死を取り巻くタブー排除を目指す生命保険スタートアップのDeadHappyが約5.3億円調達

英国を拠点とする保険スタートアップのDeadHappy(デッドハッピー)がシリーズAで400万ポンド(約5億3000万円)を調達した。より柔軟な設計の生命保険を提供し、死を取り巻くタブーを排除したいと考えている。e.venturesのほか、DeadHappyのシードインベスターであるOctopus Venturesが出資した。

2017年創業のDeadHappyは、英国で最初の純粋なpay-as-you-go(必要な時だけ払う)のデジタル生命保険プロバイダーだという。従来のプロバイダーに比べ「より安く、より簡単で、より良く」設計した柔軟な生命保険を提供する。保険には、将来の見込みではなく現況に基づく保険料と、随時見直し可能な補償範囲の追加(または削除)オプションが含まれる。

より包括的には、DeadHappyはDeathwish(デスウィッシュ)プラットフォームと呼ばれるものを開発している。遺言に似た仕組みだ。将来受け取る保険金の使途(住宅ローンの支払いなど)を指定できる。お金に関係ない願いをプラットフォームに取り入れる計画もある。

DeadHappyの共同創業者であるPhil Zeidler(フィル・ザイドラー)氏は「我々のビジョンは死への態度を変えることだ。さまざまな方法でそれに取り組んでいる。人間が唯一確実に直面するのは死であるのに、タブー視されてきた。死について語らない、あるいは死に備えないというのは何かおかしいし、家族や愛する人が最も困難な時にさらに重大なトラウマを抱えることになる」と語る。

現在プラットフォームが提供するのは経済的な動機に基づくデスウィッシュだが、長期的にはより実際的なデスウィッシュを取り入れたいと考えている。葬儀を希望どおりに行ってもらうなど、ザイドラー氏が「感情的な動機に基づくデスウィッシュ」と呼ぶものだ。

「感情的な動機に基づくというのは、愛する人が『人生で意味のあること、例えばドラムの演奏を学ぶことやアマゾン旅行のために貯金することなどを達成するのを手伝うこと』」だとザイドラー氏は言う。

「重要なのは顧客が選ぶデスウィッシュを共有できる仕組みだ。自分の願いを明確にして、確実に理解してもらうための実用的なツールになる。我々のプラットフォームは、愛する人と会話を始めるきっかけとなり、ビデオメッセージやストーリーを共有する場所としても機能する」。

DeadHappyは、得た資金を将来の成長、具体的にはデスウィッシュプラットフォームの技術と機能をさらに開発するために使う。主要な金融機関と提携して代理店になってもらい、販路を拡大する予定だ。

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(翻訳:Mizoguchi)