Ecosiaが検索による広告収益をグリーンエネルギーに投資

非営利的な検索エンジンであるEcosia(エコシア)は、ユーザーの検索結果に対して得られる広告収入の一部を、再生可能エネルギー分野のスタートアップ企業に提供することを始めた。

これは、Ecosiaが気候変動に注力するスタートアップ企業を支援するために、2021年立ち上げた3億5千万ユーロ(約456億円)の「WorldFund(ワールドファンド)」に追加されるものだ。

Ecosiaは、検索による広告収益で植林のための資金を寄付する活動も続けている(この活動は、Ecosiaの活動として最もよく知られている)。しかし、ベルリンを拠点とするこの検索エンジンは、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされたエネルギー危機を受け、グリーンエネルギーへの投資に「継続的に取り組む」ことにしたと語っている。

その最初の投資対象はドイツに焦点を当てている。特にロシアからのガス購入に依存しているドイツは、その経済がウクライナ危機の影響を大きく受けていることを意味する。

この戦争はすでに、世界に化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速させる新たな原動力を生み出している。気候危機に経済危機が重なったことで、再生可能エネルギーへの需要が急増する可能性がある。

しかし、化石燃料の利権者たちは、グリーンエネルギーへの急速な移行を阻止するため、すぐに反論を展開し、西側諸国が石油やガスの利用を進め、地球上の生命をより早く焼き尽くしてしまうように、ロビー活動を行っている。つまり、投資家が再生可能エネルギーに小切手を切ることに急ぐ理由には事欠かないというわけだ。

Ecosiaは、スタートアップ企業や自然エネルギーの取り組みに資金を提供するため、まずは2700万ユーロ(約35億円)を用意したという。その初期の投資の対象となるのは、ベルリンのスタートアップ企業であるZolar(ゾーラー)の供給ネットワークだ。Zolarは太陽光発電システムの設置を希望する顧客と、地域の計画・設置事業者を結びつけるプラットフォームで、ドイツ中の家庭へグリーンエネルギーを普及させることに貢献している。

Ecosiaは、Zolarの地域ソーラー販売ネットワークを通じて、小型ソーラーシステムにすでに2000万ユーロ(約26億円)を投資したと述べている。同時に、ドイツ全域でその他の再生可能エネルギープロジェクトにも投資を行っているという。

「現時点では、我々はドイツ全域の再生可能エネルギープロジェクトを支援しています。再生可能エネルギーへのさらなる投資は、Ecosiaが地域自然エネルギープロジェクトや起業家からの提案を評価した上で、他の国でも行われる可能性があります」と、広報担当者は筆者に語った。

Ecosiaのグリーンエネルギー投資の目標は、より多くの企業が再生可能エネルギーに投資することを促し、化石燃料を地中に埋めたままにしておくことがかつてないほど急務となっている今、再生可能エネルギーへの移行を加速させることであると、広報担当者は付け加えた。

Ecosiaの広報担当者は「再生可能エネルギーへの投資を、気候変動に留まらない規模に拡大したいと考え、助言を求めている企業や、欧州の化石燃料への依存度を下げるという意味で変化をもたらすグリーンエネルギーのアイデアを持つ起業家やコミュニティのプロジェクトリーダーは、当社のエネルギーチームに連絡してください」と述べ、最高執行責任者のWolfgang Oels(ウルフガング・オールズ)氏がこの取り組みを指揮していることを強調した。

Ecosiaは、検索による広告収入の投資先をさらに多様化し、将来的には再生可能農業も視野に入れることを示唆している。ただし、現時点では、グリーンエネルギープロジェクトに重点を置いていることは変わらない。

植林と再生可能エネルギーへの投資をどのように分配するかという質問に対して、Ecosiaは、エネルギー資金は応募者の能力次第であるため、正式な分配は行わない、つまり収益の分配は毎月ケースバイケースで決定されると答えた。

広報担当者によれば、Ecosiaは月次の財務報告書で「いつ、どのように」投資を行うか、利益の分配を公表するという(これは従来からの植林への寄付も同じだ)。

幅広い気候変動技術に注力し、資金調達を希望するスタートアップ企業は、Ecosiaの創業者であるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏がベンチャー・パートナーを務めるWorldFundに売り込むことをお勧めしたい。これまでWorldFundは、植物由来ステーキをてがけるスタートアップ企業のJuicy Marbles(ジューシー・マーブルズ)や、植林のためのフィンテック企業であるTreeCard(ツリーカード)、カカオを使わないチョコレート代替品を作るQoa(コア)などに出資してきた。

画像クレジット:Ecosia

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AndroidのEUにおけるデフォルト検索エンジン指定に批判多数

Googleは反トラストの嫌疑に対して、Androidの「選択画面」での表示をめぐるオークションで勝利した検索エンジンを公開した

EU内で使われるAndroidスマートフォンでは、ユーザーがデバイスをセットアップするときにプロンプトが表示され、4つの検索エンジンの中からどれかを選ぶことになるが、その中には必ずGoogle自身の検索エンジンもある。

2018年の半ばに欧州委員会は、Androidプラットホームの運用をめぐる反トラスト違反でGoogleに50億ドル(約5500億円)の罰金を科した。この嫌疑には、市場で優勢なスマートフォンOSに自社サービスを優先的に載せていることが含まれており、その違反を正すよう命じられたが、やり方はGoogle自身に任されていた。

Googleの回答は、選択画面を作ってその小さなリストからユーザーが検索エンジンを選ぶことだった。初期画面におけるデフォルトの選択は、各地のマーケットシェアで決まるようだった。しかし2019年の夏、Googleは検索エンジンの名前を表示する欄を非公開のオークションにかける、と発表した。

最初となる2020年3月1日から6月30日までのオークションにおける勝者は、プライバシーを保護する検索エンジンDuckDuckGoで、ヨーロッパの31市場すべてで3つの有料表示欄の1つを勝ち取った。また、Info.comもこれらの市場すべてで検索エンジンのオプションとして表示される。Wikipediaによると、Info.comはGoogleを含む既存の複数の検索エンジンやディレクトリ(目録サイト)から検索結果を得るメタ検索エンジンの古参だ。

選択画面に4つ表示できる検索エンジン候補のうち3つは、優先権のあるGoogleとオークションの勝者DuckDuckGとInfo.comになる。そして残る1つは、8つのヨーロッパ市場でフランスのプライバシー保護検索エンジンQwantが表示される。東部の5つの市場ではロシアのYandexが表示される。

ヨーロッパのより小さな市場で表示されるそのほかの検索エンジンは、GMXSeznamGiveroそしてPrivacyWallとなる。

Microsoft(マイクロソフト)のBingという大物検索エンジンは、意外にもイギリス市場だけで選択画面に表示される。

広告収入のすべてを植樹活動に寄付する検索エンジンEcosiaは、今回のリストにないが、一部の選択画面には登場する。ただし同社はGoogleの「載りたけりゃ金を払え」主義に反対して、オークションをボイコットした。

EcosiaのCEOであるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は、BBCの取材に対して「このオークションは2018年7月の欧州委員会の規則の精神に反していると私は思う。インターネットのユーザーには検索エンジンを自由に選べる権利があり、オークションというGoogleの答えは、自由で開放的で共同的なインターネットを利用できるはずの我々の権利を侮辱している。Android上で誰がデフォルトの地位を持つのか、それを決める権利がなぜGoogleにあると言えるのか?」と語っている。

Googleのやり方が批判されているのは、検索エンジンだけではない。QwantとDuckDuckGoはともに、2019年にGoogleがオークションという有料制への移行を発表した直後に、懸念を表明していた。

オークションに勝利して、選択画面における全市場を対象とする表示欄を得たにも関わらずDuckDuckGoは、表示されるために金を払うという方式に反対している。

「検索エンジンを選ぶメニューは、正しく設計されていればユーザーの選択肢を有意義に増やす優れた方法だと考えている。我々の独自調査もこれを裏打ちしており、ヨーロッパのAndroidユーザーが自分のスマートフォンの設定をする際、容易にDuckDuckGoをデフォルトの検索エンジンに指定できることを期待している。しかしながら、それでもなお弊社は、わずか4つ(実質3つ)の表示欄をオークションにかける有料制は正しくないと考えている。なぜならば、この方法ではユーザーは自分たちにふさわしいすべての選択肢に触れることができず、またこの競争がGoogleの利益になるからだ」とDuckDuckGoは表明している。

一方、Qwantのスポークスパーソンは次のように語っている。「競争者全員がオープンなやり方でモバイル市場へのアクセスを許されることを、Qwantは繰り返し求めてきた。デフォルトの検索エンジンとしてユーザーに選ばれる機会も、すべて平等に与えられるべきである。検索エンジンが金を払ってGoogleに代わるものとして選ばれる機会を得るこの方式は、公正でないと我々は考えている。これは、Androidのモバイルシステムにおける、Googleの支配的地位の濫用だ。しかしながら、モバイル市場はどんな検索エンジンにとっても重要であり、この入札方式に参加せざるをえず、一部の市場のAndroidユーザーにQwantをデフォルトの検索エンジンとして指定する機会が与えられたことにはついてはほっとしている。すべての国のすべての競合製品に、同様の機会が与えられなければならない。そしてその機会の獲得は、彼らの価値によるべきであり、Googleに金を払って選択画面の表示欄を争う能力によるものであってはならない」

この記事はQwantからの新たなコメントによりアップデートされた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa