トランプ氏のTRUTH SocialがApp Storeに登場、しかし誰も利用できず

Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏のメディアグループは米国時間2月21日、米国でiOSアプリ「TRUTH Social(トゥルースソーシャル)」をリリースしたが、公開されているツールを使って同アプリのAPIをスキャンしたところ、すでに登録自体を締め切っていることがわかった(また、そのスキャンによると「独自アカウント登録マイクロサービス」は「Pepe」と名付けられているが、これは差別的な意味合いのあるミームの名前だ)。

TRUTH SocialはApple(アップル)のApp Storeで無料ダウンロードの1位になっているものの、ほとんどのユーザーはこのアプリに入ることができない。TRUTH Socialをダウンロードすると、Eメールアドレスと生年月日を入力するよう促され(ユーザーは18歳以上でなければならない)、その後、認証メールを待つことになる。しかし、そのプロセスのすべてのステップで、TechCrunchはエラーメッセージを受け取った。認証メールを受け取ると、そのリンクはさらにエラーメッセージを生み、アカウントを作成することができなくなった。10万人以上のユーザーとウェイトリストに入れられたというユーザーもいれば、認証メールを受け取れなかったり、認証ステップを通過できなかったりしたユーザーもいる。TechCrunchは、これらのサインアップの困難さについて、Trump Media & Technology Group(TMTG)にコメントを求めた。

トランプ前大統領は、2021年の国会議事堂襲撃事件後、ポリシー違反を理由に、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)から削除された後、自身のソーシャルメディア・プラットフォームをつくることに興味を持つようになった。TMTGは10月のプレスリリースで「リベラルメディア・コンソーシアムの対抗馬を作り、ビッグテック企業に反撃すること」をミッションとしていると書いている。

画像クレジット:TRUTH Social

TRUTH Socialの発表は、初期の困難に満ちていた。この新しいソーシャルネットワークは、Mastdon(マストドン)のオープンソースのコードを使いながら、そのコードを自分たちのものだと主張していた。

「利用規約には、このサイトは所有財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは彼らによって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張する心配な箇所がありました」と、Mastodonは当時書いていた。「注目すべきは、利用規約にも他の部分にも、Mastodonへの言及も、Mastodonのユーザーインターフェースにデフォルトで存在するソースコードへのリンクも一切含まれていなかったことです。Mastodonは、AGPLv3ライセンスの下で公開されているフリーソフトウェアで、これを使用するオーバー・ザ・ネットワーク・サービスは、そのソースコードとあらゆる変更に一般にアクセスできるようにすることを要求しています」。

12月、TRUTH SocialはついにMastodonのソースコードを、そのウェブサイトの「オープンソース」と書かれたセクションに追加した

「私たちの目標は、あなたの政治的信条が何であろうと、オープンソースコミュニティをサポートすることです。だからこそ、我々がすばらしいソフトウェアを見つけるために最初に行くのは『ビッグテック』ではなくそのコミュニティなのです」と、TRUTH Socialのウェブサイトには書かれている

12月には、Devin G. Nunes(デビン・G・ヌネス)下院議員(カリフォルニア州)が下院を去り、TMTGのCEOに就任した(トランプ氏は同社の会長を務めている)。

今週末のFox Newsとのインタビューで、ヌネス氏はTRUTH Socialの本格的なローンチは数週間後であると述べた、現在はiOSでのみダウンロード可能である。

「毎日我々はより多くの米国人にサービスを提供します、そしてできるだけ早くあなたにも」と、ヌネス氏はFox Newsで述べた。

画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

議事堂暴動を調査する米下院委員会がMeta、YouTube、Twitter、Redditに召喚状

2021年1月6日の米議会議事堂での暴動に関する調査を主導する下院委員会は米国時間1月13日、テック大手4社に召喚状を出した。

「1月6日特別委員会」の委員長Bennie G. Thompson(ベニー・G・トンプソン、民主・ミシシッピ州選出)氏は、YouTube(ユーチューブ)の親会社Alphabet(アルファベット)、Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の親会社のMeta(メタ)、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)に対し、これらのプラットフォームが当日の暴動を組織するためにどのように使われたかについて追加情報を提供するよう要求する文書を送付した。

発表の中で委員会は、連邦議会議事堂への攻撃計画に関連したコンテンツをホストしていると各社を非難している。「Metaのプラットフォームは憎悪、暴力、扇動のメッセージを共有するため、選挙に関する誤った情報、偽情報、陰謀論を広めるため、そして『Stop the Steal運動』を調整、または調整しようとするために使われたとされています」と委員会は述べ、その後解散したFacebookのCivic Integrityチームが調査に関連する情報を持っていたと考えていると指摘した。

当時報じたように、Facebookは2020年の米大統領選の正当な結果を否定するコンテンツの拡散を制御できず、Stop the Steal運動の主要ハブだった。また、Facebookは以前、Proud BoysやThree Percentersなど、議事堂襲撃事件の一翼を担うに至った一部の過激派や民兵的なグループを組織するためのプラットフォームとして選ばれていたこともあった。

同委員会のRedditへの苦情は、2020年1月下旬にヘイトスピーチを巡って禁止された後、独自ドメインに移行した悪名高いサブレディット「r/The_Donald」に焦点を当てているようだ。委員会はまた、YouTubeが暴動のライブストリームに使用されたこと、Twitterユーザーが「暴行の計画と実行に関するコミュニケーションに同プラットフォームを使用したとされている」ことを指摘した。

委員会は2021年8月に初めて15のプラットフォームに関連記録を要求したが、その回の書簡では、Snapchat(スナップチャット)、Twitch(ツイッチ)、TikTok(ティクトック)といった従来のソーシャルメディアアプリに加え、4chan(4チャン)、8kun(8クン)、Gab(ギャブ)、Parler(パーラー)、theDonald.win(ザドナルド・ドット・ウィン)といった過激派向けのサイトにも情報を要求している。

「繰り返し具体的に要請したにもかかわらず」4つの主要なソーシャルプラットフォームが十分に詳細な情報を提供しなかったため、委員会は前回と同じ要請をしており、今回は1月27日を期限としている。

画像クレジット:Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

米証券取引委員会がトランプ氏のSPAC合併話に興味津々

Digital World Acquisition Corp.(DWAC、デジタル・ワールド・アクイジション)は最近の提出種類で、予定されているTrump Media & Technology Group(TMTG、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ)との合併について、米国政府から質問を受けたことを明らかにした。TechCrunchは、このSPAC(特別買収目的会社)と元米国大統領であるDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏と関連のある企業との合併計画についてこちらで報じている。

TechCrunchは、この合併の契約や製品目的や全体的雰囲気すべてに対して非常に懐疑的だった。

  • 10月後半The New York Timesは、トランプ氏がDWACのCEOであるPatrick Orlando(パトリック・オーランド)氏とSPACが作られる前の段階で会話していたことを報じた。「その際、オーランド氏のSPACはセキュリティ法や証券取引規則を回避した可能性がある」と同紙は伝えていた。
  • DWACとTMTGは「合併完了時に10億ドル(約1137億円)分の非貨幣的資本を受け取る契約」を12月4日に結んだとリリースに書かれている。

2件の報道を受けて、Financial Industry Regulatory Authority(FINRA、金融業規制機構)およびU.S. Securities and Exchange Commission(SEC、米国証券取引委員会)が質問していることは驚くに当たらない。

DWACの提出書類に次のように書かれている(強調は筆者による)。

DWACはある予備的な事実確認質問を規制当局から受けており、現在協力している。具体的には、2021年10月後半および11月前半、DWACはFINRAから、2021年10月20日の合併契約公表に先立つ事象(特に取引の見直し)に関する情報要求を受け取った。FINRAによるとその問い合わせは、FINRAが、何らかのNASDAQ規則違反や連邦証券法違反が起きたと断定した、あるいは、関連する証券に関わる利益もしくは当該証券の取引に影響を与えた人物を非難している、と解釈すべきではないという。さらに、2021年11月初めDWACは、SECから任意の情報および文書要求を受けた、具体的にはDWACの取締役会、取引に関わるポリシーと手続き、銀行、電話、およびメールアドレスの識別情報、特定の投資家の識別情報、DWACおよびTMTG間の特定の文書および会話についてである。SECの要求文書によると、その調査はSECが何者かが法律に反したと結論づけたものではなく、SECがDWACあるいはいかなる人物、事象、もしくは証券に対して否定的な意見を持つことを意味するものでもない。

文面からわかるように、同社は不正行為を非難されているのではないことを強調している。とはいえ、それは説明の難しい取引に対する監視としては相当なものであり、大きな疑問をもたざるをえない。

TMTGとDWACの投資家向けプレゼンテーションの内容は薄かった。そして、TMTG製品であるTRUTH Social(トゥルース・ソーシャル)を作るために使われたコードの一部が不正入手されたことがすぐに明らかになった。率直にいってうさん臭い。

このSPACがなぜ、企業というよりアイデアを集めただけのように思われるところと合併したいのかは疑問である。あの評価がどのように決められたのかも謎だ。取引に総額10億ドルを投じた投資家たちも。

一連の出来事は、製品出荷前の企業が通常許されるよりも未熟な状態で上場することを認めた、なんとも奇っ怪なメカニズムがすでに十分白い目で見られているSPACに対する印象をいっそう悪くするものだ。この取引は、ほんの少し前投資家向けに再ブランドだかでSPACと呼ばれるようになった連中に、白紙小切手会社という元の名前を改めて教える出来事だった。

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI / Staff / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mastodonがコードの悪用を巡りトランプ氏のSNSに猶予30日間の最後通牒を提示

トランプ前大統領の新しいソーシャルネットワークは、立ち上げ前からすでに話題になっているのかもしれない。無料のソーシャルメディアフレームワークであるMastodon(マストドン)は、Truth Socialがオープンソースソフトウェアを自社のものだと偽っていると主張し、その是正に30日間の猶予を与えた。2021年11月末までに修正されなければ、事態は混乱する可能性がある。


Mastodonの創業者でCEOのEugen Rochko(ユーゲン・ロッコ)氏は、同社のブログへの投稿で、問題は単にTruth SocialがMastodonを使用していることではなく、Truth Socialのサイトのコードに関する所有権を主張しながら使用していることだと説明している。先週、立ち上げ前のサイトのコードを調べた人々が、Mastodonのコードが明らかに無断で使用されていることを発見した。

「利用規約には気がかりな一節が含まれています。サイトは所有権のある財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは、彼ら(Truth Social)によって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張しています」とロッコ氏は書いた。「MastodonはAGPLv3ライセンスで公開されているフリーソフトウェアであり、これを使用する他のネットワークサービスは、ソースコードとそのあらゆる変更を公開することが求められています」。

Truth SocialはMastodonについて言及していないが、Mastodonのコードが使用されていることは明らかだ。SNSこの種のライセンスは、オープンソースソフトウェアでは一般的なもので、多くの場合、大企業にも無料で提供されている。大企業は、そのソフトウェアを自由に使用・変更することができるが、使用する場合、その作業を公開し、ツールの開発全体の一部として扱うことが求められる。これが、時間を割いてボランティアで活動する人々と、お金をもらって貢献するエンジニアを抱える企業との間に、豊かなコラボレーション環境を生む。

しかし、得てしてこうしたライセンスは尊重されない。大企業は多くの場合、自分たちは逃げ切れると考えているか、あるいは、自分たちに何が求められているのかを理解していない。たとえ、それが単に、使用を認めることであったり、GitHubのページにコードをどう変更したかを記録したりするだけであってもだ。違反した場合の影響はまったくわからず、さまざまな要因に左右される。例えば、ある企業が、利用可能な状態にある有料ライセンスへの支払いを回避するために、オープンソースソフトウェアを無料で使用した場合、失われた収入に対する金銭的損害賠償を求める訴訟が起こされるかもしれない。また、最近のVizioに対する訴訟のように、純粋にコードをオープンにしておきたいという動機で訴訟が起こされることもある。

世の中には膨大な数のライセンス違反が存在するため、多くの違反は見逃される。だが、トランプ氏のソーシャルネットワークが公然とライセンス違反を犯せば、それが見逃されることはないだろう。ロッコ氏の投稿によると、もしTruth SocialがMastodonのソースコード利用を認めず、コードをレビューに回さなければ、ライセンスは11月26日(Truth Socialの最高法務責任者にこの件を説明する書簡が送られてから30日後)に取り消されるという。

これは先週、Software Freedom Conservancyが予言した救済措置そのものだ。というのも、彼らが指摘するように「AGPLv3の救済規定は、不動産王やリアリティテレビのスター、さらには前大統領であっても例外なく機能する」からだ。この「治癒」は、他に何らかの合意がないことを前提に、著作権者(つまりMastodon)からの通知があれば足りる。

「ライセンスなしにコードを使用する人は、私たちの著作権を侵害することになります」ロッコ氏はTechCrunchにメールで述べた。「そして、著作権侵害に対抗する手段が私たちに開かれることになります」。

ロッコ氏は、トランプ一派が自分たちのソフトウェアを使用していることは喜ばしくないと認めているが、ビジネスを始めたときにそのような事態が起こることは覚悟していたとし、唯一の、真の異議申し立ては、ルールに従って使用されていないことだと述べた。

個人的には、もちろん、私たちの価値観に反する人々が、私たちの労力を利用して利益を得ることがないことを望みます。しかし、現実的に、フリーソフトウェアに取り組むということは、誰が利用でき、または誰が利用できないかを選択する可能性を最初から放棄しているということです。実際上は、Truth Socialのような存在に対して私たちが問題にできるのは、利用者がフリーソフトウェアライセンスに従わない場合だけです。私たちはライセンスに基づき成果物をリリースするからです。

Mastodonは、意図的にインスタンスが完全に独立するよう設計されており、同社が介入して特定のインスタンスをシャットダウンすることはできない。皮肉なことに、このソーシャルメディアツールは、トランプ氏の仲間たちが声高に求めてきたものだ。彼らは、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)という集権化された権威に不満を述べてきた。Mastodonは何年も前から利用可能だったが、トランプ氏の会社は利用にあたり最もあやしい方法を採ったため、会社全体の運営を危険にさらした。

Truth Socialが、ソーシャルネットワークを自ら作り上げたという主張を撤回すれば、安全ではあるが、少し輝きを失うことになるかもしれない。単なるMastodonのインスタンスのセットアップは、誰でも半日あればできる。もし撤回しないのであれば、これは教科書的なケースであり、結局のところ、訴訟を受けてTruth Socialは独自のコードベースを構築せざるを得なくなるかもしれない。そして、それは予想以上に難しいことだと分かるかもしれない。

画像クレジット:Mastodon

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ氏のSPACを巡る「合理的な」投資判断が笑える

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前米大統領がメディアおよびテクノロジーの会社を立ち上げようと思い立ち「白紙小切手会社」を通じて上場させるつもりだというニュースが流れたとき、同社の株式を「どれだけ早く空売りできるか」とあなたが直ちに考え始めたとしても、それはおそらく許される。

関連記事:トランプ氏が独自SNS「TRUTH Social」立ち上げ、新メディア会社はSPAC上場へ

その理由を挙げよう。右寄りのソーシャルネットワークはほとんど失敗していること、会社が目指していることの範囲やライバル企業の裕福さを考えると会社の資金が著しく不足していると思われること、将来のモデルとなる過去の収益はおろか、使える製品がないことなどだ。他にも懐疑的な理由はあるが、私が好きなのは上記に挙げたものだ。

だが、問題のSPAC(特別買収目的会社)Digital World Acquisition Corp(デジタルワールド・アクイジション・コープ)」の株価は、そのニュースで急上昇した。そして、米国時間10月22日もその曲芸は続いた。

DWACは同社のクラスA株のティッカーシンボルだ。一方、DWACUは同じ株式だが半分のワラントが付いている。後者の株価はあまり上昇しておらず、少し奇妙だ。

いずれにせよ、Yahoo Financeによると、10月22日のDWACの時価総額は約47億ドル(約5358億円)だ。つまり、Digital World、別名Trump Media and Technology Group(トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ、TMTG)は、メディアとテクノロジーの世界から生まれた最新のユニコーンのようなものだということだ。確かに市場で株価がついているが、Digital Worldと合併する会社があまりにも若く、笑うしかない。とりあえず、スタートアップと呼ぶ他はない。

何もかもが合理的ではない。2021年やSPACの時代の基準から見ても、非常にばかげている。

TMTGが唯一持ち合わせ、同社を薄っぺらな市場統計にくっついている熱い空気以外の何ものでもない存在にしているのは、トランプ氏の名だ。会社のプレゼンで、ポッドキャストの人気の高まりを思い出させてくれたことに感謝したい。鮮烈な洞察だ。TMTGは、SPACの資金を使って事業を行うのであって、トランプ氏のキャッシュを使うわけではない。まして、社名にその名前を冠し、億万長者といわれた男の資金的な支援があるわけでもない。

おそらく、TMTGがあまりにも馬鹿げていることからすれば、同社の株が「memestock(ミームストック、業績に関係なくSNS等の情報で株価が乱高下する銘柄)」や「stonk(ストンク、明らかに合理的とは見えない動きをする銘柄)」になることは、わかっていたはずだ。なぜなら、極めて奇抜な企業だけがそうなるからだ。ゲームグッズのデジタル配信が増え、実店舗の小売が減っている? GameStop(ゲームストップ)を月へ打ち上げよう。レンタカーを借りている人がいない? Hertz(ハーツ)の株を買いに走ろう。そんなところだ。

というわけで、当然に、DWACはほとんど垂直上昇していく。そうならないわけがない。この株の高騰は、まったくもって滑稽であると同時に、効率的な市場理論に対する厳しい批判でもある。ビジネスとしてほとんど意味をなさないことほど、ミームとして優れた「stonk」はない。かくして、TMTGは凄まじい上昇を見せている。それが合理性をもつのは、まさにそこに合理性が見られない状況においてだ。

いつもならこの辺りで寝てしまうのだが、やるべきことがたくさん出てきたので、今はこの辺にしておこう。本日の取引に参加されるみなさま、幸運を。

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ氏が独自SNS「TRUTH Social」立ち上げ、新メディア会社はSPAC上場へ

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前米大統領は米国時間10月20日、自身のソーシャルメディアプラットフォーム「TRUTH Social」を立ち上げることを新会社Trump Media and Technology Group(トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ、TMTG)のプレスリリースを通して発表した。

トランプ氏の新しいソーシャルネットワークは11月にベータ版を立ち上げる予定で、当初は招待されたユーザーのみが利用できる。全国展開は2022年の第1四半期を予定しているという。

トランプ氏は、いくつかのソーシャルメディアプラットフォームから締め出された後、それら大手に対抗するプラットフォームの創設に意欲を示していた。2021年初め、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)などの主要なソーシャルメディア企業は、1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の後、トランプ氏が自社のポリシーに違反したとして同氏の利用を禁止または停止した。

関連記事:トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

「私がTRUTH SocialとTMTGを作ったのは、ビッグテックの暴政に立ち向かうためです。我々は、タリバンがツイッターで大きな存在感を持つ世界に生きているが、皆のお気に入りの米大統領は沈黙させられている」とトランプ氏は声明で述べた。

トランプ氏は、同社の使命は「リベラルなメディアコンソーシアムのライバルを作り、ビッグテック企業に反撃すること」だと述べている。

TRUTH Socialアプリは、その声明によれば、TMTGとNASDAQに上場しているSPACであるDigital World Acquisition Corp(デジタル・ワールド・アクイジション・コープ)が合併して設立された新会社を通じてローンチされる。

(ちなみに、TRUTHのiOSアプリのマーケティング資料には「The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)」「Variety(バラエティ)」「Fox News」「TechCrunch」などの刊行物からの投稿をリストアップしたスクリーンショットが掲載されている。TechCrunchロゴの横に表示されているヘッドラインは、このサイトに掲載されたことはなく、TechCrunchはTRUTHにアカウントを持っていない)

画像クレジット:TMTG

画像クレジット:Michael M. Santiago / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

トランプ氏がソーシャルメディア企業を訴える、「訴訟」という新たなツイートで世界に発信か

ソーシャルメディアのプラットフォームが、彼を締め出したのは間違いだと主張するトランプ氏による厳しい3つの訴訟は、前大統領にメディアの一時的な関心を集めることに成功したが、話はそれで終わりだろう。

トランプ氏は在任中に、通信品位法の230条を無効にしようとする、ドンキホーテ的で結局空しいクエストに取り組んだが、今回の新しい訴訟は単なる空騒ぎで、それを支える法的実体もない。

訴訟は、TwitterとFacebookとYouTubeが彼をそのプラットフォームから追い出すことで、トランプ氏の憲法修正第1条の権利を侵害したと主張しているが、修正第1条の意図は政府の検閲から国民を護ることであり、私企業が対象ではない。当時トランプ氏自身が連邦政府のトップだったという皮肉は、この訴訟が誰の手に委ねられても消えることはないだろう。

この訴訟は、TwitterとFacebookのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、およびGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏を名指しして(YouTubeのSusan Wojcicki[スーザン・ウォジスキ]氏がまた漏れている!)、3つの企業が「立法府からの脅威と通信品位法230条への誤った依拠、および連邦政府関係者との共同行為への故意の参加に由来する許されざる検閲行為に関与した」と非難している。

訴訟はまた、これらテクノロジー企業が「民主党議員」とCDC(米疾病予防管理センター)およびAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士と結託した、と主張している。ファウチ氏は当時、トランプ政権の一員だった。

この議論の核心は、テクノロジー企業と国会議員と連邦政府とのコミュニケーションが、なぜかFacebook、Twitter、YouTubeを「国家の行為者(state actors)」に変えてしまった、という主張だ。その壮大なる飛躍は次のとおりだ。

被告Twitterの地位はかくして、いち私企業のそれを超えて国の行為者の地位になり、被告はそれが行なう検閲の決定において修正第1条の権利に束縛される。

トランプ氏が最高裁判事に指名したBrett Kavanaugh(ブレット・カバノー)氏は、2年前の本件と関連する訴訟で裁判所の意見書を発表した。それは、ニューヨークで公共テレビを放送している非営利団体が、修正第1条に縛られる「国家の行為者」の資格を持ちうるか検討しているものだ。裁判所は、一般公開される公共テレビを運営していることが、その非営利団体を政府機関に変えることはない、独自の編集意思決定を行なういち民間団体としての権利を保有するという判決を下している。

その判決でカバノー判事は「その資産を他による言論のために開く私企業が、その事実のみをもってして、国家kの行為者に変えられることはない」と述べている。

政府に話をしたことや、なぜか政府に脅迫されたことが、TwitterやYouTubeやFacebookを国家の行為者に変えると法廷が判決することもありえないだろう。

関連記事:米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

トランプvs.230条(再掲)

修正第1条については、そもそも議論すべきことがあまりないが、ソーシャルメディアのプラットフォームは通信品位法230条で守られている。その簡潔な条文によって彼らは、彼らがホストするユーザー生成コンテンツだけでなく、削除するコンテンツを決めるモデレーションの意思決定においても責任を免除される。

テクノロジーの法的な保護に対するトランプ氏の激しすぎる軽蔑と歩みを合わせるかのように、この訴訟も230条を何度も痛罵している。訴訟は、議会が230条によるテクノロジー企業の保護を取り消すと脅したために、彼らはトランプ氏を禁じることを強制され、それによりどういうわけかソーシャルメディアが政府の一部になり、修正第1条の制約に縛られるという論理を主張しようとしている。

もちろん230条の撤回は、共和党議員トランプ自身の政権がしつこく迫っていたが、意味のない議論であるため何かが変わるわけでもない。

訴訟が主張しているのは、修正第1条によって保護されてしまう言論もありうるため、言論を意図的に検閲できるために議会が230条を工作したとする説だ。この法律ができた1996年には遍在的なソーシャルメディアなど存在しておらず、他の目的もあったことを、訴訟は無視している。

大統領だった4年間でトランプ氏は、ソーシャルメディア、中でもTwitterを利用して、その日のイベントを国と世界に告げてきた。その他の世界の政治指導者たちは、自分のアクションを伝えて宣伝するためにソーシャルメディアを使ったが、トランプ氏のTwitterアカウントはそれ自体がアクションだった。

ソーシャルメディアを禁じられた日以降、前大統領はインターネット全体にコミュニケーションする手段を再建できていない。5月に彼は「From the Desk of Donald J. Trump」という名前のブログを立ち上げたが、多くの関心を集めることができずに、1カ月後に閉鎖した。

トランプ派のソーシャルプラットフォームはいくつかあるが、言論の自由に関する極端な主張が嫌われ、アプリストアのコンテンツモデレーションの要求と苦戦している。しかし、それに懲りない最新の挑戦であるGettrは先週、波乱の多いローンチを迎えた

見方によっては、訴訟はトランプ氏のプラットフォームだ。それは彼自身を、自分の罪のせいで彼を切り離したオンラインの世界へ再び発信するための、最新の方法だ。その意味では訴訟は成功したようだが、その他の点ではだめだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterFacebookYouTubeSNSドナルド・トランプ通信品位法230条

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トランプ氏がツイッター、フェイスブック、グーグルを提訴、アカウント停止は不当な検閲と主張

2021年初めに不名誉な形でホワイトハウスを去ってから初の記者会見で、前大統領のDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏はTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)とこの3社のCEOに対して集団訴訟を起こすと発表した。3社が米憲法修正第1条に違反した、と主張している。

同氏はニュージャージー州ベッドミンスターに所有するゴルフクラブで開いた記者会見で「シャドーバン(アカウント凍結に近い状態)の終了、みなさんがよく知っている沈黙強制やブラックリスト掲載、追放、取り消しの停止を求める」と述べた。

米連邦議会議事堂で1月6日に起きた暴動を受け、ソーシャルメディアプラットフォームはすぐさま当時のトランプ大統領の投稿権限を禁じた。何年にもわたり、トランプ氏は誤情報と暴力的な脅しに関するプラットフォームの規約の限界を試してきたが、議事堂暴動があった日のトランプ氏の役割は一線を超えた。そして間もなく同氏は、Twitter、Facebook、YouTubeでの何百万というフォロワーにリーチするためのメガフォンを失った。

Twitter上でのトランプ氏の運命は知られている。前大統領は生涯Twitterの使用を禁じられている。しかしFacebookとYouTubeでは、トランプ氏のアカウントは復活する可能性がある。Facebookは外部の規約決定機関であるFacebook Oversight Boardがこの問題を同社に差し戻したことを受けて、まだ判断の審議を続けている。Facebookは現在、トランプ氏の無期限停止の期間を永久とするのか、それとも一定期間にするのかを決める必要がある。

トランプ氏は、フロリダ南部地区裁判所に起こす訴訟の原告代表になる。訴訟では「補償的損害賠償と懲罰的損害賠償」、そしてトランプ氏のソーシャルメディアアカウントの回復を求める。FacebookとTwitterはこの件に関するコメントを却下し、GoogleはTechCrunchのコメント要求に反応しなかった。

訴訟はすでに注意を引くという意図した効果を得たが、それ以上のものにはならなさそうだ。トランプ氏は米憲法修正第1条がうたう権利を侵害したとしてFacebook、Twitter、Googleを非難しているが、米憲法修正第1条は企業ではなく政府による言論の検閲に関係するものだ。

3社はまた、米通信品位法230条によっても守られている。230条はホストするコンテンツに対する法的責任からプラットフォームを守り、また現職大統領をプラットフォームから追放する決定も含め、コンテンツモデレーションの判断を行う権限をプラットフォームに与えている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Donald TrumpTwitterFacebookGoogleSNS

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ派のためのSNS「Gettr」は早くも混乱状態

おやおや、早いね。Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の広報担当者であるJason Miller(ジェイソン・ミラー)氏が、Twitterクローンを立ち上げたのはほんの数日前だったが、この新しいソーシャルネットワークは早くも問題が山積みだ。

まず、ハッカーたちがいち早くGettrのAPIを利用して、ユーザー8万5000人ほどのメールアドレスを盗んだ。そのデータには、ユーザー名と本名、誕生日なども含まれており、セキュリティ企業Hudson Rockの共同創業者Alon Gal(アロン・ガル)氏がそれを明らかにしている。

ガル氏はTechCrunchの取材に対して「APIの実装がいい加減で、悪質なハッカーなどが機密情報を取り出せる状態なら、その結果はデータ漏洩事故と同じであるため、セキュリティの専門企業と規制当局に任せるべきだ」と述べている。

先週、TechCrunchのセキュリティライターであるZack Whittakerは、GettrはもうすぐAPIからデータを盗まれるだろう、と予言していた

データの窃盗はGettrの頭痛の1つにすぎない。実はこのアプリは、2021年6月、App StoreとGoogle Playに登場したが、Politicoへのポストが正式ローンチとなり、その後の7月4日にベータを終了した。アプリは反中国で名高いトランプ陣営に訴求することが目的のはずだが、Gettrの初期の資金を出したのは、トランプ氏の元アドバイザーであるSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏を支持する中国の億万長者、郭文貴氏だったようだ。The Washington Postの報道によると、反ワクチンの主張やQAnonの陰謀説などを広めた大規模な偽情報ネットワークの中心人物が郭氏だったらしい。

7月2日にアプリのチームは、ダウンロードの急増によるサインアップの遅れを詫びたが、立ち上げ時のちょっとしたダウンタイムなどは、微々たる問題だ。週末にかけて、Marjorie Taylor-Greene(
マージョリー・テイラー・グリーン)氏やスティーブ・バノン氏、そしてミラー氏本人など複数の人たちの公式のGettrアカウントがハッキングされ、アプリの杜撰なセキュリティがさらに問われた。

そんな事件はともかくとして、フェイクアカウントがとても多いため、どれがGettrの正規ユーザーなのか判別しづらい。アプリ自身が行っているレコメンデーションも同じで、試してみると、アプリ自身のレコメンデーションの中にSteamの偽ブランドのアカウントがあったりする。

おかしなものは、もっとある。アプリのデザインがTwitterと同じなのは異様だし、しかもTwitterのAPIを使って一部のユーザーのフォロワー数やプロフィールをコピーしているようだ。Gettrは登録時に、Twitterのハンドルを使うよう新規ユーザーに勧める。そうすると、場合によってはツイートをコピーできるからだそうだ。しかし試してみたが、私はだめだった。GettrがTwitterとすごく似ていることや、APIの利用についてTwitterに確認しているが返答はない。

モバイル版のGettrは、基本的にはTwitterの完全なクローンだが、その細部はずさんだ。Gettrのコピーには、「最高のソフトウェア品質をユーザーに提供するために最善を尽くし、誰もが自由に意見を述べることができるようにする」とソーシャルネットワークであるという自慢も含め、陳腐で奇妙なものもある。

Gettrは自らを、メインストリームのソーシャルネットワークが極右の考え方に対し敵対的である、と信じている人たちのための代わりになるものだと位置づけている。Gettrのウェブサイトは、「メッセージのキャンセルを拒否せよ。自分の修正第一条を生かせ。自由を祝福せよ」といったトランプ流のメッセージに慣れている人たちを新規ユーザーとして歓迎している。

ミラー氏も週末に、前大統領の言葉を引用している。「ヒドロキシクロロキンは効く!誰もこのポストを取り下げたりアカウントを停止しない!#GETTR」。現在のところGettrでは、コンテンツのモデレーションは緩いかそれとも存在しないかだ。しかしParlerや、陰謀説のその他の避難所で見たように、こんなやり方は結構長く続くのだ。

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ミラー氏やトランプ陣営の元スタッフであるTim Murtaugh(ティム・マートー)氏を通じてトランプ氏と広く関係しているにもかかわらず、元大統領はまだこのアプリで存在感を示していない。Gettrには、スティーブ・バノン氏(フォロワー数84.7万人)やMike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏(フォロワー数130万人)など、トランプ氏の周辺にいる人物のプロフィールはあるが、トランプ氏を検索すると、非公式のアカウントしか出てこない。Bloombergの記事は、トランプ氏にはこのアプリに参加する計画がないという。しかし、ソニック・ザ・ヘッジホッグのポルノでのGettrの優位を見れば、彼を非難するのは気の毒だ。

アプリの技術的な問題やトランプ氏の不在が、Gettrへの関心を薄めるだろうか。Sensor Towerの推計によると、Gettrは6月以来、グローバルで130万インストールされている。米国に次いでブラジルが、このアプリの第2の巨大市場だ。

ネットワーク上のトランプ派のエコシステムは、2021年半ば現在も散在して残っている。FacebookやTwitterの上でトランプ氏は禁止され、QAnonの陰謀説ネットワークも歓迎されていない。そんな中でGettrは、メインストリームのソーシャルメディアから追放された多くの人たちの避難所と自らを位置づけている。しかしGettrは初期からの問題が山積みしており、Twitterの雑なクローンが世間の話題になるのも、ここらで終わりなのかもしれない。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トランプ氏がナイジェリア政府のTwitter禁止を称賛、「他国も追随すべき」

米国時間6月8日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領は声明を発表し、ナイジェリア政府がる同国におけるTwitter(ツイッター)の事業を禁止する決定を支持した。

「自国大統領の利用を禁止したTwitterを禁止したナイジェリア国を祝福します」とトランプ氏が声明で述べた。

前大統領は他の国々に対しても、ナイジェリアにならってTwitterとFacebookを禁止するよう推奨した。

「もっと多くの『国』が、自由で開かれた言論を許さないTwitterとFacebook(フェイスブック)を禁止すべきです。あらゆる声を届けるべきなのです。一方でライバルたちは挙ってこの機会を捉えようとするでしょう。自分自身が悪だったら、果たして善悪を支配できるでしょうか?おそらく私が大統領だったときにそうすべきだったのでしょう。しかしZuckerberg(ザッカーバーグ)は何度も電話をしたりホワイトハウスにディナーにやってきては、どれだけ私が偉大だったかを話していたのです。2024年?」とトランプ氏は話した。

トランプ氏の称賛発言はナイジェリア政府が先週金曜日にTwitterを無期限中止した数日後に起きた。同国政府はTwitterがMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)ナイジェリア大統領のツイートを、同社の虐待行為ポリシーに違反したこと、および国民から複数の削除要求があったことを理由に削除した。彼のツイートは、国の南東地区の分離独立論者を罰すると脅していた。

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ナイジェリア大統領は後に広報官を通じて、Twitter全面禁止は誤情報とフェイクニュースの拡散を防ぐための一時的措置だったと語ったが、新たな命令はそれと相容れない。政府は現地時間6月7日、放送メディアに対し、Twitterアカウントを削除し、Twitterをニュースソースとして使うのを止めるよう命令し、言論の自由を抑圧し、検閲を強制する政府の策略を確実にした。

「上記の命令に従い、放送局は自社のTwitterアカウントを削除し、Twitterをニュースの情報源とすること、および番組宣伝、特に視聴者参加のために使用することを中止するよう勧告する」と声明に書かれている。

トランプ氏はその一方で、1つならず2つの禁止措置を受ける側になっている。2021年1月初め同氏は、米国議会議事堂襲撃を扇動したことでTwitterを永久追放された。Twitterは「さらなる暴力誘因のリスク」への懸念を表明した。

その後トランプ氏はFacebookからも無期限追放された。6月4日、ソーシャルメディアの巨人は、トランプ氏の停止措置を2年以内(計算は1月から)に再検討する決定を下したことを発表した。

「当該期間終了後、当社は公共の安全のリスクが消滅したかどうかを専門家に評価してもらいます。私たちは外部要因、たとえば暴力事象、平和的集会の制限、その他の市民の不安を表す指標を評価します。その結果公共の安全への深刻なリスクが未だに存在すると判断した場合には、制限を一定期間延長し、リスクが消滅するまで再評価を続けます」とFacebookのGlobal Affiars and Communications担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が語った。

最終的に停止が解除されたときには、将来トランプ氏がさらに違反を重ねた際に発動されるであろう強硬な制裁措置が施行され、同氏のページとアカウントの永久削除される可能性もある。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがトランプ前大統領の利用を2年間禁止に、有名人の利用禁止措置ルールも変更

Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に対するFacebook(フェイスブック)の利用禁止措置に関し、時間は刻々と過ぎている。以前は無期限禁止の措置だったが、現在2年となり、これは新たに発表された有名人の利用禁止に関するルールで最長の罰則期間だ。しかし時間がくれば、同社は禁止措置を再評価して、措置を終了するのか、延長するのか、あるいは無期限に一定期間の措置にするのかを決める。

2021年1月のトランプ氏に対する利用禁止措置はさまざまなグループで物議を醸したが、Facebookの監督委員会が結論を検討した際に直面した問題は、無期限禁止をサポートする基準がFacebookの規則になかったことだった。トランプ氏を永久追放するか、利用禁止に期間を設けるかだ、と同委員会は述べた

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実際にはFacebookはどちらも選択しなかった。渉外担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が書いているように、禁止措置を延長するというオプションはすべてFacebookの特権であり、2年の禁止はおおむね装飾的だった。

禁止措置期間の終わりに、公共の安全へのリスクが減少したかどうかを専門家に評価してもらいます。暴力事例、平和的な集会の制限、市民の不安のマーカーなど、外部要因を評価します。もし公共の安全への深刻なリスクがまだあるとの結論に至れば禁止措置を一定期間伸ばし、そのリスクが減少するまで再評価を続けます。

使用禁止措置が最終的に解除されれば、トランプ氏が将来さらに違反をした場合に発動される迅速な制裁拡大があり、最悪の場合トランプ氏のページとアカウントは永久削除となります。

監督委員会の提言を満たしているようではあるが、実のところ、トランプ氏の立場は以前より不安定なものではない。Facebookがいつでも決められる、取り消されたり、延長されたりする禁止措置はもちろん「期限が決まっていない」ものだ。

声明の中で、トランプ氏はこの判決を「侮辱」と呼んだ。

とはいえ、ここでのFacebookの決定はトランプ氏のケースを超えたものだ。監督委委員会はトランプ氏のようなケースでどのように対応すべきかを決める規則が必要だと提言し、基準のようなものを設けた。

画像クレジット:Facebook

かなり特異な「執行プロトコル」はFacebookがいう「真剣にとらえています」を見える化したものだ。有名な人物が体系的に適切な長さの禁止措置を受けるようにする量刑ガイドラインのようなものである印象を与える一方で、プロセスのあらゆる側面が勝手にFacebookによって決められる。

どのような状況がこうした「罰則の強化」の使用を正当化できるのか。どのような種の違反が禁止措置の対象となるのか。違反の重大さをどのように決めるのか。禁止措置の長さは誰が決めるのか。禁止措置期間が終わったときにもし「まだ公共の安全に深刻なリスクがある」場合は禁止措置を延長できるのか。有名な人物が一時停止後に直面する「迅速な制裁拡大」とは何なのか。決定に関する時間制限はあるのか。制裁は大っぴらに熟考されるのか。

こうした質問やその他にもまだたくさんある疑問についてFacebookが矛盾したり自分勝手に決めたり、あるいは誤った判断を下したりすると想定しなければならないということではなく、最も機能して欲しい危機のときにFacebookのモデレーションプロセスの中身に何ら新しい要素が加わらず、開示もされないということだ。

新しい正式な罰の配分表と、透明にすると幾度も繰り返された約束にもかかわらず、Facebookが提案するものに含まれているすべてのものはトランプ氏の禁止につながった決定のように、曖昧で自由裁量のもののようだ。

「当社が適用する、あるいは適用しないことを選択するペナルティは議論を呼ぶことを理解しています」とクレッグ氏は書いている。その通りだ。一部の人は決定を歓迎する一方で、別の人は怒っているが、罰則につながるプロセスを明瞭で、忠実に守られるものにしたいという思いは一致している。本日の規則変更はトランプ氏や他の人のケースにおいてもそうではないようだ。

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トランプ氏が強引に進めたFoxconnのウィスコンシン工場計画が大幅縮小

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ氏が強引に進めたFoxconnのウィスコンシン工場計画が大幅縮小

「世界8つめの不思議」だった、とDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏は金色のシャベルを地面にさし込みながら言った。時の大統領はFoxconn(フォックスコン)が計画しているウィスコンシンの工場を自身の経済目標にとって大きな勝利とうたっていた。

1年半後、この取引の将来は極めて不確実になった。今週初めにウィスコンシン州は、かつて望んでいた計画の大幅な縮小が労働者にとって厳しい州へ戻ることに帰結すると発表した。台湾の大手製造メーカーであるFoxconnは投資を100億ドル(約1兆800億円)から6億7200万ドル(約726億円)に縮小する。

新しい計画には予定雇用数の大幅削減も盛り込まれ、1万3000人から1454人とする。ウィスコンシン州知事のTony Evers(トニー・エバーズ)氏は今週発表したプレスリリースで節税のための削減だと述べた。

「知事になったとき、私はウィスコンシン州にとってより良い取引を結ぶためにFoxconnと協業することを約束しました。最後の取引はウィスコンシン州のためにならず、私にとっても意味を成しません」とエバーズ氏は述べた。「今日、この取引に関し、Foxconnを他の企業と同じように扱うという合意を発表します。これにより税金27億7000万ドル(約2993億円)を節約でき、州や地元のコミュニティがすでに投じてきた数億ドルのインフラ投資を守り、約束された雇用創出の責任があることを保証します」。

エバーズ氏は、トランプ氏のもとでの取引交渉で主要な役割を果たしたScott Walker(スコット・ウォーカー)氏の後任として2019年に知事に就任した。取引には40億ドル(約4323億円)近いFoxconnへのインセンティブが含まれていて、これは同社にとって破格の取引だった。

テレビ工場の計画は発表された4年前からかなりシフトし、明らかにトランプ氏からの電話で計画が元に戻る前の2019年初めにはFoxconnはすべて中止したようだった。

ロイターが指摘しているように、ウィスコンシン州はすでに2億ドル(約216億円)超をインフラ、トレーニング、計画された工場の開所に先駆けた他の諸々に費やした。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブック監督委員会がトランプ氏のアカウント停止めぐり決定を「数週間」先延ばし

Facebook(フェイスブック)が自らメンバーを選んだ自称「監督委員会」(FOB)は米国時間4月16日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領のアカウントの無期限停止処分を覆すかどうかについて「数週間」以内に決定すると、この件に関する簡単な更新声明を発表した。

広く報道されたこの案件は世間の大きな関心を集めているようで、FOBは、先に行った一般からの意見募集に対して、これまでに9000件以上の回答を得たとツイートしている。

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FOBは以前にも意見募集の期限を延長したが「すべてのコメントを慎重に検討する」という姿勢が本件のタイムライン延長につながったと付け加えている。

同委員会の声明ではさらに、より多くの情報を「近日中に」提供するとしている。

トランプ氏のFacebookおよびInstagram(インスタグラム)の無期限利用停止は、2021年1月7日にFacebookの創業者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によって発表された。これは、当時の米国大統領だった同氏が国会議事堂での暴動に参加するよう支持者を扇動したことを受けたもので、その事件は混沌とした暴力的な騒動に発展し、ついには彼の支持者らが警察と衝突して多くの死者を出すことになった。

しかし、Facebookはこの決定をすぐにFOBの審査に委ねた。FacebookはFOBが下した審査決定に拘束されると述べているため、この停止措置はすぐに覆される可能性もある。

FOBは本件を審査対象として受理した後、当初は1月21日から90日以内に決定を下すとしていた。守られれば、その期限は4月21日ということになる。

しかし、トランプ氏のソーシャルメディア上の運命を決めるこの注目度の高いハイリスクな決断が、来月にずれ込む可能性が出てきた。

これは、Facebookワールドではおなじみの展開だ。時間稼ぎは、同テック巨人が長年プラットフォームの運営方法にまつわるスキャンダルや悪評に向き合ってきた中で培われた、危機に直面したときのPR対応の特徴だ。それを考え合わせると、FOBがトランプ氏の停止処分について判断に時間をかけているからといって、同社は特にバツが悪いとは思っていないだろう。

何しろ、真の市民監視のパロディとして独自のオーダーメイド審査機関を考案し構成すること自体、Facebookがすでに何年もかけて行ってきたプロセスなのだから。

先週のFOB関連ニュースとして、Facebookは、コンテンツを削除しないという決定について、ユーザーが委員会に審査を要求できるようになったと発表した。これはFOBの審査対象となるケースをコンテンツの(削除だけでなく)「存続」にも拡大することになる。

【更新】本記事は訂正を含め更新された。FOBは以前、コメントの提出期限を延長したことがあるが、当初報じられたように再度延長してはいない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

米最高裁がトランプ前大統領がTwitterの批判者をブロックしたのは違憲との判決を無効に

米国の連邦最高裁判所は、Trump(トランプ)前大統領がTwitter(ツイッター)で自身に反対する投稿をブロックしたことが合衆国憲法修正第1条に違反するとした過去の判決を無効にした。

2019年にマンハッタンの連邦控訴裁判所は、トランプ氏の行為が違憲であるとの判決を下していた。同裁判所は、トランプ氏がTwitterを「公務の遂行」と「一般市民との交流」のために使用していたことから、ユーザーをブロックするという同氏の決定が憲法修正第1条に反すると判断した。

「憲法修正第1条は、ソーシャルメディアのアカウントをあらゆる公務に利用している公務員が、その公務員に反対する意見を述べたことを理由に、その人物をそれ以外のオープンなオンライン対話から排除することを認めていない」と、3人の裁判官はこの判決で述べている

最高裁が先行判決を無効としたことは、まったく予想されていなかったというわけではない。トランプ氏はもはや大統領ではなく、現時点でTwitterのアカウントを永久停止されているからだ。

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予想外だったのは、Clarence Thomas(クラレンス・トーマス)最高裁判事が出した付随意見で、それは問題の本質をはるかに超えて、大手テックプラットフォームに対する斬新な批判にまで及んでいた。

トーマス氏は12ページの意見書の中で、トランプ氏のTwitterにおける行動から離れ、TwitterやFacebook(フェイスブック)などのデジタルプラットフォームが持つモデレーションの力が本当の問題であるとの主張を展開した。「言論が妨げられないようにすることを目的とするならば、より顕著な問題は、支配的なデジタルプラットフォームそれ自体ということにならざるを得ない」と、トーマス氏は書いている。

さらにトーマス氏は、ひと握りの意思決定者によるデジタルプラットフォームの「集中管理」に対する懸念を示し、デジタルプラットフォームがモデレーションの決定においてあまりにも大きな力を行使していると主張。「通信事業者の場合と同様に、この集中によって一部のデジタルプラットフォームが言論に対して巨大な支配力を持つことになる」と書いている。

米国時間4月5日に発表されたトーマス氏の意見は、通信品位法230条によってデジタルプラットフォームに与えられている保護を、もっと狭義に解釈して「削減」するべきであるというこれまでの同氏の主張を反映したものだった。

民主党が議会で主導権を握る中、一部の共和党員は、ビッグテクノロジーに対する批判を、そのモデレーションの力から、それらのサービスが精神的な健康にどのような影響を与えるかといった別の問題へと移しつつある。しかし、トランプ大統領が就任してから4年の間に醸し出された一連の不満は、最高裁判事のクラレンス・トーマス氏の中で生き続けている。

2021年1月には、トーマス氏の妻であるGinni Thomas(ジニ・トーマス)氏が熱烈なトランプ支持者であり、米国連邦議会議事堂に暴力的に侵入したトランプ支持派の群衆を応援したことで、批判にさらされた。

トーマス氏の意見に他の判事は参加していないが、同氏がテックプラットフォームのモデレーション決定に言及したことは、この問題がまだ枯れていないことを示している。

「我々は近いうちに、デジタルプラットフォームのような高度に集中した民間所有の情報インフラに対し、我々の法理がどのように適用されるかを議論せざるを得なくなるだろう」と、トーマス氏は警告している。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが義理の娘のアカウントでもトランプ前大統領は利用禁止と警告

トランプ氏の義理の娘であるLara Trump(ララ・トランプ)氏は米国時間3月30日、前大統領の新たなインタビューをFacebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)で宣伝した。しかし世界で最も人気のこの2つのソーシャルネットワーク上でのトランプ大統領に対する禁止措置を回避する策は長くはもたなかった。

ララ・トランプ氏はどうやらFacebookから「トランプ大統領の声」は現在FacebookならびにInstagram上では禁止されており、削除の対象となるとすぐさま警告を受けたようだ。トランプ前大統領自身は、最もやっかいなプラットフォームの政策決定に取り組むためにFacebookが設けた外部の運営組織Oversight Boardの判断によりフェイスブックの使用が禁止されている。

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そうしたルールは、トランプ陣営に関係している、ならびに選挙運動の元代理人に属している、あらゆるアカウントやページにも適用され、ララ・トランプ氏のアカウントはこのどちらにも当てはまる。Facebookは、同社からの電子メールをとらえたスクリーンショットが正当なものであることをTechCrunchに認めた。

Facebookはトランプ前大統領に対し、ニュースの例外を設けている。おそらく「60分」(米CBSの番組)のインタビューに似ているものだろう。しかし今回の場合、トランプ前大統領は、選挙運動に関わり、ビデオを選挙運動に関連するアカウントで宣伝しようと計画していた人物にインタビューされている。

Facebookがビデオそのものをホストしているわけではなく、ララ・トランプ氏はビデオシェアリングウェブサイトRumble上でのインタビューにリンクさせて回避策に次ぐ回避策を取ることを選んだ。Rumbleでは2020年後半、トランプ支持者の流入がみられた。

ララ・トランプ氏はまた、トランプ陣営が以前制作したウェブベースの番組The Right Viewに動画を投稿した。この番組については、ワシントンポスト紙は「ABCの『The View』へのトランプ賛成派の答えのようなもの」と描写している。

フォックスニュースは今週、同社がトランプ一族のララ・トランプ氏を有料のコメンテーターとして雇うことを発表した。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ザッカーバーグ氏は「議会議事堂襲撃の責任はフェイスブックではなくトランプ元大統領にある」という

米議会議事堂襲撃の6日後にReuters(ロイター)が行ったインタビューで、Facebook(フェイスブック)最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は5人の命が失われたこの日の悲惨な出来事における自らの会社の役割を軽視したことで不評を呼んだ。

「一連の行動が組織化された主な場所は、私たちの嫌悪行動を阻止する力が及ばず、私たちの基準が通用せず、私たちの透明性のないプラットフォームだったと思います」と当時サンドバーグ氏は語り、陰謀と暴力の民兵組織QAnon(キューアノン)の排除を試みたFacebookのごく最近の完全とはほぼ遠かった努力を自画自賛した。

米国時間3月25日の下院エネルギー・商業委員会の公聴会で、議員らは再びサンドバーグ氏の発言を追求したが、Facebookから満足のいく回答は得られなかった。

冒頭陳述でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国の選挙を守るためにFacebookは「自分の役割を果たした」と述べ、一連の行動の責任をDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に負わせた。

「前大統領は自分の発言に責任を持つべきであり、法を犯した人々は自分の行動に責任を持つべきだと私は信じています」とザッカーバーグ氏は述べた。

選挙の誤情報とStop the Steal(選挙を盗むな)行動の拡散は、Faceboookに「一定の責任がある」のではないかという質問に対し、ザッカーバーグ氏は話をそらし、直接回答することを拒んだ。

「議事堂襲撃の召集、計画、実行に関してFacebookが主要な役割を果たしたことを認めることすらしない、というのはどういうことですか」とMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党・ペンシルベニア州)が尋ねた。

再び詰め寄られたザッカーバーグ氏は、責任を転嫁した。

「責任は法を犯して暴動を犯す行動を起こした人々にあると私は思います」と彼はいう。「そのコンテンツを拡散した人々にも。大統領をはじめとするその人たちは繰り返し弁舌を弄し、選挙は操作されたといい、人々に参加を呼びかけました。彼らにも一義的な責任があると私は思います」。

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ドイル氏は納得せず、1月6日の攻撃の前にFacebook上で猛威を振るっていた危険なレトリックをFacebookが「増長した」と主張していた。ドイル氏によると、FBI(連邦捜査局)は、襲撃者がFacebookを襲撃の「勧誘、計画、実行」の各段階で使っていたことを示したことを指摘している。

Jan Schakowsky(ジャン・シャコウスキー)下院議員(民主党、イリノイ州)はサンドバーグ氏のインタビューを取り上げた。

「あなたに聞きたいのは、あの議会議事堂襲撃に至った過激な行動の扇動に関して、Facebookグループが具体的な役割を果たしたことをこの場で認める意志があるかどうかです」とシャコウスキー氏は迫った。

「シェリル(・サンドバーグ)の発言は、私たちの言おうとしていたことだと今も信じており、当時広く報じられたことについて私は責任をもちます」とザッカーバーグ氏が話し始めると、早く要点に入るようにとシャコウスキー氏は遮った。

「当社のサービスにコンテンツがあったことは間違いありません」とザッカーバーグ氏が曖昧に言った。「その意味で、私たちのサービスと会話の管理をもっと効果的にするために、まだやるべき仕事があると思っています」。

「選挙を盗むな」運動は膨大な数のFacebookグループに広がり、暴徒のリーダーたちは連絡や攻撃当日に議員を探す手段をFacebookに頼っていた。

これはFacebookにとって驚くことではないはずだが、2020年ミシガン州のGretchen Whitmer(グレッチェン・ホイットマー)知事を誘拐あるいは殺害する計画を企てた民兵組織メンバーも組織化と連絡にFacebookを使っていたことがFBIの宣誓供述書に書かれている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの監督委員会はすでに「少し不満を感じている」、トランプ氏のアカウント停止については判断を保留

Facebook監督委員会(FOB)は、Facebook(フェイスブック)のコンテンツモデレーションの決定を検討する際に、二者択一の選択を求められることにすでに不満を感じている、とメンバーの1人が語った。米国時間3月3日、オンライン上の表現の自由に関する調査を行っている英国貴族院委員会で証言した時のことだ。

FOBは現在、FacebookのDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領のアカウントに対する措置を覆すかどうかを検討している。2021年初頭、トランプ氏の支持者が米国の首都を襲撃したことを受けて、このテクノロジー界の巨人はトランプ氏のアカウントを「無期限に」停止した。

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米国時間1月6日に起きた混乱極まる暴動では、数人を死に至らしめ、トランプ氏が大手テクノロジープラットフォームを拡声器として利用し国民の分断と憎悪を煽っていたことについて、各社が抑止力を働かせることもなく黙認していたと、非難の声が広がっている。

しかし最終的に、Facebookはトランプ氏のアカウントを停止し、ほぼ同時にこの件を自ら組織し自ら命名した監督委員会の審査に委ねた。このことは、Facebook自身が立ち上げ、出資し、メンバーを決めた例外的な審査プロセスによって、トランプ氏への措置がすぐに覆される可能性があることを意味する。

英国の新聞社The Guardian(ガーディアン)の元編集長のAlan Rusbridger(アラン・ラスブリッジャー)氏は、委員として選ばれたFOB初期メンバー20人(人数は40人に倍増される予定)の一人だが、3月3日、審査が進行中であることを考慮しトランプ氏のケースについて直接言及することは避けたものの、初期段階での二者択一の選択肢は、自由に選択できるとは言え同氏が望むような繊細さを備えるものではないことを暗に語った。

「現在注目されているケースについてはコメントを控えるが、誰かを永久に追放するのではなく、『ペナルティーボックス』を用意して、再度何か問題を起こした場合には、その時点で追放するというのはどうだろうか」と述べ、代替案としてサッカーの「イエローカード」のような制度を望んでいることを示唆した。

「FOBは、その裁量を広げたいと考えている。単に追放か放置かだけでは、すでに少し閉塞感を感じている」と話し「もし、拡散を抑制したい場合はどうすればいいだろうか。何か枠をはめたい場合はどうだろうか」と続ける。

「そういったことは、いずれFOBがFacebookに要請することになるだろう。しかし、FOBは、まず自信を持って仕事に取り掛からなければならない。望む結果を得ることができる」。

ラスブリッジャー氏は貴族院委員会で「どのみちある時点で、アルゴリズムを見せてもらうことになると思う。それを見たときに理解できるかどうかは別問題だ」と語った。

多くの人にとって、Facebookのトランプ氏のアカウント停止は議論の余地がない。トランプ氏が暴動を煽るためにFacebookを使い続けることで、さらなる暴力を引き起こす危険性があるからだ。また、Facebookの規則に照らし合わせれば、Facebookのコミュニティ基準に対して明らかな違反が繰り返されている。

Facebookの元最高セキュリティ責任者のAlex Stamos(アレックス・ステイモス)氏は、このアカウント停止の支持者の一人だ。同氏は現在、スタンフォード大学インターネット観測所を通じて、オンラインプラットフォームの信頼性と安全性に関する幅広い問題に取り組んでいる。

ステイモス氏は1月初旬、Twitter(ツイッター)とFacebookの両社に「正当な公平性は失われた。レッテルを貼るだけではダメだ」と、すべてが始まる前にトランプ氏を排除するよう要請していた。

しかし最終的に、大手テクノロジー企業がほぼ一丸となってトランプ氏の口を封じたことを受けて、いくつかの国の首脳や議員が、大手テクノロジー企業の権力の誇示に懸念を表明した。

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ドイツの首相は、Twitterがトランプ氏のアカウントを停止したことを「問題がある」とし、言論を妨害するプラットフォームの力について厄介な問題を提起したと述べた。一方、欧州の他の議員らは、この一方的な行動を重く受け止め、巨大テクノロジー企業に対するしかるべき民主的規制の必要性を主張した。

世界で最も影響力を持つソーシャルメディアプラットフォームが、民主的に選出された大統領(それがトランプ氏のように対立を生み不人気な大統領であったとしても)を黙らせたという事実は、あらゆる立場の政治家に不快感を与えた。

いうまでもなく、Facebookの予想に違わぬ反応は、この二面性のある難題をFOBの判断に委ねることだった。結局のところ、それがFOBを計画した目的そのものだ。FOBは、物議を醸す面倒なコンテンツモデレーションに対処するために存在する。

そしてそのレベルでは、Facebookの監督委員会は、Facebookが意図した通りの仕事をしている。

しかし、この私的な「最高裁判所」が、二者択一に限られる裁定を求められていることに対してすでに不満を感じているというのは興味深い(トランプ氏のケースでは、アカウント停止を完全に破棄するか、無期限に継続するか、ということだ)。

FOBの非公式な発言の意味するところは、与えられた手段があまりにも柔軟性に欠けるということのようだ。しかしFacebookは、FOBが出す可能性のある広範な指針の提案に拘束されるとは言っておらず、個々の審査決定に従うとだけ言っている(つまり、FOBがFacebookに対して一般的な批判を表明しても重要なところで影響力はないということだ)。

FOBが不満の解消に向けて、どれだけ積極的にFacebookに働きかけるかは、まだわからない。

「どれも簡単に片付く問題ではない」。ラスブリッジャー氏は貴族院委員会でそのように述べ、デジタル時代における言論の抑制の課題について、より一般的な見解を示した。同氏は、グーテンベルクが発明した印刷機によって生じた長期に渡る社会的混乱を例に挙げ、インターネットがもたらした発信の革命に対応するためには、実際には何世代にもわたる取り組みが必要になる可能性を示唆している。

もしFacebookの期待することが、FOBが知性を発揮しつつコンテンツモデレーションに絡む難しい(そして厄介な)問題を棚上げにすることであれば、ラスブリッジャー氏の証言が示すようなFOBの内部で行われている熟慮のレベルに、きっと満足していることだろう(もしかすると、自ら任命した委員らにアルゴリズムのブラックボックスの開示を求められることを、不愉快に思っているかもしれないが)。

St John’s(セントジョーンズ)大学法科大学院のKate Klonick(ケイト・クロニック)准教授も貴族院委員会で証言した。クロニック氏は、FOBが設立される過程を取材するためにFacebookから広範なアクセス権を与えられ、FOBの内部構造に関する記事を執筆した。その記事は、最近The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)に掲載された。

貴族院委員会は、FOBの運営についてより精通すべく、FOBのFacebookからの独立性について何度か参考人に質問した。

ラスブリッジャー氏は「自分たちがFacebookのために働いているとはまったく思っていない」と述べ、この点に関する懸念を否定した。FOBのメンバーは、Facebookが設立した信託会社を通じてFacebookから報酬を得ているが、これはFOBをFacebook本体から独立した立場に置くためだ。貴族院委員会は、FOBがどれほど純粋に独立しているのかを問うために、躊躇なく報酬の問題に切り込んだ。

ラスブリッジャー氏は「非常に独立していると思っている」と答え「Facebookに友好的でなければならないとか、否定的でなければならないといった義務があるとはまったく思っていない」と述べた。

「FOBの良いところは、時には誰かが『しかし、もしそんなことをしたら、どこそこの国でのFacebookの経済モデルが台無しになる』と言ったとしても、『それは私たちの問題ではない』と答える。これはとても自由なことだ」と同氏は付け加える。

もちろん、FOBの現職のメンバーが、一斉に報酬を辞退するなどしない限り、独立性の質問には他に答えようがないだろう(誤解のないようにいうと、ラスブリッジャー氏は辞退していない)。

FOBのメンバーは1期3年で3回の任期を務められることが確認されているので、同氏はFacebookのために、今後10年近く熟慮を続けることになる。

一方、クロニック氏は、Facebookが準独立の監視機関をゼロから構築し、同社自身と自らが監視機関と称するFOBとの間に距離を置くという課題の難しさを強調した。

「監視機関としての制度を構築すること、つまり、制度構築への移行や、[FOBとFacebookの間の]しがらみの排除、そして膨大な難題、新しいテクノロジー、新しいバックエンド、コンテンツ管理システムなどとともに新しい人たちを組織することは、信じられないほど難しいことだ」と同氏は語る。

ラスブリッジャー氏によると、FOBの「研修期間」の間、Facebookの代表者が参加する広範なトレーニングプロセスを経たとのことだ。しかし、トレーニングの終了後、Facebookの代表者がまだ通話に参加していることに気付いたときのことを説明し、その時点でFOBはFacebookに退去を指示する権限を得たと思うと話した。

クロニック氏は「その状況を見ていて、これはまさに、起こるべきことが起こった瞬間だったと思う」と述べ「ある種の正式な決別が必要だった。背中を押されて巣立つ瞬間、FOBがトレーニングを終えた時点がその時であり、当然の成り行きだった」と付け加える。

しかし、FacebookがFOBの通話を文字通り盗み聞きしていないことを独立性の尺度とするならば、Facebookは、自らの監督者をプログラムするための長く複雑なプロセスにおいて、選ばれた意欲的な参加者をどれほどうまく洗脳したのか、立ち上げを監視するために入れた付加的な部外者も含めて、疑ってみなければならない。

貴族院委員会は、FOBがこれまでのところ、ほとんどの場合、モデレーターが削除したコンテンツの回復をFacebookに命じているという事実にも関心を持っている。

2021年1月、FOBが最初の決定を下した際、Facebookが削除した5つのコンテンツのうち4つを回復させたが、その中にはヘイトスピーチに関するものもいくつか含まれていた。この動きはすぐに、FOBの方向性に対する批判を集めた。結局のところ、Facebookのビジネスに対して広がる批判は、有害なコンテンツを削除することにあまりにも消極的であるというものだ。(例えば、Facebookはようやく2020年、ホロコーストの否定を禁止した)。そしてなんと、自称「監督委員会」がヘイトスピーチの削除を撤回する決定を下しているのだ。

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真の意味でFacebookから独立し反抗する私的な「The Real Facebook Oversight Board(真のFacebook監督委員会)」は、即座に「衝撃的だ」と食いつき、FOBは「ヘイトを正当化するために全力を尽くしている」とこの決定を非難した。

クロニック氏は、FOBはFacebookの最高裁判所ではなく、本質的にはむしろ「ユーザーのための紛争解決メカニズム」に過ぎないという現実を指摘した。

もしこの評価が正しいとすれば(FOBにたどり着くユーザーの数が非常に少ないことを考える限り、実際、的を射ていると思うが)、本来ならばプラットフォームの標準機能であるはずの監督機能について、FacebookがどれだけPRできたかは、まったく疑わしい。

クロニック氏は、FOBの年初の取り消し決定は、コンテンツの削除に異議を唱えるユーザーの声を聞いた結果であり、ユーザーの不満に「共感」したからだと主張する。

「どのような規則に違反したのか、どうすれば再び規則違反を避けられるのか、どうやってその情報を得るのか、自分の言い分を伝えることができるのか、といったことが具体的にわからないという絶対的なフラストレーション」と、コンテンツ削除決定の見直しを申請したユーザーからFOBのメンバーが聞き、同氏に語った内容を列挙する。

「今回のFOBの決定は、何よりもまず、そのような状況を回復させようとするものだと思う」と同氏は示唆し「それはFOBがFacebookに送り返しているシグナルであり、正直にいうと、容易に解決できる問題だ。つまり、正確な規則を人々に伝え、事実に照らし合わせた分析や規則の適用を行い、目にしているものを読み取ってもらうことで、人々は何が起こっているのかをよりよく理解することができる」と続ける。

「あるいは少なくとも、検閲がブラックボックスではなくプロセスがあることを少しでも感じられればと思う」。

貴族院委員会の質問に対する回答の中で、ラスブリッジャー氏は、審査の意思決定にどのようにアプローチしているかを語った。

同氏は「ほとんどの判断は、なぜこの特定のケースで言論の自由を制限するのかを熟慮することから始まり、それが興味深い疑問を生む」と述べ、Brandeis(ブランディス)判事の「より多くの言論で悪い言論に対抗する」という見解に通づる、言論についての前述の自説を要約した。

同氏は「不快にされるか損害を与えられるかの境界線とは異なり、不快にされない権利がこの問題には関わっている」とし「この問題は、政治哲学者たちによって長い間議論されてきており、絶対に解決されることはないだろう」と続ける。

「しかし、もし不快にされない権利の確立が受け入れられれば、最終的にそれは、ほとんどすべての議論に大きな影響力を与えるだろう。そして実際、Facebookがあるコンテンツを削除した際、実質的にそのような権利を行使したケースが1つか2つあった」。

同氏は「不快とは異なり、被害は明らかに異なる扱いを受けるものだ」とし「そして、我々は幸運なことに、専門家を雇い、被害についての助言を求めることができる立場にある」と付け加えた。

ラスブリッジャー氏は、不快な言論と有害な言論の「境界線」を設定しなければならなくなった場合にFOBが直面する課題や落とし穴について悩んでいるようには見えなかったが、専門家を(さらに)外部委託できることは恐らく助けになるだろう。それは同氏が、貴族院委員会のセッションの中で、(初めにFacebookが選んだ)現在のFOBメンバーに技術的な専門性が欠けていることも含め、他にもいくつかのオペレーション上の問題点を指摘していたからだ。

技術的な専門知識がなければ、Facebookのコンテンツ配信マシンを有意義な方法で分析することはできない。それでは同氏がFOBの要望であるという「アルゴリズムを調べる」ことはどうやって実現するのだろうか。

FOBには現在、技術的な専門知識が欠けているため、その機能についてさまざまな疑問が提起されている。また、アルゴリズムを利用した金儲けのための選定について、言い逃れやより深い精査の回避を容易にすることで、最初にトレーニングを受けたメンバーが、Facebookの利己的な観点から有用な愚か者として扱われていないかどうかも疑問視されている。

Facebookという機械が技術的、経済的にどのように機能しているのかを本当に理解していなければ、一体どうやって意味のある監視を行うというのだろうか(ラスブリッジャー氏は明らかにこのことを理解しているが、このプロセスがどのように進展していくかを見守ることに満足しているようだ。知力の発揮とインサイダーの視点が魅力的であることは間違いない。「今のところ、非常に高い関心を持っている」と同氏は証言の冒頭で認めている)。

同氏は「監督委員会があるとしても、アルゴリズムは、中毒性を高めるためにコミュニティを対立させるような感情的なコンテンツに報酬を与えることはよく知られていることだ、と人々はいう。それが本当かどうかはわからないが、FOBとしてはそういった問題に取り組む必要がある」と述べ「たとえそれが、プログラマーと何度もセッションを重ね、我々が理解できるように非常にゆっくり話してもらうことになったとしても」と続ける。

「FOBの責任は、Facebookのメカニズムがどういったものであるかを理解することだと考えている。モデレーションのメカニズムではなく、許容するメカニズムだ」とし「そのメカニズムの評価基準は何なのか」と述べる。

二人の証言では、もう1つの懸念が示された。FOBが行っている複雑で微妙なモデレーションの判断は、スケールアップできないのではないかということだ。これは、AIベースのモデレーションに供給する一般的な情報に比べて、あまりにも特殊すぎるということを示唆している。また、Facebookが現在運用しているスタッフによるモデレーションシステム(数千人の人間のモデレーターが驚くほど短い思考時間でコンテンツの良否を決定している)でも、必ず対応できるとは限らないだろう。

それにもかかわらず、Facebookの巨大なスケールと、コンテンツ帝国の端っこでくすぶる、同社が決めた限られた機能のFOBとの間の問題は、適切に議論されることもなく、貴族院委員会のセッションに不安を残す包括的なポイントの1つとなった。

ラスブリッジャー氏は「『このようなことは簡単に意思疎通できるのか』という問いは、良い質問だ。FOBのメンバーは少しずつそのことに取り組んでいる」と述べ、審査の仕事の要求に応えるだけの資格を自認できるよう、見慣れない「世界中の人権プロトコルや規範」を一通り学ぶ必要があったことを認めた。

このようなレベルのトレーニングを、現在Facebookがコンテンツモデレーションを行うために雇用している何万人ものモデレーターに拡大するには、当然のことながら目のくらむような費用がかかる。また、Facebookから提供されるものでもない。その代わりに、非常に高価でトレーニングを受けた40人の専門家からなる精鋭チームを抜擢して、極少数のコンテンツ判定に取り組ませている。

ラスブリッジャー氏は「FOBが下す決定は、人間のモデレーターが理解できるものであることが重要だ」と言い「理想的にはAIでも理解できるものだが、あるケースの事実について、[Facebookのコミュニティ基準、Facebookの価値観、『人権フィルター』]の3つの基準に準拠し、特定の方法で決定することがあるので、そこには葛藤がある」と語る。しかし、AIがあるケースと別のケースの微妙な差異を理解するのはかなり難しいだろうということは承知の上で、次のように話した。

「だけど、これはまだ始まったばかりさ」。

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タグ:FacebookSNSドナルド・トランプ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

グーグルが機能していないアプリ「Trump 2020」を一時停止措置に

Google(グーグル)は、規則に違反したとしてTrump 2020選挙運動アプリのGoogle Play Storeでの扱いを一時停止した。Android Policeの報道を受けてGoogleはその事実を認めた。報道では、アプリはいかなるコンテンツも取り込めず、Storeから取り除かれたようだとされている。同アプリのAndroid版、iOS版ともに2020年11月の選挙後もオンライン上にまだあるが、アップデートされていない。これがアプリの安定性の問題につながったようだ。

たとえばAndroid版は2020年10月30日からアップデートされていない、と調査会社Sensor Towerは指摘する。

Android Policeの報道によると、アプリはまだ存在するがコンテンツを取り込むことができず、接続面での問題もある。この問題は報道にあるとおり、ユーザーがアプリをダウンロードすると、Tロゴが回転する最初のローディングスクリーンになるか、すぐにサーバーエラーが表示されるかだとTechCrunchは理解している。どちらにせよ、アプリの中身をまったく取り込まない。

Google Play Storeにある直近のユーザーレビューでも「開かない」「アプリは起動すらしない」「まったくひどい、機能しない」「接続確認を、というだけで開かない」などと問題が報告されている。とあるユーザーは「みんなのコメントに返事してください。ロードしていません」とデベロッパーに多くの苦情に対応するよう求めた。別のユーザーは「Googleが削除するまでは機能していた」と記し、この問題はGoogleの不手際だとほのめかした。

しかし、Googleは削除していない。Trump 2020 Androidアプリは実際にはGoogleが行動する前から問題を抱えていた。

たとえば1カ月ほど前のツイートでも同様の問題が指摘された。

GoogleはTechCrunchに対し、Play Storeで禁止にはなっておらず、機能していなかったために一時停止になっているだけだと述べている。もし問題が解決すれば、復活するかもしれない。Googleはまた、アプリを一時停止とする前に、このアプリのデベロッパーに連絡を試みたが、返事が一切なかったとも述べた。

「Trump 2020選挙運動アプリはこのほど機能を停止し、問題を解決してもらおうと複数回デベロッパーに連絡を取りました」とGoogleの広報担当は述べた。「人々はGoogle Playからダウンロードしたアプリが最低限のレベルの機能性を提供すると考えており、問題を解決しないなら機能しないアプリはストアから取り除く、というのが当社のポリシーです」。

Androidでの問題にもかかわらず、TechCrunchはiOS版アプリがまだ最初の立ち上げが可能で、サインアップで電話番号に確認コードを送れることを確認した。しかしアプリのメイン表示にいくと、エラーメッセージが表示される。ただし、過去のコンテンツをブラウズする能力に影響はない。

iOSのTrump 2020(スクリーンショット)

Sensor Towerは、Trump 2020アプリのAndroid版は2021年2月7日から新規インストールされていないようだと話す。同社はまた、同アプリのiOS版のインストールが150万回だったのに対し、Android版は約84万回だったと指摘した。

Trump 2020アプリの問題がニュースになるのは今回が初めてではない。

2020年の米大統領選挙までの数カ月、多くのTikTokユーザーがApp StoreユーザーレビューでTrump 2020アプリを貶めた(なぜか、Z世代ユーザーは低い評価のアプリは自動的にアプリストアから削除されると信じている。それは真実ではない)。しかしTikTokユーザーのそうした取り組みによって、Trump 2020アプリの全体評価は星1.2に落ち、Trump 2020陣営はアプリ評価のリセットを余儀なくされた。

大統領選はだいぶ前に終わったが、ユーザーはまだアプリに星1という低い評価をつけている。時にネット上の荒らし者たちは、その過程でちょっとしたユーモアを見せようとさえする。

とあるPlay Storeのレビュワーは「アプリは私の携帯のOSを乗っ取ろうとクーデーターを試みた」と書き込み、別の人はiOSで「私は2016年から十分苦しんだ」と記した。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleアプリDonald Trump

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

大統領選に再出馬してもトランプ元大統領はTwitterから永久追放

Donald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領への2度目の弾劾裁判が展開される中、同氏にはもう1つ悪いニュースがある。CNBCのSquawk Boxでの新しいインタビューの中で、Twitter(ツイッター)の最高財務責任者であるNed Segal(ネッド・シーガル)氏は、同社がトランプ氏のTwitterアカウントを長期的にどのように扱うかについて決定的な発言をした。

トランプ氏が再び出馬して当選した場合はどうなるのかという質問に対して、シーガル氏は言葉を濁さなかった。

「当社のポリシーではユーザーがプラットフォームから削除されると、元に戻ることはできません。あなたがコメンテーターであろうと、CFOであろうと、元、現役の公務員であろうとです」とシーガル氏は述べた。

「私たちのポリシーは、人々が暴力を扇動していないことを確認するように設計されていることを忘れないでください。もし誰かが暴力を扇動したら、私たちはサービスから彼らを排除しなければなりません。また私たちのポリシーでは、戻ってくることを許可していません」。

ツイッターは1カ月前、「暴力をさらに扇動する危険性がある」という懸念を理由に、トランプ氏をプラットフォームから追放した。米国連邦議会議事堂への致命的な攻撃を扇動した同氏の役割は、彼の支持者を結集し、陰謀を増幅し、批判者をこき下ろす4年間を過ごしたプラットフォーム上で、最終的にその運命を閉じた。

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

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タグ:Twitterドナルド・トランプSNS

画像クレジット:Justin Sullivan / Erin Schaff – Pool / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Facebookの監督委員会がトランプ氏のアカウント停止に対するパブリックコメントを募集

Facebook(フェイスブック)の「最高裁」は、最も古く、おそらく最も影響の大きい事例に対するコメントの受付を開始した。Facebook監督委員会は米国時間1月29日、FacebookによるDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領の利用停止に関するパブリックコメントの募集を開始した

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はトランプ氏の利用停止を1月7日に発表している。当時の米国大統領が支持者を国の議会議事堂への暴動に参加するよう煽ったのを受けたもので、その事件は何人もの死者を出し平和的政権移行を妨げた。

監督委員会はフィードバックを求める投稿の中で、トランプ氏の利用停止に至った投稿2件を説明した。1つ目は議会議事堂暴動の日に大統領がシェアした動画で、その中でトランプ氏は暴徒に同情し、「選挙は我々から盗まれた」とする彼らの主張を正当化した。2つ目の投稿でトランプ氏は前言を繰り返し、「聖なる大勝利」が「ぞんざいな悪意に満ちたやり方で奪われた」と不当に嘆いて訴えた。

委員会によると、意見公募プロセスの目的は、自らの決定を伝える可能性のある調査結果を公表したい第三者による「多様な視点」を取り入れることであるが、結局は、主観的であまり役に立ちそうにない政治的見解が押し寄せてくる可能性が高い。ともあれ、意見公募は10日間実施され、コメントはそれぞれの事例の付録に加えられる。委員会はトランプ氏のFacebookにおける運命を1月21日から90日以内に決定することになっているが、それより早く結果が出ることもありうる。

監督委員会は具体的に以下の状況に関する意見を公募している。

Facebookによるトランプ大統領の関連アカウントを無期限に停止した決定は、表現の自由と人権を尊重する同社の義務に反していないか、代替措置を講じるべきではなかったか、今後これらのアカウントに対してどのような措置を講じるべきか。

Facebookは、同社のコミュニティ基準を適用する際、Facebook外の状況をどのように評価すべきか、特に当該コンテンツが暴力を誘発するかどうかをFacebookが決定しようとしているとき。

Facebookは政治家候補、公職保持者および元公職保持者の表現をどのように扱うべきか。彼らのさまざまな権力的地位、政治的反発の重要性、および大衆の知る権利を踏まえて。

Facebookのアカウントレベルの強制(アカウントまたはアカウント機能の無効化など)およびその強制措置に対する反論へのアクセスのしやすさ。

Facebookの政治指導者に対するコンテンツポリシーの世界的執行の一貫性に関する意見。コンテンツレベル(コンテンツの削除など)およびアカウントレベル(アカウント機能の無効化など)のいずれにについても。Facebookの「報道価値」例外およびFacebookの人権義務の妥当性に関する意見を含む。

監督委員会の投稿はトランプ氏の利用停止に関して極めて詳細であり、トランプ氏が同社のコミュニティ基準のどの部分に違反したのかをFacebookが正確に述べていないことについて具体性の欠如を批判している。本件と最近の5件を見ると、委員会は自らの役割を技術的なものと考えているようであり、それぞれの事例について、Facebookの既存規則に照らし合わせて将来のポリシーのための提案を行っており、自身の広範囲な提案からさかのぼることはしていない。

Facebookの監督委員会は、第一群の決定を先週発表し、不快を招く恐れがあるとFacebook自身が判断したコンテンツ削除の5件中4件を無効とした。これらの事例はいずれもトランプ氏の利用停止とは無関係だが、監督委員会が会社の考えに反対することを恐れていないことを証明した。少なくとも何が削除されるかについては。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookドナルド・トランプ

画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images(画像は加工済み)

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook