと組み合わせてOracle Construction and Engineering Global Business Unit(建設エンジニアリンググローバルビジネスユニット)と呼ばれる事業体を作った。

建設のプロジェクトは、可動部品が多い。下請けもサプライヤーも複数おり、建設関連の法規は複雑、そして山のように大量の紙の文書が作られる。それらすべてを正しく管理しようとすると、その金額費用と時間費用は膨大なものになる。しかしそのことは、テクノロジー企業にとっては機会でもある。過去数年間でも、建築産業を現代化しようとするスタートアップがFieldwire, PlanGrid, Net30, UpCodesなど続出した。

2000年に創業されたAconexは現在30か国にオフィスがあり、これまでに総額1兆ドルあまりの建設プロジェクトの管理に利用されてきた、という。これまで同プラットホームを利用して管理された建設プロジェクトはおよそ550万件、建設の進捗やさまざまな文書、安全性チェックリスト、などなどの管理がデスクトップとモバイル上で行われてきた。OracleによるとAconexは同社のクラウドベースの建設ソフトウェアの足りなかった部分を補うことになり、とくにプロジェクトの企画、管理、そして支払い決済の面でエンドツーエンドのソリューションを提供していく。買収の完了は2018年の前半を予定しているが、それ以降Acoenxは、Oracleの上述、建設エンジニアリングユニットの一部となる。

Aconexの顧客への書簡で協同ファウンダーでCEOのLeigh Jasperは、“AconexへのOracleの継続的投資により、機能性と能力容量の迅速な増強が期待される。また、Oracleのそのほかのプロダクトとのより有意義な統合や連携が可能になる”、と述べている。

世界最大のソフトウェア企業のひとつであるOracleは、1年に何度か買収を行う。Crunchbaseによると、Oracleは2017年にほかにも3社の買収の合意に達している: (1)API設計プラットホームのApiary、(2,3)デベロッパーツールのWerckerMoatだ。後者は広告のエンゲージメントを測定する。しかし昨年は93億ドルのNetSuiteやTextura(前述)など、計9社を買収しているから、もっとすごい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Alphabetのスマートシティ子会社Sidewalk Labsはトロントのパイロット事業にやる気満々

Alphabetのスマートシティ部門子会社Sidewalk Labsは、トロント市と協力して新しいコミュニティの企画を手伝っているが、現時点ではまだ何も決まっていない。まず12か月の準備期間中にプロジェクトを練り、関係部門全員の合意のもとにスタートする。ただしそれは、Sidewalkの具体的な起用/利用法が決まるまで指をくわえて1年待つ、という意味ではない。

今日(米国時間11/2)トロントで行われたGoogle主催のGo Northカンファレンスで、Sidewalk LabsのCEO Dan Doctoroffが説明したところによると、トロント市のウォーターフロントQuayside(‘波止場’)地区にスマートシティのモデルを作る計画は準備段階だが、Sidewalkが今ただちに同地区に実装を開始できることもいくつかある。

Sidewalkはそれらの実装をもっと早めたいとして市と協議中で、それらには渋滞緩和策や、ニューヨーク市にオープンしたばかりのパイロット的診療所をモデルとするヘルスケア施設/サービスの実験などがある。Doctoroffによると、渋滞対策の方は同じくウォーターフロントの一部であるQueens Quay地区が対象になる。

またDoctoroffによると、同社が開発した“交通流量のモデル作りのための新しいコンセプト”は、行政の公共交通担当部門にとって今すぐにでも有益であり、トロントでも比較的早く実装可能、という。

しかしこういったアイデアはすべて、トロントのPort Lands区画内のQuaysideと呼ばれる12エーカーの土地片の、長期的な開発計画だけに固有のものではない。むしろDoctoroff自身は、これらの比較的小規模なパイロット事業のタイミングに言及して、“これらは今すぐにでも着手できる”、あるいは少なくとも、“比較的早期に開始できる”、と言っている。

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建設企業の請求決済事務をオンライン化して中小下請け孫請けの苦境を救うNet30

建築業界の請求と決済の処理は、今や破綻している。実際に払ってもらえるまで70日ぐらいかかるので、建設業者の多くは運転資本が枯渇する。そこで、Y Combinatorで育ったNet30は、その問題を解決しようと志(こころざ)した。

このプラットホームの上で建設企業は請求書を処理し、下請け企業などの銀行口座にオンラインで支払いを行う。これにより、今でも紙を使っていることの多い事務処理がデジタル化される(今はまだ、請求書をFAXで送り、支払いは小切手が普通郵便で送られてくるパターンも少なくない)。実はNet30のファウンダーは、実際に建設企業でプロジェクトマネージャーをやっていたCasey BellとAnthony Cirinelliで、元々は決済を早めるためのプラットホームとしてNet30を作った。

しかし実際に建設業者たちの話を聞いてみると、建設業界の請求決済問題には改善すべき点がたくさんあることが分かってきた。問題は非常に深刻であり、決済の遅れが建設企業の倒産の原因になることも多いのだ。

“すごく大きな問題だし、しかも業界全体に血液を送る心臓の部分だ。それなのに、請求と決済の業務を簡素化することに、誰も取り組まなかった”、とBellは語る。

建設のプロジェクトは通常、数十社もの下請け〜孫請けが関わり、各社が請求書を発行する。しかし個々の請求書は、複数の文書の束であることが多い。そこには、完了した仕事の詳しい科目分類や、署名入りの法的文書、コンプライアンス関連の文書などがある。そこに日付の間違いなど誤記がひとつでもあると、決済が遅れたりする。

建設業者が操業を続けるためにはキャッシュフローが必要だから、ちょっとした遅れが悪夢を招くこともある。Net30はひとつのプロジェクトに関わる企業をすべて集めて、すべての請求書が最初から確実に正しい、という状態を作り出す。そして下請け孫請けの透明性を高める。

建設業界の既存の請求事務ソフトウェアには、昨年Oracleが買収したTexturaなどがあるが、それなどはエンタープライズ級の企業が対象で、請求決済事務の現代化を誰よりも必要としている、膨大な数の中小建設企業のニーズに対応していない、とBellは語る。

中小建設企業向けのスタートアップとしては、青写真アプリのPlanGridや、コンプライアンス関連のソフトウェアを作るUpCodesなどがあり、とくに後者は、Y Combinatorの今のバッチの同窓生だ

“一般的に建設業界は、ディスラプト(破壊的改革)が非常に後れている業界だし、テクノロジーの採用も遅い。でも最近では、ソフトウェアの実装と利用がそんなに難しくないことを、彼らは理解し始めている”、とBellは述べる。“これらのソリューションを利用すれば、建設業界はもっと先進的で生産性の高い産業になるはずだ”。

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どんな物でもタッチセンサーにしてしまう伝導性の塗装技術がCMUに誕生

カーネギーメロン大学(CMU)の研究者たちが、どんな面でもタッチパッドにしてしまえる伝導性のスプレー塗料を発明した。そのシステムはElectrickと名付けられ、“電界トモグラフィー(electric field tomography)”と呼ばれる技術を利用している。

同大の博士課程の院生Yang Zhangが作ったElectrickは、塗装した面の端に電極をつける。すると、木でもプラスチックでも壁でもゼリーでも工作用粘土でも何でも、タッチを検出できる面になる。こうやって加えたタッチ感度を利用してこれまで、玩具やギター、壁などの位置コントロールに成功した。

Human-Computer Interaction Instituteの助教授Chris Harrisonによると、“缶入りのスプレー塗料でほとんどどんなものにもタッチスクリーンをつけられる技術は、これが初めてだ”、という。

彼らのレポートは曰く:

多くのタッチスクリーンと同様に、Electrickも分流効果を利用する。指がタッチパッドに触(さわ)ると、少量の電流が接地へ流れる。その物や伝導性塗装の端に複数の電極をつけることによって、Zhangと彼の同僚たちはどこでいつその分流が起きたかを特定できた。彼らはこれを、電界トモグラフィーを利用して行った — 少量の電流を二つの電極間に継続的に流し、電圧の変化に注目した。

 

作者たちが今考えているのは、対話性のある壁や、指の位置を感取してアプリを起動するスマートフォンケース、などへの利用だ。その塗装面を保護するための保護膜も、可能だ。

Zhangはこの技術を、デンバーで行われるカンファレンスHuman Factors in Computing Systemsで発表する予定だ。

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VRは娯楽より企業利用がメインか?…DIRTTのVRソフトICERealityはリアルタイムでオフィスレイアウトを助ける

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オフィスなどの仕事場のために、カスタムメイドのプレファブ素材を提供しているDIRTT Environmental Solutionsが、仮想現実(virtual reality, VR)を娯楽ではなく企業目的のために利用する企業の、仲間入りをした。

今週シカゴで行われた建設産業の例年のトレードショーNeocon 2016で同社が披露したICErealityが、そのVRソフトウェアだ。そう、今週は、AppleのWWDCやビデオゲーム業界のE3カンファレンス以外にも、見るべきものがあったのだ。

DIRTTは、顧客のニーズを満たして、スタイルが良くて、しかもエコなワークスペースを建築家やデベロッパーやファシリティマネージャーやインテリアデザイナーたちが作れるための、素材を提供したい、と願っている企業だ。

そのための彼らの工程は、デジタルの青写真をDIRTTのクラウド上のデザイン/プランニングソフトウェアICEを使って作ることから始まる。そしてICErealityは、この段階で利用される。それはこの秋に一般公開の予定だが、今は招待制のベータで少数のユーザーに提供されている。

ICErealityはデザイナーや実際にその仕事場を使う人たちに、これから内装工事をしていくスペースの上に、そこに配置するいろんな要素の仮想的な三次元画像を重ねた映像を見せる。彼らは、カウンターや特注のドアや間仕切りや窓、ブラインド、家具などが、どんな感じでそのスペースに収まるかを、実際に見て検証できる。

そのデモビデオがここにある。このビデオでは、DIRTTが空のステージの上にキャビネットやカウンターを(仮想的に)作っている。(2:20のあたり):

ICErealityは、部屋のデジタル部位(家具など)の形を、ビデオにぴったり合うように翻訳する。そうするとユーザーは、それらの新しいプレハブ部位が実際に部屋に置かれたとき、どんな感じになるかを事前に理解する。

DIRTT's ICEReality is VR software used for office and interior design.

DIRTTのICErealityはオフィスやインテリアデザインで使うVRソフトウェアだ。

DIRTTの協同ファウンダーでCTOのBarrie Lobergによると、ICErealityはOculus RiftやHTC ViveのようなVRヘッドセットで使うとさらに没入的な体験ができるが、スマートフォンやタブレットでも使える。

まだ完全な画面描画が行われないので、テキストや情報がビデオにオーバレイされる。DIRTTによれば、これはVRでもARでもなく“混成現実(mixed reality)だ、という”。

彼曰く、“ユーザーがデザイン変更などをリアルタイムでできて、結果をすぐに見られるから、従来の3Dのシミュレーションより良い。望み通りのデザインが完成したら、それをそのままオーダーできる”。

Lobergの展望は、このような良質なデザインツールにより、高価につくミスや途中変更を防げることだ。これまでは、もう変更はできない!という、あまりにも遅すぎるタイミングで大きな変更を要請されたりしていたのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))