FacebookのCreator Studioにモバイル版が登場

FacebookのCreator Studioにモバイル版が追加された。Creator Studioは、2018年8月に全世界で利用可能になったクリエイターとパブリッシャー向けのインサイトダッシュボードだが、今回、iOSとAndroidの両方のモバイルアプリとして利用できるようになっている。デスクトップ版のCreator Studioと同様に、ユーザーはFacebookのページ全般に渡ってコンテンツのパフォーマンスを追跡し、記事の公開、投稿スケジュールの設定や調整、ファンからメッセージへの返信などが可能となる。

画像クレジット:Getty Images

Facebookの北ヨーロッパのエンターテインメント担当ディレクターAnna Higgs(アンナ・ヒッグス)氏は、先週のVidCon Londonで、Facebookに400万人を超えるフォロワーを持つクリエーターLadbaby(ラドベイビー)氏とともにステージに登場し、新しいアプリ公開のニュースを発表した。

アプリには、クリエーターやパブリッシャーにとって役立つ、メトリックやインサイトのセクションなど、いくつかの重要な領域がある。ここでユーザーは、ページ単位と記事単位のどちらでもインサイト、リテンション、ディストリビューションといったメトリックを分析し、状況に応じて戦略を調整できるようになる。たとえば「動画の1分再生数」、「動画の3秒再生数」、「再生時間」といった、コンテンツのパフォーマンスのメトリックが得られる。さらにコメントや共有、フォロワー数、収益など「エンゲージメント」のメトリックを得ることもできる。

またこのモバイル版アプリでは、すでに公開された投稿と、スケジュールされた投稿の両方を表示することができる。クリエーターはビデオのタイトルや説明の編集など、その場で修正が可能だ。さらに投稿の削除や、期限切れとしての設定、リスケジュール、ドラフト版の公開といったことも可能となる。

「受信箱」セクションでは、ユーザーが外出中でも、受信したメッセージに返信したり、コメントを返したりできる。

クリエーターは、同じセッションの中で、複数のアカウントを切り替えることもできるので、いったんログアウトして、別のユーザーとしてログインし直したりしなくても済む。これは、大規模なソーシャルメディアを管理している人や、複数のクリエーターページのサポートを生業としている人にとっては、ありがたい機能だろう。

このCreator Studioアプリを使って、大きな機会や重要なイベントに際して即効性のある通知を送信することも可能だ。

Facebookが、クリエイターのコミュニティに向けて専用アプリを提供したのは、これが初めてではない。同社は2017年にも、統合された受信箱、分析機能などを持つCreatorアプリを投入していた。しかし、そのアプリは2019年初めごろに廃止され、クリエイターはPages Managerアプリ、またはCreator Studioのデスクトップ版への移行を余儀なくされていた。さらにその前にもFacebookは、あらかじめ認定された有名人や、そのページでのみ利用可能なMentionsアプリを提供していたこともある。

新しいCreator Studioアプリは、廃止されたCreatorアプリをそのまま置き換えるものではない。似たような機能は提供しているが、まったく同じというわけではなく、ユーザーインターフェースも異なっている。また、Instagramの統合機能はなく、新しいコンテンツをアップロードしたり、投稿したりする機能も欠いている。後者は、リリース後のアプリのユーザーレビューが低い原因となっている。また、Pages Monitorアプリとオーバーラップする部分が多すぎるという不満も多く聞かれる。ただし、欠落している機能については、今後Facebookがアプリに機能追加していくに従って搭載されていくものと思われる。

ところで、FacebookのCreator Studioアプリが、同じくクリエーター向けの、YouTubeのサービスに似た名前であることに気づくだろう。YouTube Studioは、2017年にYouTube Creator Studioから名称が変更された。アプリの名前に「Studio」と「Creator」の両方を含むことで、App Storeの検索結果に対して良好な効果が得られるかもしれない。たとえば、誰かが「クリエーター向けのYouTubue Studio」を検索したとき、近い名前のアプリとして表示される可能性が高まるからだ。こうした名前の付け方も、才能あるビデオクリエイターを惹きつけようと躍起になっている両社の競合関係を反映したものだろう。

モバイル版のCreator Studioアプリは、iOS用もAndroid用も無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

インスタとIGTVに投稿スケジューリング機能を導入

Facebookは、米国時間9月16日に、アムステルダムで開催されているIBC(International Broadcasting Convention、国際放送会議)のセッションで、ビデオクリエーターとパブリッシャー向けの各種アップデートを発表した。その中には、Facebookのライブビデオのブロードキャスト機能であるWatch Party(ウォッチパーティ)、Creator Studio(クリエイタースタジオ)のアップデートが含まれている。細かく見ていくと、ツールの増強、機能の拡充、分析の改良などがある。

中でも目立っているのは、ライブブロードキャストの準備と生放送のための機能強化、Watch Partyイベントの効果的な活用方法、ビデオのパフォーマンスを追跡測定する新たな方法、そしてこれまで待ち望まれていたInstagram/IGTVコンテンツを最長6カ月前からスケジューリングするためのオプションなどだ。

ライブビデオ

ライブビデオに関してFacebookは、Facebook上で実際にライブで放送している人たちからのフィードバックに耳を傾けた。そしてリクエストの多かった機能を、プロフィールではなくFacebookページで利用できるよう、現在展開しているところだという。この変更は、Facebookのライブ放送機能を、たとえばYouTubeのようなプラットフォームに代えて、あるいはそれらに加えて利用したいと考えているプロのブロードキャスターの要求に応えるもの。

パブリッシャーは、LiveのAPIを利用して、ライブ放送について「リハーサル」機能が使えるようになった。この機能が利用できるのは、ページの管理者と編集者だけだが、新たな制作環境やインターラクティブな機能をテストしたり、実際の視聴者に公開する前に、フォーマットを確認したりすることができる。Facebook上で、月に何百時間ものライブをブロードキャストしているQVCも、この機能をテストした。新しいワークフローとフォーマットを試してみたかったからだ。

パブリッシャーでは、ライブビデオの最初と最後の部分をトリミングすることもできるようになる。また、以前の上限が4時間だったのに対し、その2倍に相当する最大8時間ものライブをブロードキャストすることが可能となった。

この時間の延長は、例えばすでにNASAが活用し、8時間にわたる宇宙遊泳をブロードキャストしている。また、ライブスポーツ、ニュースイベント、あるいはTwitchのようなゲームのブロードキャストに対しても、余裕のある時間枠となっている。

おそらく最も注目すべきことは、ライブのブロードキャスターはFacebook以外の視聴者も対象に放送する必要があるということを、Facebookが認識したことだろう。今後パブリッシャーは、複数のストリーミングサービスに対して同時にブロードキャストすることを可能にするアプリを利用できるようになる。これもLive APIの同時放送機能を利用したもの。

同社によると、ライブビデオ機能は、最近Facebook Liteでも利用可能になったという。

Watch Party

Facebookはさらに、同時視聴機能であるWatch Partyについてもいくつかの新しい機能を発表した。これには、Facebookページで事前にパーティーをスケジューリングして予告する機能、パーティに参加しなかった人も放送後にビデオを楽しめる「リプレイ」のサポート、ブランドのコンテンツでビジネスパートナーにタグを付ける機能、さらに新しい分析機能が含まれている。

分析機能としては、2つの新しい測定指標がCreator Studioに追加された。Minutes Viewd(視聴分数)と、Unique 60s Viewers(Watch Partyで少なくとも60秒間視聴したユニークなユーザーの総数)だ。これらは、リーチやエンゲージメントといった、既存の指標を補完するもの。

Live Commenting(ライブコメント)機能は、Watch Partyでホスト自らがコメントをライブで表示できるようにするもの。これも全世界的に利用可能となった。

Creator Studio

そして最も大きなアップデートが、Creator Studioに組み込まれた。パブリッシャーは、これを使ってFacebookとInstagramの両方に対してコンテンツを投稿し、管理し、収益化し、評価することができる。

Creator Studioのダッシュボードには、もうすぐLoyalty Insights(ロイヤルティのインサイト)に新しい視覚化レイヤーが追加される。クリエイターは、どのビデオに視聴者が戻ってくるかを計測することで、忠実なファンが見たいのはどのビデオなのかを把握することができる。

新しいDistribution(配信)指標は、ページの各種指標の履歴の平均に基づいて、個々のビデオのパフォーマンスに点数を付けるもの。その指標には、1分再生数(動画が1分以上再生された回数)、平均視聴時間、リテンション(持続率)といったものが含まれる。この機能は、今後数カ月の間に展開される予定だ。これにより、ビデオのパフォーマンスがわかりやすい数字で把握できるようになる。

Creator Studioは、さらに13の言語について、自動キャプション付け機能のサポートを追加する。内訳は、アラビア語、中国語、ドイツ語、ヒンディー語、イタリア語、マレー語、ロシア語、タガログ語、タミル語、タイ語、トルコ語、ウルドゥー語、ベトナム語だ。これ以前には、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の4言語が、すでにサポートされていた。

InstagramとIGTVのスケジューリング

そして最後に取り上げる機能は、パブリッシャーとクリエイターが、Instagramのフィードと、IGTVのコンテンツを、最長6カ月前から、スケジューリングして公開できるようになるというもの。Facebookによれば、あと数カ月のうちには、InstagramのフィードとIGTVの下書きと編集機能も利用できるようになるという。

これらの機能は、今回の発表の前に非公式に発見されたことが報告されていて、Instagramの管理者やインフルエンサーのコミュニティをにぎやかにしていた。実は、昨年のInstagramのAPIの更新によって、先にサードパーティのアプリケーションによるスケジューリングは可能となっていた。ただし、純正アプリによる機能は、そうしたAPIを使ったサードパーティの機能に比べると、制約の少ないものとなっている。

この機能は、現在、Facebookページのすべてのクリエイターとパブリッシャーに公開されている。これまでは「近日公開」のように表示されたり、実際には動作しない状態となっていたものだ。ストーリーのスケジューリングについては、まだ実現されていない。しかし、今後いつの間にか追加されたとしても驚くには値しない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)