連続殺人犯逮捕へと導いたDNA分析サイトは、ユーザープライバシーに関する懸念を再燃させる

ゴールデンステートキラー(カリフォルニア州連続殺人事件の犯人)であると疑われた男性の逮捕の詳細が明らかになるにつれて、この歴史上最も悪名高い未解決事件が、人気のある無料オンライン家系図データベースを利用して解決されたことが明らかになった。

GEDmatchと呼ばれるこのサイトは、すぐに利用できるコンシューマーテストサービスを通じて自分自身のDNA情報を入手し、さらに分析を行うために家系図の欠けている部分を埋めようと考える人びとに、人気のあるリソースである。23andMeのような洗練されたサービスと比較すると、GEDmatchは、より多くのメインストリームプラットフォームで見られるような、ユーザーデータを管理するためのプライバシーならびに法的制約がないオープンプラットフォームなのだ。

容疑者にたどり着くために捜査官たちは、1980年にベンチュラ郡で起きた連続殺人犯の物とされる、完全なDNAを利用した。チームはサンプルからデータをGEDmatchにアップロードし、容疑者の遠い親戚を特定することができた。これが重要なブレークスルーとなり、すぐにJoseph James DeAngelo(72歳)の逮捕へとつながった。

DNAデータの重要性と、このボランタリーオンラインDNAデータベースの人気の高さから、この事案はすぐにデータプライバシー擁護者たちの注意を喚起した。

金曜日にGEDmatchは、ログインのためのランディングページ上で、法執行機関が事件の捜査のためにDNAデータベースを精査していることを告知した:

大いなる誤解が生じているので訂正したいと思います。私たちはGEDmatch上のいかなる人物のDNAも開示していません。私たちはが開示しているのはDNAマッチ結果のようなデータの操作結果だけです。

私たちはゴールデンステートキラーの特定に、GEDmatchデータベースが使用されたことを知っています。私たちはこの事件や問題のDNAに関して、法執行機関や他の誰からもアプローチを受けていませんでした。サイトポリシーに定められているように、データベースが他の用途に使用される可能性があることを、ユーザーに知らせることは、GEDmatchの方針でした…

このデータベースは家系図研究のために作成されたものですが、GEDmatchへの参加者は、自身のDNAが、犯罪を犯したりあるいは犯罪の被害者となった親戚の特定などへの、使用の可能性があることを理解することが重要です。

DNAの家系図以外への利用が心配なときには、DNAをデータベースにアップロードしないでください。また、すでにアップロードされているDNAは削除して下さい。登録した情報の削除に関してはgedmatch@gmail.comまでご連絡ください。

最初の段階では、法執行機関がゴールデンステートキラーの捜査に、23andMeやAncestry DNAのような主要な消費者遺伝子テスト機関を利用したのではという誤解が生じていた。しかし捜査官たちはその代わりに、面倒な手続の不要なボランタリーDNAデータベースを利用したのだ。23andMeとAncestryの両者は、特定の遺伝的情報または個人情報にアクセスするためには、捜査令状または裁判所命令を発行するように法執行機関に要請している

23andMeは、法執行機関との関係に特化した特別ページで、法医学に対するポリシーを説明してる。

ケースワークやその他の犯罪捜査に23andMe Personal Genetic Serviceを使用することは、当社のサービスの目的外の使用に該当します。

したがって、法執行機関の職員が囚人あるいは犯罪容疑者のサンプルを登録することは、私たちの利用規約に違反します。

捜査官たちが、長きに渡る未解決事件の容疑者を逮捕したということそのものは良いニュースだ。しかしこの事件は消費者DNAテストに関するもっともな懸念を再燃させている。

ニューヨークタイムズとのインタビューで、この事件の解決を手伝ったコントラコスタ郡の調査官Paul Holesは、GEDmatchの力に驚いたと言う。そこでHolesは「私はそれを使ってできることに、心底驚きました」と語っている。

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(翻訳:sako)