車の個人間売買サービス「Ancar」が出品をラクにするカメラアプリを公開

中古車を個人間で売買できるC2Cマーケットプレイス「Ancar」を展開するAncarは10月9日、車の外観や内装の写真をスマホで簡単に撮影できるカメラアプリを公開した。このアプリを通じて出品時の負担を減らし、個人間の売買を促進する。

今回リリースされたカメラアプリの特徴は「アプリ内で表示されるガイドに沿って車体の写真を撮るだけ」でベストアングルな写真が仕上がることだ。「右前」「エンジンルーム」「シフトレバー」「トランク」など、各項目ごとに最適な角度を“車の形”で画面に表示。ユーザーはこれに照らし合わせながら車を撮影するだけでいい。

Ancar代表取締役の城一紘氏によると、オンライン上で車の売買を行うAncarにおいて写真は大きな意味を持つそう。買い手にとっては貴重な情報源になるため「購買時の参考になるような写真がきちんと取れていること」は売れるかどうかに直結する要素だ。

これまでもAncarでは出品者向けのガイドラインを用意してはいたものの、実際にそれを見ながら撮影するのはそれなりの時間と手間がかかる作業だった。

具体的には外観・内装・書類など車の状態を伝えるには最低でも20〜30枚、多い場合は約50枚程度の写真が必要。これらの写真をアングルを変えながら何枚も撮影し、掲載時にはナンバープレートを隠したり、見やすいように順番を並べ替えたりといった加工作業も行う。

城氏もユーザーの動向を追う中で「どうとったらいいのかわからない、取るのがめんどくさいというのがある程度の障壁になっているとは感じていた」とのこと。今回リリースしたアプリでは写真撮影のガイドだけでなく、アプリ上で簡単にナンバープレートを隠す機能も搭載。そのままデータを送ればAncarの出品車両へ反映される仕組みだ。

以前紹介した通り、今年の2月からAncarでは運営側で車の売却を担う「おまかせ出品」サービスをスタートしている。

これはC2Cの仕組みでは少し売買に時間を要するため、それよりも早く売ってしまいたいというユーザーの声を基に始めた仕組みだ。Ancarが売却を希望するユーザーから車を預かり、車両検査後に査定した最低買取保証金額を支払う。預かった車は運営がAncar上に出品して売却を試み、期間内に当初合意していた金額よりも高い価格で売れれば、ユーザーは収益の一部を追加で獲得できる。

ユーザーの視点では既存の買取ショップに売るのと近しいが、高く売れた場合に追加で売却代金を貰えるのが最大のメリットだ。

これまでは自社工場で担当者を採用し、おまかせ出品を通じて車を売っていたけれど、中長期的にはこの仕組みを同社が提携する各地の工場にも広げていくイメージなのだそう。その際には当然Ancarでの売買に慣れていないスタッフもいるため、出品作業をサポートする意味でもカメラアプリが重要な位置付けになると城氏は考えているようだ。

今後はA​ndroid版のリリースに加えて、動画で車の周りをぐるっと撮影すれば必要な情報が取得できるような「動画機能」の追加も予定しているという。

オーガニック農家と消費者をつなぐ「食べチョク」が4000万円を調達、好みの野菜が届く新サービスも

(写真上段左から)CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、アドイノベーション代表取締役の石森博光氏、エウレカ創業者の赤坂優氏(写真下段左から)ビビッドガーデンCOOの大河原桂一氏、ビビッドガーデン代表取締役CEOの秋元里奈氏

オーガニック農作物のC2Cマーケットプレイス「食べチョク」を提供するビビッドガーデン。同社は2月8日、エウレカ創業者の赤坂優氏、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、アドイノベーション代表取締役の石森博光氏、アカツキ代表取締役の塩田元規氏ほか1名の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額4000万円を調達したことを明らかにした。

ビビッドガーデンは2016年11月の設立で、外部からの資金調達は今回が初めて。調達した資金を基に人材採用やサービスの改善、拡張を進めていく方針。その一環として、本日よりユーザーの好みに合ったオーガニック野菜を定期的に届ける「食べチョクコンシェルジュ」の提供も始めている。

正式リリースから2ヶ月で登録農家が100件に

食べチョクについては2017年8月の正式リリース時にも紹介したが、同社の基準をクリアしたオーガニック農家のみが掲載されたマーケットプレイス。ユーザーと農家を直接つなぐC2Cのモデルだ。

農薬や肥料を使っていない生産物が、鮮度の高い状態で自宅に届く(最短で24時間以内)ことが特徴。時にはスーパーではあまり手に入らないような、珍しい野菜を購入できるという利点もある。

8月時点で60件ほどだった登録農家数は、メディア掲載や農家間の口コミの効果もあり2ヶ月で約100件まで増加した。

ビビッドガーデン代表取締役社長の秋元里奈氏によると、農家にとって食べチョクは「自分たちのこだわりをしっかりと理解してもらった上で販売できる、専用のホームページ」のような位置づけだという。新しい販路になりえるだけでなく、顧客と直接コミュニケーションをとれることをメリットに感じる農家が多いそうだ。

また中には野菜作りは得意でも、商品設計やマーケティングが苦手な人もいる。そこは食べチョクが商品の文言や紹介の仕方を細かくサポート。「風邪予防」などサイト全体で特集パッケージを組み、該当する農家を複数紹介することもやっているという。

秋元氏の実家は以前から農業を営んでいたものの、市場出荷のみで経営を維持することが難しくなり、遊休農地に。小規模農家の販路拡大という課題解決に向けてスタートしたのが食べチョクだ。ただ秋元氏自身がDeNAを経て企業していることをはじめ、チームや今回の投資家陣はIT業界のメンバーが中心。サービス設計や細かい施策などにはそのカラーも反映されている。

ユーザーの好みに合わせて最適な野菜が届く新サービス

一方ユーザー側についても、首都圏エリアで小さな子どもを持つ30代の主婦を中心に利用者が増加。特にリピート率が50%と予想より高い数字になっているという(新たにリリースする定期購入サービスなどを通して、この数値はさらに改善できる余地があるそう)。

「(小さい子は)食べ物の影響が出やすいため、食材に気を使う親御さんが多い。オーガニックということに加え、生産者の顔が見え直接やりとりできる点も安心につながる。他と比べて必ずしも安いわけではなくても、作り手から直接買いたいというニーズがあることがわかった」(秋元氏)

たとえば毎週土日に青山で開催されるファーマーズマーケットには約1万人が集まり、農家を含む生産者と消費者が直接やりとりしながら盛り上がるという。秋元氏いわく、食べチョクは「青山ファーマーズマーケットのオンライン版」のイメージに近いそうだ。

ただ農家や品数が増えるにしたがって、ユーザーからは「何を選んだらいいのかわからない」という声も届くようになった。そんな悩みを解決するためにリリースしたのが、食べチョクコンシェルジュだ。

同サービスでは最初にユーザーが食材の好き嫌いや、オーガニック志向性などを登録して注文する。するとその情報に合わせて最適な農家を運営側で選定し、農作物が届く。届いた作物の感想を送ることで、次回以降さらに好みにあったものが配送されるという「定期購入型」のオーダーメイドサービスだ。

プランはSプラン(税込、送料込みで月額2980円)、Mプラン(同3980円)、Lプラン(同4980円)の3つを用意。今回のサービスでは毎回農家を固定しない形をとるが、今後はAmazonの定期便のように、特定の農家から定期購入できる仕組みも検討するという。

農家にファンがつく“コミュニティ”目指す

秋元氏によると現在の食べチョクは「いろいろなテストを繰り返し、ノウハウを貯めている」フェーズ。そこで培ったナレッジを農家に提供したり、サービスの改善に活かしたりすることで、このプラットフォームを広げていく方針だ。

「将来的に目指しているのは、ECサイトではなくて農家と消費者がつながるコミュニティ。生産者に直接ファンがつくような場所を目指したい」(秋元氏)

たとえば今後は食材だけでなく、食べ方の提案を一緒にすることなども考えているという。現在でも中には自作のレシピを同封している農家もあり、ユーザーからの評判もいいそう。野菜の味を活かした食べ方を伝えることは、双方にとって大きなメリットがある。

ちょうど1月にクックパッドが運営するアクセラレータープログラムに採択されたこともあり、新たな取り組みを検討しているという。

「とはいえ(コミュニティの実現に向けては)超えなければいけない障壁もまだ多い。ITに慣れている農家ばかりではないので、まずはどんな人でも気軽にWebで発信できるような仕組みを整えていく必要がある。生産者と消費者の距離感が近づくような方向で、サービスを大きくしていきたい」(秋元氏)

「リピート利用360%増」スペースマーケットがポイント機能と直前割を開始、ナレッジを生かした新事業も

2014年4月にリリースされた、遊休スペースをシェアできるプラットフォーム「スペースマーケット」。お寺や古民家、映画館や個人の住宅まで多様なスペースをレンタルし、会議や撮影、イベントなどに利用できるというユニークなサービスだ。

現在取り扱いスペースは1万2000件を超え、月間で数千件のイベントを生み出すプラットフォームになったスペースマーケット。同サービスではさらなる満足度向上を図るため、10月24日より「ポイント機能」と「直前割引サービス」をスタートした。

リピート利用が前年比で360%増加、継続者増やす新機能リリース

スペースマーケットのユーザー数は対前年比で約300%増加しているが、なかでも順調に伸びているのがリピートユーザーだ。会議や撮影などの法人利用に加えパーティーなどの個人利用も増え、リピート利用が対前年比で約360%増加しているという(3ヶ月以内に2回以上利用したユーザー数)。

リピーターが多いのは会議利用のほか、開発合宿や経営会議など社外で行うオフサイトミーティング、プロモーション素材の撮影、フリーランスのセミナーなど。スペースマーケット企画ディレクション室の堀田遼人氏によると、用途や活用する企業の幅も広がってきているそうだ。

「オフサイトミーティングではこれまでベンチャー企業の利用が多かったが、最近では大企業の利用も増えている。ミーティングをした後でそのままバーベキューをするなど、1日合宿で使えるスペースが人気だ。また専用の撮影スタジオの代わりにスペースマーケットに登録された住宅をレンタルして、動画・写真撮影を行う事例も増えてきている」(堀田氏)

今後さらに継続利用を増やす目的で、スペースマーケットでは新たにポイント機能と直前割引サービスを始める。ポイント機能はスペース利用額の3%がすべてのゲストに付与され、1ポイント1円換算で利用できる仕組み。直前割引は利用日の直前5日間に予約した場合に割引が適用されるというものだ(割引率はスペースごとに異なるが、10%以上になるという)。

スペースマーケットでは以前から一部のスペースを対象に、ホストの承認なしに即時予約できる「今すぐ予約」機能を提供。多くの反響があり利用数の増加に繋がったこともあり、直前割引サービスの開始に至ったという。

また法人利用を増やすべく11月からは法人専用アカウントもリリースする。後払いやコーポレートカードによる決済に対応し経費精算の負担を削減するほか、法人ごとに社員の予約を一元管理できることで使いやすさの向上を図る。

蓄積した資産も活用しながら、法人顧客数の拡大へ

機能追加に加え、スペースマーケットでは蓄積してきた資産を活用した企業のマーケティング支援事業「Memorable Moment Creations」や、空きスペースの再生プロデュース事業も始めている。

「企業が一方的に価値観を発信するのではなく、ユーザーと一緒にストーリーを作っていく『共創』が今のマーケティングのトレンド。スペースマーケットでは記憶に残るスペースに加え、これまで蓄積してきたイベントのナレッジを活用してイベントのサポートを行っていく」(スペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏)

ネスレ日本と実施した事例「とびっきりParty Market with PERRIER 」

どこで、いつ、どんなイベントが開催されるのか。スペースマーケットにはイベント開催者が気になるデータが蓄積されてきた。たとえばハロウィンなどプライベートのパーティー会場として活用される事例も増えてきているそうで、トレンドを踏まえて企業のマーケティング支援をできるのが強みだという。

空きスペースの再生プロデュース事業についても、不動産は保有しているがどのように運用するのがいいかわからないオーナーのスペース再生をサポートするというもの。これまでも「fika」というブランドで自社プロデュースのスペースを提供していたが、それを本格化する形でスペースの企画から運用までを行う。第一弾として大手不動産投資会社と提携し、池袋の地下空間をリノベーションしたFICTION池袋を10月にオープンしている。

引き続きスペースマーケットでは個人・法人双方に向けた施策を行っていく方針だが、特に重要視する指標のひとつとして、重松氏は「法人の会員数や顧客数」をあげる。プラットフォームの改善をしながら、イベントやスペースのマーケティング、プロデュースといった事業を強化し、法人顧客の拡大を目指していくという。

「このサービスを運営していると、働き方や遊び方の価値観が急速に変わってきていることを実感する。3年前だと少し早かった動きがちょうど普及してきたタイミング。自社でも事例を積極的に発信しながら、働き方や時間の使い方に関する価値観の変遷も伝えていきたい」(重松氏)

スペースマーケットでは2017年6月に成立した​民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づき、宿泊事業に本格参入することも9月に発表している。民泊事業も含め、今後の同社の動向が気になるところだ。

オーガニック農作物を農家から直接買えるマーケットプレイス「食べチョク」、正式サービス開始

東京・根津に店舗を持ち、都内に宮崎県産の野菜をデリバリーするベジオベジコ、農家・生産者とレストランの直接取引を実現するプラネット・テーブルなど、テクノロジーで農作物の消費や流通のあり方を変えるスタートアップが続々生まれているが、今回紹介するのは、個人の消費者と農家をマッチングするサービスだ。ビビッドガーデンは8月17日、オーガニック農作物の生産者と消費者をマッチングするマーケットプレイス「食べチョク」を正式リリースした。

食べチョクは、同社が設定した基準を満たしたオーガニック農家が出品者となり、自らが手がける農作物を1箱から出品、販売できるサービス。ユーザーがサイト上から農作物を購入すると、中間業者を入れることなく農家がすぐに直送するというもの。農家の月間手数料は無料で、リスクなく参加できることから、問い合わせも増えているという。正式サービスローンチ時には計60のオーガニック農家が出品者として登録する。

「食べチョク」の仕組み

5月にベータ版としてサービスをオープン。ノンプロモーションながら、口コミを中心にユーザーを増やしているという。今回、ベータ版でのユーザーの声をもとにサイトを改修。出品する商品についても「BBQセット」「珍しい果物セット」といったように、ユーザーの用途に合わせたパッケージを農家と協力して作っているという。「ベータ版のユーザーからは、『おいしかったのでギフトとして友人に送りたい』『夏のBBQなど、イベントに向けて購入したい』という声が多くあったため、カテゴリで商品を探せるようにしている」(ビビッドガーデン代表取締役社長の秋元里奈氏)。また、農作物に痛みや不備があった際の補償制度も用意。出品システムも改良し、農家の負担を削減しているという。

ビビッドガーデン代表の秋元氏の実家は、もともと農家を営んでいたが、市場出荷のみでのビジネスを継続することが難しく、現在では遊休農地となっているのだという。そこで、同じ悩みを抱える生産者の力になりたいという思いから、小規模農家の販路拡大を支援すべく食べチョクを立ち上げたと語る。

今後は正式リリースにあわせて、プロモーションも展開する。まずは二子玉川エリアを中心に、リアルイベントなども展開。年内にもユーザー数を数千人規模に、農家を100件規模に拡大することを目指す。「農家も数ではなく質を高めつつ、サービスを広げていく」(秋元氏)

「食べチョク」で取り扱う農作物について

メルカリがブランド特化フリマアプリ「スマオク」運営のザワットを買収

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メルカリが、2月17日付けでフリマアプリ「スマオク」を運営するザワットの発行済全株式を取得し完全子会社化したことを明らかにした。金額等は非公開。

スマオクは、中古ブランド品に特化したスマオクはブランド品に特化したスマートフォン向けのオークションサービスとしてスタート。現在ではブランド品からアニメグッズまで幅広いアイテムを取り扱うフリマアプリとなっている。毎晩21時には、リアルタイム通信での「フラッシュオークション」を行っており、人気を博しているという。

メルカリでは今回の子会社化により、「Eコマース分野におけるC2C事業のさらなる発展・拡大に取り組んで行きます。両社それぞれの顧客基盤やノウハウを活かし、メルカリ及びスマオクの更なる発展と新しいサービスの創造を目指して参ります」とコメントしている。

ザワットは2011年の設立。同年12月には「○○を売りたい」「○○を買いたい」「○○について教えて欲しい」といった「お願い」を解決するC2Cサービスを「Wishscope」をリリースした(2016年8月にサービス終了)。2013年11月にはスマオクをリリースし、以後同事業に注力してきた。

メルカリによると、今後もザワットの代表取締役の原田大作氏をはじめとして全員がメルカリに参画。今後も同じメンバーでスマオクの運営を行うとしている。

クラウドワークスがCtoC型スキルマーケットプレイスに参入、11月15日に新サービス「WoWme」提供へ

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クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を手がけるクラウドワークス。これまではおもに企業と個人を繋ぐためのプラットフォームを提供してきた同社だが、今度はCtoC、個人間取引の領域に進出する。同社はCtoC型で知識や経験を売買するマーケットプレイス「WoWme(ワオミー)」の提供を11月15日より開始する。サービスのローンチに向けて10月17日より11月10日までユーザーの事前登録を実施する。

WoWmeでは、ユーザーが自らのスキルや知識、経験をサービスとして出品し、それを他のユーザーが購入することができるという、いわばスキルのマーケットプレイスだ。クラウドワークスでは「これまで仕事にするには時間や心理的ハードルが高いと思われた個人が有する『ちょっとした特技や趣味』で収入を得る機会創出の実現を目指す」としている。

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出品したサービスが売れた際にかかる販売手数料は当面無料。ただし電話を利用するようなサービス(占いや電話相談などのスキルを売るなど)の場合、1分50円のシステム利用料がかかる。またサービスの購入時には3%のシステム利用料が必要となる。また、事前登録期間内に出品登録を行えばサービスの価格を自由に設定可能だとしている。

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CtoC型サービスのマーケットプレイスと言えば、「ココナラ」や「TimeTicket」といったサービスが先行している。このタイミングでの参入の理由について、クラウドワークス取締役副社長の成田修造氏に尋ねたところ、「競合を意識したというよりは、クラウドワークスの中で試行錯誤する中で出てきたサービス」だと語る。

「(2016年の)年明けに個人が自分のスキルを売りたいニーズがあるかを検証するため『お仕事メニュー』という機能を作ったが、1カ月で1万件超の出品があり、クラウドワークスにいるプロフェッショナル層が個人の得意を売り買いするというコンセプト自体に可能性があると感じたのがきっかけ。それを昇華させた」

「あくまでクラウドワークスのビジョンである『働き方革命』という文脈の中で、企業のデマンドサイド主導のプラットフォームではなく個人のサプライサイド主導のプラットフォームを作ろうという点に立脚している。(クラウドワークスと)アプローチは違えど個人の生き方・働き方を大きく変えていく可能性があり、両方とも総契約額100億円を超える事業に成長させたいと考えている」(成田氏)

前述のとおり、事前登録すれば出品の価格は自由に設定できることもあり、今後は高単価な商品を集めていく方針。また、さまざまなジャンルですでにプロとして活躍している個人などもオフィシャルパートナーとして参加を促していく。さらに当面販売手数料を無料にすることで、総契約額の拡大に努めるとしている。

ところでクラウドワークスの直近の決算(2016年9月期第3四半期決算、2015年10月〜2016年6月の累計)を見ると、営業収益は9億円、営業利益は4億3400万円の赤字、経常利益は4億3300万円の赤字、純利益は4億7700万円の赤字となっている。

プラットフォームサービスが好調なことから8月に上方修正を発表しているが、具体的な黒字化のスケジュールについては明言しておらず、決算資料に短期目標として「総契約額100億円(での黒字化)」という数字が掲げられているのみ。果たしてWoWmeの提供がこの目標にどう寄与するのか?

「今回の事業は(総契約額)100億円への影響度についてはそこまで大きく無いと考えている。むしろその先の年間1000億円単位を想定した上で必要な戦略として立ち上げた事業だ」(成田氏)

スペースシェアの「スペースマーケット」が約4億円を調達して開発・営業を強化

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球場からお寺からオフィスの会議室まで、空きスペースを1時間単位で貸し借りできるマーケットプレイス「スペースマーケット」。サービスを運営するスペースマーケットは8月29日、オプトベンチャーズ、リクルートストラテジックパートナーズ、みずほキャピタル、SBI インベストメント、オリックスを引受先とした約4億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

スペースマーケットは2014年1月の設立で、同年4月にサービスを開始した。現在のスペース数は8500箇所で毎月順調に増加しているという。ユーザー数は対前年比で300%増加の3万人。これまでの成約件数は非公開だが、現在7割弱がパーティーでの会場探しに使われているという。それも首都圏で、15人未満の比較的小さな規模のものが中心だ。

また最近では、これまで提供してきたマーケットプライスに加えて、コンシェルジェが会場手配からイベント企画までをサポートするエンタープライズ向け事業も拡大。企業のサンプリングやマーケティング、リクルーティングのための場作りなどにも利用されているという。件数ベースではプラットフォーム経由での案件が7割程度を占めるが、現在はこのエンタープライズにも注力している。加えて直近ではピザハットベネフィットワンとも提携。利用用途や機能を拡大しているほか、民泊事業も開始。法制面の整備に合わせてサービスを拡大していく予定だ。

スペースマーケットでは、今回の調達を元にして開発および営業、マーケティング人材を強化。プラットフォームの利便性を高めると同時に、積極的なマーケティング施策を展開していく。具体的な開発内容としてはまず、AIを活用したレコメンド機能を開発するほか、ボットによる24時間体制のカスタマーサポート、最適なレンタル価格の提案機能、多言語・他通貨決済への対応などを進める(これは2020年の東京五輪や、将来的な海外展開を視野に入れたものだそう)。

これに加えて地方自治体などとの連携も強化する。「『入場料×365日×人数』しか売上を出せず、観光施設を生かしきれていない地域も少なくない。その体制を変えていく。各種パートナーと連携することで、企画や送客なども行っていく」(スペースマーケット)。同社では2019年時点で5万箇所のスペース提供を目指す。

「500円のスキル売買」から「相談のゲートウェイ」に——ココナラが8月下旬にも法律相談サービス開始

ココナラ代表取締役の南章行氏

ココナラ代表取締役の南章行氏

500円でユーザー同士が経験や知識を売買できるCtoC型のサービスECサイトとして、2012年にスタートした「ココナラ」。サービスを手がけるココナラ(2014年にウェルセルフより社名変更)が、2015年11月にジャフコ、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、VOYAGE VENTURESらから総額5億4000万円の資金調達を実施した同社が、「2018年上場」の目標を掲げてサービスを拡大する。その第1弾となるのは弁護士に無料・非公開で相談ができるマッチングサイト「ココナラ法律相談」。8月下旬のローンチを目指してティザーサイトを公開。サービスに登録する弁護士の募集を開始した。

まずはココナラのこれまでについて紹介しよう。このサービスがローンチした2012年当時といえば、まだ今どきのCtoCだのシェアリングエコノミーだのという波が日本に押し寄せていない時期。一方米国を見てみると、5ドルでユーザー同士がスキルやサービスを売買できる「Fiverr」が2010年にローンチしており、ココナラはいわばそのクローン的なサービスの1つという印象が強かった。ココナラ代表取締役の南章行氏は、当初から“その先”の展開を見据えていたと語る。「2016年に入るまではマーケティングも行わず、会社の目指す姿もあまり発信せずにここまで来た。だが大型な調達を行い、2018年に上場すると打ち出し、プレゼンスを取って行くフェーズになった」(南氏)

ココナラの現在の出品数は8万件。カテゴリーの上位3位は占い・鑑定、心の悩み・健康、似顔絵・イラストだが、これ以外にも幅広いスキルが売買されている。また、過去4年間、約10%の月次流通高成長率を維持。7月は月次流通高8000万円超を達成する見込みだという。当初500円均一だった売買額も、おひねり機能やランク制度の導入などを経て上限金額を上げていった(現在500〜5万円で設定可能)ことも流通高の向上に寄与した。

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また特徴的なのが継続課金率。一度購入したユーザーの課金率は最初の数カ月で10数パーセント〜20%程度に落ち込むものの、以後、ほぼ継続して課金を続ける。また出品者がブログやソーシャルメディアで告知することで、口コミでそのファンが流入するということが起こっているそうだ。

「ココナラのメインユーザーはざっくり言うとPCで来訪する男性ビジネスマンと、スマホで来訪してプライベートな相談をする女性。案件ベースで言えば占いなどが多いが、どんなことでも『相談するならココナラ』と考えてもらえる立ち位置を取れている。ユーザーごとの購入カテゴリーを見ても、3〜5カテゴリーと複数にわたるケースが6割以上。もちろん継続課金率自体を上げていく施策は必要だ」(南氏)

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「500円のスキル売買」から「相談のゲートウェイ」に

そんなココナラがこれから目指すのは「相談のゲートウェイ」。無料のQ&Aサービスや一般的なクラウドソーシングでは解決できないような重要性・緊急性・個別性の高い相談の依頼者(購入者)と、固有のスキルを持っているが集客に向けた広告費を負担したくない、できない出品者、さまざまなジャンルで存在するそんな依頼者と出品者を結ぶための入り口になるという。

具体的にはどういうことか? これまで占いやデザインなどの低単価・高頻度の案件が発生する業界についてはトランザクション単位で課金する手数料モデルでビジネスを展開してきたが、今後は高単価・低頻度の案件が発生する業界にも参入。こちらは広告モデルで出品者から課金するのだという。その第1弾が冒頭で触れたココナラ法律相談だ。

このサービスは、ユーザーが遺産相続なり男女のトラブルなりの相談を投稿すると、最大5人の弁護士が回答をくれるというもの。相談は無料で、他のユーザーに相談内容が見えることはない。そして相談の結果、訴訟などを行う場合、ユーザーは最適な回答をくれた弁護士に連絡をして、直接依頼ができる。

このサービスで弁護士にかかる費用は月額3〜6万円程度になる予定。無料版のサービスも用意するが、有料版ではプロカメラマンによる撮影などで弁護士紹介ページを拡充するほか、得意領域の登録機能などで露出を強化する。なお早期本日から一定期間までは無料でサービスを提供する。2018年8月までに弁護士2500人の登録(うち有料1000人)を目指す。

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実は法科大学院の設立などを背景に、2000年以降弁護士の数は大幅に増加し、その結果弁護士所得は減少傾向にある。そのため若手弁護士を中心にウェブでの集客は進んでいるという。そこにいち早く目を付けたのは弁護士ドットコムが運営するQ&Aサイト型の「弁護士ドットコム」。また最近では弁護士トークの運営するチャットアプリ型の「弁護士トーク」なども登場している。

ココナラでは法律相談の運用を踏まえて、2017年以降新カテゴリーでのサービス展開を狙う。また2018年にはサービスEC領域のM&Aや海外進出なども進める計画だという。

ShareGrid、撮影機材のCtoCレンタルサービスが100万ドルを調達

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現役の写真家や映像クリエイターであっても、恐らく撮影機材が家でほこりかぶってしまっている期間が少しはあるだろう。同時に、他の写真家や映画製作者は機材のニーズを感じている。もしもこの状況に素晴らしいビジネスチャンスを見出したとしても、ShareGridがとっくの昔に手をつけてしまっている。同社はこの度、Archer GrayMHS Capitalから100万ドルを調達し、テスト市場からの飛躍を目指している。

ShareGridは2015年のローンチ以降、ニューヨークとロサンゼルス、2箇所のテスト市場で、写真やビデオ関連の職についている人の生活を楽にしている。これまでの鋭敏なアーリーステージ投資で評判のMHSから大部分の資金を受け取り、メディア制作で有名なArcher Grayからも現金を調達したShareGridは、アメリカ中の新しい市場にサービスを展開していく予定だ。

「制作者として、私たちはShareGridのプラットフォームが解決しようとしている、機材レンタルの非効率性や課題を直接体験してきました」とArcher Gray Venturesのパートナー兼代表のVinay Singh氏は語った。

ShareGridのサイトには、現在金額にして1億ドル以上におよぶ機材が登録されており、1万2000人もの写真・映像クリエイターがメンバー登録している。

同社の主な強みは、他のシェアリングエコノミー系スタートアップの強みと近いものがある。機材の所有者は、眠っている機材の有効活用ができ、そこからお金を稼ぐことが出来る一方、借り手もその他の方法と比べて安い価格で機材を利用することができる。

資金調達以外にも、ShareGridは、貸し手と借り手が直接顔を合わせて機材の受け渡しができるShareGrid Hubと呼ばれる拠点についての発表を行っている。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

経済圏の拡大に向けてハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」が総額11億円を調達

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ハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」を運営するクリーマが総額11億円の資金調達を実施したことを発表した。グロービス・キャピタル・パートナーズをリードインベスターとし、既存株主のKDDI Open Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル、そしてクリーマ創業者の丸林耕太郎氏が出資している。今回、ファウンダーで代表取締役社長を務める丸林氏に話を聞いた。

Creemaはクリエイターがハンドメイド作品を掲載し、買い手は気に入った商品をサイト上で購入できるC2Cマーケットプレイスだ。作品カテゴリーや素材、モチーフ別に240万点以上の掲載作品からお目当てのものを探したり、気に入った作家をフォローしたりすることができる。アクセサリーや時計などのファッション雑貨が多いが、陶器や家具、アート作品などもある。2016年4月からは食品の取り扱いも始めている。

クリーマ創業者の丸林耕太郎氏

クリーマ創業者の丸林耕太郎氏

Creemaの理念は「ものづくりを頑張っている人がフェアな評価を受けられるサービスであること」と丸林氏は言う。丸林氏は学生時代、DJや楽曲製作など音楽活動に打ち込んでいたと話す。そこでは音楽やファッション関係のクリエイターとの接点が多くあったが、実力があって努力していても、必ずしもそれが収入や評価に結びつくものではないという状況に違和感を感じたという。丸林氏はセプテーニ・ホールディングスを経て、独立した。新規事業を考える際、数あるアイディアの中からハンドメイド作品のマーケットプレイスに取り組むことに決めたのは、クリエイターの才能や頑張りが正当に評価される環境ができると感じたからだと話す。作品の評価は主観的なもので、見る人によって価値を感じるものは違うだろうが、買い手と作品が直接つながることで、より多くの作品が評価されることになると丸林氏は説明する。

Creemaで掲載している作品の一部

Creemaには現在6万人ほどのクリエイターが登録している。クリエイターは趣味としてものづくりをしている人や美大生などが多いそうだ。中には、趣味と副業を兼ねて作品をCreemaに出品していたものの、人気が出て、ものづくりを専業にするために独立した人もいると丸林氏は話す。ハンドメイド作品と言えば低価格だと思われがちだが、Creemaには高額商品も多いそうだ。サービスを開始した当初、インターネットで作品を買う人なんていないと思われていたと丸林氏は言う。しかし、今ではCreemaの作品は安いから購入されているのではなく、良い作品であれば5万円、10万円でも購入につながることが分かってきたと丸林氏は話す。

Creemaバッグ特集

上記はCreemのバッグ作品の特集だが、5000円の帆布トートバッグから2万円のカゴバッグといった高単価のものも並んでいて、どの作品のデザインも仕立ても良さそうな印象だ。

Creemaは2010年5月にローンチし、2014年6月にはKDDI Open Innovation Fundから1億円を調達した。Creemaはクリエイターの売上高に基づき、8%から12%の成約手数料を得るモデルで運営している。出品自体は無料でできる。Creemaの流通総額は年間450%以上成長し、5年連続の成長を果たしたと丸林氏は説明する。

この成長の理由は、買い手のハンドメイド作品に対する価値観が変わってきていることも影響しているのではないかと丸林氏は話す。例えば時計を買うにしても、ブランド商品より世界に1つしかない作品やクリエイターのこと、あるいは作品のストーリーを知った上で気に入った商品を購入することに価値を感じる人が増えているのではないかという。Creemaでは、買い手がクリエイターに連絡を取ることもでき、作品に関する質問をしたり、オーダーメイドや発注数の相談したりといったコミュニケーションを通じてクリエイターのファン構築にもつながっているという。Creemaでは他にも5000名以上のハンドメイド作家が集まるイベント「HandMade In Japan Fes」を東京ビッグサイトで主催したり、常設ショップ「クリーマストア in ルミネ新宿2」を商業施設内に出店したりなど、リアルの場でも買い手とクリエイターの接点を作る施策を行ってきたという。

今回の資金調達ではマーケティング、開発、採用に力を入れる計画だという。クリエイターを支援する新規事業やサービスの海外展開も視野に入れているそうだ。ハンドメイド作品のC2Cサービスと言えばGMOペパボが展開する「minne」やNASDAQに上場し、日本からも利用できるニューヨーク発の「Etsy」などがある。競合は何社かあるが、丸林氏はこれまでCreemaがクリエイターにとって価値のあるサービスとして確立するためのサービス開発に注力してきたという。今回の資金調達、そしてリピーターからの購入が流通総額の大半を占めるようになったことを機に、今後マーケティング活動を強化してCreemaの経済圏を広げていく計画という。また、Etsyに関しては世界で初めてハンドメイド作品の経済圏を作ったことは尊敬しているとしつつも、C2Cでは買い手とクリエイターのコミュニケーションも重要であり、各地域に密着したサービスが台頭する余地もあると考えていると丸林氏は話す。

C2Cの中古車マーケットプレイス「Ancar」から整備工場の検索サービスが登場

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本日、アンカーは新サービス「Repea(リペア)」をリリースした。Repeaは自動車整備工場の連絡先、取扱業務、得意分野などの情報を掲載し、現在地から最も近い整備工場を探したり、必要な整備内容から整備工場が見つけることができるサービスだ。このRepeaは、彼らがこれまで手掛けてきた中古車のC2Cマーケットプレイス「Ancar(アンカー)」で築いた整備工場のネットワークを新たな切り口で車のオーナーとつなぐサービスだ。今回Repeaの狙いについてアンカーの創業者で代表取締役を務める城一紘氏に話を聞いた。

Repeaについて説明する前に、まずアンカーの最初のサービス「Ancar」を紹介したい。Ancarは2015年9月からベータ版を提供している中古車のC2Cマーケットプレイスだ。Ancarの特徴は、車を掲載する前に、必ず整備工場で車の査定と点検を行うことだ。サービスの流れは次の通りだ。車を販売したいユーザーはAncarと提携する整備工場に車を持っていくと、そこでプロの査定士が車の査定し、法定12ヶ月点検を行う。Ancarは査定結果を元に出品推奨額を車のオーナーに提示し、最終的な出品価格が決まれば、車がAncarに出品される。車を買いたい人は、外装や内装の評価からパッと見では分からない内部のエンジン周り、電気装置、ブレーキ周りなどの評価も確認した上で購入を決定することができる。

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Ancarの査定結果

通常の中古車流通では売り手から買い手に車が届くまでに買取店、オークション、販売店などを経由しているためコストがかさみ、最終的な買い手の購入金額が高くなっていると城氏は説明する。Ancarは売り手と買い手を直接つなぐことで、売り手はより高額で車を売却し、買い手は市場価格より安価な価格で車を購入することができるようにする。だが、それだけでは不十分と城氏は話す。「車は命を乗せるものであり、個人と個人をつなぐだけではダメで、安全であることが重要」と言う。そこでAncarは法定12ヶ月点検相当の点検を行い、その結果を開示することで個人が安心して中古車の購入を決められるようにしているという。通常の中古車売買では買い手が決まってからしか車の整備や点検が行われないと城氏は話す。それは購入されるか分からない車の点検にコストを割きたくないという販売側の心理があるからと指摘する。城氏は本来なら先に点検を行って、買い手はその結果を鑑みた上で購入を判断するのが適切と考え、Ancarでは先に査定と点検を行う仕組みを構築した。

Ancarは中古車の査定と点検体制を整えるために整備工場との提携を進めてきた。その結果、現在では200社以上の整備工場と提携し、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)のカバー率は95%以上なのだという。これは車で15分圏内にAncarの提携整備工場にある計算だそうだ。今回ローンチした「Repea」では、整備工場と車のオーナーをつなげたい考えだ。整備工場と一口に言っても対応できる作業や得意な整備内容は異なると城氏は言う。だがこれまでそのような情報はインターネットでは得られなかったり、一般の人にとってどのような整備ができるかすぐには分からないことが多かった。Repeaでは、各整備工場の連絡先、対応できる整備内容などの情報をプロフィールにまとめ、地図に表示する。自動車を持つユーザーは、例えば車検に出す時や傷、不具合の整備を依頼したい時に、最寄りの整備工場や必要としている業務に対応できる整備工場を見つけたりすることができる。

Repea詳細ページ

修理や整備をディーラーに依頼するオーナーも多いだろうが、整備工場では高い技術を低価格で提供していることはあまりは知られていないと城氏は話す。Ancarでは車の売買でしか車のオーナーとの接点がなかったが、Repeaでは車のメンテナンスでより多くの車のオーナーと整備工場との接点を作りたい考えだ。車のオーナーにとって整備工場をより身近な存在にしたいと城氏は話す。今後、Repeaでは車のオーナーが傷や故障箇所をスマホで撮影して、整備工場に見積もりの依頼を送ることができるようにしたり、スマホアプリで決済を完結したりできるようなサービスにしていくことを考えているという。

城氏はアンカーを2015年1月に立ち上げ、同年4月にCAVから資金調達を行っている。城氏はGREEに勤めた経歴があるが、家業の整備業を継ぐために実家に戻ったという。そこで中古車流通の非効率性やIT化がほとんど進んでいない状況を目の当たりにし、ITを活用したサービスを考えたという。今後はAncarの海外展開も検討していると城氏は話す。ただ、途上国などでは長く安全に自動車を使うことができる環境が整っていないところも多いとし、その部分を補うためにも日本の中古車だけを海外に持って行くのではなく、整備技術も合わせて輸出できる形を考えていると話す。

チャットボットがCtoCサービス成功の鍵、新事業に挑むドリコム内藤氏

ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏

ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏

物々交換アプリ「Clip」を4月19日に正式公開したドリコム。このClipや、先行して3月にリリースされているコンシェルジュによる飲食店の紹介・予約サービス「PlanB」をはじめとして、現在複数のCtoCサービスを開発中なのだという。その背景や今後の取り組みについて、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏に聞いた。

じわじわやって、誰も追いつけないサービスを作る

ドリコムの売上を生み出しているのはスマートフォン向けのゲーム事業だ。同社ではそのポートフォリオを見直して不採算タイトルを整理。IP(版権)モノのタイトルを中心に提供していくことを発表している。「ゲームをIPに寄せる。では3年後、5年後には何をやるか? と考えていたのが1年少々前。それで出た答えがCtoCの領域だった」(内藤氏)

GoogleやFacebookが参入してしまうような領域にチャレンジするのは難しい。やるのであれば、1、2年は芽が出なくて周囲に「うまくいかないよ」と言われようが、圧倒的なサービスを作らないといけない。「Airbnbだってじわじわやってきたが、今となっては誰も追いつけない。そんなサービスを作りたい」(内藤氏)

そんなビジネス的な観点とは別に、大量生産大量消費の時代からモノを大切にする時代、貨幣よりも信用が価値になる時代だからこそ成り立つプロダクトを作りたいという思いがあったという。「今のビジネスは『儲かる』という前提で設計されている。でも田舎では道ばたで無人の野菜販売だってしているし、モノの貸し借りもしやすい。そんな信用社会のサービスだっていい」(内藤氏)。Clipは、単にCraigslistを置き換えるためだけのサービスではないという。

とは言えあくまでドリコムのビジネスの中心はゲーム。新サービス群は20代半ばの社員を中心にした少数チームで担当している。内藤氏はプロデューサーとして新サービスにも時間を割いているという。「ヒットではなく、外してもいいから大きく振っていく。時間をかけてじわじわと(価値が)高まっていくものを作る。一方でゲームは逆張り。IPモノでヒットを打っていく」(内藤氏)

チャットボット×CtoCの可能性

リリースされているClipとPlanB、開発中のものも含めて、サービスの一部にチャット型のUIを採用している。「まだインターネットは使うのが難しい。チャットUIがそのハードルを下げているというのをこの1年くらい感じていた」(内藤氏)。MicrosoftにFacebook、LINEなどのプラットフォーマーがチャットUIとAIの組み合わせである「チャットボット」に注目しているが、内藤氏はこれとCtoCサービスとの相性が非常にいいと語る。

チャット形式でユーザーがやりとりする「Clip」

チャット形式でユーザーがやりとりする「Clip」

「なぜ僕らがチャットUI、ボットとCtoCとの掛け算を重視しているかというと、まずよく言われることだが、リテラシー低くても使いやすいから。この業界にいると当たり前になりがちだが、いちいち地域だの値段だのを入力して検索するというのはエンジニア的発想。一般の人の発想は電話みたいな感覚で尋ねたいはず」(内藤氏)

またこの組み合わせは、ユーザーのコンバージョンを高めるのにも最適だというのだ。

「CtoCのサービスで重要なのは、『ユーザーは待てない』ということ。そのためにできる限り待たせずリアクションをしなければならない。ここでチャットボットを使えば、すぐに返事できる。例えばPlanBでも、ユーザーからの問い合わせにボットと人力、それぞれでやることを分けている。そういうことがユーザーのエクスペリエンスを向上させる」(内藤氏)

内藤氏は「ライブ」というキーワードでチャットボットの価値を語る。ユーザーは自分がアクションを起こした際、リアクションがなければそのアプリなりサービスからいったん離れてしまう。だが相手がリアクションをしていることが分かればそのサービスから離れにくい。これは僕らがLINEの「既読」やFacebookメッセージの「入力中」という表示を見たときのことを考えればしっくりくる話だ。また、素早く反応が返ってくれば、それが意志決定にも繋がる。そんな“ライブ感”がCtoCのサービスには必要だという。だがチャットUIは決して万能な訳ではない。たとえばフロー型のUIであるがゆえに、検索性は弱かったりする。Clipでも検索機能は強化せず、いかに偶然の出会いを作るかを意識しているのだという。

PlanBのチャット画面

PlanBのチャット画面

PlanBは1回の予約ごとに課金(アレンジ料として1500円。ただしオープン記念で現在は1000円)を行うが、Clipは当面無料でサービスを提供する予定だという。企画当初からマネタイズ手段も用意し、開発に乗せていたが、リリース前にあえて機能を外した。「ビジネスモデルは時にユーザーの邪魔になる。しばらくはそういうことを無視して、回転数がどれだけ上がるか考えていきたい」(内藤氏)。ドリコムでは直近にもいくつかの新サービス(CtoC領域以外のサービスもあるようだ)をリリースする予定だ。

余談だが、最初にClipを紹介したのとほぼ同じタイミングでメルカリ子会社のソウゾウが同種のクラシファイドサービス「メルカリ アッテ」をローンチしていた。これは本当に偶然だったのだそうだ。

ドリコムの物々交換アプリ「Clip」がいよいよ正式サービスを開始

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2月にひっそりとローンチしていたドリコムの新アプリ「Clip」がいよいよ本格的に動き出したようだ。同社は4月19日、App Storeで公開中のアプリをアップデート。正式にサービスを開始したと発表した。なおAndroid版アプリは今後提供の予定だ。

Clip

既報の通りだが、Clipは「物々交換」に特化したCtoCのサービス。電話番号認証を行いユーザーを登録した後、リアルな友人や同じ趣味を持つユーザーで「グループ」を作り、そのグループ上に譲りたいものを掲載。グループ間の小さなコミュニティーでの物々交換を行うのだという。

アイテムの登録はスマートフォンで撮影した写真を投稿すればOK。気になるアイテムには(Facebookの「いいね!」のように)「ほしい」を送ることもできる。

サービスは無料で利用できる。ただし「交換」「貸す」「ゆずる」の機能に特化しており、決済機能などは備えない(逆に言えばクレジットカードも銀行口座も不要だ)。物々交換の際には、チャット形式のUIを使って当事者間での直接やりとりを行う。

今後は欲しいものや必要なものを他のユーザーが持っていないか尋ねることができる「リクエスト機能」の提供も予定している。

ちょっと気になったのが、正式サービスを始めるにあたってサイトに書かれたコンセプトだ。

物々交換によってお金のいらない世界を実現する

クリップが目指す世界はお金がなくても生活がもっとHappyになることです。物々交換を通じて世界中の人たちが安心して簡単に欲しいものが手に入る、それがクリップです。

最近はメルカリが子会社のソウゾウから「メルカリアッテ」をリリースしたりしているが、この説明を読む限り、Clipは「これまであったクラシファイドサービスを置き換えました」というだけの思いで作ったサービスでもないようだ。このあたりの構想などは後ほど追ってご紹介したい。

メルカリはすでに黒字化、数億円の利益を生んでいる

メルカリの山田進太郎氏

僕は現在、12月8〜9日に京都で開催されている招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2015 Fall Kyoto」(IVS)に参加中だ。セッションの内容をはじめとして気になる話はあると思うが、注目集まるCtoCコマースサービスのメルカリについて新しい数字を聞いたのでここで紹介しておこう。

先日開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2015」にも登壇してくれたメルカリ代表取締役の山田進太郎氏。登壇の際にも、日米で2500万ダウンロード(米国は500万DL以上)という数字や、世界展開について語ってくれた。今日山田氏に聞いた話によると、メルカリはこの数カ月で数億円規模の単月黒字体制になっているのだという。

ちなみにメルカリは11月24日に第3期の決算公告を出している。それによると売上高は42億3779万円、営業損失11億432万円、経常損失10億9996万円、当期純損失11億460万円。

ただし同社はこの数字以上の成長をしているのだそう。どういう意味かというと、同社の第3期というのは、2014年7月から2015年6月末まで。一方で同社がサービス手数料を取得するようになった、つまり売上が出るようになったのは2014年10月から。それまでに出品されていたアイテムに関しては手数料をかけていないのだという。メルカリの手数料は10%のため、同社の売上高が42億円であれば、プラットフォーム上での取引額はその10倍の420億円と単純計算できそうだが、手数料無料の商品も売れているわけで、その取引額は420億円以上(山田氏いわく、420億円の百数十パーセント程度)になるのだそうだ。

また海外(米国)事業だけを見ると目下グロース中で、赤字を掘り続けている状況。業界関係者から「海外事業がなければすぐにでも上場できる業績ではないか」なんていう話も聞いたのだが、山田氏もそれを否定することはなく、「海外戦略も含めた『エクイティストーリー』をどう描くかが課題」だと語っていた。米国では競合サービスである「Poshmark」が事業規模としては大きいそうだが、これも「来年にはゲームチェンジできるのではないか」(山田氏)としている。

Wi-Fi・電源無料のスペースも1席1時間単位でレンタル可能な「eichiii」が間もなくローンチ

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スペースマーケットSHOPCOUNTER軒先ビジネスなど、空きスペースのオーナーと利用者をマッチングしてイベントやポップアップショップに利用するようなサービスが増えてきた。これらのサービスは建物だったりその1室だったりと、「ハコ」単位でのレンタルが中心だ。そのサービスはいわゆる「toB」のもの。会議や大規模なイベント、期間限定店舗などをはじめとして、数人から大人数の、おもに法人のニーズを満たすものが中心だ。

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今回紹介する「eichiii」は「toC」、つまり個人のためのスペースのマッチングサービスだ。スペースを「ハコ貸し」するのではなく、座席単位でのマッチングを実現する。現在サイトにてユーザーの先行登録を開始しており、間もなく正式にサービスをオープンする。

eichiiiでは、ウェブサイト上でスペースを検索して1席1時間単位でレンタルできる。スペースはコワーキングスペースや貸し会議室、営業時間外の飲食店やカラオケボックスなど。サービス開始までに都内を中心に200アドレス(1アドレスに3〜4席を確保)を目指し、今後もその数を拡大していく予定だ。

「当初はノマドワーカーをターゲットにしていたが、フリーランスや中小企業の打ち合わせ場所のニーズも多い」(エイチ代表取締役社長の伏見匡矩氏)とのことで、1室単位でレンタルできる個室スペースなども用意する。

金額はスペース側が設定できるが、1席1時間500円程度が中心。スペースによってはフリードリンクや電源・Wi-Fiの無料利用などの設備もあるという。スペースに着いたユーザーは予約画面を店舗に見せて金額を直接支払うという仕組みのため、システムの導入などは必要ない。eichiiiは金額の30%を手数料として取得する(そのうち5%はユーザーにポイントとして還元される)。

伏見氏はP&Gのマーケティング担当として活躍したのちに、社外からリクルート新規事業提案制度「New RING」でグランプリを受賞し、メディア事業を手がけるエモーチオの立ち上げに参加。その後に起業を志し、ベビー用品レンタルショップ「Babyrenta」を運営するココロイロを立ち上げた。

「循環型社会を作りたいという思いが根底にあり、それどんなビジネスができるか考えたのがベビー用品のレンタルだった。だがモノのレンタルは小規模な事業。世の中を変えられると思って始めたが、これを続けても売上100億円を狙うのが限界」(伏見氏)。

またレンタルビジネスをやって、例えば「キャンプ用品を借りたい」という人がいるのではなく、「キャンプをやりたい」という人がいて、その目的のためにキャンプ用品が必要なだけ——つまり商品のレンタルよりも、「スペースで何かを達成すること」を支援することのほうが重要——という考えに至ったのだそうだ。そんな思いからeichiiiの開発に取り組んだ。

伏見氏はeichiiiで「早期にユーザー数3万人を目指す」としている。なお資金調達等は現時点で検討していないという。

スペースマーケットがiOSアプリをリリース、今後はポップアップショップの紹介なども

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昨年4月にサービスを開始した“ビジネス版Airbnb”こと「スペースマーケット」。野球場から映画館、果ては船まで、さまざまなスペースを1時間単位でレンタルし、会議や株主総会、研修、イベントなどに利用できるこのサービスが6月30日、iOS版のアプリをリリースした。App Storeから無料でダウンロードできる。なおAndroid版アプリは今後提供する予定。

アプリでは、レンタルスペースを検索して予約リクエストを送信。アプリ上で決済までを完了できる。設備等の気になる点を質問できるメッセージ機能も用意する。ただし、アプリ経由でのオーナー登録(貸したいスペースを掲載する)の機能は現在実装されておらず、今後対応する予定だという。

取り扱いスペースは3000件に

サービスを運営するスペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏に聞いたところ、取り扱いスペースは現在約3000件。5月にはNPOと提携して群馬県桐生市にある遊休施設のレンタルを開始するなど、“地方創生”関連の案件なども積極的に開拓しているそうだ。

とはいえ、ビジネスの中心になっているのは結婚式場などの大きなスペースで企業の周年イベントや社員総会を開催するといったBtoBの案件。「今ホテルの宴会場を貸し切ると高い価格になるが、平日の式場などは安価に利用できる。我々にも競争力がついてきたので、スペースとの価格交渉もできるようになってきた」(重松氏)

事業面を見るとまだ赤字ながら、売上、利益ともに伸びているという。ただし売上は「季節要因が大きい」(重松氏)。会社行事などが集中する12月や3月、4月などは増加する一方、5月以降は下降ぎみだという。

今後はポップアップショップの紹介も

国内の競合を見渡すと、米「StoreFront」や英「Appear Here」のようにポップアップショップに特化したCOUNTERWORKSの「SHOPCOUNTER」が5月にスタートしているほか、またWiLなどが出資しており、安倍政権の特区構想に準拠するかたちで日本版Airbnb「TOMARERU」を提供する予定の百戦錬磨も、2014年末に「Jambalaya」なるスペースレンタルサービスをひっそりと開始している。古参の「軒先ビジネス」なども健在だ。

重松氏は「CM撮影やイベント開催、ポップアップショップなどはトレンドとして確実に『来る』と思っている。ちょっとしたスペースも、コンセプトを与えてやるとうまく回っている」と説明。今後はより広いニーズに対応していきたいと説明する。すでに同社のオウンドメディア「BEYOND」でも、そんな物件が紹介されていたりする。

スキルのマーケットプレイス「ストリートアカデミー」、法人向けの教育サービスに進出

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社員向けに研修やトレーニングを提供している企業も多いが、成果のほどはいかがだろう。一方的な押し付けではモチベーションが保たれないし、そもそも社内でじっくり座って受講する時間がないという場合もある。そんな中、社員教育に新風を吹き込むサービスがストリートアカデミーから登場した。

ストリートアカデミーでは、スキルを持つ個人(または法人)が、スキルをもとにした講座を販売できるマーケットプレイス「ストリートアカデミー」を2012年8月より運営している。現在プログラミング講座やヨガ教室などが提供されており、その講師数は2000人。ユーザー数は3万8000人以上となっている。

これまでCtoCのサービスを提供していたが、法人ユーザーが受講しやすいよう機能を追加したのが6月18日にリリースした「ストアカ for Biz」だ。

ストアカ for Bizでは、Excelやロジカルシンキング、スピーチ、英会話から、ウェブデザイン、プログラミングなど、2500件以上の講座を受講できる。企業の管理者が社員に受けさせたい講座をレコメンドしたり、業務と無関係な講座(ストリートアカデミーには、手品やバック転なんかの講座もある)を受講しないようフィルタリングしたりできるほか、社員の受講状況をモニタリングできる管理機能を搭載する。

初期費用や月額費は無料、受講料をポイントパック(5万円/10万円/15万円)で購入するだけの料金体系となっている。今後は割安な定額制プランの導入も検討しているという。

ストリートアカデミーでスキルを売っている講師のうち8割は個人で、前述の通りCtoCのモデルとなっている。だが、当初想定した以上に会社員がビジネス向けの講座を受けるというケースが多く、「会社で導入して部署の活性化に利用したい」といった声もあったことからストアカ for Bizを企画した。「企業における需要に気付かせてくれたのはユーザーだった」(ストリートアカデミー代表取締役社長の藤本崇氏)

また藤本氏は「強制的になりがちな社内研修に対し、社外で、よりカジュアルな学びを提供できるので、スキル向上に活用してもらいたい」と期待を込める。レクリエーション的な講座も多いため、社内の交流イベントとしてチームボンディング(組織のチームワークを高めること)にも有効ではないかと語る。

直近では動画学習サービスの「schoo」なども新人研修向けのコンテンツを提供しているように、ネットのインフラを活かしたオンライン学習が人気を博している。しかし藤本氏は「場の重要性」を説く。「講師とのやりとりはオンラインでも再現できるが、他の生徒から得られる気付きや刺激は大きい。『出会う』ことにニーズがあると感じている」(藤本氏)。ちなみにストリートアカデミーでは、このサービスに先駆けて、2014年10月に講師の社内派遣サービス「オフィスク」も提供している。

NECやガイアックスといった上場企業のほか、ラクスルやLiB、ietty、ベストティーチャーなどのスタートアップが導入を決定しており、まず直近で100社への導入を目指すとしている。7月にはスマートフォン向けアプリも提供する予定で、年間売上1億円を目指す。

ザワットが2.5億円の資金調達、ブランド品オークション「スマオク」で越境CtoC実現へ

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「同じ戦い方をしていたら完全にレッドオーシャンの中。僕らはほかのフリマアプリとは違うニーズを見つけた」——こう語るのはスマートフォン向けのオークションサービス「スマオク」を手がけるザワットの代表取締役社長である原田大作氏だ。

ザワットは6月11日、SIG Asia Investments, LLLP、MSキャピタル、IMJインベストメントパートナーズが運用するファンド「IMJ-IP Open Innovation FundⅠ」を引受先とした第三者割当増資を実施し、総額2億5000万円を調達したことをあきらかにした。

スマオクはブランド品に特化したスマートフォン向けのオークションサービスだ。CtoCでのオークションのほかに、自ら商品を仕入れて5分限定、1円スタートのオークションなども展開している。

2013年11月にリリースしてから約1年半、「資金力がなかったのでテストマーケティング的な動きだった」(原田氏)とのことで具体的な数字は教えてもらえなかったのだけれど、メルカリやLINE MALL、Frillなどを筆頭にする、いわゆる「フリマアプリ」とは違う属性のニーズをつかんでいることが分かったのだという。

外国籍ユーザーのブランド品ニーズに活路

「フリマアプリはF1層(20〜34歳の女性)のユーザーが多いのに対して、スマオクは地方在住の30〜40代女性のユーザーが多い。また同時に、(落札の)ベトナムや中国をはじめとした外国籍のユーザーの落札件数や金額も大きい」(原田氏)

原田氏は最近リアルで開催されているBtoB向けのオークションにも参加しているそうなのだが、そこでも東南アジアの業者がブランド品を次々と落札していると説明する。「円安の影響もあるが、『checked in Japan(日本で本物かどうかチェックされている)』のブランド品ニーズは非常に高い。日本ほど(ブランド中古品の)マーケットができていて、綺麗な商品があるところはない」(原田氏)

こういった背景もあって、今後は海外、特に「日本発アジア圏」の越境CtoCのサービスを展開していくという。ザワットはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのインキュベーションプログラムにも採択されていることもあり、そのネットワークを利用するほか、海外パートナーを募ることも検討している。

現在は試験的に中国のオークション・ECサイト「タオバオ」などで商品を販売しているそうだが、今後はスマオクのプラットフォームを海外展開していく予定。半年後には海外のビジネスの比率を50%程度まで引き上げたいとしている。

2周年を迎えたメルカリ、ダウンロード数は1000万超に

メルカリが運営するフリマアプリ「メルカリ」が2月1日に1000万ダウンロードを突破した。同社は2013年2月1日に「コウゾウ」の社名でスタートしたが、まる2年での達成となる。またこれにあわせてインフォグラフィックも公開している。さらに人員拡大に伴い、3月にはオフィスを六本木ヒルズに移転する。

メルカリ代表取締役の山田進太郎氏

メルカリはスマートフォンで自分の持つファッションアイテムや家電などを撮影して商品の価格を設定して出品し、他のユーザーに販売できるフリマアプリだ。Fablicの「Fril」など先行するアプリがある中で2013年7月にサービスを開始。2014年3月には14億5000万円の大型資金調達を実施して5月にテレビCMを実施。9月には米国に進出、さらに10月には23億6000万円を調達すると同時にテレビCMの第二弾を実施。11月には東京・お台場にて、2万6000人が参加するフリーマーケットも開催した。

テレビCMをきっかけに好循環

インフォグラフィックを見るとあきらかだが、テレビCMの効果は顕著で、CM実施月以降のダウンロード数は大幅に伸びている。メルカリ代表取締役山田進太郎氏は、「テレビCMで(ダウンロード数の折れ線グラフの)角度が5月に上がっているが、それ以降も上がっている。第二弾のCMについても同じ」と語る。CMによって認知率が上がり、安心感も出てくる。それが検索やダウンロード数に反映され、さらにはユーザーが多くなるほどに商品数も購入希望者も増え、結果として「出品したらすぐ売れる」という好循環ができあがっているそうだ。

1月27日時点での累計出品数は約6296万品。1日の平均出品数は数十万品で、1年前の約8倍という数字だ。キャンペーン時には、1分あたり最大出品数3409品という数字を記録したそうだ。また販売のスピードも速い。売れた商品の20%が出品から1時間以内に取引成立している。

出品される商品をカテゴリ別に見ると、レディースファッションやベビー・キッズ用品、コスメ・香水・美容といった女性向け商品が約半数を占めるものの、エンタメ・ホビー、メンズファッションと幅広い。

メルカリでは、商品名やブランド名などの検索結果を保存しておけるので、そのキーワードを検索するために1日複数回アプリを立ち上げるユーザーが多いそう。それもあってユーザー1日あたりの平均滞在時間は43分と非常に長い。山田氏は「(ブランド名などを)ウォッチしている人が結構多い。よくAmazonや楽天との違いを聞かれるが、メルカリは『何かないかな』といったウィンドウショッピング感覚で使われている」と説明する。

DAU(1日のアクティブユーザー)やMAU(月間のアクティブユーザー)について山田氏に聞いてみたのだが、「非公開。ただしかなり大きい数字」とのことだった。こちらはすでに公開されている額だが、月間流通総額は数十億円。複数の業界関係者の話では、すでに月間流通総額で60億円超という数字も聞く。山田氏は、「在庫を持つ一般的なECとフリマを同じように考えるかは別として」と前置きしつつ「トランザクションで言えば、楽天、Amazon、ヤフオクというグループがあって、次にあるZOZOTOWNなどがある。その次のグループくらいにはなっている」と語る。

米国展開は今後半年で本格化

社員数は米国を含めて130人。そのうち約60人がカスタマーサポートを担当している。また米国のスタッフは20人程度で、こちらもカスタマーサポートが中心。プロジェクトマネージャーやデザイナーは在籍するものの、基本的には開発は日本に集中している。米国ではこれまでシェアオフィスに入居していたが、2月からは独自にオフィスを構えるそうだ。

米国でもダウンロード数や出品数などは順調に伸びているということだが、これまではカスタマーサポートの拡充や想定される詐欺などトラブルへ対応など、体制作りに注力してきたそう。今後半年をかけて本格的にサービスを展開していく。山田氏も米国拠点を中心に活動することになる。米国では競合サービスのPoshMarkなどが先行しているとのことだが、「(競合を)そこまで参考にしているわけでもない。どちらかというと、米国で受け入れられるものをどう作るか。機能を真似するというものでもない」(山田氏)という。またすでにヨーロッパなどでのリサーチも開始したが、「まだ視察レベル」だそうで、こちらは1年ほどかけてサービス展開の是非から検討していく。

メルカリは「シェアリングエコノミー」のサービス

米国での競合の話をPoshMarkなのかeBayなのかと聞いて聞く中で山田氏が語ったのは、メルカリが個人にフォーカスした「シェアリングエコノミー」のサービスだということだった。他のフリマアプリはさておき、日本ではヤフオクの置き換えではないし、米国ではeBayの置き換えではない、個人間の新しい市場を開拓したと説明する。

シェアリングエコノミーというキーワードだと、UberやAirbnbといった急成長を遂げたサービスが思い浮かぶが、個人間売買も同じような規模のニーズがあると山田氏は語る。「知り合いでシェアリングエコノミー系のサービスをしている人間もいるが、すごい伸びている。メルカリは決済と流通がしっかりしていたから日本で始めたが、5年後、10年後を見ると途上国でもフリマアプリは普通に使われているんだろうな、という世界観がある。その中でメルカリが使われているポジションを考えている。自動翻訳が実現すればクロスボーダーな取引も加速する。その時のトランザクションは大きい。そこを取っていく」(山田氏)

また詳細は明かされなかったが、新規事業やサービス拡張、人材採用など、今後数カ月で同社からいくつかの発表を予定しているとのこと。「結構面白いものが出てくると思う。これでさらに加速できる」(山田氏)


メルカリがWiLと既存株主から23.6億円調達–テレビCMやリアルイベントも

3月に14億5000万円を調達したメルカリだが、またもや大きな資金調達を実施したようだ。同社は10月9日、World Innovation Lab(WiL)および既存株主であるグローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMO Venture Partners、East Venturesから総額23億6000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。出資比率は非公開。バリュエーションも非公開だが、「200億円以上ではないか」(関係者)といった声も聞こえてくる。

メルカリが手がけるフリマアプリ「メルカリ」は、5月に展開したテレビCMの効果もあり、これまでに500万ダウンロードを達成。月間流通額は数十億円、出品数は1日10万件に上る。9月には米国向けにもサービスを開始している。また10月に入って、これまで無料だった手数料を有料化(代金の10%)している。ちなみに有料化を9月中にアナウンスしたところ、駆け込み需要で9月最終週の出品・購入額が通常の約3倍程度まで拡大したそうだ。有料化1週間の手応えとしては、天候(おもしろいことに、台風で外出を控えるなど可処分時間が多くなるような状況だと、サービスの利用者が増えるそうだ)などの影響でブレもあるが、「評価としては、すごいクレームになっているといったことはまずない」(メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏)という状況だそう。

前回実施した14億円超の資金調達も大きな金額だったが、メルカリでは今回調達した資金をもとに、日米双方での積極的なプロモーションを展開する。まず日本については、10月11日〜26日、11月8日〜23日に書けて首都圏を中心に全国でテレビCMを展開する。前回のCMに出演した菅谷哲也さん、筧美和子さんのほか、ダンディ坂野さんが新たに出演する。またパートナー企業と組んで、11月8日〜9日に東京・お台場でリアルなフリマイベントを実施する。

CtoCコマース市場ではすでに撤退するサービスも

フリマアプリをはじめとしたCtoCコマースの競争は激化しており、すでに撤退する企業も出てきている。そんな中でメルカリはスマートフォンに特化したオールジャンルのCtoCコマースとして「トップランナーになった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)と説明する。以下は同社が掲げるポジショニングマップだ。なお、資料には「Confidencial」と書かれているが、メルカリから公開の許可を得ているものとなる。

そんな中で国内ユーザーの更なる拡大と、9月からスタートしたばかりの米国向けサービスを強化するため、23億円超の大型調達を実施したという。「まずは1000万ダウンロードを目指す。DAU(デイリーアクティブユーザー)や購入額はダウンロード数に比例して上がっており、増やして利用率が下がるとは思っていない。どこまで伸びるかは底が知れない」(山田氏)

 

 

海外展開はヨーロッパも視野に

今回の資金調達では、日本と米国に拠点を置くWiLが新たに株主になっているが、「WiLが(投資の)リードという考え方ではないが、米国展開のサポートを期待しているのは事実」(小泉氏)だと説明する。

米国での展開は、組織面も含めて「本当に何から何まで違う」(山田氏)状況だそうだが、サービスに関しては「思ったより受け入れられている」(山田氏)という。App Annieのデータを見る限り、米国でのアプリのランキングは500位前後を行き来しているようだ。現在はFacebook広告を中心に集客しているが、今回の調達を受け、米国でのマーケティングも本格化していく。またヨーロッパ展開も視野に入れており、年末までに市場を調査して参入を検討していくという。