データサイエンスとAIの作品でコンペを行うKaggleが国土安全保障省の空港のセキュリティ改善策懸賞に協力

空港のセキュリティを通ることは、どこでもうんざりする体験だ。しかも遅くて人に対し侵害的なプロセスでありながら、TSA(上図)には、脅威を未然に防いだという立派な実績があまりない。そこで国土安全保障省は、データサイエンスのソリューションのコンペを主催しているKaggleの協力を仰いで、空港のセキュリティシステムをより正確かつ効率的にするための、機械学習ツールの懸賞を開催している。

今年の早い時期にGoogleが買収したKaggleは、機械学習の難問の新しい視点による解を競う懸賞付きコンペを、定期的に主催している。今年の三度目のコンペであるこの危険検出アルゴリズムの改良というお題の懸賞は、賞金総額が100万ドルを超えている。

優勝賞金が50万ドルで賞金総額150万ドルのこのコンペの応募作品は、人間が身につけている危険物を正確に予見するアルゴリズムやシステムだ。機械学習を訓練するための画像データ集は、TSAが提供する。服をちゃんと着ていても武器の携行が分かる、という画像の集合だ。プライバシー保護のために、それらは実際の写真ではなくてTSAが作った画像だ。

コンピュータービジョンのスタートアップMatroidのファウンダーでCEOのReza Zadehはこう言う: “このコンペの結果から、実際にそんなシステムを作ったらどれほどのものができるか、その目安が分かるだろう。でも結果がどうであれ、現場の警備員が確実に危険物を見逃さないようにするための、補助的システムは絶対的に必要だ”。

これら17のボディゾーンのどれかに武器が隠されている可能性を検知するシステムが、コンペの課題だ。

もちろんTSAそのものが具体的に機械学習の問題を抱えているわけではない。むしろこのお役所の問題は、高価で複雑なマシンを自力でアップグレードする技術力がないことと、高価とはいっても、今の民間のデータセンターに見られる高度なGPUをまったく導入していないことだ。しかしGoogleやFacebookなどは、軽量級の機械学習フレームワークに重点投資し、エッジで〔各末端現場で〕ローカルに(インターネットなしで)使えるよう最適化しているから、TSAもそれらなら利用できるだろう。

そしてそれなら、コンペの応募作品がいきなり実際に空港の人体スキャンマシンで使われることもありえる。事前に訓練するほかに、いくつかの制約条件に合わせればよいだけの話だ。国土安全保障省も、真の評価のためには実地テストが必要だから協力する、と言っている。

Kaggleを作ったAnthony Goldbloomは、“エンドユーザーマシンに高速なGPUがないのは厳しいが、でも推論部分はヘビーな計算をしないからね”、と言う。

もうひとつの懸念は、危険検出を自動化した場合に起きうる、名誉毀損的な状況だ。旅行者が、身におぼえのない嫌疑をかけられるおそれがある。しかしTSAが作った訓練用画像のデータセットは、それを防ぐための工夫がしてある。

“TSAはそれに関してはいい仕事をしている。ボランティアを採用するときも、特定のタイプの人〔宗教、民族等〕が不名誉な誤認をされないために、十分なダイバーシティ(多様性)を確保するようにしている”、とGoldbloomは念を押す。

近い将来、応募者はGCP(Google Cloud Platform)を(使いたければ)使えるようになる。フレームワークも、KaggleがGoogleの企業だからといって、必ずTensorFlowを使わなければならないことはない。コンペの詳細はここにある。締め切りは12月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Kaggleを買収したGoogleが早くもコンペの主催者に…機械学習のユニークなアプリケーションで賞金100万ドル、7社のVCが協賛

Googleはデータサイエンスのコミュニティ(コンペの主催プラットホーム)Kaggle買収に続いて、今度はGoogle自身が機械学習のコンペを開催することになった。Googleはとくに、機械学習に革新的な姿勢で臨んでいる若いスタートアップに期待している。

このコンペはSequoia, KPCB, GV, Data Collective, Emergence Capital, Andreessen Horowitz, Greylock、計7社のVCがパートナーとして賛助する。そしてData CollectiveEmergence Capitalは、優勝者の賞金100万ドルを半分の50万ドルずつ折半する。

応募資格としてGoogleのサービスの利用はないが、Google CloudとTensorFlowを使う応募者にはそれなりの副賞がある。すなわち“Build with Google”賞(Googleで作ったで賞)は、100万ドルぶんのGCP(Google Cloud Platform)クレジットとGoogle Cloudのエンジニアからの協力、そしてG Suiteの12か月の利用権10名ぶんだ。この賞の次位企業は、優勝者の半分のGCPクレジットと、そのほかの副賞(優勝者と同じ)を授与される。また、予選を通過した全社は、20万ドルぶんのGCPクレジットと、優勝者と同じG Suite利用権が得られる。

審査の基準は、機械学習の実装の‘ユニークさ’とされる。VCの一般的な基準、たとえばスケーラビリティとか、プロダクトの市場適性、スキル力、チームの結束力なども勘案される。

Googleは、テクノロジー系のスタートアップだけでなく、医療、エネルギー、リテールなどさまざまな専門分野からの応募も期待している。Googleにもコンペを主催した経験は過去にあるが、データサイエンスや機械学習のコミュニティへの訴求は、今週初めに行われたKaggleの買収に負うところが大きい。一方KaggleのCEO Anthony Goldbloomは、この買収によってコミュニティがGoogle Cloudをより高度に利用できる点が魅力、と言っている。

応募企業は、これまでの資金調達額が500万ドル未満であることと、アメリカ合衆国の法人であることが条件だ。応募の受け付けは、今日(米国時間3/10)から4月16日までだ。予選通過者が決まるのは6月、そして最終決戦は夏の終わりごろになる。

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機械学習を利用して肺がんの兆候を早期発見する技術でKaggleが賞金100万ドルのコンペを主催

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データサイエンスのコンペを毎年主催してほぼ10年になるスタートアップKaggleが、今度の賞金総額100万ドルのコンペでは、肺の中の癌になりそうな病変組織を見分ける今よりも良い方法を募る。この2017 Data Science Bowlと名付けられたコンペの資金提供者はLaura and John Arnold FoundationとBooz Allen Hamiltonだ。

目標を限定したコンペで高額賞金、というケースは、今回が初めてではない。昨年の同コンペでは心臓病の兆候を見つけるデータ分析技術に20万ドルの賞金が提供された。さらにその前年は、海の健康診断、という課題だった。

でもこれまでで最高額の賞金は、今年の100万ドルだ。優勝者が50万ドル、2位、3位、4位がそれぞれ20万、10万、2万5000ドルとなる。〔4位は複数か?〕

Kaggleは2010年にAnthony GoldbloomとBen Hamnerが創設した。これまですでにKhosla Ventures, Index VenturesなどからシリーズAで1100万ドルを調達している。

Goldbloomは本誌に、“うちは、データサイエンスのホームのような企業でありたい”、と語った。

同社の収益源は、このサイトでコンペを行う企業や財団などからの出資金の一部だ。また80万名近い会員のための求職求人掲示板からの収益もある。

2017 Data Science Bowlがローンチしたのは今朝(米国時間1/12)だが、すでに300のチームからの提出物がある。Goldbloomによるとこれらの提出物の多くは、提出の早さを競って自慢するためだ、という。しかし2017年4月12日の締め切りまでに、一日平均5件の提出がある、という予想だ。

参加チームは、国立癌研究所(National Cancer Institute)が提供する肺のスキャン画像を使って自分たちのモデルを作る。目標は、今のソリューションが不適切である最大の理由、すなわち高い偽陽性率を、大幅に減らすことだ。

GoogleのDeepMindMicrosoftには、どちらにも、目のスキャン画像を分析して今後失明になりそうな兆候を見つける機械学習モデルとそのためのリソースがある。

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Google Mapsのクラウドソースの地図エディティングツールMap Makerが閉鎖、Local Guidesへ移行

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【抄訳】
2008年以降、Google Mapsには、世界中の誰もが地図データを寄与貢献できるツールMap Makerがあった。そのツールが、閉鎖される。Googleはこのプロジェクトのフォーラムで今日(米国時間11/8)、独立のプロダクトとしてのGoogle Map Makerは2017年3月に撤退する、と発表した。しかしGoogle Mapsへのクラウドソースの寄与貢献が終わるわけではなく、それらはGoogleのLocal Guidesプログラムへ移行する、としている。

Local Guides(地域案内)は、今や古くなったMap Makerサービスの現代版、と言えなくもない。

Map MakerサービスではMap上にオンラインのツールとエディターが現れて、誰もが地図情報のアップデートを投稿できる。それをモデレーターが認めたら、地図上に反映される。その重要な目標は、僻地や低開発国など詳細な地域地図のないところで、Google Mapsに道路や事業所などの情報を盛り込むことだった。

しかしご存知のように、Map Makerのクラウドソース機能が悪用される事件も相次いだ。たとえば2015年には、AndroidのマスコットキャラクターがAppleのロゴにおしっこをかけている絵がMap Makerを使ってGoogle Mapsに載った。Googleは、そんないたずらがあるたびに、Map Makerを一時的に閉鎖せざるを得なかった

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そうやってMap Makerがコミュニティの管理で苦労している間に、GoogleはLocal Guides の開発に着手していた

この企画はYelp ElitesのGoogle版とも言われ、ボランティアがGoogle MapsやGoogleの企業リストに貢献すると、ポイントがもらえたり、イベントに招待されたり、新しい機能に一般よりも早くアクセスできたりする。

ポイントは地図への貢献だけでなく、レビューを書いたり、写真をポストしたり、いろいろな理由でもらえる。

またMap Maker独特の機能、たとえば道路をエディットする機能などは、2027年3月の閉鎖以降、Local Guidesで利用できるようになる。機能が可利用になれば、プロダクトのWebサイト: Map Maker Help ForumLocalGuidesConnect.comで告知される。

また今日以降は、Google Mapsに提出されたエディットはMap Makerのモデレーションを経由しない。それは作業を簡素化して、それらのエディットの公開を早めるためだ、とGoogleは言っている。

同じような機能がMap MakerとLocal Guidesの両方にあってもしょうがないし、Guidesの承認プロセスではいたずらを防げそうだから、今回の閉鎖と移行はよろしいけれども、問題は、Map Makerのけっこう高度なエディティング機能が、完全にGuidesでも提供されるのか、という点だ。

Googleはプロダクトの閉鎖を‘春の大掃除’でまとめてやることが多いが、今回のMap Makerの閉鎖は単独かつ静かだ。同じく昨日(米国時間11/7)は、映画サイトGoogle Showtimesが、やはり静かに閉鎖された。

【中略】

以下は、「Google Map MakerがGoogle Mapsを卒業する」と題する発表声明だ:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Mapsが各種の場所情報を一般ユーザーからクラウドソーシング、10億人の編集者がいる地図出版事業だ

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Googleの今朝(米国時間7/21)の発表によると同社は、ユーザーの力を借りてGoogle Mapsを改良しようとする動きを、さらに強めていく。それは、いくつかの新しい機能によってユーザーがもっと容易に詳しい位置情報を共有できるようにしたり、ほかの人が提案した編集の正否を確認できたり、というものだ。すでにこれらの変化を経験しているユーザーも多いが、今日Googleはそれらをオフィシャルにして、より広範な展開に備えている。

Mapsのアップデートは毎日“何百万”もやってる、とGoogleは言うが、あらゆる位置の情報が詳しくて正確、とまでは行っていない。そこで多くのユーザーに頼って地図サービスを改良していこう、という話になったのだ。

これからはユーザーが、欠けている場所(お店、施設、古蹟、etc., etc.)を加えたり、iOSやAndroidのGoogle Mapsアプリから、あるいはGoogle検索の中で、企業やお店の情報を訂正したりできる。すでにメニューには、”Suggest an Edit”(編集を提案する)や”Add a Missing Place”(欠けてる場所を加える)などの項目がある。

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ただし、編集はすぐには反映されない。一人のユーザーの入力がそれだけで正しいとは限らないからだ。

新しい編集が提案されると、ほかのユーザーの画面にその提案の内容が表示され、その提案の正否を投稿できる。十分に多い人たちが同じ情報を“正”と評価したら、地図に載る。ただしそれができるのは、今のところ、AndroidのGoogle Mapsと、iOSおよびAndroidのGoogle検索(Google Search)のみだ。

また、お店の情報も住所と営業時間だけでなく、もっと充実させようとしている。

今ではGoogle Mapsアプリがレストランなどを探すために利用され、Yelpの対抗馬になりつつある。Googleはこれまでも、レストラン情報の充実に努めてきた。今では営業時間、値段、メニュー、まわりの環境などなどの要素で今日夕食を食べる場所を探せる。

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しかしこれからは、従来のようにGoogleの内部的情報努力によってではなく、一般ユーザーの情報提供によって、飲み会に適しているか、とか、健康食や菜食メニューがあるか、などより細かいリアルなことが分かるようになる。この機能はGoogleのモバイル上の検索のほか、AndroidのGoogle Mapsにもある。

お店や企業の情報をGoogleがクラウドソーシングで集めるのは、これが初めてではない。昨年はお店のレビューや訂正情報を頻繁に投稿してLocal Guideの内容充実に貢献した人にご褒美を進呈する制度を始めた。

そして今回からは、これまでのクラウドソーシング努力を一挙にすべての一般ユーザーに拡大する。すべての一般ユーザーといえば10億人以上いるから、Google Mapsには膨大な数の編集者が存在することになる。すでにあなたの画面ではGoogle MapsやGoogle Searchにこれらのメニュー項目があるなら、あなたも立派に、編集者の一人だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

学習ツールを提供するDuolingo、新しいTinycardsで言語学習以外にも対応開始

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モバイル向けの教育アプリケーションでもっとも有名なものといえばDuolingoということになるだろうか。ただし、「教育アプリケーション」とはいっても、これまでは言語の学習に特化したものとなっていた。しかしこの度Tinycards(iOS版)というアプリケーションをリリースし、「記憶力」を使うものであれば多くの学習シーンで利用できるようになった。これまで同様に単語などを学習するのにも使えるし、その他にも公式や歴史年表、あるいはポケモンの名前やステータスを学習するのにも使えるのだ(ポケモン学習用のカードもTinycards内に用意されている)。

Tinycardsを簡単に言ってしまえば「フラッシュカード」式の学習ツールだ。Duolingoと同様に間隔反復(Spaced repetition)を用いる。進度管理方法についてもDuolingoで用いていたのと同じアルゴリズムを用いている。

lessons「Duolingoは、楽しく、かつ効率的に学ぶことのできる言語学習ツールとして世の中に受け入れられることとなりました」と、DuolingoのCEO兼共同ファウンダーであるLuis von Ahnは言っている。「Duolingoで培ったノウハウを、新しくフラッシュカードを用いた学習ツールに移植することで、覚え学習に苦労している子供たちの手伝いができると考えています。もちろん子供だけでなく、大人が教養を広げるために、新しいことを勉強する際にも役に立てると考えています」。

今回のTinycardsでも、学習の中に遊びの要素を持ち込んでいる。学習をすすめることにより新しいレベルにチャレンジできるようになるし、また学習しているカードを友だちとシェアすることなどもできる。言語(単語)学習以外にも可能性を広げたのはDuolingoにとって大きな進歩だといえるだろう。

Tinycardsを起動すると、まずはフォローするフラッシュカードクリエイターを決める画面となる。今のところ、カードの多くはDuolingo自身により制作されたものだ。Duolingoと同様に使うためのDuolingoカードもあれば、歴史を学ぶためのTinyHistoryというカードもある。他にはTinyScience、TinyGeoなどがある。Tinycards上で中国語が学べるように提携して導入したChineasyもある。

こちらで試してみた際には「ひらがな」コースを選んでもみた。Duolingo自身による日本語コースはまだないようだが、「ひらがな」カードを勉強することで、日本で用いられている文字のいくつかが読めるようになるかもしれない。

使い勝手はDuolingoと同じような感じだ。最初にカードの表と裏(単語学習時なら、学習している単語が表、裏にはその意味が書いてある)を見て学習し、そして閲覧したカードに関する質問に答えていくのだ。こちらで使ってみた「ひらがな」コースでは、記された読みをするひらがなを選んだり、読みをタイプしたりして学習する。もちろんこれだけで日本語の勉強ができるわけではない。ただ、日本語学習中に、文字や単語を勉強する際には良い副教材となることだろう。なお、日本語の基本フレーズを学んだり、あるいは動物の名前を日本語で言えるようにするためのカードも用意されている。

他にフィーチャーされているカードを見てみると、たとえばロシア語のアルファベットを学習するためのものや、あるいはヨーロッパの国名を学習するためのものなどが掲示されている。「ベオウルフ」(Beowulf)を学んだ人には懐かしい古英語を学習するためのカードもある(Beowulfのみを扱ったカードもある)。言語を学んでいるときに便利な機能だが、音声を認識して正誤を判断する機能もある。

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Duolingoによれば、すでに数百ものカードが登場しているのだとのこと。自前のカードを作りたければ、そうすることもできる。アプリケーションを使っている人の誰もがあなたをフォローする可能性があり、あなたをフォローした人には、アップデート情報が配信されるようになっている。なにか得意分野があるのなら、Tinycards経由で他の人の学習を支援するようなこともできるわけだ。

今のところ、Android版をリリースするのかどうかについての情報はない。しかしこれまでのAndroid対応を考えるなら、おそらくは開発中なのではなかろうかと思われる。

ちなみにDuolingoはこれまでに8330万ドルを調達している。Tinycardsを収益源に育てようという計画は、とりあえず今のところはないようだ。

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(翻訳:Maeda, H

ランサーズがライター特化のポートフォリオを公開、「WEBライティング技能検定」の是非も聞いてみた

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クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を手がけるランサーズが続々新サービスをリリースしている。3月30日には、配信したメールマガジンをウェブコンテンツ化することでコンテンツマーケティングを実現する「Propag(プロパグ)」を公開。4月19日には、個人のスキルを売買するマーケットプレイス「ランサーズストア」を公開している。そして4月25日には、ライター向けのポートフォリオサービス「Quant(クオント)」を公開した。

ライター1300人のポートフォリオを掲載

Quantはランサーズの社内ツールとして活用してきたツールをベースにした、ライター向けのポートフォリオサービスだ。ローンチ時点ではランサーズ上で活躍するトップクリエーター(ライター)1300人のポートフォリオを掲載する。サービスの利用は無料だが、クリエーター登録にはランサーズのIDを取得の上、ランサーズ側での審査に合格する必要がある。

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ポートフォリオのイメージ

サイト上では、クリエーターが登録するプロフィールや実績のほか、オーディエンスデータやエンゲージメント、ソーシャル拡散といった指標をランサー単位で表示できる。このポートフォリオは、ランサーズの法人向けサービスである「ランサーズ for Business」を利用する企業に無料提供される。

最近では朝日新聞社によるサムライトの買収などもあったが、クラウドソーシングを使ったコンテンツマーケティングのニーズはまだ増加中だとという。少し前の資料だが、ランサーズでもコンテンツ制作に関する依頼は2015年4月から11月の半年で4倍に伸びているという発表(実数は非公開)をしている。

そこで求められるのは、自分たちのマーケティングのために最適なコンテンツをどう作るかということ。Quantを利用すれば、例えば「旅行系の記事で30代の女性に対するソーシャル拡散や読了率が高い人」なんて条件で最適なライターを見つけることができるとしている。

実際この1300人はクライアントからの評価も高く、その結果高単価で仕事を受注しているのだそうだ。「単価は公表していないが、プラットフォーム上でやり取りされている金額の3〜5倍程度の金額で受注している」(ランサーズ)とのこと。

WEBライターの検定資格についても聞いてみた

ポートフォリオ自体は質の良いライターに仕事が回る仕組みでポジティブなモノだが、このタイミングで「クラウドソーシングで働くライター」と聞くと、最近ソーシャルメディアで話題になった「WEBライティング技能検定」の話にも触れざるを得ない。

1週間ほど前にいくつかのブログでこのWEBライティング技能検定の教材の品質に問題があるのではないか、また検定を受けるまでに4万円以上の費用がかかるのは高すぎるのではないか、ということが話題になった(実際に問題集を購入した方のブログ「Webライターとして生きる」などに詳しい)。例えば、「一次ソースの『ソース』の意味を答えよ」という内容の4択問題の選択肢の1つに「つけ汁のこと」という、おおよそ間違いようもないようなトンデモな内容が含まれていたりするのだそう。また検定の解答速報(筆記問題のみ)や例題はCPAJのサイト上で閲覧できるが、一例を挙げると「ハンドメイドについて240 文字以上300 文字以内で記述してください」といったもので、テーマと文字数を設定しただけの“作文”だったりする。そんな検定を主催しているのは一般社団法人 日本クラウドソーシング検定協会(CPAJ)。その理事の1社がランサーズなのだ。

この検定にまつわる騒動についてランサーズに尋ねたところ、「検定内容の制作に携わっておらずコメントできない」「協会の理事を務めるため、協会の公式見解が出るまで発言できない」とのことだった。そこでCPAJにも直接コンタクトをとってみた。

CPAJでも今回の騒動については把握をしているという。代表理事の南雲宏明氏はブログ等で指摘された内容が検定の教材であるとした上で、「半年かけて真剣に作ってきた。内容には自信がある」と語った。だが、先ほどの“つけ汁”のような選択肢が含まれた問題だって存在するわけだ。その点については「たまに関係のない、クスッとなる選択肢を入れて試験に飽きさせないようにする意図もあった」「個人的には誤解を招くような問題はなくすように至急動いていく」(南雲氏)とした。また価格については、「試験料や資格発行料など、(販売元である)ヒューマンアカデミーと決めた。一般の資格に準拠している」と説明した。

そもそも、この検定はすでにライターとして活躍している人ではなく、クラウドソーシングを通じてライティングに挑戦しようとしている入門者向けのものだと考えているという。実際、検定を採点するとほぼ満点を取る人か、半分ほどしか正解しない人に二分されるのだそうで、ライティングの知識がある程度あれば満点に近い点数を取れるような内容なのだそうだ。南雲氏はブログなどで指摘した人たちはそういった知識がある人たちだったのではないかとした。この検定はそんな人に向けたものではないということだろう。

また「技能検定」という名称が付いているが、これが職業能力開発促進法で定められた検定の為の名称ではないかともソーシャルメディア上で指摘されていた。これについては「今回の話以前から確認しているが、各所で『民間資格』とうたっているので問題ないという認識。ただしあまりに誤解を招くようであれば(名称変更を)検討したい」としている。

「色んなご意見があると思うが、関係者や各理事にもチェックを頂き、ヒューマンアカデミーとも立て付けを検討した。クラウドソーシング業界は慢性的に人が足りない。たくさんの人にクラウドソーシングのあり方を知って頂きたいというのがもともとの趣旨」(南雲氏)

生活密着型クラウドソーシングのエニタイムズが高野真氏、グリー、DeNAなどから2.3億円の資金調達—リアルでのマーケティングなど強化

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生活密着型のクラウドソーシングサービス「Any+Times(エニタイムズ)」を運営するエニタイムズ は5月21日、元ピムコジャパンリミテッド取締役社長でアトミックスメテディア代表取締役CEOおよびフォーブス ジャパン編集長の高野真氏、グリー、ディー・エヌ・エー(既存投資家)、その他個人投資家を引受先とする、総額2億3000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回調達した資金をもとにシステムの強化を進めるほか、マーケティングや人材の採用・育成を進める。

また、今回の調達とあわせて、高野真氏のほか、既存投資家であるインキュベイトファンドの和田圭祐氏が社外取締役に就任する。さらに、3月から同社のエバンジェリストとして活躍しているジャーナリストの佐々木俊尚氏がメディア顧問に就任する。

Any+Timesは、日常の家事や旅行の間のペットの世話、家具の組み立て、語学レッスンなど、生活に密着した「手伝って欲しいこと」「得意なこと」を提供しあえるクラウドソーシングサービス。同社はこれまで「生活密着型クラウドソーシングサービス」「生活密着型シェアリングエコノミーサービス」銘打ってサービスを展開してきたが、今回の発表にあわせて、Any+Timesを「サービス ECのマーケットプレイス」と再定義したそうだ。最近はスタートアップによる家事代行サービスなども増えているが、クラウドソーシングを使うことで、そういったものよりも柔軟な仕事の依頼ができるというわけだ。

ユーザー数は非公開とのことだったが、スマートフォンアプリのダウンロード数はiOS、Android合わせて13万2000件。現在は東京・多摩地区で慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科などと協力した地域人材活性化のための取り組みも進めるなど、リアルでのマーケティング活動も強化している。

合衆国エネルギー省がソーラーのソフトコスト低減のための起業企画を募集

このところ、アメリカの商用太陽光発電は、企業への政府補助と中国のメーカーとの厳しい競争で、価格が急落している。エネルギー省の育成事業SunShot Initiativeで、そのインキュベーション部門Catalystを担当しているVictor Kaneによると、2010年に比べて今ではほぼ50%低下しているという。この育成事業の主な目的は、ソーラー発電のコストを2020年までにそのほかの発電方法と互角にすることだ。

一般住宅等への据え付け費用では、いわゆる“ソフトコスト”が増加している。たとえば顧客獲得経費は、売価24000ドルの据え付けで2000-4000ドルを占める。そこでSunShotは、ソーラービジネスにおけるこれらの非効率を取り除くことに、取り組み始めた。

今年、SunShotのCatalystインキュベータは、消費者調査を行って、ソーラーエネルギーにおけるソフトコスト関連の問題を130件同定した。そしてそれにより、ソーラーを購入しようとする消費者が情報を見つけづらい、大規模な据え付けでは検査費用が高い、などの問題が浮き彫りになった。

5月には、ソーラ業界の外部からアイデアを募集する事業が行われ、起業家や技術者等に、ソフトコスト対策のアイデアやプランを素描する5分間のビデオの制作と提供を求めた。提出の締め切りは東部時間で11月7日11:59PMだから、今からでも間に合う。

締切後にはCatalystのチームと外部エキスパートによる審査が行われ、20件がNational Renewable Energy Laboratoryからのガイダンスと最大25000ドルまでの初期的立ち上げ/売り込み費用が提供される。それらの応募の多くはTopCoderにおける競争作品として作成提出され、ホビイストプログラマとプロのデベロッパが横並びでアプリケーションの実装を競える。SunShotの担当者たちは、こういう競争形式のほうが多くの人たちの参加意欲をそそる、と考えている。

2015年の5月に、20のチームは投資家たちに訴求するデモデーのために再び集まる。そして上位5チームがそれぞれ、自分のスタートアップを立ち上げるための資金として10万ドルを受け取る。SunShot InitiativeのディレクターMinh Leによると、エネルギー省の目標は、これらの勝者たちが、次はシリコンバレーの名門アクセラレータに‘本格入学’することだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


月額2980円で士業に相談し放題の法人向けQ&Aサービス「Bizer」、登記用の書類も自動作成

Q&Aサービスと言えばオウケイウェイヴの「OKWave」から、スマートフォンに特化したLINEの「LINE Q」、nanapiの「Answer」などを思い浮かべるかも知らないが、企業を支援するQ&Aサービスも存在する。弁護士ドットコムの「弁護士ドットコム」もそうだし、walkntalkの「Visasq(ビザスク)」もそう、今回紹介するビズグラウンドの「Bizer(バイザー)」もそういったサービスの1つだ。

Bizerは、会社運営に関する手続きについて税理士や社労士、行政書士、司法書士といった士業の人々にオンラインで相談できるサービスだ。価格は月額2980円で、相談回数は無制限となっている。

サービスを開始したのは5月。現在はユーザーの8割が10人以下のスタートアップだそうだが、数十名規模の中小企業まで約100社がサービスを利用している。相談は基本的に24時間以内に回答するとしているが、現在1〜2時間程度で回答が来ることがほとんどだという。回答する士業の人数は30人程度。現在のリソースで1000社程度のユーザーまでカバーできるそうだ。ビズグラウンドで実際に自社の登記変更を依頼するなどしてテストをして、信頼できる人物のみを採用するという徹底ぶりだという。

Bizerはユーザーと士業の相談に加えて、士業への仕事の発注までをサポートする。Bizer上で金銭のやりとりは発生しないが、士業はユーザーから発注された金額の20%を利用料としてBizerに支払っている。「個別具体的な話が多い。また地域によっては業種を理解している士業の人にリーチするのが難しかったりもする。そういった課題を解決したい」(ビズグラウンド代表取締役の畠山友一氏)。

これを聞いてしっくりきたのだけれど、最近地方発のあるスタートアップが、起業の際にあった課題の1つとして「ITを理解している税理士が近所に居なかった」と話していたことがあった。Bizerでも、実際に地方のITスタートアップとITを理解している都内の税理士が仕事をするといった事例が出てきているそうだ。

そんなBizerが6月30日、役所提出書類の自動生成機能を公開した。この機能を利用すると、あらかじめBizerに登録しておいた情報をもとに、公証役場の委任状、法務局の登記申請書など、会社設立時や設立後に必要な16の書類を自動で作成できるようになる。

ただこれを聞いて疑問に思ったのだけれども、この機能、士業の仕事を奪うようなものではないのだろうか?畠山氏はその可能性を認めた上で、「書類作成はあくまで単純労働のようなもの。そういったものではなく、士業でないとできない付加価値のある仕事に集中できるようにしてほしい」と語る。2013年の株式会社の登記件数は約8万件とのことだが、Bizerでは今度その1割に当たる8000社の利用を目指すとしている。また、Bizerは登録された情報などをもとに、新たなサービスも提供していけそうだ。

なおビズグラウンドは、インキュベイトファンドの運営するファンド「インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合」から出資を受けている。金額は非公開だが、数千万円程度とみられる。


クラウドソーシングは特化型へ、海外のプレイヤーから見るクラウドソーシングの今

編集部注:この原稿は内藤サトル氏(@satoruitter)による寄稿である。内藤氏はEast Venturesアソシエートで、海外のテクノロジー情報を発信するブログ「シリコンバレーによろしく」を書くテクノロジー・ブロガーだ。

昨今、日本でもクラウドソーシング系の事業が話題になっており、ニュースで耳にする機会も増えた。クラウドソーシングを利用することで、依頼主は即座にプロフェッショナルへ仕事が発注できる、もしくは必要に応じて安価に労働力を確保できる点。依頼先は、仕事の場所や内容、量、労働時間などを自分でコントロールできる点がクラウドソーシングの魅力だ。このように双方のニーズに応える形で、様々な切り口のクラウドソーシング系の事業が国内外問わず誕生してきた。

今回は、そのクラウドソーシング分野の現状を、各海外プレイヤーのポジショニングを通じて考察していく。

(1) 仕事のジャンル多い×専門性低い+高い

oDeskElance
Freelancer

高度なプログラミングから単純な文章作成まで幅広いジャンルの仕事を引き受け、専門性の高いクラウドワーカーから専門性の低いクラウドワーカーまで幅広く揃えているのが、oDeskやElance、Freelancerだ。去年、oDeskとElanceの2社は上場を見据えて合併、Freelancerは上場を果たした。このような幅広いジャンルの仕事を扱う総合デパート型のモデルは、規模の経済をどれだけ活かせるかが重要になってくるため、今後もこの分野では買収や合併といった動きが活発になってくると思われる。

【国内プレイヤー:CrowdWorksLancersなど】

(2) 仕事のジャンル多い×専門性低い

TaskRabbit
Zaarly
ちょっとした家事やおつかいなどを代行するサービスの代表格がTaskRabbitやZaarly。報酬の価格はユーザーが自由に設定できるが、平均単価(※TaskRabbitの場合)は、日用品の買い物で35ドル、家の掃除で60ドル、日曜大工などのなんでも屋作業で85ドルと少々高い印象。

Amazon Mechanical Turk
オンラインでの入力作業や、簡単なアンケートなど汎用が利く仕事を発注できるのがAmazon Mechanical Turk。1つの仕事を1〜5セントという格安の値段で発注することができる。ここに集まるのは金銭目的ではなく、暇つぶしを目的にしているクラウドワーカーが多いというのが特徴。

Crowdflower
汎用が利く一連のタスクを、クラウドソースして管理できるのがCrowdflower。例えば、表示されている情報は適正か、入力されている情報に漏れがないかなど、ルーティン化されてる事務作業を一括で委託・管理できる。

【国内プレイヤー:ココナラnanapi worksshuftiなど】

(3) 仕事のジャンル多い×専門性高い

Marblar
大学の研究室で発明された現在使用されていない技術や特許を公開し、商業化や他の技術と組み合わせ、利用可能にするアイディアをアウトソーシングするためのプラットフォーム。

InnoCentive
特定の問題に対して、各分野の専門家に解決策となるアイディアをアウトソーシングすることができる。ジャンルはビジネス、社会、政治、科学、テクノロジーなど多岐に渡る。

【国内プレイヤー:Dmet ideaWemakeなど】

(4) 特定のジャンル×専門性低い

Scoopshot
依頼主が出すお題に対して、ユーザーがスマホで写真を撮り、依頼主が気に入ったものを買い取るという形のクラウドソーシング。

Homejoy
部屋の掃除を1時間20ドルで代行してくれるサービス。メイドをアウトソーシングするイメージで、洗濯や冷蔵庫の掃除もオプションで引き受けてくれる。

Mobee
一般消費者に対して、実店舗でのアンケートを依頼できるサービス。ユーザーは、近くの実店舗の接客態度や清潔さを調査をする代わりにポイントを受け取り、それらをギフトカードなどの商品と交換することができる。

【国内プレイヤー:BearsSansanなど】

(5) 特定のジャンル×専門性高い

SmartShoot
プロのカメラマンに、写真やムービーの撮影を依頼できる。AirbnbやYelp、Grouponはここに発注した多くの写真をサービスに利用している。

Directly
各分野のプロフェッショナルが、カスタマーケアを代行してくれるサービス。顧客が質問をフォームに記入して送信すると、その内容を自動に分析し、各プロフェッショナルに回答するタスクを振り分けるシステム。平均回答時間は8分。AT&Tやコムキャスト、ユナイテッドエアラインなどの大手企業も採用している。

Babelverse
モバイルを通じて、リアルタイムで通訳をしてくれるサービス。必要な時に必要な時間だけ通訳家を呼び出すことができる。本格的なビジネス英語から簡単な旅行向け英語まで、レベルに応じた翻訳家を用意している。

99designs
ロゴ作成やデザインをコンペ式で発注できる数あるプロダクトの中でも代表的なものが99designs。世界192カ国から25万人を超えるデザイナーがコンペに参加している。

LawPivot
弁護士版の99Designs。 法律に関する相談を、コンペ形式で一部回答してもらうといったもの。気に入った回答を提出した弁護士と引き続き相談ができる。

Bugcrowd
7600人を超える外部のリサーチャーに対してバグの発見を24時間いつでも依頼することができる。依頼の金額は300ドル前後から受け付けている。

Assembly
プロジェクトを公開し、外部のエンジニアやデザイナーとアプリを協働で開発するプラットフォーム。チームの投票によって貢献度を顕在化させ、その度合に応じて報酬を支払う。

Zirtual
プライベートアシスタント(秘書)をクラウドソーシングできるサービス。仕事内容は、スケジュールの調整、リサーチ、メールの代筆など幅広く引き受けてくれる。

GoodBlogs
会社のブログ執筆を外部のブロガーにアウトソーシングできる。依頼方法は、いちばん質の良いコンテンツをコンペ形式で採用するといったもので、依頼主は1日15分程度の作業時間でブログを運用することが可能になる。オウンドメディアを持ちたい企業にはうってつけのサービス。

【国内プレイヤー:ConyacVoip!MUGENUPdesignclueViibarなど】

上記のように、海外の各プレイヤーのポジションを整理してみると、幅広いジャンルの仕事を扱う総合デパート型の分野は、主要プレイヤー達がエグジットを迎え、ある種の収穫期に入ったことから、プレイヤーの拡大という点では一段落した印象を受ける。

また、苦戦するTaskRabbitやZaarlyのような専門性の低い多ジャンル型のプレイヤーを尻目に、ある仕事内容に特化したプレイヤーのいくつかは順調にスケールしており、新たなサービスも次々に生まれている(※今回紹介したプレイヤーはほんの一部に過ぎない)。では、なぜこの分野が順調なのか。

専門性の高い特化型のプレイヤーが伸びる理由

この分野は大きく分けて、99designやLawPivotのような「コンペ型」と、HomejoyやBabelverseのような「サービス提供型」に分類することができる。

「コンペ型」のプレイヤーは、仕事を特定の分野に絞ることで、クラウドワーカーとして用意するプロフェッショナルの量と質を高めることに集中できる。その結果、総合デパート型よりも、質の高いプロフェッショナルを多く提供することを可能にし、顧客体験の向上に繋がる。加えて、総合型より「この仕事内容なら、このサービスを使う」といったブランドイメージを確立しやすい点も特徴だ。例えば、デザインのアウトソーシングに特化した99Designsは、分野をデザインに絞ることで、質の高いデザイナーをより多く集めることに経営リソースを集中させることができる。そうすることで、総合型のoDeskやFreelancer等が用意できない量と質のデザイナーを提供でき、かつ依頼主に対して「デザインの依頼なら99Designs」というブランドイメージを印象づけることもできるのだ。

一方、「サービス提供型」のプレイヤーは、提供するサービス内容を1つに絞ることで、依頼主にとって最もネックとなるクラウドワーカーとのコミュニケーションコストを依頼主に代わって引き受けることが可能になる。その結果、依頼主は『発注→クラウドワーカーとのコミュニケーション→成果物 or サービスを受け取る』という手間のかかるプロセスから『発注→成果物 or サービスを受け取る』というプロセスのショートカットを享受できるようになる。例えば、先述した秘書業をクラウドソーシングできるZirtualは、サービス内容を「秘書業の提供」に絞ることで、本来自前で行わなければならない、通訳者の選別、労働時間の調整等の面倒なコミュニケーションを、Zirtualが引き受ける。そうすることで、ユーザーである依頼主は、ただZirtualにアクセスし、仕事内容をZirtualに告げるだけで面倒なコミュニケーションを行うことなく成果物やサービスを享受することができるのだ。

ジャンル特化型のサービスは、上記のような点で依頼主のニーズを満たしており、今後もそのニーズに応える形で、特化型のプレイヤーは国内外問わず誕生していくだろう。引き続き、クラウドソーシングの分野から目が離せない。


数のことならまかしといて, 数だけの検索サイトMeterfyは元データをクラウドソーシング

【抄訳】

1はいちばん孤独な数。天国までは2歩。良い脚本は必ず3幕。ディスコダンスは4拍子。毎日果物と野菜を5皿以上食べなさい。

数はどこにでもあり、数なんてどこにもない。数はデータの沼の中でごちゃ混ぜになる。なんでも多ければよいという人には、それもけっこう。でも、ある数のある桁だけ知りたくなったらどうする? 数との追っかけっこが始まる。数字の中から、ものごとの本質をつかみ取るのだ。

でも、ごみの山の中から一つの数だけを見つけ出すのは、退屈な大仕事だ。そこでクラウドソースなWebサイトMeterfyが、あなたの数の悩みを解決してくれる。この、自己資金だけで始まったイギリスのスタートアップは、アイデアの芽を2012年から育て、今日(米国時間4/3)やっとサイトを立ち上げた。その目標は、おもしろい数を見つけて共有することだ。

MeterfyはGoogleにもTwitterにもEvernoteにもWikipediaにも似ているが、扱うのは数だけだ、と協同ファウンダのPeter Walshamは言う。彼は物理学者で、履歴書を書けば‘CERNLHCを担当した’という輝かしい1行がそこにあるだろう。

“Meterfyでは誰もが数に関する自分の好きな事実を寄与貢献できるし、ありとあらゆる種類の、数え切れないほど大量の、数をめぐる小話を見つけることができる”、とWalshamは言う。

もう一人の協同ファウンダDaniel Emmersonは大学時代の旧友で、長年、Walshamのビジネスパートナーだった。最初に二人が作ったデジタル資産管理サービスAxomic.comは、12年経った今も彼らの下(もと)で健在だ。でもそれは彼らの本業。Meterfyは、彼らの数に対する情熱の産物だ。

MeterfyのWebサイトへ行ったユーザは、関心のあるトピックで検索をして、そのトピックに関連する一連の数を手に入れる。それらの‘数情報’はすべてクラウドソースだ。

たとえば、こんなものが見つかる:


[2014年の中国の人口][ロンドンのSouthwark橋の街灯の数][1バイトのビット数]

数のデータは、Wikipediaでも分かるんじゃないの? ただし、大量のテキストをかき分けて、目的の数を探さなければならない。それが、Wikipediaというバロック建築の美だ。細部の過剰。1000の細部ではなく、たった1つの細部が欲しいときはどうするか? たった一つの、事実だけを知りたい。数だけ知りたいときには、Meterfyへ行こう。いろんな、おもしろい数を閲覧して楽しみたいときも。

Walshamは曰く、“数を見つけるのが、ものすごく難しいときがある。しかしそれは、あってはならないことだ。Googleでは毎日60億件以上の検索が行われているが、その目的の一部は、数を知りたいことだ。大量の古い退屈なリンクをたぐって、60秒以上もの時間を費やして、やっと一つの数を見つけたり、見つからなかったりする。今は21世紀だ。そんなばかなことは、絶対にあってはならない”。

Meterfyにあるものは数だけだ。テキストも画像もビデオもない。数、数、数、数、ビューティフルな数だけだ。

“Googleにはナレッジグラフ(Knowledge Graph)があり、Bingにはエンティティエンジン(Entity Engine)がある。これらの大きなセマンティックエンジンには、それらに向いた用途がある。しかし実際に使うとなると、独特の難解さと情報の短命性と焦点ぼけ、等々と苦闘しなければならない”、と彼は言う。

検索エンジンよりも的(まと)を絞れるQ&Aサイトはどうか?

“Ask.fmもJellyもYahoo AnswersもChaChaも、回答者に不親切な人や不適切な人が多い。質問者が、正しい回答者を見つけられない。Meterfyにあるものは数だけだ。テキストも画像もビデオもない。数、数、数、数、ビューティフルな数だけだ。数だけに絞れば、不親切や不正が入り込む余地が少ない”。

“テキストや画像やビデオには、提供者の誤りと、(受け手)理解・解釈者の誤りが往々にして激しい。でも、オバマは大統領を何期務めたか? 2という答が多いだろう。でも最後まで務めたのは1期だから、1という答もある。そこで、クラウドソースにはわれわれが介入して、2を採用する。それが、Meterfyのクラウドソーシングのやり方だ。数データの提供者には、出典の明記を求めるが、それでもなお、われわれの側のチェック作業はつねにある。”。

【中略】
—-近くAPIを公開するので、アプリケーションの中でMeterfyのデータを使えるようになる、といった話—-

では最後に、もうひとつMeterfyの例を挙げよう:


[エルヴィス・プレスリーの没年][Legoデススターのピース数][2011年のマラリアによる死者(報告数)]

[画像MrHicks46/Flickrより。]

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


役者の動きをリアルタイムに3Dアニメ化、MUGENUPは「和製Pixarを目指す」

ゲームイラストのクラウドソーシングを手がけるMUGENUP。2013年3月にクラウドソーシングの受託者(クリエーター)と社内ディレクター間でのチャットやファイル、工程などを一元管理するツール「MUGENUP WORK STATION」を開発することで、約1万7000人のクリエーターで数多くの案件を管理できる体制を整えている同社だが、2014年はそのクラウドソーシングのノウハウをイラスト以外の分野に横展開をすると語っていた。

その第1弾として同社は、クラウドソーシングを使ったゲーム攻略サイト「みなゲー」を1月に公開している。こちらに関してはまだ状況は伝わってこないが、第2弾の事業が展開されている。

MUGENUPは3月24日より、ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供するライブキャスティングサービス「Showroom」にて、ライブコミュニケーティングアニメーション 「こちら娘島高等学校ほーそお部」を開始する。配信時間は毎週月曜の午後9時から9時30分まで。

ライブコミュニケーティングアニメーションと聞くと何のことか? と思うかもしれない。これは、モーションキャプチャーや画像解析技術を組み合わせることで、役者の動きをリアルタイムに3Dアニメ化するというもの。リアルタイムにアニメ化されるので、ユーザーとのインタラクティブな会話も実現する。言葉で説明するよりも、MUGENUPが提供するイメージビデオを見てもらう方が早いだろう。なおアニメのキャラクターや3Dモデルもクラウドソーシングを使って作成しており、キャラクターの衣装変更なども素早く対応できるのだという。

「日本はクリエイティブを発信することについて力があるのに、みんなテクノロジーに目を向けない。手書きには手書きの良さがあるがそれだけではないのではないか」——MUGENUP代表取締役社長の一岡亮大氏はこう語る。

クラウドソーシングで2Dのイラストに加えて3Dデータの取り扱いもはじめていたMUGENUP。3Dデータを使ったサービスの可能性を考えている中でShowroomのリリースを知り、すぐにDeNAにコンタクトをとったのだという。「ソーシャルゲームの次の“波”は動画しかないと思っていた。今がその潮目。動画で、課金の機能を持っているプラットフォームでコンテンツプロバイダーになろうと思った。テクノロジーで和製Pixarを目指す」(一岡氏)

システムに関しては詳細は公開されていないが、ゲームエンジンのUnityを利用し、モーションセンサーなどもバルク品などを組み合わせているとのことで、「制作期間は企画から2カ月ほど。スピードは通常のアニメーションの3分の1、費用は10分の1程度になる」(MUGENUP執行役員CCO エンターテイメント事業部部長の西山理彦氏)だという。

最近では、YouTubeで自ら企画、出演した動画を配信する「YouTuber」と呼ばれる人たちも登場しており、uuumのように、そのマネジメントを手がけるスタートアップも登場している。一岡氏はライブコミュニケーティングアニメーションがYouTuberらと本質的には同じとしながらも、「属人的ではなく、企画からコンテンツを作れるので広がりがある。さらに言えばキャラクターなのでリスクコントロールもしやすいと考えている」と強みを語る。すでにタイアップやOEMの打診などもあるという。

マネタイズについては未定だが、3Dデータをフィギュア化することなども含めて「ファンの数に応じた回収方法はあると思っている」(一岡氏)という。制作を手がける西山氏も「艦これ(艦隊これくしょん〜艦これ〜:DMM.comとKADOKAWA GAMESのブラウザゲーム)のようにネット発のIPが出てきた。まずはやってみる、やり続ける」と語っている。

実は僕は、この取材にあわせて少しだけではあるが、テスト配信を見る機会を得た。3Dアニメの動きと、役者の会話は見事に一致して配信されている様には大いに驚いた。時間のある方は、まず今夜その配信を見てみてはいかがだろうか。

左からMUGENUP代表取締役社長の一岡亮大氏と執行役員CCO エンターテイメント事業部部長の西山理彦氏


IndiegogoのCEOが教える、クラウドファンディングで成功するためのヒント集

私はデータを掘り返してちょっと変わったトレンドを見つけるのが大好きだ。物事が実際に〈動く〉しくみはそうやって理解する。もう一つ私は、クラウドファンディングのコンセプトを本当に〈本当に〉気に入っている。2つを合わせれば私の注目する的がわかるだろう。

今日(米国時間10/29)Disrupt EuropeでのJohn Biggsとの会話の中で、Indiegogo CEOのSlava Rubinは、溢れるばかりの知識を次々と繰り出した。もしあなたが、どんな種類であれクラウドファンディングのプロジェクトを考えているなら、恐らくこれは知っておくべき内容だ。

Slavaが与えたヒントは、その殆どがIndiegogoで過去数年集められたデータから直接得られたものであり、当て推量ではない。「かつて私は色々な意見を持っていた。幸い今は、意見を持つ必要がなくなった。データに基づいて語ることができる」

以下の指摘はIndiegogoのデータを基にしているが、全体的なコンセプトはどこのクラウドファンディング・プラットフォームにもよく当てはまるはずだ。

Slavaは、アドバイスを以下のカテゴリーに分類した。売り込み、早い行動、観衆の見つけ方の3つだ。

売り込み:

  • ビデオのあるプロジェクトは、ない場合と比べて平均114%多く資金を集められる。
  • 支援金額は何種類がいいか迷っている人へ。マジックナンバーは3~8のようだ。
  • 成功したキャンペーンが目標金額を達成するまでの平均日数は36日。
  • 成功したキャンペーンの平均支援金額は約70ドル。
  • 4人以上のチームは、1人だけより70%多く資金を集められる。

早い行動:

  • 支援者(および支援者候補)には頻繁に最新情報を提供すること。「5日以内毎に情報を更新すると、20日以上更新しないプロジェクトの4倍多く資金を調達できる」
  • 支援者候補に連絡を取りたい? Indiegogoでは、メールによるキャンペーンが最も成功している。次がFacebookで、Twitterがその次。
  • 初めが肝心:最初の1週間で目標の25%以上を集めると、達成率は5倍に上がる。

観衆を見つける:

  • 「われわれは、1/3、1/3、1/3という考えが好きだ。Indiegogoは、あなたの成し逐げたいことを倍増する。もし、0ドルしか集められなければ、Indiegogoはゼロ倍しかできない。まず、少なくとも金額の1/3は[自分のネットワークを通じて]自力で集める必要がある。次の1/3はあなたのネットワークの友達を通じて集まることが多い。そして、最後の1/3をIndiegogoが見つけてくるのが平均的だ」
  • はじめは家族や友達に手伝ってもらおう。「空っぽのキャンペーンを支援したい人はいない」
  • プロジェクトは、出来る限り洗練させるべきか? 「その必要はないと思う。大切なのは本物であること。・・・もっと磨くべきプロジェクトもある。それが売ろうとしている商品なのだから。FlipのビデオやiPhoneだけでいいプロジェクトもある。それぞれだ。データからは、洗練さが重要かどうかまだ証明されていない」
  • 英語を使うことの重要性について。「それは議論のあるところだ。海外から出来るだけ多く資金を集めたいなら、キャンペーンの一部にでも英語を使うべきなのは間違いない。だが、もちろん、まず地元のコミュニティーに集中したいのなら母国語を使うべきだ」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


イラスト制作クラウドソーシングのMUGENUPが1億3000万円を調達、3Dデータ制作効率化も

ゲームアセット等のクラウドソーシングサービスを運営しているMUGENUPが1億3,000万円の資金調達を実施した。MUGENUPにとってシリーズBとなるこのラウンドにはIGPI(経営共創基盤)、SMBCベンチャーキャピタルの2社が参加した。

MUGENUPは主にゲーム内のキャラクターのイラストを取り扱っているサービスでゲーム制作会社とクリエイターを仲介する役割を担っている。現在このサービスに登録しているクリエイターは約1万人となっている。

MUGENUPが特徴的なのは発注者とクリエイターの間に入り、必ず仲介している点だ。クリエイターが自身のポートフォリオを提示するとMUGENUPがスキルのレベルをチェックし、彼らのスキルに応じてタグを登録しておく。そして、発注(コンペ)の際にイラストにも必要なスキルなどのタグが設定されており、クリエイターとイラストのタグをマッチングさせることで受注者を決定させているという。

また、クリエイターとMUGENUPの担当者がコミュニケーションを取るためのグループチャットも用意されており、このチャット上でイラストに赤入れできる機能などを備えている。このように2つシステム–クラウドソーシング、制作プラットフォーム(グループチャット)–を展開している。

だが、ここまでクラウドソーシングサービスを運営するスタートアップだとご紹介してきたが、MUGENUP代表取締役の一岡亮大氏は「クラウドソーシングの会社でも、イラスト制作の会社でもなく、デザインデータを効率よく大量に作ることをテーマにしている会社」だという。

このテーマの入り口の1つとしてクラウドソーシングサービスを提供してきたそうだ。現在MUGENUPでは2Dのイラストが主であるが、最近では3Dのデータも扱っておりグループチャット上で2Dと同様に3Dデータも確認、赤入れできるシステムの構築も完了したところだ。

すでにフィギュア作成も進んでいるようで、今後はこのような需要が増すと予想している。このような3Dデータも含めデザインデータを解析し、市場を効率化していくことが目標だと一岡氏は語る。

というのも、例えばフィギュアを3Dプリンタで出力する際に、キャラクターの羽と体の素材が違う場合などは収縮率も調整しなければならず、その微妙な調整は各社の職人だけが知っている状態であり、非常に効率が悪いそうだ。そのためMUGENUPでは、このようなデータを蓄積/分析し、共有することで効率化を図りたいという。

今後も現状のサービスはもちろん継続するが、今回調達した資金はこうしたデータ解析や3Dデータを扱えるクリエイター確保のためのマーケティングに投下していくとのこと。


判断をクラウドソースするCrowdFlower, 累積判定数が10億に達す

タスクをクラウドソースして管理するサービスCrowdFlowerが、協力者たちによる“判定”(judgment, ジャッジメント)の件数が10億に達した、と発表した(何かを“判定する”ことが、ここでのタスクなのだ)。

同社によれば、判定こそが同社の“マイクロタスク…すごく微小なタスク…の要(かなめ)”だ。企業ユーザはCrowdFlower経由で、画像が適切か、とか、マーケティング用のデータベースに載ってる住所は完全か、などを判定してもらう。10億件めの判定は、ブラジルのカリアシカに住む人が、合衆国の企業のために、オーストラリアの小企業に関するデータベースの細部を、検証した結果だった。

CrowdFlowerは、Chris Van PeltとLukas Biewaldの二人が創業した。Biewaldが、同社のCEOだ(彼はぼくの学生時代のルームメイト)。同社は2009年のTechCrunch50でローンチした。

同社によると、現在の協力者は500万名あまりいる。最近は、誰かのスキルをテストする機能を設けたから、そのぶん、協力者たちの質も上がったし、またCrowdFlower自身の、協力者の能力を“判定”する能力も、上がったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


気象情報はWazeの次に買収の対象になりそうなクラウドソース・サービス

Wazeが10億ドルでGoogleに買収されたとことは、有用なクラウドソースのデータをリアルタイムで大量に収集することに成功したスタートアップには同様のエグジットの可能性があることを強く印象づけた。

カーナビ用の交通データほどその応用の成果が直接的ではないものの、次に大きな可能性がある分野は気象情報だ。クラウドソースを利用して地上の正確な気象状況をピンポイントで収集し、予報や共有に役立てようとするアプリがすでにいくつか存在する。

カナダのモントリオールのスタートアップ、SkyMotionもその一つだ。最近v4.0がリリースされたが、このバージョンではクラウドソースで気象情報が共有できるだけでなく、その情報を企業が利用できるAPIもサポートされた。企業はSkyMotionのユーザーが投稿する気象データをリアルタイムで自社のアプリやウェブサイトなどで利用できる。通常の気象情報が特定の観測地点から情報だけをベースにしているのと異なり、多数のSkyMotionユーザーからのリアルタイムの天気情報には大きな価値がある。

SkyMotionによれば20万人のユーザーが天気情報を投稿している。アプリをダウンロードしたユーザーの50%以上が実際にアプリを使い始め、65%のユーザーが月間15回から200回も天気を投稿する。現在アプリのダウンロード総数は50万回弱で、このペースなら今年中に100ダウンロードが達成できそうだという。

クラウド気象サービスに挑戦しているのはSkyMotionだけではない。ポルトガルのスタートアップが提供するWeddarもクラウドソースの気象サービスだが、人間的な要素を取り入れているところがユニークだ。Weddarでは下のスクリーンショットのように天気を「凍える、涼しい、ちょうどよい」などと感覚で報告する。アプリを開くとヨーロッパ各地の現在の天候が一目でわかる。

クラウドソースの気象情報には大手のインターネット企業も強い関心を示している。天気予報はそれ自体で訪問者に対するサービスになるだけでなく、地図や交通状況など他のローカル情報と組み合わせることである特定の地点の正確な環境をリアルタイムで特定できる。これにはショッピングや広告の価値を大きく改善する役割が期待できる。天気は一般消費者の消費パターンに大きな影響を与えるし、したかがってマーケティング、広告にも本質的に関連してくるわけだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+