デーティングアプリ「Dine」が恵比寿に“次世代型スナック”開設、リアル店舗で新たな体験創出へ

レストランデートを軸にしたデーティングアプリ「Dine」を提供するMrk & Coは、4月18日より恵比寿にオフラインのスナック「Snack Dine」をオープンする。

これまで「実際にデートできること」にフォーカスし、マッチングしたユーザーのレストランデートをサポートしてきたDine。今回自らスナックを立ち上げることで、新たなコミュニケーションの場の創出を目指す。

アプリを介してコミュニケーションが生まれる、次世代型スナック

Mrk & Co代表取締役の上條景介氏いわく「Snack Dineはコミュニケーションの場として昔から愛されてきたスナックを、20〜30代の男女でも行きやすいようにアップデートした」場所だ。昨今、密かに再ブームを迎えているとも言われるスナックの良いところを残しつつ、これまで敷居が高いと思われる原因になっていた要素を改良したという。

Snack Dineに入店できるのは一部のDineユーザーとその同伴者のみ。Dineアプリのプロフィール情報や行動履歴を基に審査を行い、基準をクリアしたユーザーに入店する権利を順次解放する(たとえば過去の通報履歴やプロフィールの充実度を確認するそう)。

店舗ではQRコードとアプリを用いた電子鍵システムを導入していて、会員は営業中の店舗のドアを解錠し入店。店内にいるユーザーのみDineアプリ上でSnack Dine機能を使えるようになる仕組みだ。

このSnack Dine機能を通じて、各ユーザーは店内にいるメンバーのプロフィールをチェックすることが可能。そのままアプリから気になる異性をデートに誘うこともできる。

上條氏によると従来のスナックでは「カラオケ」が一種のコミュニケーションツールとして活用されていたが、今後Snack Dineではスマホひとつでユーザー同士の会話を生む仕掛けを順次提供していく計画。たとえばドラマなどでよくある「あちらのお客様からです」を実現できる、気になる異性に奢れる機能などを検討しているようだ。

時代のニーズに合わせて3つのNO(NO Smoking :禁煙 、NO Cash : 現金不可、NO Karaoke : カラオケなし)にもこだわったそう。メニューもアプリからチェックでき、クレジットカードのほか、複数のオンライン決済サービスにも対応。スタイリッシュな内装で若者達の来店を見込む。

審査制の焼肉店では18人の枠に1000名近くの応募

それにしても、デーティングアプリのDineがなぜあえてオフラインの店舗をオープンするのか。上條氏に尋ねてみたところ、Dineのユーザーを見ていて「コミュニケーションの場」に対する強いニーズを感じたことが背景にあるという。

「普段はあまりレストランで外食をしないような人たちが、Dineで異性に出会ったことをきっかけにレストランで食事をする。そんな様子を毎月何千件と見ていると、行く相手さえいればみんなレストランに行くのだと感じた。さらに突き詰めると食事はあくまで媒介で、多くの人が気になる異性とコミュニケーションが取れる場所を求めていると考えた」(上條氏)

実はDineではこれまでにも審査制の焼肉店「Yakiniku Dine」を展開してきた。焼肉店と言っても常設の店舗ではなく2〜3ヶ月に1回開かれる形式のため実態はイベントに近く、参加費は1万円以上。男女9人ずつの参加枠に1000人近くから申し込みが殺到するほどの人気ぶりだそうだ。

この経験で「一定数の人にとって、特別な場所で普段出会わない人と関わりたい欲求があること」を強く感じたという上條氏。Dineというプラットフォームとそこに紐づくデータ、そしてこれまで蓄積してきたナレッジを活用すれば、ビジネス的な観点も含めて「自分たちなら、ユーザーが求めているような場所を最速で実現できるのではないか」という結論に至ったという。

「今は『ネット企業がネットに閉じているだけではダメなのではないか』というのが個人的な考え。これからはユーザーとリアルな接点を持ってる会社が強くなると思っている」(上條氏)

まずは実験的な意味でも1店舗からスタートするが、上手くいけば今後は多店舗展開も検討していく方針。あまり外食をしなかったような人がDineを使うことでレストランを訪れるようになったことと同じ文脈で、Snack Dineでも今までスナックを利用しなかった人が足を運びたくなるような場所を目指す。

「日本市場でサービスを初めてから約1年半、飲食店との接点も増えてきた。いろいろな関係者と話していても、日本の飲食業界ではITの力を使うことで、まだまだやれることがあると感じる。予約台帳サービスなどのように飲食店を便利にするのも1つのアプローチだが、自分たちはオフラインの店舗を持つことも含めて、今までにない体験を実現することで業界を盛り上げていきたい」(上條氏)

デーティングアプリ「Dine」にレストランの自動予約サービスが登場、「ペコッター」と提携

レストランデートを軸にしたデーティングアプリ「Dine」を提供するMrk & Co。同社は7月26日、グルメコンシェルジュサービス「ペコッター」運営元のブライトテーブルと提携し、Dineの日本版ユーザー向けにレストランの自動予約サービスを始めた。

Dineは2016年3月にアメリカとカナダからスタートしたサービス。「実際に会うこと」にフォーカスをしていて、登録時に自分が行きたいレストランを選んでおく仕組みがユニークなポイントだ。

以前Mrk & Co代表取締役の上條景介氏に取材した際に、細かい設計も含めて「Dineでは実際に会うために障壁となるものを徹底的に取り除くことを意識している」という話があった。実際Dineではユーザーがマッチングした時点で「どのお店で会いたいか」まで決まっているので、それ以降は日程調整をしてお店の予約をするだけ。マッチングしてから会うまでのスピード感がDineの特徴になっている。

同サービスの軸とも言えるレストランについても、自由に選べるのではなくあえて約400店ほどに限定(東京、大阪、福岡を合わせて)。運営がファーストデートにお勧めできる店舗だけを厳選する。デートで外さないお店だけが載っているという意味で「デート版のミシュランを目指している」(上條氏)そうだ。

2017年11月の日本版ローンチから約8ヶ月が経ち、累計で50万デートのマッチングが成立。ユーザー層としては25〜39歳の社会人が多く、中でもIT系や金融系、商社に務める会社員や経営者が中心になっているそう。このあたりはもともと「忙しくて何度もメッセージのやりとりをするのは大変だけど、出会いは欲しい人」に向けて作っていることもあり、意図したターゲット層に刺さっているという。

一方で今後さらにグロースさせていく上で解決しなければならない課題点も浮かび上がってきた。

「自分たちがこだわっている部分でもある『マッチングからデートに至るまでのスムーズさ』に関してはまだ足りない。特にアメリカではほとんど起きなかった問題として、日本のユーザーはマッチングしてから考え出し、結局デートまで至らないという傾向がある」(上條氏)

理由としては改めてプロフィールを確認すると情報量が足りず不安になったり、マッチングしたレストランに空席がなく別の店舗を検討しているうちに流れてしまったりなどいくつかあるそうだが、日本人の方が細かい離脱ポイントが多いという。

今回リリースしたレストランの自動予約サービスは、まさにこの離脱ポイントをなくすための施策のひとつだ。

従来はユーザーが自らレストランの予約をする必要があったが、これをDineと累計10万件のレストラン予約を担ってきたペコッターが代行。希望していたレストランが満席だった場合には、近隣にある似たような条件のレストランを探し出し、予約するところまでをカバーする。

具体的には場所・価格帯・ジャンルという3点を軸に、Dineに掲載されている別のレストランを提案する仕組みだ(これに関してはあらかじめユーザーが同機能の設定をオンにしていた場合のみ対象)。

上條氏によると約1ヶ月ほど一部のユーザー限定でテストを実施した結果、評判が良かったため他のユーザーにも提供することになったそう。このサービスによってユーザーの予約手続きの手間をなくすとともに、予約前日のリマインド通知などとも合わせてマッチング後のデートキャンセルの削減を目指すという。

自動予約と言ってもAIが自動で予約するわけではなく人の手を介すので、運営側から見れば新たなコストが発生することにもなるが、ユーザーにとっては便利な仕組みと言えそうだ。

写真左からMrk & Co 代表取締役の上條景介氏、ブライトテーブル代表取締役の松下勇作氏

デート率の高さがウリ、第3世代のマッチングアプリ「Dine」提供元が1.5億円を調達し日本版リリース

マッチングアプリ「Dine(ダイン)」をアメリカ、カナダで展開するMrk&Coは11月1日、結婚相談所を運営するパートナーエージェントおよびベンチャーユナイテッドを引受先とした第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの資本制ローンにより、総額約1.5億円を調達したことを明らかにした。内訳は非公開だが、パートナーエージェントが1億円を出資しているという。

同社はこれまでサイバーエージェントベンチャーズとiSGSインベストメントワークスから約4000万円を調達していて、累計の調達総額は約1.9億円。 今回の調達に合わせてDineの日本版を正式にリリース、まずは東京から始めて順次エリアを広げていく予定だ。

「実際にデートできること」にコミットしたマッチングアプリ

Dineは「直接会うこと」にフォーカスをしたマッチングアプリで、2016年3月にアメリカとカナダでリリースされた。海外から展開を始めていたが、提供元のMrk&CoはDeNA出身の上條景介氏と森岡崇氏が創業した日本発のスタートアップでオフィスも渋谷にある。

日本国内でもマッチングアプリが普及し始めているが、Dineも仕組み自体はシンプルで割と一般的なものだ。毎日定刻にユーザーがレコメンドされ、気に入った相手にはデートのリクエストを送る。そして双方がリクエストを送ってマッチングした場合には個別でメッセージをやりとりし、実際に会うという仕組みになっている。

特徴的なのは、よく見ると相手の顔写真の下に3件のレストラン写真が表示されていること。Dineでは全ユーザーが登録時に自分が行きたいレストランを3件選ぶところから始まり、相手にリクエストを送る際には「どのレストランで会いたいか」を選ぶ仕様になっている。

写真左からレストラン選択画面、ホーム画面、デート日程調整画面

つまりマッチングした時点では、すでに相手と「このお店で会いたい」ということまで具体的に決まっているわけだ。今回リリースした日本版ではまず恵比寿と銀座でそれぞれ50店舗ずつ、合計100店舗のレストランが対象となる。

「アメリカで人気のTinderBumbleはマッチングはするものの、実際に会える確率が低い。大きな要因として、必ずしも婚活や恋活を目的にしている人ばかりではなく目的意識がバラバラだということがある。そしてマッチング後に相手とデートするためには、メッセージスキルが必要で手間もかかるなど障壁が高い。Dineでは実際に会うことにフォーカスしていて、そのために障壁となるものを取り除くことを徹底的に意識している」(上條氏)

最初にレストランを選ぶという設計もそうだし、マッチング後のメッセージ画面にもこだわりが見える。Dineではデートのスケジュールを提案するフォーマットが組み込まれていて、候補日を選択するだけでデートの提案ができる。

当初は自由にメッセージを送れる仕様だったが、それでは脱線してしまったりコミュニケーションが上手くいかないケースがあった。そこでフォーマットを取り入れたところ、デートに行く確率が20%から40%まで跳ね上がったそうだ。

「オンラインではそこまで印象が良くなかったが、実際に会ってみるとすごくいい人だったということは恋活に限らずよくあること。メッセージが苦手だとか、オンラインの人格だけで人が評価されてしまうのは双方にとって損失。Dineではまずは短時間でも実際に会ってみることを大切にしている」(上條氏)

結婚相談所の運営企業から出資を受け、将来的には業務提携も

写真左が代表取締役の上條景介氏、右が取締役CTOの森岡崇氏。

Dineを立ち上げた背景には上條氏が前職時代にカナダに赴任した際の体験も関わっている。当時はオンラインの掲示板を通じて現地にいる日本人との繋がりが広がっていったこともあり、オンラインで人と出会うという体験にポジティブな想いがあったそうだ。

上條氏は業界の変遷も踏まえて、Dineをサードウェーブデーティングアプリ(第3世代)と表現する。

第1世代は1995年にリリースされたマッチングアプリのパイオニア的存在でもあるMatch.comのように、身長や年収など求める条件を入力し、条件に合った人を検索してマッチングするサービス。そしてスマホで使うことを想定し、第1世代の操作性を改善しながらよりカジュアルに使えるようにしたのがTinderを代表とする第2世代のアプリだ。

MAUが5000万人を超えるとも言われるTinderを筆頭に、現在北米で主流となっている第2世代のアプリだが、上述したようにユーザーの目的がバラバラなため真剣に出会いを求めるユーザーの中には不満を持つ人もいるそう。上條氏も複数のマッチングアプリを使う中で「実際に会う」というところに課題を感じ、そこにフォーカスしたDineの開発に至った。

リリースしてから約1年半が経つが、特にデート率(会話が始まってから実際にデートに行く確率)が40%と高く、それに伴ってDAUや売上といった指標も毎月120~150%ほど成長しているそう。創業者の2人はDeNAでソーシャルゲームの開発に携わってきたメンバー。データを基に細かい改善を日々繰り返していて成長の兆しが見えてきたこともあり、その勢いを加速するため資金調達に踏み切った。

今回はVCに加えて結婚相談所を運営するパートナーエージェントからも出資を受けている。具体的な話は今からとのことだが、相談所やイベント運営のノウハウを活用した新サービスなど、将来的な業務提携も考えているそうだ。

「TinderのMAUや会員数を越えようとは思っていない」と上條氏が話すように、Dineでは「デートに行ける」という部分にコミットしながら、今後アプリのグローバル展開を進めていくという。