中国大手ソーシャルメディアが「不適切」なウクライナ関連コンテンツを削除

中国政府は、ロシアのウクライナに対する軍事行動を「侵攻」と呼ぶことやロシア政府を非難することを拒否する立場を固持しているが、人々はソーシャルメディアでこの戦争に関するそれぞれの思いを表現している。

ここ数日、ウクライナ関連のトピックがWeibo(ウェイボ)のトップトレンディングハッシュタグに入ってきている。中国インターネットにおける公開討論の傾向を示す指標だ。同時に中国のソーシャルメディア巨人は、ウクライナに関連する「不適切」あるいは「誤解を招く」情報を、ウクライナに対するロシアの攻撃が開始された数日後から取り締まり始めた。

中国版Twitter(ツイッター)のWeiboは、4000件以上の「戦争を誘発、戦争を茶化す、あるいは俗悪なコンテンツを拡散した」と見なされる投稿を削除したと週末の発表で語った。中国版TikTok(ティックトック)のDouyin(ドウイン)は「俗悪性、戦争を矮小化するコンテンツ、先導的情報、あるいは敵対的コメント」を含む動画3500本以上を削除した。

Weiboでは「ウクライナの美しい女性たち」に中国へ来るよう呼びかける投稿が数十件見られた。中には、ウクライナでの戦争に志願すれば「単位を取得できる」という偽情報をでっち上げたユーザーもいる、とWeChatの警告文に書かれている。Douyinには「ウクライナ」とタイプすると同アプリで「爆発エフェクト」が起きるとユーザーをだますクリック稼ぎ記事が数百件投稿された。

他のユーザーは、こうした無意味なコンテンツに惑わされず、ウクライナ戦争への思いの共感を訴えている。

「平和は容易には訪れません。私たちは命を尊重しその価値を重んじる必要があります」とWeChatは声明で語った。「私たちはすべてのオンラインユーザーに向けて、重大な国際問題に対する客観的で理性的な態度を保ち、議論に参加するときには分別をわきまえ、みんなが一体となって汚れのない明るいサイバー環境を維持していくよう呼びかけます」。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokの中国版Douyinが検索ユーザー数は5億5000万人、検索最大手Baiduに対抗

ショートビデオの進歩は、情報がどのように作成され、広まり、オンラインで消費されるかということを変化させている。洒落た15秒の動画は、エンターテインメントのためだけのものではない。中国のショートビデオアプリDouyin(抖音)とKuaishou(快手)では、人々は毎日のニュースを得たり、料理を習ったり、英語の練習をしたり、仕事を探したり、急速に拡大しているプラットフォームのコンテンツライブラリから実質的にあらゆる種類の情報を探すことができる。

人々は機械が推奨する動画を見ることに慣れてきているが、多くのユーザーはまだアクティブな検索をしたいという欲求とニーズを持っている。Douyinはそれを理解し、2018年半ばに検索機能を導入した。それから2年以上が経ち、この機能は月間アクティブユーザー数(MAU)5億5000万人に達した。同アプリが最後に報告したのは2020年9月のデイリーユーザー数が6億人という数字だったので、月間ユーザー数はそれを上回っているはずだ。それを見ると、Douyinの検索機能にはまだ成長の余地がある。

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TikTok(ティックトック)の中国版であるDouyinの台頭は、若いプロダクトマネージャーKelly Zhang(ケリー・チャン)氏の功績によるところが大きい。同氏は、今週初めてDouyinの検索ユーザー数を彼女のマイクロブログアカウントで公開した。検索は、中国では長らくBaidu(百度)が独占していた領域だ。2020年12月の時点で、Baiduのフラッグシップアプリの月間アクティブユーザー数は5億4400万人だったため、Baiduと同じくらい多くの人がDouyinで検索していると言って差し支えないだろう。

チャン氏の発言は、オンライン動画分野を制覇し、最終的には人々の情報の受け取り方にまで踏み込もうとするDouyinの野心を物語っている。「前にも言いましたが、私はDouyinが人類文明の動画百科事典になることを願っています。従って動画検索は本に例えれば索引であり、答えを見つけ、新しい知識を得るための入り口なのです」。

同氏はさらに、アプリが検索機能への投資を拡大し続けているため、Douyinの検索エンジンでは新年(中国は旧正月を迎えたばかり)に研究開発、製品、オペレーションのための人材を募集していくと付け加えた。

データ分析会社のJiguangが2020年12月に発表したレポートによると、ショートビデオプラットフォームは、すでに中国のユーザーがオンラインで検索する際に2番目に人気のある方法でBaiduなどの一般的な検索エンジンに次ぐものであり、SNSやeコマースを上回っている。検索におけるBaiduの優位性は、中国のテック大手がサイトやデータへの無料アクセスをお互いにブロックし合うことで築かれた壁に四方から阻まれ、ますます制限されている。ユーザー体験は損なわれるが、この現状はDouyinやAlibaba(アリババ)によるTaobao(淘宝、タオバオ)マーケットプレイスのようなアプリ上の垂直検索エンジンにとっては好都合で、結果的に広告スポンサーからの収益につながる。

ByteDance(バイトダンス)はDouyin、TikTok、ニュースアグリゲーターのToutiao(今日頭条)などのサービスで、機械学習アルゴリズムを使ってコンテンツを推薦することに取り組んできた。このモデルは非常に効率的で収益性が高いことが証明され、BaiduからTencent(テンセント)に至るまでの先人たちが、同様のアルゴリズムを利用したコンテンツフィードを導入するようになった。より長い歴史を持つ検索分野へのByteDanceの進出は、興味をそそる一方で、自然な流れでもある。同社は、デジタルメディア帝国のパズルを完成させ、人々に情報を見つけるための別の選択肢を提供しているにすぎない。ユーザーは機械からのレコメンドを受けたり、必要に応じてコンテンツクリエイターをフォローすることができる。または、頭に浮かんだ検索キーワードがあれば、古き良きやり方で入力もできるというわけだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Douyin中国検索

画像クレジット:Douyin creators

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokの中国国内版「Douyin」が電子ウォレットサービスを開始

中国ではTencentのWeChat PayとAlibaba系列のAlipayが長くデジタルペイメントを支配しているが、両社は常に新しいチャレンジャーの挑戦を受けている。オンラインペイメントに新たに参入したのは、TikTokの中国国内版であるDouyin(抖音)だ。

DouyinではこれまでAlipayとWeChat Payで支払いができたが、ここにDouyin Payが加わった。

Douyinの広報は「Douyin Pay(抖音支付)は既存の主要な支払い方法をに追加されるものであり、最終的にはDouyinのユーザーエクスペリエンスを高めるものです」と述べている。

ペイメントはeコマース事業の成長が見られるDouyinにとっては自然なステップだ。たとえばリップスティックをインフルエンサーが紹介している動画を見ながら、ユーザーは商品のリンク先に行くことができる。インセンティブが大きければ、おなじみのWeChat PayやAlipayではなく、いずれDouyin Payで支払うようになるかもしれない。

eコマース大手のJD.comやフードデリバリーサービスのMeituan(美団)など、他のインターネット大手も自社のペイメント手段をユーザーに使ってもらおうとしているが、市場の寡占状態を打ち破るのは難しい。全体で見ると、中国の電子ペイメントの約90%をWeChat PayとAlipayが扱っている。

他のインターネット関連企業にも見られることだが、Douyinの親会社であるByteDanceはペイメント企業を買収することで待望のペイメントのライセンスを取得した。2020年9月に、ByteDanceの創業者であるZhang Yiming(張一鳴)氏の指揮する企業がペイメントソリューション企業のWuhan Hezhong Yibao Technology Co(武漢合衆易宝科技)を買収した。結果として、DouyinやToutiao(今日頭条)などのByteDanceのサービスがペイメント機能を提供できるようになった。

たとえばユーザーはDouyinのキャンペーンで現金がチャージされた電子レッドパケットを受け取り、その現金を自分の銀行口座に預けることができる。

Douyin Pay

Douyin Payは2月の旧正月を前にして良いタイミングで登場したように思える。旧正月に家族や友人は互いにレッドパケット(赤い封筒)を贈り合う。過去10年間でWeChatはお金が入った縁起の良い封筒の電子版を身近なものにし、これが初期のWeChat Payの飛躍につながった。

中国ビジネスニュースメディアのLatePostによると、DouyinはCCTV(中国中央テレビジョン)と契約し、同局の毎年恒例の大型広告イベントであるカウントダウン番組、Spring Festival Gala(春節聯歓晩会)の赤い封筒テクノロジープロバイダーになるという。創業からほどなくしてAlibabaのライバルとなったPinduoduo(拼多多)は2020年にこの契約をして、自社のペイメント利用者を増やそうと試みた。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:DouyinByteDance中国電子ウォレット

画像クレジット:Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)