AWS Nitroの競合技術を有するPensandoが脱ステルス

元Cisco(シスコ)の技術者たちが創業したエッジコンピューティングのスタートアップであるPensando(ペンサンド)がシリーズCで1億4500万ドル(約157億7000万円)を調達し、ステルス状態を終えた。同社のソフトウェアとハードウェアはデータセンターにおけるクラウドコンピューティングサーバーの柔軟性を拡大し、Amazon Web ServicesのNitroと競合する技術と位置づけられる。

今回のラウンドはHewlett Packard EnterpriseとLightspeed Venture Partnersがリードし、これによりPensandoの調達総額は2億7800万ドル(約303億円)になる。HPEのCTOであるMark Potter(マーク・ポッター)氏とLightspeed VentureのパートナーであるBarry Eggers(バリー・エッガース)氏が、Pensandoの取締役会に加わる。同社の会長は元CiscoのCEO John Chambers(ジョン・チェンバース)氏で、彼はJC2 Venturesを介してPensandoの投資者の一人でもある。

Pensandoは2017年に、Mario Mazzola(マリオ・マッゾラ)氏、Prem Jain(プレム・ジャイン)氏、Luca Cafiero(ルカ・カフィエロ)氏、およびSoni Jiandani(ソニ・ジャンダニ)氏によって創業された。この技術者チームはCiscoの重要な技術開発のいくつかを先頭に立って推進した人々であり、その前にはInsieme Networksなど4つのスタートアップを創業して、それらはいずれもCiscoが買収している。

ロイターのインタビューで、前にCiscoの執行副社長だったPensandoのCFOを務めるRandy Pond(ランディ・ポンド)氏は、CiscoがPensandoの買収に関心があるかは明らかでないが、「現時点でうちはIPOを志向している。でもお金に関しては常にほかの可能性もある」と述べた。

同社によると、そのエッジコンピューティングプラットホームのパフォーマンスは生産性とスケールで比較するとAWS Nitroの5倍から9倍だ。Pensandoは、エッジコンピューティングのためのデータセンターインフラストラクチャを5Gからのデータや人工知能、そして物のインターネット(IoT)アプリケーションに対し最適化して用意する。ステルスの間に同社は、HPE、Goldman Sachs、NetApp、Equinixなどの顧客を獲得した。

プレス向けの声明でポッター氏は「現在のような変化が激しく、超稠密に接続された世界では、以前にも増して柔軟性と選択肢の幅の大きい操業環境を企業は必要とする。HPEとPensando Systemsとの関係が拡大しているのは、エンタープライズとクラウドの理解を互いに共有しているからだ。我々はPensandoへの投資とソリューションレベルのパートナーシップを誇らしく感じており、顧客のニーズを前もって把握したソリューションを今後とも推進していきたい」と語っている。

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AWSがマイクロソフトに続き中東・バーレーンに新リージョン開設

Amazon(アマゾン)のクラウドサービス部門AWSは米国時間7月30日、バーレーンに中東リージョン(Middle East Region)を開いたと発表した。中東はクラウドプロバイダーにとって新興市場だが、今度の新リージョンはこのクラウド大手の継続的拡張の一環だ。今日のニュースのすこし前にはMicrosoft(マイクロソフト)が、その中東データセンターをアブダビとドバイに置く、と発表した。

AWSのCEOアンディー・ジャシー(Andy Jassy)氏は昨年のAWS re:Inventで、クラウドは世界のさまざまな部分で成熟段階が異なる、と指摘した。そして当然ながらAmazonは、新興市場に進出してクラウドインフラストラクチャ市場におけるリードを広げたいと考えている。ジャシー氏はre:Inventで次のように語っている。

「米国のエンタープライズや公共部門はクラウドの採用の初期的段階だが、米国以外はさらにそれより1年ないし3年は後れている。だからそこでは、メインストリームのエンタープライズの多くが、クラウドへのアプローチをこれからやっと計画するという段階だ」。

AmazonはAWSの拡張を、中東の企業を助けることと見ている。これまで、米国やヨーロッパなどで、クラウドサービスにより、企業のデジタル化を助けてきたのとちょうど同じように。

今度の中東のリージョンはアベイラビリティーゾーンが3つある。この独特のAWS語は、その中に一つ以上のデータセンターを抱える地理的区域のことだ。同社の声明文は、次のように説明している。「各アベイラビリティゾーンごとに独立の電力系、冷房設備、そして物理的セキュリティが確保される。そして冗長性を持った超低レイテンシーのネットワークで接続される」。

Amazonは、これが継続的拡張の一環だ、と言っている。また今後数年以内に、インドネシアとイタリアと南アフリカに計9つのアベイラビリティゾーンを設ける、とも。

関連記事: Microsoft’s first data center regions in the Middle East are now generally available(Microsoftの中東初のデータセンターリージョンが供用を開始、未訳)

画像クレジット: Ron Miller

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Googleは今年全米でデータセンターとオフィスに130億ドルを投資

Googleが今日、2019年に同社はアメリカ国内でデータセンターとオフィスに130億ドルを投資する、と発表した。それは昨年の90億ドルに比べて、増加している。これらの投資の多くは、ネブラスカ、ネバダ、オハイオ、テキサス、オクラホマ、サウスカロライナ、バージニアなどの州におけるデータセンターの新設や拡張に充てられる。また、過去の多くの年にそうであったように、既存のオフィスの拡張にも投じられ、今年はシカゴ、ニューヨーク、および同社のホームであるカリフォルニア州がその対象になる。

Googleは目下クラウドの顧客の獲得に積極的に動いているから、そんな同社が全米にわたってデータセンターの拡張を継続しようとしていることが、とくに興味深い。たとえば、ネバダとネブラスカとオハイオとテキサスでは近く同社の初めてのデータセンターをオープンするし、オクラホマとサウスカロライナとバージニアでは既存のデータセンターを拡張する。Googleは明らかに、AWSやAzureと競争するレースでペースを落とす気はない。

GoogleのCEO Sundar Pichaiはこう書いている: “これらの新しい投資で数万人の社員を雇用する容量が得られ、ネブラスカ、ネバダ、オハイオ、テキサス、オクラホマ、サウスカロライナ、およびバージニアでは1万以上の建設関連雇用が作られる。この新しい投資によりGoogleは24の州にホームがあることになり、そのうち13のコミュニティにはデータセンターが置かれる。2019年は、昨年に続き、ベイエリア以外の地域における成長の方が大きい年の、2年目になる”。

最近はテクノロジー企業やオートメーション全般に対する風当たりが強いから、Googleがこうして雇用の創出を強調するのも当然だろう…しかもとくに中部アメリカの。しかし建設労働は一時的だし、データセンターは動き出したら人はあまり要らない。しかしそれでもGoogleは、これによって“数万人の社員を雇用する容量”が得られる、と約束するのだ。

関連記事: GoogleとIBMは、いまでもクラウド市場シェアを広げようと必死だ

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Microsoft Azureのアベイラビリティゾーンがやっとアベイラブルになった

どのクラウドを使う場合でも、あなたのアプリケーションの可利用性を高く維持するためには、そのアプリケーションとデータを物理的に異なる複数のリージョンに置きたいだろう。そうしないと、ひとつのリージョンがダウンするとアプリケーションもダウンする。しかし大手クラウドプラットホームはすべて、ひとつのリージョン内に‘アベイラビリティーゾーン(availability zone)’という概念を設けて、アプリケーションを同じリージョン内の二つのデータセンターでホストするオプションを提供している。すべて、と言ったが、Azureのアベイラビリティゾーンは昨年9月にベータでローンチし、今日(米国時間3/30)から一般供用される。

今日のローンチに先駆けてMicrosoftのAzure担当VP Julia Whiteは、データセンターのネットワークに関する同社の設計哲学はつねに、商用利用の顧客にできるかぎり広い圏域のリージョンを提供して、彼らの顧客との至近性を確保し、またローカルデータの独立性とプライバシーに関する法律を守ることにある、と述べた。たしかにAzureは競合他社に比べてリージョンの数が多く、今可利用なものが38、発表されているものが12ある。

“Microsoftのインフラストラクチャのアプローチはエンタープライズの組織を念頭に置いており、そのために多数のリージョンを設けている”、とWhiteは言っている。“このようなリージョンの設定は、容易でシンプルだからしているのではない。顧客が本当に望むものはこれだ、と信じているからだ”。

それぞれのアベイラビリティゾーンに独自のネットワーク接続と電力のバックアップがあり、リージョン内のひとつのゾーンがダウンしてもほかは無事だ。しかしリージョン全体に及ぶ災害はすべてのゾーンを遮断するだろうから多くの企業は、データを少なくともあとひとつの別のリージョンに保存したいだろう。

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Microsoftが次世代型クラウドハードウェアの設計をオープンソース化…コミュニティのコラボレーションに期待

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Microsoftが今日、同社の次世代型ハイパースケール(hyperscale, 自動スケーリング)クラウドハードウェアの設計をオープンソースにし、それをOpen Compute Project(OCP)に寄贈した。Microsoftが2014年に参加したOCPには、Facebook, Google, Intel, IBM, Rackspaceなど、多くのクラウドベンダがいる。これまでの2年間で同社はすでに、サーバーやネットワーキング、データセンターなどの設計をいくつか寄贈している。

同社がProject Olympusと呼ぶこのオープンソース事業は、完成した設計をオープンソースにして寄贈する通常のやり方と違って、設計がまだ最終的な商用化のレベルに達していない。つまり、設計過程にコミュニティがコラボレーションしていくことを、前提しているのだ。

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Azureでハードウェアインフラストラクチャを担当するゼネラルマネージャーKushagra Vaidが、今日の発表声明で述べている: “私たちは、これまでにも、OCP Foundationやオープンソースコミュニティとの密接な協働関係から、非常に多くのことを学んだ。しかしそこで理解した重要なことは、現在のオープンソースハードウェアの開発が、オープンソースソフトウェアほどアジャイルでもなく、頻繁な反復型でもないことである”。そこで、コミュニティに設計への初期的アクセスを与えることによって、Microsoftは“新製品の市場化までの時間を縮小し、投資費用を縮減する”ことを、期待するのだ。

Project Olympusの設計に含まれるのは、新しいマザーボードと、電池内蔵により高可用性の電源装置、高密度ストレージ拡張能力のあるサーバーシャシー、および、複数の(ときに多様な)マシンを載せるサーバーラック群に行き渡る電源配布ユニットだ。既存のデータセンターとその構成のもとで、すぐに使えるために、モジュール性を重視した設計になっている。

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FacebookのOCPサーバー

Open Compute Project FoundationのCTO Bill Carterは、今日の声明文でこう述べている: “Microsoftはオープンソースハードウェアの開発に、新しい時代を切り拓いた。コラボレーションと市場化の方法に新しい姿を持ち込んだProject Olympusは、OCPとオープンソースデータセンターハードウェアの、これまでの歴史になかったものである”。

Microsoftは、FacebookなどそのほかのOCPメンバーと同様、自己のデータセンターにおいてOCPのハードウェアを広範囲に利用している。Microsoftによると、同社が購入したサーバーの90%以上は、OCPに寄贈された仕様に基づいている。OCPを創始したFacebookでは、ほとんどすべてのサーバーがOCPマシンだ。Googleも今年初めにOCPに参加したが、クラウドプラットホームのマーケットリーダーであるAmazonは、まずそもそも、未だにオープンソースに向けての動きがなく、今後についても不明である。

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CoreOSが古典的ビッグサーバーではなく分散コンテナクラスタ向けに最適化されたストレージシステムTorusをオープンソースでローンチ

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CoreOSが今日(米国時間6/1)、同社の最新のオープンソースプロジェクトTorusをローンチした。Torusは、スタートアップやエンタープライズに、GoogleなどのWebスケールの企業が内部的に使っているものと同種の技術にアクセスさせよう、とする取り組みの一環だ。Torusの場合それは、分散ストレージである。

アプリケーションがコンテナでデプロイされ、それらがGoogle育ちのコンテナ管理サービスKubernetesを使っている場合、Torusはデベロッパーに、信頼性が高くてスケーラブルなストレージシステムを提供する。

CoreOSのBarak Michenerが今日の発表声明でこう述べている: “コンテナクラスタというインフラストラクチャにおけるパーシステントなストレージは、コンピューティングにおける今もっとも興味深い問題の一つだ。マイクロサービスが作り出し消費するデータの、膨大な量のストリームを、どこに保存すべきなのか。とりわけ、イミュータブルで離散的にコンテナ化された実行コードが、これほどまでに強力なデザインパターンになっているときには?”

つまりCoreOSのチームが主張するのは、既存のストレージソリューションはコンテナのクラスタが使うために設計されていない、という点だ。それらは大きなマシンの小さなクラスタを想定しており、一方今日のコンテナベースのやり方では、比較的小さなマシンで動く大規模なクラスタが主力だ。またコンテナのデプロイメントは、必要に応じてコンテナを迅速に始動しまたシャットダウンもする、というやり方だが、多くのデベロッパーは、これらのコンテナの上で動くアプリケーションにデータを供給できるパーシステントなストレージシステムを求める。

“クラスタの中で始動、停止、アップグレード、ノード間のマイグレーションを頻繁に繰り返すこれらのコンテナマイクロサービスのためにパーシステントなストレージを確保することは、モノリシックなアプリケーションのグループや、まして複数の仮想マシンが動く単一のサーバーを支えるストレージを提供することのように単純ではない”、とMichenerは書いている。

Torusは、ファイルの保存と取り出しにキー-ヴァリュー方式のデータベースを用いる。それならノード数数百までスケールできる、とCoreOSは主張する。今の、初期的バージョンのTorusは、ファイルをNetwork Block Deviceによるブロック指向のストレージとして露出する。しかしそのシステムは拡張性を前提としているから、今後誰かが必要なツールを作って、Torusの上でオブジェクト指向のストレージシステムがサポートされることを、CoreOSは期待している。

Torusは、CoreOSのLinuxディストリビューションCoreOSや、コンテナエンジンrkt、ネットワーキングツールflannelなどと共に、同社のオープンソースプロジェクトの一員になる。これらと、さらにそのほかの多様なツールが相まって、同社の商用製品であるコンテナ管理システムTectonicや、ソフトウェアコンテナの構築、保存、および配布を行うQuayなどを動かしている。

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Googleは機械学習とニューラルネットワークを利用してデータセンターのパフォーマンスを最適化している

Googleは、機械学習(machine learning)によって、データセンターのパフォーマンスを最大化し、エネルギー消費を最小化している。同社はこのほど、その取り組みをまとめた研究報告書を公表した。その要点は: Googleが構築している高度にインテリジェントなサーバファームは、自分の過去のパフォーマンスから学び、未来の自己を改良する。

GoogleのAI化データセンターは、社員Jim Gaoの20%プロジェクトだ。彼は自分本来の仕事をしているときに、こいつはおもしろい!と目をつけたのだ。Googleには、拘束時間の20%は自分の好きなことをしてよい、という有名な勤務ルールがある。考えることと学習することのできるデータセンターは、たまたまGaoの、やってみたいことになったのだ。

Gaoは機械学習を勉強し、モデルの構築を開始した。そのために必要なデータとしては、Googleがデータセンターから毎日のように収集している膨大な量のパフォーマンスデータがすでにあり、そこには時間別・機器装置別・気温など気象条件別などに分類されているエネルギー消費に関するデータもあった。Gaoのコンピュータはそれらのデータをすべて分析して、さまざまな条件や要素とエネルギー消費量との相関関係をあぶりだした。そしてそれをもとに彼は、データセンターにおけるコンピューティングの効率を最大化するエネルギー(とくに電力)利用の方式を導き出した。報告書のその部分は、Power Usage Effectiveness(電力利用の実効性)というタイトルでまとめられている。

彼が作成したモデルは、以前Googleで実際にあったような、サーババンク全体を停止しなければならないほどの緊急事態でも、実は、冷房の設定温度など、ほかのパラメータを一時的に調整するだけで切り抜けられることを示している。その方が、高い出力レベルを維持しつつ、時間とエネルギーと経費を節約できるのだ。

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