各国の中国人コミュニティ向けフードデリバリーのHungryPandaが22.3億円を調達

世界各地の都市で中国人コミュニティ向けのフードデリバリーを手がけるHungryPanda(ハングリーパンダ)は現地時間2月20日、2000万ドル(約22億3000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのは83NorthとFelix Capitalで、この資金は人材の雇用や製品開発のほか、海外、特に米国への進出に使われる。HungryPandaは現在の評価額を明らかにしていないが、5月までに年換算値の業績を2億ドル(約223億円)に乗せることを目標にしているという。

画像:K1 Photography / Getty Images

HungryPandaは英国で創業し、同国のノッティンガムで最初のサービスを始めた。現在は英国、イタリア、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、米国の31都市でサービスを提供している。

フードデリバリーは競争が激しく利幅も少ない。しかし、HungryPandaは独自の地位を築いている。ビジネスオーナーも含め中国語を使うユーザーのためのプラットフォームを構築し、中華料理と食材のデリバリーに集中することで、UberEats、Deliveroo、FoodPandaといった競合との差別化を果たしてきた。AlipayやWeChat Payなどの支払いサービスにも対応し、マーケティングにはWeChatを利用している。

世界中の中国人コミュニティは大きな市場だ。HungryPandaは、英国とニューヨークではすでに利益が出ているとしている。2019年に公表された米国国勢調査局のレポートによると、中国以外に在住している中国人は、中国生まれの人を数えると1000万人、国外移住後の第2世代などを含めると4500万人だという。

HungryPandaのCEOのEric Liu(エリック・リウ)氏は報道発表の中で「83NorthとFelix Capitalの支援を受けて、我々のユニークなサービスをより多くの場所の多くの人に提供できることを喜んでいる。両社の抜きん出た投資経験と、顧客のニーズに正確にフォーカスし2週間あれば新しい都市でのサービスを開始できる我々の手腕によって、我々はビジネスを大きく成長させて中華料理の莫大な需要に応えるための理想的な位置にいる」と述べている。

83NorthとFelix Capitalの両社とも、これまでにほかにもフードデリバリーのスタートアップに投資している。83Northは投資家であり、英国のJust Eatとヘルシンキ(フィンランド)のWoltを手がけている。一方のFelix Capitalは、英国のDeliverooと、すべて社内で調理しているフランスのFrichtiを支援している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

フードデリバリーのDeliverooが客によるピックアップも選択肢として提供

今度は配達ではない。英国拠点のオンデマンドフードデリバリーサービスのDeliverooは、注文のフード配達以外のサービスに乗り出す。「Pickup」というピックアップオプションを顧客に提供するのだ。これは、配達料金を払ったり、昼ごはんが届くのを待ったりしなくてもいいというものだ。

この新たな「クリック&ピックアップ」サービスは、開始にあたって英国内13の都市にある700軒超のレストランで展開される。アバディーン、バーミンガム、カーディフ、グラスゴー、リーズ、リバプール、ロンドン、マンチェスター、ミルトン・ケインズ、ニューキャッスル、ノリッジ、ノッティンガム、エジンバラ(旧市街)だ。このサービスを導入するレストラン第1陣には、Byron、Pizza Express、Pizza Hut、TGI Friday’s、Frankie & Benny’s、Chiquito、Coast to Coast、Giraffeが含まれる。

今後12カ月で、Deliverooが現在サービスを展開している英国200の市町村のレストラン1万店以上がこのピックアップサービスを導入し、急速に拡大するとDeliverooは見込んでいる。現段階では予想に過ぎないが。

英国以外のマーケットでもこの「ピックアップ」オプションを提供するかどうかは不明だ。フード回収オプションを香港、オーストラリア、オランダ、ベルギー、スペインで今年開始するとDeliverooは話している。

ピックアップオプションは、自ら食事を取りに来るのをいとわない顧客向けにより安いオプションを設けて顧客の選択肢を拡充するのが狙いだとDeliverooは語る。客はこれによりランチ代を少し浮かせるることができる。

と同時にDeliverooにとってこれは同社のサービスを利用しているレストランのオーダーパイプラインを太くする策にもなる。この場合、Deliverooはオーダーを受けるだけの役割となる(それでもコミッションは取る)。

顧客による自分の食事のピックアップは、Deliverooのプラットフォームにとって新たな収入源となる。これは、同プラットフォームで働いている配達人の雇用ステータス(そして/または労働条件)の法的あるいは倫理的なリスクとは無縁だ。

ピックアップオプションの立ち上げは、登録したレストラン向けにDeliverooが提供する最新のB2Bサービスだ。これまでのB2Bサービスには、食材調達サービス、電気代など日々の事業コストの節約、レストラン拡大のためのデータサービス、ヴァーチャル・ブランドが含まれる。

Deliverooは、今後6カ月で英国内でさらにレストラン1万店の登録を想定していて、急激に事業は拡大すると予想している、と語る。実現すれば利用店は全部で3万店となる。

Deliverooは現在、全13のマーケットの500市町村でサービスを展開している。ホームマーケットの英国のほかはオーストラリア、ベルギー、フランス、香港、イタリア、アイルランド、オランダ、シンガポール、スペイン、台湾、アラブ首長国連邦、クウェートだ。

英国での事業拡大についてDeliverooの強気発言にもかかわらず、フードデリバリー業界は多くのグローバルマーケットでかなり厳しい競争が続いている。この夏、Deliverooは欧州やAPACの他マーケットでの成長と拡大の加速にリソースをさいて投資を行うとして、ドイツからの撤退を発表した。

欧州では、このところの競争でサービスが強化されている。主要プラットフォームは、鍵を握るマーケットで生き残るために提供する選択肢やサービスを増やすというプレッシャーにさらされている。1つのマーケットで急速拡大することは、他のビジネスを犠牲にすることになるかもしれない。

近隣のデリバリーマーケットへの拡大は、ローカルのオンデマンドデリバリースタートアップで見られる別の戦略だ。たとえば、南欧と東欧にフォーカスしているスペインのGlovoは、ローカルのグローサリー即配を実現するため「ダーク・スーパーマーケット」モデルに取り組んでいる(編集部注:売り場はないドライブスルー専用の倉庫)。その一方でフードデリバリーでも地方を開拓し、ポーランドへ(買収を通じて)積極的に展開している。

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(翻訳:Mizoguchi)

米国のアマゾンレストラン事業はまもなく終了

アマゾンは11月にロンドンでフードデリバリー事業を閉鎖したのに続き、米国でも運営を終了する。これはプライム会員向けに2015年秋に始まったサービスで、商品や食料品ではなく食事を提供していた。

食事を提供するサービスには競合が多い。米国にはGrubhub、Uber Eats、DoorDash、ロンドンにはDeliveroo(これにはアマゾンが投資した)など、たくさんある。こうした企業はシェアを獲得するために割引をすることもある。一方、アマゾンはフードデリバリーの世界で、シェアにおいても消費者の認知度においても、地位を確立することができなかった。ランチやディナーの料理を注文しようとする人にとって、アマゾンはまっさきに思い浮かぶ名前ではない。また、温かい料理をタイミングよく配達する体制は、アマゾンのメインの事業とは異なる課題があった。

GeekWireが報じたところによると、アマゾンはこの閉鎖と関連して、職場向けランチデリバリーサービスのDaily Dishも終了するという。

アマゾンはフードデリバリーをやめて、成長を続けている食料品配達ビジネスにさらに力を入れるものと考えられる。

TechCrunchはアマゾンの事業終了に詳しい関係筋から情報を得た。アマゾンは米国のAmazon Restaurantsを閉鎖し、6月24日に営業を終了すると認めた。解雇についても示唆し、アマゾン社内で別の仕事に就く社員もいれば、社外での再就職のサポートを受けている社員もいるとした。

アマゾンの広報は次のように述べた。「6月24日をもって米国のAmazon Restaurants事業を終了する。この決定により、アマゾンの一部の社員が影響を受ける。影響を受ける社員の多くはすでに社内の別の仕事が決まっている。今後、社内外のどちらで働く社員にも個別に対応していく」。

アマゾンがフードデリバリーをやめるという決定は、米国時間6月11日のライバル企業の株価にプラスの影響を与えた。Grubhubの株価は5%以上も上がったと報じられている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazonがフード配達サービスDeliverooの633億円調達を主導

米国のeコマース最大手Amazonは、Deliverooの5億7500万ドルの資金調達を主導し、欧州のフード配達マーケットに関わりを持とうとしている。

昨日最初にSkyが報じたこのシリーズGは、Deliverooからの早朝の発表文で正式に確認された。発表では、既存投資家のT. Rowe Price、Fidelity Management、Research Company、そしてGreenoaksもこのラウンドに参加する。そしてこのラウンドにより、Deliverooのこれまでの調達額は計15億ドルとなった。2017年後半に行われた前回の調達時の企業価値は20億ドル超だったが、その後この情報はアップデートされていない。

ロンドン拠点のDeliverooは英国、フランス、ドイツ、スペイン、そして欧州外ではシンガポール、台湾、オーストラリア、アラブ首長国連邦など、計14カ国で事業展開している。マーケット全体でレストラン8万店と契約し、配達員6万人を抱えていて、うち2500人は正社員だ。

Amazonが今回のDeliverooとの新たな戦略的関係をどのように活用するつもりなのかはまだ見えないが、たとえばPrime会員サービスに取り込むことはあり得る。しかしAmazonがフード配達サービスにかかわるのはこれが初めてではない。Deliveroo 、そしてUber Eatsとの競争に押され、Amazonは昨年、英国でのテイクアウト事業から撤退している。米国においては事業を続けている。

「私個人、そして会社にとってAmazonはお手本だった。そのような顧客を第一に考える企業とともに働けることをとても楽しみにしている」とDeliverooのCEOで創業者のWill Shu氏は発表文で述べた。

Shu氏は、調達する資金はロンドンに置くエンジニアリングチームの拡大や、デリバリーの食品を素早く、そしてコスパよく調理するクラウドキッチンを含む新しいプロダクトの開発に充てる、とShu氏は話している。

イメージクレジット: Matthew Horwood (Image has been modified)

 

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(翻訳:Mizoguchi)

Deliveroo、パリで最初のシェアードキッチンをオープン

フードデリバリーのスタートアップ、Deliverooが、パリで最初のシェアードキッチンをスタートした。Deliverooは昨年ロンドンで、Deliveroo Editionsと呼ばれるこのシェアードキッチンのコンセプトを初めて実現した。

AFPの報道によると、同社はパリ北西部近郊のサン・トゥアンの倉庫に作った12室のキッチンで業務を開始する。これまでに8つのレストランがDeliverooと契約を結んでいる。

Blend、Petit Cambodge、Tripletta、 およびSantoshaといった一流レストランがDeliverooを利用する。レストランはレンタル料を払うか、無料でスタートして割高の料金を払うかのどちらかを選べる。

現在Deliverooのユーザーは、パリでの配達1件につき2.50ユーロ払っている。しかし同社は、総注文金額に応じて店舗側からも手数料をとっている——顧客はDelivrooが両方から取り分を得ていることに気づいていない。手数料は注文金額の25~30%に上る。今回の新しいシェアードキッチンでDeliverooがいくら請求しているのかはわからない。

しかし、無限に拡張できないレストランにとっては理にかなった方法だ。Deliverooを使えば、レストランはテーブルを追加することなく追加注文を受けることができる。

Gérard Julien / AFP / Getty Images

BlendやPetit Cambodgeはパリに複数の店舗を持っているが、市内全域に配達できるわけではない。しかし、新たに開店するためには膨大な投資が必要だ。

だからDeliverooキッチンがほどよい妥協案になる。何人か人を雇ってその地域に十分な需要があるかどうかを試すことができる。しかもこれは、DeliverooをUberEatsほかのライバルと差別化するよい方法だ。

これはフランスで最初の事業所だ。英国のように制御不能な状態になるのだろうか?The Guardianによると、今のDeliveroo Editionsは駐車場に置かれた窓のない小さなコンテナだ。夏は暑く冬は寒く、この金属ボックスから大量の自転車が注文を届けに出かていく。

Deliverooが最初にスタートしたのは、一般のレストラン——配達要員のいるピザ店だけでなく——がオンライン注文を受け付けるのを手伝うためだった。しかし、駐車場のコンテナというのは魅力のない響きだ。

Gérard Julien / AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Skypeの共同開発者やNokiaのチェアマンも注目するするフードデリバリー・サービス

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編集部注:本稿はテルアビブ在住でスタートアップの取材などを行なっているDennis Mitznerによる。

フードデリバリーの分野には豊富な資金をもった巨人たちが既に参入しているように思える。しかしそんな中にあってもヘルシンキに拠点をおきフードデリバリー・サービスを手がけるWoltが、有名所から1100万ドルもの資金調達に成功した。Woltからのアナウンスによれば、出資したのはSkypeのファウンダーやNokiaのチェアマンなどであるとのこと。

「現在、北欧およびバルト海地域でサービス範囲を拡大しているところです。調達した資金は、新規サービス拠点および既存サービス拠点での人材確保のために使う考えです。さらには本部にて製品開発も行なっていきたいと思っています」とWoltのCOO兼共同ファウンダーであるJuhani Mykkänenは言っている。

今回の出資をリードしたのはEQT Venturesで、Skype、Ilkka Paananenを起業し、SupercellのCEOを務める著名投資家のニクラス・ゼンストローム(Niklas Zennström)も出資している。さらにはノキアのチェアマンであるRisto Siilasmaaも、前回に続き出資を行なっている。

今回の資金調達に伴い、Booking.comの前CEOであるKees Koolenが取締役に加わることともなった。

今回の資金調達の結果、Woltの調達額は1400万ドルとなった。

ちなみに前回のラウンドではInventure、Lifeline Ventures、Pii Ketvel、Supercellの共同ファウンダーであるVisa Forsten、および不動産王でフィンランド屈指の富豪であるPoju Zabludowiczなどが出資を行なっている。

フードデリバリーのヒートアップはこれからだ?!

Woltが行うフードデリバリー・サービス界には30億ドルの市場評価をうけるDelivery HeroJust EatTake Eat EasyDeliverooGrubhubSeamless、およびFoodoraなどが参入している。

「世界をみれば、もっとたくさんの有力サービスがあるのでしょう。ただ、私たちのサービスにおける最大のライバルは街角のコンビニエンスストアだと考えています。人々も街角に何でも揃う店があることを当然だと考えて行動しています。フード関連サービスの(アメリカにおける)デジタル化率は0.5%程度で、宅配ピザ以外の成功事例というものがまだ出てきていないように思うのです。そこにチャンスが眠っているはずだと考えています」と、WoltのCEO兼共同ファウンダーであるMiki Kuusiは述べている。

確かにここにあるチャンスに注目する人は少なくないようだ。たとえば4月にはAlibabaは中国でフードデリバリー・サービスを手がけるEle.meに対し、9億ドルの出資を行なっている。ロンドンでオンデマンドデリバリーのサービスを行うJinnも750万ドルを調達している。3月にもフランスを拠点にデリバリーサービスを行うFrichtiが1340万ドルを調達して、サービス範囲拡大のためのインフラ整備を行なっている。

このような状況を考えてみると、数多くのライバルたちがWoltを待ち受けている状況だということができる。ただ人口こそ540万ほどと少ないものの、フィンランド内でかなりの市場シェアを握っている点には期待できるようだ。

「登録利用者は10万人で、提携レストランは450軒というのが現状です」とMykkänenは言っている。

フィンランドのように、極北の寒い地域にあっては、確かにデリバリーサービスは多くの人に受け入れられることだろう。冬も長く、外を出歩くのは大変なことだ。

アメリカについてみれば、食品の持ち帰りおよびデリバリー市場は700億ドル規模となっている。しかしオンラインでの規模を見ると90億ドルという状況だ。

ちなみにWoltも他のデリバリーサービス同様に、手数料で収益をあげるモデルを採用している。

Mykkänen曰く「持ち帰りについては少額の、そしてデリバリーについては少し高めの割合を店舗からもらうようになっています。売れたときのみの課金で、月額の利用料や入会金などはありません。利用者の方については、サービスはすべて無料でご利用いただけます。サービスを利用することにより、実際の店舗の価格よりも高額になるようなこともありません」。

資金調達を報告した際の話によれば、Woltは32軒のレストランと提携して、ストックホルムでもサービスを提供する旨がアナウンスされた。Woltにとって、ストックホルムがフィンランド国外での最初の拠点となるわけだ。

「ストックホルムにも優秀な人材が揃いました。北欧の他の地域でも人材を獲得してサービスを展開していきたいと考えています。これからの私たちの成長にぜひご注目ください」とKuusiは述べていた。

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(翻訳:Maeda, H