FacebookがGoogleフォトへの書き出しツールを米国とカナダで提供開始、日本でも利用可能

米国時間4月30日、Facebook(フェイスブック)は米国とカナダのユーザーを対象に、フェイスブックの写真とビデオをGoogleフォトに書き出すツールを公開した。このデータ転送ツールは2019年12月にアイルランドで初めて公開され、その後、他の国へとサービスを広げてきた(日本でも利用できる)。

この機能を使うには、「設定」の「あなたのFacebook情報」で「写真または動画のコピーを転送」を選択する。すると本人確認のためにパスワードを求められる。その次の画面で「転送先を選択」ドロップダウンメニューから「Googleフォト」を選択する。この後、転送前にGoogleアカウントの認証を求められる。

このツールは、フェイスブックが「Data Transfer Project(データ転送プロジェクト)」に参加したことから生まれた。このプロジェクトは、テック大手のApple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、Twitterそしてフェイスブックが連携して、オンラインサービス間でのデータ転送の方法を共通化しようとするものだ。

もちろん、これらのテック大手企業が規制の恐れを回避するためでもある。このようなツールは、ユーザーを人質に取っているわけではないと証明する手段になるからだ。満足していないユーザーは自分のデータを引き上げてサービスの利用を止めることができるんですよ、と。

フェイスブックのプライバシーおよび公共政策担当責任者のSteve Satterfield(スティーブ・サターフィールド)氏は米国時間4月30日のロイターのインタビューで、このツールはェイスブックユーザーへのサービスというよりも、政策立案者や規制当局への対策の意味合いが強いと事実上認めた。

サターフィールド氏はロイターに対し「独占禁止や不当競争の規制を加速させるような懸念への対処は、実に重要だ」と述べた。

9月22日にはデータのポータビリティに関する連邦取引委員会の公聴会が予定されており、それに先行してこのサービスが開始されたのも好都合だ。フェイスブックは要請があればこの公聴会に出席すると述べたとロイターは伝えている。

2019年にこのツールを初めて公開したとき、フェイスブックは「近い将来」にGoogleフォト以外にもサービスを拡張する予定であると発表していた。

フェイスブックからデータを取り出す方法は、この転送ツールだけではない。2010年から「個人データをダウンロード」機能も提供している。しかしデータを入手したところで、それ以上はできることは特にない。Myspace、FriendFeed、Friendsterといった古いソーシャルネットワークがなくなり、Google+も失敗してからは、フェイスブックには大きな規模のライバルはいない。

写真転送ツールは米国とカナダのほか、ヨーロッパやラテンアメリカなどの市場でも提供されている。

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

LinkedIn、新たなプライバシー設定でメールアドレスのエクスポートを禁止

LinkedInのプライバシーにとっての大きな勝利は、つながりのある人のメールアドレスをエクスポートしたい企業やリクルーターなどにとっては大きな損失だ。LinkdInは新たなプライバシー設定を密かに導入し、ユーザーのメールアドレスを他人がエクスポートすることをデフォルトで禁止した。これで一部のスパムや、つながっていることに気づいていなかったどこかのユーザーが自分のメールアドレスをダウンロードして巨大なスプレッドシートに貼り付けるのを防ぐことができる。しかし、この新しい設定を警告もアナウンスもなく導入したことで、プロフェッショナルネットワーキングサイトに多大な投資をして、つながった相手と外部で接触しようとしていた多くのユーザーの怒りを買う可能性がある。

TechCrunchは読者からの情報で、LinkedInのアーカイブツールでデータをエクスポートしたときメールアドレスが取れなくなったことを知らされた。その後LinkedINは本誌に対してこれを認め、「これは新しい設定で、メンバーはLinkedInに登録したメールアドレスの管理を強化できるようになった。『メールアドレスの公開設定』という項目を見ると、新たに詳細設定項目が追加されて、もっとも強いプライバシーオプションがデフォルトになっていることがわかる。メンバーはこの設定を好みに合わせて変更できる。これでメンバーは自分のアドレスを誰がダウンロードできるかを管理できるようになる」

新しいオプションは、設定とプライバシー -> プライバシー -> メールアドレスの公開設定の中にある。ここの「つながりがデータをエクスポートする際にメールnobuo.takahashi@nifty.comのダウンロードを許可しますか?」の トグルがデフォルトで「いいえ」 になっている。ほとんどのユーザーはこれを知らない。なぜならLinkedInはアナウンスしていないから。 ヘルプセンターにメールアドレス公開範囲の説明が折り畳まれたセクションとして追加されただけであり、「はい」に変更する人は、そうする理由の説明がないのでほとんどいないだろう。つまり、今後LinkedInでエクスポートしたアーカイブにほとんど誰のメールアドレスもないことを意味する。つながりのあるユーザーは、プロフィール画面にくればメールアドレスを見ることができるが、まとめてダウンロードすることはできない。

Facebookは2010年にGoogleとデータポータビリティーについてき戦ったとき、メールアドレスのエクスポートに関して同じ結論に達した。Facebookはユーザーが自分のGmail連絡先をインポートすることを推奨したが、友達のメールアドレスをエクスポートすることは禁止した。同社は、ユーザーは自分のアドレスは所有しているが友達のアドレスは自分のものではないのでダウンロードできない、と主張した——しかしこのスタンスは都合よく、ライバルアプリがFacebookの友達リストをインポートしてソーシャルグラフを作ることも阻止した。私は、Facebookは友達リストをインターオペラブルにして、ユーザーが使うアプリを選べるようにすべきだと提唱した。これは、それが正しい道であると同時に規制を遅らせることにもなるからだ。

Facebookのようなソーシャルネットワークでメールアドレスのエクスポートを禁止する意味は理解できる。しかしLinkedInのようなプロフェッショナルネットワークでは、人々は知らない人たちと意図的につながっていて、エクスポートは常に許可されていたので、黙ってそれを変えることは正しいやり方とは思えない。おそらくLinkedInは、つながっている人が誰でもメールアドレスをかき集められるという事実に注目を集めたくなかったのだろう。昨今のソーシャル分野における厳しいプライバシー監視というメディア事情を踏まえるとそれも無理はない。しかし、LinkedInに依存する企業に多大な影響を与える変更を隠そうすることは、コアユーザーの信頼を失墜させる事態になりかねない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インターネット全体をソーシャルネットワークにするData Transfer Project、大きな実りを期待したい

Data Transfer Project(データ移送プロジェクト, DTP)は、ユーザーが複数のアプリケーション間でコンテンツやコンタクトなどを容易に移動できるようにするための、大手テクノロジー企業たちによる共同プロジェクトだ。Facebook, Google, Twitter, そしてMicrosoftが始めたこのプロジェクトは今日(米国時間7/20)、あらゆるオンラインサービスが参加できるオープンソースの、データポータビリティプラットホームの計画を発表した。今、自分の情報のダウンロードならどのサイトでもできるが、それをアップロードしてどこかよそで使うことは容易にできない(Facebookのプロフィールをどっかでそのまま使える、など)。嫌いになったソーシャルネットワークから撤退する(よそへ移る)とか、データを別のところへバックアップする、自分のデジタルアイデンティティを新しいアプリでもすぐ使える、といったことは、簡単にはできない。そういうポータビリティのためのDTPのツールはまだないが、今日はその仕様のようなものが開示された。

データポータビリティの業界標準ができると、企業はデータをロックインしてユーザーを閉じ込めることができなくなり、むしろユーティリティで競争しなくてはならなくなる。今のソーシャルネットワークの最大の問題、すなわち複数のアプリにまたがって友だちを作る/見つけることができないことが、DTPで解消するだろう。これまでFacebookが長年退蔵していたユーザーのソーシャルデータや友だちのコンタクトなどが、公共財〜一般共有物になるのだ。今Facebookに、具体的にどうやってユーザー情報のDTP化をやるつもりか、問い合わせている。

音楽ストリーミングサービスのプレイリストや、フィットネスアプリのヘルスデータ、大量の写真やビデオ、などなどが、DTPの下(もと)では完全なポータビリティを持つから、スタートアップにとっては福音だ。既存大手が、標準性を欠くデータでユーザーを囲い込む、という現状がなくなる。生まれたてのスタートアップですら、それらDTP標準の(多量の!)データをいきなり利用できる。スクラッチからデータを構築していく苦労から、おさらばだ。ソーシャルネットワーキングのスタートアップも、位置情報や個人化アバター、決済システムなどを利用しやすくなる。DTP化で完全なポータビリティを持ったデータ(プロフィール、友だち、ライブの写真、等々)を、どこのソーシャルネットワークでもそのまま使えるようになる。というか、Facebookなどがソーシャルネットワークであるのではなくて、そこらのソーシャルなネットワークのすべてを合わせたものが、真の社会サイズの、ソーシャルネットワークになる。共通/標準データをもとに。

というわけでDTPが今後業界全体の支持を得て、そのけちけちとした最小限ではなく最大限が実現すれば、新しいアプリの実験などもすごくやりやすくなる。Facebookなどへの長年の縛られご縁ではなく、ユーザーの‘好き’によってアプリ/アプリケーションが選ばれるようになり、健全な競争が定着すれば、政府による規制の出番もなくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

データ・ポータビリティーの勝利! ―Google Takeoutを利用してGmailとGoogleカレンダーの全データがエクスポート可能に

GoogleはGoogle Takeoutサービスを利用して良好なデータ・ポータビリティーを提供してきた。これまでユーザーはTakeoutで連絡相手、Drive、Voiceその他十数種類のサービスのデータをエクスポートできた。今日(米国時間12/5)、GoogleはTakeoutにGmailとGoogleカレンダーという2つのフラグシップ・サービスを追加した。

Googleは今日からGmailとCalendarのデータのダウンロードができるようになったと公式ブログ記事で発表した。Takeoutは個別サービスのデータのみをダウンロードすることも、多数のサービスのデータを一括してダウンロードすることもできる。GmailのデータはMBOXフォーマットで、CalendarのデータはiCalendarフォーマットで提供される。どちらも.zipファイルとして圧縮される。

MBOXフォーマットはMicrosoft Outlook 2011、Mozilla Thunderbird、Apple Mailなど主要なメールクライアントですべて作動する。ただしダウンロードの頻度には一定の制限が設けられている。しかし1日3回、週に7回までという制限は一般のユーザーには特に問題にならないだろう。

FAQによれば、メッセージはCSV形式で提供され、メッセージに付与されたラベルのデータは X-Gmail-Labelsというヘッダーに保存されるということだ。

ラベルデータはまたGmailデータの一部のみダウンロードしようとするユーザーの役にも立つ。たとえばユーザーが転職したとき、業務上のメールだけをダウンロードして新しい会社のメール・アカウントにアップロードするなどの使い方ができる。あるいはサイズの大きい添付ファイルだけをダウンロードしてローカルに保存した後でGmailから削除してスペースを確保するなどという使い方も考えられる。

Gmailは1年前にサイズの大きいメールを検索できるオプションを公開した。同時に、ユーザーに対して大きなファイルを添付する場合は、直接添付せずにGoogleドライブにアップロードして(最大10GB)して共有リンクを利用するよう勧めた

Gmailのエクスポートとほぼ同様の手順でGoogleカレンダーのデータも、全部、あるいは一部エクスポートできるようになった。

カレンダーのエクスポート機能はすでに一般公開されているが、Gmailのエクスポート機能は今日から約1月かけて順次公開される。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+