機械学習で中小企業の会計経理を自動化するDocytが拡張シードで1.5億円調達

会計は、多くの人が興奮するような話題ではない。たぶん、当の会計士にとってさえも。でも、会社を経営している人なら、それから逃れることはできない。サンタクララのDocytは、財務データの収集や領収書のデジタル化、分類、そしておそらく最も重要な会計調整(帳尻合わせ)などのルーチンを機械学習で処理し、中小企業(と彼らの会計事務所)の人生をやや楽にしてくれる。

同社は米国時間2月25日、First Rays Venture Partnersがリードする拡張シードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を調達したことを発表した。これには、Morado Venturesと一群のエンジェル投資家たちが参加した。Docytは「ドケット」と発音し、以前Morado VenturesやAME Cloud Ventures、Westwave Capital、Xplorer Capital、Tuesdayおよびエンジェル投資家から220万ドル(約2億3000万円)のシード資金を調達している。新たな資金は、顧客をさらに増やすことに使われる計画だ。

 

中小企業の会計処理といえばQuickBooksがデファクトスタンダードだが、Docytは彼らと競合するのだろうか。共同創業者でCTOのSugam Pandey(スガム・パンディ)氏によると、DocytはむしろQuickBooksなどのパートナーになるものだ。

画像クレジット: Docyt

「Docytは、会計や経理を難題だと感じている中小企業のオーナーのためのプロダクトで、彼らは経営においてはベテランの名人であっても、会計の専門知識はありません。また、会社がやや大きくなって中規模になってくると、QuickBooksを卒業してNetSuiteやSageのような高度な会計経理システムを使いたくなるものです。Docytはそんな企業のためにQuickBooksの寿命を延ばすことができるため、経営者はシステムを変えずに済みます」とパンディ氏はいう。

創業当時のDocytは、モバイル向けの安全な文書共有プラットフォームだった。同社のDNAには、その頃の名残が残っており、財務文書を銀行の取引勘定と調整する作業を得意とする。他のシステムは主に取引データを重視するが、Docytは多様な文書を重視する。例えばメールによる領収書をDocytのサービスに送ると、それがクレジットカードや銀行の勘定通知に自動的に入れられる。そのような処理に、同社はPlaidを利用している。

画像クレジット: Docyt

新しい取引があると、その情報を手入力して訓練しなければならないシステムが多いが、Docytはその多くを自動的に行い、データをQuickBooksと同期できる。

First Rays Venture Partnersの創業時からのゼネラルパートナーであるAmit Sridharan(アミット・スリダラン)氏は「Docytは、会計という仕事の全スタックにAIを適用した初めての企業です。DocytのAIを利用するデータ抽出や自動分類、自動調整などのソフトウェアは、他に類がありません。しかもエンタープライズ級の強力なソリューションでありながら、費用的にも中小企業が十分利用できます」という。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)