高級腕時計レンタルを通じてライフスタイルコンシェルジュを目指すEleven James

男性用におしゃれアイテムのレンタルサービスが欲しいと考える人もいるはずだ。Le ToteRent The Runwayといった女性向けサービスにならって、男性向けのEleven Jamesというサービスがスタートした。提供するのは、興味を持つ人も多い高級腕時計だ。月額費用を支払うことで、数ヶ月毎に新しい高級時計を身に付ける機会がやってくる。

サービスを立ち上げたのはRandy Brandoffだ。以前はNetJetsおよびMarquis JetでCMOを務めた経験を持つ。このEleven Jamesは、自らを単純なレンタルサービスであるとは位置づけていない。より広く、「コンシェルジュ」サービスを提供していきたいのだとのこと。提供を開始した腕時計について見ると、月額249ドルコースの場合、1万ドル前後の「安価な」時計を、年に3つまで借りることが出来る(月額449ドルなら6つまで)。また、月額459ドルの「目利きコレクションコース」(Connoisseur Collection)では、より高額な時計を身に付けるチャンスを得ることができる。コースにはさらに上があって「巨匠コース」(Virtuoso)では月額899ドルで年に3つ、1599ドルで年に6つまでの超高額時計を試してみることができる。憧れの高級時計を身につけてあちこちに出かけ、いろんな人に見せて回った後には時計を返却する。返却した時計はクリーニングに回され、そして他のメンバーに貸し出されることとなる。さきに書いたように「ローエンド」の時計の価格がほぼ1万ドル程度だ。1万ドルがローエンドだなんてとんでもないと思う人は、おそらくこのサービスの対象ではないのだ。

ターゲットとしているのは、時計に数カ月分の給料をつぎ込みたくはないが、しかし仕事や外出にちょっとおしゃれなものを身につけたいと考えている人たちだ。また、腕時計フリークの中には、ひとつの時計を使い続けることに非常な抵抗を示す人もいる。Eleven Jamesはそうした層を対象に、利用コースに応じた腕時計をいろいろと提案してくれるわけだ。コレクションに収められている時計はIWC、パネライ、パテック・フィリップなどといったものだ。サービス公開前のベータテストを終えたところで、会員数は100名程度なのだそうだ。メンバーたちは必要なときに新しい時計を身につけそしてパーティーなど、腕時計が大いに注目を集めるイベントに出かけて行くというわけだ。

あわせてEleven Jamesは腕時計の下取りサービスも行いたい考えなのだそうだ。委託販売を行ったり、あるいは貸出用に利用していきたいと考えているそうだ。メーカーにとってはマーケティングとして利用できる可能性もあり、興味を示しているブランドもあるのだそうだ。また、利用者の情報に基づいて、どのような時計が好まれる傾向があるのかを求めるアルゴリズムも開発しているらしい。

冒頭にも書いたが、Brandoffはこのサービスを単純なレンタルサービスであるとは考えていない。「入手が容易で、そして手軽に体験できるといった形での贅沢が流行しつつあります」と彼は言う。「たとえばプライベートジェットや別荘、クラッシックカーなど、かつては入手がほとんど不可能だったようなものも、いろいろなクラブやオーナーシップ・シェアの形で、たくさんの人が利用するようになってきています」とのこと。Eleven Jamesはこのトレンドが育っていく方向性を見据えてサービス展開を行っていきたいのだそうだ。

資金面を見ると、これまでにBox Group、WGI Group、Kenny Dichter、Ken Austin、Brian Distelberger、Ed Moran、およびJason Saltzmanなどの戦略的投資家たちから140万ドルのシード資金を獲得している。腕時計など時間がわかれば良いのだと思っている人には、このサービスの意味が理解できないかもしれない。しかし例えばメーカーにとってみれば、いろんな人に自社の時計を使ってもらうきっかけとなるサービスだとも言える。またオシャレなスイス製高級腕時計を身につけて通りを闊歩して、ちょっと気取った振る舞いをしてみたいと思う人もいる。これまでは手の届かなかった贅沢が、少々身近になるサービスだとも言えるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H