超精細な画像を高頻度で撮れるNear Space Labsの成層圏衛星

宇宙関連のテクノロジーという新しい成長分野では、イメージング(画像処理)が重要な市場のひとつだ。それも当然であり、政府にも民間にもイメージングと地球の観測データへの強い需要が今すでにある。軌道衛星はこの需要の一部を満たし、この種のデータを手頃な費用で制作提供するPlatetなどの企業が今では大きく成長している。しかしNear Space Labsは、それらとは違うアプローチで、特定の用途にもっと適したイメージングソリューションを提供している。

Near Space LabsのCEOであるRema Matevosyan(レマ・マテボシアン)氏はあるインタビューで「会社を興したのは『この新しい技術にまったく新しい角度からアプローチして、航空宇宙工学におけるこの盲点を利用したい』と考えたからだ。盲点とは成層圏、航空機が飛ぶ高度の倍ぐらいの高さのことだ。誰もまだ手を付けていないという創業者有利の見地から言えば、そこではとても広大な領域を一望にでき、しかも得られる画像の解像度は航空機やドローン並みに極めて精細だ。さらにまた、画像獲得の頻度をきわめて高くできる。現在のNear Space Labsの画像取得のペースは週でも月でもなく1日であり、それは、これだけの高解像度の画像では従来あり得なかったものだ」と述べている。

このような超高空からの超高解像度画像は、保険、不動産、ロジスティクス、地方行政などの分野にとってきわめて有益だ。Near Space Labsは必要なものを必要な時に、しかも非常に詳細な画像で素早く提供する。これにより、たとえば大規模な建設工事なら、つねに全体の眺望を見ながら進捗をチェックできる。そのほか、交通政策のためには渋滞の状況を時系列で見たり、同じく時系列で港湾の作業効率をチェックしたりできる。従来からある衛星画像では、それだけの広大で精細な画像の提供を頻繁にはできない。しかも従来衛星では、宇宙船の打ち上げ等の費用がきわめて高い。Near Space Labsの技術は、カバー範囲の広さと高精細という画像の質と、画像提供の高頻度という、従来の衛星技術では両立できなかったものを両立させた。同社はそのような画像を、オンデマンドで提供できる。

マテボシアン氏は 「Near Space Labsのプラットホームは本質的にスケーラブルであり、人々が必要としているところへ容易に打ち上げられる。また、従来技術にように災害に弱いなどの欠点もない。例えば、山火事の最中でも後でも飛行できるが、ドローンや飛行機ではそれができない」と語る。

同氏によると、Near Space Labsは気象観測気球を利用したイメージングプラットホームを毎日配備でき、それはそのあとで運用高度に達し、目的領域を2時間ほど撮影する。撮影が終わったらすぐ回収するので、高解像度の画像にすぐにアクセスできる。ハードウェアもソフトウェアもすべて自社製なので、一種のロボティクスのプラットホームであり、それがデータを集めて顧客に提供する。

Near Space Labsはデータだけでなく取った画像のアナリティクスも作り、顧客にイメージングとその解釈の両方を提供している。同社には、Draper AssociatesやWireframe Ventures、そして自動車メーカーのMiniのアクセラレーター部門のUrban-Xが投資している。Urban-Xは、都市生活の形を変えようとしているスタートアップにフォーカスしており、マテボシアン氏によると、都市政策の変容にも今後の大きな機会があり、特に同社が提供する新しいイメージングには喫緊の需要があるだろう。

上の写真をより高解像度(容量33MB)のバージョンで、Near Space Labsが撮影できる細部がよくわかる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Wi-Fi共有コミュニティInstabridgeが新たに$1Mを調達、途上国市場ユーザーの増加でいよいよ収益化に本腰

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スウェーデンのWi-Fi共有コミュニティとモバイルアプリの企業Instabridgeが、新たに100万ドルの資金を調達した。ヨーロッパのスタートアップにしては珍しく、ラウンドをリードしたのはシリコンバレーの投資家Tim Draperが率いるDraper Associates、これに前からの投資家Balderton Capitalが参加した。

家庭のWi-FiをFacebook上で友だちと共有することを目的に2012年に創業されたこのストックホルムの企業は、その後より広範なWi-Fi共有コミュニティへと姿を変え、とくに最近では、携帯のデータ料金が高嶺の花である途上国市場で人気を集めている。

Instabridgeのアプリを使って、ほかのInstabridgeユーザーのところにあるWi-Fiホットスポットの情報を共有でき、アプリはそのコミュニティのみんなが共有しているホットスポットへのアクセスを提供する。これによって同社はWi-Fiホットスポットのクラウドソースなデータベースを構築でき、またMcDonald’sやStarbucksなど、無料のWi-Fiを提供しているお店などのリストも作れる。

同社によると、今のユーザー数は200万、創業以来今日まで、同社のWi-Fi共有コミュニティのメンバーとして10万名を確保できた。とくにメキシコやブラジル、インドなどの途上国で急成長している。今回の資金は、主に今後の市場開拓のスピードを上げるために投じられる。

Instabridgeの協同ファウンダーでCEOのNiklas Agevikによると、本誌が同社を取り上げた昨年9月以来、ストックホルムのチームは5名から13名と大きくなり、ブラジルには4名のチームを配置できた。そしてブラジルのチームを支え、同国のInstabridgeコミュニティを育てる役として、Yelpの元北欧コミュニティリーダーをスカウトした。

とは言うものの、Instabridgeはまだ売上がない。Agevikの構想では、プロダクトやサービスのリコメンデーションをビジネスモデルにしていきたい、という。“ユーザーにインターネット接続を提供するだけじゃなく、彼らがそこから何か良いものを得られるようにしたい”、と彼は言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))