大量のトランザクションをブロックチェーンで一元管理するClearが約14億円を調達

Clearは野心的なアーリーステージのスタートアップだ。同社は、通信企業間の決済など大量のトランザクションを処理するためのブロックチェーンを構築しようとしている。米国時間2月5日、シリーズAで1300万ドル(約14億円)を調達した。

このラウンドはEight Roadsがリードし、Telefónica Innovation VenturesとDeutsche TelekomのTelekom Innovation Pool、HKT、そしてSingtel Innov8が参加した。

今回のラウンドに参加した投資家が通信企業であることは偶然ではない。Clearのブロックチェーンによるトランザクションネットワークの初期のユースケースは、世界中の通信企業間の決済の移転だ。今それは、手作業のエラーになりがちなやり方で行われている。

Clearの共同創業者であるGal Hochberg(ガル・ホッホバーグ)氏によると、同社のミッションはこれまでのビジネスの各種契約をデジタルに置き換えること。これは、デジタル台帳の用語ではスマートコントラクトと呼ばれている。

同氏は「Clearが実現するのは、ビジネスパートナと信頼できる状態を作ることだ。なぜなら彼ら全員が、料金もユーザーの利用状況も同じもの、同じ情報を見るからだ。Clearを導入すれば、彼らはどんな問題でもリアルタイムで見つけられる。商用の情報でもサービスのデリバリーでも、それらの問題をClearのプラットホームの中で実際に解決できる」と語る。

複数の国境にまたがる大量のトランザクションをブロックチェーンで処理すると、そのスマートコントラクトは規約の自動的な執行者となり、月末まで待たされてエラーが見つかり解決プロセスを開始するといった非効率さがなくなる。問題の発見と解決がリアルタイムで行われるからだ。決済までの時間が短縮され、対立の解決もスピードアップする。

同氏は「ブロックチェーンを使えば、そういう対話的な操作を監査可能で、暗号化により安全、そして当事者たちが同期して全員同じ情報を見ている状態で進められる」と説明する。

繰り返すと、同社は世界中の通信企業の膨大な量のトランザクションを支えている。その国境横断性は良いテストケースだ。しかしホッホバーグ氏によると、それはスタート地点にすぎないという。まだ完全に完成した姿ではないが、何億件もの課金を伴うイベントを処理できることは実証された。

今回の資金により同社は、今年の前半にはキャリアクラスのプロダクションを完成させたい。また、これだけ資金があれば、通信以外の分野にも進出できるだろう。

関連記事:Kadena fulfills hybrid blockchain vision with launch of public chain(パブリックチェーンでハイブリッドブロックチェーンを目指すKadena。未訳)

画像クレジット: Clear

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

名門VC・a16zが暗号通貨スタートアップのための無料スクールを開校

先月、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)のジェネラルパートナーであるChris Dixon(クリス・ディクソン)氏がTechCrunch Disruptで、ベンチャーキャピタル企業である同社が暗号通貨を扱うスタートアップを育てる無料のスクールを開くと発表した。そして米国時間11月8日に同社は、そのスクールを公式に立ち上げた。すでに願書を受け付けており、受付期間は4週間だ。

この事業でa16zは、暗号通貨を大衆的に普及させたいと願っている。ディクソン氏とa16zのチームは暗号通貨とブロックチェーンに7年間関わっており、これからはその間に学んだことを起業家たちと共有したいと考えている。

これによって暗号通貨のコミュニティが育ち、今後のa16zの投資機会も創出されるだろう。ただしa16zは「暗号通貨のスタートアップスクールに参加したことはa16zからの投資を受けることを意味しない」と言っている。暗号通貨スタートアップへの投資に関してはa16zは思慮深い投資家であり、暗号通貨スタートアップスクールに参加した者だけを対象とせず、暗号通貨のコミュニティ全体が対象だ、と言っている。

そのa16zのCrypto Startup Schoolは7週間の課程を2020年2月21に開始する。授業料は無料であり、a16zは何ら所有権を有しない。

授業はメンローパークで行われるので、シリコンバレー周辺に住んでいない人はおよそ2カ月あまり下宿する必要があるだろう。「それでは大変すぎる」という人たちのためにa16zはすべての授業を録画する。そして誰もがそのビデオを見たり、スクールのカリキュラムや教材をダウンロードできる。

以下がコースの概要だ。

  • 暗号通貨のネットワーク(クリプトネットワーク)とは何か、なぜそれが重要なのか?
  • ブロックチェーンコンピューティングの基礎: 暗号技術とコンセンサス
  • アプリケーション開発ツールの概要
  • アプリケーションの現状と2025年
  • 暗号通貨のビジネスモデル
  • 暗号通貨の経済学
  • ユーザー体験、製品開発、セキュリティ
  • マーケティングとデベロッパーリレーション
  • コミュニティと参加と統治
  • 規制の現況と配慮
  • 資金調達ガイド

ご覧のようにこれらは、暗号通貨にフォーカスした授業と、資金調達やマーケティングなど一般的なスタートアップ入門のミックスだ。スクールが対象とするのは20から25ぐらいのチームで、40名前後の参加者総数を想定している。ソフトウェア開発の経験者であることが条件だが、暗号通貨のエキスパートである必要はない。授業内容は一週間に12〜15時間の講義とワークショップ、個人指導、そしてネットワーキングの実技だ。

最後に参加者は、プロジェクトのアイデアやプロトタイプのデモをを披露しなければならない。

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Linux Foundationがブロックチェーン上に分散サプライチェーンを構築するためのフレームワークHyperledger Gridをローンチ

The Linux FoundationのHyperledger Projectはもっぱらブロックチェーンのプロジェクトだが、今朝(米国時間1/22)同団体はサプライチェーンのプロジェクトを作るためのフレームワークを発表した。ブロックチェーン単独の一人舞台はさせない、というわけだ。

まさしく同ファウンデーションはそのへんに気を使って、このプロジェクトが厳密にブロックチェーンのプロジェクトではない、と指摘している。むしろそれは、サプライチェーンのデジタル化という問題を解決する、というもっと広い視野のためのビルディングブロックを提供する。このプロジェクトを発表するブログ記事は、それがアプリケーションでもないし、ブロックチェーンのプロジェクトでもない、と言っている。では何なのか?

“Gridは、技術とフレームワークとライブラリが協働するエコシステムであり、それによりアプリケーションのデベロッパーが自分の業界や市場の形にもっとも適したコンポーネントを選べるようにする”、とある。

Hyperledgerは、そのプロジェクトがジャーゴンや先入観に支配された説明に閉じ込められることを望んでいない。それが望むのは、デベロッパーに一連のツールとライブラリを提供して、彼らが自由にアイデアを暖められるようにし、自分たちの業界の要求に合ったアプリケーションを作れるようにすることだ。

現時点までのこのプロジェクトの主なコントリビューターは、Cargill、Intel、そしてBitwise IOだった。

サプライチェーンは、エンタープライズにおける分散台帳アプリケーション(distributed ledger applications, DLT)の初期の主要なユースケースだった。それどころか今日の本誌TechCrunchには、ブロックチェーン上にサプライチェーンを構築するスタートアップCitizens Reserveを取り上げた記事すらある。IBMもかなり前から、ダイヤモンドの検査食品の安全性などに関してサプライチェーンを研究開発してきた。

しかし、分散台帳という考え方は、一般的にエンタープライズにとっても、そしてましてやサプライチェーンにとっても新しすぎるから、デベロッパーはまだ、自分たちの取り組み方を探っている状態だ。The Linux Foundationは、そこに対して柔軟性に富むオープンソースのフレームワークを提供することにより、デベロッパーにオープンなオプション(選択肢)を与え、これが実際に動き出すときにアプリケーションを作れるための、柔軟な基礎を提供しようとしている。

関連記事: エンタープライズ市場に臨むブロックチェーン–仮想通貨以外の可能性

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暗号通貨ウォレットの「Blockchain」、Ledgerと提携してハードウェア・ウォレットを発売

ブロックチェーンのスタートアップ、”Blockchain“が今後数ヶ月の shared its 計画を発表した。同社はLedgerと提携してハードウェア・ウォレットを発売する。またBlockchainは新しい取引プラットフォームとしてSwap by Blockchainの提供を開始する——このプラットフォームは数ある交換所の中から最高の取引条件を見つけるので、ユーザーは自分のBlockchainアカウントで直接適正価格でトークンを交換できる。

Blockchainは現在もっとも成功している暗号通貨ウォレットのひとつだ。同社はBitcoin向けのソフトウェア・ウォレットでユーザー基盤を築き、今やEtherumとBitcoin Cashにも拡大している。

伝統的交換所と異なり、Blockchainではユーザーがプライベートキーを管理する。Blockchainはユーザーのトークンをアクセスできないので、仮にBlockchainがハックされてもハッカーがユーザーのウォレットを空にすることはない。現在Blockchainは3000万個のウォレットを管理しており、過去2年間で2000億ドル以上の取引を処理した。

しかしソフトウェア・ウォレットはハードウェア・ウォレットほど堅牢ではない。世の中には無数のフィッシングサイトや詐欺師が人々のプライベートキーを盗もうと狙っている。だからBlockchainは独自のハードウェア・ウォレット、のようなものを発売することになった。

同社はフランスのスタートアップ、 Ledgerと提携してBlockchain Lockboxを発売する。見た目はLedger Nano Sとまったく同じでBlockchainのロゴがついている。中にはBlockchainのファームウェアが入っていてBlockchainのウォレットと連動する。

Ledger自身のアプリと同じく、ハードウェア・ウォレットをパソコンと繋がなくてもスマートフォンやウェブで残高を確認できる。ただし、取引を処理するためにはパソコンに差し込んでBlockchain Lockbox自身で取引を認証する必要がある。

今あるBlockchainウォレットとBlockchain Lockboxにつながったウォレットがどういう関係になるのか気になるところだ。Lockboxは一種の長期保管庫として働き、標準のBlockchainウォレットには少額のコインを保存しておき日常の取引に使用する。

Swapは、Blockchainが独自に作っている取引システム商品だ。独立した交換所になるのではなく、同社は複数の交換所システムと統合する計画だ。最終的にBlockchainは、非中央集権型取引プロトコルに対応して、交換所を経由することなくトークンの交換ができるようにすることを目指している。

Blockchain Lockboxの価格は99ドルで11月に発売予定。Blockchainはモバイル分野で非常に人気が高いので、Bluetoothやモバイルに対応したバージョンもでてくることを私は期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook