Googleとトヨタが新興都市の交通網をマッピングするWhereIsMyTransportに投資

新興都市では、人口の最大80%が非公式の公共交通機関、つまり民間のバスやタクシーに頼って移動する必要がある。ニューヨークやロンドンなどの先進市場の通勤者に適した乗換案内アプリは、新興都市ではうまく機能しない。例えば、Citymapperのようなアプリをナイジェリアのラゴスで起動してもさっと使うことはできない。モビリティは社会的、政治的、経済的成長の基本的な推進力だ。自由に移動できなければ国としての成長は見込めないため、新興都市にとってモビリティは非常に重要なものになる。

WhereIsMyTransportは、新興都市における公式・非公式の公共交通ネットワークのマッピングを専門としている。同社は、アフリカの34の都市でマッピングを終え、インド、東南アジア、ラテンアメリカの都市で現在マッピング中だ。同社の統合モビリティAPIには、新興都市の複雑な交通網向けに設計した独自のアルゴリズムや機能を含む。

同社はLiil VenturesがリードするシリーズAラウンドで750万ドル(約8億円)を調達した。既存投資家からGlobal Innovation FundとGoodwell Investmentsが、また新たにストラテジックインベスターとしてGoogle(グーグル)、Nedbank(ネッドバンク)、豊田通商(TTC)が参加した。

このプラットフォームには現在、39の都市で75万キロメートル以上のルートがあり、今回の資金調達が世界のさまざまな都市での掲載ルート拡大を促進する。

WhereIsMyTransportのCEOであるDevin de Vries(デビン・ド・フリース)氏は、次のように述べている。「当社は、公共交通機関に関するあらゆる種類のデータを収集し、データを最も必要とする人々と共有できる情報に変えることで、今見えていないものを見える化する。新興都市のモビリティエコシステムは複雑だ。非公式の公共交通機関の振る舞いは、正式な公共交通機関とは異なる。ロンドンやサンフランシスコでうまく機能するデータとテクノロジーのソリューションは、当社が関わる都市では同じようには機能しない。当社のソリューションは、こうした背景を持つ課題を克服するために特別に設計されている」

また、豊田通商自動車本部CEOの山波正人氏は「146カ国をカバーする当社自動車本部のグローバルネットワークは、人々が主に非公式の公共交通機関に依存している新興国に焦点を当てている。WhereIsMyTransportとの戦略的コラボレーションを通じて、社会的課題を解決し、新興国を中心とするさまざまな国の総合的な経済発展に貢献する、より効率的かつ効率的なモビリティサービスを確立する」と話した。

そしてGlobal Innovation Fundの最高経営責任者であるAlix Peterson Zwane(アリックス・ピーターソン・ズワン)氏は「非公式で、信頼性が低いことが多い交通機関は、貧しい人々が影響を受けやすい重大な問題だ。我々はWhereIsMyTransportと協力して、新興都市での公共交通機関をよりアクセスしやすく、効率的にすることを楽しみにしている」と述べた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Googleのデータ節約アプリDatallyに代表される“次の10億ユーザー”獲得構想とは

Googleの新興市場向けの新しいアプリは、スマートフォン上のデータ通信の利用をコントロールし、トップアップ(前払い)クレジットを最大限有効利用しよう、というものだ。

そのAndroidアプリDatallyは、今日(米国時間11/30)から世界中で入手でき、どんなアプリの上でもデータの使い方を細かくコントロールして、節約を実現する。フィリピンで行ったパイロットテストでは50万人のユーザーが、このアプリを利用してデータプランを30%節約できた。

だからこれは、インドのような新興市場で重宝だ。実はこのアプリは最初、インドと東南アジアを想定して作られ、そこでテストされた。これらの市場ではプリペイドの(=トップアップの)SIMカードが使われることが多くて、そのクレジット額を使い切ると、電話はもうつながらない。

Datallyは、データ通信量の多いアプリをカットしてユーザーに別のサービスやアプリを使わせるだけでなく、各アプリのデータ消費量のアップデートも提供する。Googleはこれを、‘データのスピードメーター’と呼んでいる。また、ユーザーが今いる場所の近くに一般公開されているWi-Fiのアクセスポイントがあれば、それを教える。

後者に関しては、Googleはインドで無料のWi-Fiホットスポットを展開しており、たとえばそんな鉄道駅の数はすでに100を超えている。Googleは同プランを東南アジアにも広げている。

FactorDailyのインタビューで、GoogleのNext Billion Users計画の担当VP Peeyush Ranjanはこう語る: “私に言わせれば、シリコンバレーには死角がある。それをなくそうとするのが、GoogleのNext Billion Usersのような活動だ。われわれはそういう市場向けの技術を作っている。うまく行けば、その技術を全世界に広めたい”。

Next Billionの計画の中には、ほかに、インドにおける決済サービスTezや、ストレージ節約アプリ、YouTubeの軽量データバージョンなどがある。

Googleは買収によって、この計画のためのエンジニアを確保しようとしている。今年は、TwitterのデータサイエンティストだったPankaj Guptaがインドで創ったAIスタートアップHalli Labsを買収、2016年にはシンガポールのエンタープライズチャットサービスPieのチームを買い上げた

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2016年第二四半期ではAndroidスマートフォンのマーケットシェアが86.2%に到達: Gartnerの調査より

00005-mts-18_43_11_19-still0011

スマートフォン市場の成長余地は依然として、消費者がフィーチャーフォンからアップグレードしている新興市場だ。

そしてその継続的な移行が、Androidのグローバルなマーケットシェアを押し上げている。Gartnerの最新の数字によると、2016Q2のそれは86.2%である。

しかしこのアナリスト企業によると、Androidは中級品以下のスマートフォンで新興市場の買い手をつかまえているだけではない。上級品のAndroidスマートフォンも、Q2には6.5%伸びている〔前年同期比〕。

Gartnerが言う上級品とは、主要なAndroid OEMの製品、たとえばSamsungのGalaxy S7などのことで、それらがこのプラットホームのハイエンドを押し上げている、としている。またHuawei、Oppoなど中国のOEMの、手頃な価格の高級品スマートフォンも、この上級品押上に寄与している。

Samsungはパフォーマンスを改善し、一時下げていたマーケットシェアが22.3%に戻している。これに次いでHuwaweiの8.9%、Oppoの5.4%が大きいが、Xiaomiは今四半期にシェアをやや下げている。

Q2T1

一方、他のプラットホームはAppleのiOSが14.6%から12.9へと2%近く下げ、またスマートフォンプラットホームとしてのMicrosoft Windowsはさらにひどい下げとなった。

Screen Shot 2016-08-18 at 1.13.15 PM

スマートフォンの総出荷台数は、これも前年同期比で4.3%伸び、2016Q2のグローバルな売上は3億4400万台となった。

この四半期にはフィーチャーフォンの売上は14%減となり、そのため携帯電話全体としての台数はやや減少している。

成熟市場は、日本以外のすべてでスマートフォンの需要の伸びは鈍化した。対して新興市場は、中米以外のすべての国地域でスマートフォンが成長した。スマートフォンの売上は新興市場では9.9%の増、成熟市場では4.9%の減となっている。

スマートフォンメーカーの上位5社は、5社全体としてはこの四半期にシェアを伸ばした。前年同期51.5%に対し、今期54%である。とくに大きく伸びたのが、Oppo, Samsung, Huaweiの3社だ。〔AppleとXiaomiは下降。〕

Appleのスマートフォンのマーケットシェアは、前年同期比で7.7%下がった。とくに、中華圏とアジア太平洋の成熟市場では、iPhoneの売上が26%下降した。〔訳注: このパラグラフで言われている数値は、少なくともこのページ上に見られる表とは異なる。〕

逆に、今四半期でiPhoneの成績が良かったのは、ユーラシアとサハラ以南のアフリカ、そして東ヨーロッパだ。これらの市場では前年同期比で台数が95%増加した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

新興国向けアプリのFacebook Lite、月間アクティブユーザー1億人を突破

fblite100m

Facebook Liteは、Facebookの機能を絞ったAndroid向けサービスで、このほど月間アクティブユーザーが1億人を超え、同社で最も成長の速いモバイルアプリとなった。

このアプリは新興国の低価格スマートフォンと低速インターネット接続を利用するユーザー向けに作られたもので、昨年6月に公開して以来9ヵ月でユーザー1億人の節目を迎えた ― これはFacebookのメインモバイルアプリ等よりも速いペースだ。Facebookによると、同アプリはブラジル、インド、インドネシア、メキシコ、およびフィリピンで特に人気が高く150ヵ国で使われている。

アプリのサイズはわずか1MBで、すぐにダウンロードてきて使用メモリーも少ない。このため機能はかなり基本的なものだが、Facebookはビデオ、写真の複数アップロード、ピンチによるズーム、絵文字等の新機能を加えて見映えをよくしている。

本誌はFacebookに、iOSや他のプラットフォーム向けに同様のアプリを提供する計画があるかを尋ねたが、回答はなかった。Facebook Liteではユーザーが「広告をある程度」見ると同社は言っている。現時点でFacebook Liteユーザーは、同ソーシャルネットワークの15.9億アクティブユーザーの小さな部分を占めているにすぎないが、急速な成長が続けば、アプリの広告戦略を見直す必要があるかもしれない。

ソーシャルネットワークアプリを1MBに縮めるのは容易な作業ではなく、Facebookは、どうやってその偉業を成し遂げたかをブログで公開し、新興国市場で運用する企業のために情報提供している。

数ある米国企業の中でも、Facebookは新興国市場に最も順応している会社の一つだ。
Facebookは世界中に社員を駐在させ、新興国市場には定期的にスタッフを派遣して現地の状況を把握している。昨年同社は「2G火曜日」 を実施し、米国拠点の社員が自ら接続の遅い環境を体験した。

Facebookは、Free Basicsサービスも運用している。従来Internet.orgと呼ばれていたもので、「次の10億人」をつなぐために一部のウェブサービスを無料で提供している。このサービスは、ユーザーが見ることのできるサービスをFacebookが任意に選択していることから異論もあり、ネット中立性の原則に反するとしてインドではブロックされている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新興国の利用者曰く、インターネットはモラル面でマイナスの効果を及ぼす?!

新しく発表されたPew Researchのレポートでは、新興国においてインターネットがもたらす影響を調査している。人々が「インターネット」についてどのように考えているかに力点をおいている。

昨今、新興国にもインターネットに繋がる環境を構築しようと、FacebookやGoogleなどはかなりの投資を行なっている。たとえばFacebookは特定地域に無料のモバイルインターネットを提供しようとするInternet.orgなるプロジェクトを運営している。Googleの方も気球高高度を飛ぶドローンなどを通じたアクセス手段を提供しようとしている。こうした動きは加速していると言って良いだろうが、しかしインターネットに接続できるようになることが、途上国の人たちの役に立っているのか、あるいは喜ばれているのかどうかについては、まだ十分な調査が為されていないともいえそうだ。

TechCrunchなどのテック系メディアでは、インターネットの存在自体や、あるいはインターネットに接続できるようになるということについては肯定的な評価をすることが多いだろう。しかし、世界中の人がネットに繋がるようになることについて、肯定的な面にばかり目を向けているということはないだろうか。たとえば最近は、政府が市民の監視を行うのにネットワークを利用しているというようなことも言われている。人々同士の間でも、加害者がキーボードやモバイルデバイスの画面に隠れた状態で匿名のうちにいやがらせ行為を行ったり、あるいは病力的な振る舞いに出る旨のおどしに使っているようなケースもある。

既にネットワークの存在に多くを依拠している先進国では、多少の不利益があってもインターネットに繋がることを選ぶ(選ばざるを得ない)だろう。しかしこれまで繋がっていなかった地域の人達も同様に考えるはずだと前提して良いものだろうか。誰もがネットに繋がることを良いことだと考えるようになるものだろうか。

Pew Researchは今回、32の新興国および発展途上国を対象に調査を行なってレポートをまとめている。そうした国々ではインターネットについての意見もいろいろにわかれているようで、インターネットというものはモラル面での悪影響をもたらすと回答している人も多いようだ。民主化推進などの政治面についても、賛否両論があるようだ。ただし、教育や人間関係、および経済の面ではプラスになると考えている人が多い。

新興国市場において、インターネット非利用者を含めた64%の多数が、インターネットは教育に役立つと回答したそうだ。友人関係にも役に立つと回答した人も53%にのぼっている。さらに経済面でも52%の人が役立つと考えているのだそうだ。しかしモラル面で良い影響をもたらすと考えている人は29%に過ぎず、むしろ42%がマイナスの影響をもたらすと回答している。

モラル面で悪影響をもらたすという考えは、今回の調査対象国すべてに共通するものであるというところも面白い。モラル面に好影響をもたらすという回答が多数を占めた国はなかったのだ。

ところでインターネットへのアクセスが可能になった人たちの多くが、「ソーシャル」面にプラスの効果をもたらすと考えている。たとえば新興国の人々の65%が、個人同士のつながりい好影響をもたらすだろうと回答している。これをインターネットにアクセスできない人たちについてみると、同じように判断する人の割合は44%に低下する。教育レベルにもよるようで、高学歴な人々の10人に6人が人間関係にプラスとなると回答しているのに対し、低学歴の人々の賛同率は44%になる。

こうしたことを見ると、Facebookなどがネットワークに繋がる人たちを増やそうとするのは正しい判断であると言えるだろう。インターネットに繋がるようになれば、発展途上国でも多くの人が友人などと繋がるためにネットを利用するようになる。86%の人々が友人や家族とオンラインでの繋がりを持ち、また82%がソーシャルネットワークにも参加している。調査対象となった国々でも、インターネット利用者のうち82%がFacebookやTwitterを使っていることがわかった。

ちなみに、インターネットを政治面で利用している人は少ない(54%)ようだ。さらに健康関連情報の入手に利用した人は46%で、政府や各種サービスからの情報を得るのに活用した人も42%に留まった。さらに、キャリア活動ないしコマースに用いる人も少ない様子。求職活動に利用した人は35%で、支払いに利用した人が22%、ショッピングが15%で、オンラインコースを試してみた人も13%という結果になっている。

残念ながらPewのレポートでは、モラル面で悪影響があるとした人々の回答について、詳細な検討は行なっていない。インターネットが導入されることで、どういうマイナス面が出てくるのかということについて、具体的な内容の確認も行なっていない。どのようなサービスないし行動がモラル面にどのような影響を及ぼすと考えられているのかについて、もう少し突っ込んだ調査が欲しかったところだ。

レポートを見る限り、ネットが利用できるようになるや否や、多くの人が「ソーシャル」な行動を行うようになる。人々の心配は、そうした人々の行動パターンと関係があるものなのかもしれない。フェイス・トゥ・フェイスの関係が減り、そしてこれまでのさまざまな束縛から逃れ、「自由」を感じるようになるというのも、ネットワークの特徴のひとつだ。そこで人を「自由」に避難したり、公開の場では言えないような「本音」を表に出すことも行い始める。そうした社会的行動の変化により、インターネットが道徳面に悪影響を及ぼすと考える人も出てくるのだろう。

インターネットへの接続状況などを国ごとにまとめたレポートの全文もこちらから見ることができる。尚、途上国の人々をネットに繋ごうという行動は積極的に行われているものの、今回の調査対象国にはインターネットにアクセスできていない人が数多く存在する。ごくたまにであれインターネットを利用するという人は、調査対象32ヵ国の中で44%に過ぎない。米国では成人の87%がインターネットを利用している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H