WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

中国はいま、ライブストリーミングへの新たに関心を示している。新型コロナウイルス(COVID-19)が国中で猛威をふるい、多くの建物が扉を閉ざし、事業者は物を販売するためにオンラインに向かった。そして多くの人がライブストリーミングを受け入れた。現在、我々のモバイルスクリーンの大半を支配しているショートビデオが先行したモデルだ。客の多くがオフラインショッピングを避ける傾向が強まりつつあり、Alibaba(アリババ)やJD.com(JDドットコム)、Pinduoduo(ピンデュオ)のようなeコマースの巨人たちはライブストリーミングに力を入れている。ライブストリーミングを使って顧客は販売事業者とやり取りをし、リアルタイムに注文する。

異端プレーヤーのWeChat(ウィーチャット)もこの動きに加わっている。月間アクティブユーザーが11億6000人のメッセージサービスである大手WeChatは今週、6月のライブストリームショッピングフェスティバル開催で広州市と提携したと発表した。このニュースの前には、習近平主席が経済におけるライブストリーミングeコマースが、特に地方の農産品の販売を促進するうえで重要な役割を果たすとの認識を示していた。

ライブストリーミングeコマースを通じて地方経済を押し上げるために、地方行政がイニシアチブをとるのは中国では初めてのことだ。この取り組みが交易や輸出の中心地である広州市で行われることは驚きではないだろう。グローバルのパンデミックにより中国の輸出は減少していて、当局は国内需要を刺激せざるを得なくなっている。

WeChatのメッセージ以外のほとんどの機能と同様、ライブストリーミングはミニプログラム(またはライトアプリ)インフラ上に構築されている。WeChatによると、この機能には数万もの小売業者が登録されていて、試験期間の間は無料で利用できる。グローサリーや観光、ファッションの小売事業者はこのサービスの恩恵を最も享受できる。例えば、NASDAQに上場している旅行ポータルのCtrip(シートリップ)は、航空会社や旅行アトラクションが大幅割引で商品を売り出しているため、WeChatでのライブ促進で1億元(約15億円)を売り上げた。中国のライフスタイルブランドであるHeilan Home(ヘイランホーム)はライブセッションでの視聴者300万人超を記録した。

「ここ数カ月、オンラインショッピングの需要は新型コロナパンデミックで急増している。ライブストリームを通じた販売は今や事業や生産の再開、消費者の需要刺激の鍵を握っている」とTencent(テンセント)広州のゼネラルマネジャーを務めるGerald Hu(ジェラルド・フー)氏は発表文で述べた。

WeChatがライブストリーミングに乗り出したのは最近だ。この部門が近年盛り上がっていたにもかかわらず、WeChatがライブストリームを同社のオール・イン・ワンプラットフォームに正式に導入したのは2020年2月のこととなる。これは創業者Allen Zhang(アレン・チャン)氏の製品に対するミニマリストで完璧主義的なアプローチのためかもしれない。

結局のところ、WeChatの根幹は知り合い同士間のコミュニケーション促進にある。買い物やゲームといった他の機能は社交生活の延長であり、会話を邪魔するものではなく補足するものだ。人々は友達がWeChatメッセージを通じてシェアしたスナックを購入するかもしれない。あるいはWeChat上のアプリ内ゲームへの参加を呼びかける友達からの招待状を受け取るかもしれない。しかしどれだけの人が30分間もビデオに費やし、その間に重要なメッセージを逃すリスクを負ってもいいと思うだろうか。

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(翻訳:Mizoguchi

夜中に注文して出勤前受け取りも可能、Amazonが米国一部都市での同日配送を高速化

Amazon(アマゾン)は米国時間3月3日朝、同日配送をさらにスピードアップさせる取り組みを発表した。フィラデルフィアやフェニックス、オーランド、ダラスなど米国のいくつかのマーケットに「ミニ・フルフィルメントセンター」と呼ばれる配送センターをマーケット近くに設置した。新施設のあるこれらのエリアでは同日配送にかかる時間をわずか数時間にすることができる。

顧客は、何十ものカテゴリーにわたる「Today by」と記された300万ものアイテムのリストから注文できる。このサービスは現在展開されている同日配達とは少し異なり、注文時に配達時間帯を選ぶようになっている。プライム会員はAmazon.comをブラウジングしながら気になる品がどれくらいの時間で玄関先まで配達されるのかを確認できる。

また新サービスでは、例えば夜の配達を予約するために朝にオンライン注文しなくても、終日買い物ができるようにする。加えてプライム会員は「ひと晩、朝8時までの配達」を選ぶと、真夜中に注文して翌朝に受け取ることもできる。この場合、ドライバーは午前4時半〜午前8時の間にやってくるので、出勤する前に商品が届くこともある。

Amazonはまた、顧客の近くに施設を設置することでドライバーが配達のためにさほど移動しなくてもよくなり、二酸化炭素の排出を減らせるという。これは航空機による輸送も減らすことになり、クラウドソースによるAmazon Flex programを介するなどしてより多くの配達業務の雇用を生み出せる、としている。

同日配達サービスの拡充は、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)といったライバルとの競争で優位に立つためのものだ。両社ともオンライン注文をさばくのに、カーブサイド・ピックアップや配達など客に便利な方法の提供でローカル店舗を活用している。例えばWalmartの店舗は、米国住民90%の10マイル以内にある。これはAmazonに対して競争力のあるアドバンテージだった一方で、Amazonはフルフィルメントセンターの多くを郊外に置いている。顧客の近くに店舗を展開していることは、特にオンライングローサリーで競う際に役立つ。そのためAmazonはWhole Foodsを買収した。

Amazonは2019年、プライム会員向けの配送を2日から1日にすることを約束し、プライム会員向けの配達の遅れをなくすよう取り組んでいると述べた。ローカルマーケットにミニ・フルフィルメントセンターを置くことで、これまでよりもっと早くプライム会員にサービスを提供できるようになる。

Amazonは現在、プライム会員の35ドル(約3750円)以上の購入商品を無料で、35ドル以下の場合は送料2.99ドル(約320円)で同日配送している。既存の同日配送サービスのPrime Nowでは商品2万点のみが対象だ。300万点を取り扱う新サービスにより、商品点数がかなり拡充されることとなる。プライム会員サブスクでは、年間119ドル(約1万2750円)で1000万点ものアイテムを2日配送で届ける。Amazonは2020年2月、サブスク利用者ベースが1億5000万人に増えたとしている。

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(翻訳:Mizoguchi

東南アジアで価格比較プラットフォームを展開するiPriceが約10.7億円調達

東南アジアで異なるeコマースプラットフォームの価格をまとめて比較するiPrice Groupは、ACA Investments主導のシリーズBラウンドで1000万ドル(約10億7000万円)を調達した。このラウンドにはDaiwa PI Partnersと以前からの投資家であるLine Ventures、Mirae Asset-Naver Asia Growth Fundも参加した。

Lineのベンチャーキャピタル部門からの前回の資金調達発表は2018年5月に実施されており、今回の資金調達によってこれまでのiPriceの調達総額は約1980万ドル(約21億2500万円)となった。

iPriceによると、サイトには月間2000万人以上の訪問があり、2019年には同社のプラットフォームを通じて約500万件の取引があったという。この中核事業は同社における売上高の約半分を占め、EBITDA(金利・税金・税金・償却前利益)は30%で運営されている。これは、iPriceが今後2〜3年間に他の事業での達成を見込んでいる水準だ。

iPriceは調達した資金で、おすすめやプロによる製品レビューといったプロダクトの発見機能を開発する。現在、同社のプラットフォームはLineやHome Creditといった1つのアプリで幅広いサービスを提供する「スーパーアプリ」と提携している。

Zalora、Shoppee、Lazadaなど東南アジアで増え続けるeコマースプラットフォームから消費者が価格情報を収集できるようにする前に、iPriceはクーポンや割引コードを収集することからサービスを始めた。

iPriceのプラットフォームは電子機器や家電、ファッション、自動車などの業界に分かれており、現在は1500社以上のeコマースパートナーから15億以上の製品価格を集計しているという。iPriceによると、同社はインドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシア、香港における大手のプロダクトアグリゲーターだという。

ACAインベストメンツでチーフ・インベストメント・オフィサーを務める藤田智弘氏は「東南アジアの電子商取引業界は現在成長段階にあり、大きな可能性を秘めていると考えている。iPrice Groupは特に東南アジア市場を包括的にカバーすることで、重要な役割を果たすだろう。これは、オンラインショッピングへの主要な入り口になる」とのコメントを発表した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

WalmartのQ4決算はeコマースが35%成長も売上高は予想を下回る

Walmart(ウォルマート)のホリデー商戦の業績は予想に届かなかった。2019年第4四半期決算の売上高は1416億7000万ドル(約15兆6000億円)で、予想の1425億5000万ドル(約15兆7000億円)を下回った。1株あたりの調整後利益は1.38ドル(約152円)で、これに対し予想は1.44ドル(約158円)だった。同社は要因をいくつか挙げ、そこには米国店舗におけるホリデー商戦が予想よりも「軟調」だったことも含まれる。12月は特に玩具、メディア、ゲーム、アパレルの売上が芳しくなかった。

消費者がこれまでになくオンラインで買い物する傾向があり、全体的に決算はWalmartに向かい風が吹いていることを示している。その一方でWalmartはオンラインにかなり投資しているものの、いまだにそのオンラインではなく実在店舗でかなり売り上げている。第4四半期にはいくつかの問題が重なった。玩具産業が抱える問題(これはTargetもまた直撃した)、ゲームの新味のなさ、短いホリデーショッピング期間が足を引っ張り、さらには暖冬でアパレルの売上が多くの店舗で落ち込んだ。

Walmartのように店舗が大きくても、棚のスペースと面積がものをいう。棚卸表がすばやく回転しなければ、売上は苦戦する。第4四半期の米国の既存店売上高は1.9%増で、予想の2.3%を下回った。

それとは対照的に、Amazon(アマゾン)のホリデー商戦は予想を上回った。過去最多の売上高となり、有料のプライム会員数は1億5000万人に増加。翌日配達と同日配達の件数は前年同期の4倍になった。

Targetなどと同様、これまでのところWalmartはハイブリッドなアプローチをとることにおいて概ね成功している。これは実在店舗事業とオンライン事業が区別されていないことを意味し、むしろオンラインで購入したものをピックアップするために客を店舗に誘導するように働いている。マーケットシェアを取り込み、Walmartの全体的なeコマース売上高を成長させるのに役立っている。

第4四半期でもそうで、eコマース売上高は35%増えた。これにはオンライングローサリーが大きく寄与した。グローサリーの売上高は「過去10年で最高」だった。Walmartはオンライングローサリーに対応する店舗の数を急速に増やしていて、年末時点でオンライン購入のピックアップに対応する店舗は3200店、そして1600店が配達も行っていた。

eコマースは同四半期中のホリデー商戦を牽引したが、成長幅は前年同期の方が41%増と2019年第4四半期の35%よりも大きかったことは指摘するに値するだろう。

Walmartが今後数カ月ですばやく拡大する必要がある分野はDelivery Unlimitedサービスだ。2019年に始まったこのサービスはInstacartやその他の企業と競合するグローサリー配達の会員プログラムだ。月会費または年会費を払うことで顧客は配達ごとにかかる費用を払わなくてもいい。同社は年末までに米国の50%でこのサービスを展開することを計画していたが、このプログラムが現在どこで利用できるのか、最新の情報は出さなかった。

一方のTargetは、グローサリー以外のものも含む同日グローサリー配達サービスのShiptを拡大していて、自前のアプリTarget.comにもShiptを取り込んだ。そしてもちろん、AmazonのPrime会員はWhole Foodsのおかげでグローサリーを購入でき、日々の買い物でこれまでで最も速い配達を利用できる。

加えて、いまだにもうかっていないWalmartのeコマース事業は2019年は別の問題にも直面した。アパレル部門での買収のいくつかは期待したほどの結果が出なかった。2019年WalmartはModclothを売却しBonobosはスタッフを解雇、そして創業者のAndy Dunn(アンディ・ダン)氏は社を去った。Walmartはまた都市部でのグローサリー事業Jet.comをやめ、実験的な買い物サービスJet blackも終わりにしたばかりだ。

これとは別にWalmartは、第4四半期中のチリにおける政情不安がらみの問題も指摘した。Walmartの多くの店舗が影響を受けた。しかしSam’s Club、Walmex、中国事業、Flipkartの業績は良かった。

「ホリデー期間中の取引は増え、同期中の費用レバレッジは強固だったことがはっきりした。しかし売上高の伸び悩みやカレンダーの日並びによるプレッシャーなどのため、予想したほどに良くはなかった」とWalmartのCFO、Brett Biggs(ブレット・ビッグズ)氏は声明文で述べた。「決算に影響を及ぼした要因を我々は理解していて、これらを解決すべく計画を練っているところだ。ビジネス戦略、そして全世界で提供しているオムニチャンネルの統合を通じて顧客に価値と利便性を届ける能力にには引き続き自信を持っている」と付け加えた。

Walmartは下方修正した2021年ガイダンスも明らかにした。1株利益見通しは5〜5.15ドル(約550〜566円)とし、これはアナリストの予想5.22ドル(約574円)を下回っている。ここには新型コロナウイルス感染拡大の影響は考慮されておらず、同社は状況を引き続き注視している。

画像クレジット: Scott Olson

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(翻訳:Mizoguchi

PayPalがFacebook率いるLibra Associationから撤退する最初の企業に

【抄訳】
PayPalは、Facebookがこの前発表した暗号通貨Libraとその関連団体から公式に脱退する最初の企業になった。

PayPalは次のように声明している。「PayPalは今回、Libra Associationへの今後の参加を見合わせ、誰にでもアクセスできる金融サービスの実現という弊社のこれまでのミッションの前進に引き続きフォーカスすることを決定した。Libraが志望しているものに対しては今後も支持を続け、協力のあり方について対話を維持したい。FacebookはPayPalにとって長年の貴重な戦略的パートナーであり、今後もいろいろな面でFacebookとパートナーしサポートを続けるであろう」。

PayPalのような高名なパートナー候補がこの取り組みから、まだ離陸すらしていない時点で撤退したことは、FacebookとLibra Association(Libra連合)にとって大きな打撃だ。それでなくてもLibraは、最初は協力的だった一部大企業の変心に苦しみ、規制当局などからの否定的な反応(反トラスト問題など)に足を引っ張られていた。このままでは、立ち上げとその後の成長も、思わしくないかもしれない。

これに対してLibra Associationは、PayPalへの対応として、口調は控えめだが厳しい声明を発表した。Facebookは本誌からの質問をこのグループに渡し、直接にコメントすることを控えたようだ。

すなわち、Facebookのスポークスパーソンは「Libraのような意欲的な事業は、ある種の大胆さと気丈さを必要とする。それは正しくより良いやり方で金融サービスへの平等なアクセスを目指す、現世代にとっての重要な機会であり、その旅路は厳しく困難なものになるであろう。金融のシステムを金融機関のものから人びとのものへ変えようとするこの変革努力は、きわめて困難な道のりであり、何よりも必要なのはそのミッションへの献身である。われわれは、この献身の欠如について、あとからではなく今知りたいと願っている」とコメントしている。

【中略】

今週初めのウォール・ストリート・ジャーナルの記事は「MastercardやVisaなどの企業がPayPalに倣ってLibraプロジェクトから撤退するかもしれない」と報じている。これに関しVisaのCEOであるAl Kelly(アル・ケリー)氏は公式声明で「規制やそのほかの問題が阻害要因にならないかぎり立ち位置は従来と変わらない」と語った。

【後略】

関連記事:議会証言でFacebookのデジタル通貨の欠陥が明らかに(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

レビューを書かなくてもいい簡単な製品評価方法をAmazonがテスト中

Amazonが、ユーザーからのフィードバックとして従来のレビューよりも簡単なワンタップ評価(One-Tap Rating)をテストしている。それはレビューを書くほどの時間や元気や関心はないけど、その製品に関する意見を共有したいという人たち向けだ。簡単なものでも、ユーザーからの評価があればほかのショッパーたちは助かる。

ワンタップ評価はその名のとおり、1回タップをして星印の数による評価を残すだけだ。レビューのタイトルや内容を書かなくてもいい。

しかもワンタップ評価は、その製品のページだけでなく、自分のOrders(注文履歴)のところや、ログインしたときのホームページ上にあるお勧め品のところからも実行できる。入力はとても簡単で、星の数で評価してグリーンのチェックマークでそれを確認するだけだ。

ワンタップ評価の星の数が製品の全体的評価の星数の計算に加わるのは、「Amazonで購入済み」の場合だけだ。また、あとからレビューや写真やビデオを加えてフィードバックを充実することもできる。

amazon ratings test

この新しい機能は、なるべく多くの消費者からフィードバックを集めるための手段だ。レビューを書くのは面倒、という人は結構多い。またレビューだけよりは、本当にその製品を買った人からの本当の評価に近い格付けが得られるだろう。最近のレビューには、お金をもらって書いてるのもあるから。

この「よいしょレビュー」は、Amazonのポリシーに反しているだけでなく、出品者や出店者の方でも長年、取り締まりの努力をしてきた。報酬つきのレビューを単純に禁じたり、何度も訴訟罰金、売り手のアカウント停止などの対抗策を講じてきた。しかしそれでもなお、Amazon上の評価を上げることを商売にしている、いかがわしいサービスは後を絶たない。今でも、痩せ薬やBluetoothヘッドフォンなど、異様に評価の高い製品がAmazon上に存在する。

本物の顧客からの本物のレビューだけになれば正しい評価が得られるけど、悪者をレビューの世界から一掃する名案がAmazonにはない。

今度の新しい評価方法は、ウェブとモバイルアプリの両方で、世界中で行われている。現時点では全員ではなくて、一部の消費者がテスト対象になっている。Amazonは、これが実験であること、本格的なローンチでないことを強調している。

Amazonのスポークスパーソンによると「顧客がフィードバックを容易に残せて、しかもショッパーが本物の顧客からの本物の評価を幅広く得られる方法を、目下テストしている」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グローバル化を目指すTencentがクラウドサービスで日本進出

世界最大のビデオゲーム企業が、自国の外に成長の機会を求めている。メッセージングアプリWeChatのオーナーで、大ヒットしたゲームも多い中国のインターネット大手Tencent(テンセント)が7月26日に、同社の2019年の国際進出の一環としてそのクラウドサービスを日本で展開すると発表した。

この発表よりも前に、Tencent Cloudは日本の顧客にサービスを提供していたが、このように初めて公式に発表するのはグローバル展開を急ぎたいという同社の意思の表れだろう。しかもこの時期、Tencentの国内事業は、ゲームに対する中国政府の規制に圧迫されている。

逆にTencentのクラウドコンピューティング部門は今年売上の5倍増を掲げており、Tencent Cloudの副社長Da Zhiqian氏によると、日本もその重要市場のひとつだ。

調査企業IDCのデータによると、Tencentのクラウド事業はマーケットシェア11%で国内第2位だ。すなわちこの深圳の企業は、クラウドの国内マーケットシェア43%のAlibaba(アリババ)の背中を見ながら走っている。しかし中国の外ではクラウドコンピューティングは競争がなお一層熾烈で、Canalysの調査データによるとAWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどの大手がそれぞれ、シェア31.7%、16.8%、および8.5%で先頭集団にいる。

しかしTencentは大手のやり方、すなわちクラウドの利用から学ぼうとしている小規模なゲーム企業にとって、ホスティングのソリューションとして魅力があるだろう。中国の外でHonor of Kingsの成功を再現しようとした試みは失敗に終わったが、しかしすぐにギアを入れ替え、Steam的なゲームプラットホームWeGame Xをローンチして、海外市場をねらう中国のゲームデベロッパーに訴求した。また、モバイルのPlayersUnknown Battlegroundはグローバルに成功し売上増に貢献した。

またTencentには、世界中にポートフォリオのネットワークがある。中国でゲームのライブストリーマーとして上位にいるHuyaとDouyuはどちらもTencent系で最近では国際的にも伸びており、ビデオのレイテンシーを避けるためには強力なクラウドコンピューティングの支援が必要だろう。同じことが、やはりTencent系のショートビデオアプリKuaishouについても言える。こちらは、中国の中でも外でもTikTokの好敵手だ。

Tencentのゲーム用クラウドエンジンには、チームメート間のコミュニケーションを円滑にするための仕組みがいろいろある。それらは、マルチプレーヤーの音声チャット、音声による3D位置決め、音声メッセージング、そして音声からのテキスト認識などだ。同社は世界の25か国にクラウドインフラストラクチャサービスを提供しており、5月現在で世界中に展開しているサーバーの台数は100万台を超えている。Tencentによると、今後はゲーム以外にも、日本ではeコマースやビデオストリーミング、モバイルのモビリティクライアントなど向けに調製されたクラウドソリューションを提供していきたい。日本での既存のパートナーとして、ゲーム企業のPitayaやIT企業E-businessがいる。

画像クレジット: Calvin Chan Wai Meng

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixの会員数は期待したほど増えずむしろ米国では微減

Netflixの2019年第2四半期の決算報告では、米国の有料月額会員の数が初めて減少に転じ、相次ぐ料金値上げがついに顧客の忍耐の限界に達したかと思われる。同社の全世界の有料月額会員は270万人増加したが、実は実際の増加数は283万人のところ、米国では13万人を失った。

Netflixの消費者向け料金はこの四半期に10.99ドルから12.99ドルに上がり、明らかにそれが減少の一因だろう。同社はこれほどのリアクションを予想していなかったらしく、2018年Q2の増加数が550万人だったから少なくとも今期500万人は増えると予想していた。

同社によると、月額会員の増加数は値上げをした地域ほど予想からの乖離が大きく、しかしまた世界のすべての地域で増加数は期待を下回った。米国における減少は競争のせいと思われるかもしれないが、しかし同社によると、発表したばかりでまだ実際に操業していない競合が多いので、実質的な影響はないという。

むしろNetflixが指摘するのは、値上げとともに追加されたコンテンツの陣容だ。Q2のコンテンツの顔ぶれは、期待どおりの新会員を集めることができなかった。次のような、強力な人気コンテンツがあったにもかかわらず。When They See Us(4週で視聴数2500万世帯)、Our Planet(3300万世帯)、Murder Mystery(7300万世帯)、The Perfect Date(4800万世帯)、Always Be My Maybe(3200万世帯)。

それでも同社は、Q3の有料サブスクライバー増を700万人と大きく見積もっている。前年同期の610万人増よりも大きな数字だ。この楽観の大きな理由は、モバイルオンリーで手頃な料金のプランをその四半期にインドで立ち上げるからだろう。

Netflixの株価はQ2の結果のために10%以上下がった。Q2のNetflixの決算報告はここで見られる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonプライムデーは米国のeコマース全体を売上2000億円超に押し上げ

Adobe(アドビ)のアナリティクス部門からの報告によると、米国時間7月15日から始まるAmazonの大売り出し「Prime Day 2019」(Amazonプライムデー)は、米国のeコマース市場にまた大きなインパクトを与えることになりそうだ。その予想によると、米国のオンライン売上の計10億ドルあまりを占める上位リテーラー各社の売上は、Amazonプライムデーの間に昨年の60%に対して79%増加する。そしてAmazonプライムデーにより、米国のeコマースの売上が20億ドル(約2160億円)を超える。ホリデーシーズンを除けば、2018年のレイバー・デー(労働者の日)と2019年の戦没将兵追悼記念日と並ぶ三度目になる。

Adobe Digital Insights(ADI)の主席アナリストであるTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏はこう語る。「Amazonプライムデーが人工的なホリデーになるため、Amazonのコンペティターである他の大型eコマースも余禄に与ると考えられる。結局のところ彼らは、Amazonプライムデーに売上が伸びるという経験をすでに5年近く味わっているのだ」。

なお、上の20億ドルはAmazonの売上を含む米国限定の金額だ。

しかしAmazonプライムデーそのものは、かなり国際的に展開されている。今年は初めてアラブ首長国連邦が加わるほか、英国やスペイン、シンガポール、オランダ、メキシコ、ルクセンブルク、日本、イタリア、インド、ドイツ、フランス、中国、カナダ、ベルギー、オーストリア、オーストラリアなどでも並行してこの売り出しが行われる。

Amazonの上位ライバルであるWalmart(ウォルマート)やTargeteBayBest Buyなども本日、独自の売り出しを行う。それにならうかたちで実施する中小のeコマースも少なくない。というか、RetailMeNotの当初の予想記事によると、Amazonプライムデーの日に自店の売り出しをぶつけるリテーラーは250店に達する。昨年それは194店、2015年の初めてのAmazonプライムデーのときはわずか7店だった。

とくにeBayは、やや汚い手でAmazonプライムデーに対抗しようとしている。同社は昨年のプライムデーでAmazonに不手際(サーバーの過負荷)があったことにひっかけて、今年の便乗売り出しを「Amazonをぶっつぶす特売」、すなわちCrash Saleと呼んでいる。

またウェブサイトモニタリングのCatchpointによると、昨年の経験のおかげで今年のAmazonは、プライムデー開始日の東部時間午前10時までは、モバイル、デスクトップともに安定している。ウェブサイトのロード時間は、売り出しがなかった先週と変わらないぐらい速い。

それは、サイトの安定性が大きく向上したためか、それとも、今年は消費者の出足が鈍いのか。昨年はEcho Dotをプライムデーの始まる前から24ドル99セントに大幅値下げするというでっかい目玉があったけど、今年のプライムデーではEcho Dotを22ドルで特売している。結果は、今日の夜までにはわかるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonは社員再教育に800億円相当を投じ全社員の3分の1を高度な職種に再配置

【抄訳】
米国時間7月11日、Amazonは7億ドル(約800億円)を投じて米国の労働者を再教育し、彼らをスキルのある技術職や非技術職に移動していくと発表した。その具体的な新しい職場は、会社のオフィスやテクノロジーハブ、フルフィルメントセンター、リテールストア、輸送ネットワークなどだ。それによる同社の目標は、2025年までに米国の同社従業員10万名をスキルアップすることで、それはAmazonの全米の労働者の3分の1に相当する。

発表によると、Amazonが特に欲しいのはデータマッピングのスペシャリストやデータサイエンティスト、ソリューションアーキテクト、ビジネスアナリスト、さらにロジスティクスコーディネーター、工程改善マネージャー、そして輸送運送(トランスポーテーション)のスペシャリストだ。同社のワークフォースと米国の雇用の現況を見るかぎり、これらは過去5年間の雇用増加率の最も高い、そして高度なスキルの職種だ。

Amazon自身のデータによると、データマッピングスペシャリストの過去5年間の雇用増加率は832%、データサイエンティストは505%、ソリューションアーキテクトは454%、セキュリティエンジニアは229%、ビジネスアナリストの雇用は160%の増加だ。また、高度なスキルを持つカスタマーフルフィルメント(顧客対応)の職種は400%の増加となっている。

Amazonの米国のワークフォースは今年30万名に達すると予想され、全世界では従業員数63万名となる。この再教育投資は、ワーカー1人あたり約7000ドル(約76万円)となり、企業の社員再教育事業としてはこれまでで最大である。

資金は既存の事業と新しい教育事業の両方に分散され、また技術的学歴経験のある者とない者の両方に等しく注力していく。新しい社員再教育事業としては、まずAmazon Technical Academyが非技術系のAmazon社員にスキルを付けてソフトウェアとエンジニアリングのキャリアへ移行させる。Associate2Tech事業はフルフィルメントセンターの学卒者を技術職へ移動する。そしてMachine Learning Universityは技術的経験学歴のある者を機械学習へ向けていく。

そのほか既存の事業であるCareer Choice事業(フルフィルメントセンター学卒者の再教育)、Amazon Apprenticeship(見習い制度)、AWS Training and Certificationなども活用する。

【後略】

画像クレジット: Ted S. Warren/AP

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Mozillaは悪名漂うUAEのDarkMatterをHTTPSの証明提供者として否認

Firefoxブラウザーを作っているMozillaが、監視サービスDarkMatterが発行する証明を信用しないと発表し、同サイトへの何か月にも及ぶ警告を終了することになった。

数か月前にアラブ首長国連邦のDarkMatterはMozillaに、そのルート証明をFirefoxで公式に信用される証明として認めるよう求めた。認められればそれが発行するHTTPS証明がFirefoxでも使われることになる。Mozillaやそのほかのブラウザーメーカーは、その承認リストを見てどのHTTPS証明なら信用できるかを判断し、Webサイトのアイデンティティを確認したり、そこを行き来するデータが安全であることを認定する。

しかし証明の発行者が悪者だったら、暗号化されたインターネットトラフィックが横取りされて、ユーザーは偽のWebサイトに連れて行かれたりする。

DarkMatterには、マルウェアやスパイウェアを作って監視目的で利用したり、同社を批判するジャーナリストをそのターゲットにするなど、いかがわしい行為の履歴がある。数週間前のロイターの記事によると、このUAEの企業はアメリカの国家安全保障局(NSA)の元職員たちを雇って、同国のアラブ人君主の要請で一部のメディア上の人気者や政権批判者をターゲットにしていた。

しかし同社は証明発行機関としては履歴がクリーンだったので、Mozillaは難しい立場に立っていた。

Mozillaはあやしい履歴のあるDarkMatterを証明発行機関として認めるべきか、それとも万一のリスクを避けるために拒否すべきか。

そして最終的には、後者が勝利した。

Mozillaの証明機関事業の管理者Wayne Thayer氏は次のように語る。「われわれの他の何よりも優先する責任は、Mozillaのプロダクトを信頼している個人を護ることだ。DarkMatterはユーザーに相当大きななリスクをもたらす」。

彼はさらにこう言う。「彼らがこれまでやってきたことを見ても、DarkMatterを中間証明者として信頼できないとする決定は支持されるだろう」。

MozillaはDarkMatterのビジネスの好悪両面を検討したが、ブラウザーメーカーとしてのいちばん重要な原則、「インターネット上の個人のセキュリティとプライバシーは選択可能なオプションとして扱うべきでなない」に従って、DarkMatterの証明採用の要請を断らざるをえなかった、とThayer氏は言っている。

同様にMozillaが中間証明者として信用しなかった企業は、他に6社ある。

DarkMatterは、火曜日(米国時間7/9)現在、コメントの求めに応じていない。

関連記事: プロバイダーの業界団体がMozillaをインターネットの悪党と非難

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

金を支払って書かせたAmazon上の偽レビューを米国連邦取引委員会が初告訴

連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)の米国時間2月26日の発表によると、同委員会は初めて、偽のレビューを使ってオンラインで製品を売る行為を訴件として取り上げることになった。同委員会によると委員会はニューヨークの企業Cure Encapsulations Inc.とそのオーナーのNaftula Jacobwitzを被告として、減量サプリメントに関する嘘の主張と、サードパーティのウェブサイトに金を払ってAmazonに偽のレビューを投稿させた件で起訴することになった。

偽のレビュー(フェイクレビュー)はAmazonで買い物をする者(ショッパー)に常につきまとう迷惑行為だ。レビューシステムのアルゴリズムに安全策を講じたり、偽レビューの投稿をビジネスにしているWebサイトを告訴しても、それらを掃除できなかった。

FTCの訴えによると、Cure Encapsulationsは熱帯の果実ガルシニアの成分を含むピルを売っていたが、その果実は自然な減量促進食として利用されることもある。そのピル、Quality Encapsulations Garcinia Cambogiaは、Amazonでのみ売られていた。Jacobwitzはwww.amazonverifiedreviews.comと呼ばれるウェブサイトに金を払って好意的なレビューを投稿させ、その製品の評判を上げようとした。

FTCのCure Encapsulations Inc.に対する訴状より。

2014年10月8日にJacobowitzはそのサイトの運営者にメールを送り、評価の星の数4.2を4.3に上げるために、1日に3つ、計30のレビューに対し1000ドルを払う、と言った。それは売上を得るために必要な措置であり、最終的には製品が星5つに留まるようにしたい、とも言っている。そこでwww.amazonverifiedreviews.comは、そのピルを褒めそやす一連の5つ星レビューを投稿した。FTCによると、それらのレビューは、そのピルが強力な食欲抑制剤であり、最大で20ポンド(9キログラム)の減量を達成し、新たな脂肪細胞の形成をブロックする、といった嘘の主張をしていた。

FTCによる同委員会の調停案は、FTCに5万ドルと未払い所得税などを払えば罰金1280万ドルの判決を猶予する、というものだ。その調停はまた、Cure EncapsulationsとJacobwitzが今後、人間に対する臨床試験により得られた信頼できる科学的エビデンスなくして減量や脂肪ブロック、疾病治療などを主張する食餌療法的サプリメントを売ることを禁じている。また彼らは、フェイクレビューなどの偽りの推奨を禁じられ、さらにAmazonと実際にピルを買った顧客には、どのレビューが偽であったか、および今回のFTCの申し立てについて、メールなどで報告しなければならない。

FTC消費者保護局のディレクターであるAndrew Smith氏はプレスリリースの中で、「企業がフェイクレビューを買ってそのAmazonの格付けを膨張させようとする行為は、ショッパーと規則に従って行動している企業の両方を傷つける」と述べている。

AmazonのスポークスパーソンはThe Vergeへの声明で、「私たちはこの分野におけるFTCの働きを歓迎する。Amazonは私たちのストアにおけるレビューの真正性を護るために大きな投資をしており、それは、お仲間のショッパーたちと共有する知見や体験を顧客が重視することを、私たちもよく知っているからだ。私たちには、レビュワーと物販パートナーの両方に対する明確な参加指針があり、私たちのポリシーに違反する人びとには、参加の停止や禁止、法的措置などを講じている」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonの2018年の買収は総額16.5億ドル、そのトップはPillPackとRing

このほどAmazonがSECに提出した10-Kファイル(年次報告書)は、同社が昨年行った昨年で最大の二つのM&Aのお値段を明かしている。それによると同社は、Ringにキャッシュで約8億3900万ドルを払い、PillPackに7億5300万ドル、そのほかの買収の合計で5700万ドルを払っている。

GeekWireが、そのファイルを最初に見つけて記事にした。

Amazonは昨年の早い時期に、同社のスマートホーム事業を支えるためにRingを買っている。それは2017年のBlinkの買収の直後だ。当時Ringの買収価額は、10億ドル以上とも報じられている。一方PillPackの買収は昨年の夏に行われ、“10億ドル弱”と報じられた。

今回のSEC提出書類では、買収価額は“取得された正味のキャッシュ”、とされている。つまりその取引の時点において買収された企業が帳簿に記載していた現金と負債を勘案した金額だ。報じられた額(10億前後)より低いのは、そのためである。

Amazonは2018年に行ったそのほかの買収の個別の価額を明かしていないが、買収の目的について次のように言っている: “Amazonが顧客により効果的に奉仕できるための技術とノウハウの入手”。でもそれらの一部はばれており、たとえばインドのTapzoの買収や、サイバーセキュリティ企業Sqrrlの買収は、いずれも4000万ドルと報じられている。

2018年の総額16億5000万ドルは、Amazonでは二番目に買収額が大きかった年だ。最大はその前の2017年、Whole Foodsを130億ドルあまりで買った年だ。

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Amazonが再びGoogle Chromecastsを売っているが後者はPrime Videoをサポートせず

GoogleとAmazonの長年の抗争が休憩モードに入ったようだ。Amazonは今再び、GoogleのChromecastデバイスを売っている。そのデバイスはAmazonが2015年に同店から閉め出して、Prime Videoをサポートしているデバイスしか売らないという方針を掲げた。1年前に同社は、Chromecastを扱うと言ったがそれは長続きせず、両社は再び喧嘩モードに入った。今回はAmazonのEcho Showの、YouTubeプレーヤーが争点になった。

でも今、事態は再び鎮静モードに入ったようだ。

Android Policeが、ChomecastsがAmazon.comで再び売られていることを見つけた。

その記事は、35ドルの第三世代Chromecastと、69ドルのChromecast Ultraが売られている、と言っている。

Amazonはこの件で何も発表していないが、本誌TechCrunchが確認したところによると、Amazonはこれら二つのデバイスを公式に扱っており、店頭に出たのは偶然でも間違いでもない。

Amazonが昨年Appleと仲直りをしてApple TVを扱うようになったのも、Prime Videoがサポートされたからだから、Chromecastのユーザーが同じくPrime Videoのサポートを期待するのは無理もない。でも少なくとも今日(米国時間12/14)の時点では、それはない。

迷惑するのは消費者だから、AmazonとGoogleが仲良くできないのは、みっともないことである。

これまでAmazonの買い物客が、あの人気の高いストリーマーを見つけられなかっただけでなく、ChromecastにPrime VideoがなければFire TVにGoogleのYouTube TVがない、という不毛なやり合いになっている。これらのストリーミングサービスのどちらにもアクセスできることは、どんなメディアプレーヤーにとっても重要なセールスポイントだ。Rokuのような、どちらか片方だけに与(くみ)しないプラットホームに人気集中するのも、当然だ。

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Walmartが楽天とパートナーして日本に初のeコマースストアを開店

アメリカのリテールの巨人Walmartはこのところ、アジアにおける事業の改革を継続的に進めているが、その一環としてこのほど、同社の日本における初めてのeコマースストアをオープンした。それは、日本のリテールの巨人、楽天との共同事業だ。

両社が1月に初めて発表したコラボレーション日本語記事)の合意事項では、日本ではオンラインのグロサリーサービスを立ち上げ、アメリカでは楽天のKoboによるeリーダーやオーディオブック、eブックなどを売る、というものだった。

上記のeグロサリーサービス、Rakuten Seiyu Netsuperは10月に開店し、そして今回両社は、Walmartに日本のeコマース市場の一片をつかませるためのWalmart Rakuten Ichiba Storeを立ち上げた。日本のeコマース市場の大きさは、年商ベースで16.5兆円(1480億ドル)と推計されている。

そのストアは日本最大のeコマースストア楽天市場にあり、衣料品やアウトドアアイテム、子どもの玩具などおよそ1200種の“アメリカのブランドの”製品を扱う。Walmartは発注をアメリカで行い、品物を日本に空輸し、楽天のeコマースサービスの上で売られる。この全過程の所要時間(日数)は明らかでないが、最終価格には送料や税金も含まれるだろう。

日本でずっと苦戦していたWalmartにとっては、これはおもしろい動きだ。

今年の中ごろには同社は、2007年に完全買収した日本のスーパーマーケットSeiyu GKを手放すという噂を、懸命に否定した。たしかに売却は(まだ)行われないのかもしれないが、CNBCによると、WalmartはSeiyu(西友)の店舗をおよそ100店閉店し、その業績不振が明らかになった。

楽天とのパートナーシップは、相手が年商100億ドルのeコマース巨人で金融サービスや旅行、モバイルなどもやってる大企業だから、リスクやエクスポージャーのありうる日本のオンライン市場を一口いただくためには、賢明なやり方だ。でも、限界はある。WalmartのアメリカでのライバルAmazonは楽天との直接競合を選び、その投資費用が高いにもかかわらずかなり成功している

しかしパートナーシップ方式は、Walmartにとってアジアで初めてではない。

中国で選んだパートナーは、Alibabaに次いで二位のJD.comで、同社は2016年に不振のマーケットプレースYihaodianをWalmartから買収した。この取引の一環としてWalmartは、Yihaodianの中の一(いち)リテーラーになり、JDのプラットホームとロジスティクスのノウハウを利用して中国で売上を得ようとしている。

その関係は今年さらに深まり、WalmartはJDとの共同経営になるグロサリー配達サービスにJDとの共同出資で計5億ドルを投資した(Walmart担当額は不明)。そう、ここでもまたW社は、共同事業でオンライングロサリーをやろうとしている。

さらに別のところでは、Walmartは今年インドで当地のAmazonライバルFlipkartを160億ドルで買い上げてインド進出を目指している。この買収額はW社にとって記録的な額だ。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images (画像は一部を変えた)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonのサイバーマンデーは同社史上最大のショッピングデーだった

11月27日、Amazonは今年のサイバーマンデー(11月26日月曜日)が同社史上最大のショッピングデーだったと発表した。これは全世界で販売した商品数に基づくものだ。これは今回のショッピングイベントが、同社のブラックフライデー、さらには7月に1億件以上の商品を売ってAmazon史上最大の売上を記録したプライムデーをも超えたことを意味している。

またAmazonは、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間—— “Turkey 5” とも呼ばれる——に、米国の消費者が昨年同時期より数百万件以上多くの商品を購入して新記録を達成したことも報告した。

同社はこれらの記録の売上数値は明らかにしていない、どんな商品が売れたのかは発表した。

全世界の顧客はブラックフライデーとサイバーマンデー合わせて、1800万個以上のおもちゃと1300万個以上のファッションアイテムを買った。ブラックフライデーだけをみても、400万個以上のおもちゃと電子機器がAmazonモバイルアプリ経由で注文された。

また、中小企業のブラックフライデー売上は昨年と比べて20%以上増えた。

“Turkey 5” 全体で、Amazonユーザーは1億8000万件以上の商品を注文したと同社は言った。

もちろん、ベストセラー商品の多くはAmazon自身のデバイスであり、Alexa対応スピーカーとFire TVの大幅ディスカウントのおかげだ。

Amazonはこの週末に全世界で「数百万台」のEchoデバイスを販売し、Echo Dotはこの中のトップセラーのみならず、他社製品を含めたAmazon全体でも売上ナンバーワンの商品だった。

ほかに人気だった商品はFire TV Stick 4KとタブレットのFire 7 with Alexaだ。「数百万台」のFireタブレットとKindle端末がこの週末に売れた。

スマートホーム機器の販売も新記録だった。RingとBlinkは昨年同時期と比べて2倍以上売上を伸ばした。

サイバーマンデーは “Turkey 5″ の中で最大の日だったが、Amazonによるとブラックフライデーも注文商品数で昨年同日を上回った。

ブラックフライデーのベストセラーは、Echo Dot、Fire TV Stick 4K(最新Alexa Voice Remote付き)、Fire 7タブレット、Instant Pot(8クォートのDUO80と6クォートのDUO60)、ハリーポッター:8作品コンプリートコレクションBlu-rayなどだった。

ブラックフライデーとサイバーマンデーのAmazonの業績は大きな注目を集めていた。同社が Q3決算で発表した第4四半期見通しがウォール街予測を下回っていたからだ。Amazonの予測は売上665億~725億ドルだったのに対してアナリストは738億ドル前後と予想していた。

もちろんこの記録破りの販売が実際の収益につながるかどうかはまだわからない。数百万台売れた商品が、大幅値引きされたAmazon製品であることを考えるとなおさらだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プライベートなソーシャルネットワークを提供するPath、ついにサービス停止

ふたたび、ソーシャルメディア・プラットフォームにさよならを言う日がやってきた。

今年初めにはKloutがサービスを停止したが、この度はPathが舞台を去ることが明らかとなった。かつてはFacebookのライバルとなるかという話もあったが、ついに閉鎖をアナウンスすることとなった(まだあったのかと驚いた人もいるかもしれない)。

8年間にわたってサービスを提供してきたPathだが、10月18日をもってサービス停止となるとのこと。App StoreおよびGoogle Playからは10月1日をもって削除されるようだ。利用している人は、10月18日までデータのダウンロードができるようになっている(ダウンロードはこちらから)。

Pathを開発したのは、Facebookでプロダクトマネージャーを務めたこともあるDave Morinと、Napster出身のDustin MierauおよびShawn Fanningだ。2010年にモバイル向けソーシャル・ネットワークサービスとして登場した。サービスはビジュアルと本当に親しい人とのつながりを重視して、50人までしか友達登録ができないという仕様になっていた。よりプライベートなつながりを求める人に向けたサービスを実現しようとしていたのだ。ただし、友人数の制限は後に緩められ、さらに撤廃されることにもなった。

ピーク時には1500万のユーザーを抱え、5億ドルの評価にもとずく資金調達などにも成功していた。誕生1ヵ月の頃には、Googleが1億ドルでの買収を狙ったほどだった。最終的にPathはシリコンバレーの大物であるIndex、Kleiner Perking、およびRedpointなどから5500万ドルの資金を集めていた。

FacebookはPathをノックアウトしたが、Pathから頂戴したアイデアもある。

ソーシャルメディアは、15億人のアクティブユーザーを抱えるFacebookの独壇場となっている。優れていると思えば、ライバルであったPathからアイデアを借用することも厭わず、今日の繁栄につなげてきている。

Pathのサービスは打開策を見つけられず、スタッフを失い、そして利用者および収益源(ないしはユーザーデータ)を失っていった。商業施設と利用者をつなぐサービス(Path Talk)に活路を見出そうとしたこともあったが、これもうまくいかなかった。結局はPathおよびPath Talkのサービスは、2015年に価格非公開で韓国のメッセージングおよび接続サービス大手であるKakaoに売却されることとなった。世界第4位の人口を抱え、Pathが400万人の利用者を獲得していたインドネシアでのサービス拡大を狙ってのことだった。ちなみにKakao自体は、東南アジア最大のインターネット関連ビジネスマーケットとなっているインドネシアで、大きな存在感を示すことに成功している。

そのような中でもPathの活路は見出すことができず、結局はPathおよびPath Talkはサービス停止を迎えることとなった。

「多くの方に愛していただいたPathのサービスを停止するのは残念なことです。Pathは2010年に、熱意あるそして優秀なデザイナーやエンジニアが作り上げたサービスです。ここしばらくの間は、なんとかサービスを継続する道を探っていました。テクノロジーおよびデザインの力で人々を幸せにし、有意義なコミュニケーションの場を提供するというミッションをなんとか果たし続けたいと考えていたのです」と、サービス停止のアナウンスには記されている。

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(翻訳:Maeda, H

Amazonの‘搾取’に対抗してWhole Foodsの社員たちが組合の結成に向かう

Whole Foods Marketの労働者の一部が、この今やAmazonがオーナーである企業の85000名あまりの全従業員のために、組合を作ろうとしている。

Whole Foodsの社員に宛てた書簡でそのグループ…Whole Foodsの全地域的委員会…は、Amazon傘下のWhole Foodsの“方向性に懸念がある”、としている。書簡は、全社員を対象とする15ドルの最低賃金、企業年金制度、有給の産休〜育児休暇、健康保険控除額の減額、などの要求も述べている。

曰く: “Amazonがチームメンバーの全面的な価値を認めることなく、北米の小売業界の業態の全体を作り変えようとすることは認められない。Amazon[とWhole Foods]の成功は、われわれの献身を搾取し、われわれの経済的安定性を損なうことによって、得られるべきではない”。

この食料品チェーンを1年前にAmazonが137億ドルで買収し、eコマースとオフラインの一般小売業界の両方に衝撃波が広がった。これまでの12か月でeコマースの巨人は、この食料品チェーンの500近い店舗にさまざまな変化を導入した。一部の店ではAmazon Echoが売られ、amazon.comの商品受け取りと返品受付を担当するAmazonロッカーも登場した。

[Whole FoodsのAmazon化、その1年](未訳)

書簡はJeff BezosとWhole FoodsのCEO John Mackeyを名指しして、“2019年以降もレイオフが続き、Amazonはわれわれの労働力を積極的に切り詰め、その後、新しいテクノロジーと労働モデルによって成長していく気だ”、と言っている。

Amazonの買収以降、数百名のWhole Foods社員がレイオフされ、Amazonはそれに代えて“Whole Foodsに効率的なデータドリブンの社風を吹き込んだ”、とThe Wall Street Journalは書いている。しかし買い物客は、この改革によって数百万ドルを節約したとされる。

本誌TechCrunchがもらったWhole Foodsの声明には、“チームメンバーの個人の権利は尊重する”、とある。

声明は曰く: “わが社のオープンドアポリシー (門戸開放主義)により、チームメンバーは自分たちの意見や疑問、および懸念を、チームリーダーに直接申告することが奨励されている。この直接性が、わが社の従業員のニーズを理解して対応し、オープンなコミュニケーションと権利の実現を促進する雰囲気を作りだすための、もっとも効率的な方法と信じている。わが社は他社に負けない賃金と福利厚生を提供しており、わが社のチームメンバーの成長と成功にコミットしている”。

Amazonもこれとほとんど同じ声明をくれたが、社員の待遇に懸念のある者は同社のフルフィルメントセンターを見学するよう、勧めている。

以下は、New Food Economyが取得した書簡の全文だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonのレジ無しコンビニAmazon Goの三号店(これまでで最大)が開店、ミールキットも売る

Amazonが、同社の“未来のストア”構想のピッチを上げている。今日(米国時間9/4)は、先週二号店をご紹介した同社のレジなしコンビニAmazon Goの三号店が開店する。近くほかの都市にも出店するようだが、Amazonはまだその計画を明らかにしていない。

今度の最新の場所は、全体で三つめ、Amazon本社のあるシアトルで三つめだ。Boren Ave.とThomas St.の角にあるその店は、床面積2100平方フィート(195平方メートル)、これまでで最大だ。一号店は1800平方フィート(167平方メートル)で、2016年12月に予告も宣伝もなくサプライズ開店した。 二号店は1450平方フィート(135平方メートル)で、先週の月曜日にオープンした

Amazon Goストアは、顧客が買ったものの代金をアプリが計算することによって、レジをなくす。店内に大量のカメラや重量センサーを置くことによってお客が取ったものを判断し、正しい合計計算をする。

関連記事: Amazonの監視カメラだらけのレジ無しコンビニエンスストアにて

最新の三号店には、朝食、ランチ、ディナー、スナックなどもあり、パンやミルクやチョコレートなどの一般的な食料品もある。一回の食事用の料理食材セット、いわゆるミールキット(meal kit)は、Amazon Meal Kitsが調製提供する。2017年にローンチしたこのプロダクトは、Blue Apronなど既存のミールキット・デリバリーサービスともろに競合する。

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日本のフィンテックPaidyにVisaが戦略的投資…仮想化クレジットカードに魅力?

日本のフィンテックスタートアップPaidyは、5500万ドルのシリーズC日本語記事)から1か月あまりの今日(米国時間8/24)、決済の巨人Visaからの戦略的投資を手にした

Paidyはその額を明らかにしていないが、同社はこれまで8000万ドルあまりを調達している。そして同社によると、このクレジットカードの巨人と共に、日本で“新しいデジタル決済体験”を開発したい、という。

Paidyは、日本のオンラインショッピングをもっと容易にしようとしている。日本はeコマースの市場としては世界で4番目に大きく、クレジットカードも普及しているが、代引きを利用する消費者がとても多い。

同社の試算では、eコマースの年間売上16.5兆円(1480億ドル)の約40%が現金で決済されている。クレジットカードは面倒だが、キャッシュは簡単だ。たしかに、カードを取り出してその番号をキー入力するのは苦痛だが、日本ではさらにそれ以外のセキュリティチェックもあるから、なおさら面倒くさい。

Paidyを利用すると、eコマースのチェックアウトにおいては顧客の電話番号やメールアドレスがアカウントのIDになり、決済時にはPaidyの確認コードを入力するだけだ。またPaidyにはさまざまな返金オプションがあるので、結果的にクレジットカードと同じ機能を利用できる。

同社によるとすでにアクティブアカウントは150万あり。2020年には1100万をねらっている。その目標に達するためにふかすべきエンジンは、大きな小売企業のネットショップに採用してもらうことだ。それはこれまでもうまく行っており、このたびVisaが関与したことにより、同社との共同プロダクトへと発展すれば、利用者は一挙に増えるだろう。

Visaのアジア太平洋地区を仕切るChris Clarkによれば、Paidyをプラスチックのカードを補う仮想クレジットカードとして位置づけることにより、Visaにとってのメリットも大きい。今回は、まさにそのための戦略的投資だ。

Clarkは声明文でこう述べている: “Paidyの成長と、同社が購入時に提供する便利なショッピング体験に前から着目していた。日本には、全額払いでも分割払いでも、消費者にさまざまな決済オプションを提供できる大きな機会がまだまだあり、とくに複数のチャネルにまたがってショッピングする場合は、一人の消費者が多様なオプションを持つことの意義が大きい”。

Paidyの現在の投資家は、Itochu Corporation(伊藤忠), Goldman Sachs, Eight Roads(Fidelityの投資部門), SBIのFinTech Business Innovation LPS, Arbor Ventures, SIG Asiaなどだ。

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