昨年廃業したKubernetesインフラ管理のContainershipの資産を日立の米子会社が買収

日立製作所の米国子会社であるHitachi Vantara(ヒタチ・ヴァンタラ)は、企業のデータ管理を助けるハードウェアやソフトウェアを開発している。同社は米国時間3月10日、Containership(コンテナシップ)の資産を買収したことを発表した。Containershipはコンテナエコシステムの初期のメンバーのひとつだが、昨年10月に業務を停止した。

2015 Disrupt New YorkのStartup BattlefieldでデビューしたContainershipは、コンテナ化されたワークロードを複数のクラウド間で移動するサービスとしてスタートした。しかしその後、コンテナサービススタートアップの多くがそうであったように、もっぱらKubernetes(クバネティス)にフォーカスするようになり、企業のKubernetesインフラストラクチャの管理を助けるサービスを提供した。業務を停止する直前には、主にKubernetesのマルチクラウド展開を管理するサービスを提供していた。しかし同社のKubernetes関連プロダクトは収益化が遅れ、今ではそのウェブサイトも存在しない

Hitachi Vantaraのデジタルインフラストラクチャ部門のCOOを務めるBobby Soni(ボビー・ソニ)氏は「ContainershipはKubernetesクラスターとコンテナ化アプリケーションの、パブリッククラウドとプライベートクラウドおよびオンプレミス環境における容易なデプロイと管理を可能にする。そのソフトウェアは、Kubernetesを使っている企業が直面するクラウドネイティブの重要な問題、例えばパーシステントなストレージのサポートや認証の一元化、監査のロギング、継続的デプロイメント、ワークロードの可搬性、費用分析、オートスケール、アップグレードなどなどを解決する」と語る。

Hitachi Vantaraによると、同社の買収対象としてContainershipの顧客契約や社員は含まれず、Containershipのブランドを保全する計画もない。「ContainershipのIPをベースとして新しいプロダクトを開発することが目的である。それらのプロダクトが実際に供用される時点で以前の顧客が再び関わってこられることを期待したい」と同社のスポークスパーソンは説明する。

買収の価額は公表されていない。ピッツバーグに本社を置くContainershipは、2014年の創業以来約260万ドル(2億7121万円)しか資金を調達していない。その早逝の1〜2年前からは、まったく音沙汰がなくなっていた。買収価額もそんなに高くはなかっただろう。これまでの投資家は、Birchmere VenturesとDraper Triangle、およびInnovation Worksだった。

Hitachi Vantaraによると、同社のKubernetesコミュニティとの関係は継続する。ContainershipはCloud Native Computing Foundationのメンバーで、この買収を機にメンバーではなかったHitachi Vantaraも変わるかもしれない。

関連記事:ContainerShipはコンテナ化したアプリケーションのマルチクラウド展開を助ける

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マルチクラウドコンテナサービスContainerShipがついにKubernetesを積極導入

Disrupt NY 2015でデビューしたContainerShipは、コンテナに収めたアプリケーションの、さまざまなクラウドプラットホーム上へのデプロイメントを支援する。はじめ同社は主に、ユーザーのコンテナを扱うためにDockerと同社独自のコンテナ管理ツールを使用していたが、しかし今日(米国時間7/25)からは、Googleで生まれたコンテナオーケストレーションツールKubernetesをサポートすると発表し、完全な管理を伴う同社のKubernetesプロダクトを立ち上げた。

ContainerShipの協同ファウンダーでCEOのPhil Doughertyは、次のように語る: “最近の5年間でKubernetesの採用が爆発的に増えて、うちとしてもスケジューラーとしてKubernetesを統合せざるをえなくなった。顧客はうちのスケジューラーに満足していたが、KubernetesプロジェクトやCloud Native Computing Foundationなどの団体の最近の動向を見ると、マーケティングの見地からKubernetesを無視できなくなった”。

ContainerShipの初期のフォーカスは、複数のクラウドプロバイダ間の移行を容易にすることにあり、今でもその名残はある。Doughertyが強調するのは、ContainerShipの仕事はユーザーがKubernetesのクラスターをローンチして、同社のロードバランシングやファイヤウォール、ユーザー管理などの機能を使っていく過程を、支援することにある。それらのタスクを容易化するサービスの一環としてContainerShipでは、今のデプロイメントのスナップショットを取り、それを他のデータセンターやクラウドプラットホームに容易に移行できる。ユーザーは同社のマーケットプレースで、新しいサービスを自分たちのクラスターに迅速にインストールできる。

同社自身のコンテナオーケストレーションサービスは今後もサポートを続けるが、Kubernetesの勢いは強力なので、長期的にはKubernetes一本に絞ることもありえる、とDoughertyは語る。

今回の‘Kubernetes化’の一環として、現在社員数10数名のContainerShipはKubernetesを採り入れている他の企業、たとえばCoreOS, Deis, Red Hat(とそのOpenShiftプラットホーム)などと組んで仕事をしていくことになる。Doughertyの考えでは、同社のマルチクラウド技術が彼らのサービスに良く切れる刃を与えるはずだ。

コンテナサポーターの業界は最近ますます混み合ってきたから、ContainerShipも単純に完全な管理が付随するサービスを提供していくだけでなく、料金体系にも工夫をこらそうとしている。これまでは簡単明瞭に、ユーザー一人あたり月額8ドル(あるいは1時間あたり0.011ドル)という料金だったが、これからは評価のための試用をしたいデベロッパーのための無料プランを設ける。その無料プランには、ロードバランシングやファイヤウォール、スナップショット、ロールベースのアクセスコントロールなどが含まれない。またサポートは、従来のオンデマンドサービスに加えて、月額制を導入する。

ContainerShipの完全な管理を伴うKubernetesプロダクトは、料金が年額50000ドルからで、24/7のサポートがつく。コンテナ化するサービスが三つ以下で、サポートは24/5でよいユーザーは、年額25000ドルになる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ContainerShipはコンテナ化したアプリケーションのマルチクラウド展開を助ける

containership5

今日(米国時間5/5)のDisrupt NYでは、ContainerShipがステージに登場して、コンテナに収めたアプリケーションを複数の異なるクラウドサービスへ容易にデプロイする技術を紹介した。ContainerShipは、このところ雨後の筍しているコンテナ関連サービスの一つで、アプリケーションをたとえば複数のクラウドプロバイダにまたがって展開する作業を助けてくれる。

ContainerShipのチームが述べる彼らの目標とは、ユーザ企業のインフラストラクチャを“ポータブル”にすることだ。

ContainerShipは、オープンソースでありながら商用化を志向している企業だ。つまりコアプロダクトはオープンソースだが、ContainerShip Cloudと呼ばれるプロダクトはユーザの頭数をベースとする有料制だ。

ContainerShipのセールスポイントは、ポータビリティ。同社は、ホスティングプロバイダの乗り換えをもっと簡単にやりたい、というデベロッパの願いに応える。簡単にとは、そのことに伴う複雑な技術をラップしてしまう、ということだ。そうやって面倒な部分をすべてContainerShipが引き受けるから、デベロッパは自分のアプリケーションを新しいクラウドプロバイダや、現在のプロバイダの新たなリージョンへ、容易にデプロイできる。

同社は、最初のうちは中小企業のスタートアップを主な顧客にしていきたいが、能力的には今からでも大企業のニーズに対応できる、と言っている。

今のところ同社のサービスの利用は無料で、いずれは有料化すると言っているが、その‘いずれ’がいつのことかは、未定だ。

今Dockerには、おそらくあなたご自身も含め、多くのデベロッパが夢中になっている。でも一歩引いて世界を見渡してみれば、大企業の世界ではレガシーでオンプレミスの技術への訣別が始まっている。だからそこには、ContainerShipのような企業が活躍すべき大きな機会が眠っている。Dockerの勢いは当分衰えないだろうから、ContainerShipが作っている“金鉱掘用のつるはし”も、順調に売れていきそうだ。

  1. containership11.jpg

  2. containership10.jpg

  3. containership9.jpg

  4. containership8.jpg

  5. containership7.jpg

  6. containership6.jpg

  7. containership5.jpg

  8. containership4.jpg

  9. containership3.jpg

  10. containership2.jpg

  11. containership1.jpg

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa