クアルコムがPC向けArmベースSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」発表、5nmプロセス採用・前世代比でCPU性能85%向上

クアルコムがPC向けArmベースSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」発表、5nmプロセス採用・前世代比でCPU性能85%向上クアルコムは、Snapdragn Tech Summitの2日目に、前世代比で85%の性能向上を達成した、ArmベースのSoC(システム・オン・チップ)「Snapdragon 8cx Gen 3」を発表しました。クアルコムがPC向けArmベースSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」発表、5nmプロセス採用・前世代比でCPU性能85%向上

「Snapdragon 8cx Gen 3」は、世界初のWindows PC向け5nm SoCです。

前世代(8cx Gen 2)と同等の消費電力ながら、CPU性能は最大85%向上。競合するx86プラットフォームと比較して、1Wあたりの性能は最大60%上回り、ノートPCで数日間のバッテリー寿命を実現するといいます。

GPU性能も前世代から最大60%向上。動画・写真の編集・ビデオ会議といったGPUに負荷がかかる場面でのグラフィックス・ソフトウェア体験を向上させています。フルHD(最大120fps)のゲーミングをサポートし、前述の電力効率とあわせ、バッテリー駆動でも競合プラットフォームに比べ最大50%長くゲームプレイを楽しめるといいます。

スマートフォンと同じSnapdragon X55 / 62 / 65モデムをサポートし、4G / 5Gネットワークにも常時接続可能。最大10Gbpsの5G通信にも対応します。クアルコムがPC向けArmベースSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」発表、5nmプロセス採用・前世代比でCPU性能85%向上

SoCに統合したISP(画像処理プロセッサ)によって、オートフォーカス・オートホワイトバランス・オート露出をユーザーの動きや照明の状況によって適切に設定し、高品位なビデオ会議が可能。

最大4つのカメラや4K HDRカメラにも対応。AIを活用し、ビデオ会議中に犬の鳴き声のような不必要な背景音を取り除くことも可能です。なお、AI性能は29+TOPS(1秒間に29兆回以上の演算を実行可能)となっています。

クアルコムがPC向けArmベースSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」発表、5nmプロセス採用・前世代比でCPU性能85%向上

Snapdragon 8cx Gen 3の概要

エントリー向け Snapdragon 7c+ Gen 3も発表

6nmプロセスを採用した、よりエントリー向けとなる「Snapdrgaon 7c+ Gen3」も発表。

こちらはWindows PC / Chromebook向けで、CPU性能は先代比で最大60%、GPU性能は最大70%向上。AI性能は6.5 TOPSとなります。

Snapdragon X53モデムをサポートし、最大3.7Gbpsの5G通信も可能。最大2.9GbpsのWi-Fi6 / 6E通信もサポートします。

Snapdragon 8cx Gen 3 / 7c+ Gen 3搭載デバイスはそれぞれ2022年前半に登場します。

Engadget日本版より転載)

インテルの第12世代CoreプロセッサーはアップルM1 Maxより性能も消費電力も高いと明らかに

インテルの第12世代Coreプロセッサー「Alder Lake」はアップルM1 Maxより性能も消費電力も高いと明らかに

Intel

今年10月、アップルは新型14インチとおよび16インチMacBook Proとともに、最新AppleシリコンのM1 ProとM1 Maxを発表しました。ほどなくインテルが第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」を正式発表しましたが、その性能がM1 ProとM1 Maxをはるかに凌駕しながらも、代償として消費電力が高くなっているとのベンチマーク結果が公開されています。

第12世代Coreプロセッサの中で注目が集まっているのは、最上位モデルのCore i9-12900Kです。これには8基のPコア(高性能コア)と8基のEコア(省電力コア)が搭載され、高いパフォーマンスと電力効率の両立がうたわれています。

第12世代Coreプロセッサはデスクトップ向けですが、アップルのM1 ProおよびM1 Maxも今後27インチの新型iMacへの採用が噂されており、これらの性能を比較するのは興味深いことと言えます。

さて最初に登場したCore i9-12900Kのベンチマーク結果は、定番テストアプリGeekbenchの公式集計サイトGeekbench Browserに投稿されたものです。それによると同プロセッサの平均マルチコアスコアは約1万8500に対して、M1 ProおよびM1 Maxの平均マルチコアスコアは約1万2500であり、約1.5倍の数値となっています。

これだけ見ればCore i9-12900Kの性能は圧倒的ですが、ハードウェア情報サイトAnandTechは追加のベンチマークを公開しています。そちらでもCore i9プロセッサがM1 ProおよびM1 Maxよりもかなり高速であるには違いありませんが、同時にはるかに多くの電力を消費していると確認できます。インテルはこのチップにつきベース周波数で最大125W、Turbo Boost時には最大241Wの電力を使用すると記載しています。

また下位モデルの第12世代Core i7-12700Kも、Geekbench 5の結果ではM1 ProおよびM1 Maxよりも高速ではあるものの、やはり電力を多く消費しています。

デスクトップならば無制限に電力を使っても問題がなさそうではありますが、より小さな電力かつ発熱の低さ(およびファンが回らないこと)や、モバイルで使うときのバッテリー駆動での効率を重視する人には、M1 ProおよびM1 Maxが用途に合っていると言えそうです。

アップルは2020年6月にMacをAppleシリコンに移行すると発表したさい、自社のチップが市場で最も高速になるとは言わず「ワット当たりのパフォーマンス」が業界最高になると約束していました。最新のM1 ProとM1 Maxも確かに公約を達成しており、デスクトップ向けとしても性能のために電力消費を(ある程度は)度外視するインテル製チップとは上手く棲み分けできるかもしれません。

(Source:Geekbench BrowserAnandTech。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

Apple

アップルがMacのプロセッサをインテル製から自社開発のAppleシリコンに2年かけて移行すると発表してから、1年以上が経過しました。その影響により、今後インテルのノートPC向けCPU市場シェアが大きく落ち込むとの予測が報じられています。

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、M1チップを搭載した4台のMacとそれに続く(Appleシリコン搭載Mac)リリースにより、今年(2021年)のインテルはアップルからの受注のうち50%を失うとのこと。さらに、最終的にはアップルからの受注がゼロになることで、2023年にはインテルのノートPC向けプロセッサの市場シェアは80%を下回るとの見通しが述べられています。

そればかりか、アップルが自社開発した一連のArmベースプロセッサ(Appleシリコン)は、2022年にはインテルのシェアから大きな割合を奪う重要な役割を果たすとの情報筋の予想も伝えられています。

2023年にインテルのシェアが80%を下回るという概算は、具体的にはアップルに供給していた10%のシェアを失う一方で、AMDは10%のシェアを堅持するとの予想から。インテルはWindows PCやサーバー向けのCPU市場ではAMDとの熾烈なシェア争いを繰り広げる一方で、Macは一種の聖域ともなっていましたが、それが消え失せることは手痛い打撃となりそうです。

インテルはそうしたAppleシリコンが自社のビジネスに与える影響を認識しているようで、「Macにできないことがインテル製チップを搭載したPCにはできる」など複数のキャンペーンを展開しています。それに対しては結果的にインテル製CPUを採用した16インチMacBook Proを貶めていることや、MacがPCよりゲーム体験が劣るのはインテルと関係ない他社製GPUによるものではないかとの指摘もありました

現在のM1搭載Macは「低消費電力のわりに高性能かつ低価格」にこそ強みがあり、お金にも消費電力にも糸目を付けないインテル製チップ搭載のハイエンドPCにはピーク性能で及びません。が、32個もの高性能コアや128個ものGPUコアを搭載すると噂される次世代Appleシリコンが登場すれば、プロセッサ市場を一変させるゲームチェンジャーとなる可能性もありそうです。

(Source:DigiTimes。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

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アップルM1チップで「修正できない脆弱性」CVE-2021-30747が発見される、ただし悪用は困難

アップルM1チップで「修正できない脆弱性」CVE-2021-30747が発見される、ただし悪用は困難

Devindra Hardawar/Engadget

最新世代のMacが搭載するSoC 「M1」に修正不可能な欠陥が発見されました。ソフトウェア開発者のヘクター・マーティン氏が発見し”M1racles”と名付けたこの問題は、2つ以上の悪意あるアプリケーションが秘匿されたチャネルを構築して相互にやりとりできてしまうというもの。この通信はOSの機能を使わずに実行でき、異なるユーザー階層のプロセスをまたいでデータを相互にやりとり可能です。

ただ、マーティン氏によれば、この欠陥は”技術的には脆弱性”と言うことができるものの、実際にはほぼ無害と言って良いとのこと。なぜなら、この欠陥はMac内に保存されているデータを盗み出したり改ざんすることができず、外部からの感染ルートにもならないからなのだそう。

ただ、”技術的には脆弱性”であることに違いはないため、この欠陥には共通脆弱性識別子としてCVE-2021-30747が割り当てられました。マーティン氏も、この欠陥はあるプロセスから別のプロセスに密かにデータを送信できるという点で「OSのセキュリティモデルに反している」と述べています。

2018年初頭にインテル、AMD、Arm各社のCPUに発見されたMeltdown / Spectre脆弱性発見に関わった研究者のひとりマイケル・シュワルツ氏は、今回のM1チップにおける欠陥について「システム上のいかなるアプリケーションに関する情報を推測するためにも使用することはできない」と述べ「アプリケーション間の通信手段は他にもたくさんあり、それがひとつ増えたところでセキュリティに影響することはない」としました。ただし、「とはいえ、”意図しない通信経路”として想定外に使われる可能性はあるので、脆弱性と呼ぶのが妥当」だと述べ ”実質的に問題はないけど脆弱性” という、発見者と同じ認識を示しています。

ただ、もしこれがiPhoneのSoCで見つかっていれば話はまた違ってくるようです。”意図しない通信経路”はiOSアプリの安全性の要とも言えるサンドボックス構造をすり抜ける可能性があります。とはいえ、この場合2つのアプリが共にApp Storeの審査を通過して、さらにターゲットとなるiPhoneに共にインストールされる必要があるため、実際にiPhoneにこの脆弱性があったとしても、悪用の可能性は非常に低いと言えるでしょう。

要するに、この問題は問題ではあるものの問題なしと思っておいて良い、ということです。

(Source: M1raclesEngadget日本版より転載)

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