アウディが量産型EVのE-Tron SUVをリコール、バッテリー発火の恐れ

Audi(アウディ)は米国時間6月10日、バッテリー発火の恐れがあるとして、米国で電気自動車(EV)のE-Tron SUVを自主回収すると発表した。Audiの広報はBloombergに対し、これまでに販売された1644台で発火は報告されていない、と語った。発表にると、ワイヤーハーネスを通じて湿気が電池の中にしみ込むことがわかったとのことだ。これが原因の電池故障が世界で5件報告されている。

E-Tronはアウディ初の大量生産EVだ。ちょうどいま世界中のマーケットで発売されているところで、米国ではこれまでに540台が売れた。

私は昨年E-Tronに試乗したが、自信に満ちた車という印象を受けた。Tesla(テスラ)車ほど速くないが、Audi独自の快適性と、加速性が十分にあるパワートレインを備えている。ただし航続距離は200マイルで、主な競合相手となるテスラのModel Xには及ばない。

リコール対象車のオーナーには補償金800ドルが支払われ、車をショップに預けている間の代車も提供される。

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(翻訳:Mizoguchi)

アウディの自動運転車はアップルとニコンの出身者が作ったAevaのセンサーを採用

Audi(アウディ)の自動運転車部門は、ユニークなライダー(LIDAR)を開発しているスタートアップと手を組んだ。自律走行可能なSUVタイプの電気自動車、e-tronに搭載して、ミュンヘン市内でのテストを拡大する。

Audiの子会社となっているAID(Autonomous Intelligent Driving)は、Aevaによって開発されたライダーセンサーを採用したことを、水曜日に明らかにした。AevaはAppleとNikonの出身者によって、わずか2年前に設立されたスタートアップだ。

Aevaは、カリフォルニア州のマウンテンビューを拠点とする会社で、Soroush Salehian氏とMina Rezk氏によって設立された。同社が開発した「4Dライダー」は、距離はもちろん、かなり遠くのものまで瞬間速度も計測できる。また太陽光や他のセンサーによる干渉を受けないのも特長だ。「4D」というネーミングはともかくとして、この技術には説得力がある。

ライダー(「ライト」と「レーダー」を組み合わせた造語)は、光線によって距離を測定するレーダーの一種だ。勃興する自動運転車業界では(Teslaは例外だが)重要かつ不可欠なセンサーと考えられている。そして何年もの間、その市場はVelodyneの独壇場だった。

今日では、Velodyneよりも高解像度で精度も高く、そのうえ低コストのセンサーを提供するためのブレークスルーを実現したと主張する何十ものライダーのスタートアップが登場している。これはかなり大胆なチャレンジだ。特に大量生産を可能にするのは難しい。

伝統的なライダーセンサーは、可視光のスペクトルの外にある高出力の光パルスを送出し、そのパルスが戻ってくるのにかかる時間を計測することで、距離を特定することができる。パルスが戻ってくると、そのパルスを反射した物体の方向と距離が記録され、測定結果から3次元のマップが生成できる。

Aevaによれば、同社のセンサーは連続的な低出力レーザー光を放射する。それにより、フレーム内のポイントの瞬間速度を、最長で300メール先まで計測できるという。言い換えれば、Aevaのセンサーは、物体までの距離、方向、そしてその物体がセンサーに近づいたり遠ざかったりする速度までも測定できるのだ。

これは、歩行者、自転車、他の車など、さまざまな速度で移動する物体が存在する環境で運行される自律走行車にとって、有効な知覚機能となる。

Aevaは、Lux CapitalやCanaan Partnersといった投資家の支持を受けている。同社のセンサーは、他のセンサーや太陽光による干渉とは無縁である、という大きな特長も備えているとされる。

AevaのセンサーがAIDのCTO、Alexandre Haag氏を納得させたのは、このように長距離の測距、毎秒何センチという精度での瞬間速度の計測、そして干渉に強いという特長を兼ね備えていたからだ。

Aevaのセンサーは、Audiと、その親会社のVolkswagen(フォルクスワーゲン)による、過去18か月に渡る検証プロセスを通過した。今回の発表は、AevaがAudiの自動運転車事業における重要なハードルを乗り越えたことを確認するものだ。Aevaのセンサーは、すでにミュンヘン市内を走行中のAudi e-tronの開発用車両に搭載されている。Audiでは、都市部での移動サービス用として、自動運転車を今後数年以内に供給することを計画している。

もし干渉の影響を受ければ、3次元のマップ上に、ランダムな点が次々に出現してしまうことになる。ライダーが直接太陽の方に向けられた場合や、同じクルマに複数のセンサーが取り付けられているような場合、その可能性は否定できない。ライダーのメーカーは、いろいろな干渉パターンを防ぐために、さまざまな手法を考案してきた。また自動運転車のメーカーも、太陽や雪の影響による干渉の問題を把握していて、それによって発生する異常値を無視するようなアルゴリズムを開発している。

Salehian氏も、やはり干渉は重大な課題であると主張している。

規模に合わせて開発したり、大規模に利用される製品を設計するという課題について言えば、それは単にどれだけ容易に製造できるかという問題ではない、とSalehin氏は強調する。「そうしたものをずらっと並べて使うときでも、完全に協調して動作するようにしなければならないということです。そのような車を何十万台も作るとなれば、それは一大事なのです」。

画像クレジット:Aeva/スクリーンショット

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Audiが全電気車、e-tron SUVの量産開始

フォルクスワーゲン傘下の自動車メーカー、Audiは今週から全電気SUVの生産を始めた。 3年前にフランクフルトで開催されたモーターショーでコンセプトモデルが発表されてから3年後に量産開始となった。

ただし、Audiの電気SUVの実車が公開されるのは9月17日まで待たねばならない。Audiではこの日、サンフランシスコで華々しいお披露目イベントを計画している。

Audiは4WDの電気自動車、 e-tronの量産に向けてここ数年努力を重ねてきた。これまでも価格、航続距離、インテリアなどに関する情報がアップデートされてきた この車両はAudiのブリュッセル工場で生産されている。この工場は2016年に電気自動車の生産拠点として抜本的な改修を受けた。これによりブリュッセル工場はフォルクスワーゲン・グループの電気自動車化計画の要の位置を占めるようになった。

Audiはボディー製造、塗装、組み立てなどすべてのラインを一から作り直したという。また搭載するバッテリーもこの工場で生産される。

このSUVは乗車定員5人で、直流による急速充電が可能、最大出力は150キロワットだ。当初、Audiでは95キロワットのバッテリーで500キロ(310マイル)以上の航続距離があると述べていた。その後この数字は400キロ(250マイル)前後と改定された。今月下旬に実車が世界デビューするのと同時に最終的なスペックも公表されるはずだ。 電気SUVの販売が実際に始まるのは今年末とみられる。

e-tronはAudiが計画している全電気自動車シリーズの最初の製品となる。Audiは2020年までに4ドアGT(Audi e-tron Sportbackコンセプトカーの量産版)およびコンパクト版の生産も開始する。Audiでは2025年までに20モデル以上の全電気車、プラグイン・ハイブリッド車をデビューさせる計画だ。

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滑川海彦@Facebook
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